2018年7月22日 (日)

Bacharach At The Movies/V.A. (2002年)

映画に使われたものばかりをコンパイルした日本編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. OPEN YOUR HEART  〜 Vanessa Williams 〜  F

2. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Burt Bacharach 〜

3. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Burt Bacharach 〜

4. THE WINDOWS OF THE WORLD  〜 Burt Bacharach 〜

5. LOVE IS MY DECISION  〜 Chris DeBurgh 〜  M

6. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER  〜 Burt Bacharach 〜  FM

7. LOST HORIZON  〜 Shawn Phillips 〜  M

8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Burt Bacharach 〜

9. SOMETHING BIG  〜 Burt Bacharach 〜  M

10. ON A BICYCLE BUILT FOR JOY  〜 B. J. Thomas 〜  M

11. THE APRIL FOOLS  〜 Burt Bacharach 〜

12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Burt Bacharach 〜

13. PROMISES, PROMISES  〜 Burt Bacharach 〜

14. THE LOOK OF LOVE  〜 Dusty Springfield 〜  F

15. ALFIE  〜 Burt Bacharach 〜

16. PROMISE HER ANYTHING  〜 Tom Jones 〜  M

17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Tom Jones 〜  M

18. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  〜 Richard Chamberlain 〜  M

19. WHO'S BEEN SLEEPING IN MY BED  〜 Linda Scott 〜  F

20. WIVES AND LOVERS  〜 Jack Jones 〜  M

21. FOREVER MY LOVE  〜 Jane Morgan 〜  F

22. I CRY MORE  〜 Alan Dale 〜  M

23. THESE DESPERATE HOURS  〜 Mel Tormé 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約69分


映画に使われたものばかりをコンパイルした日本編集のバカラック物コンピ集です。

Fullsizeoutput_284日本でのバカラック研究第一人者、坂口修さんがユニバーサルの音源から選曲した本作。当の坂口さんはライナーノーツでこのように紹介しておられます。

─ バカラックが手掛けた、1955年のデビュー作から最新の2000年まで、半世紀近くにも及ぶスクリーン・ミュージックのオリジナル・サウンドトラック音源と、彼が指揮するオーケストラによる映画主題歌のセルフ・カヴァーをユニバーサル・ミュージックの豊富なカタログから集めてみた。しかし、映画音楽だけの作品集だからと言って何ら特別な事は無く、殆どがスタンダードになったヒット・チューンばかり。つまり、この1枚でバカラックのバラード・ソングの集大成アルバムとして楽しめる内容と相成っている。 ─

集大成ときましたか! 米国であればジャケットにどどーんとバカラックの写真が使われてもおかしくないところ、控えめというか意味不明というかこういうシュールなジャケットはいかにも日本らしいっす(笑)。

収録されている23曲について、邦題・アーティスト名・シングル・映像作品&どう使われたか…を整理しました。
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備考欄が薄いグレーの網かけ9曲(殆どがバカラックのセルフ・カヴァー)は、本CD収録バージョンが当該映像作品に使われていない(或いは関連性がない)ことを示しています。複数の映像作品に使われている曲もありますが、映像作品欄はライナーで紹介された代表作品を記載するに留めました、あしからず。

曲順は映像作品の時代を2000年〜1955年まで遡った形になっています。マニアックな曲が入ってるのは坂口さんの編集ならでは。T-21. 「 フォーエヴァー・マイ・ラヴ 」、T-23. 「 ジーズ・デスパレイト・アワーズ 」 の2曲は本作で初めてCD化された音源ですし、T-5. 「 ラヴ・イズ・マイ・ディシジョン 」、T-7. 「 失われた地平線 」、T-18. 「 想い出のローマ 」、T-19. 「 ベッドで泣いて 」、T-22. 「 アイ・クライ・モア 」 あたりも2002年当時はまだレアだったと思います。殆どがスタンダードになったヒット・チューンばかり…というのは些か誇張した表現だと思いますが、1999年に同様コンセプトでリリースされたバカラック物コンピ集 『 The Reel Burt Bacharach 』との重複も5曲と少なく、マニアも手を出しやすいコンピ集でしょう。

坂口さんのペンによる各曲の解説は、関連する映画の紹介/チャートアクション/曲にまつわるエピソードなどが盛り沢山。丁寧且つマニアックな内容でとっても勉強になります。しかも、ライナーには Burt Bacharach Original Soundtrack Archives と称するリストが掲載されていて、映画・TVシリーズ・ミュージカルなど54もの作品名がズラリ。知らない作品も多く、これまた貴重な情報!

バカラックのセルフ・カヴァーが多い点がちょいと引っかかりますが、それを補って余りある充実したライナーノーツが魅力の本コンピ集、オススメです。


【データ】
『 Bacharach At The Movies 』(バカラック・アット・ザ・ムーヴィーズ)
V.A.

CD:2002年9月25日リリース
レーベル:Universal Internatonal (JP)
番号:UICY-4084

Tracks selected and liner notes written by Osamu Sakaguchi(坂口 修)
This Compilation (P) & ©️ 2002 Universal International, A UNIVERSAL MUSIC COPANY.

2018年7月15日 (日)

彩/aya Sueki (2018年)

日本の女性R&B系シンガーソングライター、aya Sueki の5曲入りミニアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全5トラック中、バカラック作品は1トラック

3. WHO'LL SPEAK FOR LOVE (4:14)


日本の女性R&B系シンガーソングライター、aya Sueki の5曲入りミニアルバムで今月リリースされたばかりです。

劇団所属の役者から歌手に転身。2000年にセルフタイトルのファースト・アルバム(全曲作詞作曲、セルフ・プロデュース)をリリースします。以降、2008年と2016年にフルアルバム、2015年にミニアルバムをリリース。並行してライブ活動と共にアーティストへの楽曲提供・コーラス、歌唱指導を行う…。公式サイト他の情報からかいつまんでまとめるとこんな感じでしょうか。お名前は漢字で書くと ” 末木文 ” 。縦書きしたら左右対称でユニークだと思うのですが、音楽やってるというよりは文学やってますって感じ。だからローマ字表記なのかなぁ。

Fullsizeoutput_2b6Fullsizeoutput_2b0 Amazonのマーケットプレイスで購入したCDにはこんなフライヤーが同封されてました(画像参照)。aya Sueki 主催のミュージカル! ─ 7月に発売のジャズアルバムの選曲をしていた時に出会った “ Shiny Stockings ”、“ Sweet Geogia Brown ” という曲から発想を得てひとつの物語にしました。 ─  いやいや、多才な人ですねー。彼女の詳しいプロフィールも書いてありますので興味がありましたらご覧くださいませ。

んで、フライヤー裏面右下でも紹介されているそのジャズアルバムというのが本作 『 彩 』 。“ あや ” と読みます。バックはギターと一部曲でベース。スキャットするT-1. 「 モーニン 」 やウォーキングベースに乗ってパワフルに唄う T-4. 「 スウィート・ジョージア・ブラウン 」 など確かにジャズフィーリングが感じられるアルバムです。

そんなジャズ・スタンダードばかりの中でそうではない曲がバカラック・カヴァーのT-3. 「 フール・スピーク・フォー・ラヴ 」 。トレインチャのバカラック作品集第二弾(2007年リリース)の為にバカラックが書き下ろしたバラード曲です。タイトルの直訳は “ 一体誰が愛の代弁者になってくれるの? ” 。愛の大切さと ‘ あなた ’ への想いを切々と綴った曲でございます。私の知る限り aya さんはこの曲をカヴァーした二人目のお方(バカラックのセルフ・カヴァーを除いて)。ギターだけをバックに重心低めのザラッとした肌触りの声でしみじみと心を込めて歌っておいでです。すぐそばで歌ってくれてるような感覚になるのは録音のせいでしょうか、それもあってか心に沁みるぅ…。出しゃばらずしっかり支えるギターもグッジョブ。好カヴァーだと思います。

ここからはオマケでMP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
Fab5eb_6e63ebcac64a4cf19d3f006182c6「 フール・スピーク・フォー・ラヴ 」 を最初にカヴァーしたのはオーストラリアの女性シンガー、Louise Anton でした。2008年にリリースした初めてのソロアルバム 『 True Believer 』(画像)でカヴァー。バックはピアノだけで、落ちつているけれど若干ハスキー且つチャーミングな歌唱でこちらも心を込めて歌っておられます。この方は2009年にリリースした 『 True Believer (Live In Sydney) 』(画像なし)でもカヴァーしていて、よりハスキーで表現力も高いライヴ版の方が私的には好みかな。


【データ】
『 彩 』
aya Sueki

CD:2018年7月7日リリース
レーベル:BQ Records
番号:BQR-2073

Produced by 南 たけし
  Vocal - aya Sueki
  Guitar - 油科 孝
  Bass - 伊藤 勇司 (T-2,4,5.)
Recording Studio:Orpheus Recording Studios (2018.5.20)

2018年7月 8日 (日)

ニュー・サウンズ・イン・ブラス '97/東京佼成ウィンドオーケストラ (1997年)

吹奏楽のポップス曲集シリーズ、『 ニュー・サウンズ・イン・ブラス 』 の第25集です。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

9. ALFIE (3:48)


今年(2018年)第46集がリリースされた吹奏楽ポップス曲集シリーズ、『 ニュー・サウンズ・イン・ブラス 』 の第25集です(1997年リリース)。

バカラック作品は、1972年にリリースされた第1集に4曲が収録されただけでその後は取り上げられてこなかったと思ってました。ところが、本作に 「 アルフィー 」 が収録されていることをごく最近知りまして…。速攻、中古CDを購入した次第です。

岩井直溥さん指揮、日本を代表するプロ吹奏楽団である東京佼成ウィンドオーケストラ(TKWO)による演奏。このシリーズはヤマハから楽譜が出版されていて、レコード/CDはその模範演奏的な役割も担っています。私も第1集〜第7集の曲はレコードを何度も聴き、そして色々演奏しました。その頃と同じ岩井さんとTKWOの組み合わせを見ただけで中学〜高校時代にタイムスリップするんですよねぇ。あぁ懐かしや 。

本作の曲目リストを眺めてみましょう。T-3. 「シャル・ウィ・ダンス? 」 やT-4. 「 恋のマカレナ 」 あたりは前年(1996年)のヒットを受けての選曲だし、T-2. 「 古畑任三郎のテーマ 」だったりT-5. 「 SMAPメドレー 」 の各楽曲も当時の人気曲。一転、T-1,6〜10. の洋楽曲はスタンダードといっていい曲たちなのですが、T-9. 「  」 だけは前年のTBS系TVドラマ 『 協奏曲 』 でバカラック作品が全面的にフューチャーされヴァネッサ・ウィリアムスが歌った 「 アルフィー 」 がヒットしたことによるものでしょう。

「 アルフィー 」 の吹奏楽アレンジは真島俊夫さん。フリューゲルホルンがメロディのほとんどをソロで吹き、バックの演奏はしっとりマッタリ系でサビでは音を厚くして盛り上げます。一部でバラード系8ビートを刻むほかはリズムも無し。この曲の王道アレンジとも言え、イージーリスニングのオケがやりそうな演奏です。実際トニー・ハッチ&ヒズ・オーケストラは同じような感じ。これまで吹奏楽版 「 アルフィー 」 は2種類ご紹介していますが、英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊もトロンボーン・ソロで同傾向のアレンジでした。

同じ吹奏楽でも航空自衛隊航空音楽隊の 「 アルフィー 」 はユニークで、なんとマーチ風アレンジ。意外にもこれが結構楽しくてさすがは岩井直溥さんのアレンジだなと。『 ニュー・サウンズ・イン・ブラス 』 シリーズの1曲であれば、何かチャレンジングなアレンジを期待したかったです。まぁ、無い物ねだりかもしれません。バカラック作品を取り上げてくれただけで嬉しいです、ハイ。

ここからはオマケです。MP3でしか所有していないバカラック作品をご紹介。
20180707_1443『 ニュー・サウンズ・イン・ブラス 』 シリーズでは実はもう1曲バカラック作品が取り上げられています。
1990年リリースの第18集 『 ニュー・サウンズ・イン・ブラス '90 』 に 「 カーペンターズ・フォーエバー 」(6:26) というカーペンターズ6曲のメドレー・ナンバーがあるのですが、その4曲目が 「 遥かなる影 」。正味1分。トランペットがソロを吹いています。メドレーの中では箸休め的な存在かと…。
本当にオマケでしたcoldsweats01


【データ】
『 ニュー・サウンズ・イン・ブラス '97 』
東京佼成ウィンドオーケストラ

CD:1997年4月28日リリース
レーベル:東芝EMI
番号:TOCZ-9284

プロデュース:佐藤浩士(東芝EMI)、長尾美樹(ヤマハミュージックメディア)
指揮:岩井直溥(いわい なおひろ)
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ
編曲:岩井直溥(T-1,8,10.)、真島俊夫(T-2,9.)、宮川彬良(T-3.)、明光院正人(T-4.)、佐橋俊彦(T-5.)、星出尚志(T-6.)、上柴はじめ(T-7.)
録音:1997年1月30,31日
  T-9. 「 アルフィー 」 フリューゲルホルン・ソロ:数原 晋

2018年7月 1日 (日)

MOTOWN salutes BACHARACH/V.A. (2002年)

2002年にリリースされたモータウンのバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります。)
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1. THE LOOK OF LOVE  〜 Gladys Knight & The Pips 〜  F
2. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Martha Reeves & The Vandellas 〜  F
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Jimmy Ruffin 〜  M
4. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Smokey Robinson & The Miracles 〜  M
5. MESSAGE TO MICHAEL  〜 The Marvelettes 〜  F
6. ANY DAY NOW  〜 Eddie Kendricks 〜  M
7. ALFIE  〜 Stevie Wonder 〜
8. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 The Four Tops 〜  M
9. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Tom Clay 〜
10. LET THE MUSIC PLAY  〜 Diana Ross & The Supremes 〜  F
11. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Martha Reeves & The Vandellas 〜  F
12. ONE LESS BELL TO ANSWER  〜 Gladys Knight & The Pips 〜  F
13. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 The Supremes & The Temptations 〜  F
14. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Martha Reeves & The Vandellas 〜  F
15. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Stevie Wonder 〜
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Diana Ross 〜  F
17. WALK ON BY  〜 Smokey Robinson & The Miracles 〜  M
18. THIS EMPTY PLACE  〜 Stephanie Mills 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約63分


2002年にリリースされたモータウンのバカラック物コンピ集です(英国編集)。

モータウンの各レーベル( Motown, Talma, Gordy, Soul, Mo-west )の音源から60年代後半〜70年代半ばまでのバカラック作品をコンパイルしたものです。

─  モータウンのボス…ベリー・ゴーディの夢は、自身の黒人レーベルがメインストリームの白人マーケットにクロスオーバーすることであった。彼は在任中、レーベルのアーティストたちに様々なプロジェクトをレコーディングさせていた。実際、多くのスターが決して日の目を見ることがないようなアルバムを録音している。『 The Supremes Sing Disney 』をはじめ、『 The Four Tops On Broadway 』、『 The Supremes Rogers and Hart 』、ダイアナ・ロス&スプリームの『 Funny Girl 』といったアルバムがリリースされたが、残念ながら大きなヒットには至っていない。他のアーティストは、通常のアルバム用にスタンダードや流行のポップソング・カバーを入れるよう奨励されていた。60年代、70年代、80年代のアルバムを眺めてみると多くのビッグネームが自分たちのスタイルでバート・バカラック&ハル・デイヴィッドの曲を取り上げているが、それは決して驚くことではないのだ。 ─  (Paul Nixon、ライナーノーツより私の超意訳で)

本作に収録されている18曲は以下表の通り。
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有名曲・ヒット曲のカヴァーばかりで、マイナー曲はT-10. 「 レット・ザ・ミュージック・プレイ 」 と T-18. 「 ジス・エンプティ・プレイス 」 くらいでしょうか。アーティストもスティーヴィー・ワンダー、ダイアナ・ロス&スプリームス、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、フォー・トップスなどのビッグ・ネームに、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、マーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラスといった実力派がずらり…、なんとも壮観です。ライナーを書いたPaul Nixonさんの仰る通りです。

聴いてみると、元曲コピーに近いアレンジ+ソウル感をそれほど前面に押し出さないヴォーカル…というレシピで仕上げた曲が多い印象。ソウル・フィーリング満載なアトランティックのバカラック物コンピ集(例えば 『 アトランティック・バカラック・コレクション 』)と比べると、同じソウル系レーベルでも性格の違いが見えて面白いです。

とはいえ、レコメンドは結構あります。とにかく渋いグラディス・ナイト&ザ・ピップスのT-1. 「 恋のおもかげ 」 と T-12. 「 悲しみは鐘の音とともに 」。イントロ冒頭とエンディングでストリングスが奏でる演歌調のメロディがなんだか可笑しいエディー・ケンドリックスの T-6. 「 エニィ・デイ・ナウ 」。ヴォーカルは封印してハーモニカでメロディを吹くスティーヴィー・ワンダー(正確にはエイヴェッツ・レッドナウ名義)のT-7. 「 アルフィー 」 とT-15. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」。演奏だけでなく語りや効果音を重ねてこの曲のメッセージ性を昇華させたたトム・クレイのT-9. 「 世界は愛を求めている 」。アレンジが凝ってて転調後は演奏&ヴォーカル共にソウル色が一段と濃くなるマーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラスのT-14. 「 恋するハート 」。途中で金管・ピアノと女性コーラスが盛り上がりを見せ、ダイアナ・ロも結構シャウトやフェイクを繰り出すT-16. 「 遥かなる影 」、バカラック&デイヴィッドによるプロデュースでヴォーカルがパワフルなステファニー・ミルズのT-18. 「 ジス・エンプティ・プレイス 」
リンクは拙ブログの収録元アルバム紹介ページに飛びます。興味あればそちらもご覧ください。

尚、T-3,6,7,9,11,13,16,18. は(私が所有している)他のバカラック物コンピ集には取り上げられていないレアな音源。そういった意味では貴重なコンピ集だと思います。

ここからはオマケとして、MP3しか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
R10116491293942954jpeg本コンピ集に収められているダイアナ・ロスのT-16. 「 遥かなる影 」 は、1971年4月18日のTVショウのサントラ盤 『 Diana! 』 に収録されているライヴ版です。が、ダイアナはそれより前、1970年にリリースしたソロ名義2枚目のスタジオ録音アルバム 『 Everything Is Everything 』(画像)でこの曲をカヴァーしていました。このスタジオ録音版とライヴ版と聴き比べたところ、ライヴ版のバックは女性コーラスも含めてスタジオ録音版のカラオケだったことが判明。TVショウにはよくあることですが、それでも口パクじゃないだけエライ! …ということにしておきましょうcoldsweats01


【データ】
『 MOTOWN salutes BACHARACH 』
V.A.

CD:2002年6月17日リリース
レーベル:Universal Music Operations (UK)
番号:016 862-2

This Compilation:(P)©️ 2002 Universal Music Operations Ltd.
Sleeve designed @Bold, London
The copyright in these sound recordings is owned by Motown Records a Division of UMG Recordings and is licensed to Universal Music Operations Ltd.
Marketed and distributed in the UK by Universal Music Operations Ltd.

2018年6月24日 (日)

PROMESSE... PROMESSE.../SPAAK - DORELLI (1970年)

ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のイタリア・キャストによるアルバムです。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A1. Ouverture  〜 solo orchestra 〜
A2. Sono Una Mezza Tacca  〜 Johnny Dorelli

A3. Lassù  〜 Johnny Dorelli

A4. Qualcuno Per  〜 Catherine Spaak - Johnny Dorelli

A5. Viva Il Basket Ball  〜 Johnny Dorelli

A6. L’Ora Dell'Addio  〜 Catherine Spaak

B1. Tempo Di Tacchino  〜 orchestra e coro 〜
B2. Fare A Meno Di Ciò Che Non Ho  〜 Johnny Dorelli

B3. Natale Dura Un Giorno Solamente  〜 Bice Valori - Johnny Dorelli

B4. Chiunque Tu Sia Ti Ama  〜 Catherine Spaak

B5. Non Mi Innamoro Più  〜 Johnny Dorelli - Catherine Spaak

B6. Promesse... Promesse  〜 Johnny Dorelli

所要時間約36分


バカラック初のミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 は、1968年12月よりブロードウェイで上演されました。以後数年のうちに、ロンドンのウエスト・エンドをはじめイタリア、ドイツ、オーストラリア、日本などで上演されました。イタリアではカテリーヌ・スパークとジョニー・ドレルリ主演により1970年にローマその他で上演。本作はそのイタリア・キャストによるアルバムです。

裏ジャケットにミュージカルのスタッフとキャストが載っていたのですが、キャストは女優/俳優さんの名前だけ。主演の2人を含めて役名の記載が全くありません。文字の大きさと生年から主要キャストのみ想像力を働かせて以下表を埋めました。

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アルバムの表ジャケットで向かい合ってる主演の2人、てっきり左がスパーク/右がドレルリと思ったのですが逆でしたネ^^:。チャック役のジョニー・ドレルリ(左)はイタリアの歌手、俳優。1950年代後半から数多くのアルバムやシングルをリリースする傍ら映画にも多く出演。私は知らなかったのですが、1967年のサンレモ音楽祭で9位入賞した 「 L'immensità 」 は 「 涙に咲く花 」 というタイトルで日本でもシングル・リリースされています。フラン役のカテリーヌ・スパーク(右)はフランスに生まれイタリアで活躍した女優、歌手。全盛期の1960年代には数多くの映画で主演を務めたそうです。そしてこの2人、なんと1972年に結婚しています(1978年に離婚)。

曲名は全てイタリア語(歌詞もイタリア語)。A1. 「 Ouverture 」 を除いて何が何だかさっぱりわからないので、オリジナル・タイトル及び日本語タイトルを並べて表にしました。

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Fullsizeoutput_25eFullsizeoutput_262 収録曲は、ブロードウェイ版(以下、BW版)オリジナル・キャスト・アルバムの17曲よりも5曲少ない12曲。主演の2人が歌う曲中心に絞ったようです。本アルバムのタイトルも、本来なら Italian cast album あたりになるところ Spaak - Dorelli ですからねー。人気の2人を前面に出して売る作戦なのかも。オケのアレンジは基本的にBW版と同じ。違いについては後述します。

主演の2人は声質の相性や歌唱力のバランスも取れていてBW版と比べて遜色ありません。イタリア語による違和感もないですし。むしろ表現力という点では上回る部分もあると感じました。ストーリーの最初、まだそれほど親密になっていない段階でデュエットするA4. 「 誰かいるさ 」 など、BW版だと普通に歌っているだけなのですが、本作では陽気に掛け合いながら歌っていて2人の距離感がとても近い感じがします。親切で情熱的で話好きというイタリア人気質もあるんでしょうかねー。

ちょっと残念なのがマージ役のヴィーチェ・ヴァローリ。ドレルリとのデュエット曲 B3. 「 真実は美しいはずなのに 」 で、高音部分を1オクターブ下げて歌ったためオクターブでデュエットするはずがユニゾン(同じ音程)に…。なぜに高音が出ないヴァローリを人選したのか…、裏事情を勘ぐりたくなります。

オケのアレンジは基本的にBW版と同じですが、いくつか違いがあります。
A1. 「 序曲 」:エンディングの前に 「 IT'S OUR LITTLE SECRET(二人の小さな秘密) 」 が入ってる。A3. 「 二階の僕の部屋 」:1コーラスしかない(BW版は2コーラス)。A6. 「 去りし時を知って 」:一部でベースが4小節ほどノリの良い動きを見せる。B1. 「 ターキー・ラーキー・タイム 」:イントロが12小節長くなり過去のバカラック作品 「 雨にぬれても 」 や 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 に似たメロディが流れる。B3. 「 事実は美しいはずなのに 」:BW版は3分半でフェードアウトするところ、フェードアウトせずに1分半くらい陽気な演奏だけの部分が続く。キーも一部曲で変えていて、A5, A6, B5.では半音〜1音下げ、B3. では1音高くしている。 …… 目立つ違いはこんなところですかね。

BW版ほど録音技術がよくないせいか音質面のクォリティはイマイチ(いやイマニかな)ですが、演奏自体はノリがよくさすがラテン民族!

Fullsizeoutput_256本作LPは、今月 Dicogs でイタリアのお店から€40(+送料€9)で購入したばかり。Very Good(5段階評価の2)の商品だったのですが、届いて聴いて見ると針飛びが数カ所あって合計€49 ≒ 6,600円は正直高いなぁと思いました。とはいえ Very Good Plus(5段階評価の3)の盤は€80~€100の値札がついていましたし、希少性を考えると決して高くはなかった……と今では思っています。

実測184gもある重量盤だったので、音質はともかく手にしたずっしり感はなかなかのもの。こういう感覚はレコードならではですね。

こちら の情報によれば、イタリア語版 『 プロミセス・プロミセス 』 は2002年に再演されてCDもリリースされたとのこと。しかし Discogs を探してもそのCDは見当たらず。もちろん Amazon でも。実在するならなんとか手に入れたいものです。


【データ】

『 PROMESSE... PROMESSE... 』

SPAAK - DORELLI



LP:1970年リリース

レーベル:CGD (Italy)

番号:FGS-5063

クレジットは前述の表を参照ください。

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2018年6月17日 (日)

Burt Bacharach's 60 Greatest hit songs/V.A. (2001年)

オランダの Disky レーベルから2001年にリリースされたCD 3枚組のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります。)
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Disc1 (DC 648002
1. THE STORY OF MY LIFE  〜 Michael Holliday 〜  M
2. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Shirley Bassey 〜  F
3. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  〜 Gene Pitney 〜  M
4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 B. J. Thomas 〜  M
5. ANY DAY NOW  〜 Chuck Jackson 〜  M
6. 24 HOURS FROM TULSA  〜 Gene Pitney 〜  M
7. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Sandie Shaw 〜  F
8. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Jackie DeShannon 〜  F
9. TRAINS AND BOATS AND PLANES  〜 Billy J. Kramer and The Dakotas 〜  M
10. ALFIE  〜 Cilla Black 〜  F
11. THE LOOK OF LOVE  〜 Shirley Bassey 〜  F
12. BE TRUE TO YOURSELF  〜 Bobby Vee 〜  M
13. BABY IT'S YOU  〜 The Shirelles 〜  F
14. EVERYBODY'S OUT OF TOWN  〜 B. J. Thomas 〜  M
15. I WAKE UP CRYING  〜 Chuck Jackson 〜  M
16. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Cilla Black 〜  F
17. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Bobbie Gentry 〜  F
18. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 B. J. Thomas 〜  M
19. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Al Martino 〜  M
20. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Tom Jones 〜  M

Disc2 (BX 648592
1. KEEP ME IN MIND  〜 Alma Cogan 〜  F
2. LONG AGO TOMORROW  〜 B. J. Thomas 〜  M
3. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 Cilla Black 〜  F
4. TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH  〜 Gene Pitney 〜  M
5. KEEP AWAY FROM OTHER GIRLS  〜 Helen Shapiro 〜  F
6. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  〜 Jimmy Radcliffe 〜  M
7. MY LITTLE RED BOOK  〜 Manfred Mann 〜  M
8. BLAME IT ON ME  〜 Peabo Bryson & Roberta Flack 〜  FM
9. PLEASE STAY  〜 The Drifters 〜  M
10. AFTER THE FOX  〜 Peter Sellers and The Hollies 〜  M
11. SANDY  〜 The Swinging Blue Jeans 〜
12. IF I NEVER GET TO LOVE YOU  〜 Timi Yuro 〜  F
13. TOWER OF STRENGTH  〜 Gene McDaniels 〜  M
14. WIVES AND LOVERS  〜 Julie London 〜  F
15. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Tommy Hunt 〜  M
16. MAGIC POTION  〜 The Searchers 〜  M
17. COME AND GET ME  〜 Jackie DeShannon 〜  F
18. THEY DON'T GIVE MEDALS (TO YESTERDAY'S HEROES)  〜 Chuck  Jackson 〜  M
19. YOU BELONG IN SOMEONE ELSE'S ARMS  〜 David Whitfield 〜  M
20. LONG DAY, SHORT NIGHT  〜 The Shirelles 〜  F

Disc3 (BX 648602
1. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 Gene Pitney 〜  M
2. DON'T MAKE ME OVER  〜 Tommy Hunt 〜  M
3. CRAZY TIMES  〜 Gene Vincent 〜  M
4. MAYBE  〜 Peabo Bryson & Roberta Flack 〜  FM
5. THE LOVE OF A BOY  〜 Timi Yuro 〜  F
6. WALK ON BY  〜 Helen Shapiro 〜  F
7. IT'S LOVE THAT REALLY COUNTS (IN THE LONG RUN)  〜 The Shirelles 〜  F
8. REACH OUT FOR ME  〜 Nancy Wilson 〜  F
9. THIS EMPTY PLACE  〜 The Searchers 〜  M
10. (THERE GOES) THE FORGOTTEN MAN  〜 Jimmy Radcliffe 〜  M
11. ANONYMOUS PHONE CALL  〜 Frank Ifield 〜  M
12. ANOTHER TEAR FALLS  〜 Gene McDaniels 〜  M
13. A LIFETIME OF LONELINESS  〜 Jackie DeShannon 〜  F
14. LIVE AGAIN  〜 Irma Thomas 〜  F
15. ME, JAPANESE BOY I LOVE YOU  〜 Bobby Goldsboro 〜  M
16. THE ANSWER TO EVERYTHING  〜 Del Shannon 〜  M
17. THE BREAKING POINT  〜 Chuck Jackson 〜  M
18. WINDOWS AND DOORS  〜 Jackie DeShannon 〜  F
19. WISHIN' AND HOPIN'  〜 The Merseybeats 〜  M
20. MAGIC MOMENTS  〜 Jula de Palma 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間 Disc1 約56分/Disc2 約53分/Disc3 約52分


オランダの Disky レーベルから2001年にリリースされたCD 3枚組のバカラック物コンピ集です。何故か連続していない個別の番号が付いた通常のケース入りCDが3つ収まるパッケージ。ライナーノーツは無いので初心者にはちょっと厳しいかも知れません。
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各CD 1枚に20曲ずつ、3枚で合計60曲入り。ですが、実は1曲だけ 〜 Disc2-11. 「 SANDY 」 はバカラック作品ではありません。…というわけで、実質は59曲入りバカラック物コンピ集ってことになりますね^^;。

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59曲のうち約半数の31曲がオリジナル・バージョン。また、英国人アーティスト(リストの左側にUKと表示)が20曲あって全体の約3分の1を占めています。

そんな本コンピ集の特徴は、オリジナルにせよカヴァーにせよ他のバカラック物コンピ集であまりお目にかからないマイナーな曲/レアなバージョンが多いこと。特に、本コンピ集にしか入ってない超レアなカヴァーが8曲もありまして。Disc1から順にそいつら8曲を紹介していくことにしましょう。

B.J.トーマスのDisc1-18. 「 遥かなる影 」 は、1970年のアルバム 『 Most of All 』 でカヴァーしたバージョンではなく1977年の再録音版。カーペンターズまんまのアレンジはB.J.にはミスマッチかなぁ…^^;。Disc1-19. 「 ディス・ガイ 」 を歌ってるアル・マルティーノはイタリア系の米国人俳優/シンガー。軽いボサノヴァ・アレンジとブリリアントな歌声がうまくブレンドされた好カヴァーです。トム・ジョーンズのDisc1-20. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 は本家本元の1965年版ではなく1977年のリメイク版。ベースやキーボード系の音色は70年代後半らしさを感じる反面、トム・ジョーンズの歌唱はオリジナルの方がパンチがあって評価としては微妙なところかと。

アルマ・コーガンのDisc2-1. 「 キープ・ミー・イン・マインド 」、ティミ・ユーロのDisc2-12. 「 イフ・アイ・ネヴァー・ゲット・トゥ・ラヴ・ユー 」、サーチャーズのDisc2-16. 「 マジック・ポーション 」、デヴィッド・ウィットフィールドのDisc2-19. 「 ユー・ビロング・イン・サムワン・エルスズ・アームズ 」、以上4曲はいずれもマイナー曲の超レアなカヴァー。特に、英国男性テノール歌手がオペラチックに歌う「 ユー・ビロング・イン・サムワン・エルスズ・アームズ 」 はクラシック調ワルツの凡そバカラック作品とは思えない珍曲です。

Disc3は1曲だけ。イタリアはミラノ生まれの女性ジャズ・シンガー、ジュラ・デ・パルマが歌うDisc3-20. 「 マジック・モーメンツ 」 です。バスクラリネットやフルートなどの木管楽器とストリングスによる伴奏はとってもチャーミング。ジュラの歌唱は色っぽいけれどイヤらしさはなく、素敵なカヴァーだと思います。

バカラック・コレクター向けのコンピ集といったところでしょうかね。


【データ】
『 Burt Bacharach's 60 Greatest hit songs 』
V.A.

CD:2001年11月8日リリース
レーベル:Disky Communications Europe (Netherlands)
番号:CB 648582

Tracks licensed from Charly Licensing ApS, EMI, K-Tel Entertainment Ltd., Mole Hole Records, Nestshare Ltd. and Sanctuary Records Group Ltd.
(P) & ©️ 2001 Disky Communications Europe B.V.

