2019年7月14日 (日)

TO HAL AND BACHARACH/V.A. (1998年)

オーストラリアの若手アーティスト達によるバカラック・カヴァー集です。

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1. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Rebecca’s Empire 〜  F
2. WALK ON BY  〜 The Mavis’s 〜  FM
3. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  〜 Leonardo’s Bride 〜  F
4. TRAINS AND BOATS AND PLANES  〜 The Dumb Earth 〜  M
5. THE LOOK OF LOVE  〜 Lisa Miller And Tex Perkins 〜  FM
6. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Cordrazine 〜  M
7. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Frank Bennett 〜  M
8. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 The Whitlams 〜  M
9. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 Regurgitator 〜  M
10. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 The Avalanches 〜  M
11. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Kim Salmon & The Surrealists 〜  M
12. 24 HOURS FROM TULSA  〜 Chris Wilson 〜  M
13. WIVES AND LOVERS  〜 Kiley Gaffney 〜  F
14. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 The Earthmen 〜  M
15. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 The Blackeyed Susans 〜  M
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Billy Baxter 〜  M
17. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  〜 Kiiva 〜  F
18. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Dave Graney and Clare Moore vs The Dirty Three 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約70分


アルバムタイトルを見てデジャヴを感じました。前回紹介したメラニー・パリーのバカラック・カヴァー集が『 To Hal & Bach 』でしたからねぇ。ということで、オーストラリアの若手アーティスト達によるバカラック・カヴァー集です。

リリースは1998年。18組のアーティストがバカラック/デイヴィッド作品をそれぞれ1曲ずつカヴァー。誰それ? 何そのバンド名? のオンパレードですが。

─ 日曜の夜にクリスタとカフェで仕事していたら『明日に向って撃て!』のサントラが流れた。それをきっかけに、バカラックの音楽にどう親しんできたかを語り始めた。痛切に訴えかけてくるハル・デイヴィッドの歌詞にも話が及んだ。先人と同様、2人は彼等の音楽に大きな影響を受けていたんだ。そこから、オーストラリアのアーティストによるバカラック/デイヴィッドのカヴァー・アルバムを作ることを思いついた。(中略)レコーディングするなら今だと思った。オーストラリアの才能を信じている。でも、どうしたら良いんだ? 期待している母がいた。そして、熱心なバンドマネージャーがいた。みんなの熱意でハードルを飛び越えた。 ─ (ライナーの一部を要約、私の超意訳で)

記載ないのでわかりませんが、ライナー執筆者は3人いるエグゼクティヴ・プロデューサーのうちの1人と思われます。その後、紆余曲折があったものの1年半後に本作が実現!

CDケースの透明なトレイの下にキャッチコピーが書かれていました。オーストラリア人としての矜持を感じます。
─ Austrlian Adventures Into The World Of Hal David nd Burt Bcharach ─

各アーティストをDiscogsでチェックしてみましたが、パワーポップ、オルタナ・ロック、ポップ・ロック、ガレージ・ロック、ヒップポップ、ハウス、アート・ロック、ブリット・ポップ、フォーク・ロック、ブルース、ジャズ…といった様々なジャンル/スタイルの面々。聴いてみるとユニーク且つ意欲的なアレンジ&パフォーマンスが目白押し。逆に言うと、オーソドックスなカヴァーが1曲もない。1曲もですよ! …いやぁ、確かにAdventures(複数形だから冒険談とかそんな意味か?)ですねー。

私のレコメンドは、メロディ崩しまくり且つ「 タブー 」のようなサックスがヤバいT-4.「 汽車と船と飛行機と 」、ブルース調でクールなのに崩した男性ヴォーカルがカッコイイT-6.「 雨にぬれても 」、原曲の楽しさをチャールストン風のアレンジで更に楽しくしたT-7.「 何かいいことないか子猫ちゃん? 」、4拍子の原曲を6/8拍子のブリット・ポップ調にアレンジして男性がドリーミーに歌うT-14.「 恋のとまどい 」、鳥の声が聴こえたりアンビエントで素朴な肌触りのバックに男性シンガー(Dave Graney)の味わい深いしゃがれた歌声が妙にマッチするT-18.「 世界は愛を求めている 」、などなど。

他にもユニークなアレンジの曲が多いです。中には、全く原曲がわからないT-10.「 サン・ホセへの道 」やメロディはわかるけど音程が一定のT-3.「 ディス・ガール 」など不思議ちゃんもありますが。

あっ、そうそう。T-18.のアーティストの1人である Dave Graney が今年(2019年)1月こんなツィートをしていました。
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─ 1997年、バート・バカラックと一緒に。Clare Moore と私は The Dirty Three と一緒に「 世界は愛を求めている 」を演奏した。トリビュート・コンピ集のためだ。この写真はバートのショーの直後で、私は彼を前に恥ずかしく決まり悪そうにしている。私は今夜、Hobart の Homestead で恥知らずにもソロをやっている。 ─

写真をよく見ると、トリビュート・コンピ集(本アルバム)のCDケースが写ってます。思わずオーっとなりました。ただ、この写真は1997年じゃなくて1998年だと思います。1997年はまだリリースされてませんからね…。

日本のAmazonじゃ取り扱ってないしMP3にもなってないのでレアなアルバムではありますが、見つけたらゲットされることをオススメします。


【データ】
『 TO HAL AND BACHARACH 』
V.A.

CD:1998年リリース
レーベル:wea / Warner Music Australia
番号:3984228212

Executive Producers: Kurt Luthy, Christa Mitchell and Melissa Whebell @ Talking Stick.
クレジットは ↓ をどうぞ!(転記面倒なので横着しました)
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※ 日本の Amazon での取り扱い無し(因みにオーストラリアのAmazonでも見つからず)

2019年7月 7日 (日)

To Hal & Bach/Melanie Parry (2007年)

オーストラリアの女性シンガー、メラニー・パリーが2007年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

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1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
4. WISHIN' AND HOPIN’
5. A HOUSE IS NOT A HOME
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
7. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
8. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
9. THE LOOK OF LOVE
10. ALFIE
11. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
12. ANYONE WHO HAD A HEART
13. I SAY A LITTLE PRAYER
14. DON'T MAKE ME OVER
15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約51分


オーストラリアの女性シンガー、メラニー・パリーが2007年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

メラニーはシドニー生まれ(生年不詳。FBには1970年大学入学と出てたので1952年頃の生まれ?)。11歳の時にはすでに舞台に立ったそうですが、女優・歌手としてのキャリアは1976年頃から。基本的な活動拠点はオーストラリアですが、英国/ラスヴェガス/ニュージーランドでも公演してるそう。現在は『 VERA, The Magic of Dame Vera Lynn 』『 Judy Garland Story - A Life In Song 』『 Bacharach & Friends 』と銘打った3種類のショーを各地の劇場で行なってます。

ショーそれぞれに対し彼女はプロモーション用のアルバムをリリースしていて本アルバムはその一つ。ちなみに↓写真は『 Bacharach & Friends 』ショーのひとコマです。ピアノ&シンセ、ダブルベース、ドラムス、トランペットをバックに歌ってます。
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本作は全15曲。カヴァー定番曲ばかりで、しかもバカラック&デイヴィッド作品のみをチョイス。アルバムタイトル通りですね。

ブライト、パワフル、いかにもミュージカル女優的なビブラート。メアニーの歌声を形容するとすればそんな感じ。アレンジはいずれもその曲の先人バージョンをベースにしています。15曲のうち11曲は'60年代〜'70年代の定番バージョンですが、T-2.「 雨にぬれても 」は英国チャート1位となったサッシャ・ディステル版、T-4.「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」はぺトゥラ・クラークの2002年ライヴ版、T-9.「 恋のおもかげ 」はダイアナ・クラール版、T-13.「 小さな願い 」はダイアナ・キングの Love To Infinity's Classic Radio Mix 版を元にしています。でもまぁ、全体的にはワクワクドキドキ感の薄い常識的なアレンジと言えます。

とっても残念なのがバックの演奏。ピアノ系、Eベース、ドラムス、一部曲で聴かれるサックス・ソロやと女性コーラス。ここまではいいんです。他にストリングスやブラスを全てシンセ系で賄ってるんですが、これがチープ過ぎるんですねー。音色にしてもアーティキュレーションにしても。いやもう興ざめっすよ。今時シンセ使ってももう少しマシなもの演れるでしょ!

メラニーは頑張って歌ってるんですが、そういった理由で積極的にはオススメ致しかねます。ごめんねメラニー。

尚、2007年当時はCDでリリースされたようですが現在入手可能なのはMP3だけ。私もMP3しか所有していません。


【データ】
『 To Hal & Bach a tribute to the music of Burt Bacharach & Hal David
Melanie Parry

CD:2007年リリース (所有MP3は2017年リリース)
レーベル:Independent Music
番号:?

クレジット詳細不明

2019年6月30日 (日)

sings Bacharach/Laura Avanzolini (2019年)

イタリアの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ローラ・アヴァンゾリーニが2019年6月にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

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1. ANYONE WHO HAD A HEART
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
3. THE LOOK OF LOVE
4. WIVES AND LOVERS
5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. THE APRIL FOOLS
8. I SAY A LITTLE PRAYER
9. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
10. BABY IT'S YOU

収録時間約49分


イタリアの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ローラ・アヴァンゾリーニが今月(2019年6月)リリースしたばかりのバカラック・カヴァー集です!

ローラの公式サイトによれば、彼女は1985年生まれ。えぇと今年で34歳ですね。最初はギターやピアノに取り組んだけど、歌とジャズに転向したそうです。2013年から数枚アルバムをリリース。2015年からは、ジャス・シンガーのクラスを持って教えてるんだとか。

バックはセクステットで、ピアノレスのトリオ(ギター、ウッドベース、ドラムス)+ホーン3人という編成。ホーンが3本もあるとやはり賑やかですねー。CDの裏ジャケにメンバーが勢揃いしてますが、1人を除いて髭生やしてていかにも伊太利亜って感じ(笑)。

取り上げたバカラック・ナンバーは有名曲ばかり10曲。アレンジは実にバラエティ豊か。よく言えば意欲的ですが、やりすぎと感じる曲もチラホラ。でもそれが狙いなのかもしれません。ありきたりのバカラック・カヴァー集にはしないぞ、と。

T-3.「 恋のおもかげ 」は冒頭ウッドベースのアドリブが1分間続き、それからイントロがスタート。階段状のベース、タイトなリズム、ホーンによる和音がカッコイイ。最初はクールに、だんだん熱を帯びてまたクールに戻るローラの歌いっぷりとバックがうまくマッチングしてます。T-7.「 エイプリル・フールズ 」でも冒頭アコギがソロでメロディを約50秒間変奏。本編に入ると、8分音符で和音をきざむアコギ、間奏でのトランペットやギター等のアドリヴ、ローラの歌唱とハモるホーンがなかなかに独創的。ゆったりしたグルーヴ感が大人な感じです。

T-8.「 小さな願い 」では今度はドラムスが約1分間アドリヴ。本編に入ると、最初はハンドクラップ(2拍目と4拍目)、続いて16ビートのリズムに乗ってホーン群によるメロディ+アドリヴ。フェイクを交えたローラのヴォーカルも見事。これもなかなかに独創的です。T-9.「 雨にぬれても 」は一転、ゆったりしたバラード調にアレンジ。中間部でのトロンボーンのメロディ・ソロは自分も吹いてみたいと思いました。後半はドラムスのリズムが強くなり、トランペットのアドリヴがまたイイ感じでございます。

以上4曲が私のレコメンドです。

T-5.「 愛のハーモニー 」はリズムなしの前半部でボウイング奏法のダブルベースがなんともイイ雰囲気なのですが、リズムが入ってからの後半が凡庸ですかね。ところどころで4拍子+3拍子の変拍子を繰り返すT-6.「 恋よさようなら 」もユニーク。一方、1コーラス目難しいリズムに乗せて歌うT-2.「 遥かなる影 」、デキシーランド・ジャズ風のT-10.「 ベイビー・イッツ・ユー 」あたりはやりずぎ感強めです。あくまでも私の主観ですが。

クセが強いけれど意欲的な本アルバム、ジャズというジャンルにとらわれないで聴いてほしいです。


【データ】
『 sings Bacharach 』
Laura Avanzolini

CD:2019年6月13日リリース
レーベル:Koiné / Dodicilune (IT)
番号:KNE035

Produced by Laura Avanzolini, Walter Pignotti, Michele Sperandio
All original arrangements by Michele Francesconi
  Laura Avanzolini - vocals
  Giacomo Uncini - trumpet, flugelhorn
  Antonangelo Giudice - tenor saxophone, clarinet
  Paolo Del Papa - trombone
  Walter Pignotti - guitars, banjo
  Tiziano Negrello - double bass
  Michele Sperandio - drums
Recorded 30th, 31st October 2018 at Marzi Recording Studio,Riccione, Italy

2019年6月23日 (日)

Still in Love: Songs of Bacharach/Julian Yeo (2016年)

米国の男性ジャズシンガー、ジュリアン・ヨーがアコギだけをバックに歌ったバカラック・カヴァー集です。(CD無し/デジタル配信のみ)

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1. PAPER MACHE
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
4. ANYONE WHO HAD A HEART
5. THIS HOUSE IS EMPTY NOW
6. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
8. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
9. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
10. THE LOOK OF LOVE
11. ONE LESS BELL TO ANSWER
12. A HOUSE IS NOT A HOME
13. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約42分


米国の男性ジャズシンガー、ジュリアン・ヨーがアコギだけをバックに歌ったバカラック・カヴァー集です。2016年リリースで、デジタル配信のみです。

彼の公式サイトを見ても生年はわからず。2006年に最初のアルバムをリリースし、本作が8作目のアルバムとのこと。アートワークから判断するに、本作リリース時で30歳半ば〜40歳くらいでしょうか? ニューヨークでジャズ/キャバレー歌手をしているそうです。ビング・クロスビー、フレッド・アステア、初期のシナトラあたりが彼のお気に入りで、彼らをリスペクトしつつ現代風にアレンジして歌っているんだとか。

それじゃなんでバカラック集なん? という疑問がムクムクと湧いてくるわけですが、まぁそれは吹き消しちゃいます💨。

全13曲のほとんどはカヴァー定番曲ですが、T-1.「 ペイパー・マシェ 」やコステロとの共作曲T-5.「 ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ 」といったシブい曲をチョイスするあたりはセンスいいですね。

豊かなバリトンで若干ザラついたジュリアンの歌声は、まったりしたアコギの伴奏にもマッチしてます。ジャズの感じは薄いかな。それはいいんですが、1曲めから13曲めまで同じトーン・同じ曲調・同じ歌い方なので聴いてると正直怠くなってきます。アコギの奏法にもっとバリエーションがあるとまた違ってくるのかもしれませんが…。1曲だけ独立して聴く分にはいいんですけどね。ジュリアンやギター奏者がどうこうというより、プロデュースの問題でしょう。

レコメンドを挙げるとすれば、感情こもった歌唱のT-5.「 ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ 」と、同じく気持ちの入った歌唱とギタープレイが光るT-12.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」の2曲でしょうか。おっ、どちらも家を題材にした曲! ジュリアンは家🏠に何か思い入れでもあるのかしらん。

どうせならピアノ・トリオ(ギター・トリオでもいいから)で聴いてみたかったです。


【データ】
『 Still in Love: Songs of Bacharach 』
Julian Yeo

MP3:2016年12月16日リリース
レーベル:Yeomo Productions (US)
番号:?

Vocals - Julian Yeo
Guitar - Tony Romano

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し。iTunesや米国Amazonで購入可能

2019年6月16日 (日)

she's back/Dionne Warwick (2019年)

ディオンヌ・ワーウィックが先月リリースしたばかりのアルバムです。バカラック作品2曲を新たにリメイク!

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Disc1
全15トラック中、バカラック作品は2トラック

12. IF I WANT TO (4:34)
15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (4:50)  〜 ft. Jubilation Choir 〜 

Disc2  …  <ボーナス・ディスク>
1998年リリース『 DIONNE SINGS DIONNE 』のリマスター盤
(但し、曲順は Original CD と若干異なっています)


ディオンヌ・ワーウィックが先月(2019年5月)リリースしたばかりのアルバムです。

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─ She's Back!  ディオンヌ・ワーウィックが戻ってきた。だが、今年で79歳を迎えるディオンヌは“戻ってくる”必要がないくらい今も現役で活動を続けている。2015年の来日公演で元気な姿を見せてくれたことも記憶に新しい。作品もコンスタントに出してきた。近年は、2012年にデビュー50周年を記念した『 Now 』、2014年にデュエット・アルバム『 Feels So Good 』を発表。ただ、この四半世紀くらいは最近の2作を含めセルフ・カヴァー集が中心で、他にもブラジル音楽やゴスペルなどをテーマにした企画色の強いアルバムが多かった。(中略)今作『 She's Back 』は前作から5年ぶりであることに加え、セルフ・カヴァーを含めてソウル/R&Bの曲を歌った作品ということで、“R&Bに意識的になったディオンヌが戻ってきた”と解釈すれば<She's Back>というタイトルにも納得がいく。 ─  (林 剛氏、ライナーノーツより)

以上、アルバムの概要でした(手抜き💦)。

ここで1998年以降のリメイク集やデュエット集をリリース順にリストアップ。( )は略称、"  " は新たに録音したバカラック作品の曲数です。
① 1998年『 DIONNE SINGS DIONNE 』(DSD)"8曲"
② 2000年『 DIONNE SINGS DIONNE Ⅱ 』(DSDⅡ)"9曲"
③ 2006年『 MY FRIENDS & ME 』(F&ME)"9曲"
④ 2012年『 NOW 』"10曲"
⑤ 2014年『 FEELS SO GOOD 』(FSG)"6曲"

ヒップポップ系のアレンジが目立つ①『 DSD 』、コンテンポラリーな味付けの②『 DSDⅡ 』、全て女性とのデュエットでヒップポップ風味の③『 F&ME 』、②に近いコンセプトだけど意欲的な選曲が光る④『 NOW 』、スタイルにこだわらず老若男女とデュエットした⑤『 FSG 』。…手を替え品を替えといった感じでしょうか。前述の林氏は<She's Back>というタイトルに納得されたようですが、私の感覚としては<She's Back Again>…えーっ、またかって感じですね(苦笑)。

本アルバムはボーナス・ディスクとして『 DSD 』のリマスター盤を付属しているのですが、本アルバムでリメイクしているバカラック作品2曲はこの『 DSD 』以来のリメイク。早速聴き比べてみましょう。

T-12.「 イフ・アイ・ウォント・トゥ 」は超レア曲。オリジナルはサンディ・パティ(1994年『 FIND IT ON THE WINGS 』)で、ディオンヌが『 DSD 』でカヴァーしたもの。『 DSD 』版と同じテイストの生ストリングス入りスロー・バラードに仕立てられていて、テンポは『 DSD 』版の♩≒65に対して♩≒64とほぼ同じ。ですがキーは二度半低く、全体的に声が細くて最高音のG♯なんて声が掠れてちょっと辛そう。編集段階で色々修正はしてるのでしょうが、それでもコレですからね。20年の歳月を突きつけられました、残念。

T-15.「 世界は愛を求めている 」はジャッキー・デシャノンがオリジナルのバカラック・カヴァー定番曲。ディオンヌにとっては曰くつきの曲ですね(こちら)。『 DSD 』版はヒップポップ系のアレンジで共演者のラップが全面的にフィーチャーされたものでしたが、本作ではクワイヤをフィーチャーしたゴスペル仕立て。コレは良いです! ディオンヌが最初に歌った1966年の『 HERE WHERE THERE IS LOVE 』版と比べてキーは二度低いだけなんですが、最高音のGもしっかり出ていて声に力強さを感じます。「 イフ・アイ・ウォント・トゥ 」とは大違い。これはリメイクした価値が十分あります(エラそうにスミマセン)。

他の曲についても少しばかり触れます。全15曲のうち、10曲がカヴァーで、バカラック作品の2曲を含む5曲(T-5,10,12,13,15)がリメイク。それぞれ異なる男性シンガーと6曲(T-1,3〜6,10)でデュエット。まぁ、確かにR&B調の曲が多いです。ただ、ディオンヌのノリはイマイチ。年齢考えたら無理もないかな…。ディオンヌが本当に歌いたかったのか…私は疑問に思います。

💡拙ブログでは、過去自身が歌った曲のカヴァーをリメイクと呼び、他人に提供した曲を自身でカヴァーすることをセルフ・カヴァーと呼んで区別しています(但し、ライナーノーツは本文ママ)。ややこしいですが、悪しからず。


【データ】
『 she's back 』 (邦題:シーズ・バック)
Dionne Warwick

CD:2019年5月17日リリース (所有CDは、同年5月22日リリースの日本盤)
レーベル:Kind music / Entertainment One (US) (所有CDは、ビクター・エンタテインメント)
番号:ECM-CD-46085 (所有CDは、VICP-65526〜7)

Executive Producer:Dionne Warwick, Damon Elliott, Alan Grunblatt, Maurice White
Produced by Damon Elliott and Teddy Harmon (T-2〜5,7〜9,13)
Produced by Damon Elliott, Teddy Harmon and Musiq Soulchild (T-1)
Produced by Damon Elliott (T-15)
Produced by Brian McKnight and Damon Elliott (T-6)
Produced by Rob Shrock (T-10,12,14)
Produced by Brenda Russell (T-11)

T-12. Written by Burt Bacharach and Will Jennings
T-15. Written by Burt Bacharach and Hal David

2019年6月 9日 (日)

Plays Bacharach/Bengt Hallberg (1971年)

スウェーデンのジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルクが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

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A1. MY LITTLE RED BOOK
A2. AS LONG AS THRER'S AN APPLE TREE
A3. MAGIC POTION
A4. ANYONE WHO HAD A HEART
A5. THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU
A6. SATURDAY SUNSHINE
B1. 24 HOURS FROM TULSA
B2. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS
B3. TURKEY LURKEY TIME
B4. WALK LITTLE DOLLY
B5. UPSTAIRS

収録時間約33分


スウェーデンのジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルクが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

ベンクト・ハルベルクは1932年スウェーデンのヨーテボリ生まれ(2013年没)。初レコーディングは1949年、もちろんSPレコードの時代です。その後、彼はスウェーデンを代表するジャズ・ピアニストとなりました。

編成は、ピアノ・トリオ+アコギのカルテット(5曲)、ピアノ・トリオ(4曲)、ピアノ・ソロ(2曲)の3種類。澄んだ空気感と明るい色調のサウンドがリラックスした雰囲気を醸し出します。スウェーデンで録音したら皆そうなるのでしょうか?

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それにしても、カヴァー定番曲の少ないこと! おそらくこれまでで最もマニアックな選曲のバカラック・カヴァー集だと思います。全11曲のうちカヴァー定番曲はA4.「 恋するハート 」とA5.「 ディス・ガイ 」だけ。A1.「 マイ・リトル・レッド・ブック 」とB1.「 タルサから24時間 」もそこそこカヴァーされてますが、それ以外は超レア曲ばかり。特にA2.「 アズ・ロング・アズ・ゼアズ・アン・アップル・ツリー(リンゴの木がある限り)」とB4.「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」は初めて聴くカヴァー。でも、いい曲をチョイスしてます。

ということで、1曲ずつ簡単にコメントします。

A1.「マイ・リトル・レッド・ブック 」はカルテットでの演奏。アコギによるクールなメロディとノリの良いリズムが印象的です。A2.「 アズ・ロング・アズ・ゼアズ・アン・アップル・ツリー(リンゴの木がある限り)」はピアノ・トリオによる演奏。オリジナルはディオンヌ(こちら)。原曲の小粋さを無くさずにゆったりしたシャッフルのリズムでカヴァーしています。これ、レコメンドです。A3.「 マジック・ポーション 」もピアノ・トリオ。軽快なテンポで賑やかな演奏です。A4.「 恋するハート 」はカルテットでの演奏。若干インタープレイ的な印象を受けます。A5.「 ディス・ガイ 」はピアノ・トリオ。1コーラス目は退屈ですが、2コーラス目でのアドリヴはいい感じ。A6.「 サタデイ・サンシャイン 」はピアノ・ソロ。コロコロしたピアノの音色と弾むようなリズム。聴いててウキウキしてきます。レコメンドです。

B1.「 タルサから24時間 」はカルテットでの演奏。原曲の4拍子をラテン調のジャズワルツにアレンジ。大胆ですねー。B2.「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」はピアノ・ソロ。オリジナルはブライアン・フォーリー(こちら)。とても美しい演奏で、後半いつの間にかワルツになってるところも素晴らしい。レコメンドです。B3.「 ターキー・ラーキー・タイム 」はピアノ・トリオ。だんだん盛り上がって、途中ベースのアドリヴで一旦クールダウンし、また盛り上がる構成に唸りました。この曲のジャズなんて想像もしませんでした。レコメンドです。B4.「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」はカルテット。オリジナルはディオンヌ(こちら)。ゆったりまったり、アコギとピアノの掛け合いが心地良いです。B5.「 二階の僕の部屋 」もカルテット。後半の疾走感が堪りません。

Discogsでスウェーデンのレコード屋さんから購入。昨日届いてすぐ聴いて、早速紹介した次第。是非リイシューCD化(いやMP3でもいいから)して欲しいアルバムです。


【データ】
『 Plays Bacharach 』
Bengt Hallberg

LP:1971年リリース
レーベル:Polydor (SW)
番号:2379 022

Executive Producedr:Ivan Nordstrøm
Piano:Bengt Hallberg
Guitar:Rune Gustafsson
Bass:Red Mitchell
Drums:Egil Johansen
Recorded at Europafilm Studios, Sundbyberg, Sweden, April 13th and 16th 1971 by Polydor AB, Stockholm, Sweden

※ 日本の Amazonでの取り扱いは無し

2019年6月 2日 (日)

And I Love You So/The Mike Sammes Singers (1974年)

英国のバックコーラス・グループ、マイク・サムズ・シンガーズが1974年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

B4. KNOWING WHEN TO LEAVE (3:14)


英国のバックコーラス・グループ、マイク・サムズ・シンガーズが1974年にリリースしたアルバムです。

マイク・サムズは1928年イングランドの生まれ(2001年没、享年73歳)。バカラック爺と同年生まれですね。セッション・シンガー/ヴォーカル・アレンジャーとして活躍した彼が結成したのがマイク・サムズ・シンガーズでした。
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─ マイク・サムズ・シンガーズがテレビの曲を好み人気のテレビ番組の多くでフィーチャーされているのは、もう当たり前のことですね。実際に「Sunday Night at the London Palladium(英国のTVバラエティ番組)」ショーに出演したことのある人は、世界のそうそうたるアーティスト達の「バック・グループ」として左上のステージボックスにいる彼らを見たことがあると思います。 デ・オコナー、トム・ジョーンズ、エンゲルベルト・フンパーディンク、ハリー・セクーム、ぺトゥラ・クラークなどが彼らのハーモニーの恩恵を受けています。これらのシリーズのすべてで、このメロディアスなセクステット(男性3人、女性3人)はなくてはならない存在なのです。
今ここに彼らのレコードがあります。素晴らしい曲ばかり、それをあなたは好きなときにいつでも聴くことができるのです。マイク・サムズ・シンガーズのサウンドはいつも素晴らしく、このアルバムも期待に違わぬ出来です。 ─(本アルバムジャケ裏のライナーノーツより)

テキトーに訳してます。あしからず。

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マイク・サムズが全曲でアレンジと指揮を担当。ソフトタッチで美しいハモりを聴かせるコーラス・ワーク、派手さはないけれどコーラスを引き立たせるオブリガートが心地よいオーケストラ・アレンジ…。よくあるイージーリスニングものとは一線を画すアルバムだと思います。

1971〜1973年頃のヒット曲や英国TV番組の曲を中心に選曲してるようです。んで、バカラック・カヴァーはB4.「 去りし時を知って 」。ミュージカル『 Promises, Promises 』の中の曲ですが、ここでは1971年のカーペンターズのアルバム『 Carpenters 』に収められた「 BACHARACH/DAIVID MEDLEY 」の初っ端約1分半に流れる「 去りし時を知って 」を元にしたカヴァーとなっています。カーペンターズ版を元にしたこの曲のカヴァーって、他には無いような気がします。

キーはカーペンターズ版と同じで、テンポは元々速いカーペンターズ版(♩≒185)よりも速い♩≒200。カーペンターズ版ではサビの部分だけだったハモりも、至る所で聴けます。テンポに乗ったキレのあるコーラス・ワークがとにかく素晴らしい! それに、間奏部分で流れる金管やストリングスのオブリガートがまた素敵なんですよねー。超レコメンドです!

