2019年11月17日 (日)

Season's Groovin'/V.A. (1994年)

高浪敬太郎をスーパーバイザーに、4人の女性ヴォーカリストをフィーチャーしてつくられたクリスマスがテーマのオムニバス。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全8トラック中、バカラック作品は1トラック

2. ベルガモットに月は泳いで(THE BELL THAT COULDN'T JINGLE)〜 中嶋美智代 〜   (3:22)


─ 高浪敬太郎をスーパーバイザーに、松野有里巳、中嶋美智代、宮前真樹、吉田真里子をヴォーカリストに迎えてつくられたクリスマスがテーマの趣味の良いオムニバス。クレジットは小さくて、目立たないようになってるので、それぞれのファンのヒトは、お見逃しないように。 ─ (「CDジャーナル」データベースより)
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1994年のクリスマス・シーズンに向けてリリース。フィーチャーされた4人の女性ヴォーカリストは吉田真里子を除いて当時ポニーキャニオンに所属していました。CoCoの宮前真樹は記憶にあります。

松野有里巳(まつの ありみ)T-1,4,7 : 1989年、フジテレビ『 パラダイスGoGo!! 』の乙女塾1期生となり、同塾出身の永作博美、佐藤愛子と共にribbonを結成。1995年、ribbon活動休止後ソロ活動を開始。1998年に芸能活動休止。
中嶋美智代(なかじま みちよ)T-2 : 乙女塾3期生で、1991年にソロデビュー。13枚のシングルをリリース。1998年に名前をカナ表記にした「―ミチヨ」に改名。
宮前真樹(みやまえ まき)T-3,5,8 : 1989年、松野有里巳と同様に乙女塾1期生となり、アイドルグループCoCoのメンバーとしてデビュー。1994年9月CoCo解散後ソロ活動開始。2004年に芸能活動を休業。
吉田真里子(よしだ まりこ)T-6 : 1988年、アイドル歌手としてCBSソニーよりデビューし、シングル8枚をリリース。1993年にインディーズのレーベルを設立。2002年芸能活動引退。

注目は、全8曲のうち半数を占める'60年代洋楽カヴァー(トラック番号)。原曲とま〜ったく関係のない邦題&日本語詞になっていて、ここまでやるかっ?って感じ(笑)。
T-2.「 ベルガモットに月は泳いで 」: バカラック作品の「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」
T-3.「 雪が降るTOKYOタワー 」: アメリカのロックバンドClassics IVの「 TRACES 」
T-4.「 狼がやってきた 」: ジョニ・ミッチェルの「 CIRCLE GAME(サークル・ゲーム) 」
T-6.「 トリコロール 」: アンディ・ウィリアムスの「 MUSIC TO WATCH GIRLS BY(恋はリズムに乗せて) 」

んで、バカラック・カヴァーのT-2.「 ベルガモットに月は泳いで 」。原曲は、簡単に言うと “壊れたベルがサンタのおかげでジングルを鳴らせるようになった” …というなんとも心温まるお話(歌詞)。 それが… “写真のあなたは去年の恋人。独りのイヴはイヤだから出逢いを夢見るの” という内容の歌詞に。ってか、
00d0335f32c4461c9015fb4f38fbc003_4_5005_ ベルガモットに 25ae29c0c6834fb092bdbdc1dd1cf47e 月は泳いで
って、どーゆー意味やねん! わからんわ!

とはいえ、サンバ風の軽快でポップなアレンジに、ファニーでノンヴィブラートな中嶋美智代のヴォーカルはアイドルっぽさも見え隠れして、なかなかに魅力的。野宮真貴のカヴァーより20年以上も前にこんな素敵なカヴァーが日本にあったなんて! さすがはピチカート・ファイヴのオリジナルメンバー、高浪敬太郎の面目躍如!

アルバム全体の雰囲気は渋谷系。定番のクリスマス・ソングは入ってませんが、今聴いても全く古臭さのないお洒落なクリスマス・シーズン向けのアルバムです。

…最後にちょっと苦言を。クレジットにある日本人の人名が全てローマ字なんです。漢字/仮名文字が全くない。誰が誰だかわからんです。横文字かぶれっていうんですかね、こういうの私は好かんです。そして更に全く理解できないのが、T-2.の作者のクレジットが BACHARACH BURT, KUSIK LARRY になってること。アホかっ! BURT BACHARACH, LARRY KUSIK だろぅが! スーパーバイザーは何しとるんじゃ! 反省して欲しいです。プンプン💢


【データ】
『 Season's Groovin' 』
V.A.

CD:1994年11月18日リリース
レーベル:PONNY CANYON
番号:POCA-00690

SUPERVISER:KEITARO TAKANAMI
  T-2.「 ベルガモットに月は泳いで 」
  japanese words:KUNIO NAKAMURA
  arrange:TOMOFUMI SUZUKI

2019年11月10日 (日)

Chicago Christmas (2019)/Chicago (2019年)

シカゴが今年(2019年)リリースしたクリスマス・アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (3:31)


シカゴが今年(2019年)10月にリリースしたクリスマス・アルバムです。前作アルバム『 Chicago XXXVI: Now 』から5年、本作は通算37作目になるそうです。

シカゴは過去3枚のクリスマス・アルバムをリリース。それらが主にトラディショナルなクリスマス曲を取り上げていたのに対して、本作では全11曲中8曲がオリジナル曲ってのが特徴です(CDパッケージに貼られたシールには New Songs 5曲しか書かれてないんですけどね…)。
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トラディショナルなクリスマス曲は2曲のみで、T-7.「 そりすべり 」とT-10.「 喜び歌おう 」。そして残る1曲がバカラック・カヴァーのT-5.「 世界は愛を求めている 」です。

「 世界は愛を… 」はクリスマス曲ではないけれど昨今のクリスマス・アルバムによく取り上げられるんですよねー。このシカゴ版は、なんと言ってもグルーヴ感あふれるジャズ・ファンク系のリズムがカッチョイイ! テンポはゆったり目の♩≒80。もちろん原曲の3拍子ではなく、4拍子のブラス・ロックにアレンジ。イントロだけ聴いただけじゃとても「 世界は愛を… 」には聴こえません。メロディを歌ってるのは誰かわかりませんが、低音のダミ声はシブいと言やぁシブいけどできればハイトーンの美声で聴きたかったなぁ。でもまぁシカゴらしい唯一無二の「 世界は愛を… 」だと思います。

アルバム全体の印象は、R&B寄り、ロック寄り、あるいはラテン(サルサ)風だったりと、とにかく賑やか。楽しく気軽に聴けるクリスマス・アルバムです。


【データ】
『 Chicago Christmas (2019) 』
Chicago

CD/MP3:2019年10月4日リリース
レーベル:Rhino
番号:R2 604498

Produced by Lee Loughnane
T-5.「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 」
  Arrangement by Robert Lamm
  Brass arr.:Nick Lane with Robert Lamm

2019年11月 4日 (月)

I grandi successi Burt Bacharach in Italia/V.A. (2006年)

Warner Music (Italia) から2006年にリリースされたイタリア編集のバカラック物コンピ集です!