2018年6月10日 (日)

ELEPHANT/The White Stripes (2003年)

米ロック・バンド、ザ・ホワイト・ストライプスが2003年にリリースした4作目のアルバム。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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所有CD(日本盤)のジャケットの表/ケースの裏

全14トラック(日本盤は16トラック)中、バカラック作品は1トラック

4. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF (2:46)


米ロック・バンド、ザ・ホワイト・ストライプスが2003年にリリースした4作目のアルバムです。

Fullsizeoutput_20a ─  デトロイト南西地区出身のジャック・ホワイト(vo,g)、メグ・ホワイト(drs)姉弟バンド。97年結成。99年アルバム・デビュー。2000年に2作目リリース。2001年発売の3作目 『 ホワイト・ブラッド・セルズ 』 は、全世界で大ブレイク、(中略)時代の寵児となった。 ─  (日本盤CDの帯:バイオより)

んで、4作目の本アルバムは3作目以上に世界中でヒット。全米6位、全英1位になりました(3作目はそれぞれ61位、55位)。

このバンドのジャンルは、Wikiによるとガレージロック、ブルースロック、オルタナティヴ、インディー・ロック、パンクロックなんだそう。普段ロックを聴かない私には違いがわかんないんですが^^;。アルバムを聴いてみると、いかにもガレージで演奏してそうなハードな曲もありますが意外やポップ・バラード風の曲もあったりして、このジャンルに馴染みの無い私でもなんとか通して聴けました。

ジャック・ホワイトが書いた曲ばかりの中で、唯一のカヴァー曲がバカラック作品のT-4. 「 恋のとまどい 」 。ブルージーでワイルドなギターとドラムス。そして感情を露わにさせるジャックのヴォーカルが心に刺さります。エンディング無しで曲がスパッと終わるのも気持ちがいいです。この曲はエルヴィス・コステロも若い頃にカヴァーしてますし、ロックとかポップとかジャンルなんて関係ないんだなぁと改めて感じました。

それにしても、何故 「 恋のとまどい 」 をカヴァーしたのか? セルフ・ライナーノーツや日本盤解説ではそのことに触れてなかったのでネットで調べました。ある記事にこの曲に対するジャックのコメントが載っていましたので、ざっくり紹介します。 ─  バート・バカラックのソングライティングが大好きなんだ。特にメグがダスティ・スプリングフィールドの「 恋のとまどい 」 を気に入っていて、ライヴで取り上げるようになったんだ。この曲は大好きさ。この曲の本質はブルースなんだと分かったからね、だから俺はブルージーに歌ったのさ。 ─

なんと、彼らもバカラックのファンだったとは! まぁ、そうじゃなきゃわざわざロックバンドがカヴァーしないですよね…。YouTubeにはこの曲のライヴ・バージョンがいくつかアップされています。Reading Festival 2004 の時に顕著ですが、" I Just Don't Know What To Do With Myself " と歌う場面ではライヴ会場全体で歌い、サビの部分では観客がジャンプしてます。なんかいいなぁ。

この曲はアルバムからの2枚目シングルとしてリリースされ、全英13位を記録しました(何故か米国では未リリース)。あのソフィア・コッポラが監督しファッションモデルのケイト・モスがランジェリー姿でポールダンスを踊ったモノクロのMVは、ローリングストーンズ誌による " The 30 Sexiest Music Videos of All Time " で見事16位に輝いています、パチパチ。


【データ】
『 ELEPHANT 』
The White Stripes

CD:2003年4月1日リリース (所有CDは、3月19日先行リリースの日本盤)
レーベル:V2 (US)  (所有CDは、V2 Records Japan)
番号:63881-27148-2  (所有CDは、V2CP 150)

Produced by Jack White
Written by Jack White (except T-4.)
Written by B. Bacharach & H. David (T-4.)
Meg White - drums, vocals
Jack White - vocals, guitar, piano
Recorded to eight track reel to reel at Toe-Rag Studios, Hackney, London in April, 2002 (except T-4.)
Recorded at the BBC Maida Vale studio (T-4.)

2018年6月 3日 (日)

BURT BACHARACH - LOUNGE LEGENDS/V.A. (2001年)

ドイツ・ユニバーサルから2001年にリリースされた🇩🇪編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WIVES AND LOVERS '79  〜 Jack Jones 〜  M
2. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Woody Herman 〜
3. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  〜 Brenda Lee 〜  F
4. DON'T GO BREAKING MY HEART  〜 Bossa Rio 〜  FM
5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 Ramsey Lewis 〜
6. IN THE LAND OF MAKE BELIEVE  〜 Dusty Springfield 〜  F
7. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 Connie Francis 〜  F
8. REACH OUT FOR ME  〜 Walter Wanderley 〜
9. TRAINS AND BOATS AND PLANES  〜 Astrud Gilberto 〜  F
10. ANY OLD TIME OF THE DAY  〜 Stan Getz 〜
11. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Tom Clay 〜  M
12. FREEFALL  〜 Burt Bacharach 〜
13. I'M A BETTER MAN (FOR HAVING LOVED YOU)  〜 Engelbert Humperdinck 〜  M
14. NIKKI  〜 Vincent Bell 〜
15. WHERE THERE'S A HEARTACHE  〜 The Sandpipers 〜  M
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 James Last 〜  FM
17. THE LOOK OF LOVE  〜 T. W. Ardy 〜
18. ALFIE  〜 Dee Dee Warwick 〜  F
19. THE WINDOWS OF THE WORLD  〜 Scott Walker 〜  M
20. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Sergio Mendes & Brasil '66 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約64分


ドイツ・ユニバーサルから2001年にリリースされた🇩🇪編集のバカラック物コンピ集です。

ドイツ・ユニバーサルは2001年から翌2002年にかけて “ ラウンジ・レジェンド ” と名付けたコンピ・シリーズを展開。本アルバムはそのシリーズのバート・バカラック編です。ラウンジ物の音源をコンパイルするというコンセプトみたいで、このシリーズでは他に、ジョン・バリー、リー・ヘイズルウッド、ダスティ・スプリングフィールド、フランス・ギャル、サミー・デイヴィスJr、ジェームス・ラスト、ロベルト・デルガド等のコンピ集がリリースされています。

─   そもそも「ラウンジ」とは、ホテルなどにある休憩室や社交場を意味し、そんな場所にふさわしい音楽のことも指すようになった言葉だ。ジャンルでいえば、ラテンやジャズのあまりハードでないもの、ムード・ミュージックなどがその範疇に入る。当然、ヴォーカルものよりインストゥルメンタルが中心で、'60年代にはアナログ盤LPレコードの登場により、それこそ腐るほどのラウンジ・ミュージックが発売された。(略) また、当時はラウンジ系と認識されていなかった映画音楽やムーグ・シンセザー・ミュージックなども、現代のクラブDJたちによりラウンジものと認識され、彼らが独自の解釈でコンピレーションのアルバムを発売するなどして、音楽的解釈も広がりつつある。 ─  (別冊宝島342「 このCDを聴け!」より、宝島社、'97年11月発行)

まぁ「 ラウンジ 」≒「 イージーリスニング 」 だとは思いますが、ダスティ・スプリングフィールドやサミー・デイヴィスJr も入ってるこのシリーズはもう少し間口が広い感じでしょうかね。ジェームズ・ラストやロベルト・デルガドといったドイツ・イージーリスニング界の大御所が入ってるのは🇩🇪編集の矜持かと。

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本アルバム収録の20曲は、ユニバーサル系の豊富なカタログから選りすぐったレアな音源ばかり。オリジナルはサンド・パイパーズのT-15. 「 ホエア・ぜアズ・ア・ハートエイク 」 1曲のみで、残る19曲は全てカヴァーです。リストを見ればヒットしたバージョンが無いことが一目瞭然ですね。

Fullsizeoutput_1fc_4 アルバムのライナーには収録元アルバムのジャケ写が載ってました。せっかくなのでスキャンして置いておきます。

まずは超レア物から。他のコンピ集ではお目にかかれない超レア物が4曲収められています。アルバム冒頭、ジャック・ジョーンズのT-1. 「 素晴らしき恋人たち '79 」 は自身がオリジナルで'63年にヒットした 「 素晴らしき恋人たち 」 のリメイク版。いきなりのディスコ・サウンドには思わず仰け反りましたが(流石にこれはラウンジじゃないでしょ……という意味で)、布施明ばりのハリのある歌唱は見事なものです。

T-11. 「 ディス・ガイ 」 はロサンゼルスのDJ 〜 トム・クレイによるカヴァー。トム・クレイのバカラック・カヴァーといえば「 世界は愛を求めている 」 が有名ですが、それと同じアルバムに収められたもの。ナレーションと歌が半分ずつという変わったカヴァーです。ジェームズ・ラストのT-16. 「 遥かなる影 」 はストリングス中心のオケをバックに男女コーラスが歌うイージーリスニング物ですが、2コーラスめのAメロだけはフルート2本がメロディを吹いてこれがいいアクセントになっています。T-17. 「 恋のおもかげ 」 はドイツのピアニスト/ハモンド奏者 〜 T.W. アーディによるもの。内容は可もなく不可もなく……です。

アルバム全体としては、全20曲のうち13曲がヴォーカル物である点と、ノリノリ系/ふわふわまったり系/ラテン系/普通のイージーリスニング系が混在している点から、それほどラウンジ感を感じません。私のレコメンドは、ラテンのリズムでノリノリなラムゼイ・ルイスのT-5. 「 サン・ホセへの道 」 、ボサノヴァでふわふわ感があるコニー・フランシスのT-7. 「 涙でさようなら 」 、アストラッド・ジルベルトの気怠いヴォーカルが涼しいT-9. 「 汽車と船と飛行機と 」 、オケのアレンジがドラマチックなディー・ディー・ワーウィックのT-18. 「 アルフィー 」 あたり。ちなみに、ディー・ディーはディオンヌの妹さんです。

ラウンジ・ミュージックとしてよりもバカラック物のレアなコンピ集として楽しむアルバムだと思います。


【データ】
『 BURT BACHARACH - LOUNGE LEGENDS 』
V.A.

CD:2001年10月1日リリース
レーベル:Universal Marketing Group GmbH (Germany)
番号:585 021-2

This compilation (P) 2001 Universal Marketing Group GmbH
©️ 2001 Universal Marketing Group GmbH - a division of Universal Music GmbH

2018年5月27日 (日)

The Sound Of Bacharach/V.A. (2001年)

英国 Westside から2001年にリリースされた英国編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  ~ Tommy Hunt ~  M
2. ANY DAY NOW  ~ Chuck Jackson ~  M
3. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  〜 Jimmy Radcliffe 〜  M
4. I WAKE UP CRYING  〜 Chuck Jackson 〜  M
5. IF I NEVER GET TO LOVE YOU  〜 Gene Pitney 〜  M
6. TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH  〜 Gene Pitney 〜  M
7. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 B. J. Thomas 〜  M
8. EVERYBODY'S OUT OF TOWN  〜 B. J. Thomas 〜  M
9. IT'S LOVE THAT REALLY COUNTS (IN THE LONG RUN)  〜 The Shirelles 〜  F
10. I CRY ALONE  〜 Maxine Brown 〜  F
11. BABY IT'S YOU  〜 The Shirelles 〜  F
12. DON'T MAKE ME OVER  〜 Tommy Hunt 〜  M
13. THEY DON'T GIVE MEDALS (TO YESTERDAY'S HEROES)  〜 Chuck Jackson 〜  M
14. THIS EMPTY PLACE  〜 The Tangeers 〜  M
15. FOOL KILLER  〜 Gene Pitney 〜  M
16. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  〜 Gene Pitney 〜  M
17. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 B. J. Thomas 〜  M
18. SEND MY PICTURE TO SCRANTON, PA  〜 B. J. Thomas 〜  M
19. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 Gene Pitney 〜  M
20. 24 HOURS FROM TULSA  〜 Gene Pitney 〜  M
21. (THERE GOES) THE FORGOTTEN MAN  〜 Jimmy Radcliffe 〜  M
22. ARE YOU LONELY ( = MAKE IT EASY ON YOURSELF )  〜 The Isley Brothers 〜  M
23. THE BREAKING POINT  〜 Chuck Jackson 〜  M
24. LONG DAY, SHORT NIGHT  〜 The Shirelles 〜  F
25. LOVER ( = ANY DAY NOW )  〜 Tommy Hunt 〜  M
26. SINNER'S DEVOTION  〜 Tammi Terrell 〜  F
27. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Big Maybelle 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約75分


英国 Westside から2001年にリリースされた英国編集のバカラック物コンピ集です。

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Scepter、Scepter 傘下の Wand、それと Musicor という3つのレーベルを対象に'61〜'70年の音源からコンパイルした結構マニアックなアルバムです。

全27曲の内訳を見てみましょう。Scepter は、B.J.トーマス4曲、シレルズ3曲、トミー・ハント3曲など計12曲。ディオンヌ・ワーウィックは敢えて取り上げなかったようですね。Wand は、チャック・ジャクソン4曲など計7曲。Musicor は、ジーン・ピットニー6曲、ジミー・ラドクリフ2曲の計8曲。これらの中で、シレルズ、トミー・ハント、チャック・ジャクソン、ジミー・ラドクリフについては、各アーティストの全バカラック作品を集めたことになっています。

マニアックと書いた理由は2つあります。その1は、録音当時はリリースされなかったものの20年以上経って世に出たカヴァー曲を多く収めていること。曲目リストのなかで ※2〜※6 の注釈をつけた5曲がそれです。詳細は、曲目リストをクリック → 拡大してご覧になってください。これらの中でレコメンドは、バックの演奏は聴き慣れている 「 エニィ・デイ・ナウ 」 なんだけどかなりフェイクしたメロディに聴き慣れない歌詞で歌うトミー・ハントのT-25. 「 ラヴァー 」 でしょうか。

その2は、他のバカラック物コンピ集ではあまり見かけないレア曲が多いこと。B.J.トーマスのT-18. 「 センド・マイ・ピクチャー・トゥ・スクラントン 」、ジミー・ラドクリフのT-3. 「 ロング・アフター・トゥナイト 」、タミー・タレルのT-26. 「 シナーズ・デヴォーション 」 の各曲は皆オリジナルなのですが、これまで拙ブログで紹介したコンピ集には登場していませんでした。また、タンガーズのT-14. 「 ジス・エンプティ・プレイス 」 は本コンピ集でしか私は聴いたことがありません。レコメンドは、いかにもバカラックなへなちょこメロディのT-18. 「 センド・マイ・ピクチャー・トゥ・スクラントン 」 かなぁ。

R16601051252865927jpegR16601051252865942jpeg_2 なお、本コンピ集のCDケース裏の説明によれば、本コンピ集は1965年に英国の Pye Records からリリースされた 『 The Sound Of Bacharach 』(左)をデジタル世代向けに再構築したものなんだそう。ふぎょぎょ(©️半分、青い)、本コンピ集のタイトル&ジャケットは1965年のそれをパクってたんだっ! 収録曲全11曲のうち本コンピ集にも入ってるのは5曲のみ。残る6曲はディオンヌかぁ……。う〜ん、わざわざパクらなくても良かったような気がするのは私だけ?

(ご参考)ジーン・ピットニーの6曲については過去記事(→こちら)で詳しく紹介しています。


【データ】
『 The Sound Of Bacharach 』
V.A.

CD:2001年6月8日リリース
レーベル:Westside (UK)
番号:WESA 894

This compilation (P)2001 the Demon Music Group Ltd.
This compilation ©️2001 the Demon Music Group Ltd.
Marketed by Demon-Westside.
Revised and expanded from the original 1965 compilation by Mick Patrick and Malcom Baumgart.
Demon Westside (a division of the Demon Music Group Ltd.), London, England.

2018年5月20日 (日)

The Look of Love the Burt Bacharach collection/V.A. (2001年)

ワーナー系再発レーベルからリリースされたCD2枚組のバカラック物コンピ集です。全50曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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front of case/back of case

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所有CD(日本盤)のケース表/裏

disc1
1. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Carpenters 〜  F
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜  Dionne Warwick 〜  F
3. MAGIC MOMENTS  〜 Perry Como 〜 M
4. THE STORY OF MY LIFE  〜 Marty Robbins 〜  M
5. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 B. J. Thomas 〜  M
6. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Aretha Franklin 〜  F
7. BABY IT'S YOU  〜 The Shirelles 〜  F
8. PLEASE STAY  〜 The Drifters 〜  M
9. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Tom Jones 〜  M
10. TOWER OF STRENGTH  〜 Gene McDaniels 〜  M
11. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 Gene Pitney 〜  M
12. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Tommy Hunt 〜  M
13. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Dionne Warwick 〜  F
14. NIKKI  〜 Burt Bacharach 〜
15. MEXICAN DIVORCE  〜 The Drifters 〜  M
16. (THERE GOES) THE FORGOTTEN MAN  〜 Jimmy Radcliffe 〜  M
17. BLUE ON BLUE  〜 Bobby Vinton 〜  M
18. THIS EMPTY PLACE  〜 The Searchers 〜  M
19. LET THE MUSIC PLAY  〜 The Drifters 〜  M
20. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Dionne Warwick 〜  F
21. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Brook Benton 〜  M
22. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  〜 The Stylistics 〜  M
23. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  〜 Gene Pitney 〜  M
24. ANY DAY NOW  〜 Chuck Jackson 〜  M
25. CASINO ROYALE  〜 Herb Alpert & The Tijuana Brass 〜

disc2
1. THE LOOK OF LOVE ~ Dusty Springfield ~  F
2. WALK ON BY ~ Dionne Warwick ~  F
3. DON'T GO BREAKING MY HEART  ~ Burt Bacharach ~  F
4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Sandie Shaw ~  F
5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE ~ Jackie DeShannon ~  F
6. REACH OUT FOR ME ~ Nancy Wilson ~  F
7. WIVES AND LOVERS ~ Jack Jones ~  M
8. 24 HOURS FROM TULSA ~ Gene Pitney ~  M
9. MAKE IT EASY ON YOURSELF ~ Jackie Trent ~  F
10. DON'T MAKE ME OVER ~ Dionne Warwick ~  F
11. TRAINS AND BOATS AND PLANES ~ Anita Harris ~  F
12. BE TRUE TO YOURSELF  ~ Bobby Vee ~  M
13. MADE IN PARIS ~ Trini Lopez ~  M
14. ALFIE ~ Cilla Black ~  F
15. WISHIN' AND HOPIN' ~ Dusty Springfield ~  F
16. THIS G'S IN LOVE WITH YOU ~ Petula Clark ~  F
17. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER ~ The 5th Dimension ~  FM
18. ODDS AND ENDS ~ Dionne Warwick ~  F
19. I WAKE UP CRYING ~ Chuck Jackson ~  M
20. TO WAIT FOR LOVE ~ Tony Orlando ~  M
21. IT'S LOVE THAT REALLY COUNTS (IN THE LONG RUN) ~ The Shirelles ~  F
22. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO) ~ Christopher Cross ~  M
23. THE WINDOWS OF THE WORLD ~ The Pretenders ~  F
24. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR ~ Dionne & Friends ~  FM
25. GOD GIVE ME STRENGTH  ~ Burt Bacharach & Elvis Costello ~  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間 disc1 約71分/disc2 約78分


ワーナー系再発レーベル Warner Strategic Marketing から2001年5月にリリースされたCD2枚組50曲入りのバカラック物コンピ集です。

私が所有しているのは日本盤。タイトルを 『 バート・バカラック・プレゼンツ スウィート・メロディーズ 』 に変え、おしゃれなカフェミュージック風パッケージに身を包んで同年8月にワーナーミュージック・ジャパンから発売されたものです。

元のEU盤のジャケットは1998年リリースのライノ3枚組バカラック物コンピ集と瓜二つ(CDケースのサイズがあちらは縦長という違いはあれど)で、タイトルも全く同じ 『 The Look of Love the Burt Bacharach collection 』 。ライノ・レコードはこの頃ワーナーの完全子会社になってましたからねー。でも、日本でこのまま売ったとしてもライノ3枚組を持ってるバカラックマニアは買わないだろうし一般の音楽ファンは手に取ってくれないだろう……と判断したのでしょう。

この作戦は見事当たったようで、日本盤は1年で8万枚ものセールスを記録したそうです。パッケージの工夫以外にも、発売当時ワーナーミュージック・ジャパンはかなり力を入れてプロモーションしていましたからね〜。
 ☆ アルバムのマッチング・ピアノ楽譜を出版
 ☆ 著名人4名のコメントをアルバムの公式サイトに掲載
 ☆ アルバムと連動したバカラックのインタービュー記事を雑誌に掲載
これらのうち、カジ ヒデキさんと渡辺 満里奈さんのコメントを転載します。印刷して残しておいたのですが、どちらもステキなので。

─  僕がバカラックを意識的に愛聴するようになったのは二十歳の頃。あの頃好きだったペイル・ファウンテンズやモノクローム・セットといったバンドがバカラックの影響を口にしていたから。でも、本当はもっと小さい頃から耳にしたり、口にしたりしたんだよね。カーペンターズの曲などによって。自然に擦り込まれている彼の珠玉のメロディー。きっと今の10代の人にも同じ事が言えるはず。そして90年代半ばからのより明確なバカラック・リスペクト! オアシスのジャケット。映画『オースティン・パワーズ』の神様的出演。大衆とマニア、双方を同時に虜にしてしまうスウィートなメロディーのマジック! バカラックは本当に偉大な作曲家です。 ─  (カジ ヒデキ)

─  ぐぐぐっと音楽に心惹かれた20歳頃、それはロジャー・ニコルズ&スモールサークル・オブ・フレンズなる人たちのアルバムがきっかけでした。軽快な演奏に、スイートなハーモニー。そして琴線触れまくりメロディー。音楽はこんなにも私をドキドキ、ワクワクさせてくれるものなんだ、と脳みそをくすぐられるような、目の前がぱぁっと明るくなるようなそんな気がしました。それから、彼らのアルバムを出しているレーベルのCDを探しては聴きまくりました。ドライブに、晴れた午後に、恋人と過ごす時間に…。そして、琴線に触れる曲は一人の偉大な作曲家による作品だったことを知りました。それがバカラックだったのです。今でも私の鼻歌定番は 「 CLOSE YO YOU 」 や 「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 」 だったりします。 ─  (渡辺 満里奈)

収録曲を眺めてみると、ライノ3枚組バカラック物コンピ集と同じようにレーベルの縛りなく “ オリジナル・バージョン ” “ ヒットしたバージョン ” を多く集めたものと言えます。ですが、ライノ3枚組の75曲から単純に25曲をカットして50曲にした訳ではありません。50曲を大まかに分類すると以下のようになります。
41曲:ライノ3枚組の収録曲(無印)
  7曲:ライノ3枚組に収録されていたが、アーティストが異なる曲( c
  2曲:ライノ3枚組には収録されてなかった曲( N
詳しくはリストを参照ください。( )はリスト左側に示したマークです。

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ほぼリリース順に並んでいたマニアックなライノ3枚組と違い、年代はシャッフルされています。一般リスナーにとってはこちらの方が聴きやすいでしょうね。また、ライノ3枚組の83%ほどではありませんが、オリジナル比率はかなり高いと言える70%(50曲中35曲)。日本盤ライナーの注釈(坂口修氏作成)によればこのコンピ集は英国編集とのこと。以降、ライノ3枚組に入ってなかった9曲についてチェックしてみます。

まずは c マークの曲を確認してみましょう。Disc1-6.「 小さな願い 」 はオリジナルのディオンヌではなくアレサ。UKチャート圏外のディオンヌに対してアレサは全英4位でしたからね。また、Disc2-4. 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」 も全英1位のサンディ・ショウということで妥当なところ。その他、ジャッキー・トレント、アニタ・ハリス、ぺトゥラ・クラーク、プリテンダーズといった英国のアーティスト達をチョイスしていていかにも英国編集らしいです。特に、プリテンダーズのDisc2-23. 「 世界の窓と窓(世界の窓に光を) 」 は他のバカラック物コンピ集では見かけないレアなカヴァーです。ちなみに、プリテンダーズの女性ヴォーカル、クリッシー・ハインドは1998年のバカラック・トリビュート・コンサート『 ONE AMAZING NIGHT 』で 「 ベイビー・イッツ・ユー 」 と 「 マイケルへのメッセージ 」 を披露しています。あともう1曲、ナンシー・ウィルソンのDisc2-6. 「 リーチ・アウト 」 だけは何故チョイスされたのかよくわかりません。米国のジャズ・シンガーでシングル・リリースもないのに……。チャーミングな好カヴァーですけれど。

N マークの2曲はどうでしょう。Disc1-18. 「 ジス・エンプティ・プレイス 」 はそれほど有名な曲ではありませんが、ブリティッシュ・インヴェイジョンの代表例としてオリジナルのディオンヌ版ではなく英国のサーチャーズ版を取り上げたかったものと推察。一方、全く理解できないのは米男性歌手ボビー・ヴィーのDisc2-12. 「 ビー・トゥルー・トゥ・ユアセルフ 」。しつこい転調に加えてちょっと癖のあるメロディのこの曲は小池龍平しかカヴァーしてない超レア曲。しかも英国ではシングル・リリースされてないんですょ。訳がわかりません。「 プロミセス・プロミセス 」、「 悲しみは鐘の音とともに 」、「 オン・マイ・オウン 」 あたりを削ってまでこの曲を入れる価値あったんか? と突っ込み入れたくなります。

ライノ3枚組みたいにマニアックなヤツはいらないけれど、定番曲以外にそこそこマイナーな曲も入ったオリジナル主体のバカラック物コンピ集が欲しいのであれば、本コンピ集(勿論、英文ライナーノーツの翻訳が付いた日本盤)はオススメです。そーゆー方は少ないでしょうけどねーcoldsweats01


【データ】
『 The Look of Love the Burt Bacharach collection 』
(邦題:バート・バカラック・プレゼンツ スウィート・メロディーズ)
V.A.

CD:2001年5月7日リリース (所有CDは、2001年8月22日リリースの日本盤、ライナー:山本淑子)
レーベル:Warner Strategic Marketing (EU) (所有CDは、ワーナーミュージック・ジャパン)
番号:5948-39624〜5 (所有CDは、WPCR-10978〜9)

Project co-ordination:Matthias Baus, James Harris, Ben Holloway, Dan Chalmers and Gary Hartnell
Liner notes:Alec Cumming
This Compilation (P)&(C)2001 Warner Strategic Marketing, Warner Music International for World outside US.

2018年5月13日 (日)

Burt Bacharach/Hal David på norsk/Ingvil (2018年)

ノルウェーの女性シンガー、Ingvil がバカラック爺2018年誕生日の前日にリリースしたバカラック・カヴァー集です! (CD無し/デジタル配信のみ)

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Album artwork/Last page of Digital Booklet

1. Gå forbi (WALK ON BY)
2. Om du hadde hatt en drøm (ANYONE WHO HAD A HEART)
3. Et hus er ei et hjem (A HOUSE IS NOT A HOME)
4. Jeg ber en liten bønn (I SAY A LITTLE PRAYER)
5. Alfie (ALFIE)
6. Et blikk (THE LOOK OF LOVE)
7. Vet du veien frem til San Jose (DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE)
8. Nær deg ((THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU)
9. Gi meg en sjanse (DON'T MAKE ME OVER)
10. Hva vi trenger nå er kjærlighet (WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE)

収録時間約41分


バカラック爺90歳の誕生日に合わせてバカラック集をリリースした方がいらっしゃいます。

Fullsizeoutput_1d0知ったきっかけはTwitter。昨日(5月12日)バカラック爺の誕生日に皆さんどんなツィートしてるのかなぁ……と軽い気持ちでチェックしていたところ、偶然このツィートを発見したのです。

─  バカラック90歳の誕生日をお祝いして、トリビュートしました。私の心の中にある彼の永遠の曲、10曲よ! 5年間にわたるこのプロジェクトを彼の90歳の誕生日に締めくくることができて嬉しいわ! ─  書いてあるのはどうやらこんな事らしい……

さっそく調べてみました。このお方は、Ingvil というノルウェーの女性シンガーソングライター。イングヴィル と発音するのかな? よくわからないので以後 “ 彼女 ” と表記します。彼女の公式サイトによれば……

・キャリアはスペインでスタート、その後ノルウェーに移り活動(生年は不詳)
・様々なミュージカル、バンド、デュオ、オーケストラに参加
・2003年にはノルウェーでチャート1位を獲得

4歳の時に聴き始めて以来、バカラックの曲は彼女の一部だったとか。病気の時もカセット・プレーヤーでバカラックの曲を聴いて幸せを感じたり、歌手になってからも各種公演でバカラックの曲を歌ってきたそうです。彼女は2016年にデンマークのコペンハーゲンでバカラックの公演を聴き楽屋でバカラックと対面しているのですが、その時のことをまるで魔法のようだったと回想しています。(公式サイトに一緒に写ってる写真あり)

アルバム・タイトル 『 Burt Bacharach/Hal David på norsk 』 は、英語で Burt Bacharach/Hal David in Norway という意味。タイトル通り彼女はノルウェー語で歌っています。訳も全て彼女自身によるものなんですって。

収録曲はバカラック&デイヴィッドの有名曲ばかり10曲。コンテンポラリー&ポップなアレンジがクールです。特に、何の曲か聴いただけじゃわからないようなイントロが多くてそういう凝ったアレンジは好感が持てます。バックの演奏は、ドラムス、ベース、キーボード/ピアノが基本。曲によってギター、ヴァイオリン、フルート、サックス、金管等が加わり、T-5. 「 アルフィー 」 とT-8. 「 遥かなる影 」 ではストリングス+オーボエが参加しています。彼女の歌声は表現力があり落ち着いた大人なもの。ただ、声質が若干ざらついていて高音域が苦しいように感じられるのが惜しいところですねー。

T-1. 「 ウォーク・オン・バイ 」、T-6. 「 恋のおもかげ 」 あたりはグルーヴ感が心地良いです。スローな曲ではT-3. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 やT-5. 「 アルフィー 」、T-8. 「 遥かなる影 」 が味わい深くていい感じ。T-7. 「 サン・ホセへの道 」 のサルサっぽいアレンジはディオンヌ・ワーウィックのリメイク版のパクリでしょう。

尚、「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 だけは2016年11月に単品でデジタル配信されています。公式MVもYouTubeにアップされていますのでリンクを貼っておきます。 →  こちら

昨日 『 祝 バカラック爺90歳! 』 と題して自演の 「 アルフィー 」 を紹介しましたが、Ingvil とは月とスッポンでしたねー。全くお恥ずかしい限りですぅ〜coldsweats01


【データ】
Burt Bacharach/Hal David på norsk
Ingvil

MP3:2018年5月11日リリース
レーベル:IBBI-Records
番号:なし

Produced by Ronny Wikmark
Arranged by Ronny Wikmark (except T-5.),  Rod Mounsey (T-5.)
Norwegian translation/adaption by Ingvil
  Vocal - Ingvil Halle Berkve
  Drums/Percussion - Gary Novak (T-1,3,6.), Magnus Forsberg (T-2,7,10.), Steinar Krogstad (T-4,9.), Ernst Wiggo Sandbakk (T-5,8.)
  Bass - Jimmy Haslip (T-1,3,6.), Kjetil Sandnes (T-2,7.), Morten Skaget (T-4,9.), Mark Vanderpoel (T-5,8.), Andreas Dahle Aagard (T-10.)
  Piano/Keyboard - Jeff Lorber (T-1,3,6.), Ronny Wikmark (T-2,4,5,9.), Morten Huuse (T-7.), Rod Mounsey (T-8.), Lars Andreas Aspesæter (T-10.)
  Saxophone - Kåre Kolve (T-1.), Håkon W. Skog Erlandsen (T-6.)
  Guitar - Skjalg Mikalsen Raaen (T-1,3,4.), Stig Nergård (T-4.), Kristian Raanes (T-9.)
  Trumpet, Trombone - Jens Petter Antonsen (T-1,7.)
  Violin and Viola - Øyvind Smith (T-3.), Liv Trondsetås (T-3.)
  Strings - (T-5,8.)
  Oboe/eh - Keisuke Ikuma (T-5,8.)
  Orgel - Vegard Bjerkan Lian (T-10.)

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し。iTunes で試聴/ダウンロード可。

2018年5月12日 (土)

祝 バカラック爺90歳!

今日、5月12日はバート・バカラック爺の誕生日birthday

なんと、90歳ですよ!

バカラック爺は今年も精力的に活動しておられるようで、自身のコンサートをはじめ、エルヴィス・コステロとのライヴ、チャリティ・コンサートへの参加、リチャード・マークスとの曲作り等々、欧米のネット・ニュースにもちょくちょく登場。いやホント、お元気そうで何より!

節目となる記念の日、今回はどどーんpaperと特別企画やっちゃいます。

『 いつもあなたとバカラッ
ク 』 プレゼンツ!
バカラック爺に敬意を込めて、あるでおの演奏で 「 アルフィー 」 をどうぞ!


「 アルフィー 」 はエレクトーン用の楽譜を4種類持っています。コレはその中で最も易しいアレンジのヤツ(グレード7級レベル)。ヘタクソですがご勘弁をcoldsweats01……。レジストは自分で作成。リズムや各種自動伴奏機能は使っていません。ヘタなりに気持ちを込めて演奏したつもりです。来年の5月12日にはもう少しマシな演奏を披露出来るよう精進しまーす。

だからなんとかもう一度、来日してお姿を見せて下さいまし〜〜〜。

2018年5月 6日 (日)

What The World Needs Now/Arthur Fiedler and the Boston Pops (1972年)

アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス・オーケストラによるバカラック集です!