他の曲では、スティービー・ワンダーのB1.「 サンシャイン 」、ドン・マクリーンのB5.「 ヴィンセント 」あたりがレコメンド。特に「 ヴィンセント 」は美しいお花畑にいるようなアレンジ&ハーモニーが素敵です。

YouTubeに上がっていますので、興味ある方は是非聴いてみて下さい。


【データ】
『 And I Love You So 』
The Mike Sammes Singers

LP:1974年リリース
レーベル:Sounds Superb / EMI Records (UK)
番号:SPR 90015

Produced by Walter J. Ridley
Arranged and Conducted by Mike Sammes

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2019年5月26日 (日)

The Crooner Sings Bacharach/Richard Poon (2014年)

フィリピンの男性シンガーソングライター、リチャード・プーンが唄うバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
2. THE LOOK OF LOVE
3. A HOUSE IS NOT A HOME
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
5. ALFIE
6. WALK ON BY
7. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
8. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
9. SAY A LITTLE PRAYER
10. DON'T MAKE ME OVER
11. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
12. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

収録時間約43分


フィリピンの男性シンガーソングライター、リチャード・プーンが2014年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

リチャード・プーンは1973年フィリピン生まれ。ジャケ写からもわかるように中国系のお方です(ご両親は香港と台湾の出身)。

本作、Amazon での取り扱いはMP3のみでCDは無し。元々MP3は購入していたのですが、今回記事を書くにあたりCD購入できないかとネットで検索。日本でフィリピンのCD/DVDを販売しているオンラインショップ MIA MUSIC&BOOKS があることを知り、CDをゲットできました。

早速CDのライナーをめくったら、リチャード・プーン自筆のサイン付きでコメントが載ってました。

─ 6回のグラミー賞を受賞したバート・バカラックの不滅の作品のうち12曲をレコーディングするチャンスを与えられるのは、息をのむようで怖い機会です。60年以上にわたる米国と英国での彼のチャートトップヒット125曲は、非常に多くの優れたカヴァーがすでに世界的に有名なアーティストによって行われてきました。しかし、私たちは心から願っています。それぞれの曲によく合うようにアレンジを考えた我々チームの努力が、あなたの耳に新鮮に届いてこのアルバムに愛情を持ってもらえることを。どうか楽しんで! ジャズのタッチと品格を持って、大いなる愛をあなたに。リチャード・プーン ─

拙い意訳でスミマセン。それでも、なんとなく彼の意気込みは伝わってくるかと思います。

オンラインショップ MIA MUSIC&BOOKS のアルバム紹介ページにショップからの “ 一口メモ ” が書いてありました。リチャード・プーンの略歴等にも触れていて大変参考になる内容でしたので、誠に勝手ながらこそっと転載させていただきます。MIA MUSIC&BOOKS さん、ごめんちゃい m(__)m

─ MCA musicからフィリピンの国内レーベル Universal records へ移籍して2枚目となるRichard Poonの最新アルバムです。今回のアルバムはバートバカラックのヒット曲をリメイク。MCA時代はずっとスイングジャズをやっていた彼ですが、Universal 移籍後の第一弾アルバムではポップスに戻った(ソロ(MCA時代)の前はU-TurnというM.Y.M.Pに似たポップバンドのボーカルでした)Richard、今回のアルバムもジャジーなアレンジとポップなアレンジが混在している作りになっています。アーバンポップスに仕上げたトラック02の Look Of Love やトラック06の Walk On By、ラストの Close To You など大人の男の色気を感じさせるクールなトラックは最高! ポップスへの転向は正解だったと改めて思った1枚です。 ─

ということで、おしまい。…イヤイヤ、それじゃぁあまりに手抜きだろっ。

全12曲は見ての通りバカラックの代表曲ばかり。T-1.「 愛の想い出 」とT-11.「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」はビッグバンドによるスイングで、T-8.「 雨にぬれても 」もブラスをフィーチャーしたスイング風。もともとスイングジャズをやってたからでしょう、安定感があります。この3曲の中ではT-11.が一番ノリがいいかな。

ラテン調アレンジのT-9.「 小さな願い 」、T-10.「 ドント・メイク・ミー・オーバー 」。しっとり系アレンジのT-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」、T-4.「 世界は愛を求めている 」、T-5.「 アルフィー 」、T-7.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」、T-12.「 遥かなる影 」。確かにバラエティ豊かだし、アレンジもなかなか良いです。そう言えば以前、フィリピン人女性がいるスナックで「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」を歌ったら、その女性から “ この曲はフィリピンでも人気あるのょ ” と言われたのを思い出しました。

閑話休題、本題に戻ります。でもですね、このアルバムでレコメンドなのはアーバン・アダルト・コンテンポラリー的なT-2.「 恋のおもかげ 」とT-6.「 ウォーク・オン・バイ 」。一口メモ氏と同じになってしまいましたが、感じたからにはそう書かざるを得ない訳で。特に間奏やオブリガートでアコギがクールな演奏を聴かせるT-6.がイチオシです。

適度にヴィブラートした歌声はcroonerと呼ぶのに異論はありませんが、これと言った特徴がないことと高音域がちょっと細いのが弱点。曲によってはそれが気になるんですよねー。それがなければ自信を持ってオススメするのですが…。

Official Album Preview が YouTube に上がってましたので埋め込んでおきます。全曲のダイジェストが聴けます。ご参考まで。



【データ】
『 The Crooner Sings Bacharach 』
Richard Poon

CD:2014年10月リリース
レーベル:Universal records (Philippine)
番号:CDP-94,1579

Produced by Richard Poon and Ito Rapadas
Executive Producer:Kathleen Dy-Go
Music Arrangement by Mel Villena (T-1,11), Bob Aves (T-2,8,9,10), Jimmy Antiporda (T-3,7), Arnold Buena (T-4), Bobby Velasco (T-5), Marlon Oliveros (T-6), Fred Garcia (T-12)
Backup Vocal Arrangement by Ito Rapadas (T-6)

Live Big Band Music by The Amp Big Band (T-1,11)
Guitar Tracks by Janno Queyquep (T-3,5,7,8,9,10,12), Gigi Arcay (T-4,6)
Bass Guitar by Joshua Royeca (T-2,9), Richard Poon (T-6,12)
Drums by Karmi Santiago (T-6)
Flugelhorn by Robert "Cocoy" De Pano (T-2)
Muted Trumpet by Robert "Cocoy" De Pano (T-9)
Backing Vocal Tracks by Cataran (T-6)
Additional Orchestral Tracks by Bobby Velasco (T-1,3,11)
Additional Brass Tracks by Willy Villa (T-8)
Additional Brass and Wurlitzer Tracks by Richard Poon (T-10)
Additional Piano and Soft Pad by Espie Estanislao (T-12)

※ 日本の Amazon での取り扱いはMP3のみ

2019年5月19日 (日)

Bacharach goes Latin/Peter Nieuwerf (1970年?)

オランダの男性ジャズ・ギタリスト、ペーター・ニューヴェルフによるラテン・アレンジのバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A2. THE LOOK OF LOVE
A3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A4. ALFIE
A5. PAPER MACHE
A6. A HOUSE IS NOT A HOME
B1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B2. THE WINDOWS OF THE WORLD
B3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B5. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約33分


オランダの男性ジャズ・ギタリスト、ペーター・ニューヴェルフによるラテン・アレンジのバカラック・カヴァー集です。

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ペーター・ニューヴェルフは、1938年オランダのハーグ生まれ(2015年没、享年76歳)。写真は晩年のもので、若かりし頃の画像は拾えませんでした。Wikipediaによれば、アストラッド・ジルベルト、ディジー・ガレスビー、スタン・ゲッツ、トゥーツ・シールマンス、リタ・ライス、クリス・ヒンゼ等と共演したそうです。

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LPジャケットの表はどこか異国でマラカスを演奏している男性のイラスト。裏返せば、曲目リストと他アルバムの紹介だけで、解説はおろか演奏者や録音データなどのクレジットもありません。体裁から推察するにイージー・リスニング物としてリリースされたアルバムのようですね。

リリース年は不明。収録曲の中で最も新しい「 PAPER MACHE 」はディオンヌ・ワーウィックがオリジナルで1970年4月リリースのアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』が初出(同年7月にシングル・カットされ全米43位)ですから、本作のリリースは早くても1970年の後半でしょう。イージー・リスニングは鮮度も重要ですから、ちゃっちゃと録音してバカラック人気が旬のうちにリリースしたんじゃないでしょうか。てなことから、拙ブログでは1970年リリースとさせていただきました(100%の確信はないので?マーク付きで…)。

メロディを奏でるのは全編アコースティック・ギター。他にEベースと多様な打楽器という編成。ペーター・ニューヴェルフによるラテン・アレンジは、曲によってリズムが異なります。キューバ系のルンバ(A4,A5,A6,B2,B3,B5)、チャチャチャ(A1)に、ブラジル系のボサノヴァ(A2,B1,B6)、サンバ(A3,B4)といった具合。ラテン音楽には詳しくないのでリズムはあくまで私の感覚によるものです、悪しからず。

セルジオ・メンデス版ほどの疾走感はないもののサンバのリズムが軽快なA3.「 世界は愛を求めている 」、ゆったりルンバのまったり感が心地よいA4.「 アルフィー 」とA6.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」とB5.「 汽車と船と飛行機と 」あたりがユニークでレコメンド。対照的に、A5.「 ペイパー・マシェ 」やB2.「 世界の窓と窓 」、B6.「 サン・ホセへの道 」などはオリジナルのディオンヌ・ワーウィック版に極く近い平凡なアレンジ。そこがちょっと残念なところです。


【データ】
『 Bacharach Goes Latin, Peter Nieuwerf Plays The Bacharach Hits 』
Peter Nieuwerf

LP:1970年?リリース
レーベル:Imperial / JK Productions (Holland)
番号:5C 052-24520

Arranged and Conducted by Peter Nieuwerf

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年5月12日 (日)

祝 バカラック爺 91歳!

バカラック爺、91歳の誕生日おめでとうございます!

5月12日は誕生日記念で何か企画を…と考えていたのですが良案なく困っていました。そんな折、5月9日深夜(5月10日未明)にNHK『 ラジオ深夜便 』でバート・バカラック特集がありまして。聴いたところ、バカラック爺の91歳を祝っての企画だったようです。NHKも粋なことするなぁ。渡りに船ということで、文字起こしして紹介することにしました。聴き逃しサービスの対象外ですしね。他人の褌で相撲を取るようでいささか後ろめたい気もしますが、気にせずパァ〜っといってみましょう!


NHK ラジオ第一/NHK FM 『 ラジオ深夜便 』
2019年5月10日 2:05〜3:00
[ロマンチック・コンサート]
ポピュラー名曲アルバム:バート・バカラック作品集

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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バート・バカラックは、メロディ・メーカーとして、ポップス・シーンのクリエイターとして、大きな功績を残してきました。5月12日に91歳の誕生日を迎えるバカラックの曲を、今夜はたっぷりとご紹介します。

1曲めは、日本でも大ヒットした映画『 明日に向って撃て!』の主題歌、B.J.トーマスの「 雨にぬれても 」です。アメリカでは既に有名だったバート・バカラックの名前が世界中に広まるきっかけになった作品、となりました。作詞はハル・デイヴィッド。作曲家バート・バカラックにとって、ベスト・パートナーとも言える存在の作詞家です。1969年の曲、B.J.トーマスで、「 雨にぬれても 」。〜 ♫ 〜 B.J.トーマス、「 雨にぬれても 」でした。

続いては、ビートルズ「 ベイビー・イッツ・ユー 」。この曲のオリジナルは、ガールズ・グループのシュレルズ。ビートルズは、デビュー・アルバム『 プリーズ・プリーズ・ミー 』でこの曲をカヴァーしています。1963年発表、ビートルズで、「 ベイビー・イッツ・ユー 」。〜 ♫ 〜 ビートルズで「 ベイビー・イッツ・ユー 」でした。

バート・バカラックは、数多くの映画音楽を担当しました。次にご紹介する「 恋のおもかげ 」は、映画『 007/カジノ・ロワイヤル 』の挿入歌に使用されました。最初はインストルメンタルとして作られたそうですが、ハル・デイヴィッドが詞を書いてダスティ・スプリングフィールドが歌いヒットしました。1967年、ダスティ・スプリングフィールドで、「 恋のおもかげ 」。〜 ♫ 〜 ダスティ・スプリングフィールドで「 恋のおもかげ 」をお聴きいただきました。

続いては、「 ディス・ガイ 」。ハーブ・アルパートです。ハーブ・アルパートは、「 蜜の味 」「 ティファナ・タクシー 」など、日本でも親しまれているティファナ・ブラスのリーダーです。この曲は、ハーブ・アルパートがソロ名義で1968年にリリースしてヒットしました。ちなみに、翌年1969年にはディオンヌ・ワーウィックが「 ディス・ガール 」とタイトルを変えてリリースしています。ハーブ・アルパートで、「 ディス・ガイ 」。〜 ♫ 〜 ハーブ・アルパートで「 ディス・ガイ 」でした。

次は、アレサ・フランクリンの「 アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー/小さな願い 」です。この曲は、ディオンヌ・ワーウィックのオリジナルをソウル・シンガーのアレサ・フランクリンがカヴァーし、ミリオン・セラーとなった曲です。1968年、アレサ・フランクリンで、「 アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー 」。〜 ♫ 〜 アレサ・フランクリンで「 アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー/小さな願い 」でした。

この時間は、メロディ・メーカー、バート・バカラックの作品集をお送りしています。
次の曲は、カーペンターズです。カーペンターズ初めての全米1位に輝いた出世作「 クロース・トゥ・ユー/遥かなる影 」。今もなお多くのアーティストにカヴァーされるスタンダード・ナンバーであり、カーペンターズの代表的な1曲です。1970年の曲、カーペンターズで、「 クロース・トゥ・ユー 」。〜 ♫ 〜 カーペンターズで「 クロース・トゥ・ユー 」でした。

続いては、「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー/愛の仲間達 」、フィフス・ディメンションです。フィフス・ディメンションのコーラス・ワークとバカラックの曲が見事に溶け合った1曲です。「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー/愛の仲間達 」、フィフス・ディメンション、1973年発表の曲です。〜 ♫ 〜 フィフス・ディメンションの「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー/愛の仲間達 」でした。

続いては、スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」です。スタイリスティックスは、甘く洗練されたスウィート・ソウルが持ち味の黒人ソウル・コーラス・グループです。この曲のオリジナルは、1964年にディオンヌ・ワーウィックが歌いヒットしました。1973年発表の、スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」をお聴きください。〜 ♫ 〜 スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」でした。

次の曲は、リタ・クーリッジの「 ウィッシン&ホーピン 」。こちらも原曲はディオンヌ・ワーウィックです。バカラック・サウンドをレゲエ風にアレンジして、心地よく耳に馴染むものにしています。1981年発表の「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」、歌はリタ・クーリッジです。〜 ♫ 〜 リタ・クーリッジの「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」でした。

この時間は、メロディ・メーカー、バート・バカラックの作品集をお送りしています。
続いては、クリストファー・クロスのバラード、「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ/アーサーのテーマ 」です。コメディ映画『 ミスター・アーサー 』の主題歌に起用され、クリストファー・クロスの歌で全米1位、更にアカデミー賞で主題歌賞も受賞しました。1981年の曲、クリストファー・クロス、「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ/アーサーのテーマ 」。〜 ♫ 〜 クリストファー・クロスで「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ/アーサーのテーマ 」でした。

この時間は、バート・バカラックの作品集をお送りしています。
最後にご紹介するのは、ディオンヌ&フレンズの「 愛のハーモニー 」です。原曲は、映画『 ラブ IN ニューヨーク 』でロッド・スチュアートが歌っています。ディオンヌ&フレンズ名義でカヴァーされ、グラミー賞ポップ・パフォーマンス賞、最優秀楽曲賞を受賞しました。ディオンヌ・ワーウィックがスティービー・ワンダー、エルトン・ジョン、グラディス・ナイト等をパートナーに迎えて、エイズ基金チャリティ・レコードとして発表したものです。1986年の曲で、ディオンヌ&フレンズの「 愛のハーモニー 」をお聴きください。〜 ♫ 〜 ディオンヌ&フレンズの「 愛のハーモニー 」をお聴きいただきました。

今夜の2時台は、、ロマンチック・コンサート、ポピュラー名曲アルバム:バート・バカラックの作品集をお送りしました。(了)


<あるでおの感想>
全11曲。バカラックのアイコンたる「 雨にぬれても 」を最初に流して “ つかみ ” はバッチリ、あとは年代順に代表曲を並べる…というコンセプトでしょうか。直球(定番曲の定番バージョン)ばかり…というわけではなく、ビートルズの「  ベイビー・イッツ・ユー」、フィフス・ディメンションの「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」、スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」、リタ・クーリッジの「 ウィッシン&ホーピン 」のような変化球を混ぜてるのは、選者のコダワリか? ちょっとマニアックですねー。

反面、「 アルフィー 」「 世界は愛を求めている 」「 サン・ホセへの道 」「 恋よさようなら 」など日本でも人気の高い曲が外れました。時間の制約から致し方のないところですが、もし私が選者なら「  ベイビー・イッツ・ユー」の代わりにベタですが1965年のジャッキー・デシャノン「 世界は愛を求めている 」を、「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」の代わりにこれもベタだけど1966年のシラ・ブラック「 アルフィー 」を、「 ウィッシン&ホーピン 」の代わりに同じ1981年のルーサー・ヴァンドロス「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」をチョイスします。深夜という放送時間帯にもマッチするし。まぁ、趣味の問題ですが。

「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」の邦題が「 愛の仲間達 」というのは知りませんでした。調べたら、フィフス・ディメンション版の邦題がそうなんですね。勉強になりました。

<オマケ情報>
ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、バカラック爺の近況を伝える記事が英国の新聞“ガーディアン”のサイトに出ていました。5月10日付けのインタビュー記事です。米国の某大統領に怒ってること(2005年のアルバム『 AT THIS TIME 』を思い出します)、曲にまつわる思い出、および新曲「 LIVE TO SEE ANOTHER DAY 」「 WITH A VOICE 」について爺が語っています(なお、新曲の前者は昨年配信ではリリースされています→こちら)。7月にロンドンでジョス・ストーンとのコンサートがあることにも触れています。
爺が元気で何よりです!!

2019年5月 5日 (日)

Instrumental Music From The Ross Hunter Production LOST HORIZON And Other Selections/101 Strings (1972年)

映画『 失われた地平線 』の曲をフィーチャーした101ストリングス・オーケストラのアルバムです。

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全10トラック中、バカラック作品は7トラック

A1. LOST HORIZON
A2. THE WORLD IS A CIRCLE
A3. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER
A4. I COME TO YOU
A5. JACARANDA
B1. SHARE THE JOY
B2. QUESTION ME AN ANSWER
B3. REFLECTIONS
B4. FRIDAY STREET
B5. JUST FRIENDS

収録時間約29分


バカラックが音楽を担当した映画『 LOST HORIZON(失われた地平線) 』の曲をフィーチャーした101ストリングス・オーケストラ(以下、101ストリングス)のアルバムです。

101ストリングスは、レコーディングのためのオーケストラとして1957年にドイツのハンブルクで結成。1964年からイギリスのロンドンに本拠地を移しました。これまでに150タイトル以上のアルバムをリリースしており、世界的に有名なイージーリスニング・オーケストラの一つです。その名の通り、弦楽器が101人もいるのが特徴。クラシックのオーケストラは4管編成の場合通常約100人でそのうち弦楽器は60人程度ですから、101ストリングスの大編成ぶりがわかります。ちなみに、弦楽器101人の内訳は、第1バイオリン30、第2バイオリン26、ヴィオラ20、チェロ18、コントラバス7、だそうです。

本作は、映画(1973年2月公開)やサントラ盤(1973年1月リリース)に先立って、1972年にリリースされました。

─ 映画『 失われた地平線 』は本質的にミュージカルではありません。 それは音楽のあるドラマです。この101ストリングスのプレゼンテーションにおける『 失われた地平線 』のスコアは、今日アメリカでナンバーワンのソングライター、バート・バカラックとハル・デイヴィッドによって書かれました。Jack Dorsey自身により巧妙にアレンジ&編成され、そしてマエストロDorsey指揮の下壮大な101ストリングスによって録音された魅力的な『 失われた地平線 』インストゥルメンタルはとても楽しめるものとなりました。本作を完成させるために、3つの想像力豊かなオリジナル曲を含めました。本作は、世界中の何百万人もの101ストリングス・ファンに多くの喜びをもたらすものと確信しています。 ─   (裏ジャケのライナーより)

この映画関連では、エド・エイムスのアルバム『 SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES 』、トニー・ベネットのシングル「 LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER 」あたりも公開前にリリースされたクチ。プロモーションの一環として映画製作サイドから依頼したのか、映画の人気(というかバカラック人気?)を当て込んでアーティストが独自にレコーディングしたのか、そのどちらかなのでしょう。まぁ、映画が大コケして目論見は外れたようですが…。

ちなみに、本作のジャケットは映画の一場面。ヒマラヤの山中をシャングリラへ向かって歩く主人公たちを描いています。シャングリラでの楽しそうなシーンの方が良かったんじゃないかと思うんですけどねー。

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収録された10曲のうち、7曲が映画『 失われた地平線 』からの選曲。なかなか巧みな編曲で、どの曲でも流麗で豊かなストリングスを聴くことができます。また、ストリングスだけではなく、木管楽器、金管楽器、打楽器等もそれぞれ楽器の特色を生かしたアレンジを施しています。本家のショボいショーン・フィリップス版よりよっぽど映画のオープニングにふさわしい壮大なアレンジのA1.「 失われた地平線(ロスト・ホライズン)」、木管楽器や打楽器が明るく弾むアレンジが素敵でテンポが速まるエンディングも印象的なA2.「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい)」、35秒に及ぶ情感のこもったイントロのあとオーボエ(コーラングレか?)とストリングスが哀愁込めてメロディを奏でるA4.「 アイ・カム・トゥ・ユー 」、色々な楽器を駆使してユーモラス且つゴージャスに仕上げたB2.「 クエスチョン・ミー・アン・アンサー 」あたりが個人的なレコメンド。

とにかく充実した内容で、他のバカラック&デイヴィッド作品と併せてCDリイシューしたらいいのに…と思うほど。実際、CD化はされてませんがMP3ではそういうアルバムが出てるんですよねー。以下、オマケとして紹介するのが、私が購入・ダウンロードした『 101 Strings Presents Best of: Burt Bacharach as Classical 』。
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このアルバムには、本作の7曲が丸々入ってるほか、以下9曲がコンパイルされています。
「 サン・ホセへの道 」「 恋のおもかげ 」「 ディス・ガイ 」… アルバム『 Million Seller Hits Of Today 』(1968年)より
「 恋よさようなら 」… アルバム『 Million Seller Hits Of 1969 』(1969年)より
「 サンダンス・キッド 」… アルバム『 Hit Songs From Hit Movies 』(1970年)より
「 雨にぬれても 」「 遥かなる影 」… アルバム『 More Million Seller Hits 』(1971年)より
「 何かいいことないか子猫チャン 」… 収録元アルバム不明
「 カジノ・ロワイヤル 」… 収録元アルバム不明
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色々アレンジも工夫されていてそれなりの出来ですが、聴き比べてみて本作の7曲が出色だと思いました。視聴できますので是非お確かめください。尚、原曲のほぼコピーでストリングスが全く聴こえない「 カジノ・ロワイヤル 」はコンパイル上のミスでしょうね、たぶん。


【データ】
『 Instrumental Music From The Ross Hunter Production LOST HORIZON And Other Selections 』
101 Strings Jack Dorsey Conducts

LP:1972年リリース
レーベル:Alshire (US)
番号:S-5280

Jack Dorsey Conducts
101 Strings

※ 日本のAmazonでは取り扱いなし

2019年4月28日 (日)

田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦/田畑貞一とオーケストラ (1971年)

ドラマー、田畑貞一が1971年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有LP(イタリア盤)のジャケット表/裏

A1. THE APRIL FOOLS
A2. THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU
A3. I SAY A LITTLE PRAYER
A4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A6. PROMISES, PROMISES
B1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B2. REACH OUT FOR ME
B3. BOND STREET
B4. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B5. THE LOOK OF LOVE
B6. ALFIE

収録時間約36分


ドラマー、田畑貞一が1971年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァー集です。

田畑貞一は、1936年東京生まれ。大学在学中の1953年に森亨&シックス・ポインツに加入してプロデビュー。様々なバンドで経験を積んだ後、1966年に石川晶に代わって宮間利之とニューハードに参加。1971年にニューハードから独立、スタジオ・ミュージシャンとしての活動と並行し、ポリドール、テイチク、コロムビア等で自身のリーダーアルバムを数々リリース。現在もリーダー&ドラマーとして演奏活動を続けながら後進の育成に取り組んでいるそうです。

本作は、『 田畑貞一ドラムの世界/歌謡ポップスに挑戦 』(JRS-7051)、『 田畑貞一ドラムの世界Voi.2/ワールド・トップ・ヒットに挑戦 』(JRS-7052)に続く『 ドラムの世界 』シリーズ3作目として、1970年9月に録音、1971年2月に日本ビクターからリリースされました。当時のお値段は¥1,800でしたが、国内の某中古レコード屋さんのサイトを見ると¥7,800の値札がついています。しかも売り切れ。人気盤なんですね。

うむむ、買えないと欲しくなるのが人の性。Discogsを見たらイタリア盤が見つかりまして。商品状態Near Mintでお値段は€25。イタリアからの送料€17込みで€42(購入時レートで¥5,528)はちと高いけど、気づいたらポチッとしてました。ということで所有LPはイタリアの RCA Victor から STEREO SOUNDS FROM JAPAN シリーズの第4弾として1971年9月にリリースされたもの。ゴルフのアドレスしてるみたいなジャケ写は何故か鉄橋の写真に差し替えられ、タイトルも『 SADAKAZU TABATA plays BACHARACH 』に。もしかして中身も違うんじゃ…と思い、念のため国立国会図書館に行ってオリジナルの国内盤LPを聴いて確認。曲数・曲順含めて全く同じだったのでホッとしました。

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名義は田畑貞一とオーケストラとなっていて、編成はバンドに金管/木管/ストリングス/パーカッションを加えたもの(所有LPの裏ジャケ左側に載ってる録音時のレイアウト図を参照ください)。super 50-16 sound(※)という録音技術のせいでしょうか、音がクリアで音圧レベルも高くこの時代としては優秀な録音と思います。(※ テープ巾50mm 16トラックのマスターレコーダーで録音)

全12曲はバカラック・カヴァーの定番曲ばかり。独自アレンジの曲はB5.「 恋のおもかげ 」くらいでしょうか。他はバカラック版(A3,4,6,  B1,2,3,4,6)、ディオンヌ版(A1)、ハーブ・アルパート版(A2)、セルジオ・メンデス版(A5)をベースとしたアレンジで、特にA2,4,6やB4,6はほぼコピー。インスト物はアレンジが肝心なのに、工夫が足りない感じ。演奏そのものはノリが良くていいんですけどねー。そんな中で印象に残ったのは、フルートとピアノのアドリブが熱いA5.「 世界は愛を求めている 」、ドラムスのアドリブが聴けるB1.「 サン・ホセへの道 」とB3.「 ボンド・ストリート 」あたり。ドラムスがリーダーなんだからもっとドラムスを強調したアレンジがあっても良かったと思うんですよね。田畑貞一はジャズもバリバリ演れるドラマーなのに…。イージーリスニング全盛時代ということもあって控えめにしたのかなぁ。

オリジナルの国内盤には解説が載ってました。当時バカラックをどう評価していたかがわかるのでちょっと長いですが以下紹介します。ライターは吉浜節子氏。バカラックの音楽については疑問符が付くところもありますが、蛇足以降の女性ならではの視点が面白いです。田畑貞一についても書いてありましたので併せて紹介します。