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1. Fantasia Bacharach 〜 Iva Zanicchi 〜  F
 (1) Gocce di pioggia su di me (RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD)
 (2) DON'T MAKE ME OVER
 (3) Quando tu vorrai (WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE)
 (4) Quelli che hanno un cuore (ANYONE WHO HAD A HEART)
2. Chiunque tu sia, ti amo (WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU) 〜 Catherine Spaak 〜  F
3. L'ora dell’addio (KNOWING WHEN TO LEAVE) 〜 Catherine Spaak 〜  F
4. Non m’innamoro più (I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN) 〜 Johnny Dorelli & Catherine Spaak 〜  FM
5. Overture da "Promesse promesse" (OVERTURE) 〜 Brunno Canfora 〜
6. MAGIC MOMENTS 〜 Carla Boni & Gino Latilla 〜  FM
7. MAGIC MOMENTS 〜 Fred Buscaglione 〜  M
8. THE LOOK OF LOVE 〜 Fausto Papetti 〜
9. Ti tendo le braccia (REACH OUT FOR ME) 〜 Nicola Di Bari e i suoi Records 〜  M
10. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD 〜 Fred Bongusto 〜  M
11. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD 〜 Pino Calvi 〜
12. Gocce di pioggia (RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD) 〜 Renato e i Profeti 〜  M
Bounus track:
13. Camminando sotto la pioggia 〜 Topo Gigio 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約42分


Warner Music (Italia) から2006年にリリースされたイタリア編集のバカラック物コンピ集です。

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ボーナス・トラックを除いて全12トラック15曲入り。そのうち5曲は2003年イタリア編集の『 MO'PLEN BACHARACH The Burt Bacharach Italian songbook 』と重複しているものの、半数以上は他のコンピ集で見かけないバージョンです。

T-2〜5.の4曲はミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』のイタリア・キャストによる1970年リリースのアルバム『 PROMESSE... PROMESSE... 』収録のもの(うち3曲は前述のイタリア編集コンピ集にも入ってましたね)。レコメンドなのですが詳細は割愛します(リンク先をご覧くださいませ)。

イタリアの女性ポップシンガー、イーヴァ・ザニッキが歌うT-1.「 ファンタジア・バカラック 」は約7分半の4曲メドレー。カンツォーネっぽさを幾分感じる彼女の歌唱よりもメドレー曲間のつなぎアレンジが新鮮で印象に残ります。4曲のうち「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」だけ英語詞なのはなぜなんでしょう。イタリアの男性シンガー・ソングライター、フレッド・ボングストのT-10.「 雨にぬれても 」は、ライヴ音源。口笛が印象的なイントロ、テンポが間延びしたようなボサノヴァ調になるBメロ、ゆったりしたエンディングなどユニークなアレンジが光ります。聴衆も楽しそう。

'60年代〜'70年代の録音に混ざって唯一の'90年録音であるT-8.「 恋のおもかげ 」はちょっと異質。イタリアの男性サックス奏者、ファウスト・パペッティによるインスト曲なのですが、シンセ・ストリングスやシンセ・ブラスが効いたアレンジはなんか安っぽくて…。

イタリアらしいな〜と思ったのはT-9.「 リーチ・アウト・フォー・ミー 」。ライナーのイタリア語タイトルの横に原題が併記されてるんですが、This empty place って…思いっきり間違えてやんの、テキトーだよなぁ(笑)。

あと、面白いのがボーナス・トラックのT-13.「 雨に歩けば 」。イタリアの女性コーラス・グループ Trio Lescano の代表曲の一つで1940年代の曲らしいのですが、トッポ・ジージョがその曲の中で「雨にぬれても」を歌っているんですよねー。本コンピ盤のクレジットによれば(P)1974。アニメ番組の中でトッポ・ジージョが歌ったんじゃないかなぁ。


【データ】
『 I grandi successi Burt Bacharach in Italia 』
V.A.

CD:2006年6月16日リリース
レーベル:Warner Music Italia (IT)
番号:5051011-4651-2-3

This compilation: (P) & (C) 2006 Warner Music Italia Srl

2019年10月27日 (日)

WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS... BURT!/V.A. (2006年)

Warner Music (UK) から2006年にリリースされた英国編集のバカラック物コンピ集です!

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1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 The Sweet Inspirations 〜  F
2. WALK ON BY  〜 Morgana King 〜  F
3. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Ella Fitzgerald 〜  F
4. PROMISE HER ANYTHING  〜 Marty Paich 〜
5. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  〜 The Paris Sisters 〜  F
6. DON'T GO BREAKING MY HEART  〜 Sergio Mendes 〜
7. DON'T MAKE ME OVER  〜 Dionne Warwick 〜  F
8. LET THE MUSIC PLAY  〜 The Drifters 〜  M
9. THE LOOK OF LOVE  〜 The Meters 〜
10. DON'T SAY I DIDN'T TELL YOU SO  〜 Herbie Mann 〜
11. MADE IN PARIS  〜 Trini Lopez 〜  M
12. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Sergio Mendes 〜
13. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 The Four Seasons 〜  M
14. TRAINS AND BOATS AND PLANES  〜 Dionne Warwick 〜  F
15. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Young-Holt Unlimited 〜
16. LET ME BE LONELY  〜 The Sweet Inspirations 〜  F
17. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Roy Ayers 〜
18. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Carmen McRae 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約57分


Warner Music (UK) から2006年にリリースされた英国編集のバカラック物コンピ集です!

ワーナー・ミュージックが所有するアトランティック系レーベルとワーナー・ブラザーズ系レーベルのカタログからコンパイルされた1963〜1972年の18曲。そのうち半数の9曲はそれまでに出ていた他のバカラック物コンピ集では見かけないものでした。英国編集なのに米国アーティストばかりってのも面白い。
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曲として最もレアなのはT-10.「 それは言わないで 」かな? 取り上げられているハービー・マン版は既に『 アトランティック・バカラック・コレクション 』で触れてますのでここでは省略。同じくらいレアな曲がT-16.「 レット・ミー・ビー・ロンリー 」。スウィート・インスピレーションズ版はオリジナルのディオンヌ版より断然ソウルフルでグッときます。それに次ぐレア曲がT-5.「 ロング・アフター・トゥナイト 」。オリジナル(ジミー・ラドクリフ)ほぼコピーのアレンジは新鮮味ゼロですが、パリス・シンガーズのガール・ポップらしい歌唱はなかなか良い感じです。

ファンク・バンド、メーターズのT-9.「 恋のおもかげ 」はブルース調でシブいっす。ソウル/ジャズ・グループ、ヤング・ホルト・アンリミテッドのT-15.「 雨にぬれても 」は雷雨のSEから始まるのがとてもユニーク。ヴィブラフォン奏者ロイ・エアーズのT-17.「 ディス・ガイ 」は怪しげなアレンジが独創的。T-6.「 ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート 」とT-12.「 小さな願い 」はセルジオ・メンデス名義(ブラジル'66ではなく)ということでジャズのインスト物です。

一番のレコメンドは、カーメン・マクレエのT-18.「 遥かなる影 」。ライヴ音源で、伴奏はピアノ・トリオ+ギター。カーペンターズ 版でのシャッフルをブルース調6/8拍子にアレンジして、ゆったり歌っています。特に、バックがウッドベースだけの時の情感こもった歌唱は絶品! 素晴らしいです。

なお、セルジオ・メンデスのT-12.「 小さな願い 」、フォー・シーズンズのT-13.「 涙でさようなら 」は、それぞれ拙ブログで収録元アルバムを紹介しています(アーティスト名からリンク)。お暇でしたらご覧ください。


【データ】
『 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS... BURT! Songs of Burt Bacharach & Hal David from the Warner & Atlantic Vaults
V.A.