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A1. BOND STREET
A2. THE LOOK OF LOVE
A3. PROMISES, PROMISES
A4. ALFIE
A5. WIVES AND LOVERS
B1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
B2. THIS GUY'S IN LOVE WITH AGAIN
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B5. MAKE IT EASY ON YOURSELF
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約41分


アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス・オーケストラ(BPO)によるバカラック集です。

BPOは1885年に設立された米国ボストンを拠点とするポップ・オーケストラ。基本的にはクラシックの名門オケであるボストン交響楽団(BSO)のメンバーで構成され、BSOのオフシーズンに編成を変えて人気曲やスタンダード曲等を演奏して音楽普及を図っているんだそう。特に、アーサー・フィードラー(1894年生〜1979年没)が常任指揮者だった1930〜'79年の精力的な活動は広く知られるところ。'80〜'93年はあのジョン・ウィリアムズが、'95年以降はキース・ロックハートが常任指揮者を務めています。

本作は1972年のリリース。アーサー・フィードラー78歳の時です。収録されている全11曲はごく普通のバカラック・カヴァー定番曲ばかりですが、アレンジと演奏は他にはない本作特有の魅力があります。

Fullsizeoutput_198Fullsizeoutput_1a1その “ アレンジと演奏の魅力 ” について、ジャケ裏のライナーノーツが独特の言い回しで言及しています。少々長いですが、全文を紹介しますね。(かなり意訳しています、悪しからずcoldsweats01

─  バート・バカラックは独特の魅惑的で独創的で意外性のあるメロディーを書くだけでなく、ちょっと風変わりだがカッコいいアレンジまでこなす。だから、他の誰かがバカラックの曲を解釈しようとするとき、既にあるバカラック作品を基準としてそれに恥じないものにしなくてはならない。問われるのは、新しいバージョンはオリジナルを超えてるか? 或いは最低でも同レベルか? ということだ。
この光り輝くアルバムの場合、その答えは明らかに「イエス」である。その理由は3つ。第1は、マエストロ・フィードラーだ。彼は、お金を持った子供がお菓子屋で解き放たれた時のように嬉々として指揮棒を振っている。BPOの各セクションに向かう姿は、まるで、タフィー、チョコレート、ヌガーのカラフルな瓶を指差してるかのようだ。音楽は生き生きとしており、場面に応じて刺激的になったり穏やかになったり表現も豊かである。
このアルバムの成功の第2と第3の理由は、編曲者のリチャード・ヘイマンとエリック・ナイトにある。順番的にどちらがどうとは言えないが…。想像力に富むふたりの男性は、おなじみのバカラックの曲に新しい陰影と新しい視点を見出している。元々ジャジーな 「 WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち) 」 にナイトはシュトラウスのワルツのような雰囲気をもたらし、本来は軟弱な 「 MAKE IT EASY ON YOURSELF(涙でさようなら) 」 にヘイマンはまるでリチャード・ロジャースのような豊かな響きを吹き込んでいる。具体的にはそういうことだ。収録された曲のそれぞれには、まるでクラッカー・ジャックの新しい箱を開けた時のような驚きがある。(注)
そして、バート・バカラックと作詞家のハル・デイヴィッドにはあらためてブラボーと言いたい。デイヴィッドの言葉は熱狂するようなものではないが、音楽のそれぞれのフレーズにおいて圧倒的に心に届くのである。あなたがもし
バカラックとデイヴィッドをお好きなら、もしアーサー・フィードラーを好きなら、もし壮麗でお茶目で羽毛のような音楽を好むのなら、本作は大切なアルバムになるだろう。 デヴィッド・フィンクル ─

(注)クラッカー・ジャック:米国のお菓子。蜂蜜でコーティングしたポップコーンにピーナッツを混ぜたもの。オマケの玩具が入っていて、文中にある “ 新しい箱を開けた時のような驚き ” とはオマケのことを指しているのでは? と思われます。 →  参考動画(クラッカー・ジャックの30秒CM)

私もデヴィッド・フィンクルさんに同感です。クラシックと映画音楽が融合した様なシンフォニックでダイナミックで聴く人を楽しませるアレンジ&サウンドだと思います。

特に、エリック・ナイトがアレンジした5曲のオーケストレーションはどれも秀逸。曲想、テンポ、ダイナミクスを自在に操り、それでいて原曲の持ち味を殺していない稀有なオーケストラ・アレンジです。A2. 「 恋のおもかげ 」 での荘厳なイントロと中盤〜エンディングの異国風味の対比はなんとも絶妙です。A3. 「 プロミセス・プロミセス 」 の変奏込みのオーケストレーションは聴いていてウキウキしますし、ラスト10秒での畳み掛ける金管群はラヴェル 『 ダフニスとクロエ 』 第2組曲の第3曲を彷彿とさせます。一転、A4. 「 アルフィー 」 では弦楽器の豊かな響きと木管楽器の繊細な音色のブレンドはどこまでも美しく、
A5. 「 素晴らしき恋人たち 」 でのこんな管弦楽曲があったんじゃと錯覚してしまうほどの本格的なイントロにも感嘆しました。B1. 「 世界は愛を求めている 」 の後半、それまであまり目立ってなかったホルンがぱぉんぱぉん吹きまくる処が8小節あるのですが、ホルン奏者にストレス発散の機会を与えたかのようでニヤッとします。

それに比べるとリチャード・ヘイマンがアレンジした楽曲は幾分凡庸な感は否めませんが、A1. 「 ボンド・ストリート 」 での西部劇っぽいイントロやマーチング・バンドを思わせる間奏は楽しいですし、B3. 「 雨にぬれても 」 の中間部で突如3拍子になるアレンジなどはユニークです。

これまで拙ブログで紹介したイージーリスニング系オーケストラによるバカラック集(R・グッドウィンR・アルドリッチF・チャックスフィールド 等)は、オーケストラといってもドラムセットやE.ベース、曲によってキーボード/ピアノやギターも加わった編成でした。本作は、曲によってドラムセットが加わるものの基本的には純粋なオーケストラ編成でその意味でも貴重なバカラック集だと思います。どうしてCDリイシューしないのでしょうか……。


※ '90年代にリリースされたBPOのコンピCDの中には、数曲入ってたりしたヤツがあったんですけどねー。私も以前レンタルした
CDで聴いた記憶があります。現在、MP3では 『 From Fabulous Broadway to Hollywood's Reel Thing(レガシー・シリーズVol.4) 』 で2曲(A4,B3.)、『 Superstars and Songbooks - Pops By Arrangement(レガシー・シリーズVol.5) 』 で5曲(A1,A5,B1,B5,B6.)が入手可能です。


【データ】
『 What The World Needs Now  The Burt Bacharach - Hal David Songbook
Arthur Fiedler and the Boston Pops

LP:1972年リリース
レーベル:Polydor (US)
番号:PD 5019 

Produced by Thomas Mowrey
Arranged by Richard Hayman (A1,B2〜B6.)
Arranged by Eric Knight (A2〜A5,B1.)
Violin Solo: Max Hobart (A5.)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月29日 (日)

SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES/Ed Ames(1972年)

米国の男性シンガー、エド・エームスが1972年にリリースした映画音楽集です。収録曲の半分は映画 『 LOST HORIZON(失われた地平線) 』 からのチョイス!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. BUTTERFLIES ARE FREE (from "Butterflies Are Free")
A2. MICOL'S THEME (from "The Garden of the Finzi-Continis")
A3. THE SUMMER KNOWS (Theme from "Summer of '42")
A4. SPEAK SOFTLY LOVE (Love Theme from "The Godfather")
A5. WHERE DO I BEGIN (from "Love Story")

B1. THE WORLD IS A CIRCLE (3:25)
B2. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER (3:00)
B3. QUESTION ME AN ANSWER (2:55)
B4. REFLECTIONS (3:21)
B5. LOST HORIZON (3:30)

収録時間約33分


米国の男性シンガー、エド・エームスが1972年にリリースした映画音楽集です。

本作は前回記事で取り上げた 『 Sings the Songs of Bacharach and David 』をDiscogsで探している時に見つけました。へぇ〜、こんなアルバムあったんだ、ということで併せて購入したものです。なお、エド・エームスについては前回記事を参照ください。

タイトルにもあるように、収録曲の半分 〜 LPのB面全て 〜 はバカラック&デイヴィッドが音楽を担当した1973年の映画 『 LOST HORIZON(失われた地平線) 』 からのチョイス。A面では1曲目から『 バタフライはフリー 』('72)、『 悲しみの青春 』('70)、『 思い出の夏 』('71)、『 ゴッドファーザー 』('72)、『 ある愛の詩 』('70) のテーマ曲や愛のテーマをカヴァーしています。

ここで1つ疑問が。『 失われた地平線 』 の全米公開は1973年2月で、サントラ盤のリリースは一ヶ月前の1973年1月(1972年12月という説もあり)です。対して、本作は1972年にリリースされてるっぽいのです。レーベル面の(P)1972、ジャケット裏の(C)1972という刻印から判断するに、少なくとも1972年制作なのは間違いないところ…。映画公開や本家サントラ盤リリースよりも前に制作してるって、どーゆーことupsign02

R360544013946523923520jpeg ─  アメリカでは、《 BELL RECORDS 》から発売される1年前に、配給会社の《 COLUMBIA PICTURES 》がデモンストレーション用の非売品アナログLPをプレスしているんです。それも、珍しいブルーのクリア・ヴィニール・レコード。 ─  (映画サントラ盤リイシューCDの日本盤ライナーノーツより、坂口修氏の発言)

そのデモ用LP、Discogsで調べたら見つかりました(ジャケット画像はDiscogsより拝借)。デモ用LPの収録曲は正規サントラ盤と全く同じようです。RCA Victor は映画がヒットするだろうと踏んで、このデモ用LPを元にして早々に本作を制作・リリース → 漁夫の利を得ようとしたのではないか? まぁ、あくまで私の想像に過ぎませんが…。

Fullsizeoutput_140_3Fullsizeoutput_144_3 バックの演奏は、ドラムス、ベース、ギター、キーボード(オルガン系と思われる)にフル・オーケストラが加わるという、本家サントラ盤に勝るとも劣らない豪華なもの。低く朗々としていて若干ビブラートがかかるエド・エームスの歌声は、ハツラツとはしていませんがこういったミュージカルっぽい曲との相性は悪くないんじゃないかと思います。

でも、私が本作で一番評価しているのはアレンジです。例えば、イントロ。5曲全て本家とは違うイントロなんですねー。B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(世界はまるい) 」 とB2. 「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」 はどちらも原曲にイントロは無いのですが、ストリングスと木琴が三連符を右肩上がりで刻む 「 世界はまるい 」のイントロ、クラシカルなストリングスが独自のメロディを奏でる 「 リヴィング… 」 のイントロ、共に独創的且つ曲にマッチしていると思います。アコギの刻みが印象的なB3. 「 クエスチョン・ミー・アン・アンサー 」 のイントロ、何やら昭和歌謡曲の雰囲気があるB4. 「 リフレクションズ 」 のイントロもどちらもオリジナリティがあって私は本家よりエド版の方が好みだったりします。B5. 「 ロスト・ホライズン 」 も原曲はイントロなしですが、サビのメロディをイントロに持ってきています。

原曲と幾分テイストが違う 「 ロスト・ホライズン 」 を除いて全体的なテイストは本家から大きく外れていません。プロデューサーは最初からそういう縛りを課したのかもしれません。その中で、アレンジャーはイントロをはじめとして新鮮なオブリガートやイントロをうまく再利用した間奏など色々工夫を施しています。アレンジャーは2人とも力量ある方なんだと思います。

んで 「 ロスト・ホライズン 」 ですが、原曲(♩≒124)よりもかなり遅いテンポ(♩≒88)で重厚感あるシンフォニックなアレンジが施されています。ショーン・フィリップスが歌った原曲はあまりスケール感を感じないものでしたが、エドの豊かな声量もあって雄大な景色と地平線をイメージする曲になっています。

本作単独でCDリイシューするのは難しそうですが、『 Sings the Songs of Bacharach and David 』 とセットでの 2 on 1 CD化をなんとか実現して欲しいですね〜。『 失われた地平線 』 のサントラを(5曲だけではあっても)カヴァーしようなんて酔狂なアルバム、滅多にありませんから。


【データ】
『 SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES 』
Ed Ames

LP:1972年リリース(?)
レーベル:RCA Victor (US)
番号:LSP-4808

Produced by Joe Reisman
Arranged and Conducted by Perry Botkin, Jr.  (A1,A3,B2,B4.)
Arranged and Conducted by Bill Reddie  (A2,A4,A5,B1,B3,B5.)
With the Jimmy Joyce Children's Chorus  (B1,B3.)

(C) 1972 RCA Records
(P) 1972 RCA Records

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月22日 (日)

Sings the Songs of Bacharach and David/Ed Ames (1971年)

米国の男性シンガー、エド・エームスが1971年にリリースしたバカラック集です!

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A1. MAKE IT EASY ON YOURSELF
A2. NIKKI

A3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

A4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

A5. THE LOOK OF LOVE

A6. WIVES AND LOVERS

B1. ALFIE

B2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

B3. HOW DOES A MAN BECOME A PUPPET

B4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD

B5. I SAY A LITTLE PRAYER

収録時間約32分


米国の男性ポピュラー・シンガー、エド・エームスが1971年にリリースしたバカラック集です!

1927年マサチューセッツ州の生まれ。1928年生まれのバカラックより1年先輩です。50年代は4人組男性ボーカル・グループ、エームス・ブラザースの末弟として活動。エームス・ブラザーズが1963年に活動停止してからはソロ・シンガー&俳優として活躍したお方だそうです。

本作はエドの20作目のアルバムにあたるそうなのですが、Discogsで各アルバムをチェックしたところエドはこれ以前にも時折バカラック&デイヴィッド作品をカヴァーしていました。時間やアレンジャーを照らし合わせると、本作全11曲のうち3曲は過去のカヴァー曲と思われ、残り8曲は新たにレコーディングしたもののようです。
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カタログを持っているソニーさん(RCA→BMG→SONY)がいつかCD化してくれるだろうと待っていたのですが、もう無理かな…と断念してつい最近中古LPをDiscogsで購入しちゃいました。演奏はバンド+フルオケ。収録元アルバムが違っていても、プロデューサーが同じだからか1つのアルバムとして聴いても統一感があります。

Img_0282Img_0283 全11曲のうち4曲は所有するコンピCD 『 MAGIC MOMENTS the classic songs of Burt Bacharach 』 に入っていたもの。俗っぽいアレンジには少し工夫が見られるものの心持ち鼻にかかった甘い歌声は大根歌手の趣きでそれほど印象に残らない…。コンピCDの紹介記事に書いたその4曲の評価は今回聴いてもそのままですが(大根歌手はちょっと言い過ぎかなcoldsweats01) 、他の7曲の中にはレコメンドな曲がありました。

まずは、アルバムの中で(エドにとっても)唯一のバカラック書き下ろしのB3. 「 HOW DOES A MAN BECOME A PUPPET 」 。コレが聴きたくてこのLPを購入したようなものです。でも、聴いてみてあれっ? となりました。カヴァー・バージョンも含めて初めて聴く曲のはずなのに、この3拍子の曲はどこか聴き覚えがあるぞ…と。バカラックA&M2枚目のアルバム 『 MAKE IT EASY ON YOURSELF 』 に収録されていたインスト・ナンバー 「 SHE'S GONE AWAY(シーズ・ゴーン・アウェイ) 」 のAメロと一緒なんですょ。調べたところ、この曲は 「 シーズ・ゴーン・アウェイ 」 をベースとしてBメロ(サビ?)のメロディとコード進行を変えたものにハル・デイヴィッドが詞を付けた曲だと判明。納得しました。曲のタイトルは、直訳すると 「 どうしたら男は人形になるのか… 」 てな意味でしょうか。意味深ですねー。ダイナミックなエドの歌唱は却って男の悲哀(たぶん…)を感じさせます。

そしてレア曲のA2. 「 ニッキ 」 。バカラックが1966年にシングル・リリースしたのがオリジナル。1971年のバカラックA&M3枚目のアルバム 『 BURT BACHARACH 』 にはリメイク版が収録されています。エドは1967年のアルバムで取り上げていますから、すぐにカヴァーしたワケですね。アレンジはバカラック版とほぼ同じですが、エド版の最大の特徴は、バカラック版や他のカヴァーがインスト曲なのに対してハル・デイヴィッドの歌詞が付いたヴォーカル・バージョンであること。貴重なバージョンです。
曲名の " Nikki " とはバカラックの娘さんの名前。エドのウォームな歌声はこの曲と相性が良く、バカラックの我が娘に対する思いを代弁しているかのようです。

A5. 「 恋のおもかげ 」 も好カヴァーです。気怠いムードを醸し出すブラスの音色とベースの派手な動きがこのアルバムの中ではちょっと異色で、ジャズ寄りのテイスト。エドのヴォーカルは相変わらず大根チックなのですが。

低音楽器がクラシカルなメロディをユニゾンで奏でるB5. 「 小さな願い 」 のイントロ部や、目立たないものの各曲のあちこちで見られる独自のオブリガートなど、アレンジャーがしっかり仕事しているのがわかります。さすがはRCA。「 HOW DOES A MAN BECOME A PUPPET 」 に「 ニッキ 」 と2曲も目玉があるこのアルバム、裏ジャケではエドの両側にバカラックとデイヴィッドが仲良く並んで写ってますし、CDリイシューしたらバカラック・ファンは喜ぶと思うんですけどねー。


【データ】
『 Sings the Songs of Bacharach and David 』
Ed Ames

LP:1971年2月リリース
レーベル:RCA Victor (US)
番号:LSP-4453

Produced by Jim Foglesong
Arranged and Conducted by Jimmie Haskeil (A1,A4,A6,B1,B3,B5.)
Arranged and Conducted by Perry Botkin, Jr. (A2,A5,B4.)
Arranged and Conducted by Larry Muhoberac (A3,B2.)
Recorded in RCA's Music Center of the World, Hollywood, California

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月15日 (日)

ライブの感想 CLOSE TO YOU 〜Burt Bacharach Song Book〜 Apr. 15, 2018

『バカラックの作品を愛してやまない音楽家たちによるスペシャルライブ』を聴いてきました!

2018年4月15日(日)
 11:30 Open
 12:00〜12:50 1st Show
 13:15〜14:15 2nd Show
 @渋谷 Live & Pub gee-ge.
出演:
① 梶山敏弘 - Vo (M)
② nica - Vo (F)
③ 徳田真由美 - Pf, Key
④ 岸淑香 - Pf, Key, 鍵盤ハーモニカ, シャカシャカ
⑤ 菊田茂伸 - Bs
⑥ 須之内丈典 - E.Gt, A.Gt
⑦ 迫優大 - Ds

ライブの場所は渋谷公園通りをちょっとあがったところにあるライブハウス gee-ge.(ジージ)。まったりさんのブログで知り合ったずずさんと10時に待ち合わせて “ 初めまして ” のご挨拶。近くのカフェでバカラック談義に花を咲かせて脳内を十分活性化させたあと、雑居ビル4階にあるジージへ向かいました。

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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前の方にずずさんと並んで座り、気が付いたら40〜50程度あった座席は一杯に。12時を少し回った頃、ライブがスタートしました。

セットリスト(詳しい曲解説付きのセットリストが配られました)

<1st Show>
1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道) ⑤
2. I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い) ⑥
3. WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち) ② F
4. IT WAS YOU   ② F
5. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME(愛の思い出) ⑤
6. WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ) ① M
7. ANY DAY NOW(エニィ・デイ・ナウ) ① M
8. A HOUSE IS NOT A HOME(ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム) ④ FM

<2nd Show>
1. CASINO ROYALE(カジノ・ロワイヤル) ③
2. RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD(雨にぬれても) ⑦
3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている) ① M
4. THE LOOK OF LOVE(恋のおもかげ) ① M
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら) ⑥
6. ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに) ⑦ F
7. ALFIE(アルフィー) ② F
8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU(遙かなる影) ① FM

※ ヴォーカル入りの曲は、F(Female - nicaさん)、M(Male - 梶山さん)と表記
* また、アレンジした方を出演者の○数字で示しました。
3 4
5 6

全16曲、すべてバカラック縛りのライブ。ピアノ、キーボード、ギター、ベース、ドラムスのクインテット編成+男女ヴォーカルの計7名。ポップ、ジャズ、ボサノヴァ、サンバ、レゲエ、カリビアン、R&B/ソウルなどの様々なスタイルでアレンジされた演奏はバラエティに富んでいてとても楽しめました。声に張りがあってパワフルなnicaさん、シブい低音且つソウルフルな歌声の梶山さん、ヴォーカルのお二人も素晴らしいパフォーマンスでした。1-3. 「 素晴らしき恋人たち 」 でピアノの徳田さんが同じジャズ・ワルツである 「 私のお気に入り 」 のメロディを挿入したのをはじめ、バックの皆さんも遊び心たっぷりの演奏でした。

特に印象に残った曲をいくつか。バカラック・カヴァー定番曲がほとんどのなか、椎名林檎がオリジナルのバラード 1-4. 「 IT WAS YOU 」 は2017年5月リリースのデモ音源集を除けば初めて耳にするカヴァー。チャレンジングな選曲だったと思いますが、オリジナルよりエモーショナルなnicaさんの歌には心を奪われました。

1-6. 「 ウォーク・オン・バイ 」 での ” あっちへ行って! ” という手の振りや、一瞬ジェイコブ・コリアーがアレンジしたのか?と錯覚したR&B色の濃い 2-4. 「 恋のおもかげ 」 など、多彩なアレンジも含め梶山さんのパフォーマンスはカッコよかったです。

中盤アップテンポのルンバ調になるアレンジが新鮮な 1-8. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」、サンバのリズムでノリノリの 2-8. 「 遙かなる影 」、デュエットのこの2曲は圧巻でしたね。ラストの曲「 遙かなる影 」 でエンディングのパートを会場みんなで三重唱したのも盛り上がりました。

このライブは、徳田さんが昨夏Twitterでバカラック演りたいと呟いたのがきっかけで実現したライブなんだとか。ずずさんと私は、その徳田さんがTwitterで「 カジノ・ロワイヤル 」 のアレンジについて呟いてるのを見つけてこのライブのことを知りました。というワケで、Twitterに感謝!

↓カーテンコールにて、出演者全員集合!(左から④⑤③①②⑥⑦)
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2018年4月 8日 (日)

The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach/Ena Baga (1972年)

英国の女性オルガニスト、エナ・バーガのハモンドオルガンによるバカラック・カヴァー集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A3. ANYONE WHO HAD A HEART
A4. WIVES AND LOVERS
A5. THE LOOK OF LOVE
A6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B3. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B4. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B6. I'M A BETTER MAN (FOR HAVING LOVED YOU)

収録時間約33分


英国の女性オルガニスト、エナ・バーガが1972年にリリースしたハモンドオルガンによるバカラック・カヴァー集です!

Enabagahammond_3 エナ・バーガは1906年ロンドン生まれ。12歳のとき教会のオルガン奏者としてのキャリアをスタートさせ、14歳でプロに。1920年代~1930年代は映画館で無声映画のオルガン奏者をしていたそう。第二次世界大戦後はハモンドオルガンを弾くようになり、1960年代後半~1970年代に本作やレノン=マッカートニー集など10枚以上のアルバムをリリース。本作リリース時は66歳でした。晩年は後進の指導にあたり、2004年に98年の生涯を閉じました。

本作のジャケ写はお肌を露出した若い女性で如何にもイージーリスニングといった趣き。モノクロの裏ジャケにエナ・バーガのお写真載ってはいますが小さ過ぎてイマイチ。つーことで彼女の写真を載せておきます。1968年のアルバムのジャケ写真をトリミングしたもので、62歳のエナ・バーガ。貫録のあるおばさま…という雰囲気ですね。

Ttr4_600pxHammond_t100_series_organ_st_mart_2裏ジャケのライナーによれば、彼女が本作で弾いてるハモンドオルガンはTTRというモデル。でも、Wikiでハモンドオルガンのリストを見ても載っていません。

色々調べたところ、1968年~1975年に生産されたT-100シリーズの英国生産版と判明。画像を比較しても見た目はほぼ同じ。ハモンドオルガンを代表する機種のコンソール型B-3と較べるとドローバーの数や上鍵盤/下鍵盤/足鍵盤の鍵盤数は少なく、一般的にスピネット型と呼ばれる家庭向けの機種のようです。

Img_0238fff Img_0241ggg 収録全12曲がバカラック作品。カヴァー定番曲が並んでいますが、1曲だけB6. 「 ベター・マン 」 はレア度けっこう高いです。

演奏スタイルは、主役のハモンドオルガンTTRにドラムスとパーカッションを加えたもの。全体的な印象はハモンドオルガンによるイージーリスニングです。

オルガンは、上鍵盤(右手)でメロディを、下鍵盤(左手)でコードを、足鍵盤(左足)でベースを弾くというのが基本的な演奏方法。メロディは時折フェイクしたりブロック奏をして、ベースもけっこう足が動いてそれなりに工夫が見られます。が、コードは殆どが和音をベタ弾きか刻んでるだけの実に単純なアレンジで、もう少しオブリガートを入れる等して欲しかったなぁ。

無機質でリズム感があまり感じられないドラムスも残念ポイントの一つ。イージーリスニングのキモはアレンジなのですが、このアレンジは物足りないですねー。A4. 「 素晴らしき恋人たち 」 でのメロディの変奏やA6. 「 サン・ホセへの道 」 での軽快なウォーキングベースなど、聴き所と言えるポイントもあるんですけどね。やっつけ仕事なんだろうなぁ。


【データ】
The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach
Ena Baga

LP1972年リリース
レーベル:HALLMARK RECORDS (UK)
番号:SHM 767

クレジットなし

日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月 1日 (日)

Kiss Me/Moon (2018年)

韓国の女性ジャズ・シンガー、Moon のソロ・デビュー・アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

1. THE APRIL FOOLS (5:11)


今日は4月1日、エイプリルフール(英語: April Fools' Day)ですね。

英語の April Fool は直訳すると4月ばかですが、エイプリルフールのいたずらにかつがれる人を指すんだそう。今回辞書を引くまで知らなかったです。カトリーヌ・ドヌーブとジャック・レモンが共演した映画 『 The April Fools 』 は複数形だから4月ばか達…ということになりますか。映画の主題歌である 「 THE APRIL FOOLS (エイプリル・フール) 」 の歌詞にもこんなくだりがあります。

─ 私たち二人はまわりの障害に気付かない4月ばかね かつがれていたとしてもかまわないわ 二人の愛は本物なんだから ─ (歌詞の一節を要約)

この映画の邦題 『 幸せはパリで 』 は含蓄ある素敵なタイトルですが、4月ばかの二人というニュアンスまでは表現できてないですからねー。原題タイトルの意味にやっと気付いたあるでおですcoldsweats01

Img051sssImg051ddd さて、今回紹介するアルバムは、「 エイプリル・フール 」 のカヴァーが収録されているアルバム。韓国のジャジー・ポップ・ユニット、WINTERPLAYの元ヴォーカリストで現在はソロとして活動するヘウォンが Moon 名義で今年2月にリリースしたソロ・デビュー・アルバムです。

1984年、韓国の全州市生まれ。中学生の頃シンガーを目指すようになり、大学でジャズに目覚めて2007年にWINTERPLAYの前身となるバンドに参加。韓国はもとよりアジア各国で人気となるも2016年末に脱退して2017年よりソロ・シンガーとして始動。かねてから日本での活動を希望しており、原田知世のプロデュース・ワークで知られるギタリスト/作曲家の伊藤ゴロー氏をプロデュース&アレンジに迎えて制作したのが本作というわけです。

CDパッケージに貼られていた宣伝ステッカーにも原田知世の推薦コメントが…。そういえば、以前ご紹介した原田知世のアルバム 『 恋愛小説 』 も伊藤ゴロープロデュースでした。

ライナーは英語によるクレジット&歌詞のみ。日本語ライナーノーツを期待してD/LではなくCDを購入したのですが、その点はガッカリ。音質にこだわりなければD/Lでもよろしいかと…。プロフィールその他は ユニバーサル・ミュージックのアルバム紹介 および CDジャーナルのインタビュー記事 を参考にしました。詳しい情報はリンク先を参照ください。

ピアノトリオ+ギターのカルテットを基本として曲によりゲスト・ミュージシャンが加わります。収録されているのは10曲。基本的に歌ってみたかった曲を集めたそう。ジャズ・スタンダードは2曲のみ(T-6,7.)で、あとはロック/ポップスをカヴァーしています。

まずはバカラック・カヴァーから。T-1. 「 4月ばかの二人 」 …じゃなくて 「 エイプリル・フール 」 はアコースティックな肌触りでジャズとアダルト・コンテンポラリーの融合といった仕立て。アグレッシヴなイントロでつかみはOK。オリジナルのディオンヌとは違うことヤルよ!っていう意気込みが伝わってきます。声量はありませんが透明感のあるMoonの歌声はクールな伴奏ともうまく溶け合い、愛し合ってるけれどちょっと不安…というこの曲の微妙なニュアンスもちゃんと伝わってきます。

CDジャーナルのインタビューでは曲ごとにMoonがコメントしてるのですが、残念ながら 「 エイプリル・フール 」 は取り上げられていません。この曲をチョイスしたのはMoon/プロデューサーどちらなのか? Moonのチョイスだとしたら曲に対する想いを知りたかったんですけどねー、残念。

それにしても、ロック/ポップスのカヴァーはなかなかユニークな曲が揃っています。

T-5. 「 キス・ミー 」 はシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの曲。軽いシャッフルのアレンジが新鮮。意外やこの曲では声質がシックスペンス~のヴォーカル、リー・ナッシュに似てるんすょ。Moon、ポップ路線もイケますね。ホール&オーツがオリジナルのT-9. 「 プライベート・アイズ 」 はボサノヴァ風アレンジに乗せたクールなエレピ&ギターが心地良い。Moonのヴォーカルもノリが良くこちらも好カヴァーです。T-8. 「 恋のひとこと 」 はオリジナルのシナトラ父娘版と同じテイストのカヴァー。デュエットしてるTOKUとの相性も良さげです。

他のカヴァーも、T-2. 「 ブラザシア 」 (Yutaka~ブラジル)、T-3. 「 キス・オブ・ライフ 」 (シャーデー)、T-4. 「 クァンド、クァンド、クァンド 」 (トニー・レニス~イタリア)、T-10. 「 絆 」 (橋幸夫!) とバラエティ豊か。因みに、「 絆 」 だけ韓国語で歌っているのですが、全く韓国語に聴こえないのが不思議。

ジャズ・アルバムという触れ込みですが、どちらかといえばアダルト・コンテンポラリーのアルバムと捉えたほうがイメージ合ってるかも。

実は最初 「 エイプリル・フール 」 だけダウンロードしたのですが、なかなか良かったので他の曲も試聴したところ興味が膨らんでアルバムを購入した次第。聴く度にじわっと味が染み出るアルバムだと思います。


【データ】
『 Kiss Me 』
Moon

CD:2018年2月7日リリース
レーベル:Verve / Universal Music LLC (Japan)
番号:UCCJ-2151

Produced by 伊藤ゴロー
Arranged by 伊藤ゴロー (T-1~5,7~9.), 小沼ようすけ (T-6.), ハクエイ・キム (T-10.)
Recorded at STUDIO Dede, Universal Music Studio Tokyo, Ninho do Barata

<参加ミュージシャン>
  Moon - vocals
  伊藤ゴロー - classical, acoustic & electric guitars
  佐藤浩一 - acoustic piano, Fender Rhodes (T-1,2,4,5,7,8.)
  坪口昌恭 - acoustic piano, Fender Rhodes (T-3,9.)
  鳥越啓介 - acoustic bass (T-1,3,4,8.)
  Jrge Helder (ジョルジ・エルデル) - acoustic & electric bass (T-2,7,9.)
  みどりん (SOIL&"PIMP"SESSIONS) - drums (T-1,3,4,8.)
  Rafael Barata (ハファエル・バラータ) - drums, percussion (T-2,7,9.)
Guests:
  太田 剣 – alto saxophone (T-1,2.)
  小沼ようすけ - classical guitar (T-6.)
  TOKU – vocal, flugelhorn (T-8.)
  ハクエイ・キム – acoustic piano (T-10.)

2018年3月26日 (月)

ガーデン・オブ・ザ・ペンフレンドクラブ/ザ・ペンフレンドクラブ (2018年)

2012年に結成された日本のバンド、ザ・ペンフレンドクラブの5thアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

6. MY LITTLE RED BOOK (2:30)


2012年に平川雄一により結成された日本のバンド、ザ・ペンフレンドクラブの5thアルバムです。今月21日にリリースされたばかりのホヤホヤっす。

Img050sss_2バンドの公式サイトによると、─ 音楽性は主に The Beach Boys, Phil Spector 周辺の60年代中期ウェストコーストロック ─  とのこと。バンド・メンバーは裏ジャケの左から、ドラムスギター/ヴォーカルサックスメイン・ヴォーカルベースグロッケンオルガンという7人。ファッション/サウンド共に60年代ポップスの雰囲気を感じます。また、本作では生ストリングス(夜長オーケストラ)も参加しています。

リプライズのT-11. を除いた10曲はオリジナル/カヴァーが半々。オリジナルはT-1,2,5,7,10. の5曲で、その中ではT-2. 「 飛翔する日常 」 がフィフス・ディメンションの 「 ビートでジャンプ 」 や平山三紀の 「 いつか何処かで 」 を彷彿とさせる佳曲ですし(コード進行的には赤い鳥の 「 ラブリー・チェリー 」 にも近似性を感じます)、フォーキーなT-10. 「 僕と君のメロディ 」 も好印象です。

カヴァーは、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ(T-3.)、ブライアン・ウィルソン(T-4.)、大瀧詠一(T-8.)、ザ・ヤング・ラスカルズ(T-9.)という具合。それぞれ原曲を知らないのでコメントは避けますが、良質なポップスであることはわかります。

さて、本題のバカラック・カヴァーはT-6. 「 マイ・リトル・レッド・ブック 」 。この曲をチョイスした時点でセンス良すぎっ! 日本のアーティストがこの曲を取り上げたのはザ・ペンフレンドクラブが初めてでしょう。んで、聴いてみたら何だか雰囲気が違うんです。そのうちピンっときました。ヴォーカルが女性だからだっ!

─ 君と別れてすぐ、僕は小さな赤い手帳を取り出して街の女の子とデートした。でも君のことを話してしまうんだ。誰一人君の代わりにならなかった。女の子たちはみな僕が君のことを好きだって知ってるんだ。どうか僕の処へ帰ってきて。君が必要なんだ ─  …要約するとこんな歌詞ですからねー、オリジナルのマンフレッド・マンやカヴァーの殆どは男性ヴォーカル。メイン・ヴォーカルが女性なのは 『 THE BURT BACHARACH ALBUM “BROADWAY SINGS THE BEST OF BACHARACH” 』 の Melba Joyce ぐらいでしょう。そういう意味でも貴重なカヴァーと言えます。

サビではもう一人女声が加わり最初はユニゾンで…最後は6度高い音でハモリます。これが爽快なんですょ。また、キーが低いのも雰囲気が違う一因かと。マンフレッド・マンやバカラックのセルフ・カヴァーはメロディの最初の音がB♭。ラブのカヴァーはB。それに対してザ・ペンフレンドクラブはA♭。なんとなくサウンドが骨太なのはそのせいでは? 細かいところのアレンジにもニヤリとさせられます。サビ部のストリングスによるオブリガートは新鮮で素敵だし、3コーラス目のAメロでオルガンとグロッケンが奏でるメロディは3度高くてハッとさせられるし、無伴奏になって女声ヴォーカルだけになるエンディングもこの歌の切なさを上手く表現していて唸っちゃいました。

今後もバカラックをカヴァーして欲しいですね。


【データ】
『 ガーデン・オブ・ザ・ペンフレンドクラブ 』 (英題: Garden Of The PenFriend Club)
ザ・ペンフレンドクラブ (英名: The PenFriend Club)

CD:2018年3月21日リリース  (解説:ウチタカヒデ)
レーベル:Penpal Records (JP)
番号:PPRD-0003

Producer, Mixing Engineer, Mastering Engineer, Art Designer: 平川雄一
Recording Engineer: 平川雄一、DEW Makino、中村康隆(夜長オーケストラ)
Strings Arranger: 中村康隆(夜長オーケストラ)
Sax Solo Arranger: カンケ
ザ・ペンフレンドクラブ
  平川雄一 (HIRAKAWA, Yuichi) - Vocal, Chorus, Guitars, Bass, Percussions
  藤本有華 (FUJIMOTO, Yuka) - Vocal, Chorus
  西岡利恵 (NISHIOKA, Rie) - Bass, Chorus
  ヨーコ (Yoko) - Organ, Piano, Flute, Soprano Recorder, Chorus
  祥雲貴行 (SAKUMO, Takayuki) - Drims, Bongo
  中川ユミ (NAKAGAWA, Yumi) - Glockenspiel, Windchimes
  大谷英紗子 (OTANI, Asako) - Saxophone (Soprano, Alto, Tenor, Baritone), Chorus
夜長オーケストラ (Yonaga Orchestra) - Strings

2018年3月23日 (金)

Plays Bacharach Vol.1 (Paper Maché)/Noël Akchoté (2016年)

フランスのギタリストによる、何を弾いてんだかよくわからないバカラック・カヴァー集です。 (CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
Nol_akchot

1. THE LOOK OF LOVE
2. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
5. WALK ON BY
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
7. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
8. PROMISES, PROMISES
9. PAPER MACHE
10. ODDS AND ENDS
11. LONELINESS REMEMBERS WHAT HAPPINESS FORGETS
12. I SAY A LITTLE PRAYER
13. EVERYBODY'S OUT OF TOWN
14. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
15. MESSAGE TO MICHAEL
16. ALFIE
17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?