─ バート・バカラック、この名前、ポップスファンならずとも、よくご存知のことと思います。彼が精力的に生み出す作品の数々はどれもがヒット性を持ち、したがって、沢山のアーティストが取り上げることになり、文字通り巷にあふれている状態ですから。では何故このようにバカラックの作品が受けるのか。それには様々な要素があるのですが、最大のポイントは、非常に耳ざわりの良い音楽であるからです。これは逆の見方をしますと、強烈な印象がないということになるかと思いますが、あまりに強烈なサウンドが氾らんする中では、それがかえって、人々の心に新鮮で心地良い印象を覚えさせるのでしょう。そうですね、たとえば原色の中に混った淡い色のようなもの。それ自体独立すると人々にはさほど強い印象を与えないけれど、まわりの原色にひきたてられて、ひときは光りを放つ。そういう効果をバカラックの音楽は持っているような気が致します。バカラックの曲が、たとえば20年、30年前に出たとします。さて、今ほど受けたでしょうか? 一寸疑問ですね。何故なら、彼の持つやさしさ、あたたかさ、といったものが当時の音楽には非常に多かったからです。つまりバカラックは、失われつつある人間性といったものを現代に持ち込んだのです。勿論だからといって、バカラックの音楽が単に人間味だけで成り立っているというのではありません。メロディ・ラインの作り方も、また処理の仕方にも、すぐれた才能がうかがえます。沢山のアーティストが彼の曲を競って取り上げているのがその良い証拠ですね。しかし、そうした技術的なもの以上に、人間的な魅力が大きいということなのです。少なくとも私はそう思います。そして、そんなバカラックの豊かな人間味が大好きなのです。
 さて、これは蛇足になるかも知れませんが、バカラックって、とてもハンサムなんですよ。年令は今年(1970年)で、ちょうど42才になりますが、とてもそんな年には見えない程若々しくて、明るい人です。機会があれば会って、ゆっくりおしゃべりをしたい、そんな気持を誰にも起こさせるナイス・ガイなのです。やはり蛇足だったでしょうか……。 ─

─ “バート・バカラックはナイス・ガイです”と書きました。そして、ここでそのバカラック・ナンバーを演奏するグループのリーダー田畑貞一さんが、これまたナイス・ガイなんです。粋なセンスを感じさせる彼のおしゃれ、当りの柔らかな物腰し、そして、控え目な人間性。そうしたものが、彼のドラミングには良くあらわれています。
 日本の場合、ドラムとその演奏法に関して、誤った考え方をしている人が多いように思います。たしかにドラムという楽器は、大きい音が出るせいでしょう、華やかな雰囲気があります。ただし、それはあくまで楽器の持つ特性であり、リズム体としての役目を持つものであるという現実を忘れてしまう人が多いのでしょう。ともすると前面に出たがる傾向があるように思います。ドラムはあくまでもリード楽器が歌いやすいようにサポートしなければならないのです。決して耳ざわりであってはいけないのですね。この辺が、彼我のつまり外国と日本のドラマーの大きな差になっているのではないかと思うのです。あくまでも、これは私見ですが……。
 その点、田畑貞一さんのドラミングは役目に忠実です。時には力強くそして時には繊細な感覚で音楽を作り出して行きます。日本において、これだけの感覚を持ったドラマーは少ないといわれる所以でしょう。それも一にかかって、彼の人間性からくるものでしょう。但し、本アルバムは、あくまでもフィーチャリング・ドラムということでありますから多分にドラムを前面に押し出して居るようではありますが……。
 最後に田畑貞一の略歴を記しておきましょう。
昭和11年、東京に生まれ、二松学舎大学を卒業後、竹内均氏に師事。そしてフルバンドでスタートを切り、モダン・ジャズのグループからスイング系のコンボに入りました。現在、年令的にも乗りにのってる所です。
 さて、ナイス・ガイ同志、バカラックと田畑貞一の組合わせ。どうなりますか、早速レコードに針を落としてみて下さい。きっと御満足いただけると思います。 ─


【データ】
『 田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦 』 (所有LPは『 SADAKAZU TABATA plays BACHARACH 』)
田畑貞一とオーケストラ

LP:1971年2月リリース (所有LPは、1971年9月リリースのイタリア盤)
レーベル:日本ビクター (所有LPは、RCA Victor)
番号:JRS-7054  ¥1,800 (所有LPは、LSP 34138)

ディレクター:ロビー和田
編曲:藤崎 邦男(A1,3, B2,5)、山屋 清(A2,5, B3,4)、山木 幸三郎(A4,6, B1,6)
エンジニア:内沼映二
録音日:1970年9月3,4,30日
録音スタジオ:ビクター新スタジオ No.1

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し

2019年4月21日 (日)

Center Stage/Helen Reddy (1998年)

豪州出身の女性シンガー、ヘレン・レディが1998年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

6. KNOWING WHEN TO LEAVE (2:10)


豪州出身の女性シンガー、ヘレン・レディが1998年にリリースしたアルバムです。

ヘレンは1941年メルボルン生まれ。1960年代末にオーストラリアからアメリカのロサンゼルスに渡り、1970年代には国際的な成功を収めました。特にアメリカ合衆国では、ビルボードHot100のトップ40に15曲を送り込み、6曲がトップ10入り、「 私は女 ('72) 」「 デルタの夜明け ('73) 」「 アンジー・ベイビー ('74) 」の3曲が全米1位になっています。1980年代半ばからはミュージカルの舞台も経験、ブロードウェイとウエスト・エンドの舞台にも立っています。(ウィキペディアより)

この方、全米No.1ヒットを持つアーティストなんですね、全然知らなかった^^;。

8年ぶりにアルバムをリリースにあたり、ヘレンはミュージカルの曲をカヴァーすることにします。 ─ 私の初恋は劇場。だからこのアルバムのアイデアを最初に知ったとき、私は嬉しかったの。私のキャリアの2つの分野 〜 録音スタジオと劇場のステージ 〜 を組み合わせるための完璧な手段だったから。さまざまな時代のさまざまなソングライターの曲を選んだわ。もちろん、私が出演したミュージカルの曲もね。 ─ (ライナーノーツより抜粋、私の超意訳で)

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↑ は収録曲と元のミュージカル。T-1,4,9,10. の4曲は自身が出演したミュージカルから、その他はヘレンお気に入りのミュージカル曲のようです。バックの演奏はオケ+バンドが約半数。その他、ビッグバンド、ストリングス+ピアノ、ストリングス+バンド、バンド、ピアノのみなど曲によってアレンジもそれぞれ。知らない曲も多いですが、Varese Sarabandeらしくいかにもミュージカル的なライヴ感あるサウンドで楽しめます。

んで、バカラック・カヴァーは『 プロミセス・プロミセス 』からT-6.「 去りし時を知って(もうさようならの時)」。オケ+バンドによるゴージャスなアレンジは、ミュージカルの完コピではなく所々に独自のオブリガードを配したもの。特にイントロのブラスのフレーズはインパクトあって新鮮。張りのあるヘレンの歌声は若干ハスキーで味があります。惜しいのは高音域で、線が細くなってピッチも微妙に低めなんですね。でも、全体的には好カヴァーだと思います。もう少し尺があればよかったのになぁ。


【データ】
『 Center Stage 』
Helen Reddy

CD:1998年リリース
レーベル:Varese Sarabande (US)
番号:VSD-5962

Produced by Bruce Kimmel
Arranged and Conducted by Ron Abel (except T-10.), Joseph Baker (T-10.)
Orchestrations by Steven Orich

2019年4月14日 (日)

LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER/Tony Bennett With The Mike Curb Congregation (1972年)

トニー・ベネットが1972年にリリースしたシングルです。バカラックが音楽を担当した映画『 失われた地平線 』の曲をカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER (3:19)
B. THE GOOD THINGS IN LIFE (3:25)


トニー・ベネットが1972年にリリースしたかなりレアなシングルです。

トニー・ベネットは米国の大御所男性歌手のひとり。1926年生まれなのでバカラック(1928年生まれ)より2歳上。ジャズ・スタンダードからポップスまで守備範囲の広いお方で、いわゆるクルーナーの代表的存在でもあります。最近では多様なアーティストとのデュエットで存在感を示していて、特にレディー・ガガとのデュエットは話題を呼びましたね。

1972年、トニー・ベネットはそれまで長く在籍していたコロンビアからMGMに移籍。10月には移籍後初のアルバム『 The Good Things In Life 』をリリースします。そして同時期にリリースしたシングルのA面がこの「リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー」でございます(ただしアルバムには未収録)。ちなみに↓は billboard 1972年11月4日号25ページに掲載されたMGM/Verveの全面広告。こう書いてあります。 ─  A new album by Tony Bennett is one of the good things in life. Plus a great new single - "Living Together, Growing Together" "The Good Things In Life"  ─
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ご承知の通りこの曲はバカラックが音楽を担当した1973年3月公開(日本では同年7月公開)の米ミュージカル映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』の中で歌われた曲の一つ。コロンビア映画の作品だったのでお世話になったコロンビアに忖度してカヴァーしたのかもしれませんね。

アレンジは映画およびそのサントラ盤をベースにしたもの。トニー・ベネットは軽くヴィブラートを効かせ、サビではメロディちょっぴりフェイクなんかしちゃったりして余裕の歌唱といったところ。歌い出しは彼のソロですが、男性コーラス、女性コーラス、キッズコーラスが次々に重なっていきます。この大人子供混成のコーラスは1960年代にマイク・カーブが中心となって結成されたコーラス・グループのThe Mike Curb Congregation(マイク・カーブ・コングリゲイション)によるものです。ちなみにマイク・カーブは当時MGMレコードとヴァージンレコードの社長さんでした。

このトニー・ベネット版は全米チャートで1972年12月に111位を記録しています。「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」最大のヒットはフィフス・ディメンション版ですが、1972年12月のリリースで全米チャート32位を記録したのは1973年1月でした。つまり、チャート上ではフィフス・ディメンションよりも先だったんですね。いやいや、意外でした。

ここからはオマケです。
トニー・ベネットはコロンビア時代にバカラックをちょくちょくカヴァーしています。
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1969年のアルバム『 I've Gotta Be Me 』で「 アルフィー 」「 世界は愛を求めている 」「 あなたはあなた 」、同じく1969年のアルバム『 Tony Sings the Great Hits of Today 』で「 恋の面影 」、1970年のアルバム『 Tony Bennett's Something 』で「 涙でさようなら 」というように(リンク先はコロンビアのバカラック物コンピ集)。いずれもゴージャスで凝ったアレンジなのですが、片や「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」はオリジナルほぼ完コピのアレンジ。コロンビアだったらどんな風にカヴァーしたのか…ちょっと気になるあるでおでした。


【データ】
「 LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER 」
Tony Bennett With The Mike Curb Congregation

Single:1972年10月リリース
レーベル:MGM / Verve
番号:MV 10690

Produced by Mike Curb and Don Costa
Arranged by Don Costa

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年4月 7日 (日)

STRONGER THAN BEFORE/Just Friends (1981年)

正体不明のユニット?、Just Friends が1981年にリリースしたバカラック・カヴァーのシングルです。

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A. STRONGER THAN BEFORE (3:30)
B. STRONGER THAN BEFORE (3:30)  ← プロモ盤なのでA面と同じ曲


米国のヒップホップ/ソウル系レーベル、Sugar Hill Records から1981年にリリースされたシングルです。

バカラック作品の中ではそれほどカヴァーされていない「 STRONGER THAN BEFORE(愛は果てしなく)」。そのカヴァーを連続で紹介する企画の第4弾。ネタが尽きて今回がラストです。

オリジナルはキャロル・ベイヤー・セイガー。1981年にリリースしたサード・アルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中のくちづけ
)』の収録曲で、シングルは全米30位を記録しました。オリジナルと同じ1981年にカヴァーされたのは本作の Just Friends だけです。

メイン・ヴォーカルは男性1人、サブとして女性1人も歌っています。男性は裏声で歌っていて女性と音程が同じ。声質もよく似ています。Just Friends はこの2人のユニット名と思われますが、色々調べたものの結局正体はわかりませんでした。アレンジはオリジナルのセイガー版のコピーですが、サウンドの厚みと密度が全然違っていて本作は至って質素な仕上がり。

実は、キャロル・ベイヤー・セイガーのアルバム『 真夜中のくちづけ 』には「 JUST FRIENDS 」という曲が入ってます。マイケル・ジャクソンがバック・コーラスで参加した曲なのですが、本作のアーティスト名はその曲と関係があるんじゃないかと睨んでいます。マイケル・ジャクソンとキャロル・ベイヤー・セイガーが「 愛は果てしなく 」をデュエットしたらどうなるか、パロディで誰かがやったのかなぁ…と。ま、私の妄想ですが。

あと、細かい指摘をひとつ。この曲はバート・バカラック、キャロル・ベイヤー・セイガー、ブルース・ロバーツの3人による共作曲なのですが、レーベル面のクレジットにはブルース・ロバーツの表記がありません。あぁ、なんて可哀想なブルース・ロバーツ💦。

ここからはオマケです。MP3で所有している「 愛は果てしなく 」のカヴァーをご紹介。
Keys Toni Cecil
まずは B. Judahl Keys。2013年?のアルバム『 Evolution of the SoulQuarian 』でカヴァー(5:32)。チャカ・カーン版をベースにしたヒップポップ風アレンジ。この方は男性アーティストのようですがちゃんと歌ってるのはAメロとBメロの一部とアドリヴ風のフェイクくらいでサビは女性バック・コーラスが主役。サウンド的にはとっても今風です。

続いて Toni Redd。米国アトランタの女性R&Bシンガーで、2015年のアルバム『 Her Reddness 』でカヴァー(4:48)。アレンジはチャカ・カーン版のほぼコピーですが、ベースの動きがチャカ版よりもカッコイイです。Toni Redd の歌唱はソウルフルですがそれほど印象には残りません。

最後に Cecil Ramirez。2015年?のアルバム『 Party in the Back 』でカヴァー(4:09)。スムーズ・ジャズ系のインスト物で、メロディを奏でるのはピアノ。1コーラス目は普通に、2コーラス目からはアドリヴも交えてきます。このアドリヴがなかなかクールで気持ちいいです。エンディングがフェードアウトじゃなく終止形なのは個人的にポイント高いです。


【データ】
「 STRONGER THAN BEFORE 」
Just Friends

シングル:1981年リリース
レーベル:Sugar Hill Records(US)
番号:SH-761

Produced by Joey Robinson, Jr. Productions
Recorded at Sweet Mountain Studio

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2019年3月31日 (日)

Move Closer/Sacha Distel (1985年)

英男性シンガー、サッシャ・ディステルが1985年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

B5. STRONGER THAN BEFORE (3:45)


英男性シンガー、サッシャ・ディステルが1985年にリリースしたアルバムです。

サッシャ・ディステルは、1933年フランスはパリ生まれ(2004年没、享年71歳)。最初はジャズ・ギタリストとして、その後クルーナー(ソフトに優しく語り掛けるような歌のスタイルで歌う歌手)として活躍。1960年代にはフランスのテレビでバラエティ・ショーの番組を持つまでになります。

1970年に英語でカヴァーした「 雨にぬれても 」はUKチャート10位に。英国ではB.J.トーマス(UK38位)よりもヒットしたんですね〜(こちらのコンピ集を参照ください)。1970年代以降はフランス以外でも(特に英国)活動。そんなこんなで本作は英国で1985年にリリースされたアルバムでございます。

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全14曲がカヴァー。うち8曲(A1,2,4,5,6,7, B2,3)は当時のヒット曲。1983年〜1985年のUSチャートまたはUKチャートでTOP10以内になった曲ばかりです。

残り6曲はバラバラ。A3.「 イマジン 」、マイケル・ジャクソン1980年のヒット曲B1.「 あの娘が消えた 」、B4.はヒット曲じゃなくて、スタンリー・クラークとジョージ・デュークがコラボした1983年のアルバム収録曲。B6.はポール・アンカ1962年のヒット曲「 ボサ ノヴァでキッス 」、B7.がコモドアーズ1979年のヒット曲「 スティル 」といった感じ。

そしてバカラック・カヴァーがB5.「 愛は果てしなく 」。オリジナルはキャロル・ベイヤー・セイガーで1981年にUSチャート30位。1984年にチャカ・カーンがカヴァーしましたがシングルは出ていません。どうして本作で取り上げられたのかちょっと謎ではあります。イントロが3小節長い以外、アレンジはキャロル・ベイヤー・セイガー版と瓜二つ。テンポやキーも一緒。サッシャは淡々と無難に歌っている印象で、イマイチ魅力を感じません。ただ、この曲を男性ソロで歌ってる例は他にないのでその点は貴重かと…。

アレンジやテンポが元曲のほぼ完コピなのは本作の14曲全てに共通しています。キーだけは上げたり下げたりしてますけどね。同じクルーナー・タイプの歌手でもアンディ・ウィリアムスやトニー・ベネットあたりがアレンジを工夫してるのとは対照的です。

サッシャは「 愛は果てしなく 」「 雨にぬれても 」以外に「 ディス・ガイ 」「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ 」をカヴァー(こちらのコンピ集で紹介済み)。私は未聴ですが、他に「 遥かなる影 」も1970年にカヴァーしてるようです。


【データ】
『 Move Closer 』
Sacha Distel

LP:1985年リリース
レーベル:Towerbell Records (London, UK)、Distributed by EMI
番号:TOELP 16

Produced by Nigel Wright for Skratch Music Productions
String & Brass Arrangements by John Pearce

※ 日本の Amazon では取り扱いなし

2019年3月24日 (日)

STRONGER THAN BEFORE/Joyce Kennedy (1984年)

米女性シンガーのジョイス・ケネディが1984年にリリースしたシングルです。A面がバカラック作品のカヴァー!

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A. STRONGER THAN BEFORE (3:59)
B. CHAIN REACTION (3:40)


米女性R&B/ソウル・シンガーのジョイス・ケネディが1984年にリリースしたシングルです。
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ジョイスは1948年米国ミシシッピ州生まれ。1963〜65年にかけてシングルを数枚リリースするもローカル・ヒットのみ。その後、1972年にジョージア州アトランタで結成されたR&B/ファンク・バンド Mother's Finest(マザーズ・ファイネスト)の女性リード・ヴォーカルとして活動します。1984年にバンドを脱退しA&Mと契約。リリースした初のソロ・アルバム『 Lookin( For Trouble 』からの第2弾シングルがバカラック・カヴァーのA.「 愛は果てしなく 」でした。

前回ご紹介した通り、チャカ・カーンがこの曲をカヴァーしたのも1984年。チャカは10月リリースですがジョイスのリリース月は調べても判らず。どっちが先なんでしょうねぇ…。

テンポ(♩≒80)&キー共にオリジナルのキャロル・ベイヤー・セイガー版と同じ。バックの演奏は割りとオリジナルに近いのですが、イントロだけは独自のアレンジでギター・リフがカッコイイです。ジョイスの歌唱は1コーラス目こそノーマルなものの2コーラス目からメロディをかなりフェイクして、エンディングではチャカに負けず劣らずシャウト! 歌声は力とハリがあり素晴らしいです。80年代中盤の雰囲気を感じるのはサウンド含めチャカ版でしょうけど、こと歌唱に関してはジョイス版の方がグッ✊ときます。

全米チャートには縁がなかったものの、US R&Bチャートは30位。MP3音源にはなってないようですが YouTube で聴くことができます。TV番組『 Soul Train 』で歌ってる動画もありますょ、口パクですけど💦。


【データ】
「 STRONGER THAN BEFORE 」
Joyce Kennedy

Single:1984年リリース
レーベル:A&M
番号:AM-2685

Produced by Jeffrey Osborne for Jay Oz Inc. (A面)

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年3月17日 (日)

I Feel For You/Chaka Khan (1984年)

米女性R&Bシンガー、チャカ・カーンが1984年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

2. STRONGER THAN BEFORE (4:21)


米女性R&Bシンガー、チャカ・カーンが1984年にリリースしたアルバムです。

Fullsizeoutput_25d61953年イリノイ州生まれのチャカは1973年ファンクバンド Rufus(ルーファス)のヴォーカルとしてデビュー。ソロとしても1978年にデビューし、1982年にルーファスが解散してからはソロに専念。本アルバムはソロでの6枚目にあたります。

メインのプロデューサーはアリフ・マーディン。全米3位/R&B1位になったプリンス作のアルバム・タイトル曲T-6.「 フィール・フォー・ユー 」をはじめ、ダンス/ファンク・チューンの曲がアルバムの大半を占めます。そんな中でバカラック・カヴァーのT-2.「 愛は果てしなく 」は明らかにテイストが違います。

オリジナルはキャロル・ベイヤー・セイガー(1981年のアルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT 』に収録)。同年シングル・カットされ全米30位になりました。3年も経ってチャカ・カーンがカヴァーしたのは何故なんだろう? オリジナルをアレンジしたのがT-8.「 スルー・ザ・ファイア 」の作者であるデヴィッド・フォスターなんですが、彼がチャカに薦めたんじゃないかなぁ…と勝手に想像しています。

キーは2度高いけれど♩≒80のミディアム・テンポはオリジナルとほぼ同じ。オリジナルがAOR風だったのに対しこちらは若干R&B寄りでしょうか。エフェクトのかかったドラム、フェアライトや各種シンセ(絶対にヤマハDX7を使ってると思う)の音色はいかにも80年代中盤っぽい。チャカの歌唱は余裕を持ってパワフルに歌っていて、中間部やエンディングでのシャウト(ここはオリジナルと大きく違う点です)は流石です。

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
AmazonやiTunesでチャカ・カーンの「 STRONGER THAN BEFORE 」を検索するとライヴ音源(2:45) が見つかります。例えば画像のようなコンピ集です。
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でも、しかし、これが、どう逆立ちしてもチャカ・カーンの歌声に聴こえない…。MORの女性シンガーっぽいんですよねー。演奏もオリジナルのほぼ完コピみたいですし…。
これ誰なんだろう?と色々と音源を聴き比べました。そしてようやく、Marie Osmond(マリー・オズモンド)のライヴ音源と一致することを確認! コンパイルする際、音源を間違えたんでしょう。もー、人騒がせな(怒)。
オズモンズ・ファミリーの彼女は Donny & Marie Osmond 名義での活動が有名なお方。上記ライヴ音源が入ってるコンピ集(MP3のみ)はその名も『 Stronger Than Before (Live) 』でございます。
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【データ】
『 I Feel For You 』(邦題:フィール・フォー・ユー)
Chaka Khan

CD:1984年10月1日リリース (所有CDは、1997年リイシューの日本盤)
レーベル:Warner Bros. (所有CDは、Warner Bros./wea Japan)
番号:9 25162-2 (所有CDは、WPCR-1008)

Executive Producer:Arif Mardin for Deniz Productions
Produced by Arif Mardin, Russ Titelman, John Robbie, David Foster, Humberto Gatica, Robbie Buchanan, Hawk, Joe Mardin
T-2. 「 STRONGER THAN BEFORE 」
  Written by Burt Bacharach, Carole Bayer Sager & Bruce Roberts
  Produced by Arif Mardin & Robbie Buchanan
  Arrangement:Robbie Buchanan & Arif Mardin
  Robbie Buchanan:All Keyboards & Synthesizers
  J.R. Robinson:Drums
  Nathan East:Bass
  Dan Huff:Guitar
  Craig Siegel:Fairlight Programming

2019年3月10日 (日)

Genesis/Delaney & Bonnie (1971年)

デラニー&ボニーが1971年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:45)


米国の男女ロック・デュオ、デラニー&ボニーが1971年にリリースしたアルバムです。

A3916731239220030jpeg デラニー・ブラムレット(1939年ミシシッピ州生まれ、2008年没)とボニー・レイン(1944年イリノイ州生まれ)の2人が1967年にロサンゼルスで出会って結婚。1969年から1972年にかけて Delaney & Bonie 或いは Delaney & Bonnie & Friends 名義でアルバムやシングルをリリース。エリック・クラプトンに見染められ、大きなバックアップを受けて世界的なデュオに。1973年以降はそれぞれソロ活動に専念していきました。

リリースは1971年ですが、レコーディングは1964〜65年及び1967年だそう。デュオ名義なのに全12曲のうちデュエットしてるのは3曲のみで他はデラニーのソロ。プロデューサーは2人いて、T-1,2,5のデュエット曲がレオン・ラッセルのプロデュース、ソロ曲のうちT-3,4,6,10,11,12の6曲はジャッキー・デシャノンのプロデュースです。

昨年末、このアルバムにバカラック・カヴァーのT-1.「 世界は愛を求めている 」が入ってることを知りリイシューCDを購入。でも、CD再生して聴こえてきたファンファーレ調のイントロは野宮真貴の「 世界は愛を求めている 」じゃないですかっ⁉︎  ディスクを間違えたのかと思いましたょ、マジで。それ位そっくり。…と言うか、野宮真貴版はデラニー&ボニーの完コピだったんですねー(エンディングだけは違いますが)。

元々3拍子のこの曲を4拍子のソウル・ロックにアレンジ。♩≒128のリズムもカッコイイです。金管にストリングスも加わった熱く分厚いバックの演奏に、デラニーとボニーのソウルフルで骨太な歌声がジャストフィット。スケールの大きなカヴァーです。素晴らしいっ! プロデュースはレオン・ラッセルで、アレンジもそうなのでしょう。この曲を最初に歌って1965年に全米7位になったジャッキー・デシャノンがプロデュースしたバージョンも聴きたかったですが。

他の曲では、やはりソウル・ロック風にカヴァーしたT-2.「 ふられた気持 」、ジャッキー・デシャノンの曲でジャッキーがプロデュースしたT-12.「 ユー・ハブ・ノー・チョイス 」あたりがノリ良く印象的でした。


【データ】
『 Genesis 』
Delaney & Bonnie

LP:1971年リリース (所有CDは、1991年リイシューの日本盤)
レーベル:GNP Crescendo (所有CDは、キング・レコード)
番号:GNPS 2054 (所有CDは、KICP 2168)

Produced by Leon Russell (T-1,2,5.)
Produced by Jackie DeShannon (T-3,4,6,10,11,12.)
Artists:Delaney & Bonnie (T-1,2,5.), Delaney Bramlett (except T-1,2,5.)
Jackie DeShannon or Leon Russell produced and arranged the "dates" featuring the top Hollywood studio musicians, among them Glen Cambell, Billy Strange, Hal Blaine, Al Casey and James Burton.