CD:2006年2月27日リリース
レーベル:Warner Music (UK)
番号:5101126842

Compiled by Florence Halfon
Liner notes by Minnie Mehari
This compilation:(P) & (C) 2006 Warner Music UK Ltd.

2019年10月20日 (日)

コーナー・トップ/清水信之(1980年)

編曲家の清水信之がキーボード奏者として1980年にリリースしたフュージョン系のアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全11トラック中、バカラック作品は1トラック

5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (5:07)


編曲家の清水信之がキーボード奏者として1980年にリリースしたフュージョン系のアルバムです。
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清水信之は1959年12月生まれ。4歳よりピアノを習い、高校に入ると後輩のEPOらとバンドを始めます。17歳以降いろんなバンドを転々する傍らスタジオミュージシャンとしても活動し、竹内まりやのバックも務めたとか。1980年EPOのデビューアルバム『 DOWN TOWN 』にアレンジャーとして参加。デビュー曲「 DOWN TOWN 」は林哲司との共同アレンジでしたが、アルバム楽曲の約半分のアレンジを手掛けたんだそう。以降、J-Popのアレンジャーとして活躍しておられます。

─ さて、ここに登場するのは《フュージョン・ミュージック界切っての天才キーボード・プレイヤー、弱冠19歳の新感覚派キーボード奏者》という折り紙付きの - 清水信之 - ─ (リリース時のライナーより/ライナー執筆日は1979年11月)

彼にとって初のリーダー作は、プロデュース、アレンジも全て自身によるもの。それもスゴイけど、錚々たるミュージシャンの参加もスゴイ。主な名前を挙げると…ギター:是方博邦、大村憲司、青山 徹/ベース:小原 礼、桜井哲夫/ドラムス:渡嘉敷裕一、村上(ポンタ)秀ー、上原 裕/トランペット:数原 晋/パーカッション:斎藤伸夫(斉藤ノヴ)/コーラス:EPO、竹内まりや…。ホントに豪華な面々!

T-1,2,10.あたりはフュージョン・サウンドですが、T-6.はホーン入りのソウル/ファンク調だし、T-7,8.はシティポップ風(しかもT-7.ではお世辞にも上手とは言えないヴォーカルを披露)、T-3.はバラードといった具合に間口が広い(というか節操がない?)アルバムです。インタールードの2曲(T-4,9.)を除いた9曲のうち7曲は自作曲で、作曲の腕もなかなかのもの。んで、2曲あるカヴァーのうち1曲がバカラック作品のT-5.「 世界は愛を求めている 」でございます。

1979年のバカラックといえば自身が悪夢と振り返るアルバム『 WOMAN 』をリリースした年。当時誰からも見向きされなくなっていたバカラックをカヴァーするとはっ!? フュージョン系のアルバムでバカラックっていうのも珍しいし、その上あの「 世界は愛を求めている 」を♩≒126のポップ・サンバ調にアレンジ!? この曲でサンバっぽいカヴァーは他にセルジオ・メンデス&ブラジル'66版(1969年)くらいしか思い浮かびません。ノリが良く、特にギターのアドリヴが素晴らしい。途中8ビート調になって変化をつけてまた最後はサンバに戻るという具合に、聴く人を飽きさせない工夫も光ります。

本作は今年(2019年)春にアナログ盤LPが復刻されてます。実は名盤なのかなぁ。


【データ】
『 コーナー・トップ 』
清水信之

LP:1980年リリース (所有CDは、1994年2月5日リイシュー盤)
レーベル:Bill Box (所有CDは、キングレコード)
番号:SKS 103 (所有CDは、KICS 8014)

Sound Produced by 清水信之
All Arrangement by 清水信之
Strings Arrangement by 清水信之
Horn Arangement by 清水信之
All Keyboards:清水信之
T-5.「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 」
  Drums:村上(ポンタ)秀ー
  Bass:小原 礼
  Guitar:大村憲司、是方博邦
  Pec:ペッカー&清水信之

2019年10月13日 (日)

ウィ・ラヴ・バカラック/V.A. (2006年)

BMG JAPANから2006年にリリースされた日本編集のバカラック物コンピ集です。

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1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Dionne Warwick 〜  F
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Henry Mancini And His Orchestra 〜
3. ANY DAY NOW  〜 Elvis Presley 〜  M
4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Jose Feliciano 〜  M
5. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER  〜 The 5th Dimension 〜  FM
6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 Tony Hatch & His Orchestra 〜
7. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Floyd Cramer 〜
8. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Aretha Franklin 〜  F
9. LITTLE BETTY FALLING STAR  〜 The Cascades 〜  M
10. BLUE ON BLUE  〜 Paul Anka 〜  M
11. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Fred Bongusto 〜  M
12. THE LOOK OF LOVE  〜 Nina Simone 〜  F
13. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Maureen McGovern 〜  F
14. SUNNY WEATHER LOVER  〜 Dionne Warwick 〜  F
15. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Orquesta De La Luz 〜  F
16. PROMISES, PROMISES  〜 Al Hirt 〜
17. TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH  〜 Petula Clark 〜  F
18. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Floyd Cramer 〜
19. MAGIC MOMENTS  〜 Perry Como 〜  M
20. WIVES AND LOVERS  〜 The Tony Hatch Singers and Swingers 〜  M
21. ONE LESS BELL TO ANSWER  〜 The 5th Dimension 〜  F
22. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Ed Ames 〜  M
23. ALFIE  〜 Vanessa Williams 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約72分


BMG JAPANから2006年にリリースされた日本編集のバカラック物コンピ集です。
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BMG系レーベル(RCA Victor、Arista、Bell、Pyeあたり)のカタログからコンパイル。全23曲のうち10曲は、1996年にBMG(UK)がリリースしたバカラック物コンピ集『 MAGIC MOMENTS the classic songs of Burt Bacharach 』にも収録されてました。そのコンピ盤の記事でも触れたように、モーリン・マクガバンのT-13.「 恋するハート 」やエド・エームスのT-22.「 世界は愛を求めてる 」はレコメンドでございます(リンク先は各アーティストのアルバム記事です。以降も同様)。

一方で、5曲は他のバカラック物コンピ集では聴けないレアなカヴァー。その中ではトニー・ハッチ楽団のT-6.「 サン・ホセへの道 」がセンス良くてレコメンド。オルケスタ・デ・ラ・ルスのT-15.「 遥かなる影 」はコテコテのサルサ・アレンジが流石です。ぺトゥラ・クラークのT-17.「 恋は異なもの 」もアレンジは平凡だけど貫禄あって好カヴァーかと。

ディオンヌ・ワーウィックのT-1.「 恋よさようなら 」やアレサ・フランクリンのT-8.「 小さな願い 」といった超有名曲も入ってますが、ディオンヌのScepterとアレサのAtlanticはワーナー系。ヴァネッサ・ウィリアムスのT-23.「 アルフィー 」も、レーベルのMercuryはユニヴァーサル系。BMG系だけだと物足りなかったのかな? ま、どーでもいいけど。

監修&解説は濱田高志さん。”曲紹介”が初級〜中級者向けの内容なのに対し、”バート・バカラックに関する覚え書き”は上級者向けで読み応えがあります。バカラックの影響を受けた日本の作曲家を挙げたくだりがあって、筒美京平さんがそうだということは私も知ってたのですが、他にも大野雄二さん、渋谷毅さん、村井邦彦さん、林哲司さん、桜井順さん、越部信義さんもそうだったとは! 勉強になりました。大貫妙子さん等による特別寄稿も嬉しいですね。


【データ】
『 ウィ・ラヴ・バカラック We Love ❤︎ Bacharach | Sweet Works of Burt Bacharach
V.A.