収録時間約31分


フランスのギタリスト、ノエル・アクショテによるバカラック・カヴァー集です。Amazon/iTunes 等のデジタル配信のみです。

1_3A21201213401105751370jpeg_3 ノエル・アクショテは1968年パリ生まれ。8歳からギターを手に取り、最初はジャズを弾いていたそう。90年代初頭から前衛的/実験的なスタイルになっていき、現在はロック、ジャズ、現代音楽などの分野で活躍中とのこと。自身のレーベル Noël Akchoté Downloads から多数のアルバムをリリースしています。実際、Discogs には Album だけで494タイトル※も出てきてビックリしました。(※ 2018年3月時点)

画像は彼の公式サイトと Discogs から拾ったものですが、なんとなく小難しそうな人ですねー(^^;。
演奏はアコースティック・ギター1本のみ。カヴァー定番曲が殆どですが、T-9. からの3曲とT-13. はあまりカヴァーされないマイナーな曲。なかでもT-11. 「 ロンリネス・ハッピネス 」 とT-13. 「 アウト・オブ・タウン 」 は超レア曲です。

全17曲と曲数は多いですが、収録時間トータル約31分なので1曲あたりの演奏時間は2分以下。じっくり聴くというよりはBGM的にリラックスして聴いてもらうコンセプトなのかと思ったら、これが何弾いてんだかよくわからない演奏でして…。リラックスするどころか 「 この曲、何だっけ? わからん~~~ 」 となる代物なのです。

①. メロディを崩している
②. 伴奏パートの音量がメロディパートと同じくらい大きい
③. 左手がスライドする際の “ キュッキュッ音 ” が大きくて耳障り

何弾いてんだかよくわからない理由はこの3つ。アコギのソロといえば拙ブログでも紹介したことがあるアール・クルー( こちら でオマケとして紹介)。アール・クルーの演奏は、①. 2コーラス目でメロディを崩すことはあっても1コーラス目はメロディを崩すことはなく、②. メロディがしっかり浮き出るよう伴奏パートの音量は控えめで、③. 左手のキュッキュッ音は殆ど聴こえないレベル。何を弾いてるかちゃんとわかりますし、なにより聴いていてまったりした気分になります。

それに比べてノエル・アクショテは…。すぐに曲名がわかるものも一部ありますが、フレーズの断片からおぼろげながら曲名が浮かぶものが殆どです。中には、最後まで曲名がわからなかったものも…。なかなかオススメしづらいバカラック・カヴァー集でございます。Vol.2 がリリースされるとしたら何とかして欲しいところです。

まぁ、『 バカラック愛好家による曲名当てクイズ 』 みたいな企画があったらこの音源を出題すると面白いかもしれませんねー。それ以外の使い道はちょっと思い付きません…。


【データ】
『 Plays Bacharach Vol.1 (Paper Maché) 』
Noël Akchoté

MP3:2016年4月29日リリース
レーベル:Noël Akchoté Downloads (FR)
番号:BUB-1

Acoustic Guitar, Producer, Arranged by Noël Akchoté
Recorded in Paris (France), 14 April 2016

2018年3月18日 (日)

The Reel Burt Bacharach/V.A. (1999年)

映像作品の関連曲をコンパイルしたバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ Burt Bacharach ~

2. THE LOOK OF LOVE  ~ Dusty Springfield ~ 
F
3. LOST HORIZON  ~ Shawn Phillips ~ 
M
4. SOMETHING BIG  ~ Mark Lindsay ~ 
M
5. THE APRIL FOOLS  ~ Marvin Hamlisch ~
6. FINDER OF LOST LOVES  ~ Dionne Warwick with Glenn Jones ~ 
FM
7. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  ~ Tom Jones ~ 
M
8. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Burt Bacharach ~
9. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  ~ Richard Chamberlain ~ 
M
10. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  ~ Gene Pitney ~ 
M
11. CASINO ROYALE  ~ Herb Alpert & The Tijuana Brass ~
12. MADE IN PARIS  ~ Trini Lopez ~ 
M
13. LONG AGO TOMORROW  ~ B. J. Thomas ~ 
M
14. SECONDS  ~ Gladys Knight & The Pips ~ 
F
15. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  ~ Christopher Cross ~ 
M
16. LOVE IS MY DECISION  ~ Chris DeBurgh ~ 
M
17. THE BEST OF TIMES  ~ Burt Bacharach ~

収録時間約57分


映像作品の関連曲をレーベルを超えてコンパイルした、米国の再発レーベルによるバカラック物コンピ集です。1999年にリリースされました。

それまでにリリースされたバカラック物コンピ集 (レーベル縛り/英国ヒット主体/オリジナルヒット主体/レア曲主体) とはちょっと毛色が違う内容だと思います。各曲と映像作品の関連を以下表にまとめました。クリックしてご覧ください。

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有名な映画からナニコレ?ってゆうマイナーなTVドラマまで、映像作品は多種多様。サントラ収録のインスト版(表では準オリジナルと分類)2曲とバカラックによるセルフ・カヴァー1曲が含まれているものの、極力その曲のオリジナルを集めようとした意図は十分感じられます。

全17曲のうち11曲については関連映像作品ともども拙ブログで紹介していますので、ここでは説明を省きます。気になる曲があればアルバム名をクリックして当該記事を参照ください。

<サントラ>
  T-1. 「 雨にぬれても 」 → 『 Butch Cassidy And The Sundance Kid 』
  T-2. 「 恋のおもかげ 」、T-11. 「 カジノ・ロワイヤル 」 → 『 Casino Royale 』
  T-3. 「 失われた地平線 」 → 『 Lost Horizon 』
  T-5. 「 エイプリル・フール 」 → 『 The April Fools 』
  T-7. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 → 『 What's New Pussycat? 』
  T-15. 「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」 → 『 Arthur 』
  T-16. 「 ラヴ・イズ・マイ・ディシジョン 」、T-17. 「 ベスト・オブ・タイム 」 → 『 Arthur 2: On the Rocks 』

<サントラ以外のアルバム>
  T-6. 「 ファインダー・オブ・ロスト・ラヴズ 」 → 『 Finder of Lost Loves 』/Dionne Warwick
  T-10. 「 リバティ・バランスを射った男 」 → 『 Gene Pitney sings Bacharach, David and others 』


T-8. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 は有名なバカラック・ナンバーのひとつですが、元々は1964年の米映画 『 禁じられた家 』 の主題歌。1920年代のミューヨークで名を馳せた高級売春宿の女主人ポリー・アドラー(シェリー・ウィンタース)の生涯を描いた映画なんだとか。バカラックは主題歌のみを提供(バカラック自伝によると5,000ドルで書いたそう)し、ブルック・ベントンが歌いました。サントラにブルック・ベントン版は入っておらず、映画の音楽を担当したジョセフ・ワイズによるインスト版のみアレンジを変えて2種類収録。私はサントラ持ってないので紹介できません…(YouTubeではサントラをフルサイズで聴けますが)。一方、本コンピ盤にコンパイルされているのはバカラックのセルフ・カヴァー版。1965年にKAPPからリリースしたバカラックのファースト・アルバム 『 Hit Maker! 』 に収められてるバージョンです。

残り5曲はマニアックな曲ばかり。それぞれ簡単にご紹介します。

T-4. 「 サムシング・ビッグ 」 は 1971年の米映画 『 テキサス大強盗団 』 の主題歌。映画はコメディー・タッチの西部劇だそう。歌ったのはポール・リヴィア&レイダーズのリード・ヴォーカルだったマーク・リンゼイ。リズムは軽快でメロディもわりと親しみ易いのですが、意表を突くコード展開はやはりバカラックらしいです。バカラックのセルフ・カヴァー( 『 LIVING TOGETHER 』 収録 )以外に、ジム・オルーク( 『 Eureka 』 収録 )とローナン・キーティング( 『 WHEN RONAN MET BURT 』 収録 )のカヴァーがあります。

T-9. 「 想い出のローマ 」 を歌ってるのはリチャード・チェンバレン。彼が主役のTVドラマ 『 ドクター・キルディア 』 において、1964年11月(日本では1965年)に放映された3週間連続のスペシャル・プログラムのテーマ・ソングでした。トロトロしたメロディにリチャード・チェンバレンのビブラート・ヴォイスが妙にマッチしてます。この曲のカヴァーは聴いたことありません。

T-12. 「 メイド・イン・パリ 」 は1966年の米同名映画の主題歌。ロマンティック・コメディらしいです。バカラックお得意のズンチャチャ・リズム、高低差のあるメロディ・ライン、不規則な小節数などバカラック風味は強め。トリニ・ロペスは米テキサス州ダラス生まれのフォーク歌手/ギタリストで、張りのある声でこの曲を楽しく歌っています。この曲もカヴァーを聴いたことがありません。

T-13. 「 ロング・アゴー・トゥモロー 」 は今回記事を書くまで映画の主題歌だと認識していませんでした(^^;。1971年の英映画で、お互い車椅子に乗る若い男女のお話。この映画を米国公開するに際し、タイトルが 『 Long Ago Tomorrow 』 に変更されてバカラックがこの曲を提供したんだそう。変拍子の挿入、不規則な小節数、高低飛び跳ねる上に音程が取りづらそうなメロディ、どこからみてもまごうことなきバカラック作品! B.J.トーマスはこの難しい曲を見事に歌いこなしています。バカラックのセルフ・カヴァー( 『 LIVING TOGETHER 』 収録 )とSiobhan Pettitのカヴァー( 『 Long Ago Tomorrow 』 収録 )があります。

T-14. 「 セコンズ 」 も新たな発見があった曲。今回記事を書くまでその由来を知りませんでした。ブロードウェイ・ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 の映画化が企画され、その映画のためにバカラックがニール・サイモンと作った曲なんだそうです。しかし映画は幻となり、バカラックがプロデュースしてグラディス・ナイト&ピップスが歌ったこの曲は、彼らの1974年のアルバム 『 I Feel A Song 』 に収録されました。変拍子の挿入、不規則な小節数、はっきりとはわからないけど転調してるような感覚、複雑な曲の構成、約1分もハミングが続くアウトロ…。ここまでくるともう変態的です。それにしても、グラディス・ナイトのメリハリの利いた歌唱は素晴らしい、流石です。バカラックによるセルフ・カヴァー( 『 FUTURES 』 収録 )があります。

なかなかシブい曲を揃えたアルバムでした。


【データ】
『 The Reel Burt Bacharach 』
V.A.

CD:1999年6月22日リリース
レーベル:Hip-O Records (US)
番号:HIPD-64566

Compilation Produced by Jim Pierson
Co-Produced by Dana G. Smart

ⓅⒸ 1999 Universal Music Special Markets, Inc. (US)

2018年3月11日 (日)

THE ROYAL MARINES Play BURT BACHARACH/Band of H.M. Royal Marines (Royal Marines School of Music) (1974年)

英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊が1974年にリリースしたバカラック作品集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD / MAGIC MOMENTS
A2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A3. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
A4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
A5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A6. TO WAIT FOR LOVE / (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B1. THE WORLD IS A CIRCLE
B2. ALFIE
B3. WIVES AND LOVERS
B4. TRAINS AND BOATS AND PLANES / I SAY A LITTLE PRAYER
B5. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約41分


英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊によるバカラック作品集です。1974年にEMIからリリースされました。

軍楽隊の前身となるドラム隊が創設されたのは1664年のこと。350年以上も前ですょ、スゲェ! 現在、英国海兵隊軍楽隊部門には基地/部隊付きの5バンドと音楽学校1バンドの計6バンドが所属。各軍楽隊はそれぞれ多数のLP/CDをリリースしているみたいです。なお、H.M.は Her (His) Majesty の略で 陛下 という意味。 the Royal Marines は 英国海兵隊 のこと。 ⇒ H.M. Royal Marins を 英国王立海兵隊 と訳すんだそうです。

Photo

本アルバムはこのうち 音楽学校軍楽隊 によるもの。1966年公開の劇場版 『 THUNDERBIRDS ARE GO (邦題:サンダーバード) 』 に出演したのはあまりにも有名ですネ。映画のエンド・クレジットに同期して、当時のヴィヴィアン・ダン中佐指揮のもと当時ケント州ディ-ルにあった海兵隊音楽学校構内広場で 「 サンダーバードのテーマ 」 を演奏・行進した模様がフィルムに収められています。演奏自体はスタジオ録音したものみたいですが、素晴らしいです。 → 演奏はこちら

この音楽学校には悲しい歴史が…。1989年9月22日、IRAがディールの音楽学校を爆破して11人が死亡し22人が負傷するという痛ましい事件が起きました。その後1996年に音楽学校は現在のハンプシャー州ポーツマスに移り、ディールは閉校に…。跡地には記念の庭が作られ、毎年7月には軍楽隊が野外コンサートを開いてるそうです。

ちょっと横道にそれました。本題に移ります。本アルバムは吹奏楽編成38名による演奏で、指揮者はポール・ネヴィル中佐 (1970年にヴィヴィアン・ダン中佐から交代)。編成上の特徴はトランペットではなくコルネットを吹いている点。英国の吹奏楽ではトランペットよりも音がまろやかなコルネットを用いるのが伝統なんです。 (トランペット/コルネット/フリューゲルホルン聴き較べ → ヤマハサイト)。

バカラック作品15曲、計12トラックをレコーディング。カヴァー定番曲ばかりかと思ったら、B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい) 」 が入っててビックリ! 映画 『 失われた地平線 』 の挿入歌ですが、滅多にカヴァーされないレア曲ですからねー。

とてもやわらかい響きのサウンドは素晴らしいのひとこと。演奏レベルは高いです。音質もクリアで録音技術も優秀なんじゃないでしょうか。基本的にはコンサートマーチ(行進用ではなくステージ演奏用のマーチ)のスタイルにアレンジされていますが、聴く人を楽しませる工夫もあって決して退屈ではありません。編曲したレイ・ウッドフィールドは海兵隊軍楽隊の作曲家/編曲家で、音楽学校で教鞭も取っていたそうです。

では、簡単に1トラックずつコメントしていきます。

Img_0275eee_3 A1. 前半の 「 雨にぬれても 」 、格調高くなったり剽軽になったり目まぐるしく変わるイントロを聴いてるだけでもアレンジャーのサービス精神がわかろうというもの。♩≒120のマーチ・テンポのまま迎えた後半の 「 マジック・モーメンツ 」 は、木管の可愛らしいフレーズや吠えるホルンなど、アレンジも演奏も楽しいです。

A2. 「 ディス・ガイ 」 : トランペット・ソロがフィーチャーされた曲で、アレンジは大人しめ。ソロ吹いてる方、ホント上手です。

A3. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 : 最初は子猫チャンと遊んでたけど、途中でボス猫が出てきて怒鳴られシュンとなり…。そんな情景が浮かんでくるとってもユニークなアレンジ。本アルバムで1,2を争う楽しさです。

A4. 「 恋よさようなら 」 : イントロ冒頭とエンディングはスローですが、真ん中は♩≒120のマーチ・アレンジ。イントロと間奏で聴こえるピッコロ・フルートによる可愛らしいオブリガートは私のお気に入りとなりました。

A5. 「 サン・ホセへの道 」 : イントロは金管によるファンファーレ風。本編は軽快なマーチです。

A6. 前半の 「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ(愛のおとずれ) 」 、後半の 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」 ともにわりと素直なアレンジです。

Img_0274fff_2 B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい) 」 : ティンパニ、スネア・ドラム、テューバ、サックス/トロンボーン、コルネットと少しずつ楽器が音を積み重ねていくイントロはまるで映画のオープニングのよう。本編からのシンフォニックでいて軽快なサウンドはミュージカルの雰囲気。素敵なアレンジと演奏で、この曲を聴けただけでも本アルバムを入手した甲斐がありました。

B2. 「 アルフィー 」 : トロンボーン・ソロをフィーチャーした、リズム無しのスローな演奏。トロンボーンの裏でフルートやクラリネットが吹くオブリガートの細やかさにうっとりします。

B3. 「 素晴らしき恋人たち 」 : ちゃんとジャズ・ワルツの雰囲気になってます。Aメロでメロディを吹くコルネットに相槌を入れるフルートとシロフォンのオカズが個人的にはレコメンド。残り40秒となったところでスローダウンするのですが、そこでのクラリネット・ソロも素敵です。

B4. 「 汽車と船と飛行機と 」 と 「 小さな願い 」 を♩≒116の8ビート風マーチのリズムでメドレー。「 汽車と船と飛行機と 」 のAメロと 「 小さな願い 」 のAメロがマッシュ・アップできることに初めて気づきました。

B5. 「 遥かなる影 」 : シャッフルのリズムですから一応カーペンターズ版を下敷きにしてるのですが、サビの後も例の5連符は使ってないし多種多様なオブリガートも独自のものばかり。テンポも速くなったり遅くなったりします。ここまでシンフォニックな 「 遥かなる影 」 はなかなかありません。

B6. 「 世界は愛を求めてる 」 : スローで徐々にクレシェンドしていく45秒間のイントロ。4分の3拍子と8分の6拍子を重ねて演奏するユニークなAメロ。普通のジャズ・ワルツのBメロ。なんともユニークなアレンジです。

吹奏楽によるバカラック集といえば、1972年の航空自衛隊航空音楽隊 『 ダイナミック・マーチ・イン・バカラック 』 があります。本アルバムとはかなり趣が異なりますが、どちらも内容の濃いバカラック集だと思います。


【データ】
『 THE ROYAL MARINES Play BURT BACHARACH 』
Band of H.M.Royal Marines (Royal Marines School of Music)

LP:1974年リリース
レーベル:EMI (UK)
番号:TWOX 1013

Produced by Bob Barratt
Arranged by Ray Woodfield
Conductor:Lieutenant-Colonel Paul Neville, MVO, FRAM, RM.
(Principal Director of Music, Royal Marines)

The instrumentation of the Band for this album comprised
  3 flutes
  1 oboe
  8 clarinets
  1 bass clarinet
  1 bassoon
  2 alto saxophones
  1 tenor saxophone
  4 French horns
  6 cornets
  3 trombones
  1 euphonium
  3 tubas
  1 double bass
  3 percussion
a total of 38 first-class musicians.

Trumpet solo : Band Corporal Jonathan Yates (A2.)
Trombone solo : Musician Michael Eastbrook (B2.)

Recorded at EMI's Abbey Road, London, Studios
Ⓟ 1974 EMI Records Ltd

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2018年3月 4日 (日)

Trains & Boats & Covers The Songs of Burt Bacharach/V.A. (1999年)

英国Pyeレコードの音源から選曲された英国編集のバカラック物コンピ集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THIS G'S IN LOVE WITH YOU  ~ Petula Clark ~  F
2. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ City Of Westminster String Band ~
3. COME AND GET ME  ~ Lisa Shane ~  F
4. THE LAST ONE TO BE LOVED  ~ Billie Davis ~  F
5. WALK ON BY  ~ Tony Cody ~  M
6. SATURDAY SUNSHINE  ~ Bruce Forsyth ~  M
7. WIVES AND LOVERS  ~ Tony Hatch Sound ~  M
8. LOST HORIZON  ~ Dennis Lopez Liquid Latin Sound ~
9. TRAINS AND BOATS AND PLANES  ~ Anita Harris ~  F
10. Ceux Qui Ont Un Cœur (ANYONE WHO HAD A HEART)  ~ Petula Clark ~  F
11. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Sounds Orchestral ~
12. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ Craig Douglas ~  M
13. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Sandie Shaw ~  F
14. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Rex Harrison ~  M
15. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ David Snell ~
16. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Paper Dolls ~  F
17. I WAKE UP CRYING  ~ Jimmy Justice ~  M
18. THE STORY OF MY LIFE  ~ Gary Miller ~  M
19. MY LITTLE RED BOOK  ~ Rockin' Berries ~  M
20. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  ~ Julie Rogers ~  F
21. ALFIE  ~ Tony Hatch Orchestra ~
22. MAGIC POTION  ~ Jonny Sandon & The Remo Four ~  M
23. THIS EMPTY PLACE  ~ The Searchers ~  M
24. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ Jackie Trent ~  F
25. ANOTHER TEAR FALLS  ~ Mark Wynter ~  M
26. WISHIN' AND HOPIN'  ~ The Eagles ~  M
27. DON'T MAKE ME OVER  ~ Barbara Jean English ~  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約77分


英国Pyeレコードの音源から選曲された英国編集のバカラック物コンピ集です!

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Pye、姉妹レーベルPiccadilly、傘下の廉価盤レーベルMarble Archなどの1960年代中盤から1970年代前半の音源を中心に、同じ曲がダブらないようチョイスされています。ただし、何故か1曲だけ(T-27.)米国Alithiaレーベルの音源が…。なんででしょう? また、曲名欄にオリジナル・バージョンを示す◆マークがひとつもないようにオリジナル・バージョンは1曲もありません。アルバムのタイトル通り、27曲全てカヴァーでございます。

サンディ・ショウ、ペトゥラ・クラーク、トニー・ハッチ、アニタ・ハリスあたりはわかりますが、英国ポップスに疎い私にはピンとこないアーティストばかり。他のバカラック物コンピ盤で紹介されてないバージョンが多いのでそれらとの重複曲は少なく、お得ではあります。ブックレットのライナーには各曲の簡単な解説とともにアーティストの写真が載っていて(全員じゃないけど)、私のような人間にはありがたいっすね。せっかくなので写真だけピックアップしてご紹介します。
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まず私のレコメンドから。デニス・ロペス・リキッド・ラテン・サウンドのT-8. 「 失われた地平線 (ロスト・ホライズン) 」 は映画 『 失われた地平線 』 の主題歌。殆どカヴァーされてない超レア曲ですが、これを歌なしのインストでカヴァーしたのは彼らだけでしょう。バカラックもアルバム 『 LIVING TOGETHER 』 でセルフ・カヴァーした時は自身で歌ったくらいですからね。ちょいと遅め(♩≒100)の8ビート風ボサノヴァのリズムと弾むベースがなんともクール。フルートやトランペットが吹くメロディもいいですが、途中のオルガンやエレピもシブいです。

ジュリー・ロジャースが歌うT-20. 「 ロング・アフター・トゥナイト 」 は、元々ジミ-・ラドクリフという米男性ソウルシンガーがオリジナル(1964年)。これもあまりカヴァーされてない超レア曲です。彼女のカヴァーはカントリー調ソフト・ロックといった印象のアレンジが新鮮で素敵なのですが、特にイントロや間奏でホルンが奏でるオブリガードが堪りません。彼女の歌唱もアレンジにマッチしたブライトなものです。

アニタ・ハリスのT-9. 「 汽車と船と飛行機と 」 もレコメンドですが、以前取り上げた 『 Easy Listening BACHARACH 』 というバカラック物コンピ集で触れていますのでここでは割愛します。

このコンピ集、さきほどの2曲以外にも超レア曲が多いのが特徴。T-3. 「 カム・アンド・ゲット・ミー 」 はジャッキー・デシャノンがオリジナルですが、私が知ってるカヴァーはこのリサ・シェーンのみ。バカラックご本人がオリジネーターのT-6. 「 サタディ・サンシャイン 」 も、このブルース・フォーサイス版しかカヴァーを知りません。T-17. 「 アイ・ウェイク・アップ・クライング 」 、T-22. 「 マジック・ポーション 」 、T-25. 「 アナザー・ティア・フォールズ 」 あたりも超レア曲ですねー。

レコメンドじゃないけどユニークなカヴァーもいくつかあります。トニー・ゴーディのT-5. 「 ウォーク・オン・バイ 」 はアイザック・ヘイズ版のほぼ完コピ。バックの演奏含めてモノマネレベルです(笑)。半分セリフのように歌ってるレックス・ハリソンのT-14. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 は、彼は舞台/映画俳優だと知って納得。デイヴィッド・スネルのT-15. 「 遥かなる影 」 は珍しいハープによるカヴァー。ドラムス、ダブルベース、アコースティック・ギターとのジャズ・カルテット編成なのですが、ハープのアドリヴは新鮮でした。

T-21. 「 アルフィー 」 は前回ご紹介したトニー・ハッチのバカラック・カヴァー集 『 What The World Needs Now! 』 収録曲。T-7. 「 素晴らしき恋人たち 」 もトニー・ハッチですが、こちらはThe Tony Hatch Singers And Swingers 名義で男性コーラスが歌うイージー・リスニング。Pyeレコードのソングライター/アレンジャー/プロデューサーだったトニー・ハッチは、当時の奥様だったジャッキー・トレント、ペトゥラ・クラークの2曲、クレイグ・ダグラス、マーク・ウィンターの曲にもプロデュースやアレンジまたは伴奏で関与しています。

お得な反面、本コンピ盤は安直なコピー・アレンジの曲が多いのも事実。評価が分かれるところですが、リーズナブルなお値段であれば入手をお勧めいたします。


【データ】
『 Trains & Boats & Covers The Songs of Burt Bacharach 』
V.A.

CD:1999年6月1日リリース
レーベル:Sequel Records, Castle Music Ltd.(UK)
番号:NEMCD 409

T-1-26. original Pye Recordings
T-27. original Alithia Recording acquired by Sugar Hill Records
(Alithia ecords は米国ニュージャージー州のレーベル)

Compiled by Antony Amos
This compilation
Ⓟ 1999 Catsle Music Ltd.
Ⓒ 1999 Catsle Music Ltd.
Made in England

2018年2月25日 (日)

What The World Needs Now!/Tony Hatch & His Orchestra (1971年)

英国のソングライター、トニー・ハッチが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A2. TRAINS AND BOATS AND PLANES
A3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A4. WALK ON BY
A5. A HOUSE IS NOT A HOME
A6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. THE LOOK OF LOVE
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B5. ALFIE
B6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約37分


Tony_hatch_photo_3 トニー・ハッチ(1939-)は1960年代から英国ポップスをリードしてきたソングライターであり、数多くのアーチストを世に送り出してきた名プロデューサー。

1961年にパイ・レコードと契約。サーチャーズやデヴィッド・ボウイなどに作品を提供し、数々のヒット曲を生み出しました。ペトゥラ・クラークの 「 Downtown (恋のダウンタウン) 」 は英国人女性初の全米NO.1に輝き、 「 Call Me (コール・ミー) 」 は世界中の歌手にカヴァーされています。その活躍ぶりは “ イギリスのバカラック ” と称されるほど。

1960年代半ばからはオーケストラを率いてイージーリスニング・アルバムを数多くリリース。本アルバムはそんなイージー・リスニング・アルバムのひとつで、1971年にリリースされたバカラック作品集です。ジャケ写は女性の写真。もろイージーリスニングだぁ。

R1047189514981339584924jpeg_3同じ年に日本盤もリリースされました。邦題は 『 トニー・ハッチ<プラス>バート・バカラック 』。トニー・ハッチにバカラックを足すとは、どーゆーこと? もしかしてトニー・ハッチとバカラック、世紀の共演なのかっ!?

─  イギリス最高のサウンド・クリエーターが見事な4チャンネル・アレンジで贈るバカラック・ソング ─ (日本盤の帯コピー)

帯を読まないと誤解しますよねー。素直に 『 トニー・ハッチ<プレイズ>バート・バカラック 』 としとけばよいものを…。

プロデュース&アレンジはトニー・ハッチ自身。クレジットに記載はありませんが、オーケストラは小規模ビッグバンド+ストリングス+ハープってな感じでコーラスは一切なし。トニー・ハッチ自身は指揮してるのかな?

Img_0268eeeImg_0269fff 取り上げた12曲はバカラックの定番曲ばかり。1971年ですからB3. 「 雨にぬれても 」 やB4. 「 遥かなる影 」 も入ってます。アレンジの仕立ては “ 軽快で明るいイージーリスニング ”。どちらかというとストリングスより管楽器が目立ちますが、各楽器にまんべんなくメロディを担当させてます。特にバス・トランペットは珍しいと思います。普通ポップスには使わんでしょう。一般的なトランペットより1オクターブ低く音色はトロンボーンにそっくり。知らなかったので勉強になりました。(参考:トランペット6種類のデモ動画 ~ 最初がバス・トランペット)

─  バート・バカラックは、コードとリズム構造の複雑さとメロディのシンプルさを融合させるわざの持ち主です。ハル・デイヴィッドは、おきまりのありきたりな表現をスタイリッシュなオリジナリティーに変える技巧をモノにしました。私は何年もの間、彼らの複合的な才能に敬意を表してきました。このアルバムで彼らのグレイテスト・ヒッツ12曲を演奏することは私にとって途轍もなく大きな喜びです。 ─ (トニー・ハッチ、 裏ジャケのライナーより)

バカラックとハル・デイヴィッドの2人を同じようにリスペクトしているのは作詞と作曲の両方をこなすトニー・ハッチならでは。取ってつけたようなアレンジの曲はなく、彼の言葉が儀礼的なものではないことがわかります。ハープで始まるイントロやAメロ初め2小節の弾むハーモニーが特徴的なA1. 「 サン・ホセへの道 」 、いろんな楽器を贅沢に使ったアレンジでバス・トランペットがいいアクセントになっているB1. 「 小さな願い 」 、速いテンポ(♩≒140)のジャズワルツでブラスとストリングスがゴージャスに奏でるB6. 「 世界は愛を求めている 」 あたりがレコメンド。

他にも、フリューゲルホルン2本とフルートがうまくハモるA2. 「 汽車と船と飛行機と 」 、フリューゲルホルンとトロンボーンによるメロディの掛け合いがたまらないB5. 「 アルフィー 」 あたりも捨てがたいです。トニー・ハッチは日本ではともかく英国では超有名ですからCD化されていてもよさそうなもんなんですが…。

R357085415013377633140png なお、B2. 「 恋のおもかげ 」 だけは1968年のアルバム 『 Latin Velvet And Other Warm Sensations 』 からのキャリーオーバー。
流麗なストリングスにフリューゲルホルン、サックス、ピアノがシンプルにメロディを乗せたサウンドは、確かに本アルバムの他の曲とはちょっと雰囲気が異なります。私のレコメンドではありませんねー。

このように、本アルバム以外にもトニー・ハッチは自身名義でバカラック作品をレコーディングしています。
以下まとめてみました。対象はあくまで彼自身名義のアルバムで、例えば “ ジャッキー・トレント(当時の奥様) with トニー・ハッチ ” のようなアルバムは含みません。
Tony_hatch_list

R211496314665272806804jpegオマケとして、MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
上表のとおり、トニー・ハッチは1970年にリリースした Tony Hatch & The Satin Brass 名義のアルバム 『 Sounds Of The 70's 』 で 「 恋よさようなら 」(2:17) と 「 ディス・ガイ 」(3:20) を取り上げています。「 恋よさようなら 」 はマリアッチ調で、複数のトランペットによるメロディはどーみてもティファナブラスのパクリ(笑)。他にもホルンやトロンボーンがバリバリメロディを吹いてます。
「 ディス・ガイ 」 は本アルバムにも収録されていますが、イントロこそ似てるものの全くの別物。ボサノヴァ調で、後半は 「 恋よ~ 」 と同様に金管がバリバリ吹きます。本アルバム収録曲の方が私は好きですねー。


【データ】
『 What The World Needs Now! 』 (邦題:トニー・ハッチ<プラス>バート・バカラック)
Tony Hatch & His Orchestra With The Songs Of Burt Bacharach & Hal David

LP:1971年リリース
レーベル:Pye Records (UK)
番号:NSPL 41014

Produced by Tony Hatch
Arranged by Tony Hatch
Special Mentions
  Bass Trumpet - Ray Premru (A1,A6,B1)
  Flugel Horn - Tony Fisher (A2,B6), Greg Bowen (A2,A3)
  Trombone - Johnny Edwards (A2)
  Alto Sax - Ronnie Chamberlain (A5)
  Tenor Sax - Rex Morris (B5)

Recording Supervised by Ray Prickett at Pye Records Studios, London
Ⓟ1971 except B2. (Ⓟ1968)

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2018年2月18日 (日)

BACHARACH BRAVO!/Chris Hinze (1971年)

オランダの男性ジャズ・フルート奏者、クリス・ヒンゼが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. THE APRIL FOOLS
A2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A3. THE LOOK OF LOVE
A4. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B1. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B2. LET ME GO TO HIM
B3. PAPER MACHE
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

収録時間約36分


クリス・ヒンゼは1938年オランダ生まれのジャズ・フルート奏者。ハーグ王立音楽院で学び、1969年にバークリー音楽院に留学。1970年には自らのカルテットでモントルー・ジャズ祭に参加してソリスト賞を受賞しました。ジャズからバロック、1974年には尺八の山本邦山など邦楽器奏者とのセッション3部作を録音したり、後年はニューエイジに傾倒するなど幅広いジャンルで活躍した方のようです。

1969年に初リーダー作を録音。カルテットで2枚、クリス・ヒンゼ・コンビネーション名義で1枚のアルバムをリリース(ジャケ裏の3枚のLPジャケットがそれです)したあと、1971年にリリースした4枚目が本作です。

基本はフルート、ピアノ、ギター、ベース、ドラムスのクインテットで、更に一部の曲でフルート4人が参加。あまり馴染みのない編成なので新鮮ではあります。ちょっと残念なのはメンバーの写真がないこと。ジャケットにワケわからん写真使うくらいなら小さくてもいいから載せて欲しかったです…。

Imgp5321ccc_2Imgp5322ccc_2 収録された8曲は全てバカラック&デイヴィッド作品。

そのうちB2.. 「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム(恋に生きて) 」 とB3. 「 ペイパー・マシェ 」 はディオンヌがオリジナル。1970年のアルバム 『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』 収録曲で、どちらもシングルA面曲になったのですが、あまりカヴァーされていない曲です。超レアな 「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム 」 は私にとって初めて聴くカヴァー・バージョンとなりました。