2019年3月 3日 (日)

Vol. II/Liz Damon's Orient Express (1971年)

ハワイのグループ、リズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレスが1971年にリリースしたアルバムです。超レアなバカラック・カヴァーを2曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は2トラック

A2. WALKING BACKWARDS DOWN THE ROAD (2:59)
A5. LONELINESS REMEMBERS WHAT HAPPINESS FORGETS (2:02)


コーラスワークが素晴らしいハワイのグループ、リズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレスが1971年にリリースしたアルバムです。

ホノルルはヒルトン・ハワイアン・ヴィレッジにあるバーのハウスバンドだったグループで、メンバーはリード・シンガーのリズ・ダモンと2人の女性シンガー、あと男性コーラスも含むバンドもそうなのかしらん? 1970年代に5枚アルバムをリリースしていて、本作は2枚目に当たります。

Fullsizeoutput_2740Fullsizeoutput_273a 収録曲は全てカヴァー。有名曲はローラ・ニーロのA3.「 TIME AND LOVE 」、キャロル・キングのB3.「 WHERE YOU LEAD 」フランシス・レイのB4.「 ある愛の詩 」あたり。 半分は私にとって聴いたことない曲でしたが、そのコーラス・ワークの素晴らしさの前では曲を知ってるかどうかなんて関係ないですねー。

リズ・ダモンを軸に、男女コーラスがユニゾンしたりハモったり、ホントに心地よいコーラスを聴かせてくれます。効果的に使われるヴィブラフォンや柔らかなトランペットなど、アレンジと演奏もソフトタッチでドリーミーです。

んで、2曲入ってるバカラック・カヴァー(というよりディオンヌ・カヴァーでしょうけど)は超レアなもの。

A2.「 ウォーキング・バックワーズ・ダウン・ザ・ロード(私が歩む世界)」のオリジナルはディオンヌ1968年のアルバム『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』に収録。カヴァーは本作だけだと思います。キーやアレンジの基本形はディオンヌ版と同じ。メロディのほとんどは女性コーラスがユニゾンで歌い、所々で男女コーラスがハモります。ディオンヌ版(♩≒98)より幾分速いテンポ(♩≒104)とソフトで明るい声質もあり、聴いててウキウキ楽しい雰囲気になります。

A5.「 ロンリネス・ハッピネス 」のオリジナルはディオンヌ1970年のアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』に収録。カヴァーの数は本作を入れても片手くらいですかね。キーとテンポはディオンヌ版と同じですが、イントロやオブリガートなど独自のアレンジを施されていてもっと軽やかな印象。そしてコーラスの素晴らしさ! メロディは最初から最後まで男女コーラスが歌っていて、しかもほとんどがハモリ。何回聴いても飽きないです。この曲はシングル・カットされて1972年にUS ACチャートで29位を記録しています。

私が所有しているLPは Anthem盤ですが、同年同じ内容で Delilah Records からジャケット違いの『 Try A Little Tenderness 』がリリースされています。
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Discogsで購入する際迷ったのですが、ジャケットに惹かれて『 Vol. II 』を購入。だってセンスが全然違うんだもん

ここからはオマケとして、MP3で所有しているバカラック・カヴァーをご紹介。
リズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレスは1970年リリースのファースト・アルバム『 Liz Damon's Orient Express 』で「 遥かなる影 」(3:24)をカヴァー。可愛らしいカヴァーです。メロディをほとんどユニゾンで歌っているのがちょっと残念。
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また、1973年リリースのサード・アルバム『 Me Japanese Boy (I Love You) 』ではアルバム・タイトルにもなった「 ミー・ジャパニーズ・ボーイ 」(2:27)をカヴァー。歌ってるのはリズ・ダモンとキッズ・コーラスのみで、大人のハーモニーは聴けず。アレンジもなにやらチープでちょっと期待外れかなぁ。
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【データ】
『 Vol. II 』
Liz Damon's Orient Express

LP:1971年リリース
レーベル:Anthem (US)
番号:ANS-5900

Produced by George P. Chun
Arranged and Conducted by Joe Eich

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年2月24日 (日)

Tribute/Melissa Manchester (1989年)

メリサ・マンチェスターが1989年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

5. WALK ON BY (3:46)


米国の女性シンガーソングライター、メリサ・マンチェスターが1989年にリリースした13枚目のオリジナル・アルバムです。

メリサ・マンチェスターについては11作目のアルバム『 EMERGENCY 』をご参考ください。

Fullsizeoutput_22abアルバム・タイトルのとおり本作はトリビュート・アルバム … いわゆるカヴァー・アルバムです。

─ これは私がずっと長い間作りたかったアルバムよ。一周して元に戻り、ジュディ、エラ、エディット、バーブラ、ビリー、イーディー、ロージー、サラ、そしてディオンヌにお礼を言わなくちゃって気付いたの。 ─ (ライナーより)

具体的な曲名とトリビュートする女性シンガーはライナーの曲目リスト(画像)の通り。T-10.のみ自身のリメイクです(キャロル・ベイヤー・セイガーとメリサの共作曲)。

プロデュースとアレンジは1曲を除いて彼女自身とピーター・マッツによるもの。T-1,3,4,6,7,10の6曲はオケ中心のアレンジでゴージャスにしっとり聴かせます。ビッグバンド・アレンジの3曲は派手で楽しいT-2,8とゆったりバラードのT-9。いずれの曲でもメリサは表現力たっぷりに歌い上げています。

んで、バカラック・カヴァーはディオンヌ・ワーウィック・トリビュートのT-5.「 ウォーク・オン・バイ 」。この曲だけはロン・ネヴィソンのプロデュースで演奏はバンド形式。テンポは♩≒83、どことなくアイリッシュな雰囲気のポップ・バラードに仕立てられていて、要所でオブリガードを吹くサックスにはスムーズ・ジャズっぽさも感じます。メリサの歌唱は肩の力が抜けていていいですね〜。曲の後半、" Walk on 〜〜〜〜〜 " と13秒間ブレスなしで歌うところはグッときます。

本アルバムからはこの「 ウォーク・オン・バイ 」だけがシングル・カットされました。US ACチャートで6位という記録が残っています。

思いがしっかり伝わってくる中身のあるカヴァー・アルバムだと思います。


【データ】
『 Tribute 』
Melissa Manchester

CD:1989年リリース
レーベル:MIKA Records / Polydor
番号:841 273-2

Produced and Arranged by Melissa Manchester and Peter Matz
Orchestrated and Conducted by Peter Matz

T-5.「 WALK ON BY 」
Produced by Ron Nevison
Arranged by Melissa Manchester, David Paich & Ron Nevison

2019年2月17日 (日)

Today/The Dudley Moore Trio (1972年)

英国出身の俳優ダドリー・ムーアが1972年にリリースしたピアノ・トリオのアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全8トラック中、バカラック作品は1トラック

4. THE LOOK OF LOVE (6:29)


英国出身の俳優ダドリー・ムーアが1972年にリリースしたピアノ・トリオのアルバムです。

どこかで聞いた事がある名前です。そう、バカラックが音楽を担当した1981年公開の米映画『 ARTHUR(ミスター・アーサー) 』で主演を務めたあのダドリー・ムーアです。大富豪の御曹司アーサー・バックに扮し、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。

─ 結婚披露パーティーではアーサーが白いピアノに向い「 サンタが街にやってくる 」(この歌は入浴中にも口ずさむ)や「 ブルー・ムーン 」を歌う場面がありピアニストとしても名高いダドリー・ムーアの本領を垣間見せてくれました。 ─

引用したのは『 ミスター・アーサー 』サントラ日本盤の解説の一節。ですからピアノが弾ける俳優さんなんだ〜という認識はありました。でも、ここまで本格的なプロのジャズ・ピアニストだったとは! 

ダドリーは1935年生まれ(2002年没)。俳優、コメディアン、ジャズ・ピアニスト、作曲家という4つの顔を持っていました(詳しくはウィキペディアを参照ください)。ジャズ・ピアニストとしては、自身のトリオを組んで『 Plays The Theme From Beyond The Fringe & All That Jazz 』(1962年)、『 The Other Side Of Dudley Moore 』(1965年)、『 Genuine Dud 』(1966年)、『 The Dudley Moore Trio 』(1969年)といったアルバムをリリース。本作はそれに続くアルバムでございます。

Fullsizeoutput_2369 ─ 『 Today 』は、シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、キャンベラでのコンサートを含むオーストラリアの3週間のツアーで大成功を収めた1971年に録音された。ダドリーは、頑強なドラマーのクリス・カランと、新しくメンバーとなったベースのピーター・モーガンを伴っていた。このトリオが完全な表現を見つけたことをダドリーが書いた5曲を通して説明しよう。 魅惑的な「 THE STAIRCASE 」、美しく揺れる「 WATERLOO 」、優雅で内省的な「 BEFORE LOVE WENT OUT OF STYLE 」、卑猥に聴こえる「 ROBIN’S BLUES 」、(バート・バカラックの「 恋のおもかげ 」における迷宮のような熟考は言うまでもない)、そしてダドリーが最初の妻である女優Suzy Kendall(スージー・ケンドール)へのオマージュとして書いたトップ10シングル、キャッチーなスキャットスタイルの「 SONG FOR SUZY 」。 ─ (リイシューCDのライナーノーツより、私の超意訳で)

ダドリーが書いた5曲は全くライナーノーツの通り。それぞれ魅力的な曲で作曲家としての才能もなかなかのもの。

バカラック作品のT-4.「 恋のおもかげ 」は♩≒104の幾分ファンキーな8ビート仕立て。他では聴けない特徴的で怪しげなイントロ&エンディング、ピアノのファンキーなアドリヴ、メリハリの効いたノリの良いベース…。いやホントにびっくりです。下手なピアノ・トリオの演奏より全然イイッ! 惜しいのはドラムスの音色が硬くてメリハリもなく平板なところかなぁ(他の曲でも言えることですが)。

ちなみに、本作の前年(1971年)に「 SONG FOR SUZY 」がオーストラリアでシングル・リリースされてまして、そのカップリング曲が「 恋のおもかげ 」でした。

本作はMP3で聴けますので興味がありましたら是非! なお、LPのアルバム・ジャケットはオーストラリア盤のものを拾いました。リイシューCDはUK盤のジャケットを再現しているようです。


【データ】
『 Today 』
Dudley Moore

LP:1972年リリース (所有CDは、2017年リイシューのUK盤)
レーベル:Atlantic (所有CDは、el in association with Cherry Red Records)
番号:SD-1000 (所有CDは、ACMEM332CD)

Dudley Moore:piano
Peter Morgan:bass
Chris Karan:drums
Written by Dudley Moore (T-2,3,5,7,8.)
Recorded at United Sound Studios, Sydney

2019年2月10日 (日)

HE WHO LOVES/Jerry Vale (1969年)

米男性歌手のジェリー・ヴェイルが1969年にリリースしたシングル。レアなバカラック・カヴァーです。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A. HE WHO LOVES (2:29)
B. CLOSE TO YOU (2:52)


米男性ポップ・シンガーのジェリー・ヴェイルが1969年にリリースしたシングルです。

ジェリーは1930年NY生まれ(2014年、83歳で他界)のイタリア系アメリカ人。1950年代〜1960年代にバラードタイプのポップ・ソングを歌って活躍していたお方だそうです。歌手としてはいわゆる Crooner の類い。流行り歌もたくさん歌っていたようで、ご多分に漏れずバカラック作品もいろいろとカヴァー。そのうちの1曲が超レア曲の「 ヒー・フー・ラヴス 」でした。

Imagesオリジナルは米男性ポップ・シンガーの Lenny Welch レニー・ウェルチ(画像、1940年NY生まれ…ディオンヌと同い年)。1968年夏にリリースされたシングル「 テネシー・ワルツ 」のB面として世に出ました。ゆったりめ(♩≒80)のソウルっぽい8ビートで曲の尺は2:53。金管&ストリングスオケと女性コーラスをバックに細かいビブラートの張りのある歌声を聴かせます。シンコペーションを多用した長調のメロディは軽いタッチでどこかほのぼの。原題の「 HE WHO LOVES 」を直訳すると「 愛する人は誰でも 」でしょうか、ハル・デイヴィッドによる歌詞もノーテンキに愛の素晴らしさを語る love & peace 的なものです。

こんな軽い曲でもバカラックはバカラック。1オクターブ半の音域を持つメロディライン、ヘ長調とハ長調と変イ長調を行ったり来たりする転調、7小節のフレーズもあったりして…。やっぱりシンプルな曲作りができない性分なんですね、バカラックは

ちなみにこのレニー版は、2012年に出たバカラック物コンピ集『 The Universal Sound Of Burt Bacharach Vol.2(バカラック・ベスト 〜バート・バカラック・ソングブック) 』で聴くことができます。

そして今回の主役、ジェリー版。キーはオリジナルと一緒ですが♩≒106のテンポで若干ボサノヴァのふりかけがかかった8ビート。お花畑にいるかのようなふんわりしたアレンジで、女性コーラスと低音フルートが柔らかい感じを、ストリングスとヴィブラフォンがキラキラした雰囲気を、弾むピアノがウキウキした気分を醸し出しています。そしてジェリーも軽く柔らかな歌声でさらっと歌っています。曲のコンセプトに合っているジェリー版の方がオリジナルより私は好きです。チャート的にはUS ACチャートで34位を記録しています。

あっ、シングルB面の「 CLOSE TO YOU 」はトニー・ハッチ&ジャッキー・トレント作品ですので。お間違えのないように(実際 Wikipedia の Jerry Vale discography では誤ってバカラック作品を記載しています)。


R320243014428028334959jpeg ここからはオマケ情報その1。
実はこの「 ヒー・フー・ラヴス 」は1967年の6月16日に楽曲著作権登録されています(ちなみに「 ディス・ガイ 」も同じ日に登録!)。そしてその約1ヶ月後の7月28日と8月3日にPerry Como ぺリー・コモが2テイク録音しています。1968年リリースのアルバム『 Look To Your Heart 』(画像)のレコーディング・セッションのうちの1曲だったのですが、結局アルバムには収録されずシングルにもなりませんでした。ですが2015年にCDリイシューされた際にボーナストラックとして収録! 私はMP3で入手することができました。曲の尺は2:42。

ペリー版はオリジナルよりキーは2度低いのですがテンポは♩≒102でジェリー版に近く、曲調もジェリー版に近いふんわり可愛らしい感じ。歌声の柔らかさはジェリー・ヴェイルと大差ないのですが細かい部分の表現力が豊かで聴き手を優しく包む感覚はジェリー版にはないものです。さすがは大御所男性歌手!

そもそもこの曲はペリー・コモのために書き下ろしたんじゃないですかねー。真相はわかりませんが…。「 ヒー・フー・ラヴス 」は以上3種類しか聴いたことありません。聴き比べてのランキングは以下の通り。このうちペリー版は YouTube で聴けます。
1位:ペリー・コモ
2位:ジェリー・ヴェイル
3位:レニー・ウェルチ

そしてオマケ情報その2。MP3で所有しているジェリー・ヴェイルのバカラック・カヴァー8曲をちょろっとご紹介。

① 1968年のアルバム『 This Guy's In Love with You 』より
「 ディス・ガイ 」(3:05)、「 サン・ホセへの道 」(2:42)、「 恋のおもかげ 」(3:27) の3曲をカヴァー。バックで演奏するポップ・オーケストラのアレンジは一工夫あってなかなか良い感じなのですが、ジェリーの歌いっぷりが平板で大根歌手然としてまして…。もったいないです。なお、「 恋のおもかげ 」は1968年にシングルのB面曲になってます。
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② 1969年のアルバム『 Till 』より
「 プロミセス・プロミセス 」(2:54) をカヴァー。バックのポップ・オーケストラのアレンジはゴージャスな雰囲気。ジェリーの歌唱も大根的ではあるものの張りのある歌声を聴かせてくれます。
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③ 1970年のアルバム『 Let It Be 』より
「 恋よさようなら 」(3:03)、「 雨にぬれても 」(2:37) の2曲をカヴァー。このアルバムではバックのアレンジもなんだか大根ちっく。ジェリーの歌声もしゃがれた感じが強くて今まで以上に大根歌手に聴こえます。なお、「 恋よさようなら 」は1970年にシングル・リリースされてます(チャート・アクション無し)。
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④ 1971年のアルバム『 We've Only Just Begun 』より
「 涙でさようなら 」(2:55)、「 遥かなる影 」(3:20) の2曲をカヴァー。うーん、印象は同じですねー。演奏も大根ちっくでジェリーの歌も大根です。
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ジェリー・ヴェイルのバカラック・カヴァーでは「 ヒー・フー・ラヴス 」が1番だと思います。


【データ】
「 HE WHO LOVES 」
Jerry Vale

7" Single:1969年リリース
レーベル:Columbia
番号:4-44914

Producer:Wally Gold
Arranged & Conducted by Joe Gardner

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年2月 3日 (日)

"LIVE" IN TOKYO/Ramsey Lewis (1968年)

ラムゼイ・ルイス初来日時のライヴ録音盤です。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDジャケットの表/裏

全9トラック中、バカラック作品は1トラック

4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (4:38)


米男性ジャズ・ピアニストのラムゼイ・ルイスが初来日したのは1968年9月。その時のライヴ録音盤です。(ラムゼイ・ルイスのプロフィールは前々回記事を参照ください)

この時にラムゼイ・ルイス・トリオは主要都市で6公演したそうです。
9月11日 東京・サンケイホール
   13日 大阪フェスティバル・ホール
   15日 広島市公会堂
   16日 神戸国際会館
   17日 東京・サンケイホール
   20日 名古屋市公会堂
入場料(東京公演)S¥2,300、A¥1,800、B¥1,400、C¥1,000

本アルバムのクレジットには1968年9月にサンケイホールにて録音…とだけ記載されていて、11日/17日どちらの公演なのか、あるいはいいとこ取りをしたのか、その辺りはわかりません。日本のみでリリースされ、以降も日本では何度かリイシュー。私が所有しているのは2004年のリイシューCDです。

聴衆のお目当てはやっぱりT-1.「 ジ・イン・クラウド 」やT-9.「 ウェイド・イン・ザ・ウォーター 」でしょう。どちらもラムゼイ・ルイスの代表曲で、聴衆の手拍子も一段と大きいです。それとT-5.「 ソング・フォー・マイ・ファーザー 」の中間部、ドラムスのアドリヴでカリンバも演奏するところはモーリス・ホワイトの面目躍如! 聴衆にもウケてました。

そんな中で演奏されたバカラック作品がT-4.「 世界は愛を求めてる 」。テンポ♩≒148のジャズワルツ。1コーラス演奏した後、1:30頃から始まるピアノのアドリヴが素晴らしい! だんだん激しくファンキーに。徐々にテンポアップしてベースとドラムスもそれに応えて熱い熱い演奏になっています。このノリはやはりラムゼイ・ルイスならでは。最後、我に返って消え入る様に終わるところもイイですねー。

ちなみに、私が聴いたことあるラムゼイ・ルイスのバカラック作品は6曲。
1966年「 マイケルへのメッセージ 」…『 Wade In The Water 』こちらで紹介済み
1967年「 恋のおもかげ 」「 アルフィー 」…『 Up Pops Ramsey Lewis 』
1968年「 サン・ホセへの道 」…『 Maiden Voyage 』こちらで紹介済み
1968年「 世界は愛を求めてる 」… 本アルバム
1983年「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」…『 Les Fleurs 』

R4042771334488855jpeg今回オマケとしてご紹介するのがMP3でしか所有していない「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」(6:09) 。画像はアルバム『 Les Fleurs 』のジャケットでございます。アルバムのタイトルはフランス語で花という意味。ジャケット見てもそんな感じしませんけど…。
ピアノ、アコースティックベース、チェロによる演奏なのですが、ほぼラムゼイ・ルイスのピアノ・ソロといった感じでベースとチェロはバックグラウンド的位置付け。リリカルで情熱的、そしてちょっとアヴァンギャルド。
こんな感じなのですが、イメージ湧きますかね?

R1227285715365037681264jpegR1227285715365037802648jpegそして、今回記事を書くにあたりDscogsを調べて見たらもう1曲「 恋のおもかげ 」の録音を発見!
日本でのみリリースされたアルバム『 ENCORE! / RAMSEY LEWIS IN TOKYO(ラムゼイ・ルイス・イン・東京 / アンコール!  』がそれ。1968年10月18日、東京サンケイ・ホールでの実況録音盤で、LPレーベル面にはVol.2の文字が…。初来日からわずか1ヶ月後に再度来日したのでしょうか。MP3は存在せず聴いたことないのですが、このアルバムが国立国会図書館に所蔵されていることを確認! 聴きたいなぁ。


【データ】
『 "LIVE" IN TOKYO 』 (当時の邦題:ラムゼイ・ルイス・イン・東京)
Ramsey Lewis

LP:1968年リリース (所有CDは、2004年1月28日リイシュー盤、解説は児山紀芳氏)
レーベル:Globe (Japan) (所有CDは、CADET/ユニバーサル・ミュージック)
番号:SMJ-7501 (所有CDは、UCCC-9072)

Ramsey Lewis - piano
Cleveland Eaton - bass
Maurice White - drums
Recorded September, 1968, live at Sankei Hall, Ohtemachi, Tokyo
(1968年9月、東京大手町サンケイホールでの実況録音)

2019年1月27日 (日)

Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra/Carpenters (2018年)

カーペンターズとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、奇跡の共演!! バカラック作品を2曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全18トラック中、バカラック作品は2トラック

10. BABY IT'S YOU (3:12)
11. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (3:41)


Fullsizeoutput_1e20_2 リチャード・カーペンターがオーケストラアレンジを書き直し、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を自ら指揮、ロンドンのアビーロード・スタジオで録音したアルバムです。

発売元のユニバーサルミュージックは、これまでにロイ・オービソン、エルビス・プレスリー、アレサ・フランクリン、ビーチ・ボーイズ…といったアーティスト達のヒット曲から歌声部分を取り出し、ロイヤル・フィルよる新たな伴奏と組み合わせる企画アルバムを手がけています(アレサ版はこちらで紹介済み)。

しかし、本作はそれらと大きな違いがあります。それは製作の主導権をリチャード自身が握ったこと。ストリングスとの相性を考慮した選曲、カレンの歌声の魅力を最大限に活かしたリアレンジ、オリジナル録音時のノイズや微妙なピッチのズレ等の修復など、リチャードが自分で納得いくまでやりたかったんだと思います。

2018年12月、リリースに合わせて来日したリチャードは多くのメディアから取材を受けました(以下主だった記事をリンク)。読むとリチャードのこだわりがよく伝わってきます。
発売記念イベント@山野楽器銀座本店/BARKS
カーペンターズのリチャードに聞く(上)新作を作った理由/産経ニュース
カーペンターズのリチャードに聞く(下)人生はこれから/産経ニュース
リチャード・カーペンター、オーケストラ・サウンドを加えヒット曲に新しい息吹/BARKS
カーペンターズ、今も色褪せぬ名曲 リチャード「カレンは天才だった」/ミュージックヴォイス

T-1.「 OVERTURE(オーヴァーチュア) 」〜 T-2.「 YESTERDAY ONCE MORE(イエスタデイ・ワンス・モア) 」〜 T-3.「 HURTING EACH OTHER(ハーティング・イーチ・アザー) 」は曲間をつないで各曲のオケ・アレンジにもちょっぴりスパイスがかかっています。元の曲の雰囲気は変えずにうまくお化粧し直した印象なのですが、それは本アルバム全体の印象でもあります。

バカラック作品は2曲。T-11.「遥かなる影」があるのは当然として、嬉しいことにT-10.「ベイビー・イッツ・ユー」も入ってました。 ─ シングル盤にはならなかったけれど、私のお気に入りの曲にも光を当てました。「ベイビー・イッツ・ユー」「マスカレード」など。 ─ (リチャード談) へぇ〜、そうだったんだ! いずれもセカンドアルバム『 CLOSE TO YOU(遥かなる影)』からのチョイスです。

「 ベイビー・イッツ・ユー 」のイントロは元々のピアノ2小節からオケ8小節に変わっていますが違和感はありません。本編ではオケのアレンジにちょっと手を加えていて、所々に追加されたオブリガートが新鮮に聴こえます。

一方の「 遥かなる影 」は、音の “ ざらつき ” が取れてクリアになりヴォーカルが前に出てきた以外は変わってないんじゃない?って感じ。何もいじる必要がないくらい元の「 遥かなる影 」の完成度が高かったってことなんでしょう。本アルバムの他の曲とは違ってオケのアレンジは変わってないようですが、ハープやストリングスの表現は抑えめでカレンの歌声を最大限活かそうというリチャードのこだわりが伝わってきます。

リチャードがインタビューで語っていた様に、本アルバムはシャッフルせずに曲順どおりにゆったり聴くのが良いと思いました。曲間繋がってる所が多いですから。


【データ】
『 Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra 』
Carpenters

CD:2018年12月7日リリース
レーベル:A&M
番号:B0029419-02 (所有CDはCanada盤 B002914002)

Produced by Richard Carpenter
Associate Producer:Nick Patrick
Arranger:Richard Carpenter (Except T-7.), Paul Riser (T-7.)
Vocal Arranger:Richard Carpenter (T-7.)
Orchestra performed by The Royal Philharmonic Orchestra
Conducted by Richard Carpenter
The Royal Philharmonic Orchestra recorded by Haydn Bendall at Abbey Road Studio 2, London, U.K.

↓左:US盤、右:日本盤(ボーナストラック付き T-19.)

2019年1月20日 (日)

Up Pops Ramsey Lewis/Ramsey Lewis (1967年)

ラムゼイ・ルイスが1967年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を2曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は2トラック

A2. THE LOOK OF LOVE (4:22)
B3. ALFIE (2:45)


米国の男性ジャズ・ピアニスト、ラムゼイ・ルイスが1967年にリリースしたアルバムです。

ラムゼイ・ルイスは1935年シカゴ生まれ。自身のトリオを結成して1956年に最初のアルバムをリリース。1965年リリースの『 The In Crowd(ジ・イン・クラウド)』は100万枚以上のセールスを記録しグラミーも受賞。EW&Fのモーリス・ホワイト、フィリップ・ベイリー、ヴァーダイン・ホワイトが参加した1974年のアルバム『 Sun Goddess(太陽の女神)』はソウル・チャートとジャズ・チャートの両方で全米1位になりました。そのファンキーなピアノ・スタイルから “ ジャズ・ファンクのゴッドファーザー ” の異名をとるお方でございます。

私がラムゼイ・ルイスを初めて聴いたのは1980年代前半。1980年リリースのアルバム『 Routes 』で、モーリス・ホワイト、アル・マッケイ、ラリー・ダン、フィリップ・ベイリー、フレッド・ホワイトといったEW&Fメンバーの多くが参加したフージョン・タッチのアルバム。その後しばらく私はラムゼイ・ルイスをフュージョン界の人だと思ってましたねー

1967年当時のラムゼイ・ルイス・トリオは、ラムゼイ本人(ピアノ)、クリーヴランド・イートン(ベース)、それにモーリス・ホワイト(ドラムス)。本作はそのピアノ・トリオにホーン群やギター、パーカッションが加わって編成となっています。

Fullsizeoutput_1747Fullsizeoutput_174d全10曲のうち7曲がソウル/R&B/ポップのヒット曲。サム&デイヴのA1、ダスティ・スプリングフィールドのA2、アレサ・フランクリンのA3、スティーヴィー・ワンダーのB2、ステイプル・シンガーズのB4(ここまでが1967年のヒット)、シラ・ブラック/シェールのB3(1966年)、リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズのA4(1964年)…。アルバム・タイトルのとおりポップスを取り上げたアルバムなんですねー。

演奏のメインはピアノ・トリオ。メロディやアドリヴはピアノの独壇場。ホーン群も時折メロディを吹きますが、殆どは伴奏といった感じで持続音または刻みの和音を吹いてます。全体的な印象は、オケのアレンジ&指揮を担当しているリチャード・エヴァンス作の3曲を含めて “ 歌のないSOUL/R&Bアルバム ” といった感じです。

バカラック作品は2曲。A2.「 恋のおもかげ 」はR&Bのリズム(原曲は軽いボサノヴァ)にゆったりめのテンポ(原曲の♩≒98に対して本作は♩≒86)。1コーラス目はピアノ・トリオ主体でまったり妖しげな雰囲気。2コーラス目以降はねちっこく吹くホーン群とピアノのファンキーなアドリヴでゴージャスになります。なかなかユニークな演奏かと。一方B3.「 アルフィー 」は本作の中では最もR&B色の薄いアレンジ。イントロのクラリネットが意表を突きます。ホーン群がかなり出張っていてビッグ・バンドによるジャズ・バラードといった感じです。ちなみに「 恋のおもかげ 」は翌1968年にシングル・カットされました(Cadet 5593、B面曲は「 BEAR MASH 」)。

特別ファンキーでもないし、選曲的にも企画色が濃い本作。リイシューCDも出てないですし、ラムゼイ・ルイスのアルバムの中では人気ないんでしょうね…。

オマケとして内袋(CADETのジャズ・アルバムのカタログになっています)の画像を置いていきます。CADETはシカゴのR&B系レーベルであるチェス・レコードの傘下だったわけですが、こうして眺めるとなるほどCADETはファンキーなジャズ・ミュージシャンが多かったことがわかります。
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【データ】
『 Up Pops Ramsey Lewis 』
Ramsey Lewis

LP:1967年リリース
レーベル:CADET
番号:LPS-779

Produced by Richard Evans
Arranged by Ramsey Lewis and orchestrated by Richard Evans (A1,2.)
All others arranged and orchestrated by Richard Evans
Ramsey Lewis - piano
Cleveland Eaton - bass
Maurice White - drums
augmented by orchestra conducted by Richard Evans

Recorded:July & October, 1967, at Ter Mar Studios, Chicago

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2019年1月13日 (日)

Love Is Lainie/Lainie Kazan (1968年)

米国の女優&歌手、レイニー・カザンが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像はクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. A HOUSE IS NOT A HOME (3:08)
A2. THE LOOK OF LOVE (3:12)
B1. THEY DON'T GIVE MEDALS (TO YESTERDAY'S HEROES) (3:07)
B4. THE WINDOWS OF THE WORLD (3:46)


米国の女優&歌手、レイニー・カザンが1968年にリリースしたアルバムです。

レイニーは1940年NY生まれ。ディオンヌ・ワーウィックとは同い年。1961年にブロードウェイ・デビューして、1964年のミュージカル『 ファニーガール 』では主演バーブラ・ストライザンドの代役も務めたとか。映画(1968年〜)、TV(1962年〜)にも数多く出演。今でも現役のようです。

歌手としてはMGMから1966年にアルバムやシングルをリリース。本作は4枚目のアルバムになります。バックは優しい響きのオーケストラ(詩を朗読してるみたいなB5.だけはギターのみ)で、3人のアレンジャーを使い分けています。レイニーの歌声はバーブラ・ストライザンドって感じ。押し出しの強さやブリリアントさバーブラほどではありませんが、さすが代役するだけはありますねー。

Fullsizeoutput_1701Fullsizeoutput_1706バカラック・カヴァーは4曲で、全てパット・ウィリアムスのアレンジ。前回ご紹介したレスリー・アガムスのアルバムでもいい仕事してましたが、このアルバムでもオヤッと思うアレンジがあちこちあってレコメンドです。

まずA2.「 恋のおもかげ 」。イントロのメロディは聴いたことないフレーズですし、Aメロが始まってから4ビートで刻むピアノのブロックコードも新鮮。2コーラス目サビの半音ずつ高くなる転調にはグッときました。B.4「 世界の窓と窓(世界の窓に光を)」は4拍子の原曲をしっとりした曲調の8分の6拍子にアレンジ。でもこれが実にマッチしてまして、全く違和感がありません。素敵なアレンジです。A1.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」はリズム無しストリングスのみのアレンジ。イントロだけ聴いたらとてもこの曲だとわからないでしょうね。レイニーの歌もぴったりで映画のワンシーンを見ているよう。

以上3曲はバカラックのカヴァー定番曲ですが、B1.「 悲しきイエスタデイ・ヒーロー 」はちょっとレアな曲。1966年のTVドラマ『 オン・ザ・フリップ・サイド 』でリック・ネルソンが歌ったのがオリジナル。同年ベン・E・キングがカヴァー。翌1967年にはチャック・ジャクソン、ルー・ロウルズ、ウォルター・ジャクソン、Rufus Lumleyがカヴァーしています。そして初めてカヴァーした女性がレイニーなのでございます。原曲よりもゆったりしていて、テンポは十数曲あるこの曲のカヴァーの中で最も遅い♩≒84。しかもエンディング近くでさらに遅くなります。う〜ん、なんともドリーミー!