CD:2006年2月22日リリース(監修・解説:濱田高志氏)
レーベル:BMG JAPAN
番号:BVCM-34047

This Compilation (P) 2006 BMG JAPAN, INC.

2019年10月 6日 (日)

Warm/Herb Alpert & The Tijuana Brass(1969年)

ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスが1969年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDジャケットの表/裏

全11トラック中、バカラック作品は1トラック

10. TO WAIT FOR LOVE (2:59)


ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスが1969年にリリースしたアルバムです。

「 蜜の味 」収録の『 Whipped Cream & Other Delights 』(1965年)、「 ティファナ・タクシー 」収録の『 Going Places 』(1965年)、「 カジノ・ロワイヤル 」収録の『 Sounds Like… 』(1967年)、「 ディス・ガイ 」収録の『 The Beat Of The Brass 』(1968年) がいずれも全米アルバムチャート1位になったのに対し、本作『 Warm 』は最高28位。ヒット曲も入ってないし、はっきり言って地味なアルバムかと…。

でも、バカラック・カヴァーのT-10.「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ(愛のおとずれ) 」を収録したとても重要なアルバムです。山下達郎さんがハーブ・アルパート版を下敷きにこの曲ををカヴァーしたのは有名な話ですからねー(詳しくは達郎さんのアルバム『 RARITIES 』の記事を参照下さい)。

ハーブ・アルパートが歌ったバカラックの書き下ろし曲「 ディス・ガイ 」は、彼にとって初の全米1位(1968年5月)となりました。次のシングルも自身で歌おうと考えたアルパート、「 遥かなる影 」をレコーディングしたものの結局お蔵入りに…(この辺の事情はアルバム『 LOST TREASURES 』の記事を参照下さい)。結局バカラック・カヴァーの「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ 」を歌ってシングル・リリース。二匹目のドジョウとはならず全米51位(同年8月)止まりでした、残念!

この曲のカヴァーの中では最もテンポが遅い(♩≒77)んじゃないですかねぇ。まったりしたシャッフルのリズム、まったりしたピアノの刻み、まったりしたトランペットのオブリガード、まったりした控えめなストリングス、まったりした男女コーラス、極め付けはまったりしたハーブ・アルパートの歌声。とにかくまったり尽くしです(笑)。

本アルバムの他の曲を眺めると、洗練されたソフト・ロック的テイストの曲、円熟のマリアッチ・サウンドの曲、まったりアレンジの曲、それらが程よくバランスされてると思います。個人的なレコメンドはまったりアレンジの曲で、T-4.「 GIRL TALK 」、T-8.「 PRETTY WORLD 」あたりがそう。地味ですけど心地良くって…。

参考までに、わかる範囲でハーブ・アルパートのバカラック作品をリリース順に並べてみました。シングルとアルバム両方ある場合はどちらか早い方で揃えています。結構たくさん演奏してるんだなと改めて認識したところです。
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【データ】
『 Warm 』
Herb Alpert & The Tijuana Brass

LP:1969年6月リリース (所有CDは、2016年リイシューのUS盤)
レーベル:A&M (所有CDは、Herb Alpert Presents)
番号:SP-4190 (所有CDは、HRB 051)

Producer:Herb Alpert and Jerry Moss
Arranger:Herb Alpert
A Special thanks to the Orchestrations of Shorty Rogers and to Rio Janiero


2019年9月29日 (日)

TO BRASIL AND BACHARACH/Mary D'Orazi with Marcos Silva (2016年)

米国の女性ジャズ・シンガー、マリー・ドラジが2016年にリリースしたブラジル音楽とバカラックへのトリビュート・アルバムです。

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全12トラック中、バカラック作品は5トラック

1. Chico Hipocondria
2. I SAY A LITTLE PRAYER
3. Fotografia
4. Coração Vira Lata
5. A HOUSE IS NOT A HOME
6. Da Licença
7. WALK ON BY
8. ALFIE
9. Meu Canário Vizinho Azul
10. Vieste
11. Barra-Joá
12. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

収録時間約54分


米国の女性ジャズ・シンガー、マリー・ドラジが2016年にリリースしたブラジル音楽とバカラックへのトリビュート・アルバムです。

マリー・ドラジはカリフォルニア州オークランド生まれ(生年不詳)。両親はイタリアからの移民。子供の頃ピアノのレッスンを8年間受け、思春期には様々な合唱団に参加したものの音楽で身を立てるつもりは無かったそう。30代半ばになって個人的な音声レッスンを受け始め、ジャズに興味を持っていた彼女はオークランド・ジャズ合唱団などを経てソロ歌手に。サンフランシスコのベイエリア周辺で活動してるんだとか。

本作リリースの10年ほど前、リオ生まれのピアニスト/作曲家マルコス・シルヴァと出会ったマリーは、彼の指導のもとブラジル音楽に傾倒していきました。本作でも、ジョビンのT-3、ブラジルのポップ・シンガー Aecio Flavio  作のT-1,4、マルコス・シルヴァの手によるT-11など計7曲のブラジル音楽を取り上げています。リズム感が良くまっすぐでケレン味の無いマリーの歌声はボサノヴァとの相性バツグン! 美しく流れるようなマルコス・シルヴァのアレンジも相まって、極上の歌を聴かせてくれます。

一方、バカラックはカヴァー定番曲ばかり5曲。これらも全てマルコス・シルヴァがアレンジしています。先の7曲と比べるとボサノヴァ風味は薄めのようですが、洗練され且つとても心地よいアレンジです。T-2.「 小さな願い 」は中間部でのピアノ・アドリブも含めてクールな仕上がり。T-5.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」とT-8.「 アルフィー 」はどちらもストリングス入りのバラード・アレンジですが、ほぼノン・ビブラートで強弱をあまりつけないマリーの歌い方だとちょっと物足りない感じ。T-12.「 遥かなる影 」は、イントロでのクールなメロディや中間部でアドリブを吹くフリューゲルホルンが印象的。

バカラック・カヴァー5曲のうち、私のレコメンドはT-7.「 ウォーク・オン・バイ 」。ノリが良く、マリーのクールでストレートな歌唱とソフトなフリューゲルホルンの対比も素晴らしい。コードをところどころ変えたアレンジも見事。

デジタル配信もしていますので、気になる方は是非試聴を!