全体にゆったりめで落ち着いたアレンジが多いです。各曲のテンポをその曲のオリジナル・バージョンと比較してみました。レーダーチャートをご覧ください。オリジナルより遅い曲が殆どです。特にA4. 「 汽車と船と飛行機と 」(♩≒72) とB3. 「 ペイパー・マシェ 」(♩≒70) はオリジナルよりグッと遅くて、受ける印象がかなり変わるのが面白い!
尚、B4. 「 遥かなる影 」 のオリジナルはリチャード・チェンバレンですが、ここではカーペンターズと比較しました。
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A面最初のA1. 「 エイプリス・フール 」 やB面最初のB1. 「 ディス・ガイ 」 は、他のどのカヴァーとも違うシンプル且つ幻想的なイントロから始まり、コイツは只者ではないな…と思わせます。全編を通して、クリスはフラッター・タングング(巻き舌)や尺八のような奏法など、派手ではないけれど様々な技を駆使してメロディを奏でています。このアルバムはイージー・リスニングなんかじゃなくてやっぱりジャズなんですね。

落ち着いたアレンジが多いと書きましたが、A2. 「 世界は愛を求めている 」 やA3. 「 恋のおもかげ 」 はクリスやピアノのアドリヴがけっこう多くてハードな仕上がり。特に 「 恋のおもかげ 」 はアヴァンギャルドなアドリヴで、 『 ルパン三世 』 TV第1シリーズの世界観と近しい印象を持ちました(あくまで個人的な感想ですが)。本アルバム中、私のイチオシです。

アドリヴもなく単調なB4. 「 遥かなる影 」 のようにちょっと残念な曲もありますが、どうしてこれまでCD化されてなかったんだろう?と訝しく思ってしまう、掘り出し物のアルバムでございました。地味ですけどねcoldsweats01

R105858615133448519141pngSankyoalto ちなみに、ワケわからんジャケ写は1973年の再発時にクリスの写真に差し替えられ、アルバム名もわかりやすく 『 Hinze Plays Bacharach 』 に変更されました。(画像左です)

再発時のジャケ写でクリスが吹いてるフルート、よく見ると管が平行に2本あります。クリスは曲によって普通のフルートとアルトフルートを吹き分けていますが、どうもU字管のアルトフルートみたいですね。アルトフルートは普通のフルートの1.5倍くらいの長さがあり手が届きにくくなることから、ストレートと一回曲げたU字管の2種類の形状(画像右参照)があるんですって。今回初めて知りましたflair

そのアルトフルートがそうなのかはわかりませんが、クレジットによればクリスのフルートはムラマツ製。日本製フルートが欧米で高い評価を得た最初の製品がムラマツフルートだった…と何かの本で読んだことがありますが、1970年頃すでにそうだっんだっ!?と認識しました。


【データ】
『 BACHARACH BRAVO! 』
Chris Hinze

LP:1971年リリース
レーベル:CBS (Netherlands)
番号:S 64312

Produced by Ruud Jacobs
Arranged by Chris Hinze
Personnel
  Chris Hinze - flute & alto flute
  Henk Alkema - piano & organ
  Wim Overgaauw - guitar
  Roger Cook - bass
  Frank Bennett - drums
  David Porcelijn - flute (A2,B2,B4)
  Rien de Reede - alto flute (〃)
  Govert Jurriaanse - flute (〃)
  Margriet De Wijs - flute (〃)

Chris Hinze plays a silver Muramatsu flute

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2018年2月11日 (日)

Promises, Promises/Aimi Macdonald and Ronnie Carroll (1969年)

UKアーティストによるミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のスタジオ・キャスト・アルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. OVERTURE  ~ Orchestra ~
A2. HALF AS BIG AS LIFE  ~ Ronnie Carroll
A3. UPSTAIRS  ~ Ronnie Carroll
A4. YOU'LL THINK OF SOMEONE  ~ Aimi Macdonald and Ronnie Carroll
A5. SHE LIKES BASKETBALL  ~ Ronnie Carroll
A6. KNOWING WHEN TO LEAVE  ~ Aimi Macdonald
B1. TURKEY LURKEY TIME  ~ Daphne Bonnet, Lissa Gray and Christine Parker
B2. A FACT CAN BE A BEAUTIFUL THING  ~ Ronnie Carroll and Patricia Whitmore
B3. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU  ~ Aimi Macdonald
B4. WHERE CAN YOU TAKE A GIRL?  ~ Frank Holmes, Fergus O'Kelly, Eddie Lester and Charles Young
B5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Aimi Macdonald and Ronnie Carroll
B6. PROMISES, PROMISES  ~ Ronnie Carroll

収録時間約35分


─  ブロードウェイでの大ヒットを受け、『 プロミセス・プロミセス 』 ロンドン公演が10月2日プリンス・オブ・ウェールズ・シアターで始まった。「 THE STORY OF MY LIFE(ストーリー・オブ・マイ・ライフ) 」 「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている) 」 「 ANYONE WHO HAD A HEART(恋するハート) 」 などこの10年の間に数多くのヒット曲を生んだバート・バカラックとハル・デイヴィッドによる最初のミュージカルである。一番の人気曲 「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら) 」 は公演開始一週間以内にUKチャート1位となり、ショーの成功を改めて裏付けることとなった。そのほか注目すべき曲は、「 WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU(あなたはあなた) 」 「 WANTING THINGS(ウォンティング・シングス) 」 そして、とても楽しいタイトル曲である。 ─ (ジャケ裏のライナーノーツより)

1969年、『 プロミセス・プロミセス 』 のロンドン公演が始まって一週間経った頃の描写からライナーノーツは始まっています。前回記事で紹介したロンドン・オリジナル・キャスト・アルバムと同じく1969年にリリースされた本アルバム、ロンドン公演のキャストは一人も参加していません。

アルバムの名義はアイミ・マクドナルドとロニー・キャロル。ジャケットの2人です。略歴がライナーに書いてありましたので引用して紹介します。(邦題やUKチャートなど参考情報を追記しました)

─  フランスとアメリカでバレエのキャリアをスタートさせた後、アイミはイングランド戻ってミュージカル 『 On the Town(オン・ザ・タウン) 』 『 Boys from Syracuse 』 に出演。そのあと彼女はTVコメディ・シリーズ 『 At Last The 1948 Show 』 で大ブレーク、“ the lovely Aimi Macdonald ” のキャッチフレーズが付いた。シリーズ終了後すぐに彼女はガーシュインの 『 Lady, be good(レディー、ビー・グッド) 』 でLionel Blairと共演した。 ─

─  ロニー・キャロルは約12年間歌手として活動しており、「 Say wonderful things 」(1963年、UK6位)、「 Roses are red 」(1962年、UK3位)、「 Dear heart 」 などのヒット曲がある。リラックスした歌唱スタイルを持ち、長年にわたり多くのラジオやTV番組に出演してきた。このところ録音が減っていたが以前と同様に彼が歌うのを聴けて非常に喜ばしい。 ─

作品や曲がわからないので読んでもピンときませんがcoldsweats01

Pp_uk_studio_cast_5この2人以外に、一部の曲では他のアーティストも参加しています。左の表はミュージカルの役と本アルバム参加アーティストの関係をまとめたものですが、その曲を歌う役に合わせて歌手をあてがってるワケですね。

Wikiで調べて知ったのですが、公演キャストとは別にレコーディングしたアルバムをスタジオ・キャスト・アルバムって言うんですね。?マークの方は出身&生年等調べてもわからなかったのですが、UKの色々なスタジオ・キャスト・アルバムに名前が出てくる…そんな方々ばかりでございます。

Imgp5319cccImgp5320ccc 収録されているのは、オリジナル・キャスト・アルバム(以降、OC盤)の17曲からシェルドレイク役やドレイファス医師役が歌う曲などをカットした12曲。オケのアレンジはOC盤に似ているけど全くの別物。レコードを耳コピしてOC盤を再現しようとしたけど力及ばず…だったのかなぁと推察。唯一みられる独自の工夫は、A1. 「 序曲 」 の途中に 「 恋よさようなら 」 を挿入したこと。時間にして20秒間、アイディアは良いのですが惜しむらくはここのアレンジが安直で…。時間に余裕がなかったのかしらん。

チャック役ロニーの歌唱は安定していて、とびぬけたところはないけれど安心して聴くことが出来ます。一方、フラン役のアイミはちょっとツラい。ネコ声なのはいいのですが、若い(当時27歳)わりに声の張りは無く音程は不安定。特にバラードのB3. 「 あなたはあなた 」 はそれが顕著。他のアーティストが頑張ってるだけに余計アイミの不安定さが目立ちます。

全体的なクオリティは明らかにOC盤より低く、本アルバムはオススメ致しかねます。これだったらOC盤を買えばいいワケで…。企画意図がよくわかりません。イージーリスニングのように原曲とは一味違ったアレンジで特徴を出すのならまだ存在意義があるんでしょうけどね。

そういう意味では、超一流アーティストが歌うスタジオ・キャスト・アルバムを作ったら面白いと思うんですけどね。OC盤を上回る圧倒的なクオリティで! 英国だったら、ちょうど今 『 トゥギャザー・ジャパン・ツアー 2018 』 (2018年2月10~12日、@東急シアターオーブ)で来日しているマイケル・ボールとアルフィー・ボーでアルバム制作したらスゴイことになるだろうなぁ。チャック役はどちらもキャラ合わないけど、ふたりともバカラック作品をカヴァーしているのでオファーしたらOKしてくれそうだし…などと夢想するあるでおでした。
マイケル・ボール 『 BACK TO BACHARACH 』
アルフィー・ボー 『 TRUST 』


【データ】
『 Promises, Promises 』
Aimi Macdonald and Ronnie Carroll

LP:1969年リリース
レーベル:fontana (UK)
番号:SFL 13192

プロデュース、アレンジ等は不明。
Orchestra directed by Keith Roberts
その他クレジットは前述の表を参照ください。
Ⓟ1969

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年2月 5日 (月)

PROMISES, PROMISES/Original London Cast Recording (1969年)

ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のオリジナル・ロンドン・キャスト・アルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. OVERTURE  ~ Orchestra ~
A2. HALF AS BIG AS LIFE  ~ Anthony Roberts
A3. UPSTAIRS  ~ Anthony Roberts
A4. YOU'LL THINK OF SOMEONE  ~ Betty Buckley, Anthony Roberts
A5. OUR LITTLE SECRET  ~ Anthony Roberts, James Congdon
A6. SHE LIKES BASKETBALL  ~ Anthony Roberts
A7. KNOWING WHEN TO LEAVE  ~ Betty Buckley
A8. WANTING THINGS  ~ James Congdon
A9. TURKEY LURKEY TIME  ~ Donna McKechnie, Miranda Willis, Susi Pink
B1. A FACT CAN BE A BEAUTIFUL THING  ~ Anthony Roberts, Kelly Britt
B2. GRAPES OF ROTH  ~ Orchestra ~
B3. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU  ~ Betty Buckley
B4. WHERE CAN YOU TAKE A GIRL?  ~ Ronn Carroll, Jay Denyer, Ivor Dean, Don Fellows
B5. CHRISTMAS DAY  ~ Toni Eden, Eula Parker, Jackie Lee, Barbara Moore
B6. A YOUNG PRETTY GIRL LIKE YOU  ~ Anthony Roberts, Jack Kruschen
B7. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Betty Buckley, Anthony Roberts
B8. PROMISES, PROMISES  ~ Anthony Roberts

所要時間約44分


ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のオリジナル・ロンドン・キャスト・アルバムです。

本家ブロードウェイ版 『 プロミセス・プロミセス 』 の好評を受け、ロンドンのウエスト・エンドで1969年10月にオープン。560回上演してこちらも好評だったそうです。ジャケットにクレジットされていた主なスタッフ及び主要キャストは以下表のとおり。ブロードウェイ版も併記しました。
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照明と演出を除いてブロードウェイ版(以降、BW版)のスタッフが名を連ねています。Original production directed by とわざわざBW版の演出家までクレジットされていますし、アルバムのジャケットもそっくり。BW版と同じクオリティを目指したものと推察します。

チャック役のトニー・ロバーツについては 『 バカラック自伝 』 にエピソードが載っています。BW版のリハーサル中のこと。脚本のニール・サイモンがチャック役のジェリー・オーバックを嫌ってトニー・ロバーツの起用をプロデューサーに進言。香港からトニー・ロバーツをニューヨークに呼び戻したのですが、急にニール・サイモンがジェリー・オーバックを代えないと言い出して結局この話はおじゃんに。ウエスト・エンド版(以降、WE版)のチャック役は彼以外あり得なかったのかも…。トニー・ロバーツはその後、ブロードウェイで2代目チャックとなったそうです。良かったね、トニー。

フラン役のベティ・バックリーは1947年生まれで1969年当時22歳。出身地のテキサス州で一度は会社勤めをしたものの同年ニューヨークにやってきてブロードウェイ・デビューしたばかりでした。BW版のフラン役ジル・オハラがその後鳴かず飛ばずだったのに対して、ベティ・バックリーは映画/TV/ミュージカルなど幅広く活躍。ミュージカル 『 キャッツ 』 のブロードウェイ初演でグリザベラ役を演じて1983年トニー賞助演女優賞を受賞しています。尚、Wikiによればブロードウェイ何度目かの米国内ツアーの時にもフラン役を演じたそうです。

BW版が上演中ですから当然別の役者がキャスティングされているのですが、唯一の例外はミス・デラ=ホヤ役のドナ・マッケニー。のちにミュージカル 『 コーラスライン 』 で1976年のトニー賞主演女優賞を獲得しています。ブロードウェイは代役に交代したのかな。

表の主要キャストのうち英国の役者はカークビー役とアイケルバーガー役の2人のみ。ただ、役名は載ってないけれどB5. 「 クリスマス・デイ 」 を歌う女性4人組のうちアイルランド生まれの歌手Jackie Lee(ジャッキー・リー)と英国生まれでスキャットの女王として知られるBarbara Moore(バーバラ・ムーア)はWE版ならでは…なんだそう(某サイトの受け売りです^^;)。

Imgp5329cccImgp5332ccc 曲目はBW版と同じなのですが、構成面では細かいところでいくつか違いがあります。A3. 「 二階の僕の部屋 」 はBW版が2コーラス歌うのに対して1コーラスのみ、A9. 「 ターキー・ラーキー・タイム 」 では中盤にある間奏部に1小節挿入してドラムスのアドリブを強調、B3. 「 あなたはあなた 」 は終止形で終わるBW版に対しフェードアウトで終わる、B5. 「 クリスマス・デイ 」 の冒頭にフルートのソロを4小節追加する代わりにBW版にあるアウトロを省略、B8. 「 プロミセス・プロミセス 」 でBW版はフェードアウトですが終止形で終わっている、といったところです。

アレンジは基本同じなのですが、オケのメンバーや指揮者は現地調達でしょうから表現上の違いがみられます。例えばA1. 「 序曲 」 の前半、「 去りし時を知って(もうさようならの時) 」 のサビをトランペットが吹くところ。2小節だけ音型を比較してみたのがコレ。
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1969年のアルバム 『 MAKE IT EASY ON YOURSELF 』 でバカラックがセルフ・カヴァーした 「 去りし時を知って 」 のサビの音型はBW版と瓜二つ。─  わたしの書いたパートを、わたしが希望する通りのかたちでプレイさせることに強くこだわっていた ─ とBW版リハーサルの模様をバカラックが自伝で触れていますが、ナルホド納得です。片やWE版にバカラックが関与することはなかったのでしょう。自伝にもそんな記述ありませんし。
それと、B6. 「 可愛い女の子(若くてかわいい女の子) 」 だけキーが2度高いです。ドレイファス医師役の声域に合わせて移調したのでしょう。

トニー・ロバーツはジェリー・オーバックより4歳若いのですが、このアルバムを聴く限り逆なんじゃ?と思えます。声質は似ていますが声量が少し負けてるのかなと。A3. 「 二階の僕の部屋 」 やA4. 「 誰かいるさ 」 のようなアップテンポの曲では所々リズムに乗れない部分もあったりして。私はジェリー・オーバックに軍配を上げます。

ベティ・バックリーとジル・オハラは同い年。お互いブライトな声質で声量もあり甲乙つけがたいです。幾分ネコ声気味のベティ・バックリーの方が茶目っ気ある印象を受けますが、フラン役をどう演じるかに関わる話でありどちらがいいとは言えません。軍配は引き分けです。個人的な好みを言うとベティ・バックリーかな。

このミュージカルで最もお客さんに受ける場面でチャック役とB1. 「 事実は美しいはずなのに 」 を歌うマージ役。これはWE版のケリー・ブリットがもう抜群です。酔ってチャックをおちょくる女性を表情豊かに演じていて、チャック役のトニー・ロバーツをうまくリードしています。フラン役との絡みがイマイチなトニー・ロバーツもこの曲では生き生きとして息の合った絡みをみせます。

BW版とWE版を比較して雰囲気がちょっと違うと思ったのはコーラス形式で歌うB5. 「 クリスマス・デイ 」 。テンポが速めでゴージャスなBW版に対し、WE版はゆったりしたテンポで情感豊か。雰囲気が好きなのはWE版の方です。

このWE版の中古LPを私はDiscogsのマーケットプレイスでゲットしたのですが、2010年に米国 Kritzerland レーベルから1,000枚限定でCD化されていることをごく最近知りました。日本のAmazonでは扱ってませんが、UKとドイツの Amazon では扱ってるようです。とはいっても新品は売り切れてて中古だけ、しかもお値段かなりするようですが。内容的にはBW版と大きな違いはありませんから、興味ある方は中古LPをリーズナブルな価格で購入するのがよろしいかと。


【データ】
『 PROMISES, PROMISES 』
Original London Cast Recording

LP:1969年リリース
レーベル:United Artists (UK)
番号:UAS 29075

クレジットは前述の表を参照ください。

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2018年2月 3日 (土)

the Lost BBC sessions 1967/Jeff Beck Group (2018年)

ジェフ・ベック・グループ、結成直後の1967年の3回のBBC出演ライヴを収めたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録! …なのですが

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全18トラック中、バカラック作品は1トラック

12. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  (2:48)


Img044ccc ジェフ・ベック・グループ、結成直後の1967年の3回のBBC出演ライヴを収めたアルバムです。どんなアルバムなのか、CD帯の紹介文がコンパクトに纏まってましたので引用させていただきます。

─  孤高のギタリスト/ジェフ・ベックがロッド・スチュワートをヴォーカル、ロン・ウッドをベースに迎え結成した “ ジェフ・ベック・グループ ” の貴重な初期ライヴ解禁! ジェフが歌う 「 Hi Ho Silver Lining 」 などでは鋭角的なギター・ソロで公式発表テイクと較べ圧倒的にロックなパフォーマンスを聞かせます。BBCマスター消失により音質にバラつきもありますが 「 ロック・マイ・プリムソウル 」 、「 迷信嫌い 」 など全テイクが元祖ハードロックと呼ばれる迫力ある演奏です。B・バカラック曲の独創的カヴァーは必聴。ボーナスとしてマーキー・クラブでの 「 ジェフス・ブギー 」 などライヴ4曲を追加収録。 ─ (CD帯より)

キッカケは何かのニュース記事。ちょうど本アルバム発売日にその記事を目にしてバカラック・カヴァーが入ってることを知ったのです。そこでAmazonを見たら次の様な記述が目に留まりました…。

─  そして最大のサプライズはバート・バカラック・ソングのカバー 「 You'll Never Get to Heaven 」 。ジェフの爆音コードが鳴らされると、主旋律は何とロン・ウッドのベース・ソロが受け継ぎロッドを中心にメンバーによるアカペラ・コーラスへと進行し、ほとんどソフト・ロックな雰囲気で仰天必至です。 ─ (Amazon 商品の紹介 “ 内容説明 ” より)

サプライズに仰天必至だと? ロックはワタクシど素人で、ジェフ・ベックは名前を知ってるだけ。でも、これは聴かねば! 試聴/ダウンロードはできないのか…。 ほんじゃ買うしかねーじゃん!!

─  ご存知の様にBBC放送には既にマスターが残されていないため、ここでも音質的にやや問題のある音源(track.5,11,12,13,14)も含まれていますがそれでも近年発見されたマスターからの収録に努めました。 ─ (同上)

そりゃー読みましたょ、一応。 音質的にやや問題のある音源? よござんしょ、“ やや ” ぐらいならOKだぜ! ポチッ!!

CDは翌日届きました。他のトラックには目もくれずT-12. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」 を再生! ………なんだ? このヒドイ音質は…。まるで短波放送で遠い海外放送局を聴いてるかのような感覚。ノイズレベルが高くて音が遠くなったり近くなったり。そういえば小学生~中学生のころBCL流行ったよなぁ、懐かしいconfident いや、そんなこたぁどーだっていい! ライナーによれば、BBCはマスターテープを破棄。一部はローカル局の放送用にLPレコードにプレスして残したそうですが(T-3,7,9.など)、その他は一般視聴者によるラジオ放送の録音だそう。ナルホドそれで疑問が解けました。それにしてもヒド過ぎます。こんなもの売り物にすんじゃねーっつーのっannoy

Img045fffCD帯をひっくり返すとこんなことが書いてありました。

─ (略) 20世紀の音楽遺産を未来へ伝承すべく企画されたシリーズです。マスターに起因するノイズ、音トビ、録音ムラ等のお聴き苦しい点が含まれている場合が御座いますが、50年以上前の当時の録音機材、録音環境、録音状況、また録音テープの経年劣化によるものであり、制作・製造上の瑕疵やディスク不良では御座いません。何卒ご理解の上、アーティスト達の今尚色褪せぬ素晴らしい演奏をお楽しみくださいますようお願い申し上げます。 ─ (CD帯のウラ側より)

つまり我々(制作サイド)に責任はありませんと。アーティストのマニア/ファン向けの企画なのですね。あんたら好きで買ったんでしょ?と。

仕方がない。気を取り直して 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」 ですが、曲の後半にある20秒弱ほどのアカペラ・コーラスを除く全編でベースがメロディを弾いています。珍しいですし独創的と言えると思います。が、このベースによるメロディライン、お世辞にも素晴らしい演奏とは言えません。音質が悪すぎてそれすら判断できないとゆーか。クリアな音質で聴きたかったなー。トホホcrying

尚、番組DJによる曲紹介MCがトラックの冒頭と最後に入ってます。曲とかぶってないのでカットできると思うんですけどね。ま、どーでもいいですcoldsweats01

他の曲については特に感想もないしノーコメントです。悪しからず。


【データ】
『 the Lost BBC sessions 1967 』 (邦題:ザ・ロスト・BBCセッションズ 1967)
Jeff Beck Group

CD:2018年1月31日リリース
レーベル:Eternal Grooves (JP)
番号:EGRO-0004

Jeff Beck (Guitar) Vocal on T-1,9.
Rod Stewart (Vocal)
Ron Wood (Bass)
Rod Coombes (Drums) on T-1~5.
Aynsley Dunbar (Drums) on T-7~9.
Mickey Waller (Drums) on T-10~14.

T-1~6.: Saturday Club, rec. date: March 7, 1967
T-7~9.: Saturday Club, rec. date: July 4, 1967
T-10~14.: Top Gear, rec. date: Nov. 1, 1967
T-15~18.: <BONUS TRACK> Marquee Club, London Sept. 26, 1967

2018年1月28日 (日)

THE BEAT MY HEART SKIPPED/The Blue Devils (2011年)

米国のドラムコー、ブルーデビルスの2011年のプログラムを収めたアルバム。この年はオール・バカラック・プログラムでした。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. HOUSE IS NOT A HOME (1:01)
2. SUMMER OF '77 (2:40)
3. I SAY A LITTLE PRAYER (3:20)
4. WOMEN (1:46)
5. WIVES AND LOVERS (1:27)
6. HOUSE IS NOT A HOME (Reprise) (1:30)
7. SALVATION IS CREATED (0:54)
8. Bb TUNING MAJOR (0:55)
9. Bb TUNING MINOR (0:58)
10. MALFRED - PERCUSSION (1:27)
11. PARADISE 2011 - PERCUSSION (1:43)


収録時間約18分 (T-1~6. Total 11:44)


米国のドラムコー、ブルーデビルスの2011年のプログラムを収めたアルバムです。

ドラムコー (Drum corps) とは、打楽器、金管楽器、カラーガードによって編成されたマーチングアンサンブルのこと。正式にはドラム&ビューグル・コー (Drum and bugle corps) といいます。ただし、吹奏楽編成のマーチングバンドとは起源や発展の歴史が全く異なるそうで、別のカテゴリーです。

ブルーデビルス (The Blue Devils、以降BD) は、米国カリフォルニア州コンコードを拠点とするドラムコー。Drum Corps International (ドラムコー連盟のひとつ、以降DCI) 大会のワールドクラスで過去最多となる18回※の優勝を誇ります。 (※2017年大会まで)

DCI大会は毎年8月中旬に行われます。ワールドクラスの場合は6月1日時点で21才以下という年齢制限があり、最大150名で最大12分間のプログラムを披露してスコアを競います。100点満点のスコア配分は、General Effect 40点、Visual 30点、Music 30点。ビジュアルと音楽が半々ということから、ドラムコーは総合舞台芸術なんだとわかります。

アルバム・タイトルの 『 THE BEAT MY HEART SKIPPED 』 はプログラム名。T-1~6.まで6トラックに分割して収録されています。ただし、大会のライヴ音源ではなくて大会の数日前にスタジオ録音したものです。動き回るはずの金管楽器やドラムの音(定位)が固定されたままですからねー、納得。

BD公式サイトによればプログラムのレパートリーは以下のとおり。そう、オール・バカラック・プログラムなんです。
・A House Is Not a Home
・Summer of '77
・Walk On By
・One Less Bell To Answer
・Woman
・I Say A Little Prayer
・Wives And Lovers
・God Give Me Strength

実は、私が最初にBDを知ったのはまったりさんのブログでして。 → こちら
ここまでの内容、まったりさんのブログとかなりダブっていますがご容赦くださいませm(__)m。記事を読むとまったりさんの興奮が伝わってきますね~。動画の一部は現在再生できなくなってますが…。

先ほどのBD公式サイトでは本アルバムと同じ6トラックを聴くことが出来ます。加えて、分割されてないフルバージョンも! (だったらCDにも収録しろよ~T_T) → こちら 

2011年BDのメンバー構成は以下のとおり。
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年齢17才~21才の男女たち150人の大迫力サウンドに圧倒されます。ただのメドレーじゃなくて、元曲のメロディラインやモチーフを取り出して組曲風に再構築した形のアレンジもスゴイなぁと思います。日本だと細かいミスを出さないようにきっちり演奏しよう…となりがちですが、細かいところをあまり気にしないダイナミックな演奏は聴いてて楽しいですねー。

T-2. 「 SUMMER OF '77(サマー・オブ・'77) 」 とT-4. 「 WOMAN(ウーマン) 」 はバカラック1979年のアルバム 『 WOMAN 』 の収録曲。2曲ともカヴァーされた初めてのケースだと思うのですが、そんな超レアな曲をチョイスしたトコロにも感心しちゃいます。なんてチャレンジングな!

T-3. は 「 小さな願い 」 というタイトルになっていますが、3分20秒間 の尺のうち最初の約40秒間は 「 WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ) 」 が、続く約1分間は 「 ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに) 」 のモチーフやメロディが組み込まれています。一方、公式サイトに挙げられていたレパートリーの中で何度聴いてもどこに使われているのか判らないのが 「 GOD GIVE ME STRENGTH 」 。どなたか教えてくださいませm(__)m

T-7~11.は練習用の曲でバカラック作品ではありません。

2011年8月13日に行われたDCI大会決勝、BDはスコア 97.8 で惜しくも2位でした…。そのパフォーマンスがYouTubeにアップされています。ビジュアルと音楽どちらも大事なドラムコーは動画じゃないと楽しさ半減ですので是非ご覧くださいませ。 → こちら

なお、購入したCDはオンデマンドCDでメディアもCD-R。ライナーノーツやクレジットも一切無くショボいですcoldsweats01。どうしても音源欲しい方はMP3で、そうでない方はBD公式サイトやYouTubeをお聴きになればよろしいかと。


【データ】
『 THE BEAT MY HEART SKIPPED 』
The Blue Devils

MP3/CD:2011年8月13日リリース
レーベル:Blue Devils Mediabox
番号:なし ※ On Demand CD (メディアはCD-R)

Recording date: August 9, 2011

2018年1月21日 (日)

The Love Songs Of Burt Bacharach/V.A. (1999年)

英国のポリグラム系再発レーベルから1999年にリリースされた英国編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WALK ON BY  ~ Gabrielle ~  F
2. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ Aretha Franklin ~  F
3. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Dionne Warwick ~  F
4. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ The Walker Brothers ~  M
5. THE LOOK OF LOVE  ~ Gladys Knight & The Pips ~  F
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Deacon Blue ~  FM
7. WISHIN' AND HOPIN'  ~ Dusty Springfield ~  F
8. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Sandie Shaw ~  F
9. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  ~ The Stylistics ~  M
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ Jackie DeShannon ~  F
11. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  ~ Burt Bacharach ~
12. TRAINS AND BOATS AND PLANES  ~ Billy J. Kramer and The Dakotas ~  M
13. LET THE MUSIC PLAY  ~ The Drifters ~  M
14. 24 HOURS FROM TULSA  ~ Gene Pitney ~  M
15. ONE LESS BELL TO ANSWER  ~ The 5th Dimension ~  F
16. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ B. J. Thomas ~  M
17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  ~ Tom Jones ~  M
18. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  ~ Christopher Cross ~  M
19. ANYONE WHO HAD A HEART  ~ Luther Vandross ~  M
20. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Burt Bacharach ~
21. MAGIC MOMENTS  ~ Perry Como ~  M
22. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  ~ Elvis Costello ~  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約72分


英国のポリグラム系再発レーベル、PolyGram TVから1999年にリリースされた英国編集のバカラック物コンピ集です。

ポリグラム系のレーベルですが、他のメジャー・レーベル系からも幅広くチョイスしています。
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全22曲中、UKチャート入り14曲/USチャート入り14曲という具合にヒットしたバージョンが多くを占めています。コンセプトが似ている英国編集コノイシュア盤(全24曲中UK14/US12)といい勝負。コノイシュア盤と重複してる8曲はバカラック物コンピ集の定番ですね(リスト枠外左に > マーク付けたヤツ)。

まず気になったのはUKだけでヒットした3曲。T-1. 「 ウォーク・オン・バイ 」 を歌ってるガブリエルは1970年ロンドン生まれの女性ポップシンガー。1997年にUK7位になってるのですが、怪しげな雰囲気で始まるイントロと今風のリズムを除いてディオンヌ版とそれほど変わらずちょっと期待外れかな。グラディス・ナイト&ザ・ピップスのT-5. 「 恋のおもかげ 」 は1968年のアルバム収録曲。米国ではシングルになってないのですが何故か英国で1973年にシングル化されてUK21位! 渋いソウル・ナンバーに仕上がっていてグラディスの歌唱も大人の魅力プンプン。コレはレコメンドっす。あと、T-6. 「 恋よさようなら 」 はスコットランドはグラスゴー出身のポップ/ロック・バンド、デーコン・ブルーのカヴァー。女性ゲスト・ヴォーカルも参加してスロー・バラードにアレンジ。悪くはないけど1990年にこれがUK2位になるんだから英国ってのはやっぱりバカラックが好きなんだなぁと。

ヒットしてないけどレコメンドのカヴァーを2曲。

ルーサー・ヴァンドロスのT-19. 「 恋するハート 」 は大好きなカヴァーなんです。聴くといつも心がムズムズします。1986年のアルバム 『 GIVE ME THE REASON 』 の収録曲で、シングルにはなってないけれどルーサーの代表曲のひとつです。

そして本コンピ集最大の目玉、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのT-22. 「 恋のとまどい 」 。1977年秋に行われたスティッフ・レコード所属アーティストのツアー “ Live Stiffs Tour ” の演奏を収めたアルバム 『 Live Stiffs Live 』 に入ってるヤツです。録音環境があまり良くなかったのか痩せた音に聴こえるのがちょいと残念ですが、シンプルなバックの演奏に乗っかったコステロの歌唱にはバカラック愛を感じます。この時コステロ23歳。やっぱり昔からバカラック好きだったのね。

バカラック爺とコステロは数日前(*)、カリフォルニアの山火事で被災した競走馬調教施設の犠牲者・被害者のために一緒にチャリティ・ライヴをしたばかり。ステージでピアノを弾くバカラック爺の画像をSNSで拝見しましたが、お元気そうでなによりでした。ライヴのセットリスト見たら 「 恋のとまどい 」 も載ってましたし(追記:その演奏もYouTubeに上がってます!)。
今年5月には卒寿祝いbirthdayを盛大にやらなくちゃ!

(*) 2018年1月17日


【データ】
『 The Love Songs Of Burt Bacharach 』
V.A.

CD:1999年3月8日リリース
レーベル:PolyGram TV (UK)
番号:564 265-2

This album Ⓟ1999 PolyGram TV, a division of the Universal Music Group.
Ⓒ1999 PolyGram TV, a division of the Universal Music Group.