ちなみに、「 悲しきイエスタデイ・ヒーロー 」はA面でシングル・リリースされています(MGM K13943)。どうしてこんな地味な曲をシングルにしたんでしょうね…。

バカラック・カヴァー以外では、ジャズ・タッチで後半弾けるA4.「 サニー 」や、ヤング・ラスカルズのカヴァーでゆったりゴージャスなB2.「 高鳴る心 」あたりが良かったです。

いいアルバムなのに、CD化もMP3化もされないなんてどうかしてます。ジャケットも素敵ですしね。加えて内袋も洒落てます↓。
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ここからは、オマケとしてMP3でしか持ってないバカラック・カヴァーをご紹介。
R505558113832982158242jpegレイニー・カザンは、1998年リリースのアルバム『 In The Groove 』で再度「 恋のおもかげ 」(4:40) をカヴァーしておいでです。
今度はオケではなく、ピアノ・トリオ+パーカッション+女性バックコーラスというコンテンポラリー・ジャズ仕立てのサウンド。年齢を重ねたからか、ドスの効いた歌声になっていてもうバーブラとの近似性は感じません。これはこれで魅力的なカヴァーです。
でも、なんていうですかねぇ、ポップス・アレンジの妙とジャケットの魅力で個人的には1968年のカヴァーに軍配を上げてしまいます。


【データ】
『 Love Is Lainie 』
Lainie Kazan

LP:1968年リリース
レーベル:MGM
番号:SE-4496

Produced by Pete Spargo
Arranged and Conducted by Pat Williams (A1,2,5, B1,4.)
Arranged by Claus Ogerman, Conducted by Peter Daniels (A3.)
Arranged and Conducted by Bob Florence (A4,6, B2,3.)
Accompanied on guitar by Tommy Tedesco (B5.)

Recording date
Oct. 16, 1967 (A4, B3.)
Feb. 26, 1968 (A6, B2.)
Feb. 27, 1968 (A2, B1,4.)
Feb. 28, 1968 (A1,5, B5.)
Unknown (A3.)

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し

2019年1月 6日 (日)

What's An Uggams?/Leslie Uggams (1968年)

米国の女優で歌手、レスリー・アガムスが1968年にリリースしたアルバム。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:46)
A2. ANY OLD TIME OF THE DAY (3:35)
A3. IN THE LAND OF MAKE BELIEVE (2:59)
A4. LET THE MUSIC PLACE (2:25)


今年(2019年)のブログ “ 書初め ” はこのアルバム! レスリー・アガムスが1968年にリリースしたアルバムです。

レスリーは1943年ニューヨークのハーレム生まれ。ブロードウェイ・ミュージカル『 Hallelujah, Baby! 』で1968年トニー賞(ミュージカル主演女優賞)を受賞したり、1977年の米TVドラマ『 Roots(ルーツ) 』で主人公クンタ・キンテの娘キジー役を演じてエミー賞にノミネートされるなど、女優として多方面で活躍。

一方、9歳でアポロ劇場に出演し1950年代後半にはミッチ・ミラーのレコード『 Sing Along with Mitch 』シリーズのレコーディングに参加するなど、早くから歌手としても活躍。1960年代前半のTV番組『 Sing Along with Mitch(ミッチと歌おう)』へのレギュラー出演と並行して、Columbiaからアルバムやシングルもリリース。1965年にAtlanticと契約、同レーベル2枚目のアルバムが本作でございます。

Fullsizeoutput_16ce_2Fullsizeoutput_179d収録曲10曲の内訳は、バカラック&デイヴィッド作品4曲、リーバー&ストーラー作品3曲、アービン・ドレイク作品2曲、バリー&グリーンウィッチ&スペクター作品1曲。バックの主体はポップス・オーケストラで、編曲はパット・ウィリアムス、ジャック・コートナー、ピーター・マッツの3人が担当。プロデュースはリーバー&ストーラーで、ポップスを軸にR&Bやジャズまでバラエティに富んでいます。

バカラック&デイヴィッド作品の4曲は全てカヴァー。どれも味があるアレンジでレコメンドです。中でもA2.「 エニィ・オールド・タイム・オブ・デイ 」が素晴らしい! この曲は以前ご紹介したコンピ集『 アトランティック・バカラック・コレクション 』にも入っていまして、その時私はこう書いてます。 ─  ドリーミーなレズリー・アガムスの「 エニィ・オールド・タイム・オブ・デイ 」 はこのレア曲のカヴァーとしてよく出来てます。アトランティックっぽさは殆どみられませんが(>_<)。 ─  具体的には、木管楽器(バリトンサックス?やフルート)による軽妙なオカズを筆頭に、ふわっとした柔らかな音色で奏でられる金管楽器やストリングスのオブリガート、艶やかでメリハリの効いたレスリーの歌唱…。ホント素晴らしいカヴァーです!

A1.「 世界は愛を求めている」は “ 頭サビ ” の曲ですが、イントロ無しでBメロからか始まります。ピアノだけをバックにジャズっぽく歌うこの冒頭部分にグッときます。本編はジャッキー・デシャノン版に近いテイストですが、ゴージャス感があっていい感じ。A3.「 イン・ザ・ランド・オブ・メイク・ビリーブ 」も柔らかい音色の金管楽器やストリングスが素敵で、全体的に軽めで「 エニィ・オールド・タイム・オブ・デイ 」ほどではありませんがドリーミーな雰囲気。A4.「 レット・ザ・ミュージック・プレイ 」はR&B色が感じられるアレンジ。ここまでの3曲とはアレンジャーが違うからでしょうかねー。随所で聴こえる木管楽器の “ オカズ ” がユニークで楽しいです。

バカラック作品以外について少々。アイク&ティナ・ターナーのカヴァーであるA5.「 RIVER DEEP, MOUNTAIN HIGH 」は、本家には負けるけれどソウルフルな歌唱です。B1.「 イズ・ザット・オール・ゼア・イズ(IS THAT ALL THERE IS?)」は、翌1969年にペギー・リーがカヴァーしてグラミーを受賞(最優秀女性ポップ・ボーカル賞)してますが、このレスリー版がオリジナルでございます。大人のペギー・リー版よりも軽いタッチですが私はレスリー版も悪くないと思います。B3.「 SOME CATS KNOW 」も1975年にペギー・リーがカヴァーしてますが、こちらはセクシーなペギー・リー版の方がいいかなぁ。

CD化はおろかMP3にもなっていない本作、バカラック・ファンにとって魅力的なアルバムなんですけどねー。

オマケとして内袋の画像を置いておきます。見てるだけで楽しいです。
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【データ】
『 What's An Uggams? 』
Leslie Uggams

LP:1968年リリース
レーベル:Atlantic
番号:SD 8196

A LEIBER - STOLLER PRODUCTION
Arranged by Pat Williams (A1〜3, B1〜3.), Jack Cortner (A4,5.), Peter Matz (B4,5.)

※ 日本のAmazonでの取り扱い無し

2018年12月30日 (日)

LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS/Brian Foley (1967年)

米国男性ポップ/ロック歌手、ブライアン・フォーリーが1967年秋にリリースしたシングルです。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS (2:47)
B. LOVE ME, PLEASE LOVE ME (2:51)


ブライアン・フォーリーが1967年秋にリリースしたシングルです。

ブライアン・フォーリーって誰? Discogsによればブライアンは “ ポップ・ロック・クルーナー - ソングライター ” だとか。んじゃ、クルーナー(crooner)って何? 大辞林第三版によれば “ おさえた低い声でささやくように情緒をこめて歌う流行歌手。ビング・クロスビーなどに代表される ” だそう。いやー、知りませんでした。

ブライアンは1966年2月にDotからシングル・デビューしました。当時ブライアンはこんな発言をしています。 ─ ロックンロールの歌手にはなりたくない/トニー・ベネットみたいな誠実なスタイルで歌いたい/フォークロックはやり過ぎでソニー・ボノよりもパット・ブーンの方が好きだ ─ 等々。ナルホド、クルーナーのイメージが湧いてきましたょ。その後1967年〜1969年の間にKappからシングルを数枚リリース。結局アルバムは出さなかったようです。

バカラックは、1967年にA&Mへ移る前はKappから自身名義のシングルやアルバムをリリースしていました。同じレーベルということでバカラックにオファーが来たんでしょう。てな訳でバカラックがブライアンに提供した新曲が本作。ブライアンがオリジネーターのこの曲は自身2枚目(Kappからは初)のシングルになりました。

Fullsizeoutput_1698作詞はハル・デイヴィッド。楽曲の著作権登録日は1966年11月14日ですから、ブライアンの為に書き下ろしたかどうかはタイミング的に微妙なところですね。

それにしても、こんな歌いにくい曲をまだ駆け出しの歌手に歌わせるなんて。バカラックは鬼だわ

リズムはシンプルな8ビートで、テンポ♩≒122、キーはEm。これだけだとごく普通のポップス曲に思えますが、Aメロ(12小節)− Bメロ(8小節)− サビ(4小節)という変則的な構成、変拍子チックなAメロ後半4小節のメロディ、半音が続く音程の取りにくいニョロニョロしたBメロ、短調⇆長調や3度移調したりコロコロ転調するコード進行…。

オーケストラのアレンジと指揮はゲイリー・シャーマンというお方。ストリングスや金管のオブリガートが凝っていたりベースの動きがカッコ良かったりと、この変な曲を上手く盛り上げています。ただし、イントロ 〜 1コーラス目Aメロにかけての不気味なストリングスはやりすぎでしょう。

ブライアンの歌声は甘くビブラートが効いていて、トニー・ベネットに似ています。堂々と歌いこなしていて立派! 本人はもっとシンプルな曲を歌いたかったでしょうけどねー。

シングルB面はミッシェル・ポルナレフ1966年の大ヒット「 愛の願い 」のカヴァー。こちらはオーソドックスにまとめた印象です。

数多あるバカラック物コンピ集にブライアンの「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」は入っていませんし、MP3も見当たりません。どうしても聴きたくて最近Discogsで購入。ラジオ局向けプロモ盤ですが入手できて良かったです!

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介!

R364999115237179961401jpeg_2 R372234315394164842864jpeg_2米国のトランペット奏者&バンドリーダーのドク・セバリンセンが1968年のアルバム『 Doc Severinsen & Strings 』(画像左)で「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」(3:20) をカヴァーしています。キーは同じEmで、テンポは少し遅目の♩≒112。ドクのトランペットはコク・キレ抜群で(じゃないですよ)甘いメロディ&派手なアドリヴ共にカッコイイです。因みに、同アルバムには「 BOND STREET 」(2:37) のカヴァーも入ってます。

そして、英国のモテ男エンゲルベルト・フンパーディンクが1969年のアルバム『 Engelbert 』(画像右)で「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」(3:11) をカヴァー。キーはこちらもEmで、テンポは更に落として♩≒108。メリハリの効いたアレンジのオケに加えて女性コーラスも加わってゴージャスな雰囲気。フンパーディンクの歌唱は流石に貫禄がありダイナミックレンジも広く素晴らしいです。

「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」はこれら3つのバージョンしか知らないのですが、ベストはどれかと訊かれたらフンパーディンクと答えます。ごめんねブライアン。


【データ】
『 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 』
Brian Foley

シングル:1967年秋リリース
レーベル:Kapp
番号:K-861

Producer − David Kapp
Conductor, Orchestrated By – Garry Sherman

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年12月23日 (日)

ライブの感想 Yammy* sings Burt Bacharach Dec. 16, 2018

『 Yammy* sings Burt Bacharach 』

2018年12月16日(日) 18:00開場 19:00開演
Restaurant Bar & New York Sound Live ROYAL HORSE
Yammy*(Vo)、Sasapong(P)、堂地誠人(Soprano Sax)

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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同郷(S県H市)の友人とグランフロント大阪のイタリアン・レストランでちょっと早めの夕食を摂っている間に降り出した雨は、ロイヤルホースへと向かう頃には本降りになっていました。そこでなるべく雨を避けようと梅田の地下街に入ったのがいけなかった。方角がよくわからない上にスマホのGPSも精度がイマイチで結構時間をロスしてしまい、ロイヤルホースに着いたのは開演10分前の18:50頃。

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店内座席表のB6に座り、なんとかライブが始まる前に友人と乾杯。あっ、飲み物はもちろんノンアルですよ!

<1st stage>
1. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)(ニューヨーク・シティ・セレナーデ)
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU(遥かなる影)
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU(ディス・ガイ)
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている)
5. GOD GIVE ME STRENGTH(ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス)
6. DON'T MAKE ME OVER(ドント・メイク・ミー・オーヴァー)
7. WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)

<2nd stage>
1. ALFIE(アルフィー) … この曲だけ w/Sasapong
2. THE LOOK OF LOVE(恋のおもかげ)
3. ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに)
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら)
5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)
6. I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)
7. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD(雨にぬれても)
8. BABY IT'S YOU(ベイビー・イッツ・ユー)

<Encore>
1. OUR WORLD   w/Dave Sinclair
2. ISLAND OF DREM   w/Dave Sinclair
3. 君のもとへ   w/Sasapong, 堂地誠人


Yammy* sings Burt Bacharach(略してYsBB)は今年が9年目になるとのこと。私が最初にYsBBを聴いたのは2013年。聴いてない年もあるので毎回かどうかはわかりませんが、セットリストは少しずつ変わってるようですね。(YsBB過去の感想:2013年2014年春2015年

今年の15曲のうち私にとって初のYsBB曲は2-8.「 ベイビー・イッツ・ユー 」。シレルズがオリジナルで、ビートルズやカーペンターズのカヴァーが有名な曲です。特徴的な “シャララララ…” の部分、Yammy*さんの歌声と堂地さんのサックスが殆ど同じ音色でなんとも気持ちが良かったです。

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どの曲も素敵でしたが、今年の個人的なレコメンドは2曲。まずは1-4.「 世界は愛を求めている 」。ゆったり&ゆらぎのあるテンポのなか、Yammy*さんの愛情溢れる歌声が心に響きました。Yammy*さんの手の振りも相まって大きな愛をもらったように感じました。そして2-6.「 小さな願い 」。ブルース調のアレンジは例年と同じだと思いますが、アレサ追悼ということもあって曲の途中で「 THINK 」を挟んで大盛り上がり! 元々ソウルフルなYammy*さんの真骨頂でしたねー。

MCで印象的だったのは、─   バカラックさんの曲を毎年歌ってきて、掘り下げることを学んだ。いろんなアーティストの曲を聴き、発音や歌詞の意味を研究してきた。   ─   とおっしゃってたこと。具体的な例として、2-1.「 アルフィー 」を今年は諭すように抑えて歌われたとか。私はバカラック曲の歌詞をあまり意識して聴いてないところがありまして、もっと歌詞の意味を勉強しようと思いました。

アンコールは、特別ゲスト 〜 英国のベテラン・キーボーディストのデイヴ・シンクレアさんの2曲とYammy*さんのオリジナル曲「 君のもとへ 」。デイヴさんのピアノの優しい音色に感動!「 君のもとへ 」はホントにいい曲で、アンコールの締めにぴったりでした〜。

来年10年目となるYsBB、絶対聴きに行かなくちゃ!
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2018年12月16日 (日)

What The World need Now/Cat Power (2018年)

米国の女性シンガーソングライター、キャット・パワーによる「 世界は愛を求めている 」のカヴァーです。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:27)


米国の女性シンガーソングライター、キャット・パワーによる「 世界は愛を求めている 」のカヴァーです。

2018年12月3日にデジタル配信でシングル・リリースされました。これまで、2018年10月リリース『 WONDERER 』のリミテッドエディションLP盤と欧州向け特別仕様CD盤でしか聴けなかったものです。

原曲は3拍子ですが、4拍子の軽いシャッフルにアレンジ。ピアノが刻むリズムを中心に、アコーディオンと口笛とホンキートンクピアノとシンセストリングスがサポートするシンプルでどこか懐かしいサウンド。彼女の声は柔らかいけど芯があり、基本のメロディ・ラインは守りつつ適度にフェイクして歌っています。好カヴァーです。

2016年の “ Broadway for Orlando ” 以来、「 世界は愛を求めている 」をカヴァーするアーティストが以前より増えているように感じます。

ということでここからはオマケ。MP3でしか所有していない「 世界は愛を求めている 」カヴァーのうち、2016年以降のリリースで未紹介のものをいくつかピックアップしてみましょう。あくまで私個人のレコメンドですけれど。

① Trish & Friends (2016):デジタル配信のみ、シングル
女性シンガー Trish と男女バックコーラスによるカヴァー(3:36)。コンセプトは “ Broadway for Orlando ” に近いものを感じます。
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② Jana Allard (2016):デジタル配信のみ、シングル
米国の女性ジャズ・シンガーによるカヴァー(3:23)。バックはエレピ、ベース、ドラムス、シンセストリングス。エレピが渋いです。そしてJanaの抑え気味ながらもエモーショナルなヴォーカルが素晴らしいです。
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③ Missi Hale (2017):米映画『 THE BOSS BABY 』サントラより
映画のエンディングで流れたという、女性シンガーによるカヴァー(4:16)。細かいビブラートの効いた歌声が心に沁みます。そして曲後半の情感のこもった歌いっぷりに心が揺れます。映画の評判も良かったみたいだし、遅ればせながら観ようかなっと。
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④ Reigns (2017):デジタル配信のみ、シングル
ナゾの女性シンガーによるカヴァー(3:49)。バックはリズムなしのスピリチュアルな雰囲気。どこの誰だかさっぱりわかりませんが、Reignsの祈りのようなヴォーカルはバックとの一体感を感じます。
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⑤ Nā Leo (2018):アルバム『 Beautiful Day 』より
ハワイの女性ヴォーカルトリオ、ナ・レオによるカヴァー(3:12)。ウクレレのみをバックに、美しいユニゾン&ハモリを聴かせます。ウクレレによる3拍子の刻みが打ち寄せる波のようなリズム感を醸し出し、まるで浜辺でリラックスしているかのよう。
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⑥ Barbra Streisand (2018):アルバム『 Walls 』より
泣く子も黙るバーブラ・ストライザンドによるカヴァー(4:37)。歌い出しは無伴奏。ストリングスやピアノが加わりこのまましっとり行くのかと思ったら、曲の半ばで4拍子のR&B調に。マイケル・マクドナルドもバックコーラスで加わりゴージャスな感じ。さすがはバーブラ、スケールがデカい。んで、このR&B調部分のリズムや曲調がルーサー・ヴァンドロス版と瓜二つ。テンポも♩≒87 で全く一緒。ルーサーをリスペクトしたのかしらん。
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⑦ Rita Wilson (2018):デジタル配信のみ、シングル
米国の女優、リタ・ウィルソンによるカヴァー(4:13)。過去3枚のアルバムをリリースしているシンガーでもあります。アコースティック・ギター中心のシンプルなバックに芯があるけれど優しいリタの歌唱。とっても心地よいです。因みに彼女はトム・ハンクスの伴侶なんだってさ。
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⑧ Jim James (2018):デジタル配信のみ、Spotify限定シングル
米国のロック・バンド、マイ・モーニング・ジャケットのヴォーカルであるジム・ジェイムズによるカヴァー(3:04)。この12月12日にリリースされたばかり。バックはアコギと女性コーラスのみ。細かく不安定にビブラートするジムの歌声が妙に頭の中に残ります。画像の2枚目はレコーディングの模様。楽しそうだなぁ〜。
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以上、オマケで「 世界は愛を求めている 」のプチ特集でした。


【データ】
『 What The World need Now 』
Cat Power

MP3:2018年12月3日リリース
レーベル:Domino Recording
番号: -

Producer - Chan Marshall
その他詳細不明

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し(iTunesは取り扱ってます)

2018年12月 9日 (日)

LAST TRIO SESSION/Wynton Kelly (1988年)

米国のジャズ・ピアニスト、ウィントン・ケリーが自身のトリオ最後期に録音したアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全9トラック中、バカラック作品は1トラック

3. I SAY A LITTLE PRAYER (3:17)


米国のジャズ・ピアニスト、ウィントン・ケリーがポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラムス)とのトリオ最後期に残したスタジオ録音です。

録音日は1968年8月4日。そのちょうど5ヶ月後となる1969年1月4日にポール・チェンバースが33歳で急逝したため『 LAST TRIO SESSION 』に…。ウィントン・ケリー自身も1971年に39歳で早世してしまいます。ジミー・コブはご存命のようですね(2018年12月時点、89歳)。

85715 本アルバムは、最初1979年に日本のトリオ・レコードから『 ON 'POWERTREE' 』というタイトルでリリース(画像)。その後米国で1988年に『 LAST TRIO SESSION 』と改題&ジャケ変更して本家のDelmarkからリリース。所有しているアルバムは1993年にCD化されたヤツですね。ここでは以後『 LAST〜 』のタイトルで紹介してまいります。

ポップス曲を多く取り上げた本作は気軽に聴けるアルバム。ケリーのアドリヴも引き出しが多くて軽やかなのですが、どの曲もどこか一本調子なんですよねぇ。ベースやドラムスに一切ソロが移らないのもどうかなぁ。ウィントン・ケリーのアルバムは他に1枚、ケリーの代表作の一つと言われる『 KELLY BLUE 』を所有しているのですが、それと比べると本作はなぁんか義務感でプレイしてるように感じられます。

バカラック作品のT-3. 「 小さな願い 」なんて特にそう。ケリーのピアノはダラけてるし、ベースやドラムスも惰性でお付き合いしてる感じ。マシに感じるのはイントロだけかなぁ。残念です。

R336030914517422037454jpegここからはオマケです。MP3データしか所有していないバカラック作品をご紹介。

ケリーは1968年のアルバム『 Full View 』で「 ウォーク・オン・バイ 」(3:17) を取り上げています。1966年9月の録音で、トリオのメンバーはロン・マクルーア(ベース)とジミー・コブ。こちらは「 小さな願い 」よりノリが良くていい感じです。



【データ】
『 LAST TRIO SESSION 』
Wynton Kelly

LP:1988年リリース (所有CDは、1993年リイシューの米国盤)
レーベル:Delmark (US) (所有CDも同じ)
番号:DS-441 (所有CDは、DD-441)

Album Production - Robert G. Koester
Wynton Kelly - Piano
Paul Chambers - Bass
Jimmy Cobb - Drums
Supervision and Recording - Paul Serrano, P.S. Recording Studio, August 4, 1968
CD Production - Kathryn Lynch

2018年12月 2日 (日)

BY GEORGE!/George Hamilton (1965年)

米国の俳優ジョージ・ハミルトンが1965年にリリースしたアルバムです。リイシューCDのボーナス・トラックとしてバカラック作品3曲を収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDジャケットの表/裏

オリジナルLP全11トラック中にはバカラック作品無し
リイシューCDのボーナストラック(4トラック)にバカラック作品を3トラック収録

12. DON'T ENVY ME (2:26)
13. LITTLE BETTY FALLING STAR (2:38)
14. ERRAND OF MERCY (2:19)


Fullsizeoutput_694 米国の俳優ジョージ・ハミルトンがABCパラマウントから1965年にリリースした彼唯一のアルバムです。

ジョージ・ハミルトンは1939年テネシー州生まれ。MGMと契約して1952年(13歳)から映画の仕事を始めたそうです。TVシリーズ『 刑事コロンボ 』に犯人役として二度出演(1975、1991年)したのを始め、映画やTVシリーズに多数出演。ただ、ウィキペディア日本版に載ってるジョージの説明を読むとですね、俳優としての評価なんかは書いてなくてプライベートで浮名を流した女優さんの紹介ばかり。なんだかなー(笑)

─  門外漢は時として事もなげにやってのけるもの。本業が表現力豊かな俳優ともなれば尚のこと面白い‼︎  ここに稀代の色男ジョージ・ハミルトン参上、今宵はアクションの合図でマイクの前に立つ‼︎  熱唱に台本なんて要らないだろ?  誰が歌うのか、それが問題だ‼︎  テレビ番組「 フラバルー 」が背中を押した唯一のアルバムに巨匠バート・バカラックとの秘宝‼︎  世界初CD化です‼︎  ─  (帯のCD紹介より)

稀代の色男なんだっ、ナルホドね(笑)

話を音楽に戻しましょう。もともと本アルバムにバカラック作品は入ってないし制作面での関わりもありません。

ジョージは1963年と1964年にMGMからリリース2枚シングルをリリースしています。その際、プロデューサーとして楽曲の準備からその編曲、スタジオでの指揮、監督まで全てを請け負ったのがバカラックだったんですねー。本アルバムのボーナストラック4曲がそのシングル2枚の両面曲なのでございます。

1963年10月リリースのファースト・シングル(MGM K13178)は、T-12.「 DON'T ENVY ME 」とT-13.「 星影のベティ(LITTLE BETTY FALLING STAR)」のカップリング。どちらもバカラック・カヴァー曲です。

「 DON'T ENVY ME 」は、前年リリースされたジョーイ・パワーズ(Loey Powers)のシングルB面曲がオリジナル。より “ ズン・チャチャ ” を強調したリズムや “ ワウワウ ” という女性コーラスの追加など、オリジナル版にもうひと工夫加えたアレンジはバカラックらしさが垣間見えます。ジョージ版は全米チャート134位となりました。

「 星影のベティ 」はジーン・ピットニーがオリジナル(こちらを参照ください)。キーは違いますが、イントロを除けばアレンジはジーン版とほぼ同じ。こちらは可もなく不可もなくって感じです。

1964年のセカンド・シングル(MGM K13215)はT-14. 「 ERRAND OF MERCY 」とT-15. 「 DOES GOODNIGHT MEAN GOODBYE 」のカップリング。B面はバカラック曲ではありませんが、A面はバカラックの新曲なんですねー。ジョージのオリジナル以外、カヴァーは聴いたことがありません。

ハル・デイヴィッドとの共作曲である「 ERRAND OF MERCY 」は1962年10月に著作権登録されています。新曲ではあるけれど所謂ストック曲だったワケで、ジョージのための書き下ろし曲ではありません。軽快でバカラックらしい “ ズン・チャチャ ” リズムのこの曲、曲調(特にイントロ)は「 タワー・オブ・ストレングス 」に似ています。でも、ニョロニョロして音程の取りにくい「 ERRAND OF MERCY 」のメロディは、バカラックへなちょこソングベスト10に挙げてもいいくらい。歌うの難しいと思うのですが、ジョージは堂々と歌っています。ただの色男じゃなかったな、見直したぞっ!(笑)

本編のアルバムについて少しばかり。ヒット曲のカヴァーにせよオリジナル曲にせよ、俳優が歌ってみました感ありありの凡作っすね。(モテない男のひがみじゃないっすょ


【データ】
『 BY GEORGE! 』 (邦題:バイ・ジョージ!)
George Hamilton

LP:1965年11月リリース (所有CDは、2018年9月15日リイシューの日本盤、解説は中原太志氏)
レーベル:ABC-Paramount (所有CDは、オールデイズ・レコード)
番号:ABC-535 (所有CDは、ODR6567)

Produced by Bob Thiele
Directed by Keith Davis, Pete De Angelis
その他詳しいクレジットは不明

2018年11月11日 (日)

国立国会図書館での録音資料閲覧体験

国立国会図書館でバカラック物のLPレコードを聴いてきました!