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【データ】
『 TO BRASIL AND BACHARACH: A Tribute 』
Mary D'Orazi with Marcos Silva

CD:2016年2月2日リリース
レーベル:Mary D'Orazi
番号:なし

Musical Director/Producer - Marcos Silva
Executive Producer - Mary D'Orazi
  Mary D'Orazi - vocals
  Marcos Silva - piano, synthesizer, guitar, percussion, vocals
  Scott Thompson - electric bass
  Greg German - drums (T-3,5,7,8,10,12)
  Phil Thompson - drums (T-1,2,4,6,9,11)
Special guests:
  Erik Jekabson - flugelhorn (T-7,12)
  Harvey Wainapel - alto sax (T-4,11)
  Colin Hogan - accordion (T-3,10)
  Edgardo Cambón - congas (T-11)
  Ian Faquini - acoustic guitar (T-3)
  Hande Erdem - violin (T-5,8)

2019年9月22日 (日)

The Best of Burt Bacharach/V.A. (1972年)

RCAから1972年にリリースされた米国編集のバカラック物コンピ集です。

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1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD 〜 Hugo Montenegro 〜 M
2. WISHIN' AND HOPIN’ 〜 Si Zentner 〜
3. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 〜 Marilyn Maye 〜 F
4. I SAY A LITTLE PRAYER 〜 Peter Nero 〜
5. WALK ON BY 〜 Norman Luboff Choir 〜 M
6. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 〜 Floyd Cramer 〜
7. HOW CAN I HURT YOU 〜 Lana Cantrell 〜 F
8. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE 〜 Al Hirt 〜
9. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME 〜 Peter Nero 〜
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 〜 Living Strings and Living Voices 〜 FM

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約29分


RCAから1972年にリリースされた米国編集のバカラック物コンピ集です。
(コンピレーション・アルバムの紹介は約1年ぶりだ〜)

厳密には、RCA Special Products というRCAのサブレーベルからリリースされたもの。ちなみに、裏ジャケに書かれているアルバム・タイトルは Gaines presents The Best … となってます。Gaines って何やねん??
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全10曲は全てバカラック/デイヴィッド作品。オリジナル・バージョンは皆無ですし、私が所有している他のバカラック物コンピ集等では見かけず本コンピ集にしか入ってないバージョンが8曲もあります。(ピーター・ネロの2曲は紹介済み『 Love Is Blue 』『 Impressions 』

しかも、その8曲のうち5曲(A1,A3,B2,B3,B5)はiTunesにもなくてアナログ盤でしか聴けない代物。なかなか貴重なコンピ集です。

とは言え、中身は全体的にゆる〜い感じ。RCAビクターのカタログの中でもイージーリスニング系を主体にコンパイルしてるんですね。半数はインスト物ですし、メイン・ボーカル入り5曲もそのうち3曲(A1,A5,B5)はコーラス隊が歌ってるヤツですから…。

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カヴァー定番曲が並んでるなかで、異彩を放っているのがラナ・カントレルのB2.「 HOW CAN I HURT YOU(あなたの心を傷つけたら)」。ディオンヌ・ワーウィックが1965年12月にリリースした5作目アルバム『 Here I Am 』に収録されてたのがオリジナル。んで、このラナ・カントレル版しかカヴァーを聴いた事がない超レア曲でございます。リズムはオリジナルと同じポルカ。テンポは幾分速めの♩≒112(オリジナルは♩≒102)。アレンジはオリジナル版のほぼコピーですが、ティンパニやシタールを追加した独自の味付けがいいですね〜。ちょっと鼻にかかった歌声でねちっこく歌うラナ・カントレルはキレがあって軽く歌うディオンヌとかなり印象は異なりますが、好カヴァーと思います。本コンピ集の中でダントツのレコメンドでございます。

他は、ビッグバンドで速いテンポで個性的なアレンジが楽しいサイ・ゼントナーのA2.「 素晴らしき恋人たち 」、ゴージャスなオケのイントロと男声/女声コーラスの掛け合いとピアノが跳ねるエンディングのバランスが良いリヴィング・ストリングス・アンド・リヴィング・ヴォイセスのB5.「 世界は愛を求めてる 」あたりがちょっぴりレコメンドかなぁ。


【データ】
『 The Best of Burt Bacharach  "A Musical Biography" as performed by Peter Nero, Al Hirt, Lana Cantrell and other famous recording artists 』
V.A.

LP:1972年リリース
レーベル:RCA Special Products (US)
番号:PRS-410

(C) RCA Records

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2019年9月15日 (日)

Plays the best of Bacharach/APOLLO (1998年)

英国のAPOLLOというグループが1998年にリリースしたジャズのバカラック・カヴァー集です。

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1. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
2. A HOUSE IS NOT A HOME
3. THE STORY OF MY LIFE
4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
5. THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU
6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
7. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF
8. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
9. WIVES AND LOVERS
10. TRAINS AND BOATS AND PLANES

収録時間約39分


英国のAPOLLOというグループが1998年にリリースしたジャズのバカラック・カヴァー集です。

ライナーノーツに書かれているバイオグラフィーを読むと、バッハ「 主よ、人の望みの喜びよ 」をインスト・ロックにアレンジした最初のシングル「 JOY 」が1972年1月に全米6位になったこと、プロデューサーがMiki DallonでアレンジャーはTom Parkerであること…などが書かれています。でも、これらは全てAPOLLO 100という英国のインスト・バンドのこと。1971年にTom Parkerがスタジオ・ミュージシャンと結成した6人組バンドで、key.,guitarx2,bass,drums,perc.という編成。1973年に解散したそうです。

翻って本作はというと、ジャンルで言えばジャズ。クレジットにメンバーが書かれてないので確たることはわかりませんが、聴く限りピアノ、ドラムス、ウッドベース、サックス(フルート持ち替え)3人、トランペット1人という編成。裏ジャケにTom Parkerの顔写真が載ってはいるものの、APOLLO 100とは全く違うグループと思われます。

ということで、APOLLOについては謎のままです。あしからず。

全10曲。T-3.「 ストーリー・オブ・マイ・ライフ 」を除いてカヴァー定番曲ばかり。バラードのT-2.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」を別とすると、テンポ速めでホーンがブイブイ吹きリズム隊もゴリゴリくる感じの元気な演奏が多いです。聴いてて楽しくなります。こういうのばかりだと聴いてて疲れちゃう…という方にはオススメ致しかねますが。(私がそうなんですけどね)

そんななか、私のレコメンドはT-9.「 素晴らしき恋人たち 」。ハードな演奏の本編とは対照的に、3本のフルートが極上の和音で奏でるイントロ35秒間が素晴らしいです。ジャズワルツの曲なのに何故かこのイントロだけゆったりした4拍子で、しかもフェードアウトしてるんです。編集で後からイントロだけ追加したのかもしれませんね。


【データ】
『 Plays the best of Bacharach 』
APOLLO

CD:1998年リリース
レーベル:SUCCEES (UK)
番号:16313CD

Produced by Miki Dallon
Original Recordings
Tom Parker was the original arranger on the great majority of the Apollo recordings.
This Compilation (P) 1998, Elap Music Ltd.
A division of Carlton Home Entertainment (UK) Ltd.