※ Amazon.jpでは本CD見当たらず (Amazon.UKには有ったのですが…)

2018年1月14日 (日)

more from the BURT BACHARACH songbook/V.A. (1998年)

1998年にリリースされた米国編集のバカラック作品コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ B. J. Thomas ~  M
2. BABY IT'S YOU  ~ The Shirelles (Album version) ~  F
3. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  ~ Bobby Darin ~  M
4. SEND ME NO FLOWERS  ~ Doris Day ~  F
5. ANY DAY NOW  ~ Chuck Jackson ~  M
6. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  ~ Brenda Lee ~  F
7. PROMISES, PROMISES  ~ Jerry Orbach ~  M
8. KNOWING WHEN TO LEAVE  ~ Michele Lee ~  F
9. BLUE ON BLUE  ~ Bobby Vinton ~  M
10. WISHIN' AND HOPIN'  ~ Nancy Sinatra ~  F
11. 24 HOURS FROM TULSA  ~ Gene Pitney ~  M
12. HOT SPELL  ~ Margaret Whiting ~  F
13. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ The Walker Brothers ~  M
14. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ The Anita Kerr Singers ~  FM
15. WALK ON BY  ~ Isaac Hayes ~  M
16. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Burt Bacharach ~

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約45分


1998年に米Varèse Sarabande Records(ヴァレーズ・サラバンド・レコーズ) の Varèse Vintage(ヴァレーズ・ヴィンテージ) レーベルからリリースされた米国編集のバカラック&デイヴィッド作品コンピ集 『 the burt bacharach songbook 』 の続編です。

─  このソングブック第2集は、バカラック作品の “ エヴァーグリーンさ ” をより確かなものにしてくれます。第1集と同様に、あまり知られていないカヴァー・バージョンや希少なものとお馴染みの人気曲をミックスして皆さんにお届けします。 ─ (ライナーより、編者のひとりであるJim Pierson氏)

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第1集もそうでしたが、全16曲はレーベルの縛りなくコンパイルされたもの。念のため確認しましたが第1集との重複はありませんでした。

オリジナル・バージョンは7曲。多くは定番物ですが、ドリス・デイのT-4. 「 センド・ミー・ノー・フラワーズ 」 とマーガレット・ホワイティングのT-12. 「 ホット・スペル 」 は比較的希少かも。

残り9曲のカヴァー・バージョンの中にも希少なものがあります。
まずミッチェル・リーのT-8. 「 去りし時を知って 」 。1968年のミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 の曲をすぐにカヴァーしたもので、テンポやリズムはオリジナルとほぼ同じ。ですが、センスの良い味付けが素敵なんです。ノーテンキなイントロは変拍子になっていて思わずニヤッとなります。オブリガートや間奏に多用しているシンコペーションの音型は、原曲のAメロに一小節だけあるシンコペーションのオブリガートを展開させたものと思われますが、あの時代のポップス感が漂う魅力的なもの。エンディング前のコーラスワークなどはフィフス・ディメンションを彷彿とさせます。プロデュース&アレンジを担当したのは、フランク・シナトラ 「 真夜中のストレンジャー 」 のアレンジでグラミーを受賞したこともあるアーニー・フリーマンというピアニスト/アレジャー。いい仕事してます。オリジナルのジル・オハラと較べると声が低くキーも2度低いですがミッチェル・リーも落ち着いた歌唱で破綻なく歌っています。個人的にはとってもレコメンドです。

カヴァー・バージョンでは他に、コーラス・ワークが魅力的なアニタ・カー・シンガーズのT-14. 「 小さな願い 」 、独自の世界観を見せるアイザック・ヘイズのT-15. 「 ウォーク・オン・バイ 」 あたりもあまりバカラック物コンピ集では見かけないので希少ですし且つレコメンドです。


ここからはオマケです。MP3データしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
A_taste_of_the_fantastic_michele_leR445011313652084457685jpeg さきほどご紹介したミッチェル・リーは1942年生まれの米国女優。1960年代から舞台やミュージカル、映画やTVドラマで活躍したお方で、代表作はTV昼ドラの 『 Knots Landing 』 だそう。前述の 「 去りし時を知って 」 はシングル・オンリーでしたが、リリースした2枚のアルバムの中で3曲バカラック作品をカヴァーしています。
「 世界は愛を求めてる 」(3:01) は1966年リリースのファースト・アルバム 『 A Taste Of The Fantastic Michele Lee 』 (左)に収録。ゆったりしたゴージャスなオーケストラ・サウンドをバックに歌い上げる様は、まるでミュージカルの一場面のよう。これもレコメンドですねー。
1968年リリースのセカンド・アルバム 『 L. David Sloane And Other Hits Of Today 』 (右)では 「 恋のおもかげ 」(2:29) と 「 サン・ホセへの道 」(3:03) をカヴァー。どちらも安直なコピーではなく独自のアレンジを施しているのですが、私的にはレコメンドではありません。


【データ】
『 more from the BURT BACHARACH songbook 』
V.A.

CD:1998年11月17日リリース
レーベル:Varèse Vintage / Varèse Sarabande Records(US)
番号:VSD-5987

Collection Produced by Cary E. Mansfield and Jim Pierso
Sound Produced by Bill Inglot
Notes by Jim Pierson

This compilation ⓅⒸ1998 Varèse Sarabande Records, Inc.
Manufactured by Varèse Sarabande Records, Inc.
Distributed by Universal Music and Video Distribution

2018年1月 7日 (日)

the look of love the Burt Bacharach collection/V.A. (1998年)

ライノが1998年にリリースしたCD3枚組のバカラック物コンピBOXセットです。全75曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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front of BOX (with case) /back of BOX (without case)

disc1
1. THE STORY OF MY LIFE  ~ Marty Robbins ~  M
2. MAGIC MOMENTS  ~ Perry Como ~  M
3. THE BLOB  ~ The Five Blobs ~  M
4. PLEASE STAY  ~ The Drifters ~  M
5. I WAKE UP CRYING  ~ Chuck Jackson ~  M
6. TOWER OF STRENGTH  ~ Gene McDaniels ~  M
7. BABY IT'S YOU  ~ The Shirelles ~  F
8. MEXICAN DIVORCE  ~ The Drifters ~ M
9. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  ~ Gene Pitney ~  M
10. ANY DAY NOW  ~ Chuck Jackson ~  M
11. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ Jerry Butler ~ M
12. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  ~ Tommy Hunt ~  M
13. IT'S LOVE THAT REALLY COUNTS (IN THE LONG RUN)  ~ The Shirelles ~  F
14. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  ~ Gene Pitney ~  M
15. (THERE GOES) THE FORGOTTEN MAN  ~ Jimmy Radcliffe ~  M
16. DON'T MAKE ME OVER  ~ Dionne Warwick ~  F
17. LET THE MUSIC PLAY  ~ The Drifters ~  M
18. BLUE ON BLUE  ~ Bobby Vinton ~  M
19. TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH  ~ Gene Pitney ~  M
20. BLUE GUITAR  ~ Richard Chamberlain ~  M
21. REACH OUT FOR ME  ~ Lou Johnson ~  M
22. 24 HOURS FROM TULSA  ~ Gene Pitney ~  M
23. ANYONE WHO HAD A HEART  ~ Dionne Warwick ~  F
24. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Brook Benton ~  M
25. WIVES AND LOVERS  ~ Jack Jones ~  M
26. WISHIN' AND HOPIN'  ~ Dusty Springfield ~  F

disc2
1. WALK ON BY  ~ Dionne Warwick ~  F
2. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Lou Johnson ~  M
3. ME, JAPANESE BOY I LOVE YOU  ~ Bobby Goldsboro ~  M
4. TO WAIT FOR LOVE  ~ Tony Orlando ~  M
5. KENTUCKY BLUEBIRD (SEND A MESSAGE TO MARTHA)  ~ Lou Johnson ~  M
6. IN THE LAND OF MAKE BELIEVE  ~ Dionne Warwick ~  F
7. THE LAST ONE TO BE LOVED  ~ Lou Johnson ~  M
8. FOOL KILLER  ~ Gene Pitney ~  M
9. DON'T GO BREAKING MY HEART  ~ Burt Bacharach ~  F
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ Jackie DeShannon ~  F
11. TRAINS AND BOATS AND PLANES  ~ Burt Bacharach ~  F
12. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  ~ Tom Jones ~  M
13. MY LITTLE RED BOOK  ~ Manfred Mann ~  M
14. HERE I AM  ~ Dionne Warwick ~  F
15. A LIFETIME OF LONELINESS  ~ Jackie DeShannon ~  F
16. MADE IN PARIS  ~ Trini Lopez ~  M
17. PROMISE HER ANYTHING  ~ Tom Jones ~  M
18. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)  ~ Dionne Warwick ~  F
19. COME AND GET ME  ~ Jackie DeShannon ~  F
20. ALFIE  ~ Cilla Black ~ F
21. IN BETWEEN THE HEARTACHES  ~ Dionne Warwick ~  F
22. NIKKI  ~ Burt Bacharach ~
23. SO LONG JOHNNY  ~ Jackie DeShannon ~  F
24. THE WINDOWS OF THE WORLD  ~ Dionne Warwick ~  F
25. TAKE A BROKEN HEART  ~ Rick Nelson ~  M
26. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ Dionne Warwick ~  F
27. CASINO ROYALE  ~ Herb Alpert & The Tijuana Brass ~

disc3
1. THE LOOK OF LOVE  ~ Dusty Springfield ~  F
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Dionne Warwick ~  F
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  ~ Herb Alpert & The Tijuana Brass ~  M
4. KNOWING WHEN TO LEAVE  ~ Jill O'Hara ~  F
5. PROMISES, PROMISES  ~ Dionne Warwick ~  F
6. PACIFIC COAST HIGHWAY  ~ Burt Bacharach ~
7. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ B.J. Thomas  ~  M
8. ODDS AND ENDS  ~ Dionne Warwick ~  F
9. EVERYBODY'S OUT OF TOWN  ~ B.J. Thomas ~  M
10. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Dionne Warwick ~  F
11. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Carpenters ~  F
12. PAPER MACHE  ~ Dionne Warwick ~  F
13. ONE LESS BELL TO ANSWER  ~ The 5th Dimension ~  F
14. CHECK OUT TIME  ~ Dionne Warwick ~  F
15. HASBROOK HEIGHTS  ~ Burt Bacharach ~  M
16. THE BALANCE OF NATURE  ~ Dionne Warwick ~  F
17. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER  ~ The 5th Dimension ~  FM
18. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  ~ The Stylistics ~  M
19. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  ~ Christopher Cross ~  M
20. ON MY OWN  ~ Patti LaBelle & Michael McDonald ~  FM
21. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  ~ Dionne & Friends ~  FM
22. GOD GIVE ME STRENGTH  ~ Burt Bacharach & Elvis Costello ~  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間  disc1 約71分/disc2 約75分/disc3 約79分


ライノが1998年にリリースしたCD3枚組のバカラック物コンピBOXセットです。全75曲収録!

Imgp5292aaa_2Img_0218photo_3Imgp5290aaa_4 BOXは筒状のプラケース付き。そのプラケースが日焼けしてすっかりセピア色になってしまいました。画像スキャンするのに本当はケースを外したかったんですが、BOX表側はプラケースと一体でパッケージの体をなしているためケース付きでスキャンせざるを得ませんでした。ケース外したらバカラック爺が立ってるだけのマヌケな絵になっちゃいますからネ(画像左)coldsweats01

BOXを開けたらこんな感じ(画像中央)。約90ページもあるブックレットがBOXに引っ付いています。ちょうどBOXが本の表表紙と裏表紙になってるワケですね。ブックレットの内容は、3人(バカラック、ハル・デイヴィッド、ディオンヌ)の経歴や全75曲の解説など充実しています。目次のみ載せておきます(画像右)。ただし、如何せん英語。部分的に斜め読みすることはあっても、全部読もうなんて気は起きませんcrying。誰か和訳してくださ~い。とりあえず解りそうなところ…ブックレット最終頁のクレジットを眺めていたら、Special Thanks の項にOSAMU SAKAGUCHI(坂口修)、REIKO YUYAMA(湯山玲子)両氏のお名前を発見! 流石のおふたりです。

ちなみに、同じようなタイトルで通常CDサイズだけど似たデザインのCD2枚組(こちら)がリリースされています。内容全く異なりますのでお気を付けください。

収録曲をいつものようにリスト化してみました。曲数が多いのでディスクごと3表に分けています。
Disc1_3

Disc2

3

米国編集で、基本コンセプトは レーベルの縛りなく “ オリジナル・アーティスト ” “ ヒットしたバージョン ” にこだわったセレクション。特にオリジナル・アーティストの(表の◆印:62曲)比率は83%に達しています。拙ブログで昨年以降これまで紹介してきたバカラック物コンピ集の同比率は平均23%。最も高い盤でも50%台 ( CHARLY 『 the magic of Burt Bacharach 』 = 55%、AZレコード 『 Burt Bacharach MASTERPIECE Vol.2 』 = 54% ) でしたから、群を抜いています。

しかしこのBOXセット、バカラック蒐集家の皆さんにとっては不評だったみたいで、リリース当時 “ 期待外れ ” という趣旨のコメントをネット(蒐集家先輩諸氏の個人サイト)でチラチラ見かけました。オリジナル・アーティストが多くてヒットしたバージョンが多い…ということはすなわち既に持っている確率が高い訳で。ディオンヌ・ワーウィックなんて17曲も入ってますからね。要するに、“ 殆ど持っているバージョンじゃねぇか、大金出して買う価値は無ぇや ” と…。

バカラック初級者の私はとにかく欲しくって。1998年の暮れに米国の Music Boulevard というネット通販サイトで購入しました($41.8 + 送料$9.0)。私にとって生まれて初めてのネット通販体験でございました。(尚、Music Boulevard は1999年3月に CDNow によって買収され、そのCDNow は2002年に Amazon によって買収されてます)

レコメンドは特にありません。レアな曲を少しだけ。このBOXセット、他のバカラック物コンピ集では殆ど見かけないルー・ジョンソンが4曲も入ってます。Disc1-21. 「 リーチ・アウト 」 とDisc2-2. 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」 はどちらもオリジナル。Disc2-5. 「 ケンタッキー・ブルーバード(マーサへのメッセージ) 」 とDisc2-7. 「 ザ・ラスト・ワン・トゥ・ビー・ラヴド 」 はオリジナルではありませんし、特にレアだと思います。


ここからはオマケ。ルー・ジョンソン について若干補足します。ルー・ジョンソンはバカラック作品をあと4曲レコーディングしています(私はMP3データで所有)。BOXセットの4曲と合わせて全8曲をリストにしてみました。
Lou_johnson_list_2

ルー・ジョンソンは1941年生まれの米男性ソウルシンガー。1962年にBig Top レーベルと契約してソロ・デビューするのですが、バカラック&デイヴィッド・チームがデビュー・シングルのB面曲① 「 イフ・アイ・ネヴァー・ゲット・トゥ・ラヴ・ユー 」 を提供しました。3枚目シングル ② 「 リーチ・アウト 」/③ 「 マジック・ポーション 」 以降1964年までプロデュース&アレンジも担当。②~⑥の5曲はディオンヌも歌っている曲ですが、ルー・ジョンソン版とディオンヌ版のアレンジはほぼ一緒。ルー・ジョンソンはまるで男性版ディオンヌといった感じがします。聴いてて新鮮味はあまりないかな~。

とはいえ、変拍子が至る処にありコード進行も変わっていてメロディも上がったり下がったりする⑥ 「 ザ・ラスト・ワン・トゥ・ビー・ラヴド 」 をオリジナルのディオンヌに負けず劣らずきっちり歌いこなしているのには賞賛を送りたいです。パチパチ。バカラックもルー・ジョンソンを高く評価していたようです。

─  (前略) ビッグ・ヒルというインディのレコード会社が、ハルとわたしの書いた 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」 という曲を、ルー・ジョンソンの歌でリリースした。わたしはルーの才能に大きな感銘を受け、最高のレコードを作れたと自負していたが、アメリカのチャートではそこそこのヒットに留まった。だがその後サンディ・ショウが、この曲で全英ナンバー1に輝いている。
1964年にはもう1曲、ルー・ジョンソンと、彼のバージョンではヒットしなかった 「 ケンタッキー・ブルーバード 」 という曲をレコーディングしている。(後略) ─
 (バカラック自伝より引用)

R402249313526546195599jpegR22511681302709956jpeg 一方、バカラックがプロデュースしていない⑦ 「 ウォーク・オン・バイ 」 や ⑧ 「 プリーズ・ステイ 」 はソウルフルなアレンジ&演奏で、ルー・ジョンソンもメロディをかなりフェイクして歌っています。この2曲はレコメンドなんですけどね。

Big Top及びBig Hill時代はシングルしかリリースしていないのですが、コンピ盤 『 Incomparable Soul Vocalist 』 (画像左) で①~⑦の7曲全て聴くことが出来ます。
⑧は1969年リリースのファースト・アルバム 『 Sweet Southern Soul 』 (画像右)に収録されています。


【データ】
『 the look of love the Burt Bacharach collection 』
V.A.

CD:1998年11月3日リリース
レーベル:Rhino Entertainment (US)
番号:R2 75339

Compilation Produced by Patrick Milligan
Associate Producer: Alec Cumming
Sound Produced by Bill Inglot
Liner Notes: Burt Bacharach (FOREWORD:序文), Patrick Milligan, Bill DeMain, Paul Grein, Alec Cumming

This CompilationⓅ&Ⓒ 1998 Rhino Entertainment Company

2018年1月 2日 (火)

NIGHT SHIFT/O.S.T. (1982年) - 2回目

バカラックが音楽を担当した米映画 『 ラブ IN ニューヨーク 』 のサントラ盤です。やっとLPを入手しましたので再度記事にします。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は6トラック

A1. NIGHT SHIFT  ~ Quarterflash ~  F
A2. STREET TALK  ~ Burt Bacharach ~
A3. GIRLS KNOW HOW  ~ Al Jarreau ~  M
A4. THE LOVE TOO GOOD TO LAST  ~ Pointer Sisters ~  F
A5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  ~ Rod Stewart ~  M
B1. SOMEDAY, SOMEWAY  ~ Marshall Crenshaw ~
B2. PENTHOUSE AND PAVEMENT  ~ Heaven 17 ~
B3. TALK TALK  ~ Talk Talk ~
B4. EVERLASTING LOVE  ~ Rufus & Chaka Khan ~

B5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  ~ Burt Bacharach ~
     (Night Shift Love Theme) (instrumental)

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Famale-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約39分


今年(2018年)のブログ “ 書初め ” はこのアルバム! バカラックが音楽を担当した米映画 『 ラブ IN ニューヨーク 』 のサントラ盤です。

過去に一度(2016年6月)本アルバムを取り上げた時点では本アルバムを所有しておらず記事にするだけのネタがありませんでした。中古アナログ盤を入手したらあらためて取り上げると書いて一年半、念願の中古アナログ盤(LP)を Discogs のマーケットプレイスでゲット。ドイツのお店に注文したのでUS盤ではなくドイツ盤でしたけれど、ちゃんと手元に届いてホッとしました。…ということで、再度記事にする次第です。

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1981年の映画 『 ミスター・アーサー 』 から1年後、バート・バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガーのチーム(1982年3月に二人は結婚しました)はまたもや映画の音楽を担当します。

─  ロン・ハワード監督が贈るラブ・コメディ。 ニューヨークの死体置き場の夜勤として働くチャック(ヘンリー・ウィンクラー)と助手のビル(マイケル・キートン)は、ベリンダ(シェリー・ロング)たちコールガールにヒモがいないため商売がうまくいかないのを知って、彼らの事務所と車を提供することでヒモになることを考えた。取り引きは成立、商売は順調に進んだが、チャックがベリンダにほれてしまったり、暗黒街の連中にばれたりで大騒ぎに! ─
 (映画DVDパッケージのあらすじより)

あらすじのとおり、今度の映画 『 NIGHT SHIFT 』 もコメディ。1982年7月にアメリカで封切られ、日本では1年以上経った1983年11月に 『 ラブ IN ニューヨーク 』 というタイトルで公開されました。気弱なチャックの言動には感情移入したり応援したりで(私も気弱な性格なんですぅ)…、映画の中身について語りたいことは色々ありますがここまでにしておきます。

映画のエンドクレジットに表示されてる曲は13曲。それらの曲が使われた場面とサントラ盤のトラックを表にまとめました。
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①~③はそれぞれオープニングクレジット/劇中/エンドクレジットのBGM(いわゆる挿入歌)として使われています。いずれもこの映画のために用意された曲です。レコード・ジャケットでも ORIGINAL SONGS PERFORMED BY ~ とアピールしています。

一方、④~⑬はそれぞれの場面(お店や会場など)で流れていた音楽。既成曲を使ったものと思われます。

サントラ盤収録曲は全10曲。作者やプロデュースも含め表にしてみました。バカラック作品以外は割愛してます、悪しからず。
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Imgp5316ccc A1. 「 ナイト・シフト 」 はロック調の曲。歌ってるのは米ロック・グループのクォーターフラッシュ。1980年の結成で、紅一点のRindy Ross(リード・ヴォーカル、サックス)とMarv Ross(ギター)の夫婦を中心とした6人組。Marvはソングライティングでも参加しています。作詞はよくわかりませんが、作曲は明らかにバカラック以外の血が入ってますよね。プロデュースしたJohn Baylanについては全くわからず。途中一部編集されていますがサントラのバージョンがオープニングクレジットのBGMに使われています。本アルバムからの唯一のシングルとしてリリースされ、全米60位の小ヒットになりました。
また、この曲のメロディがチャックが出勤や帰宅するシーンのBGM(いわゆるスコア)で3度流れます。全て異なるアレンジのインストで、ロック調ではなくフュージョンタッチ。風采の上がらないチャックをどこかイジってるようにも聴こえます。これらインスト版はサントラ未収録です。

A2. 「 ストリート・トーク 」 はクールなフュージョン・タッチのインスト曲。バカラック&キャロルの作品ですが、歌詞はありません。もしかしたら歌詞も一緒に考えたのかもしれませんが…。プロデュースはバカラックとBruce Swedien。このお方、エンドクレジットに Music Score Engineer という肩書で出ているのですが、グラミーを5回受賞したエンジニアだそうです。映画ではサントラのバージョンは使われていません。しかし、映画冒頭でヒモが暗黒街の連中に追われるシークエンスでスローなテンポ&タイトなリズムのバージョンが流れます(いわゆるスコア)。サントラのバージョンはアルバム用にあとで録音したのでしょう。

A3. 「 ガールズ・ノウ・ハウ 」 は軽快なAOR。歌ってるのは皆さんご存知アル・ジャロウ。昨年(2017年)亡くなったのは記憶に新しところです。バカラック夫妻とデヴィッド・フォスターによる共作なんですが、バカラック風味は殆ど感じらずメロディ・ラインにせよコード進行(特にサビ最後の1小節のコード展開)にせよデヴィッド・フォスターの色が濃い曲だと思います。加えてプロデュースはデヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンのコンビ。アル・ジャロウはジェイ・グレイドンのプロデュースで1981年に 『 BBREAKIN' AWAY 』 、1983年に 『 JARREAU 』 という傑作アルバムをリリースしています。この2枚は私も大好きなのですが、「 ガールズ・ノウ・ハウ 」 はよりポップな 『 JARREAU 』 との近似性を感じます。映画ではチャック&ビル社の商売が順調に進んでいるシークエンスのBGMとして、1コーラス目Aメロ2回目の頭から使われています。

A4. 「 幸せすぎて 」 は書下ろしではなく、ポインター・シスターズの1980年のアルバム 『 SPECIAL THINGS 』に収録されている曲そのものです。曲についてはそのアルバムの記事を参照ください。映画の中ではナイトクラブの店内で流れていました。既成曲ですがバカラック作品だったためLPのA面に持ってきたのでは?と思われます。

A5. 「 愛のハーモニー 」
はロッド・スチュアートが歌うバラード。のちにディオンヌ&フレンズが歌って全米1位となったのは皆さんご承知の通り(ただし2番の歌詞が幾分異なるようです)。Aメロの出だし、小節の頭からではなくアウフタクト(弱起)で始めたいとバカラックが主張してキャロルが歌詞をつけ足した話はバカラック自伝にも書いてあって有名ですね。
個人的には、Aメロのコード進行にバカラックらしさを感じます。以下はキーをCとした場合のAメロのコードです。

(in C) C - Em7 - Am7│Dm7│Bm7(♭5) - E7sus4 - E7│Am7│F - Dm7onG

1小節目のEm7やAm7(Ⅰの代理コード)、2小節目のDm7(Ⅳの代理コード)がメロディと絡み合ってなんともいえないロマンチックなムードになり、3小節目頭のBm7(♭5)から4小節目にかけて響きが変わって(短調になってる?)心がざわつき、5小節目のFで正気に戻る。そんな印象を受けます。4小節目が変拍子(2拍子)になってるのもいかにもバカラックって感じですよね。

プロデュースはロッド・スチュアートなんですが、バカラック夫妻は曲の仕上がりに不満だったそうです。何に不満だったのかはよくわかりませんが、全体にくぐもった音質とロッドの気持ちが入ってないような歌い方は私が聴いてもイマイチですねー。映画ではエンドクレジットのBGMとして使われました。

Imgp5318ccc インスト版の B5. 「 愛のハーモニー 」 はバカラック名義。愛のテーマという副題が付いているように、映画の中でチャックとベリンダが2人きり(チャック1人だったりビルも含めた3人の場面もありますが)のシーンで計7度流れます。いわゆるスコアで、場面に応じて様々な楽器(ギターだったりシンセだったりオーボエだったりピアノだったり)がメロディを奏でます。ただし、A2. と同様サントラのバージョンはアルバム用にあとで録音したもののようでアレンジが異なります。プロデュースもA2. と同様にバカラックとBruce Swedienです。


ここからはオマケ。
拙ブログにお越しの方ならすでにご存じかとは思いますが、本アルバム全10曲を聴けるサイトがあります。 リンクは → こちら


【データ】
『 NIGHT SHIFT 』 (邦題:ラブ IN ニューヨーク)
O.S.T.

LP:1982年7月リリース (所有LPは、1982年リリースのドイツ盤)
レーベル:Warner Bros. Records (所有LPも同じ)
番号:23702-1 (所有LPは、WB K 57 024)

Executive Producers: Carole Bayer Sager and Stephen Paley
Music and Lyrics by Burt Bacharach and Carole Bayer Sager*
* With additional music & lyrics by Marv Ross and David Foster
各曲の作者及びプロデューサーは前述の表を参照方。

↓AmazonではLPの取り扱いはありません。代わりに、映画DVDのリンクを貼っておきます。

2017年12月31日 (日)

Milo Pavlović Berlin Big Band/Milo Pavlović & Berlin Big Band (1984年)

ドイツのビッグバンドによる1984年のアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

B3. THE BELL THAT COULDN'T JINGLE (2:07)


トランペッターのミロ・パブロビッチとベルリン・ビッグバンドによる1984年のアルバムです。

収録されてるバカラック・カヴァーはクリスマス・ソングの 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 。本来であれば12月24日にアップした前回記事(この曲のオリジナル・バージョン&所有する全カヴァーをご紹介)よりも前に取り上げたかったのですが…。LPがオランダのお店から送られてきたのはクリスマスの後でした(>_<) まぁ、クリスマスが過ぎるとスパッと正月準備モードに切り替わる日本と違って欧米では年明けくらいまでクリスマスの余韻が残ってるみたいですからね。あまり気にせず紹介しちゃいますぅ。

ミロ・パブロビッチは、1930年ユーゴスラビア(現:セルビア)ベオグラード生まれのトランペット奏者。まずラジオ・ベオグラードのオーケストラで頭角を現します。1957年から西独ケルンWDR(*1)のクルト・エーデルハーゲン・オールスター・バンド、1968年からはベルリンのSFB(*2)ビッグ・バンドで活躍。1982年に自身のバンド “ ベルリン・ビッグバンド ” を立ち上げて、以降バンド・リーダー及びソリストとして活動したお方だそうです。 (裏ジャケのライナーを参考にしました)

(*1) WDR = Westdeutscher Rundfunk Köln = West German Broadcasting Cologn : 西ドイツ放送協会
(*2) SFB = Sender Freies Berlin = Radio Free Berlin : 自由ベルリン放送協会

Imgp5298www LPジャケットの中には二つ折りになったピンナップが入ってました(画像参照、サイズはH300mm x W600mm)。裏ジャケの写真から察するに、真ん中左に仁王立ちしてるのがミロ・パブロビッチさんでしょうね。
それにしても、コレを部屋に飾る人いる? 飾るんだったら演奏してる場面の方がいいなぁ~。

アルバムA面5曲はスタンダード曲中心、B面6曲はクリスマス向けという選曲。ホリデーシーズンにリリースされたのでしょう。バカラック・カヴァーの 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 はB面の3曲目に収録されています。イントロはAメロ~A'メロ間のつなぎ部分のコード進行を流用したもの(*3)で、他のカヴァーではみられないアレンジです。本編のメロディは一部を除いてトランペットが演奏しているのですが、ワウワウミュートを用いたと思われる音色はなかなかユニーク(好き嫌いはあるでしょうけど)。リズム&テンポともに軽快で金管やサックスの音にもキレがあり、この曲本来の良さを損なわないアレンジ&演奏だと思います。

(*3) 曲のキーがCメジャー(ハ長調)の場合で、C - Am - CM7 - Am

それにしても、1969年のアニタ・カー・シンガーズ以降カヴァーがなかったこの曲をミロ・パブロビッチはよく発掘したなと。同じトランペット奏者であるハーブ・アルパートの 『 Christmas Album 』 を聴いてどうしても演奏したかったのか? 2年後の1986年にオランダのリタ・ライスがこの曲をカヴァーしたのは本作がきっかけだったのか? …などなど、とても興味深いです。

Imgp5315ccc アルバム全体の印象は、派手さはないけどアレンジも含めてマナーの良いビッグ・バンドだなぁ…というもの。BGMとして安心して聴けます。レコメンドはB4. 「 ETUDE OPUS NR. 10/3 ("E"-Dur) 」 。あのショパンのエチュード第3番作品10-3 「 別れの曲 」 を♩≒92の16ビートにアレンジ。シブくてカッコイイです(メロディを吹くトランペットがイマイチでそれがチト残念…)。

ちなみに、Berlin Big Band でネット検索すると同名バンドのサイトが出てきます。ちゃんと活動してるようなのですが、本作と同じバンドなのかは判断付かず…。どなたかご存知の方いらっしゃいましたらコメントお願いいたしますぅ。

それでは、良いお年を~paper


【データ】
『 Milo Pavlović Berlin Big Band 』
Milo Pavlović & Berlin Big Band

LP:1984年リリース
レーベル:Hoechst (West Germany)
番号:B-1581

詳細クレジットは不明
Arranged by Alyn Ainsworth (A1,B1,B3,B5.), Werner Windler (A2.), Robert Pronk (A3,A5,B4.), Francy Boland (A4.), Jerry van Rooyen (B2,B6.)

* Amazonでは取り扱い無し (私はDiscogsで購入しました)

2017年12月24日 (日)

THE BELL THAT COULDN'T JINGLE/Paul Evans (1962年)

米男性シンガーソングライターのポール・エヴァンスが1962年にリリースしたシングル。バカラックのクリスマス・ソングで、これがオリジナルです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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所有シングルはラジオ局用プロモ仕様

A. GILDING THE LILY
B. THE BELL THAT COULDN'T JUNGLE (2:28)


米男性シンガーソングライターのポール・エヴァンスが1962年の12月にリリースしたシングルです。

所有シングルはラジオ局用プロモ仕様で、レコード番号は本来のK-499ではなくてK-499X。これってA/B両面とも 「 THE BELL THAT COULDN'T JUNGLE 」 となってまして。バカラック研究本 『 SONG BY SONG 』 を読んでこの曲はA面だとばかり思っていたのですが、ポール・エヴァンスの公式サイトによるとこの曲はB面でA面は 「 GILDING THE LILY 」 という曲みたい(勿論バカラック作品ではありません)…。本記事ではポール・エヴァンスの説を採用してB面だったということにしています。

ポール・エヴァンスは1938年生まれ。歌手として1950年代後半から1960年代にかけて何曲かヒットを放ちました。一方ソングライターとしてはエルヴィス・プレスリーやパット・ブーンらに曲を提供。最大のヒットは1962年のボビー・ヴィントン 「 Roses Are Red (My Love) 」 で全米1位となりました。

今回取り上げる 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 はバカラックの数少ないクリスマス・ソングのひとつ。このポール・エヴァンスのバージョンがオリジナルです。作詞はラリー・キュジックで、のちに 『 ゴッド・ファーザー 』 の愛のテーマや 『 ロミオとジュリエット 』 の愛のテーマなどの作詞を担当したお方。バカラックと共作したのはこの曲だけのようです。

クリスマスのベルが泣いている ジングルが鳴らないよ~って
サンタはすぐにその理由がわかった 鈴が入ってないからさ

「 わたしがクリスマスの贈り物をあげよう イヴには鳴るようになる 」 とサンタは言った
そうしたら霜の妖精が涙を凍らせ 鈴に変わったんだ
壊れたベルは直り ジングルはいつまでも鳴り続けた


歌詞の大意はこんな感じ。壊れたベルがサンタのおかげでジングルを鳴らせるようになった…というなんとも心温まるお話なんですねー。詞先 or 曲先、どちらなのかわかりませんが、変拍子や凝った転調もなく曲は割とシンプル。とはいっても、メロディが高低飛んだりしてバカラックらしさは感じられます。途中で 「 ジングル・ベル 」 の歌詞とメロディを引用してるのが面白いし楽しいですね。

アレンジ&指揮はバカラック自身が担当。2拍目と3拍目のコードを鳴らすチェンバロ、キラキラしたグロッケンの音色、“ パンパパン、パパン ” と歌う女性バックコーラスなど特徴的なアレンジも楽しい雰囲気を作っています。ポール・エヴァンスの歌声は特徴なく印象に残りませんが…。

数日前のフジテレビ 『 おじゃMAP!! 』 でこの曲がBGMで流れました(ただし、バート・バカラックのバージョン)。いきなりでビックリしたのですが、同時に嬉しくもありました。今年秋には野宮真貴さんもカヴァーしましたし、このシーズンに少しずつこの曲が認知されていくとよいなと思う今日この頃です。


ここからはオマケです。MP3データしか持ってない 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 のカヴァーをご紹介。

次の表はこの曲のカヴァーをリリース順に並べたものです(リリース月は不明のものが多いため同年の曲は前後するかもしれません)。前述したとおり、オリジナルは①ポール・エヴァンスです。
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そして、これらのカヴァーの元曲は何か?という観点でグルーピングしたところ、大きく4種類にグルーピングできました(グループA~D)。なお、グルーピングにそぐわないバージョンもありました(グループZ)。
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各グループの中で、レコメンドのバージョンのみ簡単にご紹介。グループAは割愛しますが、 ③ボビー・ヘルムス版については以前バカラック物コンピ盤で取り上げました

Mc_4グループBの3曲は全てレコメンド。ですが、⑤ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス⑫グレータ・マタッサ&クリッパー・アンダーソンは既に収録アルバムを紹介済みなので、⑱ステファノ・シグノリーニ & The MC のみ言及します。
ステファノ・シグノリーニ(読み方は自信ありません^^;)はイタリアの男性シンガーソングライターだそう。つい最近リリースしたクリスマス・アルバム 『 Christmas 』 でこの曲を取り上げています。とにかくイントロのアカペラが最高です。3曲のうちでもアカペラの透明感とハーモニーの美しさは一番でしょう。彼の歌唱も含めて曲全体は軽やかなフィーリングなのですが、唯一残念なのが本編に入ってからのギターのがさつな音色。ホントに惜しいです。