 

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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左:東京本館の本館、 右:東京本館の新館

前々回の記事『 バック・トゥ・バカラック 』で触れた『 国立国会図書館での録音資料閲覧体験 』をご紹介します。

─  国立国会図書館法によって、日本国内で発行された全ての出版物(マイクロフィルム、CD、DVD、地図などを含む)を国立国会図書館に納入することが、出版者に義務付けられています。この制度(納本制度)により、国内の出版物を広く収集しています。 ─  国立国会図書館公式HPより

書籍・雑誌や新聞などが網羅的に所蔵されてることは知っていましたが、CDやDVDまで同様に収集してるとは思ってませんでした。2ヶ月前にそのこと知って聴きに行ったワケです。

国立国会図書館は3館(東京本館、関西館、国際こども図書館)ありますが、行ってきたのは東京本館。住所は永田町で、道の反対側は国会議事堂。日本の政治の中心だ〜。

東京本館には本館と新館があります。新館入口から入り、まず利用者登録を行って “ 登録利用者カード ” をゲット。手荷物をロッカーに置き筆記用具などを備え付けの透明袋に入れて入館します(鉄道の改札のような入館ゲートでカードをかざす)。
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左:フロア全体図、 右:1階フロア図

音楽資料や映像資料は、新館1階の音楽・映像資料室で閲覧することができます。
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録音・映像資料の利用には、閲覧許可申請が必要となります。備え付けの “ 閲覧許可申請書 ”(以降、申請書)を書こうとして記入サンプルを見た時に衝撃が走りました。

「 調査・研究結果を論文として発表すること。趣味での閲覧は認めません。

正確には覚えていませんが、大凡こんなことが書かれてたんです。思いっきり趣味なんですけどー 。申請書の目的欄にも(調査事項または研究主題をできるだけ詳しく記入してください)の一文が。
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左:閲覧許可申請書(A4サイズ)、 右:資料請求票(ほぼスマホサイズ)

ここまできて諦めるわけにもいかず、目的欄に「 米国の作曲家、バート・バカラックの曲を調査している。国会図書館に所蔵されている入手困難な過去のレコードを聴いてどのように編曲・演奏されているかを調べたい。」とかなんとか書きました。あと、備え付けのパソコンで聴きたいレコードを検索して “ 資料請求票 ” (以降、請求票)に1タイトルにつき1枚ずつ記入。不安な気持ちで音楽・映像資料室のカウンターに持って行きました。

あるでお:この目的では許可してもらえないでしょうか? 趣味なんですけれど…
スタッフ:この内容では難しいですねぇ…。論文として投稿・発表しないんですか?
あるでお:いいえ、そのような予定はありません
スタッフ:論文じゃなくても、ブログへ発表することはありませんか?
あるでお:バート・バカラックに関するブログは書いているのですが…
スタッフ:それなら、調査・研究結果をブログに発表すると記入くださればOKです
あるでお:具体的なブログ名を記入すればいいのでしょうか?
スタッフ:そこまでの必要はありません

「 ブログに発表する予定 」と書き添えて、申請書は無事受理されました。請求票も目的に沿った資料かどうかをチェックされ、こちらもOKに。良かった〜〜

番号札を渡され「 ボードにその番号が表示されたらカウンターに来てください 」と言われました。待つこと15分。準備ができたとのことでカウンターに行くと、LPレコードのジャケットと解説一式を手渡され、番号札と同じデスクに座りました。

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デスクには液晶パネル(スマホの液晶画面と同等サイズ)が埋め込まれ、密閉型のヘッドホンが備え付けられていました。液晶パネルでは、再生・前後曲の頭出し・ボリューム・A面⇄B面切替・レコード盤チェンジ などの操作ができるんです。なんじゃこれはっ!?

カウンター内のでっかいラックに設置されてるのは、アナログプレーヤーではなくてレーザーターンテーブル(画像)。これが計4台ラックに収まってました。レーザーターンテーブルは、針ではなくレーザー/光でレコードを再生するプレーヤー。だから前後曲の頭出しが遠隔操作できるんだー、納得。ただし、A面⇄B面切替・レコード盤チェンジについては自動ではなく、液晶パネル操作 → カウンターに通知 → スタッフが手でやっていました。ちなみにこのプレーヤー、『 タモリ倶楽部 』2018年3月17日放送の「 アナログオーディオ出張販売シリーズ①  激レア ターンテーブル大試聴会! 」に登場しました。スタンダード型で75万6千円、マスター型で172万8千円するとのこと。さすがは国立、金かけてます。

貸し出し、音源の複製は不可。付属するジャケット、解説、歌詞等の複写については即日のみ可能なのですが、原則として、著作権者または著作権管理団体の許諾書が必要とのこと。面倒臭いので複写せず解説の大事なところを手書きでノートに写しました。

申請書の目的が認められてその目的に沿った資料であれば、無料でじっくり聴くことができます。何より所蔵されているレコードの数がハンパないっすから。ちなみに、国立国会図書館オンラインで詳細検索ON→その他→録音資料を指定し、タイトルに “ バカラック ” を入力して検索すると173件がヒットします。そのうち1970年前後のバカラック作品集らしきLPをピックアップしたのが以下の18タイトル。アーティスト名は表示されないのですが、分かる範囲で追記しました。単品若しくはコンピの中に全曲がCD化されているアルバムはレコード番号の後に “ CD ” と表記。拙ブログで紹介済みのアルバムはその記事にリンクしています。

<バカラック作品集>
プレイ・バカラック/斎藤英美(LP、キング SKK-679)
ロック=イン・バカラック/ニュー・ハード+3L(LP、CBSソニー SOND-66053)
バート・バカラック・イン・マーチ/?(LP、東芝 TP-8152)
ザ・ベスト・オブ・バート・バカラック/ユニオン・オールスターズ(LP、テイチク CJP-1026)
ダイナミック・マーチ・イン・バカラック/航空自衛隊音楽隊(LP、東芝 TP-9519-Z)CD
ダイナミック・ビッグ・バンド・プレイズ・バカラック/カウント・バッファロー・ビッグ・バンド(LP、東芝 TP-9502-Z)CD
布施明がバカラックに会った時/布施明(LP、キング SKD-91)CD
バート・バカラックの魅力;エレクトーン・ファンタスティック/沖浩一トリオ(LP、CBSソニー SOND-66041)
電子オルガンによるバート・バカラックのすべて/小島秀子(LP、テイチク ULP-1014)
バック・トウ・バカラック/ロック・アカデミー弦楽四重奏団(LP、フォノグラム FX-8504)
イージー・リスニング・ジャズ★★バート・バカラックの素晴らしき世界/前田憲男とケニー・スミス・オーケストラ★スリー・シンガーズ(LP、グラモフォン MR-3093)CD
田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦/田畑貞一(LP、ビクター JRS-7054)← 図書館所蔵タイトル:Stylish drum sounds of Tabata,Vol.3
ファンタスティック・コーラス/デューク・エイセスのすべて/デューク・エイセス(LP、東芝TP-92011Z)


<バカラック作品以外も含む>
バート・バカラック&フランシス・レイ/リビエラ・ストリングス(LP、ミノルフォンYC-6018)← 図書館所蔵タイトル:Burt Bacharack&Francis Lai.;Riviera Strings
華麗なる幻想の世界~レイ、バカラック作品集/グランド・ファンタスティックス・ストリングス(LP、ビクターJRS-7055)←図書館所蔵タイトル:Fantastic strings mood.;Grand Fantastic Strings
レイ・バカラック&サイモン/コースト・シンフォニック・オーケストラ(LP、東芝 TP-7550)
レッツ・ダンス・ウィズ・バカラック&レイ/猪俣猛とサウンド・リミテッド(LPx2、キング SKM-1169〜70)
フランシス・レイ&バート・バカラック;グレイテス・ヒットベスト28/?(LPx2、テイチク CJP-1040〜1)
サウンド・クリエーター大全集 バカラック・レイ・ビートルズS&G/?(LPx2、東芝 CJP-1016〜7)
風間文彦のアコーディオンによるフランシス・レイとバート・バカラック/風間文彦(LP、テイチク SL-1350)
ムード音楽ワイド・スペシャル〈フランシス・レイ&バカラック・ベスト 20〉/?(LP、CBSソニー SOLH-25)
トム・ジョーンズ&バート・バカラックを歌う/キム・サン・ヒー(LP、キャニオンCAL-5003)← 図書館所蔵タイトル:Sang Hee Kim sings Tom Johns&Burt Bachrach


イージーリスニング物が多いですね。また、バカラック作品以外も含むヤツの8タイトルは全てフランシス・レイとセットになっています。奇しくも、フランシス・レイは数日前に訃報を聞いたばかり。ネットでは、映画音楽がチャート上位に食い込んでたあの頃フランシス・レイとバート・バカラックが双璧だったよね…的な反応が大方でしたが、そのことが実によく分かるリストだと思います。

時間があったらまた国立国会図書館に行って未聴のアルバムを聴きたいなぁ。掘り出し物があればまた拙ブログでご紹介したいと思います。

(注)橙字箇所 2019年5月3日 追記&訂正 

 

 

2018年11月 4日 (日)

Plays ポップス3大B/東京メトロポリタン・ブラス・クインテット (2014年)

ビートルズ、ビー・ジーズ、バカラックの名曲を金管五重奏で演奏したアルバムです。バカラック・カヴァーを5曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全16トラック中、バカラック作品は5トラック

12. RAINDROP KEEP FALLING ON MY HEAD (3:16)
13. WHAT'S NEW PUSSYCAT? (3:14)
14. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL) (3:21)
15. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (4:59)
16. BOND STREET (3:03)


Fullsizeoutput_44d東京メトロポリタン・ブラス・クインテットが、ポップス3大B(ビートルズ、ビー・ジーズ、バカラック)の名曲を演奏したアルバムです。

─  演奏する東京メトロポリタン・ブラス・クインテットは日本を代表する最高の金管楽器奏者5人で構成されています。普段は、みなさん東京都交響楽団でクラシック音楽を演奏しています。高度な音楽性、音色、技術すべてにおいて素晴らしいのは勿論のことポピュラー音楽に対する素敵なフィーリングを併せ持っているのが特筆に値することでしょう。僕自身この演奏を収めたテスト盤を何回も聴き惚れてしまい、この原稿を書くという仕事を忘れそうになった程です。 ─ (ライナーノーツより、すぎやまこういち氏)

金管五重奏はトランペット2人、ホルン1人、トロンボーン1人、テューバ1人によるアンサンブル。私も高校時代に演奏した経験があります(トロンボーンで)。少人数なので音を合わせやすく、軽快な曲から重厚な曲、煌びやかな曲から厳かな曲まで幅広い表現力を備えてるのが魅力です。何より吹いてて楽しかったですもん。

本作は、すぎやまこういち氏が過去に編曲したバージョンをさらにクインテットのメンバーが金管五重奏へとリアレンジして演奏した、とてもユニークなアルバムとなっております。

すぎやまこういち氏は、歌謡曲/アニメソング/ゲーム音楽/CM音楽の作曲家として有名なお方。ザ・タイガースやザ・ピーナッツへの楽曲提供、ゲーム『 ドラゴンクエスト 』の音楽の作曲などで広く知られています。本アルバムの元ネタとなるアルバムは以下の3タイトルで、勿論いずれもすぎやま氏によるアレンジです。

『 バック・イン・ザ・ビートルズ 』
『 トウキョウ・オクテット・プレイズ・ビージーズ 』
『 バック・トゥ・バカラック 』

前回記事でご紹介した『 バック・トゥ・バカラック 』も含めて、各アルバムの概要・曲目リスト・リアレンジ曲を表にまとめました。画像として置いておきますので、クリックして拡大してご覧くださいませ。
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ただし、ビートルズ・ナンバーのT-3.「 ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 」は『 バック・イン・ザ・ビートルズ 』には入ってません(再発盤を含めても)。レコーディングしたのに収録されなかったか、編曲はしたけれどレコーディングされなかったか、そのどちらかなのでしょう。

すぎやま氏はライナーノーツでポップス3大Bについてコメントしています。バカラックについてどう言及しているのでしょうか。

─  バート・バカラックはソングライターとしては、やや異色な存在ではないでしょうか。メロディだけでなくハーモニー進行からバスの動きまで構造的にガッチリした音楽を創り出した功績はポピュラー音楽の歴史に刻まれるでしょう。ダリウス・ミヨーに師事し、クラシック音楽から出発したと言う特徴がそのあたりに現れています。 ─

構造的にガッチリした音楽?? バカラックの曲について、これまで私はそんな風に捉えたことはありませんでした。ダリウス・ミヨーの音楽を聴いたら理解できるのかしらん?(笑)

バカラック・カヴァーの5曲は、元ネタのアレンジ・構成を踏襲した上で金管五重奏用にうまくリアレンジされています。T-12.「 雨にぬれても 」は途中でテンポアップしてからの8分音符の刻みが楽しいです。T-13.「 何かいいことないか子猫チャン 」は元々コミカルなこの曲を遊びゴゴロたっぷり剽軽に演奏しています。T-14.「 アー・ユー・ゼア 」は華やかでいてバロック的な香りも感じられるアレンジと演奏がGood。T-15.「 ディス・ガイ 」は、ビートルズの「 ガール 」を引用したイントロが元ネタから省かれ、その代わりと言う訳じゃないんでしょうが「 雨にぬれても 」の有名なアウトロのメロディを2箇所も挿入しています。T-16.「 ボンド・ストリート 」で見られる派手でノリの良い演奏は演奏会で盛り上がるでしょうね。コレは自分でも吹いてみたいなぁ。

残りのBについて一言ずつ。ビートルズはクラシカルな雰囲気の曲ばかりをチョイスしていて、アレンジを含めて金管五重奏との相性はバッチリ。ビー・ジーズは個人的にはイマイチでした。


【データ】
『 Plays ポップス3大B 』
東京メトロポリタン・ブラス・クインテット

CD:2014年7月23日リリース
レーベル:SUGIYAMA KOBO / キングレコード
番号:KICC 6355

プロデューサー:椙山之子(スギヤマ工房)、竹中義郎(キングレコード)
元編曲:すぎやまこういち
編曲:高橋敦(T-1,3,4,8,10,11,12,14)、小田桐寛之(T-2,5,6,7,9,13,15,16)
東京メトロポリタン・ブラス・クインテット
  高橋敦 - トランペット
  中山隆崇 - トランペット
  西條貴人 - ホルン
  小田桐寛之 - トロンボーン
  佐藤潔 - テューバ
録音日・場所:2009年2月20日、2010年2月11,12日 第一生命ホール

2018年10月28日 (日)

バック・トゥ・バカラック/ロック・アカデミー弦楽四重奏団 (1970年)

バカラックの曲を弦楽四重奏+αの編成で演奏したアルバム。1970年のリリースで、編曲はすぎやまこういち氏。素晴らしいです!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
A2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A4. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
A5. I SAY A LITTLE PRAYER
A6. REACH OUT FOR ME
B1. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B2. THE LOOK OF LOVE
B3. PROMISES, PROMISES
B4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
B5. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)
B6. BOND STREET

収録時間??


バカラックの曲を弦楽四重奏+αの編成で演奏したアルバムです。1970年8月にリリースされました。

全12曲のうち6曲はバカラック物コンピ集『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』(1998年)で聴くことができます。その出来の良さから全曲聴きたいと前から思っておりました。しかし、CD化はされてないし中古LPも見当たらず…。未だに所有するには至っていません。

ところが先日、本アルバムを国立国会図書館で聴くことができまして。まぁ、音源のダビングはもとよりジャケットやライナーの複写もNGでしたけれど…(ジャケットの画像はネットで拾いました、悪しからず)。拙ブログは “ 所有しているアルバム ” を紹介することを基本としておりますが、どうしても本アルバムを取り上げたかったので記事にまとめることと致しました。こういうケースもアリかな…と。

国立国会図書館での “ 録音資料の閲覧 ” 体験、なかなか新鮮でした。いずれ機会がありましたら拙ブログでご紹介したいと思います。 →  こちら(2018/11/11追記)

ついでに…。ジャケットを描いたのは及川正道(おいかわまさみち)氏。雑誌『 ぴあ 』の表紙を長年にわたり担当したお方です。バロック風の衣装を身にまとったバカラックが脚で鍵盤を弾いてます。肩にチョコンと乗ってるのはディオンヌでしょうか。ジャケット裏の2人はよくわかりませんが^^;。なんとも味がありますねー。

本題に戻ります。編曲を担当したのは、すぎやまこういち氏。歌謡曲/アニメソング/ゲーム音楽/CM音楽の作曲家として有名なお方です。1960年代後半は歌謡曲系の楽曲提供を主体に活動していたようで、ザ・ピーナッツ「 恋のフーガ 」(1967年)、ザ・タイガース「 花の首飾り 」(1968年)、ヴィレッジ・シンガーズ「 亜麻色の髪の乙女 」(1968年)などを生み出しました。1970年代に入ると特撮音楽やアニメ音楽の比重が高くなるのですが、本アルバムのようなイージー・リスニング系の編曲のお仕事もしていたんですねー。

演奏しているロック・アカデミー弦楽四重奏団は、“ クラシック界の一流ソリスト又コンサートマスター揃い ” とライナーに記載あるだけでどこの誰なのかさっぱりわかりません。覆面にする意味がわからん。11人いるゲスト・ミュージシャンが丁寧にクレジットされてるのとは大違いですょ。

『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』には6曲(A4,6 / B3,4,5,6)が入ってました。記事を見返しましたが、絶賛してますねーワタクシ。以下、引用します。(ただし、トラック番号は本アルバムのトラック番号に置き換えてます)

─ 『 バック・トゥ・バカラック 』 というバカラック作品集からセレクトされた6曲はどれもレコメンドです。弦楽クァルテット+αの編成で、αの部分は曲によってピアノトリオや木管楽器などがサポートで加わっているのですが、クラシックと多様なポップスをうまく融合させたアレンジがとっても独創的なんです。クァルテットのみの演奏で中間部に現代音楽っぽい変奏がみられるB5.「 アー・ユー・ゼア 」、疾走感とキレのある演奏が魅力のB6.「 ボンド・ストリート 」は現代でも全く古臭くないです。そして極めつけはB4.「 世界は愛を求めてる (愛を求めて) 」。重厚でクラシカルな前半はまぁ想定の範囲内なのですが、後半の4拍子+3拍子のアヴァンギャルドなリズムは想像を超えています。素晴らしい! ─

残る6曲(A1,2,3,5 / B1,2)も皆レコメンドです。何故かイントロにビートルズの「 ガール 」を引用したB1.「 ディス・ガイ 」はご愛嬌。白眉なのはクヮルテットのみで演奏されるA3.「 雨にぬれても 」とB2.「 恋の面影 」の2曲です。ヴィオラがウクレレっぽい奏法でメロディを奏で、中間部ではヴァイオリンとヴィオラがピチカートで雨をイメージさせる「 雨にぬれても 」はとても軽やか。一方、怪しげなイントロで始まり、ヴァイオリンとヴィオラによるメロディとチェロの分散和音とが見事に調和して、エンディングでまた怪しげに終わる「 恋の面影 」はバロックの感じが全くしない仕上がり。なんとも独創的なアレンジ! 素晴らしい!

ジャケットも含めてこんなに素晴らしい本アルバム、なんとかCDリイシューしてもらえないですかねー。

本アルバムのライナーノーツ、なかなか充実した内容でしたので一部を持参したノートに書き写しました。ちょっと長いですが折角なのでご紹介します。

◎ バカラックと曲について
:その魅力を無茶苦茶具体的に説明しています。

─  必ずや、後世に「 ポピュラー音楽の革命児 」と呼ばれるに相違ない。
(中略)
「 均衡のとれない音楽 」と云ったが、その例をこのアルバムに収められた曲から検討してみよう。先づ、従来のポピュラー歌曲の16又は32小節のフォーマットを踏んでいないこと、又、ブルース的フィーリングを取り上げても、12小節形式にとらわれないこと、曲想の表現に重点をおいていること。又、一つの曲の中で、拍子表示記号に変化をもたせていること、例えば「 プロミセス・プロミセス 」において、4分の3拍子、4分の4拍子、4分の3拍子、4分の5拍子と変化させる手法、又、「 恋よさようなら 」の旋律の最後の部分で4分の4拍子の中に4分の2拍子を一小節加える効果など 〜   これらは現代音楽でも良く見られる変拍子、又多拍子の応用であるが 〜   これらをリズミカルに処理している点、又ユニークなコード進行の面白さなどがあげられよう。曲の構成をみれば、

 A1. 恋よさようなら <50小節> イントロを除く、以下同じ

 A2. サン・ホセへの道 <20小節>

 A3. 雨にぬれても <40小節>

 A4. 何かいいことないか仔猫チャン <50小節>

 A5. 小さな祈り <70小節>

 A6. リーチ・アウト・フォー・ミー <63小節>

 B1. ジス・ガイ(ジス・ガール) <42小節>
 B2. 恋の面影 <55小節>
 
 B3. プロミセス・プロミセス <66小節>

 B4. 愛を求めて <54小節>

…と云った具合。これが、アンバランス音楽の魅力なのだ。
バカラックの生い立ち、マレーネ・ディートリヒとの友情、ハル・デビッドとの名コンビ、ディオンヌ・ワーウィックをスターにまで育て上げた苦心談、愛妻アンジィ・ディキンソン、一粒種の可愛い娘ニッキーとの平和な家庭、競馬への興味、アカデミー受賞、その他のエピソードについては、前記ニュースウィーク誌(あるでお注)を読んで頂きたい。「 万人の為の作曲家 」バート・バカラックに栄光あれ! ─


(注)1970年6月22日のニューズウィーク誌で “ THE MUSIC MAN 1970 ” と銘打ったバカラックの特集が組まれました。そのことを指しています。

◎ 本アルバムについて:本アルバムの位置付けと当時の音楽界の雰囲気がわかります。

─  さて、このアルバムは、フィリップスが新たに企画した、フィリップス・ニュー・ミュージック・シリーズの第4作にあたり、演奏も、さきに『 バック・イン・ザ・ビートルズ 』で好評を博した、ロック・アカデミー弦楽四重奏団を中心とし、これに木管、ホルン、ピアノ、リズム・セクションが適宜に加えられている。弦楽奏者はクラシック界の一流ソリスト又コンサートマスター揃い、編曲は、目下売出し中の人気作曲家、すぎやまこういち氏が担当しているのも興味深い。
最近、外国ではニュー・ロック・グループと交響楽団の協演も盛んに行われているように、クラシック音楽とポピュラー・ミュージックの関係は益々緊密度を加え、土台、両者を区別して扱うこと自体、不合理なのだから、クラシック・ファンに、バカラック・サウンドの面白さを、又、ポップス・ファンに、弦楽四重奏の楽しさを味わってもらうに、絶好の、洒落たイージー・リスニング・アルバムとして、ひろく海外にもプロモートして頂きたいものである。 [ 藤井 肇 ]  ─



【データ】
『 バック・トゥ・バカラック 』 (Back To Bacharach)
ロック・アカデミー弦楽四重奏団 (Rock Academy String Quartet)

LP:1970年8月リリース
レーベル:フィリップス / 発売元:日本フォノグラム
番号:FX 8504(¥1,900)

Producer:Masaharu Honjo
編曲:すぎやま こういち
ロック・アカデミー弦楽四重奏団
(この4人の名前はクレジットなし)
ピアノ、チェンバロ、オルガン:大原 繁仁(A1,2,4,5,6 / B1,3,4,6)
ドラムス:猪俣 猛(A1,2,4 / B1,3,6)
ベース:江藤 勲(A2,4 / B6)
    小泉 僖美雄(A1 / B1,3)
ギター:野中 宗光(A1,2,4 / B1,3,6)
ラテン・パーカッション:川原 正美(A2 / B6)
フルート:衛藤 幸雄(A1,6 / B1,3)
     旭 孝(B1,3)
コーラングレ:吉水 洋(A4)
コントラ・ファゴット:桐生 吉秀(A4)
ホルン:山口 弘治(A1,6)

Recording Date:May 26th, June 9th,10th 1970
Engineer:Norio Yoshizawa
Cover Design:Masamichi Oikawa

※ Amazon での取り扱いは無し

2018年10月21日 (日)

LOOK NOW/Elvis Costello & The Imposters (2018年)

エルヴィス・コステロが10年振りにザ・インポスターズと組んだ、2018年10月リリースのロック・アルバム。バカラックと共作した新曲を3曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全16トラック中、バカラック作品は3トラック
尚、T-13〜16.は海外では2枚組デラックス・エディションのディスク2に収録されていた曲で、日本盤ではボーナス・トラックとして1CDに収録。

2. DON'T LOOK NOW (2:28)
8. PHOTOGRAPHS CAN LIE (3:38)
12. HE'S GIVEN ME THINGS (4:11)


Fullsizeoutput_5e8 エルヴィス・コステロが10年振りにザ・インポスターズと組んだ、2018年10月12日リリースのロック・アルバムです。リリースから1週間余り。ネット上では絶賛されていますね。

─  まず何と言っても収録曲が多彩だ。前々から再共作が噂されていた巨星バート・バカラックとの新曲もあれば、ライヴでは披露されていたキャロル・キングとの幻のナンバー、純粋な新曲たち、そして存在は知られていても正式なレコーディングがなされてこなかった曲など、どれも曰く因縁があり、コステロ自身の気合が伝わるアルバムになっている。 ─  (大鷹俊一氏、ラーナーノーツより)

バカラックとの共作アルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』から20年。その間、バカラックとコステロは共作曲を生み出していました。バカラックとの共作&本アルバムについて、コステロがインタビューで詳しく語ってくれてます(BARKS、インタビュアーは大鷹俊一氏!)。

【インタビュー】エルヴィス・コステロが戻ってきた

『 PAINTED FROM MEMORY 』をもとにしたミュージカル用と、それとは別のミュージカル用に、合わせて25曲以上も共作していたとは!! そして、本アルバムに収めたのは前者のうちの3曲だとも!!