2019年9月 8日 (日)

My Favorite Color/Jackie Allen (2014年)

米国の女性ジャズ・シンガー、ジャッキー・アレンが2014年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

7. A HOUSE IS NOT A HOME (4:17)


米国の女性ジャズ・シンガー、ジャッキー・アレンが2014年にリリースしたアルバムです。

ジャッキーは1959年ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。彼女の父はディキシーランドのジャズチューバ奏者。ジャッキーと4人の兄弟も金管楽器を嗜み、ジャッキーはホルンを吹いてたそうです。大学で歌とジャズを学んだ後、ミルウォーキー、シカゴなどを拠点に活動。1994年〜2017年に12枚のアルバムをリリース。スタジオ録音物としては約7年ぶりとなる本作は11枚目のアルバムにあたります。

─ アルバムをお買い上げいただきありがとうございます。これは何年にもわたる特別なプロジェクトでしたが、ついに完成し、皆さんと共有できることをとても嬉しく思います。楽しんで! ─ (ライナーより、ジャッキー本人談)

ジャッキーの Favorite Color が深い緑色だってことはCD聴く前に共有できましたですよ。CDジャケ見たら一目瞭然だけど、まさかこれで別の色ってことないよねー (^^;

バックはギター入りのカルテットに一部曲でホーンが加わります。ジャズ、フォーク、ポップシンガーの影響を受けたジャッキーは、ビルボード・マガジンで「まったく独特で革新的な」と評されるほどの超越的な解釈が特徴。本作は一応ジャズのカテゴリーに入りますが、バックの演奏も含めて透明感あるジャズ・バラード、コンテンポラリーなジャズ、ファンキーなR&B調、ロック風、ちょっと前衛的?なものまで解釈の幅が広いです。

んで、バカラック作品はT-7.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」。原曲の4拍子をなんと3拍子にアレンジ! ピアノ、ベース、ブラシワークのドラムスをバックに、ジャッキーは情感込めて歌っています。ほんのりファニーな風味もありつつ憂いを帯びたジャッキーの歌声に引き込まれます。いやー、これは素晴らしい! 自信を持ってレコメンドと言えます。

ここからはオマケ。MP3で所有しているジャッキー・アレンのバカラック作品をちょろっとご紹介。
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ジャッキーは2003年のアルバム『 The Men In My Life 』で「 ディス・ガイ 」(5:18)を歌っています。ギター・トリオ+トランペットをバックにゆったりしっとり歌っています。だけど、なんか普通かな。「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」の方がインパクト大ですね。


【データ】
『 My Favorite Color 』
Jackie Allen

CD:2014年リリース
レーベル:Avant Bass (US)
番号:Avant Bass 1905

Executive Producer: Hans Sturm … ジャッキーの夫
Lackie Allen - vocals
John Moulder - guitars
Ben Lewis - keybords
Hans Sturm - double bass
Dane Richeson - drums/percussion
Special Guests:
Titi Carillo - trumpet (T-2,3,5,6)
Steve Eisen - saxophone, flute (T-2,3,6,8)

2019年9月 1日 (日)

This Is FLOYD CRAMER/Floyd Cramer (1970年)

米国の男性ピアニスト、フロイド・クレイマーのLP2枚組ベスト盤。1970年にリリースしたもので、バカラック作品を6曲収録!

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全20トラック中、バカラック作品は6トラック

A2. ALFIE (2:29)
A3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:46)
B5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE (2:16)
C3. THE LOOK OF LOVE (3:09)
C5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:40)
D3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (3:16)


米国の男性ピアニスト、フロイド・クレイマーのLP2枚組ベスト盤です。

フロイド・クレイマー(1933年〜1997年)はナッシュビルでスタジオミュージシャンとして活躍。たとえば、エルヴィス・プレスリー「 ハートブレイク・ホテル 」のピアノ伴奏は彼なんですって。2003年にはカントリーの殿堂入り&ロックンロールの殿堂入りしています。その一方で、自身の名義でレコードも多数リリース。その時々のヒット曲を取り上げたもので所謂イージーリスニングの類いですね。本作は、1967年頃〜1970年までの彼のアルバムからコンパイルしたベスト盤です。

クレイマーのピアノは軽妙なタッチで明るい音色がします。イージーリスニングとの相性は良い方でしょう。

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Side1を聴いたあと裏返して”えっ?”となりました。だって、裏面がSide4なんですっ! んで、Side2の裏はSide3。なんじゃこりゃ? こんなの初めて見ました(少なくとも私は)。3枚組の時はどーなるの??

気を取り直して…。尚、Side1〜4をA〜Dに置き換えて記載しています。
1967年リリース『 Class Of '67 』に収録されていたA2.「 アルフィー 」は、ストリングスと木管とヴィブラフォンをバックにしたシンプルなアレンジです。1968年リリース『 Class Of '68 』からはC3.「 恋のおもかげ 」。ちょっとファンキーなボサノヴァ風って感じ。

同じく1968年リリース『 Floyd Cramer Plays MacArthur Park 』からは早めのテンポで軽妙に弾むB5.「 サン・ホセへの道 」とこちらも軽妙だけどやたらメロディに装飾音が付いたD3.「 ディス・ガイ 」。そして1969年リリース『 Class Of '69 』からA3.「 世界は愛を求めている 」。わりとオーソドックスなアレンジでしょうか。そして、1970年リリース『 The Big Ones - Volume II 』よりC5.「 恋よさようなら 」。コンパイルされたバカラック6曲の中では、最も彼の軽妙さが生きるアレンジだと思います。

フロイド・クレイマーは、1966年以降本作リリースまでに他にもバカラック作品 〜「 何かいいことないか子猫チャン 」「 恋のとまどい 」「 小さな願い 」「 雨にぬれても 」をレコーディングしています。本作にはコンパイルされませんでしたが、これらのうち「 何かいいことないか子猫チャン 」「 恋のとまどい 」は、BMG(UK)がリリースしたバカラック物コンピ集『 MAGIC MOMENTS the classic songs of Burt Bacharach 』などで聴くことができます。


【データ】
『 This Is FLOYD CRAMER 』
Floyd Cramer

LP:1970年リリース
レーベル:RCA Victor (US)
番号:VPS-6031

Arranged and Conducted by Don Tweedy (A2)
Arranged and Conducted by Bill McElhiney (B5,C3)
Arranged by Bill McElhiney (C5)
Remastered by Don Miller

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2019年8月25日 (日)

DYNASTY/the Jackie McLean Quintet (1990年)

米国の男性サックス奏者、ジャッキー・マクリーンがクインテット編成で1990年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

3. A HOUSE IS NOT A HOME (5:32)


米国の男性サックス奏者、ジャッキー・マクリーンがクインテット編成で1990年にリリースしたアルバムです。

ジャッキー・マクリーンは1931年NY生まれ(没年2006年)。チャーリー・パーカー派のアルトサックス奏者としてデビュー以来、常に創造的なジャズを追求したジャズ・ジャイアンツのひとり。1950年代後半〜60年代にはブルーノートやプレスティッジに多くの録音を残し、60年代前半にはフリー・ジャズにも影響を受けたそう。70年代以降はオーソドックスなプレイに回帰、ハード・バップをモダンなスタイルで表現するのが特徴なんですって。