R4345641298576415jpegWtsグループCでは、まず⑥バート・バカラックのセルフ・カヴァーを紹介しないわけにはいかんでしょう。A&Mレーベルのアーティストによるクリスマス・アルバム 『 Something Festive! 』 (画像左)に収録されたのですが、バカラック名義でシングルもリリースしたようです。イントロ用にあらたにメロディを付けるなど単に①ポール・エヴァンス版をなぞるだけじゃないぞという気概を感じます。なお、メイン・ヴォーカルは女性コーラスです。
レコメンドがもうひとつ。⑯ウィー・スリー・シングスで、女性1人、男性2人の3人組アカペラ・グループです。ちなみに男性の1人、Trist Curliss は2014年よりマンハッタン・トランスファーに加入してるお方。口によるパーカッションも駆使して全編3人のアカペラのみでこの曲を歌っています。素晴らしいです。米映画 『 ピッチ・パーフェクト 』 を思い出しちゃいました。4曲入りEP 『 We Three Sings! 』 に収録されています。

R272672214918336597868png_2グループDは3曲。全てレコメンドですが、⑩ヨンジン⑰野宮真貴さんのアルバムは紹介済み。ということで、その2曲の元になった⑦アニタ・カー・シンガーズのバージョンをご紹介します。
1969年リリースのクリスマス・アルバム 『 Spend This Holiday With Me 』 に収録。途中で聴こえる子供の歌声、「 ジングル・ベル 」 を引用する手前で叫ぶ “ Listen ! ”、アウトロでの茶目っ気のある “ ジングル ” の輪唱、いずれもアニタ・カーらしいアレンジだと思います。



最後にグループZ。レコメンドは⑨リタ・ライスで、既にアルバムを紹介済みでございます。また、唯一のインスト物である⑧ミロ・パブロビッチ & ベルリン・ビッグバンドもレコメンドです。(*)

(*) 2017/12/31 追記


【データ】
「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」
Paul Evans

7"Single:1962年12月リリース
レーベル:Kapp (US)
番号:K-499  (所有シングルはK-499X: ラジオ局用プロモ仕様)

Produced by Allen Stanton
Orchestra arranged and conducted by Burt Bacharach
Written by Burt Bacharach and Larry Kusik

*入手可能な収録アルバムはありません。
  また、7"シングルもAmazonでは取り扱っていません。(私はDiscogsで購入しました)

2017年12月17日 (日)

SPREAD YOUR WINGS AND FLY/Laura Nyro (2004年)

1971年5月30日、ニューヨークのフィルモア・イーストで行われたローラ・ニーロのライヴを収録したもの。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

5. Medley: WALK ON BY / DANCING IN THE STREET (4:58)


Img037ggg1971年5月30日、ニューヨークのフィルモア・イーストで行われたローラ・ニーロのライヴ録音アルバムです。彼女の死後7年経った2004年にリリースされました。

先日(12月10日)の “ 山下達郎のサンデー・ソングブック ” でローラ・ニーロが歌う 「 ウォーク・オン・バイ 」 が流れました。以前ご紹介したアルバム 『 ANGEL IN THE DARK 』 (2001年リリース)の 「 ウォーク・オン・バイ 」 ではなく、1994年2月の来日公演を収めたライヴ盤  『 An Evening With Laura Nyro 』 (2003年リリース) からの1曲。私の知らないバージョンです。これはっ!と思いAmazonでポチッとしかけたのですが、5ケタのお値段に目がテンwobbly。いやいや、お小遣いの少ないオジサンにはちょっとキツイな~。

ポチッ を断念して他のストアを探している時、今回ご紹介するアルバムにもライヴ・バージョンの 「 ウォーク・オン・バイ 」 が入ってることを知りました。プライスも手が届くゾ。…てなワケで本作をゲットした次第。

1947年生まれのローラはこのライヴの時点ではまだ23歳。でもでも、ピアノ弾き語りで歌うローラのストレートで骨太なパフォーマンスはキャリアを十分積んだベテラン・シンガーのよう。アルバム終盤ではローラの歌声もちょっとかすれ気味だったりしますが、ただただ歌の力に引き込まれます。

収録曲は12トラック全17曲。ライヴということもあってかメドレーが多いです。17曲の内訳は、7曲がソウル・ナンバーのカヴァーで残り10曲がローラのオリジナル。カヴァーのうちの1曲がバカラック・ナンバーのT-5. 「 ウォーク・オン・バイ 」 で、マーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラスの 「 ダンシング・イン・ザ・ダーク 」 とのメドレーとなっています。

「 ウォーク・オン・バイ 」 は、ゆたりとしたR&Bフィーリング溢れるカヴァー。

Photo_6 『 An Evening With Laura Nyro 』 と 『 ANGEL IN THE DARK 』 は、ライヴ/スタジオの違いはあっても1994年のほぼ同じ時期の録音ということもあって似ています。それらと較べると、同じピアノ弾き語りでテンポも同等なのに本作は微妙に雰囲気が違うんですよねー。私なりに出した答えがピアノ左手で弾く “ ベース・ライン ” の違い。表にまとめましたが、本作は1拍目/2拍目の裏/4拍目に音の頭が来るパターンで一貫しているのに対し、1994年はフィーリングが異なる複数のパターンが登場します。だからかなと。

ヴォーカルの表現力はメロディをフェイクしたりする1994年の方が明らかに上。でも、私にとってシンプルに心に響くのは本作の 「 ウォーク・オン・バイ 」 。このあたりは個人的な好みの範疇になるんでしょうけどねー。


【データ】
『 SPREAD YOUR WINGS AND FLY : LIVE AT THE FILLMORE May 30, 1971 』 (邦題:飛翔~ライヴ・アット・フィルモア・イースト)
Laura Nyro

CD:2004年3月9日リリース (所有CDは、2004年7月22日リリースの日本盤。ライナーは渡辺亨氏)
レーベル:Columbia / Legacy (所有CDは、Sony Music Direct (Japan))
番号:CK 92493 (所有CDは、MHCP 244)

Produced for compact disc by Al Quaglieri
Recorded debut / Recorded 5/30/71

2017年12月10日 (日)

Have yourself a merry little Christmas/Rita Reys (1986年)

オランダのジャズ・シンガー、リタ・ライスが1986年にリリースしたクリスマス・アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

6. THE BELL THAT COULDN'T JINGLE (2:13)


オランダのジャズ・シンガー、リタ・ライスが1986年にリリースしたクリスマス・アルバムです。

リタ・ライスは1924年生まれ(2013年没、享年88)。リリース当時62歳ということになりますが、“ Europe's First lady of Jazz ” として知られるリタにとって本作は初めての(そして唯一の)クリスマス・アルバムなんだとか。

バックの演奏は、リタの御主人でもあるピム・ヤコブスのピアノ・トリオとメトロポール・オーケストラ。オーケストラの指揮とアレンジはロジャー・ヴァン・オッテーロー。リタは1971年にバカラック・カヴァー集 『 Rita Reys sings Burt Bacharach 』 をリリースしているのですが、その時も彼はオケのアレンジと編曲をしていました。

─  The subtle swing of the trio, combined with the genuine warmth of strings, adds a fresher and brighter quality to these familiar songs. トリオの巧みなスイングとストリングスの本物の暖かさとの組み合わせは、これらおなじみの曲をより生き生きと明るく描き出します。 ─ (ライナーより、超意訳 by あるでお^^;)

私も同感です。T-1. 「 HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS (あなたに楽しいクリスマスを) 」 、T-2. 「 WINTER WONDERLAND 」 、T-9. 「 THE CHRISTMAS SONG 」 、T-12. 「 WHITE CHRISTMAS 」 の定番曲もいいですし、アニタ・カー作のT-3. 「 IT'S CHRISTMAS TIME 」 やクリスマス・キャロルのT-7. 「 THE STAR CAROL 」 あたりの暖かみあるサウンドを聴いてると体の芯まで温まってきます。

─  One of the most original songs in the world of jingle bells and silver bells is undoubtedly Burt Bacharach's "The bell that couldn't jingle." ジングル・ベルや銀の鈴の歌の世界で最も独創的な曲のひとつがバート・バカラックの 「 ザ・ベル・ザット・クドント・ジングル 」 であることは間違いありません。 ─ (同)

よく発掘したな~と思ったのが、バカラックが作曲した数少ないクリスマス・ソングのT-6. 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 。1970年代以降は全くカヴァーされてませんでしたからねー。ライナーを書いた方の評価が高いのにもビックリ。

んで、リタ版はとっても素敵なカヴァーとなりました。ストリングスと木管楽器がクラシカルな掛け合いを演じるイントロにまず心が弾みます。このイントロのフレーズは過去のどのバージョンにも見られないものです。本編に入ってからはピアノトリオが主体となるのですが、ウキウキ感がある演奏でピアノのちょっとしたアドリブなんかもいいですね~。リタの歌唱は若干高音域が苦しげですが、秀逸なアレンジに大満足。ただ、惜しむらくは曲の尺が短いこと。もっと長く演奏してくれたら良かったのにー。

Amazonは在庫切れ。そこでDiscogsサイトのアカウントを取得してオランダの中古屋さんから取り寄せたのですが、購入して正解でしたhappy01。まぁ、今月からAmazon/iTunesでダウンロード出来るようになったんですけどね…crying


【データ】
『 Have yourself a merry little Christmas 』
Rita Reys

CD:1986年リリース  ライナーノーツ: Imme Schade van Westrum
レーベル:Polydor (West Germany)
番号:831 254-2

Musical Advice: John J. Vis/Imme Schade van Westrum
Orchestra arranged and conducted by Rogier van Otterloo
  Pim Jacobs - Keyboards
  Ruud Jacobs - Bass
  Peter Ypma - Drums
  Ack van Rooyen - Trumpet
  Ruud Brink - Tenorsax
  Ary Jongman - Flute
  Martin de Ruiter - Hobo
  Roel Koster - Horn
Recorded at Wisseloord Studios, Hilversum, Holland

Ⓟ 1986 Polydor B.V.
Ⓒ 1986 Polydor B.V.
Marketed by Polydor B.V.
Printed in West Germany

↓ 左:CD、 右:MP3

2017年12月 6日 (水)

バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ/V.A. (1998年)

1970年頃にレコーディングされた日本人アーティストによるインストのバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ 石川晶トリオ ~
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ 伊集加代子(スキャット) ~
3. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ 福原彰(トランペット) ~
4. REACH OUT FOR ME  ~ ロック・アカデミー弦楽四重奏団 ~
5. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  ~ ロック・アカデミー弦楽四重奏団 ~
6. THIS G'S IN LOVE WITH YOU  ~ 佐藤允彦(ピアノ) ~
7. WALK ON BY  ~ 川原正美(パーカッション) ~
8. PROMISES, PROMISES  ~ ロック・アカデミー弦楽四重奏団 ~
9. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)  ~ ロック・アカデミー弦楽四重奏団 ~
10. THE LOOK OF LOVE  ~ 宮沢昭、衛藤幸雄(フルート) ~
11. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ 飯吉馨(チェンバロ) ~
12. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ 宮沢昭、衛藤幸雄(フルート) ~
13. ALFIE  ~ ジョー・ヤング(サックス) ~
14. BOND STREET  ~ ロック・アカデミー弦楽四重奏団 ~
15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ ロック・アカデミー弦楽四重奏団 ~
16. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ 松本浩(ヴァイブ) ~
17. THE APRIL FOOLS  ~ 伊集加代子(スキャット) ~

収録時間約50分


Img017ggg 1970年頃にレコーディングされた日本人アーティストによるインストのバカラック物を集めたコンピ集です。

─  録音は 「 小さな願い(石川 晶トリオ) 」 を除き全て1970年に行われたもので、世はまさに万博ムード真っ盛り、進歩と調和を願う人々で溢れ返っていた時代の産物である。これは同時に米ビルボード誌に“イージー・リスニング・チャート”が設けられて約10年(設立は1961年)という第二次イージー・リスニング・ブームの到来を告げる年にあたり、ひいてはポピュラー音楽界における転換の時期でもあった。(中略) さて、こうしたイージー・リスニング・ブームの中で特異な存在として注目を集めていたのが、いま挙げたフランシス・レイと本作の主役バート・バカラックの二人である。各々、絶大なファンを持つ作曲家だが、その個性は実に対照的なものであった。(中略) レイの作品(演奏)は実に新鮮で魅力的なものだった。シンプルで親しみ易いメロディとそのムード、目を閉じればそこに映画のワンシーンが浮かんでくる、といった映像との相乗効果が功を奏して、特に女性ファンが逸早く飛びついたのだ。しかし、レイの人気は数年後には一気に下降線を辿り始め、遂には第一線からの離脱を余儀なくされている。その“雰囲気”にのみ支えられていた彼の人気は聴衆を惹き付けるのも早かったが、同時に飽きられるのも早かったのである。一方、バカラックの人気はどうだったのか。1970年6月22日のニューズウィーク誌では“THE MUSIC MAN 1970”と銘打った彼の特集が組まれ、翌年4月には来日コンサートも開催、大盛況のうちに幕を降ろしている。メロディの美しさやアンバランスな構成に加えて、ブラジル音楽のテンポやR&Bの要素、さらにロックやゴスペルに至るあらゆるジャンルを取り込んだ彼の音楽は、ある人々にとってはビートルズの出現よりも衝撃的なものだったようだ。(後略) ─ (ライナーより)

1970年当時、私は小学1年生。盛り上がったというイージー・リスニング・ブーム(バカラック人気も含めて)を実感してない世代です。このライナーは以前ご紹介した辛口の文章と較べるといささかバカラックを持ち上げ過ぎのような気もしますが、私同様当時を知らない方には参考になると思い長々と引用した次第です。

ライナーには収録元アルバムの情報他が詳しく載っていました。それらをまとめたのが以下の表です。左側に収録元アルバムをリリース順で並べ、右側に対応する曲を記しています。(ジョー・ヤングのT-13 . 「 アルフィー 」 だけは収録元アルバム不明)
Photo

『 バック・トゥ・バカラック 』 というバカラック作品集からセレクトされた6曲はどれもレコメンドです。弦楽クァルテット+αの編成で、αの部分は曲によってピアノトリオや木管楽器などがサポートで加わっているのですが、クラシックと多様なポップスをうまく融合させたアレンジがとっても独創的なんです。クァルテットのみの演奏で中間部に現代音楽っぽい変奏がみられるT-9. 「 アー・ユー・ゼア 」 、疾走感とキレのある演奏が魅力のT-14. 「 ボンド・ストリート 」 は現代でも全く古臭くないです。そして極めつけはT-15. 「 世界は愛を求めてる (愛を求めて) 」 。重厚でクラシカルな前半はまぁ想定の範囲内なのですが、後半の4拍子+3拍子のアヴァンギャルドなリズムは想像を超えています。素晴らしい!

フィリップス・ゴールデン・インストルメンタル・シリーズからの各曲はステレオタイプなイージー・リスニング。ただし、『 フルート・デラックス 』 からの2曲は他とは少し違う肌触りで、特にT-10. 「 恋のおもかげ 」 は美しくハモる2本のフルートとともに数々の独創的なオブリガートが強く印象に残ります。編曲はあの筒美京平さん。やっつけ仕事をしないところは流石です。

T-1. 「 小さな願い 」 のアーティスト名は石川晶トリオとなっていますが、演奏自体はストリングスが加わったイージー・リスニング物です。因みに石川晶さんはジャズ・ドラマーで、1972年にビッグ・バンド編成のバカラック作品集をリリースしています。(こちらを参考下さい)

スキャットの女王、伊集加代子さんも2曲入ってるのですが、彼女のスキャットの素晴らしさが私にはあまり感じられません。アレンジの問題だと思うのですが…。

やはりイージー・リスニングの肝はアレンジですね。改めてそれを感じたアルバムでした。

尚、本アルバムのライナーの最終頁に “ 日本人演奏者による 「 バート・バカラック作品集 」 主要アルバム・リスト ” なるものがありまして。大変貴重な資料だと思いますので、情報の共有化ということで拝借して載せることとします。
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【データ】
『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』 (Burt Bacharach on Japanese Rere Groove)
V.A.

CD:1998年10月21日リリース (ライナーは濱田高志氏 from 土龍団)
レーベル:テイチク・レコード (JP)
番号:TECN-18435

All tracks recorded in 1970 except track 1 in 1969
This Compilation Ⓟ & Ⓒ 1998 Licensed from Shinko Music Publishing Co., Ltd.
Manufactured & Distributed by TEICHIKU RECORDS CO.,LTD. Japan    

2017年12月 3日 (日)

12月9日の NHK 『 名曲アルバム 』 は 「 雨にぬれても 」!

2017年もあっという間に師走になってしまいました。気ぜわしい時季にちょいと一服しませんか?  とゆーことで、今回はNHKのTV番組 『 名曲アルバム 』 のご案内です。

─  『 名曲アルバム 』 は、誰もが耳にしたことのある世界の名曲を、作品ゆかりの地の美しい映像と共にお送りする番組です。 ─
 (番組サイトより)

この番組はクラシック音楽の番組だと思っていました。実際、番組サイトを開いて “ 名曲アルバム100選 ” をクリックするとクラシックの曲がズラリと並んでいます。でも、クラシック・オンリーってワケじゃなかったんですねー。んで、この度めでたく 「 雨にぬれても 」 が取り上げられることになりました。パチパチ。

Photo_2 歌うのはシンガーソングライターのおおはた雄一さん(写真左)で、バックはウクレレ&ベース+オケといった構成。坂本美雨さん(写真右)もコーラスで参加してるんですが、このお二人はそれぞれのソロ活動とは別に “ おお雨 ” という名前でデュオとしても活動してるんですって。息ピッタリの演奏を期待しましょう!

映像ロケ地は米ワイオミング州。 ─  アカデミー賞主題歌賞を受賞した映画「明日に向かって撃て!」の主題歌。アメリカ西部の山岳地域で映画のモデルとなった実在の盗賊団「ワイルドバンチ」の足跡を訪ねる。 ─ (同)

音楽と映像がどうコラボするのか、楽しみです。

編曲: 丸山  和範
<演奏>
  ヴォーカル - おおはた 雄一
  コーラス - 坂本 美雨
  Eベース - 長尾 雅道
  ウクレレ - 松宮 幹彦
  指揮 - 渡邊 一正
  管弦楽 - 東京フィルハーモニー交響楽団

放送日時・チャンネル
  12月  9日(土) 14:55~15:00    NHK 総合
  12月10日(日)   4:20~  4:25    NHK 総合
  12月13日(水) 10:50~10:55    NHK Eテレ
  12月17日(日)   4:20~  4:25    NHK 総合
  12月18日(月)   5:55~  6:00    NHK BSプレミアム

詳細は番組サイトをご覧ください。


ここからはオマケです。MP3データしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。

41kn8upeeplおおはた雄一さんはこれまでにもバカラックをカヴァーしとられまして。
まずは2008年のアルバム 『 SMALL TOWN TALK 』 収録の 「 雨にぬれても 」 (2:54) 。ウクレレ&ギターのみをバックにほんわかなタッチで歌っています。ちょっと脱力感のある歌い方は独特です。
また、2009年リリースのバカラック・カヴァー集 『 雪と花の子守唄 ~バカラック・ララバイ集~ 』 に 「 ME, JAPANESE BOY I LOVE YOU (ミー・ジャパニーズ・ボーイ) 」 で参加。ラテンなアレンジで意表を突かれました。これはアルバムを所有しておりまして以前拙ブログでもご紹介しております。


81lqharpysl_sl1500__2 坂本美雨さんのお母様は矢野顕子さん。
その矢野顕子さんが2017年11月(というかほんの数日前)にピアノ弾き語りのアルバム 『 Soft Landing 』 をリリースしたのですが、そのなかで 「 WIVES AND LOVERS (素晴らしき恋人たち) 」 (4:51) をカヴァー。これがトンデモなく素晴らしいカヴァーでございました。美しく、激しく、繊細で、エレガントな…う~ん、言葉では表現しきれません。ライヴでこの曲を聴いてみたいです。

2017年11月26日 (日)

LIPPY LIP BACHARACH/V.A. (1998年)

ポリグラム・グループ音源のなかから選曲した日本編集のバカラック物コンピ集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. TRAINS AND BOATS AND PLANES ~ Astrud Gilberto ~  F
2. DONNE-MOI MA CHANCE (TOO LATE TO WORRY)  ~ Sophia Loren ~  F
3. QUESTO AMORE E' PER SEMPRE (ANY OLD TIME OF THE DAY)  ~ Dalida ~  F
4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Lou Christie ~  M
5. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ Connie Francis ~  F
6. ALFIE  ~ Jerry Butler ~  M
7. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  ~ Marva Whitney ~  F
8. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ Roy Ayers ~
9. MESSAGE TO MICHAEL  ~ James Brown ~
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ James Brown ~  M
11. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  ~ Willie Bobo ~  M
12. ANY DAY NOW  ~ James Brown ~  M
13. DON'T MAKE ME OVER  ~ Lyn Collins ~  F
14. REACH OUT FOR ME  ~ Lyn Collins ~  F
15. THIS EMPTY PLACE  ~ The Fortunes ~  M
16. WIVES AND LOVERS  ~ Wes Montgomery ~
17. IN THE LAND OF MAKE BELIEVE  ~ Dusty Springfield ~  F
18. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Jimmy Smith ~
19. KEEP ME IN MIND  ~ Patti Page ~  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約58分


ポリグラム・グループ音源のなかから選曲した日本編集のバカラック物コンピ集です!

日本のバカラック第一人者たる坂口修氏が、マーキュリー、フィリップス、ポリドール、MGMやヴァーヴなどのヴォーカル物を中心にコンパイルしたそうです。(因みに、ポリグラム・グループは1999年にユニヴァーサル・ミュージック・グループに吸収され現在は存在しません)

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─  特に、フランス語やイタリア語で歌われる、一味違った Bacharach カヴァーと、"James Brown"とその仲間によるファンキーなテイク等をお楽しみ頂きたい。 ─ (坂口氏のコメント、ライナーより)

私のレコメンドは、坂口氏のコメントとほぼ同じでございます。

まずはT-2. 「 トゥー・レイト・トゥ・ウォーリー 」 のフランス語版。歌っているのはあのソフィア・ローレン。歌うんだcoldsweats02。陽気でノリが良い金管バリバリのアレンジで、彼女の歌も元気で勢いがあります。この曲のオリジナルはバブス・ティーノ。バカラック研究本の 『 SONG BY SONG 』 にはこの曲のカヴァーとして4バージョンがリストアップされているのですが、全てフランス語バージョン! んで、最初にカヴァーしたのがソフィア・ローレンなんです。

そしてT-3. 「 エニイ・オールド・タイム・オブ・デイ 」 をイタリア語で歌っているのはダリダ。誰だっ?て感じですが、(この際下手なダジャレは置いといて)簡単なプロフィールは上記表の注釈※2をご覧ください。この曲のオリジナルはディオンヌなのですが、ライナーによるとシェイラのフランス語バージョン(先日拙ブログで紹介したヤツ)を基にしてカヴァーしたんだそう。
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これら3作品をリリース順に並べたのがこの表。シェイラ版がディオンヌ版とほぼ同じテンポ&同じキーなのに対して、ダリダ版は速めのテンポでキーもかなり高くなってます。イタリア語特有の巻き舌の発音も加わり、ダリダ版は幾分おてんばな印象を受けます。本来ドリーミーなこの曲に一番マッチしているのはフランス語で歌っているシェイラ版かなぁ。(注:あくまでも、レスリー・アガムズ(こちらで紹介)やスー・レイニー等のとってもドリーミーなバージョンを含めずこの3作品のみで比較した場合の話です)
因みに、ダリダはイタリア語でカヴァーする前の1964年にフランス語でカヴァーしています(注釈※2参照方)。こうなると、そのフランス語バージョンもちょっと聴いてみたいですねー。

アルバムの中盤は “ JBまつり ” 状態です。脇を固めるのはJBファミリーの二人の歌姫。マーヴァ・ホイットニーがT-7. 「 ディス・ガール 」 をファンキーに歌い、リン・コリンズがT-13. 「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」 をソウルフルに、T-14. 「 リーチ・アウト 」 をメロウに歌っています。御大ジェームス・ブラウンは3曲披露! まずT-9. 「 マイケルへのメッセージ 」 ですが、JBは歌わずオルガンを弾くまくります。腕前は素人に毛が生えた程度でちょっと笑っちゃうんですが、ソウルフルなグルーヴ感は流石です。続くT-10. 「 世界は愛を求めてる 」 は疾走感のあるディスコ調のカヴァー。1976年リリースなのでもうディスコの時代なんですね。T-12. 「 エニィ・デイ・ナウ 」 は原曲のR&Bフィーリングを生かしたソウル・バージョン。サビの部分でのカッチョいいブラスとJBのシャウトがたまりません。

他に、クールでまったりした歌声が心にしみるアストラッド・ジルベルトのT-1. 「 汽車と船と飛行機と 」 、ラウンジ風なオルガン・プレイが個人的に好きなジミー・スミスのT-18. 「 遥かなる影 」 あたりも個人的にはレコメンドです。

JBファミリーのバカラック・カヴァーは他のバカラック物コンピ集では見かけません。そういう意味で貴重なコンピ集ではないでしょうか?


【データ】
『 LIPPY LIP BACHARACH 』
V.A.

CD:1998年7月15日リリース (ライナーは坂口修氏)
レーベル:POLYDOR K.K.
番号:POCP-1667

THIS COMPILATION Ⓟ1996 POLYDOR K.K.
DISTRIBUTED BY PolyGram K.K.
↓左は所有CD、 右は2007年のリイシュー盤(ユニバーサルからリリース)

2017年11月22日 (水)

AND TO ALL A GOOD NIGHT/Greta Matassa & Clipper Anderson (2010年)

米女性ジャズ・シンガーのグレータ・マタッサと米男性ベーシストのクリッパー・アンダーソンによるクリスマス・ソング集です。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は2トラック

2. THE BELL THAT COULDN'T JINGLE (2:58)
12. CHRISTMAS DAY (3:26)


米女性ジャズ・シンガーのグレータ・マタッサと米男性ベーシストのクリッパー・アンダーソン、二人のデュオ名義で2010年にリリースされたクリスマス・ソング集です。

Img026ccc二人ともシアトルを拠点とするジャズ・レーベル … オリジン・レコードに在籍。これまで何度も一緒にレコーディングしてるみたいで、ジャケットの裏表紙には二人の仲睦まじい写真が…。思わず夫婦かと思っちゃいました。

写真下のグレータ・マタッサはシアトルをベースに海外でも活躍するジャズ・シンガー。 “ 米北西部のヴォーカリスト・オブ・ジ・イヤー ” に7度も選ばれたそう。生年不詳ですが、経歴から察するに1965年前後の生まれのようで現在50代前半と思われます。

一方、クリッパー・アンダーソンはモンタナ州生まれで米北西部の実力派ベーシスト。1973年にモンタナ州立大に入学したそうなので1955年頃生まれの60代前半といったところでしょうか? 本アルバムのプロデュースも担当し、渋いボーカルも4曲で聴くことが出来ます。

本アルバムについてクリッパーはライナーでこう語っています。私の超意訳でどうぞ。

─  皆さんにまず知っていただきたいのは、私が音楽録音の記録係みたいなものだということです。私は子供時代から特にクリスマス音楽が大好きでした。私の家族、特に私の母親にとってクリスマスのしきたりは重要でした。生まれてから2007年まで私達はクリスマスをモンタナの両親の家で一緒に過ごしたのですが、いつの頃からか私はクリスマスの日に音楽を選びプレゼントを扱う役になりました。 私が長年に渡りクリスマスの集まりの思い出を込めて収集した音楽は、私のクリスマスの精神を具現化しています。 結果、私は家族から “ ミスター・クリスマス ” と呼ばれています。 今回のセレクションは私達にとってスタンダードなものばかり。有名な曲は余りありませんが、皆さんに喜んでいただけるものと確信しています。 ─

確かに、有名な(というか俗っぽい)クリスマス・ソングは皆無。でも、聴いてみると本当に素敵な曲ばかり。オールドファッションなジャズやスウィング、ジャズ・ボッサ、ポップ、しっとりしたバラード調など、曲によって味付けを変えているのですが、全体的には暖かく軽やかなトーンで統一されています。クリッパーのプロデュース力は半端なくスゴいと思います。

バカラック・カヴァーは2曲あって、まずはT-2. 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 。野宮真貴さんがカヴァーしたばかりの、今ホットな曲です。 ─  この曲、私はティファナ・ブラスのクリスマス・アルバムを聴いて育ちました。いつかこの曲をレコーディングしたかったんです。ヴォーカル参加に加え、ショーティ・ロジャースの編曲法を取り入れてコーラス・アレンジしてくれたジェニファーに感謝です。 ─ (ライナーより、クリッパーのコメント)

この曲が絶品なんですsign01 イントロ冒頭にある約30秒間のアカペラに見られるように、アレンジのベースはハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスのバージョン。このアカペラを始め、バック・コーラスはティファナ・ブラス版よりも透明感があります。グレータとクリッパーの息の合ったツイン・ヴォーカルも肩の力が抜けてていい感じ。ティファナ・ブラス版でのギターやトランペットに代わって、刻み系の音はチェレスタ/ヴィブラフォン/グロッケン/トイ・アコーディオンなどが奏でているのですが、これがまた見事にホリディ感を醸し出してます。子供のころからず~っとアイディアを温めてきたんでしょう。いやもう脱帽です。私はティファナ・ブラス版よりもこちらに軍配を上げますpaper

ちなみに、同好の士であるまったりさんが “ この曲を男女3人で歌ってる動画 ” をブログで紹介しておられます。振付がユーモラスな楽しい動画なのですが、彼らが歌ってるわけじゃなくて流れている音楽は本アルバムの曲なんですねー(ただし冒頭のアカペラはカットされてます)。最近ようやく気が付きましたcoldsweats01

さて、もう1曲はT-12. 「 クリスマス・デイ 」 。 ─  本アルバムのラストを飾るのはバカラックのミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 からの曲。ハル・デイヴィッドの歌詞が持つメッセージは、クリスマスが私たち家族にとって何なのかを表してるんです。 ─ (先程と同様、クリッパーのコメント)

デモ版リヴァイヴァル版を除くと、ジョニー・マティスがカヴァーして以来のカヴァーじゃないでしょうか 。それくらいの超レア曲です。ヴォーカルはグレータ。バックはピアノ・トリオ+ヴィブラフォン/グロッケンで、ジャズ・バラード風のアレンジ。ダブル・ベースがところどころ弓を弾くのですが、これがいい雰囲気を醸し出していてまったりした気分になります。アルバムを締めくくるのにピッタリの選曲とアレンジではないかと。

世の中にやたらと陽気なクリスマス・ソングがあふれるなか、本アルバムはそれらとは一線を画す ” 寒い日にほんわかリラックスできる上質な大人のクリスマス・ソング集 ” です。ジャズがお好きな方、ポップスがお好きな方、どちらにも強くオススメ致します。尚、2015年にジャケットと曲順を変えた日本盤がリリースされています。日本盤は緑色や赤が目立ついかにもクリスマスといった暖色系のアートワーク。曲自体は全く同じなので、どちらにするかはお好みでどうぞ。

※ 2018/2/4 訂正


【データ】
『 AND TO ALL A GOOD NIGHT 』
Greta Matassa & Clipper Anderson

CD:2010年11月16日リリース
レーベル:Origin Records
番号:ORIGIN 82578

Produced by Clipper Anderson
Recorded & mixed by David Lange at David Lange Studio, Edgewood, WA in January, 2009
T-2. 「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」
  Greta Matassa - vocals
  Darin Clendenin - piano
  Clipper Anderson - vocals, bass, celeste
  Mark Ivester - drums, jingle bells
  Susan Pascal - vibes, glock
  David Lange - toy accordian
  Jennifer Ivester - vocals, choral arr.
T-12. 「 CHRISTMAS DAY 」
  Greta Matassa - vocals
  Darin Clendenin - piano
  Clipper Anderson - bass
  Mark Ivester - drums
  Susan Pascal - vibes, glock

↓左はオリジナル盤(試聴できます)。右が日本盤です。

2017年11月19日 (日)

A BRAND NEW ME/Aretha Franklin with The Royal Philharmonic Orchestra (2017年)

アレサ・フランクリンが今年(2017年)リリースしたアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

3. I SAY A LITTLE PRAYER (4:18)


Img023ggg クイーン・オブ・ソウルことアレサ・フランクリンがコロンビアからアトランティックに移籍したのが1967年。今年(2017年)、その50周年を記念してリリースされたアルバムです。ちなみに、私がアレサのアルバムを購入するのは 『 WHAT YOU SEE IS WHAT YOU SWEAT 』 (1991年リリース) に続いてこれが2枚目でございます。

ここで聴けるアレサの歌声は、アトランティック時代にレコーディングしていた当時のトラック。そこにロンドンのアビーロード・スタジオで新たにレコーディングされたロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラの音源を加えたものです。

チョイスされたのは有名曲ばかり14曲。ソウルの世界に疎い私でも数曲は知ってます。どれも曲自体が素晴らしいですね~。

アレサはアトランティック時代にバカラック作品を5曲レコーディング( 『 アトランティック・バカラック・コレクション 』 参照方) していますが、本アルバムで取り上げられたバカラック作品は皆さんご存知の T-3. 「 小さな願い 」 。重くてもの悲しいストリングスにはちょっと違和感を覚えますが、30秒もするとあの聴きなれたイントロが聴こえてきてホッとします。当時のトラックにオケを重ねただけかと思ったですが、そうではなくてドラムス・ベース・ピアノ・ギター・バックコーラスも新しくレコーディングされたもの ~ つまり歌声以外全て新録音なんですね。以下クレジットを参照ください。なお、赤字は女性、青字は男性を示しています。
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「 小さな願い 」 はディオンヌがオリジナルで1966年にヒット(全米4位)させますが、翌年アレサがカヴァーしたバージョン(全米10位)の方が一般的に評価が高いのは周知のとおり。でも私はディオンヌ版の方が好きでして。これまでも何度か拙ブログで書いたように、アレサ版は表現が大げさでとても “ 小さな ” 願いに聴こえず、お願いの “ 押し売り ” のように感じてしまうんです。ところが、本アルバムのバージョンはそこまでではありません。オケのゴージャスさが全体をマイルドにしているのかなぁ。

アレサは1942年生まれなので今年(2017年)でちょうど75歳。今年2月には、年内に引退するというニュースも耳にしました。 ─ ソウルの女王、アレサ・フランクリンが、引退を計画していることを明かした。年内、レコーディングするアルバムを最後とし、その後は孫とゆっくり過ごしたいそうだ。 ─ (ニュース記事より)

まさか本作がそのアルバムじゃないですよね~。だってアレサは歌ってないじゃんか~。ディオンヌ(1940年生まれ)より2歳も若いんだし、まだまだ頑張って歌ってほしいです。


R199845114493117469784jpeg ここからはオマケです。MP3データしか所有していないバカラック作品をご紹介。

アレサは、コロンビア時代の1964年にリリースしたアルバム 『 Runnin' Out Of Fools 』 で 「 ウォーク・オン・バイ 」 (2:51) をカヴァーしています。バックの演奏は殆どディオンヌ版と同じアレンジ。薄いトランペットなんかもうモロにバカラック。ディオンヌの曲の中では元々R&B色の強い曲ですしアレサはディオンヌよりはソウルフルに歌ってるのですが、思いっきりシャウトするわけでもなく消化不良な印象。ホントはもっとソウルフルに歌いたかったんでしょうけれど、コロンビアというレーベルのカラーがそこまで許してくれなかったか…。


【データ】
『 A BRAND NEW ME 』
Aretha Franklin with The Royal Philharmonic Orchestra

CD: 2017年11月9日リリース
レーベル: Rhino Atlantic
番号: R2-557606

Produced by Nick Patrick and Don Reedman
Orchestra performed by The Royal Philharmonic Orchestra
Conducted by StevevSidwell and Robin Smith

2017年11月12日 (日)

Écoute Ce Disque/Sheila (1964年)

フランスの女性シンガー、シェイラのセカンド・アルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は2トラック

3. CHAQUE INSTANT DE CHAQUE JOUR (ANY OLD TIME OF THE DAY)  (2:37)
10. OUI, IL FAUT CROIRE (I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF)  (3:04)


Img020ggg_2フランスの女性シンガー、シェイラのセカンド・アルバムです。1964年にフランスとカナダでリリースされました。

─  シェイラは1945年パリ郊外クレテイユ生まれ。16歳の時、2人のプロデューサー(ジャック・プレ と クロード・カレール)に見出されイェ・イェ時代を代表する女性歌手のひとりに成長した。 ─ (日本語ライナーノーツより抜粋)

ライナーでは更にイェ・イェの説明が続きます。 ─  母国では伝統的な歌謡曲を 「 シャンソン 」 、英米の影響を受けたものを 「 ヴァリエテ・フランセーズ 」 と呼び 「 イェ・イェ 」 はザ・ビートルズがその地位を確立する前後の欧米のポップ・ソングの影響を受けた、アイドル・シンガーによるティーン向けの軽快なロックンロールやおセンチなバラードだ。英米のヒット曲のカヴァーも多い。ボスキャラはご存知セルジュ・ゲンスブールで、本人歌唱のほかフランス・ギャルやフランソワーズ・アルディに多くの作品を提供した。 ─

ふむふむflairそーゆーことなんだ。私は1964年生まれで、「 イェ・イェ 」 と言われてもピンとこない世代。連想して頭に浮かぶのはレナウンのCMtvだけです。なのでライナーの説明は勉強になりました。

8曲ある英米ヒットのカヴァーも含めて全12曲フランス語で歌っています。バカラック・カヴァーはT-3. 「 エニイ・オールド・タイム・オブ・デイ 」 とT-10. 「 恋のとまどい 」 。

「 エニイ・オールド・タイム・オブ・デイ 」 はディオンヌがオリジナルで1964年2月リリースのセカンド・アルバム 『 ANYONE WHO HAD A HEART 』 に収録。同年4月リリースのシングル 「 ウォーク・オン・バイ 」 のカップリング曲にもなりました。シェイラ版はこの曲の最初のカヴァーになるみたいですね。バックの演奏はディオンヌ版とほぼ同じアレンジ&テンポで特に芸はありません。しかも2コーラスめを省略して尺短いし^^;。でも、曲の最終盤に2回登場する “ ジュテーム(大好き) ” の4連発はオリジナルには見られないもので、歌詞については一工夫加えてるようです。元々ドリーミーな曲調ですが、この “ ジュテーム ” も含めてフランス語との相性は良く、好カヴァーと思います。

「 恋のとまどい 」 のオリジナルはトミー・ハント(1962年)ですが、シェイラ版の元ネタはダスティ・スプリングフィールド版(1964年)と思われます。パワフルでスケールの大きいダスティの歌唱と較べるとシェイラの歌いっぷりは一回りスケール小さい感は否めません。まぁ、アイドル・シンガーですから比較するのは酷ですねー^^;。ただ、さきほどの曲と違ってフランス語との相性はイマイチかな?