でも実はわたくし、数年前に以下リンク先のブログを拝見して前者が少なくとも10曲あることを知っておりました。

Connor Ratliff さんのブログ(2014年2月3日付け記事)

コステロとバカラックは、『 PAINTED FROM MEMORY 』をもとにしたミュージカル用に共作した10曲をASCAPに登録した…という内容です。曲名リストの1,3,7曲めが本アルバム収録曲と一致します。これでウラが取れました

それにしても、別のミュージカルというのがオースティン・パワーズだなんて!? ちょっと笑っちゃいますねー。

コステロとバカラックが共作した3曲のうち、装飾音が特徴的なバカラック本人のピアノも含めて最もバカラックの香りを感じるのはT-8.「 フォトグラフズ・キャン・ライ 」。ミディアム・テンポのこの曲、変則的な小節数とひねりの効いたコード進行はまさしくバカラック。コステロの泣き節をうまく引き出すサビのメロディにはバカラックとコステロの相性の良さを強く感じます。

2分半しかないスロー・バラードのT-2.「 ドント・ルック・ナウ 」は変拍子こそあるもののシンプルな美しい曲。アウトロがないところも含めて、映像作品の挿入歌みたいな雰囲気ですね。

これら2曲が Music - B. bacharach とクレジットされているのに対し、ミディアム・テンポの3拍子曲T-12.「 ヒーズ・ギヴン・ミー・シングス 」は Music - E. Costello & B. Bacharach 。バカラック風味が薄いなぁと思ったら、別のインタビュー記事(ローリングストーン誌)でコステロはこの曲にバカラックからアドバイスしてもらうことができた…と語ってました。基本はコステロ作曲なんだと思います。

どの楽曲・演奏もクォリティ高いですが、バカラックとの共作曲以外では力強いロック・ナンバーのT-1.「 アンダー・ライム 」が出色です。また、T-5.「 アンウォンテッド・ナンバー 」は映画『 GRACE OF MY HEART 』の挿入歌として提供した曲のセルフ・カヴァー。サントラ日本盤では「 悲しきラヴ・チャイルド 」という邦題がつけられていました。

本アルバム、普段ロックを聴かない私が繰り返しリピートしても聴き飽きることがありません。ジャンルなど関係なく、ただただいい音楽がここにあります。


【データ】
『 LOOK NOW 』
Elvis Costello & The Imposters

CD:2018年10月12日リリース (所有CDは、同日リリースの日本盤)
レーベル:Concord Records (所有CDは、ユニバーサル ミュージック)
番号:CRE00750 / CRE00791 (所有CDは、UCCO-1197)

Produced by Sebastian Krys & Elvis Costello
T-2.「 DON'T LOOK NOW 」
  Music - Burt Bacharach, Words - Elvis Costello
  Burt Bacharach - Piano
  Elvis Costello - Vocal & Electric Guitar
  Steve Nieve - Unichord
  Davey Faragher - Bass
  Pete Thomas - Drums
T-8. 「 PHOTOGRAPHS CAN LIE 」
  Music - Burt Bacharach, Words - Elvis Costello
  Burt Bacharach - Piano
  Elvis Costello - Vocal & Electric Guitar
  Steve Nieve - Electric Keyboard
  Davey Faragher - Bass
  Pete Thomas - Drums
  Sebastian Krys - Percussion
T-12.「 HE'S GIVEN ME THINGS 」
  Music - Elvis Costello & Burt Bacharach, Words - Elvis Costello
  Elvis Costello - Vocal, Electric Guitar & Celesta
  Steve Nieve - Wurlitzer Electric Piano, Grand Piano & Electric Keyboard
  Davey Faragher - Bass
  Pete Thomas - Drums
  Strings Orchestra Written & Conducted by Elvis Costello
  Violins (5), Viola (3), Violincello (1)

2018年10月14日 (日)

the lovers, the dreamers and me/Jane Monheit (2009年)

米国の女性ジャズ・シンガー、ジェーン・モンハイトが2009年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

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全13トラック中、バカラック作品は1トラック

4. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU (4:56)


米国の女性ジャズ・シンガー、ジェーン・モンハイトが2009年にリリースしたアルバムです。

彼女は1977年ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。2000年に最初のアルバムをリリース。本作は通算9作目(ベストアルバム含む)のアルバムになるそうです。

声質はブライトで音域的には真ん中からやや低めのゾーン。声量は抑えめで余裕を持って歌っています。バックはピアノトリオ+アコギのクァルテット編成がベース。曲により弦、木管、ヴィブラフォンなどが加わります(中にはアコギだけ、ピアノだけといった曲もありますが)。

スローバラード〜ミディアムテンポの曲ばかり。アルバム全体のトーンが見事に統一されていて、ソフトで温かみがあります。T-6.「 GET OUT OF TOWN 」はちょっとハードですが、個人的にはもう少しトーンを変えたアレンジの曲があってもいいかな…と思います。まぁこの辺りは好みの範疇でしょうけれど。

バカラック作品のT -4.「 ディス・ガール 」は、基本のクァルテットに加えてヴィブラフォンや弦も加わりソフトで実に温かみある仕上がり。アコギのオブリガートや間奏でのフレーズがまったり感を一層引き立てています。ジェーン・モンハイトはそんな雰囲気に乗っかって気持ちよく歌ってます。

秋の夜長、BGMとして聴くには持ってこいのアルバムかと(ちょっと眠たくなりますが)。

なお、「ディス・ガール」はUS盤のボーナス・トラックでして、日本盤には収録されておりません。お気をつけくださいませ。


【データ】
『 the lovers, the dreamers and me 』
Jane Monheit

CD:2009年1月20日リリース
レーベル:CONCORD (US)
番号:CRE-31197-02

Produced by Matt Pierson
Executive Producer:Joe McEwen
T-4.「 THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU 」
  Peter Bernstein - guitar
  Stefon Hams - Vibes
  Gil Goldstein - piano
  Scott Colley - bass
  Antonio Sanchez - drums
  Bashiri Johnson - percussion
  Arranged by Gil Goldstein

2018年10月 7日 (日)

LIVE TO SEE ANOTHER DAY/Burt Bacharach & Rudy Pérez (2018年)

バカラック爺がルディ・ペレスと共作して2018年9月にリリースしたシングル。子供達を銃から守るためのチャリティソングです。(CD無し/デジタル配信のみ)

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1. LIVE TO SEE ANOTHER DAY (3:57)


バート・バカラックがルディ・ペレスと共作して2018年9月に配信のみでリリースしたシングルです。

41961978_10155996878558897_484904_2Billboardの記事他から、ざっくりと要旨を…。

─  バカラックとペレスは互いの友人の紹介により知り合い、一緒に3曲作った。この曲はそのうちの1曲。ペレスが、銃による学校での事件を懸念してそれをテーマに曲を書かないかとバカラックに話を持ちかけたのがきっかけ。 ─

─  ペレスはマイアミ交響楽団の音楽監督エドゥアルド・マルトゥレのサポートを受けた。歌手にはアリアナ・グランデやスティーヴィー・ワンダーなどのビッグネームも候補に挙がったが、実現には時間がかかるためそれよりもMVを完成させることに集中した。今年3月にマイアミ・デザイン・センターで、十代の歌手 ハーヴェン・スターとアンジェリーナ・グリーンのヴォーカルにより披露された。 ─

写真は左から、ペレス、スター、マルトゥレ、グリーン。

─  「 LIVE TO SEE ANOTHER DAY 」は現在主要な音楽プラットフォームで利用可能。売上は全てコネチカット州にある " Sandy Hook Promise " の支援に充てられる。この非営利団体の使命は、銃による暴力の被害者 子どもを保護し、無意味で悲劇的な人生の損失を防ぐプログラムと実践を提供すること。バカラックとペレスは、政治と銃にではなく歌と子供達に焦点を当てて資金を集める努力をしたいと語った。 ─

曲はしっとりとしたバラード。変拍子はないものの、最初のAメロが10小節だったり2コーラス目のサビの後に3小節のつなぎパートがあったりと、小節数が普通じゃないのはバカラックらしいところ。バカラックはアレンジにもクレジットされていますが、あまりバカラックの香りはしません。

2人の女性(少女と言ってもいいでしょう)が交替で歌い最後に少しだけハモります。2人ともマイアミ在住の14歳ということですが、そのヴォーカルは素晴らしい! 動画をリンクしておきます。2本あるMVは、LIVE RECORDING の方がオススメです。後の2本はバカラックとペレスそれぞれのコメントです。
LIVE TO SEE ANOTHER DAY
LIVE TO SEE ANOTHER DAY (LIVE RECORDING)
Burt Bacharach Promo
Rudy Pérez Promo

以下、共作者およびヴォーカリストを簡単に紹介します。それぞれ最初の画像はFacebookのプロフィール写真でございます。
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Rudy Pérez(ルディ・ペレス)
1958年キューバ生まれのアメリカのミュージシャン、作曲家、プロデューサー。70以上のアルバムをプロデュースしており、1,000曲を超える曲を作っている(300曲以上がトップ10)。

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Haven Star(ハーヴェン・スター)
マイアミ在住。2018年現在14歳。Facebookによれば地元マイアミのクラブで歌っている模様。

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Angelina Green(アンジェリーナ・グリーン)
マイアミ在住。2018年現在14歳。America's Got Talent シーズン12(2017年)のクォーターファイナリスト。


【データ】
「 LIVE TO SEE ANOTHER DAY 」
Burt Bacharach & Rudy Pérez

MP3:2018年9月17日リリース
レーベル:Rudy Pérez Entertainment
番号:-

Produced by Burt Bacharach & Rudy Pérez
Arranged by Burt Bacharach, Rudy Pérez & Jorge Calandrelli
Vocal:Haven Star, Angelina Green
Recorded live with the Miami Symphony Orchestra and Maestro Eduardo Marturet

2018年9月30日 (日)

AT LAST/Cyndi Lauper (2003年)

シンディ・ローパーが2003年にリリースした7枚目のスタジオ・アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全13トラック中、バカラック作品は1トラック

2. WALK ON BY (4:34)


今年は週一回、毎週日曜日の更新を目標に頑張ってきました。しかし、不覚にも先週穴を開けてしまいました。来年また目標達成に向け頑張ります!

さて、今週は米女性シンガーのシンディ・ローパーが2003年にリリースした7枚目のスタジオ・アルバム。これって、彼女初となる全曲カヴァーのアルバムなんですね。

─  このCDに入ってる曲たちを聴いて私は育ったの。私に夢と希望を与えてくれたテラスハウスの全ての人々にこのCDを捧げるわ。 ─
(CDライナーより、私の超意訳で)

彼女はNYのクイーンズで生まれ育ちました。住んでいたテラスハウス(いわゆる長屋)はドイツ人、イタリア人、ロシア人、アフリカンアメリカンなどが暮らす人種の坩堝。彼女は様々な音楽を聴いて育ったそうです。

このアルバムで彼女はT-4. 「 バラ色の人生 」、T-5. 「 アンチェインド・メロディ 」、アレサ・フランクリンのT-7. 「 待ちこがれて 」、T-10. 「 悲しき願い 」、T-12.「 愛の讃歌 」など様々なジャンルのスタンダード、名曲をカヴァーしています。表現の幅が広がった彼女の歌声にまずびっくりしました。ファースト・アルバム(1983年)を出した頃のはっちゃけたイメージが強かったものですから

アップテンポの曲や陽気なラテンアレンジの曲もありますが、多くはスローでアコースティックなジャズ・テイスト。大人な世界でなんとも渋い!

んで、バカラック・カヴァーはT-2. 「 ウォーク・オン・バイ 」。北欧を思わせる冷んやりした空気感のスロー・バラード風アレンジ。テンポは♩≒65〜70あたりで揺らいでます。バックはピアノとベースがメインで、ドラムス、シンセ、フルートが控えめにサポート。歌い出しのなんとまぁ繊細なこと。こんなに優しく歌われる「 ウォーク・オン・バイ 」も珍しい。後半はエモーショナルになりますが、イントロと同じ静謐な空気に包まれて終わります。いいですねー。

「 ウォーク・オン・バイ 」以外の私的レコメンドは、ちょっとファンキーなT-7. 「 待ちこがれて 」、静かなバラードに生まれ変わったスモーキー・ロビンソン&ミラクルズのT-11. 「 リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー 」あたり。でも、捨て曲なしですよ、このアルバムは。

地味だけど、シンディー・ローパーの思い入れがしっかり感じられる好カヴァー・アルバムでした。

ここからはオマケ情報。実はシンディー・ローパーはもう一曲バカラックをカヴァーしています。2006年にディオンヌのアルバム『 MY FRIENDS & ME 』に参加して「 マイケルへのメッセージ 」をデュエット。ま、ゲストとしてなんで “ 半分、カヴァー ” ですけど。


【データ】
『 AT LAST 』
Cyndi Lauper

CD:2003年11月18日リリース
レーベル:Epic/Daylight (US)
番号:EK 90760

Produced by Russ Titelman & Cyndi Lauper
Piano & Vocal Arrangements:Cyndi Lauper and Steve Gaboury except T-4,12.:Cyndi Lauper, Steve Gaboury and Russ Titelman
T-2. 「 WALK ON BY 」
  Guitar:Kat Dyson
  Piano & Keyboards:Steve Gaboury
  Bass:Ben Street
  Drums:Sammy Merendino
  Flutes:Aaron Heick
  Flute Arrangement:Steve Gaboury

2018年9月16日 (日)

The Carnival/The Carnival (1969年)

米国のヴォーカル・グループ、カーニヴァルが残した唯一のアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は2トラック

7. WALK ON BY (2:27)
10. REACH OUT FOR ME (2:40)


米国西海岸の男女混成4人組ヴォーカル・グループ、カーニヴァルが1969年にリリースした唯一のアルバムです。

Img097メンバーは男女2人ずつ。ジャケット写真の後ろがベーシストのトミー・ニール、センターがパーカッショニストのホセ・リアレス。左の女性がテリー・フィッシャーで、右で腕を腰に当ててるのがジャニス・ハンセン。このうち、ホセとジャニスは元セルジオ・メンデス&ブラジル'66のメンバーでございます。

プロデュースは、フィフス・ディメンションやアソシエーションのプロデュースで知られるボーンズ・ハウ。バック・ミュージシャンはウエスト・コーストの一流どころと若手の混成メンバーだそうで、クレジットにはドラムスのハル・ブレインやエレピを弾いているピート・ジョリーなど、私でも知ってる名前が載ってます。

サンバのリズムでメロディなしのT-1.とがっつりボサノヴァなT-2.はブラジル色が前面に出ているものの、3曲目以降は基本ポップでAメロやBメロだけうっすらボサノヴァ風味があるかなぁという程度。アレンジも洗練されていて、全体的な音楽性はフィフス・ディメンションのテイストにブラジルのスパイスをまぶしたものと言えます。ヴォーカルは女性2人のユニゾンが主体で、その辺りはセルメン&ブラジル'66っぽいですが。

オリジナルはT-1.だけであとは全てカヴァー曲。そのうち2曲がバカラック・カヴァーです。T-7.「 ウォーク・オン・バイ 」はポップな仕上がり。間奏でのファンキーなオルガンがいいですねー。T-10.「 リーチ・アウト・フォー・ユー 」は原曲の持ち味に近いアレンジですが、ボサノヴァっぽいリズムが涼しげです。ただ、バカラック・カヴァーのこの2曲、アルバムの中では少々地味かと…。

レコメンドは、4人のハーモニーが美しく疾走感のあるT-6.「 HOPE」、テンポに緩急をつけたアレンジがいかにもソフト・ロックなT-11.「 LOVE SO FINE 」、これまた疾走感あるアレンジが心地よいT-12.「 THE WORD 」の3曲でしょうか。サウンドにしつこさが無いので、アルバム・リピートで何回も聴けるアルバムだと思います。


【データ】
『 The Carnival 』(邦題:カーニヴァル)
The Carnival

LP:1969年リリース (所有CDは、2000年3月15日リイシューの日本盤、ライナーは関美彦氏)
レーベル:World Pacific (US) (所有CDは、Vivid Sound)
番号:WPS-21894 (所有CDは、VSCD-582)

Production and Sound by Bones Howe for Mr.Bones Productions
Arranged by The Carnival with Bob Alcivar, Bill Holman, Bones Howe (and John Andrews Tartaglia on "Walk On By" and "Reach Out For Me")
The Carnival
  Tommy Neal - vocal, bass
  Jose Soares - vocal, percussion
  Terry Fischer - vocal
  Janis Hansen - vocal
Musicians
  drums:Hal Blaine, Ron Pelletier, John Guerin
  bass:Joe Osborne, Steve LaFever
  guitar:Tom Tedesco, Dennis Budimir, Mike Deasy
  piano:Jimmy Rowles, Larry Knechtel
  electric piano:Larry Knechtel, Pete Jolly
  organ:Danny Kurtzman, Larry Knechtel
  percussion:Larry Bunker

2018年9月 9日 (日)

ALFIE/Bobby Caldwell (1981年)

ボビー・コールドウェルが1981年にリリースしたシングルです。ディスコ・アレンジの「 アルフィー 」にびっくり!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A. ALFIE (3:00)
B. TAKE ME BACK TO THEN (3:30)


米国男性シンガーのボビー・コールドウェルは、1951年マンハッタンの生まれのマイアミ育ち。1978年、最初のアルバム『 Bobby Caldwell(イブニング・スキャンダル)』から「 WHAT YOU WON'T DO FOR LOVE(風のシルエット)」が大ヒット。このアルバムや1980年リリースのセカンド・アルバム『 Cat In The Hat(ロマンティック・キャット)』は私もLPをレンタルしてよく聴きました。因みに、彼は日本ではAORですが米国他ではR&BやSmooth Jazzに括られているようです。サウンド的には確かにそうですね。

1981年に所属するT.K. recordsが倒産。その後Polydorと契約して1982年にサード・アルバムをリリースするのですが、倒産する前にT.K. 傘下のMarlinからリリースしたシングルがこのバカラック・カヴァーの「 アルフィー 」でした。

ごく最近このドーナツ盤を入手したのですが、針を落として耳に飛び込んできたのはディスコのリズム。♩≒124のミディアム・テンポでブラスとストリングスが安直なリフを聴かせる70年代ディスコっぽいイントロは、セカンド・アルバムまでのアーバンで大人なサウンドとは明らかに別物。何かの間違いなんじゃなかろうか? …でも、8小節のイントロのあと聴こえてきたのは確かにボビー・コールドウェルの歌声。オー・マイ・ガッ!

メロディは原曲の1小節を2小節にストレッチ。ボビー・コールドウェルは頑張って随所にフェイクを入れて歌っています。バックの女性コーラスもばっちりソウル。なんとかR&B/Soulなフィーリングを出そうとしたのかもしれませんが…。「 アルフィー 」のR&Bやソウル・カヴァーはたくさんあれど、ここまでノリの軽い「 アルフィー 」は聴いた事がありません。

それまでの2枚のアルバムで全て自作曲を歌い2枚目ではプロデュースも手がけた彼が他人の曲をカヴァーしてプロデュースもしていない…ということは、レコード会社から無理やり押し付けられた企画だったのでしょう。(因みに、B面曲は1枚目のアルバム収録曲。紛うかたない彼のサウンドです。)

私の知る限り、数多あるバカラック物コンピ集には収録されていないようです。珍カヴァーには違いないんですけどねー。YouTube にはアップされていますので、興味ある方はどうぞ。

R854908514638426197877jpegここからはオマケです。MP3でしか持っていないバカラック・カヴァーをご紹介。

ボビー・コールドウェルは1995年にリリースした8枚目のアルバム『 Soul Survivor(ソウル・サヴァイヴァー)』で「 ウォーク・オン・バイ 」(4:08) をカヴァー。収録曲は半分以上がカヴァーというこのアルバムの冒頭を飾っています。スムース・ジャズのテイストでカッコよくスタイリッシュなカヴァーなんですが、印象にはあまり残りません。それまでのボビー・コールドウェルとのギャップが大きい「 アルフィー 」の方がインパクトありますもん(笑)。


【データ】
「 ALFIE 」
Bobby Caldwell

7" Single:1981年リリース
レーベル:Marlin (US) (T.K. Productions のサブ・レーベル)
番号:MARX-3349

Produced by Clarence Reid, Freddy Stonewall

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2018年9月 2日 (日)

BURT BACHARACH & HAL DAVID the songbook collection/V.A. (2004年)

EMIの音源からコンパイルされた欧州編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. WIVES AND LOVERS  〜 Julie London 〜  F
2. ALFIE  〜 Cilla Black 〜  F
3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Matt Monro 〜  M
4. WALK ON BY  〜 Helen Shapiro 〜  F
5. TRAINS AND BOATS AND PLANES  〜 Billy J. Kramer and The Dakotas 〜  M
6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Jackie DeShannon 〜  F
7. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Bobbie Gentry 〜  F
8. THE LOOK OF LOVE  〜 Shirley Bassey 〜  F
9. THE STORY OF MY LIFE  〜 Michael Holiday 〜  M
10. MAGIC MOMENTS  〜 Ronnie Hilton 〜  M
11. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Des O'Connor 〜  M
12. REACH OUT FOR ME  〜 Nancy Wilson 〜  F
13. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Lulu 〜  F
14. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  〜 Irma Thomas 〜  F
15. 24 HOURS FROM TULSA  〜 Vince Hill 〜  M
16. ME, JAPANESE BOY I LOVE YOU  〜 Bobby Goldsboro 〜  M
17. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 The Johnny Mann Singers 〜  FM
18. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Vikki Carr 〜  F
19. MESSAGE TO MARTHA  〜 Adam Faith 〜  M
20. THAT'S THE WAY I'LL COME TO YOU  〜 Bobby Vee 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約57分


EMIの音源からコンパイルされた欧州編集(おそらく英国編集)のバカラック物コンピ集です。2004年リリース。
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同じくEMI系のコンピ集としては日本編集の『 ~Alfie~ バート・バカラック・ラヴ・ソングブック 』が1997年にリリースされてます。そのコンピ集との重複は、シラ・ブラックのT-2.「 アルフィー 」、ジャッキー・デシャノンのT-6.「 世界は愛を求めてる 」などド定番の4曲だけ。英国のアーティストが半数を超えており、CD後半には他のバカラック物コンピ集では見かけない超レア物が6トラックも収められています。

それら超レア物の中では、ルルのT-13.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」がレコメンド。アイドルとして1964年に15歳でデビューしたルルは、この曲をレコーディングした1969年にはユーロビジョンで優勝。もうアイドルじゃないわよ…てな感じの堂々たる歌いっぷりもGoodですが、ポイントはアレンジです。バカラックが1967年のアルバム『 REACH OUT 』でセルフ・カヴァーしたバージョンをベースにしてるんですね。単なるコピーではなく、特に前半部分の繊細で柔らかいオーケストレーションは素晴らしいと思います。それともう1曲、男女コーラスのハーモニーが美しいジョニー・マン・シンガーズのT-17.「 サン・ホセへの道 」もレコメンド。この手のイージー・リスニング系コーラス物にはハイッ一丁上がり的なチープな物が多いのですが、これはそれらとは一線を画す出来。バックの演奏はまぁ平凡ですが、フルートのオブリガートなどキラッと光る部分もあります。

超レア物以外では、シャーリー・バッシーのT-8.「 恋のおもかげ 」、ナンシー・ウィルソンのT-12.「 リーチ・アウト 」などの好カヴァーもレコメンド。ヘナチョコなメロディの超レア曲T-20.「 ザッツ・ザ・ウェイ・アイル・カム・トゥ・ユー 」が聴けるのも嬉しいです。

どうにもサエないジャケットのデザインはまぁアレとして、意外とマニアックなコンピ集だと思います。


【データ】
『 BURT BACHARACH & HAL DAVID the songbook collection
V.A.

CD:2004年5月17日リリース
レーベル:EMI gold / EMI Records (EU)
番号:7243 5 77320 2 4

Concept and compilation by Kelly Gateson
(P) 2004 The copyright in this compilation is owned by EMI Records Ltd.
©️ 2004 EMI Records Ltd.

2018年8月26日 (日)

CLOSE TO YOU/Jonathan Butler (2018年)

南アの男性シンガー&ギタリスト、ジョナサン・バトラーのバカラック・カヴァー集です!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
4. ALFIE
5. I SAY A LITTLE PRAYER
6. WALK ON BY
7. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
8. THE LOOK OF LOVE
9. CAPE TOWN
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
11. A HOUSE IS NOT A HOME

収録時間約44分


南アの男性シンガー&ギタリスト、ジョナサン・バトラーのバカラック・カヴァー集です!

ジョナサン・バトラーは1961年生まれ。アパルトヘイト下にあった南アフリカのケープタウンで育ちました。7歳で歌い始め、1973年に最初のアルバムを発表。翌年には12歳で南アフリカ・ベスト・ニュー・アーティスト・グラミー賞を受賞しています。

R418304715213184577420jpeg そして1975年、13歳の時にリリースした最初のシングル「 PLEASE STAY(プリーズ・ステイ)」(3:40) が南アチャートで2位となりました。この曲はドリフターズのカヴァーで、もちろんバカラック作品。バトラーとバカラックは縁があったんですねー。
バトラーのこの「 プリーズ・ステイ 」はMP3データで所有しています。アレンジは実にオーソドックスで特記するようなことはないのですが、14歳のバトラーはまだ子供の声。ジャクソン5時代のマイケル・ジャクソンに近いと言ったらいいでしょうか。カワイイ感じです。

バトラーはそれから約10年後に英国に渡ってメジャー・デビュー。R&B/ソウル、ゴスペル、スムース・ジャズと言った領域で活躍しておられます。

─  このレコードは、婚約者のナディラ・キンバリーからインスパイアされたものなんだ。ある晩、自宅でバカラックのアメイジングな「 CLOSE TO YOU(遥かなる影)」を聴いていて、2人で一緒に演奏し歌ったんだ。このことが僕にこのアメイジングな音楽をやるっていう扉を開いてくれた。1975年、最初のシングルを出したのは13歳の時だったんだけど、それは「 プリーズ・ステイ 」って曲で他でもないバカラックの曲さ。繋がって1つの輪になったって感じかな。 ─  (CDライナーより、私の超意訳で)

全11曲中、自作曲(T-9.)を除いた10曲は全てバカラック&デヴィッドのカヴァー定番曲ばかり。「 プリーズ・ステイ 」をリメイクしてたら面白かったのになぁ。T-1.「 サン・ホセへの道 」とT-5.「 小さな願い 」のみインスト曲で、他ではバトラーの渋い歌声が聴けます。ギター、ベース、シンセ・ベース、ドラム・プログラミングはバトラー自身が担当。トランペット、サックス、ドラムスなどが加わり、婚約者もバイオリンやストリングスで参加しています。

全体的な雰囲気はウォームでスタイリッシュなブラコン。バトラーはスムース・ソウルって紹介されてる例が多いようですが、私のようなおじさんにはピンとこないんですよね。コンテンポラリーなR&B系の凝ったリズムアレンジがとにかくカッコイイです。特に、原曲の4/4拍子を6/8拍子にしたT-4.「 アルフィー 」や原曲の1小節分を2小節分に引き伸ばしたT-10.「 世界は愛を求めてる 」は見事にR&B曲に変身していて感心しました。

アルバムのラスト、T-11.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」だけはR&B色を消してギターとダブル・ベースをバックにしっとり歌うアコースティック・バージョン。実はこの曲がアルバムで一番のレコメンドだったりします。なんかホッとするんですよね。

R&B系のバカラック・カヴァー集は少ないですから、貴重な存在かと。


【データ】
『 CLOSE TO YOU 』
Jonathan Butler

CD:2018年8月24日リリース
レーベル:Artistry Music (US)
番号:ART7058

Producer:Jonathan Butler
Executive Producers:Gretchen Valade & Denny Stilwell
Jonathan Butler:guitars, bass, percussion, synth bass, drum programming, background vocals, vocal arrangement
Donald Hayes:saxophones, flutes, horn and string arrangement, additional programming
Ramon Islas:drums, percussion
Cameron Johnson:trumpet
Nadira Kimberly:violin, strings
Jodie Butler:background vocals (T-2,4,6,8.)
Antonio Sol:background vocals, co-vocal arrangement (T-2,3,4,6,7,8,10.)
Dan Lutz:upright bass (T-11.)

Recorded at JB Lab Studio - Calabasas, CA and Ocean Studios - Burbank, CA
(P)©️ 2018 Mack Avenue Records ll, LLC. Marketed and distributed worldwide by Artistry Music.