1988年11月にハリウッドのパラマウントスタジオで録音。でも、各曲終了時には拍手や歓声が入ってたりします。スタジオライヴ的な感じだったのかしらん。ジャッキーの息子であるレネ・マクリーンがテナー/ソプラノサックス&フルートで参加(ジャケ写の右がジャッキー、左がレネです)。ジャッキー作のT-1,2、レネ作のT-5,6,8,10、Hotep Idris Galeta作のT-7,9など、メンバーのオリジナル曲が殆ど。ジャッキーのプレイは熱く激しく、特にアルバム前半は怒涛の展開。聴いてるこっちが疲れるくらい(笑)。後半はちょっと曲調が変わりアルバムとしてはバランスがなんとか取れてる感じです。

んで、バカラック作品はT-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」。テンポはこの曲にしては速い♩≒124。ですが、メロディは原曲の1小節が2小節にストレッチされてます(こういうのをハーフテンポって言うんだそう)。イントロを除いて、エンディングまでとにかくジャッキーがリードを取ってメロディからアドリヴまでねちっこくブイブイ吹きまくる。あーもう、真夏に聴くもんじゃないです。暑苦しくって💦。レネの音は聴こえず、どうやらカルテットでの演奏っぽいです。

ここからは、オマケとしてMP3で所有しているジャッキー・マクリーンのバカラック作品をご紹介。
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Jackie Mclean Quartet 名義で2018年6月にリリースされた『 MONTREAL '88 』。このアルバムにも「 A HOUSE IS NOT A HOME 」(8:04) が収録されています。アルバム・タイトル通り、1988年7月ケベック大学モントリオール校でのライヴ録音。むむっ、『 DYNASTY 』より4ヶ月前ではないですかっ。聴くと、5:15位までは『 DYNASTY 』版とほぼ同じ。ジャッキーはブイブイ吹いていてやっぱり暑苦しい(笑)。でも、その後はピアノが6:30までアドリヴを展開。このピアノがなかなかグルーブ感あって素敵です。ピアノの後にまたジャッキーがリードを奪ってあ〜あってなるのですが(笑)。ジャッキーの持ち時間を2〜3分削ってバランス的にちょうどいいくらいかもです。


【データ】
『 DYNASTY 』
the Jackie McLean Quintet - Featuring Rene McLean

CD:1990年リリース
レーベル:Triloka (US)
番号:181-2

Executive Producers: K.D. Kagel, Mitchell Markus
Produced by Paul A. Sloman
Associate producer: Freddie Redd
  Jackie McLean: Alto Sax
  René McLean: Tenor Sax, Soprano Sax, Flute
  Hotep Idris Galeta: Piano
  Nat Reeves: Bass
  Carl Allen: Drums
Recorded Nov. 5, 1988 at Paramount Studios M, Hollywood, Ca.

2019年8月18日 (日)

Promises:The Bacharach Quartets/TENSiViTY (2013年)

バーチャル弦楽四重奏によるバカラック・カヴァー集です。 (CD無し/デジタル配信のみ)

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1. PROMISES, PROMISES
2. MAKE IT EASY ON YOURSELF
3. KNOWING WHEN TO LEAVE
4. THE LOOK OF LOVE
5. ALFIE
6. I SAY A LITTLE PRAYER
7. THE APRIL FOOLS
8. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
9. REACH OUT FOR ME
10. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
11. PAPER MACHE
12. ANYONE WHO HAD A HEART
13. A HOUSE IS NOT A HOME
14. WISHIN' AND HOPIN’
15. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU

収録時間約55分


あー、猛暑がこうも続くとキーボード打つ気力も失せちゃいます(久しぶりの記事になってしまった言い訳💦)。ということで、バーチャル弦楽四重奏によるバカラック・カヴァー集です。

─ TENSiViTY presents music carefully crafted using advanced virtual digital orchestration techniques.  TENSiViTY は、アドヴァンスド・バーチャル・デジタル・オーケストレーション技術を使って入念に編み出された音楽を提供します。 ─ (TENSiViTYの公式サイトより)

TENSiViTY は Michael Myers(サンフランシスコ在住、肩書きはDirector)という人のソロ・プロジェクト。公式サイトによれば、リリース済みアルバム3作はいずれもデジタル配信のみで、本作のほかはクラシックのバーチャル弦楽四重奏ものとクラシックのバーチャル・オーケストラものがラインナップされています。

─ また、オリジナルの楽曲のカスタム・デジタル・モックアップ・レコーディングも作成します。 詳細についてはお問い合わせください。 ─   (同)

どうもこちらが本業なんじゃないですかね。アルバムは売るためというよりは広告宣伝目的でしょう。

さて本作ですが、バカラック&デイヴィッド作品定番曲から15曲をピックアップして、弦楽四重奏にアレンジしてバーチャル演奏したもの。となればまずアレンジに注目するところですが、う〜ん…微妙。イントロのアレンジは各曲で工夫が見られて高評価なのですが、本編は想像の範囲内のアレンジが多いかなぁ。その中で印象に残る曲は、バロック調のアレンジで楽しいT-1.「 プロミセス・プロミセス 」、所々の不協和音が怪しい雰囲気を作っているT-4.「 恋のおもかげ 」、ゆったりとしたリズムで弦を朗々と鳴らすT-5.「 アルフィー 」あたり。

アレンジがイマイチでも演奏が素晴らしければ聴いていてテンション上がるんですが、演奏がバーチャルですからねー。シンセを人が弾いて多重録音したのか、シンセに演奏させちゃったのか、それは私には全くわからないのですが、音色がちょっとショボくてテンション上がらないです。

オススメ致しかねます。


【データ】
『 Promises:The Bacharach Quartets 』
TENSiViTY

MP3:2013年9月28日リリース
レーベル:Tensivity
番号:?

Arranged by Michael Myers
その他クレジット詳細不明

2019年8月 4日 (日)

The Windows of the World/Len Rhodes (2019年)

米国の男性ピアニスト、レン・ロードスがピアノ・ソロで奏でるバカラック・カヴァー集です! (CD無し/デジタル配信のみ)

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1. WALK ON BY
2. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
3. A HOUSE IS NOT A HOME
4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
5. ALFIE
6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
7. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
8. MAKE IT EASY ON YOURSELF
9. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
10. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
11. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
12. I SAY A LITTLE PRAYER
13. THE LOOK OF LOVE
14. TRAINS AND BOATS AND PLANES
15. THE WINDOWS OF THE WORLD

収録時間約52分


米国の男性ピアニスト、レン・ロードスがピアノ・ソロで奏でるバカラック・カヴァー集です。

レン・ロードスの生年は不詳。彼の公式サイトによれば、13歳の時すでに英国ケント州でプロのオルガン奏者をやってたそう。ラスヴェガス、エジンバラ、パリ、ロンドンなど世界中で演奏してきたんだとか。現在は作曲家/編曲家/ピアニスト/オルガニスト/音楽監督/教育者/作家として米国と英国を拠点に活動してるみたいですよ。彼のサイトから画像を勝手に拝借しました ↓ 、悪しからず。
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どう見ても60歳は超えてるな…。彼はこれまでデジタル配信オンリーで映画音楽集、ビートルズ・カヴァー集、クリスマス・キャロル集などのピアノ・ソロ・アルバムをリリース。2019年6月リリースの本作は最新のアルバムとなります。