アルバム全体的には明るく元気な曲が多いです。アルバムの目玉は、アルバムの邦題にもなってるようにレノン=マッカートニー作のT-6. 「 ハロー・リトル・ガール 」 らしいです。個人的なレコメンドは断然 「 エニイ・オールド・タイム・オブ・デイ 」 ですけれど。

因みに、本アルバムは1964年にリリースされた3枚の4曲入りEPから構成されたものだそう。Discogsで調べてそのEP3枚を見つけました。左から表裏ペアで、『 SHEILA 5e disque 』 、『 SHEILA 6e disque 』 、『 SHEILA 7e disque 』 。タイトルの意味は 『 シェイラ 〇枚目のレコード 』 。なんてストレートな表現coldsweats01。ライナーによれば、当時はEPが主流だったためLPはさほど流通していないんだとか。
あと、これはどーでもいいコトですが、真ん中6e disqueのジャケ写はかわいくて好きですlovely
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【データ】
『 Écoute Ce Disque 』 (邦題:ハロー・リトル・ガール)
Sheila

LP:1964年リリース (所有CDは、2016年12月14日リイシューの日本盤。歌詞&訳詞付き、ライナーは皆川勝氏)
レーベル:Philips (所有CDは、WEA / ワーナーミュージック・ジャパン)
番号:B 77.896 L (所有CDは、WPCR-17566)

Producer: Claude Carrère, Jacques Plait
Arranged by Sam Clayton

2017年11月 5日 (日)

the burt bacharach songbook/V.A. (1998年)

1998年にリリースされた米国編集のバカラック&デイヴィッド作品コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ Jackie DeShannon ~  F
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Andy Williams ~  M
3. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Della Reese ~  F
4. THE LOOK OF LOVE  ~ Roger Williams ~
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Anne Murray ~  F
6. WIVES AND LOVERS  ~ Jack Jones ~  M
7. ONE LESS BELL TO ANSWER  ~ The 5th Dimension ~  F
8. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  ~ Dusty Springfield ~  F
9. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ Jerry Butler ~  M
10. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Sandie Shaw ~  F
11. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  ~ Gene Pitney ~  M
12. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  ~ The Stylistics ~  M
13. ANYONE WHO HAD A HEART  ~ Maureen McGovern ~  F
14. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Ramsey Lewis ~
15. ALFIE  ~ Dee Dee Warwick ~  F
16. DON'T MAKE ME OVER  ~ Petula Clark ~  F
17. MESSAGE TO MICHAEL  ~ Lena Horne & Gabor Szabo ~  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約54分


1998年に米Varèse Sarabande Records(ヴァレーズ・サラバンド・レコーズ) の Varèse Vintage(ヴァレーズ・ヴィンテージ) レーベルからリリースされた米国編集のバカラック&デイヴィッド作品コンピ集です。

編者のひとりであるJim Pierson氏が本コンピ集をライナーでこう紹介しています。私の超意訳でどうそ。 ─ このコレクションは、バカラックが作詞家ハル・デイヴィッドと組んでいた1960~1970年代全盛期に焦点を当てています。二人のパートナー・シップは数多くのヒット曲を生み出し、その多くはディオンウ・ワーウィックによってレコーディングされました。それらのバージョンはディオンヌの多数のリリースや他のバカラック・アンソロジーで既に皆の知られるところとなっているので、我々はヒットはしてないけれど価値あるカヴァーを集めました。いくつかのヒット曲も含んでいますが。 ─

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レーベルの縛りなく集められた全18曲はバカラック&デイヴィッドの代表曲ばかり。ただし、ディオンヌのバージョンやバカラックのセルフ・カヴァー物は一切ありません。そこは徹底していますね~。T-1. とアルバム中程の7曲(T-6~12.)はオリジナルかカヴァーかを問わず有名なバージョンですが、それ以外は結構レアなバージョンを集めています。

本コンピ集で個人的に最もレコメンドなのは、モーリン・マクガバンのT-13. 「 恋するハート 」 。このバージョンが入っていた他のコンピ集でも同様にレコメンドでした。理由については そのコンピ集の記事 を、モーリン・マクガバンについては彼女のアルバム 『 Baby I'm Yours 』 の記事 を参照ください。

本コンピ集以外では見かけないくらいの超レア物に加えて内容的にもレコメンドなのが、流麗なストリングス/ちょっとファンキーなピアノ/パワフルな歌唱が印象に残るデラ・リースのT-3. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 、カントリー風味なアン・マレーのT-5. 「 恋よさようなら 」 、意外と歌声がチャーミングなペトゥラ・クラークのT-16. 「 ドント・メイク・ミー・オーバー 」 の3曲です。

ディオンヌ・ワーウィックの妹であるディー・ディー・ワーウィックが歌うT-15. 「 アルフィー 」 もオケのアレンジが新鮮でレコメンド。一方、彼女の歌は上手いけれど特徴がなくてレコメンドではありません(^^;。

なお、実際のディスクはT-3. とT-5. が入れ替わって収録されています。編集時のミスと思われますが、拙記事ではCDジャケットの曲順通りに紹介しました。あしからず。


【データ】
『 the burt bacharach songbook 』
V.A.

CD:1998年2月24日リリース
レーベル:Varèse Vintage / Varèse Sarabande Records(US)
番号:VSD-5873

Collection Produced by Cary E. Mansfield and Jim Pierson
Sound Produced by Bill Inglot
Note by Jim Pierson

This compilation ⓅⒸ1998 Varèse Sarabande Records, Inc.
Manufactured by Varèse Sarabande Records, Inc.
Distributed by Universal Music and Video Distribution

2017年11月 1日 (水)

BACHARACH & DAVID They Write The Songs/V.A. (1997年)

1997年にリリースされた英国編集のバカラック&デイヴィッド作品のコンピ集です。

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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Dionne Warwick ~  F
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ B. J. Thomas ~  M
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  ~ Sacha Distel ~  M
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ Jackie DeShannon ~  F
5. MESSAGE TO MICHAEL  ~ Deacon Blue ~  M
6. 24 HOURS FROM TULSA  ~ Gene Pitney ~  M
7. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Bobbie Gentry ~  F
8. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Sandie Shaw ~  F
9. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Luther Vandross ~  M
10. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Isaac Hayes ~  M
10. ALFIE  ~ Matt Monroe ~  M
11. TRAINS AND BOATS AND PLANES  ~ Billy J. Kramer and The Dakotas ~  M
12. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ Booker T & The MG's ~
13. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  ~ Timi Yuro ~  F
14. ANYONE WHO HAD A HEART  ~ Cilla Black ~  F
15. TO WAIT FOR LOVE  ~ Sacha Distel ~  M
16. THE LOOK OF LOVE  ~ Shirley Bassey ~  F
17. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  ~ Dionne Warwick ~  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約59分


1997年にリリースされた英国編集のバカラック&デイヴィッド作品のコンピ集です。

恋人同士っぽい演出のジャケットからはチープなイージーリスニングを想像してしまいますが、中身は至ってまとも。レーベル系列を越えたコンピレーションでして、英国編集のものでは1988年リリースのConnoisseur盤と同様のコンセプト。実際、本コンピ集全18曲のうち半数の9曲はConnoisseur盤と重複してます。

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レコメンドはそのConnoisseur盤と重複しない残りの9曲に集中!

まずは、なんといってもルーサー・ヴァンドロスのT-9. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 。デビュー・アルバムの 『 Never Too Much 』 に収録された7分を超えるこのカヴァーは、シングルになってないにも拘らず彼の代表曲のひとつとされています。全くもって素晴らしい! そしてアイザック・ヘイズのT-10. 「 遥かなる影 」 。彼独特の世界観は他の追随を許しません。惜しむらくは約9分のロング・バージョン(アルバム 『 Black Moses 』 収録)じゃなくて4分ほどのショート・バージョンであること。ルーサーと長尺曲対決して欲しかったなぁ…。

また、ストリングスのアレンジと貫禄のヴォーカルが素晴らしいマット・モンローのT-11. 「 アルフィー 」 、妖しげでカッコいいアレンジとパワフルなシャーリー・バッシーの歌唱が魅力のT-17. 「 恋のおもかげ 」 もレコメンドですねー。

アイザック・ヘイズの 「 遥かなる影 」 とシャーリー・バッシーの 「 恋のおもかげ 」 は過去記事でちょろっと言及しています。よろしかったらそれぞれリンクをクリック下さいませ。

一方、レアなカヴァーも2曲。デーコン・ブルーのT-5. 「 マイケルへのメッセージ 」 は1990年にリリースしたバカラック&デイヴィッド作品4曲入りEPからの1曲。なかなかお目にかかれない代物です。それとブッカー・T&ジ・MG'sのT-13. 「 小さな願い 」 。1992年リリースのStax未発表曲集に収められていたもので、こちらも本コンピ集以外では見たことありません。貴重な音源かと…。

尚、1990年に同名タイトルのコンピ集がUKでリリースされてるようですが、ジャケット・収録曲とも全く異なる別物です。お間違えなきよう。


【データ】
『 BACHARACH & DAVID They Write The Songs 』
V.A.

CD:1997年リリース
レーベル:NECTAR(UK)
番号:NTRCD073

This compilation Ⓟ1997 NECTAR Ⓒ1997 NECTAR
NECTAR is a devision of QUALITY SPECIAL PRODUCTS
Made in the UK.

2017年10月29日 (日)

Close To You ~ Burt Bacharach Song Book/Nicki Parrott (2017年)

歌う女性ベーシスト、ニッキ・パロットによるバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WALK ON BY
2. ALFIE
3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
5. WISHIN' AND HOPIN'
6. A HOUSE IS NOT A HOME
7. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
8. WIVES AND LOVERS
9. THE APRIL FOOLS
10. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
11. MAKE IT EASY ON YOURSELF
12. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
13. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
14. I SAY A LITTLE PRAYER
15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約53分


歌う女性ベーシスト、ニッキ・パロットによるバカラック・カヴァー集。今月(2017年10月)リリースしたてのホヤホヤspaです。
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ニッキさんはこれまでもちょくちょくバカラック作品を歌っておいでで、拙ブログでも2015年に一度取り上げています。簡単なプロフィールなどもその記事に載せていますのでよかったら参照ください。 → こちら

そしていよいよバカラック集をレコーディング! ボーカル&ベースのニッキさんに、ドラムス、ピアノ、テナー・サックス、ギターのクインテット編成。収録された15曲は全てバート・バカラック&ハル・デイヴィッド作品でカヴァー定番曲ばかり。15曲もあれば少しはレアな曲もあるかな?と期待しましたが、意表を突く選曲は無くてチト残念。

全体的にはわりと真っ当なジャズかな~という印象。でも、畏まって聴く感じではなくて、ニッキさんの若干ハスキーでまろやかな歌声に合わせてバックの演奏は全体的に暖色系で角が丸く、リラックスして聴けるアルバムです。

クィンテット編成は5曲だけで、曲によってピアノのみ、ピアノトリオ、ギタートリオ、ギター抜きカルテット、サックス抜きカルテットという風に変化をつけています。ニッキさんはそれほど声量がないこともあって、クィンテット編成などの賑やかな演奏には押されてしまってる感があります。ピアノのみやトリオ編成くらいの方が歌と演奏のバランスが取れててニッキさんの持ち味が発揮できるのかなぁと思います。

私のイチオシgoodは、T-9. 「 エイプリル・フール(幸せはパリで) 」 。バックはピアノのみ。リリカル且つシンプルなピアノが素晴らしく、イントロとアウトロも素敵です。丁寧に感情を込めて歌っているニッキさんも素敵。この曲だけを何度も繰り返し聴きたくなります(事実繰り返し聴いてます)。同じくピアノのみをバックに歌うT-7. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン(遠い天国) 」 やT-13. 「 ディス・ガール(貴方に恋して) 」 なども味があってレコメンド。“ 歌う女性ベーシスト ” の肩書はこの際忘れましょうcoldsweats01

ピアノトリオのT-6. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 、クィンテット編成で渋いバラードにアレンジされたT-1. 「 ウォーク・オン・バイ 」 あたりもレコメンドにしときます。ここまでピックアップした5曲は全てバラード曲。ニッキさんはバラードがしっくりくるなーと感じました。

R969257714848559505806jpeg ここからはオマケです。MP3データしか所有していないバカラック作品をご紹介。

これはニッキ・パロットが昨年(2016年)リリースした 『 Yesterday Once More ~ The Carpenters Song Book 』 というアルバム。タイトルが何だか似てますがそれはこの際置いといてsmile、そのアルバムの中で 「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 」(3:50) と 「 (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 」(4:43) を取り上げて歌っています。どちらも賑やかで楽しいボサノヴァ風アレンジ。こういうアレンジだとリズムに乗って軽やかに歌ってほしいところですが、なんか乗り切れてないような感じを受けます。やっぱりニッキさんはバラード曲の方がお似合いなんじゃないかなぁ~。


【データ】
『 Close To You ~ Burt Bacharach Song Book 』 (邦題:遥かなる影~バート・バカラック・ソング・ブック)
Nicki Parrott

CD:20.17年10月18日リリース
レーベル:ヴィーナス・レコード(日本)
番号:VHCD-1222

Produced by Tetsuo Hara
  Nicki Parrott - vocals & bass
  John Di Martino - piano
  Paul Meyers - guitar
  Harry Allen - tenor sax
  Alvin Atkinson - drums
Recorded at Trading 8's Studio in NY on July 4, 5 & 6, 2017
  T-1,3,5,10,12,15. ~ b,p,d,g,ts
  T-2,14. ~ b,p,d,ts
  T-4. ~ b,p,d,g
  T-6,8. ~ b,p,d
  T-11. ~ b,d,g
  T-7,9,13. ~ p

2017年10月22日 (日)

野宮真貴、ホリデイ渋谷系を歌う。/野宮真貴 (2017年)

冬の名曲スタンダードをカヴァーした野宮真貴 “ 渋谷系を歌う ” シリーズ第5弾! バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

3. THE BELL THAT COULDN'T JINGLE (2:53)  ~ Duet with 渡辺満里奈 feat. Smooth Ace ~


Img010gggピチカート・ファイヴのヴォーカリスト、元祖渋谷系のディーヴァの野宮真貴が2017年(今年)にリリースしたアルバムです。

2014年11月リリースの 実況録音盤!『 野宮真貴、渋谷系を歌う。~Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards~ 』 を皮切りに、2015年11月 『 世界は愛を求めてる。~野宮真貴、渋谷系を歌う。~ 』、2016年8月 『 男と女 ~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。 』、2017年5月 『 野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。 』 とリリースしてきたシリーズの第5弾!

前作 『 …バカンス系 』 が夏向けだったのに対し、本作は冬の名曲スタンダードをカヴァー。とは言っても、全12トラックのうち半数(T-7~12.)はボーナストラック。ミニ・アルバムと呼んだ方がしっくりします。

T-2. 「 Winter's Tale ~冬物語~ 」 は高野寛、T-4. 「 おもて寒いよね Baby, It's Cold Outside 」 は横山剣、T-6. 「 冬がはじまるよ 」 は鈴木雅之とのコラボ。

そしてバカラックの数少ないのクリスマス・ソング、T-3. 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 は渡辺満里奈とのデュエットでカヴァー。日本のアーティストがこの曲をレコーディングしたのはこれが初めてでしょう。しかも、小西康陽氏による日本語詞で歌っています。

小西氏の訳詞に接して初めて、この曲の世界観を理解することができました。著作権の関係でそのまま載せるとマズいので、私なりに英語詞を超意訳したのがこちら↓。

クリスマスのベルが泣いている ジングルが鳴らないよ~って
サンタはすぐにその理由がわかった 鈴が入ってないからさ

「 わたしがクリスマスの贈り物をあげよう イヴには鳴るようになる 」 とサンタは言った
そうしたら霜の妖精が涙を凍らせ 鈴に変わったんだ
壊れたベルは直り ジングルはいつまでも鳴り続けた


壊れたベルがサンタのおかげでジングルを鳴らせるようになった…というなんとも心温まるお話(歌詞)だったんですねー。

ところどころ満里奈さんがユニゾン/ハモリ/あるいは輪唱で絡んでくるのですが、真貴さんがヴォーカルを多重録音してるんじゃ?と思うほど真貴さんと満里奈さんの声質はよく似ています。男女2人によるバック・コーラスも含めて、ウキウキする大人のポップス…といった感じのアレンジもいいですねー。アニタ・カー・シンガーズのバージョン(1969年)をパクったとも言えますが、まぁそれはご愛敬ということでcoldsweats01。そーゆー意味では同じアレンジで英語詞版も聴いてみたいです。ボーナストラックでいいから収録して欲しかったです~。


【データ】
『 野宮真貴、ホリデイ渋谷系を歌う。 』
野宮真貴

CD:2017年10月18日リリース
レーベル:ユニバーサル・ミュージック
番号:UICZ-4406

Produced by 坂口修
Arrangement & All Programming by Ryosuke Imai
Vocal, Chorus: 野宮真貴
Guest Vocal: 高野寛(T-2.), 渡辺満里奈(T-3.), 横山剣(M-4.), 鈴木雅之(T-6.)

"Les Romantiques"
  Organ, Keyboards, Percussion, Chorus: スパム春日井
  Piano, Organ, A.Guitar: 真藤敬利
  Bass: 石田純
  Drums: 平里修一
  Guitar: 末松一人

"Smooth Ace"
  Chorus: 重住ひろこ・岡村玄

Trumpet:佐々木史郎
Saxophone: 庵原良司

Acoustic Guitar: 古後敦史, 島周平

2017年10月15日 (日)

CALIFORNIA HERE I COME/Bill Evans (1982年)

ビル・エヴァンスの1967年ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音盤です。バカラック作品を1曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ケース裏

全15トラック中、バカラック作品は1トラック

11. ALFIE (5:12)


Img006sssジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスの1967年 NY ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音盤です。

ビル・エヴァンスは1929年ニュージャージー州生まれ。白人モダン・ピアノの最高峰と呼ばれました。彼は1980年に51歳で永眠したのですが、その直後から日米で追悼作のムーブメントが起こります。本アルバムはそれらの追悼作のひとつで、没後2年の1982年に米国でリリースされたものです。

エディ・ゴメス(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)とのピアノ・トリオ編成。全15曲で75分。LP2枚組でリリースされました。

先月、ビル・エヴァンスのアルバム 『 ANOTHER TIME 』 を取り上げた際にエヴァンスの 「 アルフィー 」 は三種類ある…と書きました。でも、自分が知らないだけでもしかしたら他にも録音が残ってるんじゃないか?と思いDiscogs 等で調べたところ、見つかる見つかるsign01 これまで紹介済みのバージョンを含めて九種類もsign03 こんなに有るとは思っていませんでしたcoldsweats01

聴いたことがない 「 アルフィー 」 六種類のうち、どれかCD買おうと思って本アルバムを選択。他は曲単体をMP3で入手した次第。

全九種類の 「 アルフィー 」 を表にまとめてみました。録音日順に、共演者、演奏時間、オリジナル・アルバム、ライヴorスタジオ録音、録音場所を記しています。ついでにアルバム・ジャケットも載せておきます。このうち、本アルバムは②でございます。

Bill_evanss_alfie_recording_list

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1966年11月の ①~ 1974年1月の ⑨ まで計九種類、共通点は以下の通り。
・編成=ピアノ・トリオ
・録音=ライヴ録音
・演奏上の構成が同じ
・リードを取るのはエヴァンスのピアノだけ

演奏上の構成はすべて、前半(1コーラス目)バラード ⇒ 中盤(2コーラス目の最初~サビ手前まで)アドリヴ ⇒ 後半(2コーラス目のサビ~エンディング)またバラード というもの。

ただ、③~⑨に共通している “ 2コーラス目導入部の駆け上がるようなフレーズ ” と “ エンディング ” は、①・②と明確に異なります。

クルマに譬えると、③ でマイナーチェンジしたような感じ。また、①はまだ手探り状態なのかぼやっとした演奏なのですが、②では細かい表現に神経が行き届いていて輪郭がクッキリした印象です。①は量産前の試作車で、②で量産開始した…といったところでしょうか。

③~⑨は少なくともエヴァンスのピアノに関してはほぼ一緒。テンポの速い/遅い、アドリヴの違い、ベースやドラムスの演奏の違いなど、クルマに譬えるとグレードやオプションによる差ですかねー。 エヴァンスにとって 「 アルフィー 」 の完成形なんだと思います。そのなかでは、ドラムス・ベース共にピアノに寄り添ってる感がより感じられる③がオススメです。

最後に、過去に紹介したアルバムの記事をリンクしておきます。
『 ANOTHER TIME 』
『 MONTREUX Ⅱ 』
『 the magic of Burt Bacharach 』 … バカラック物コンピ集


【データ】
『 CALIFORNIA HERE I COME 』  (邦題:ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・セッション'67)
Bill Evans

LP:1982年リリース (所有CDは、2016年6月29日リリースの日本盤)
レーベル:Verve (所有CDは、ユニバーサル・ミュージック)
番号:VE2-2545 (所有CDは、UCCU-5572)

Produced by Helen Keane
The Bill Evans Trio:
  Bill Evans, piano
  Eddie Gomez, bass
  "Philly" Joe Jones, drums
Recorded at The Village Vanguard
August 17,18, 1967.

2017年10月 8日 (日)

Lullaby Girl/Lisa Loeb (2017年)

米女性シンガーソングライターのリサ・ローブが一昨日リリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録! (CD無し/デジタル配信のみ)

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全13トラック中、バカラック作品は1トラック

11. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:56)


米女性シンガーソングライターのリサ・ローブが一昨日(2017年10月6日)リリースしたアルバムです。Amazon Music のデジタル配信のみで、Prime会員なら無料! 私は会員なのでラッキーでした(^^)。

リサ・ローブは1枚だけアルバム持ってます。1995年リリースの 『 TAILS 』 で、全米1位になった 「 STAY 」 が入ってるヤツです。彼女のことは全く知らなかったのですが、当時雑誌のレコード評を読んで買ったんじゃないかなぁ。あまりピンと来なかったので数回聴いただけですけど^^;。

さて本作。もともと子供向けの子守歌アルバムとして企画されたものの、レコーディングの過程で子供だけではなく大人向けのアルバムになると確信。子供にも大人にも聴いてもらえる、気持ちを和らげるララバイ/リラックス・ソング集として製作されたんだとか。

収録曲は 「 BE MY BABY 」、「 DREAM A LITTLE DREAM 」、「 TOMORROW 」 などカヴァーがメイン。オリジナルも2曲あるそうなんですがクレジットが無くてどれがそうなんだかわかりません。全体的にアコースティックで優しいサウンド。バックの演奏は、ピアノトリオ、アコギが中心の編成、ヴィブラフォンやグロッケンなどが入った子守歌仕様の編成など、曲によって変化を持たせています。

バカラック・カヴァーはT-11. 「 世界は愛を求めてる 」 。アコギ、ヴィブラフォン、グロッケン、ダブル・ベース、エレピ、鈴、時折女性のバック・コーラスも加わり、アルバムの中では賑やかめの演奏。♩≒110のテンポはオリジナルのジャッキー・デシャノン版(♩≒106)より心持ち速めでしょうか。リサ・ローブの歌唱はニュートラルでバックの演奏になじんでいます。聴いてるとほっこりしますね。個人的な好みでいえば、もう少し歌にメリハリつけたいところですが。

ここから、ちょいと時事ネタです。

前回シーラ・Eの記事で 「 世界は愛を求めてる 」 のカヴァーが最近多いと感じてる…と書きましたが、その直後の10月2日(現地時間10月1日の夜)に米ラスベガスで銃乱射事件が発生! 昨年(2016年)の米オーランド銃乱射事件の時の Broadway for Orlando ほどではないものの、事件後に Damon Elliott (デーモン・エリオット:ディオンヌ・ワーウィックの次男)A Las Vegas high school choir (ラスベガス高校合唱団) がこの曲を歌っています。また、Twitterでは 「 世界は愛を求めてる 」 の歌詞や動画を #PrayForLasVegas などのハッシュタグを添えてツイートする事例がたくさん見受けられました。

そして今回リサ・ローブが! でも、当然のことながらレコーディングはもっと前ですし、アルバムの趣旨からして政治的な意図は無いでしょうね~。


【データ】
『 Lullaby Girl 』
Lisa Loeb

MP3:2017年10月6日リリース
レーベル:Furious Rose Productions
番号:不明

クレジット不明 ^^;

2017年10月 1日 (日)

Iconic: Message 4 America/Sheila E. (2017年)

シーラ・Eが2017年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全15トラック中、バカラック作品は1トラック

15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (4:46)


シーラ・Eが2017年9月にリリースしたカヴァー・アルバムです。

─  私の新しいアルバムIconicは、このような時代だからこそ製作されました。自分の国、そして皆さんのために貢献する責任があると私は信じているのです。私が知ってる最高の方法で。そう、音楽で。 ─


シーラ・E公式サイトでのアルバム紹介コメントを引用して紹介します。(翻訳ソフトで訳した文面を手直ししたもの)

─  このアルバムは、私たちが立ち上がり、私たちの自己利益以上の何かを立てるよう求めるものです。このアルバムでは、私が住んでいるこの混乱する時代に語りかけるために過去の素晴らしい音楽をカヴァーしました。アルバムの各曲は、最大の抗議と革命の歌の一部であり、今の時代にフィットするよう手を加えています。 ─

もともと2016年にダンス・アルバムを製作する予定だったそうですが、プリンスの死とトランプ大統領の誕生により方針転換。シーラ・Eの祖父はメキシコからの移民だそうで、トランプ大統領に怒ってる…とあるインタビューで語っています。政治的なメッセージを含んだ曲をカヴァーし、アメリカを団結させたいとの思いで本アルバムを制作したんだとか。最初は目障りに感じたジャケット写真のボーダー柄も星条旗の赤白ボーダーをオーバーレイしたものなんですねー、納得。

プリンスを始め、ビートルズ、ジェームス・ブラウン、スライ&ザ・ファミリー・ストーンなどのカヴァーを収録。そして、リンゴ・スターやフレッド・ストーン(スライ・ストーンの弟)、キャンディ・ダルファーなど錚々たるミュージシャンがゲスト参加しています。

全体的にはファンクだったりソウル/R&Bあたりのテイストに仕立てられています。冒頭いきなりT-1. 「 Funky National Anthem (ファンキーなアメリカ国歌) 」 からスタート。T-7. 「 James Brown Medley 」 もファンキーです。そうかと思えば、ビートルズのカヴァーT-8. 「 Blackbird 」 はピアノを中心としたアコースティックなサウンド。どこのジャズ・シンガーが歌ってるんだ?って思うほどの渋い歌いっぷりに目が点。ちなみに、「 Blackbird 」 が黒人女性の人権擁護や解放について歌ってるってこと、今回初めて知りました。

さて本題。バカラック・カヴァーはT-15. 「 世界は愛を求めてる 」 。ファンキーにやるんじゃ?という予想は外れてブルースっぽいジャズ・ワルツ仕立て。オルガン(たぶんハモンドでしょう)、ブラス、ギター、エレピのいずれの音色もブルージー。シーラ・Eの歌唱は歌い上げるわけではなく淡々としたもの。でも、バックの演奏にマッチしていてとってもいい感じ。派手さはありませんが好カヴァーだと思います。

アルバム全体を通して、ファンキーな曲もそうでない曲も通奏低音のようにシーラ・Eの思いや熱意が感じられます。ただ楽譜の音符をなぞるだけの音楽じゃない、彼女の強い意志が込められたアルバムでしたgood

それにしても、拙ブログでシーラ・Eを取り上げることになるなんて。1984年の 「 グラマラス・ライフ 」 のヒットはよく覚えています。当時私は二十歳で、人生の中で最も洋楽(ミーハーなヤツ)を聴いていた頃。パーカッションを叩きながら歌う彼女のMVを何度観たことか…。わからないもんですね~。

61vbggohsjl_sl1200_ここからはオマケです。MP3しか所有してないバカラック・カヴァーをご紹介。
昨年、米国で Broadway for Orlando が歌ったあたりから 「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (世界は愛を求めてる) 」 をカヴァーする例が目立つなぁ…と感じています。今年2月リリースの Andra Day もそうですし、この The Isley Brothers & Santana 版 (5:29) もそう。
サンタナとアイズレー・ブラザーズ、二つのグループがコラボしたアルバム 『 Power of Peace 』 (2017年8月リリース) の中の1曲。原曲は3拍子ですが4拍子のR&B(若干ゴスペルも入ってる?)にアレンジ。ロナルド・アイズレーの熱く粘っこいヴォーカルとカルロス・サンタナの泣きギターが絡まりあうパフォーマンスは一聴の価値ありです。

412bdv7nylその少し前に Dwight Trible (ドゥワイト・トリブル)もカヴァー (5:47) 。Dwight Trible with Matthew Halsall 名義のアルバム 『 Inspirations 』 (2017年6月リリース)に収録されてます。
ドゥワイト・トリブルはLAの男性ジャズ・シンガー。スピリチュアル・ジャズ方面の方らしいのですが、スピリチュアル・ジャズが何なのかよくわかりません^^;。タイトでハードなジャズ・ワルツのリズムでかなりメロディをフェイクして歌っています。Matthew Halsall (マシュー・ハルソール)のトランペットは野太い音色で音数少なめのアドリヴを披露。このカヴァーは個人的にあまり好みではありませんが、その熱意は伝わってきました。

やはりトランプ大統領に反抗するメッセージなのか…。しばらく注目していきたいと思います。


【データ】
『 Iconic: Message 4 America 』
Sheila E.

CD:2017年9月1日リリース
レーベル:StilettoFlats Music, inc.
番号:無し

Produced by Sheila E.
Executive Producers, Sheila E., Gilbert Davison
Arrangements: Sheila E. & The Sheila E. Band
The Band
  Sheila E. - lead & bg vocals, drums, percussion
  Wesley McVicker - drums, drum pad, percussion
  Raymond Mckinley - bass
  Mychael Gabriel - guitar, protools
  Bertron Curtis - keys, organ
  Lynn Mabry - lead & bg vocals, tambourine
  Eddie M - saxophone, lead & bg vocals
  Joel Behrman - trumpet, horn & string arrangements
  Jeanne Geiger - trombone
  Jaymes Silver - keyboard program, keys
Spesial Guests: Ringo Starr, George Clinton, Boosty Collins, Freddie Stone, Israel Houghton, Pete Escovedo, Angela Davis, Dolores Huerta, Candy Dulfer, etc.

Recordrd at Pacifique Studios, North Hollywood, CA
Blue 52 Lounge Studios, Tarzana, CA

«BLUE BACHARACH/V.A. (1997年)

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