2018年8月19日 (日)

The Rare Bacharach 1/V.A. (2003年)

レアな曲・レアなバージョンを53曲集めたオーストラリア編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Disc1
1. I CRY MORE  〜 Alan Dale 〜
  M
2. SITTIN' IN THE TREE HOUSE  〜 Marty Robbins 〜
  M

3. LOVE IN A GOLDFISH BOWL  〜 Tommy Sands 〜
  M

4. FROM ROCKING HORSE TO ROCKING CHAIR  〜 Pail Anka 〜
  M

5. BE TRUE TO YOURSELF  〜 Bobby Vee 〜
  M

6. THAT'S THE WAY I'LL COME TO YOU  〜 Bobby Vee 〜
  M

7. WHO'S BEEN SLEEPING IN MY BED  〜 Linda Scott 〜  F
8. TRY TO SEE IT MY WAY  〜 Peggy March 〜  F
9. FORGIVE ME  〜 Noeleen Batley 〜  F
10. WARM & TENDER  〜 Johnny Mathis 〜
  M
11. YOU'RE FOLLOWING ME  〜 Perry Como 〜
  M
12. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  〜 Richard Chamberlain 〜
  M
13. FOREVER YOURS I REMAIN  〜 Bobby Vinton 〜
  M
14. WANTING THINGS  〜 Connie Francis 〜  F
15. THE LOVE OF A BOY  〜 Julie Rogers 〜  F
16. ANONYMOUS PHONE CALL  〜 Frank Ifield 〜  M
17. A GIRL LIKE YOU  〜 Adam Faith 〜  M
18. COUNTRY MUSIC HOLIDAY  〜 Adam Faith 〜  M
19. I WAKE UP CRYING  〜 Cliff Richard 〜  M
20. (IT'S) WONDERFUL TO BE YOUNG  〜 Cliff Richard 〜  M
21. THE ANSWER TO EVERYTHING  〜 Del Shannon 〜  M
22. FOOL KILLER  〜 Gene Pitney 〜  M
23. LITTLE BETTY FALLING STAR  〜 Gene Pitney 〜  M
24. THERE GOES THE FORGOTTEN MAN  〜 Gene McDaniels 〜  M
25. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  〜 Jimmy Radcliffe 〜  M
26. IT'S LOVE THAT REALLY COUNTS (IN THE LONG RUN)  〜 The Exciters 〜  F
27. LONG DAY, SHORT NIGHT  〜 The Shirelles 〜  F
28. SINNER'S DEVOTION  〜 Tammi Terrell 〜  F
29. I CRY ALONE  〜 Maxine Brown 〜  F
30. WAITING FOR CHARLIE (TO COME HOME)  〜 Etta James 〜  F

Disc2
1. LOOK IN MY EYES, MARIA  〜 Jay and the Americans 〜  M
2. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)  〜 The Buckinghams 〜  M
3. ANOTHER TEAR FALLS  〜 The Walker Brothers 〜  M
4. THE BREAKING POINT  〜 Normie Rowe 〜  M
5. THE STORY OF MY LIFE  〜 Herman's Hermits 〜  M
6. I FELL IN LOVE WITH YOUR PICTURE  〜 Freddie & the Dreamers 〜  M
7. AFTER THE FOX  〜 Peter Sellers and The Hollies 〜  M
8. KEEP AWAY FROM OTHER GIRLS  〜 Helen Shapiro 〜  F
9. IF I NEVER GET TO LOVE YOU  〜 Marianne Faithfull 〜  F
10. WINDOWS AND DOORS  〜 Jackie DeShannon 〜  F
11. LONG AGO TOMORROW  〜 B. J. Thomas 〜  M
12. SEND MY PICTURE TO SCRANTON, PA  〜 B. J. Thomas 〜  M
13. SOMETHING BIG  〜 Mark Lindsay 〜  M
14. THREE WHEELS ON MY WAGON  〜 The New Christy Minstrels 〜  M
15. LET ME BE LONELY  〜 The 5th Dimension 〜  FM
16. I'M A BETTER MAN (FOR HAVING LOVED YOU)  〜 Engelbert Humperdinck 〜  M
17. DON'T YOU BELIEVE IT  〜 Andy Williams 〜  M
18. TEN TIMES FOREVER MORE  〜 Johnny Mathis 〜  M
19. THE YOUNG GROW YOUNGER EVERY DAY  〜 Peter Yarrow with Burt Bacharach 〜  M
20. MEXICAN DIVORCE  〜 Dan Johnson 〜  M
21. ALL KINDS OF PEOPLE  〜 Jerry Butler 〜  M
22. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Mavis Staples 〜  F
23. I TOOK MY STRENGTH FROM YOU (I HAD NONE)  〜 Sylvester 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間 Disc1 約74分/Disc2 約71分


レアな曲・レアなバージョンを53曲集めたオーストラリア編集のCD2枚組バカラック物コンピ集です。

オーストラリアの再発専門レーベル、Raven Records が2003年にリリース。アルバムのサブ・タイトルは 53 Elusive Songs & Versions, 1956-1978。" elusive " という単語は手持ちの辞書によれば " 理解しにくい、捕えにくい " という意味ですが、ここでは " 手に入れにくい " ということが言いたいんだと思います。

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いつもコンピ集の時に纏めるこのリスト、今回は調べるのにちょっと時間がかかりました。

53曲中、有名曲( = カヴァー定番曲)と言えるのはDisc2-22.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」のみ。あと、Disc2-2.「 アー・ユー・ゼア 」とDisc2-5.「 ストーリー・オブ・マイ・ライフ 」がそこそこ知られてる曲でしょうか。残り50曲はマニアックな曲目ばかりですからねー。

Disc1は50年代〜60年代半ばまで、Diac2は60年代中心に70年代まで。インスト曲は皆無だし、重複する曲目もありません。その上、オリジナル・バージョンが29曲も入ってます。さらに加えて、他のバカラック物コンピ集では見かけず本コンピ集にしか入ってないバージョンがオリジナル/カヴァー合わせて17曲もあり、17/53 ≒ 0.32 という高打率を誇ります。編者のこだわりはスゴい!

リスト作成に精力を使い果たしてしまいました。個々のバージョンについての特記事項はリストの脚注をご覧ください。以降、個人的なレコメンドや気になった曲を箇条書きで紹介することとします。簡単ですがご勘弁を

🔸ペギー・マーチのDisc1-8.「 恋のアドヴァイス 」:『 ON THE FLIP SIDE 』でジョニー・ソマーズが歌ったのがオリジナル。張りがありちょっと甘えた感じのジョニー・ソマーズに対し、7つ年下のペギー・マーチの方が大人っぽいのが興味深い
🔸コニー・フランシスのDisc1-14.「 欠けているもの(ウォンティング・シングス) 」:レコメンド。どのカヴァーも素晴らしいバカラック集『 Connie Francis sings Bacharach and David 』より
🔸フィフス・ディメンションのDisc2-15.「 レット・ミー・ビー・ロンリー 」:彼ららしいハーモニーが素晴らしいカヴァー
🔸ジョニー・マティスのDisc2-18.「 テン・タイムス・フォーエヴァー・モア 」:1971年の曲なのに、10年前の曲じゃないかと思えるような古風な3拍子の曲
🔸ジェリー・バトラーのDisc2-21.「 オール・カインズ・オブ・ピープル 」:ゴスペルタッチのゆったりしたアレンジにジェリー・バトラーの渋い歌声。心に沁みるカヴァー
🔸メイヴィス・ステイプルズのDisc2-22.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」:女性R&B/ゴスペル歌手によるこれまた渋い味わいのあるカヴァー
🔸シルヴェスターのDisc2-23.「 アイ・トゥック・マイ・ストレングス・フロム・ユー 」:男性R&B/ソウル歌手による7分近い大作。ファルセットの歌声とストリングスやフルートを多用したアレンジ。ステファニー・ミルズのオリジナル(『 FOR THE FIRST TIME 』収録)よりも個人的には好み
🔸オーストラリアのアーティスト(Disc1-9.のノエリーン・バットレイ、Disc2-4.のノルミー・ロウ、Disc2-20.のダン・ジョンソン)が入ってるのはオーストラリア編集ならでは。オーストラリアでもバカラックは人気だったんだなと。

アルバム・タイトルに " 1 " がついてるのでいずれ続編が出るものと思っていたのですが、残念ながら Raven Records はクローズしてしまった様子(Discogsによれば " Ceased operations in April 2017. ")。" 1 " のマニアックぶりに期待していたんですけどねー。


【データ】
『 The Rare Bacharach 1 53 Elusive Songs & Versions, 1956-1978
V.A.

CD:2003年7月21日リリース
レーベル:Raven Records (Australia)
番号:RVCD-150

This compilation (P)&©️ 2003, Raven Records Australia All Rights Reserved.
Album conceived and compiled by Glenn A. Baker.
Issued by arrangement with EMI Music Australia, Sony Music Australia, Universal Music Australia, BMG Music Australia, Festival Mushroom Group, Nestshare Ltd. and Dan Johnson.

2018年8月17日 (金)

追悼 アレサ・フランクリン 〜 バカラック作品を振り返って 〜

いつもあなたとバカラック的 “ 追悼 アレサ・フランクリン ”

Aretha Louise Franklin (March 25, 1942 – August 16, 2018)

昨夜、床についてさぁ寝ようとしていた時、スマホのネットニュースでアレサの訃報を知りました。

今朝ウォーキング中に聴いたiPodのプレイリストは、アレサが昨年リリースした『 A BRAND NEW ME 』。新たに録音したバック・トラックにアトランティック時代のヴォーカル・トラックを乗せたアルバムです。「 リスペクト 」「 シンク 」「 レット・イット・ビー 」「 ナチュラル・ウーマン 」そして「 小さな願い 」。いい曲ばかりですが、それ以上にアレサの歌声が心に響きました。

“ もはや1つのジャンルである ” 的な言い方をよくされるバカラックですが、どんな曲も自分の色に変えてしまうアレサの歌を聴きながら、" アレサも1つのジャンル ” なんだなぁ…と感じ入った次第。

アレサが歌ったバカラック作品で有名なのは「 小さな願い」。USチャートはオリジナルであるディオンヌ(4位)に届きませんでした(10位)が、人気はアレサ版の方が上。映画『 The April Fools(幸せはパリで) 』のパーティ、TVドラマ『 Glee(グリー)』シーズン1のオーディション、映画『 Mr. Wonderful(最高の恋人) 』のパーティでのデュエット、それぞれのシーンで歌われたのは全てアレサ版の「 小さな願い 」ですもんねー。映画『 ベスト・フレンズ・ウェディング 』の海鮮レストランで「 小さな願い 」を大合唱する大好きなシーン、ディオンヌの話題を前振りにして歌い始めたあの場面でさえディオンヌ版とアレサ版の折衷バージョンでしたから…。

アレサが歌ったバカラック作品をまとめて表にしました。リリース順に並べました。私が認識していない曲・バージョンもあろうかと思いますが、その際はご指摘いただけるとありがたいです。(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)

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個々の曲に関する私のコメントは拙ブログ過去記事をご覧いただければと思います。
以下のアルバム名をクリックするとリンク先に飛びます。No.は上記リスト左端の各曲番号のことです。

WHAT YOU SEE IS WHAT YOU SWEAT No. 7〜10
A BRAND NEW ME No. 1, 16
アトランティック・バカラック・コレクション No. 2〜6, 12〜14
SO AMAZING AN ALL STAR TRIBUTE TO LUTHER VANDROSS No. 11

R591569414062262619073jpeg拙ブログでNo. 15 は未紹介。今回オマケとして紹介します。
アメリカを代表するアーティストとブラジリアン・サウンドとのコラボレーション企画盤『 The Brazil Connection 』(2014年リリース)。Columbia系の大物アーティスト12組が選ばれ代表曲1曲ずつをピックアップ。アレサは1964年の「 ウォーク・オン・バイ 」(3:20) がチョイスされました。当時のヴォーカル・トラックを取り出してボサノヴァにアレンジされたバックトラックと合体。でもねぇ、何か軽い感じでアレサとの相性はイマイチかなぁ…。

超ソウルフルで超パワフルなアトランティック時代。
バカラック書き下ろし曲のバラードが印象深いアリスタ時代。
それぞれに想いを馳せながら今夜もアレサを聴こうと思います。

合掌

2018年8月12日 (日)

The LOVE MACHINE/O.S.T. (1971年)

米映画『 ラブ・マシーン 』のサントラ盤です。バカラック作品は入ってないのですが……。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全13トラック中、バカラック作品は無し!


バカラック作品は入ってないのですが、前回記事でご紹介したバカラック物コンピ集『 MO'PLEN BACHARACH 』との関連で今回取り上げることとしました。

『 The LOVE MACHINE(ラブ・マシーン) 』は、米女性作家ジャクリーン・スーザンが書いた1969年のベストセラー小説を映画化したもの。翌1972年、日本でも公開されたそうです。

んで、このアルバムがハイファイ・レコード・ストアさんでバカラック関連アルバムとして紹介されていました。私はその紹介文を信じてこのアルバム(LP)を購入。届いたLPに同封されていた薄緑色のカード(画像)に書かれた文章は正に紹介文そのものでございます。
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アルバムのクレジット(画像)を確認してみましょう。スコアを書いたのは Artie Butler(アーティ・バトラー)。そして、ディオンヌの歌う2曲の作者は……。

「 He's Moving On (Theme From The Love Machine) 」… Lyric by Ruth Batchelor, Music by Bryan Wells
「 Amanda 」… Lyric by Mark Lindsay※, Music by Artie Butler
※ Mark Lindsay(マーク・リンゼイ)はバカラック曲「 SOMETHING BIG 」のオリジナル・シンガーでもあります。

あれ? おかしいな…。
バカラックじゃねーぞ?

ヴォーカル曲の2曲はそれぞれ<映画に使われたバージョン>と<映画に使われなかったバージョン>の2種類が収録されています。そのうち後者をプロデュースしたのがバート・バカラックとハル・デイヴィッドなんですねっ。

おいおい、プロデュースだけじゃねぇか
ハイファイ・レコード・ストアさーん、どーしてくれるんだよ〜〜。
…… LPを手にした時のショックは今でも鮮明に覚えています。

ま、レコード蒐集には時々あることではあります。冒頭で触れたアルバム『 MO'PLEN BACHARACH 』はもっとヒドくて、スコアの曲であるB-2.「 House Party, Part II  」をバカラック作品と決めつけてそのカヴァー曲を載せていました。拙ブログをご覧の皆さん、同じ過ちを犯しませんように!

Fullsizeoutput_34aFullsizeoutput_34dこの<映画に使われなかったバージョン>、聴いてみると、演奏はもとよりディオンヌのヴォーカルも別録りですね。同じアレンジではあるのですが、バカラック&デイヴィッドがプロデュースしたバージョンの方が音がクリアでよりダイナミクスが大きい印象。

バカラックが全く絡んでいないスコア曲も一部の曲で薄〜い金管が聴けたりして、この件に関してはハイファイさんの紹介文に同意いたしますです。

それにしても、ディオンヌ・ワーウィックのアルバムみたいなジャケットはなんなんでしょ。見開きのジャケット内面左側もディオンヌで、映画のシーンと思しき写真は一切なし。ジャケットの背中部分にはディオンヌのディの字も無いんですが
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ちなみに、1971年にディオンヌは占星術師のアドバイスでアーティスト名を Warwick → Warwicke に変えているのですが、本作でもその綴りになっていますね。

以上、愚痴でした。


【データ】
『 The LOVE MACHINE 』
O.S.T.

LP:1971年リリース
レーベル:Scepter
番号:SPS 595

An Original Score Composed and Conducted by Artie Butler
Album Produced by Neely Plumb IMC Productions, Inc.

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2018年8月 5日 (日)

MO'PLEN BACHARACH/V.A. (2003年)

イタリア編集のイタリアらしいバカラック物コンピ集です。

(画像はクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. Overture da Promesse Promesse (Promises, Promises)  〜 Brunno Canfora 〜

2. I Primi Minuti (I SAY A LITTLE PRAYER)  〜 Marita 〜
  F
3. Gocce Di Pioggia Su di me (RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD)  〜 Renato e i Profeti 〜  M
4. THE PARTY  〜 The Smart Set 〜

5. Non Mi Pentiro (WALK ON BY)  〜 Jenny Luna 〜  F

6. Sola New Sole (I WAKE UP CRYING)  〜 Jenny Luna 〜  F

7. THE LOOK OF LOVE  〜 Santi Latora 〜

8. Quando Tu Vorrai (WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE)  〜 Rita Monico 〜
  F
9. Non Mi Innamoro Piu (I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN)  〜 Johnny Dorelli & Catherine Spaak 〜  FM

10. Un Ragazzo Che Ti Ama (THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU)  〜 Tony Renis 〜  M

11. Quelli Che Hanno Un Cuore (ANYONE WHO HAD A HEART)  〜 Petula Clark 〜  F

12. Non Dirmi Ninety (DON'T MAKE ME OVER)  〜 Ornella Vanoni 〜  F

13. II Mondo New Tuoi Occhi ((THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME)  〜 Gianni Morandi 〜  M

14. L’ora Dell’addio (KNOWING WHEN TO LEAVE)  〜 Catherine Spaak 〜
  F
15. Non L’ascoltar (DON'T TALK TO HIM)  〜 Gianni Jalenti 〜  M

16. MAGIC MOMENTS  〜 Carla Boni & Gino Latilla 〜  FM

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約45分


イタリアの La DOUCE レーベルが2003年にリリースしたイタリア編集のバカラック物コンピ集です。ジャケットのアートワークもなんとなくその時代のラテンの香りがします(嗅いだことないけど)。

Fullsizeoutput_315 CDケースに小さな文字で書かれたライナーノーツはイタリア語ではなく英語。翻訳ソフトと怪しげな?英語力を駆使して翻訳&要約してみました。バカラックの一般的な説明等は省いてます。

─ バカラックはその紛れもないスタイルで世界中のミュージシャンを魅了し、私たちイタリア人のロマンチックで叙情的な感受性をも魅了しました。バカラック・ベストと言ってもいい16個の宝石を集めたこのコンピ集がその証拠です。素晴らしい Bruno Canfora オーケストラによる『 プロミセス・プロミセス 』の「 序曲 」から Carla Boni と Gino Lattila によるコメディタッチの「 マジック・モーメンツ 」まで、本物のイタリアン・テイストで捉え直したものと言えるでしょう。トラック・リストには、Ennio Morricone と Cantori Moderni di Alessandroni のサポートで「 愛の思い出 」を歌ったGianni Morandi のような有名な名前がある一方、Augusto Martelli アレンジの「 小さな願い 」を歌った Marita のような無名のアーティストもあります。 ─

─ Jenny Luna は中古レコード屋ではよく見る名前で、60年代は非常に人気がありました。「 ウォーク・オン・バイ 」と「 アイ・ウェイク・アップ・クライング 」でクリアで甘美な歌声を聴かせてくれます。インスト曲のトラックのうち、このコンピ集で唯一最近のレコーディングである The Smart Set の「 The Party 」 は、ヴィンテージなサウンドで、バカラックとしては珍しくファンキーな元曲に近い出来です。 ─

─ 編者である Robert Passera と Sir Taylor の2人は、イタリア語で歌われた50年代末から70年代初めにかけてのバカラック作品から数々の素晴らしいカバーを発見しました。Mo’plen の味わいを尊重して魅力的なイタリア語の最も稀で魅力的なレコーディングがコンパイルされているこのコンピ集、世界中のオーディエンスにもお勧めします。 ─
 Lady Vanilla レディ・ヴァニラ(ライター、ジャーナリスト)

なるほど、イタリアでもバカラックの音楽は人気だったのか。でもね、話の骨を折ってレディ・ヴァニラさんには申し訳ないのですが、T-4.「 THE PARTY 」とT-15.「 Non L’ascoltar (DON'T TALK TO HIM) 」はバカラック作品じゃありません。冒頭 “ イタリアらしい ” と書いたワケはこれでして、イタリア人はテキトーだな…と(笑)

間違ってコンパイルされてしまった理由を私なりに推理してみました。以下曲目リストの注釈※2※3をご覧ください。
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英国シンガーのぺトゥラ・クラーク(イタリア語で歌っていますが)を除けばイタリア人アーティストばかり。カトリーヌ・スパークはフランス人ですが幼少期からイタリアでずっと活躍した方なんでイタリア人アーティストみたいなものでしょう。

T-1.「 序曲 」、T-9.「 恋よさようなら 」、T-14.「 去りし時を知って 」の3曲はミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』のイタリア・キャストによる1970年のアルバム『 PROMESSE... PROMESSE... 』収録のもの。出来も良く、本コンピ集で一番のレコメンドです。他のどのバカラック物コンピ集にも入ってませんからネ。

あと、イントロのメロディがディオンヌ版とは少し違うT-2. 「 小さな願い 」とキラキラしたピアノのオブリガートが独特なT-3. 「 雨にぬれても 」を除けば、どいつもこいつもアレンジは有名バージョンのほぼコピー。そういう面での面白みは殆どありません。そこがちょっと物足りないところでしょうか。” 世界中のオーディエンスにオススメ ” とは言えないんじゃないかなぁ……。

とはいえ、” バカラックの曲はイタリア語で歌っても全く違和感がない ” ことが分かるコンピ集ではあります。


【データ】
『 MO'PLEN BACHARACH 』
V.A.

CD:2003年6月23日リリース
レーベル:La DOUCE (IT)
番号:DOUCE 511044-2

Selected by Robert Passera and Sir Taylor (the ODOCOUPLE)
Liner notes by Lady Vanilla
La DOUCE is a member label of IRMA Records group.
©️&(P) 2003 IRMA Records.

2018年7月29日 (日)

A Tribute to Dionne Warwick & the Music of Burt Bacharach/Paula Johns (2018年)

米女性ジャズ・シンガー、ポーラ・ジョンズによるディオンヌ&バカラックのカヴァー集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. PROMISES, PROMISES
2. Hits Medley :
    (1) Deja Vu
    (2) WALK ON BY
    (3) DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
    (4) I SAY A LITTLE PRAYER
    (5) ALFIE
3. DON'T MAKE ME OVER
4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU / ANYONE WHO HAD A HEART
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN / A MESSAGE TO MICHAEL
6. ONE LESS BELL TO ANSWER
7. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
8. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
9. A HOUSE IS NOT A HOME
10. Movie Medley :
    (1) WHAT'S NEW PUSSYCAT?
    (2) THE LOOK OF LOVE
    (3) Valley of the Dolls
    (4) ARTHUR'S THEME
11. GOD GIVE ME STRENGTH
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
13. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR / I'll Never Love This Way Again

収録時間約62分


米女性ジャズ・シンガー、ポーラ・ジョンズによるディオンヌ&バカラックのカヴァー集です。

彼女はフィラデルフィア出身。今もフィラデルフィアを拠点としてナイトクラブやジャズバーなどで歌っているそう。公式サイトによればCDも数枚リリースしているのですが、Amazonでは日本はもとより米国でも扱っておらずcdbabyというインディーズ専門?ネットショップでの販売のみらしい…。面倒臭いので、今回CD購入は諦めてダウンロード購入しました。

バックはEギター、Eベース、ピアノ、ドラムス、シンセという編成。サウンドとしてはジャズというよりはポップ寄り。曲によってシンセがブラスやストリングスも担当するのですが、この音色がなんともチープで全体のクオリティを下げてしまってる印象。ライヴならこれでもまぁいいけど、スタジオ録音だったらもっとやれることあるでしょって感じ。

ポーラの声は深く暖かい。相当なキャリアを積んだ方なんでしょう、パワフルさはほどほどですが表現力豊かで安心して聴くことができます。アップテンポの曲よりはゆっくりめの曲の方がより彼女の魅力が出ているような気がします。

13トラックのうち5トラックがメドレーで、全23曲と盛り沢山。うちバカラック作品は20曲。バカラック作品以外も含めてディオンヌの代表曲ばかりですが、中にはT-10-(1). 「 何かいいことないか子猫チャン 」、T-10-(4).「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」 やT-11. 「 ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 」 といったディオンヌが歌ってない曲もあります。やっぱりディオンヌとバカラックへのトリビュートなんだ〜。

全体的にディオンヌのバージョンをベースとしたアレンジ。T-4-(1). 「 遥かなる影 」 もカーペンターズ版のシャッフルではなくディオンヌ版の4ビートのリズムで、ニヤッとします。一方で、R&B色濃いT-3. 「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」、ロック調のT-7. 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」、ボサノヴァ調ビッグバンド風のT-8. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」、タイトなフュージョンタッチのリズムがかっこいいT-10-(2). 「 恋のおもかげ 」 など、オッとかハッとかするアレンジもあります。あと、T-9. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 はルーサー・ヴァンドロス版ベースのアレンジで、後半の盛り上がりはなかなかです。

フェードアウトで終わるトラックは皆無。メドレーが多いことも含めて、ライヴでの演奏を前提としたアレンジなのかもしれませんね。実際彼女は本アルバムのリリース記念ライヴを7月から何度か行っていて、8月24日にもフィラデルフィアでリリース記念ライヴを行うそう。金曜の夜だし近くだったら聴きに行きたいところです。

ディオンヌとバカラックへのリスペクトがちゃんと伝わってくるカヴァー集ですが、返す返すもシンセ・ブラスやシンセ・ストリングスの音色が残念です…。

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
Fullsizeoutput_2f0ポーラ・ジョンズは2008年にリリースしたアルバム 『 Watch What Happens 』 で 「 恋のおもかげ 」(2:44) をカヴァーしていまして。アコギ1本をバックにしっとりとジャジーな雰囲気で歌っています。
家でゆったり聴くならジャジーなこちらがいいかもですが、ライヴだったらグルーヴ感が心地よいカヴァー集の方がいいかなぁ。
まぁ、好みの問題でしょうけど…。


【データ】
『 A Tribute to Dionne Warwick & the Music of Burt Bacharach 』
Paula Johns

CD:2018年6月10日リリース
レーベル:Paula Johns
番号:?

クレジット詳細不明

※ 日本の Amazon での取り扱いなし。iTunes で視聴/ダウンロード可。

2018年7月22日 (日)

Bacharach At The Movies/V.A. (2002年)

映画に使われたものばかりをコンパイルした日本編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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1. OPEN YOUR HEART  〜 Vanessa Williams 〜  F

2. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Burt Bacharach 〜

3. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Burt Bacharach 〜

4. THE WINDOWS OF THE WORLD  〜 Burt Bacharach 〜

5. LOVE IS MY DECISION  〜 Chris DeBurgh 〜  M

6. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER  〜 Burt Bacharach 〜  FM

7. LOST HORIZON  〜 Shawn Phillips 〜  M

8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Burt Bacharach 〜

9. SOMETHING BIG  〜 Burt Bacharach 〜  M

10. ON A BICYCLE BUILT FOR JOY  〜 B. J. Thomas 〜  M

11. THE APRIL FOOLS  〜 Burt Bacharach 〜

12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Burt Bacharach 〜

13. PROMISES, PROMISES  〜 Burt Bacharach 〜

14. THE LOOK OF LOVE  〜 Dusty Springfield 〜  F

15. ALFIE  〜 Burt Bacharach 〜

16. PROMISE HER ANYTHING  〜 Tom Jones 〜  M

17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Tom Jones 〜  M

18. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  〜 Richard Chamberlain 〜  M

19. WHO'S BEEN SLEEPING IN MY BED  〜 Linda Scott 〜  F

20. WIVES AND LOVERS  〜 Jack Jones 〜  M

21. FOREVER MY LOVE  〜 Jane Morgan 〜  F

22. I CRY MORE  〜 Alan Dale 〜  M

23. THESE DESPERATE HOURS  〜 Mel Tormé 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約69分


映画に使われたものばかりをコンパイルした日本編集のバカラック物コンピ集です。

Fullsizeoutput_284日本でのバカラック研究第一人者、坂口修さんがユニバーサルの音源から選曲した本作。当の坂口さんはライナーノーツでこのように紹介しておられます。

─ バカラックが手掛けた、1955年のデビュー作から最新の2000年まで、半世紀近くにも及ぶスクリーン・ミュージックのオリジナル・サウンドトラック音源と、彼が指揮するオーケストラによる映画主題歌のセルフ・カヴァーをユニバーサル・ミュージックの豊富なカタログから集めてみた。しかし、映画音楽だけの作品集だからと言って何ら特別な事は無く、殆どがスタンダードになったヒット・チューンばかり。つまり、この1枚でバカラックのバラード・ソングの集大成アルバムとして楽しめる内容と相成っている。 ─

集大成ときましたか! 米国であればジャケットにどどーんとバカラックの写真が使われてもおかしくないところ、控えめというか意味不明というかこういうシュールなジャケットはいかにも日本らしいっす(笑)。

収録されている23曲について、邦題・アーティスト名・シングル・映像作品&どう使われたか…を整理しました。
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備考欄が薄いグレーの網かけ9曲(殆どがバカラックのセルフ・カヴァー)は、本CD収録バージョンが当該映像作品に使われていない(或いは関連性がない)ことを示しています。複数の映像作品に使われている曲もありますが、映像作品欄はライナーで紹介された代表作品を記載するに留めました、あしからず。

曲順は映像作品の時代を2000年〜1955年まで遡った形になっています。マニアックな曲が入ってるのは坂口さんの編集ならでは。T-21. 「 フォーエヴァー・マイ・ラヴ 」、T-23. 「 ジーズ・デスパレイト・アワーズ 」 の2曲は本作で初めてCD化された音源ですし、T-5. 「 ラヴ・イズ・マイ・ディシジョン 」、T-7. 「 失われた地平線 」、T-18. 「 想い出のローマ 」、T-19. 「 ベッドで泣いて 」、T-22. 「 アイ・クライ・モア 」 あたりも2002年当時はまだレアだったと思います。殆どがスタンダードになったヒット・チューンばかり…というのは些か誇張した表現だと思いますが、1999年に同様コンセプトでリリースされたバカラック物コンピ集 『 The Reel Burt Bacharach 』との重複も5曲と少なく、マニアも手を出しやすいコンピ集でしょう。

坂口さんのペンによる各曲の解説は、関連する映画の紹介/チャートアクション/曲にまつわるエピソードなどが盛り沢山。丁寧且つマニアックな内容でとっても勉強になります。しかも、ライナーには Burt Bacharach Original Soundtrack Archives と称するリストが掲載されていて、映画・TVシリーズ・ミュージカルなど54もの作品名がズラリ。知らない作品も多く、これまた貴重な情報!

バカラックのセルフ・カヴァーが多い点がちょいと引っかかりますが、それを補って余りある充実したライナーノーツが魅力の本コンピ集、オススメです。


【データ】
『 Bacharach At The Movies 』(バカラック・アット・ザ・ムーヴィーズ)
V.A.

CD:2002年9月25日リリース
レーベル:Universal Internatonal (JP)
番号:UICY-4084

Tracks selected and liner notes written by Osamu Sakaguchi(坂口 修)
This Compilation (P) & ©️ 2002 Universal International, A UNIVERSAL MUSIC COPANY.

«彩/aya Sueki (2018年)

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