全15曲はバカラック・カヴァー定番曲ばかり。一聴すると軽めのイージーリスニングなのですが、所々で原曲と違うコードを使っていてオヨヨってなります。メロディもコードに合わせてちょっと高く(低く)したりして。それと、イントロだけ聴いてもわからない曲が多いですねー。T-2.「 愛の想い出 」のイントロなんて、もろバッハの平均律クラヴィーア曲集第1番第1巻だし。私がイージーリスニングに求めることの一つに“いかにイントロで騙されるか?”というのがありますが、その意味ではレン・ロードスさん、合格です(笑)。

惜しむらくは、ピアノの音色。音のアタックが甘いし、音の濁り具合が不自然。勿体無い。生ピアノじゃなくて電子ピアノなんだと思います。確たることは言えませんが…。

Amazon music にはあるのに、iTunes にはありません。何で? 私は Amazon Music Unlimited 会員なので無料で聴いてますが、これを1,500円でダウンロードするかどうかはちょいと迷います。ピアノの音色が良ければ文句言わないんですけどね。試聴してご判断くださいませ。


【データ】
『 The Windows of the World - The Songs of Burt Bacharach 』
Len Rhodes

MP3:2019年6月20日リリース
レーベル:Burning Girl (US)
番号:なし

クレジット詳細不明

2019年7月28日 (日)

Core Bacharach/Fred Fried and Core (2013年)

米国の男性ジャズ・ギタリスト、フレッド・フライドが自身のトリオで演奏したバカラック・カヴァー集です!

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1. I SAY A LITTLE PRAYER
2. THE LOOK OF LOVE
3. WALK ON BY
4. WIVES AND LOVERS
5. MAKE IT EASY ON YOURSELF
6. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
7. A HOUSE IS NOT A HOME
8. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
9. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
10. ANYONE WHO HAD A HEART
11. ALFIE

収録時間約65分


米国の男性ジャズ・ギタリスト、フレッド・フライドが自身のトリオで演奏したバカラック・カヴァー集です!

フレッド・フライドは1948年12月 NY生まれ。作家志望だった彼は英語専攻で大学に入ったものの、ギターに夢中になります。大学卒業後はLAで5年間過ごすのですが、その間に7弦ギターの大家である George Van Eps に半年間師事。彼は7弦ギターを弾くようになりその後NYに戻って様々なミュージシャンと共演。現在は8弦ギターに移行してマサチューセッツ州ケープコッドを拠点に活動しています。

自身のトリオ Fred Fried and Core の残り2人もマサチューセッツ州在住で、ベースの Michael Lavoie とドラムスの Miki Matsuki。ん?、ドラムスは日本人なのか? 経歴を調べたところバークリー音楽院とロンジー音楽院(いずれもマサチューセッツ州ボストンの学校)卒、ボストンで活躍している日本人ミュージシャンとのことです。
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11作目のリーダー作(Fred Fried and Coreとしては3作目)で取り上げた11曲は、バカラック&デイヴィッドコンビのカヴァー定番曲ばかり。フレッドは自らライナーでこう書いています。

─ 私はバート・バカラックを最も尊敬しています。彼の曲が大好きです。彼の曲は、いかなる定義にせよスタンダードであり、さまざまな解釈に耐えることができます。したがって、ジャズギタリスト、作曲家、そしてアレンジャーとして、私はボーカリストをマイナスして演奏しただけの単なるインストゥルメンタル・バージョンにはしたくありませんでした。実際、私がこのプロジェクトに参加したのは、自身の音楽プリズムを通してバカラックの作品を輝かせ、その結果どうなるかを知りたかったからです。 ─

志が高いですねー。そして、聴いてみるとそれが口だけじゃないことがわかります。

アレンジは創造性に富み、軽快で、透明な空気感を備えつつ熱いところはしっかり熱い、そんな演奏です。イントロだけ聴いても何の曲かわからなかったりします。どの曲もオススメですが、個人的なレコメンドをいくつか挙げてみます。1曲めのT-1.「 小さな願い 」、50秒間あるイントロのうち35秒くらいまでは全く何の曲だかわからないのに、違和感なくディオンヌ版のイントロに繋がるアレンジに唸っちゃいました。T-5.「 涙でさようなら 」の冒頭(後半にもあり)、ギターの伴奏でベースがメロディを爪弾くのですが、その何とも言えない静謐な暖かさが素敵なんですよね〜。T-6.「 何かいいことないか子猫チャン 」では拍子やリズムがコロコロ変わるのですが、それがもうカッコよくてカッコよくて。中間部から後半にかけてのギターやベースのアドリヴも最高です。

この曲だけギター・ソロのT-11.「 アルフィー 」はフレッドのバカラックへの想いが最も伝わってきます。  ─ 私は何年もの間「 アルフィー 」を演奏してきましたが、このレコーディングのために、そしてソロのギター・ピースとして、私はフル8弦での演奏にチャレンジしました。 ─   実際、フレッドは2作目のアルバム『 Out of My Dreams 』でも「 アルフィー 」を取り上げています(7弦ギター、トリオで)。それは公式サイトで聴けるのですが、本作の「 アルフィー 」の方がよりパーソナルに感じます。

非常に中身の濃い、素晴らしいバカラック・カヴァーだと思います。BGMにもいいですね。


【データ】
『 Core Bacharach 』
Fred Fried and Core

CD:2013年7月6日リリース
レーベル:Ballet Tree Jazz Production (US)
番号:なし

Produced by Fred Fried
All songs written by Burt Bacharach and Hal David
Fred Fried - 8-string guitar, Arranger
Michael Lavoie - Bass
Miki Matsuki - Drums
Recorded March and April 2013 at PBS Studios, Westwood, MA
Recorded, mixed and mastered by Peter Kontrimas

2019年7月21日 (日)

Introducing Lynn Marino/The Frank Cunimondo Trio (1971年)

フランク・カニモンド・トリオがリン・マリノをフィーチャーして1971年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全10トラック中、バカラック作品は1トラック

3. A HOUSE IS NOT A HOME (4:06)


フランク・カニモンド・トリオがリン・マリノをフィーチャーしてカニモンド自身のレーベルから1971年にリリースしたアルバムです。

フランク・カニモンドは1934年ピッツバーグ生まれ(まだご健在の様子)のジャズ・ピアニスト。若い頃はマイアミやニューヨークで演奏したけれどその後ピッツバーグに戻って活動。ウィキによれば、そのスタイルはしばしばビル・エヴァンスと比較されるそうです。

リン・マリノはやはりピッツバーグの女性ジャズ・シンガー。ジャズ・ベーシストを父に持ち、12歳から地元で歌ってたそう。1966年に高校を卒業した後、彼女はピアノも弾けるみたいで自身のトリオで米国内を転々。1968年にピッツバーグに戻り、彼女にとって最初のレコーディングとなったのが本作でした。

私はお二人のこと全く知らなかったのですが、色々なレコード通販サイトや個人のジャズ系ブログで本作は人気作として紹介されています。まずはリン・マリノのハスキー&ノンビブラートで甘えた歌声。ピッツバーグのブロッサム・ディアリー、日本で言えばYOU、だいたいそのような形容詞が付いてます。その手の歌手が好きな人にとってはもうタマらん、というコトみたいですね。曲的には、ロジャー・ニコルズのカヴァー2曲 〜 T-1.「 LOVE SO FINE 」とT-10.「 WE'VE ONLY JUST BEGUN 」の評価が高いです。それにT-6.「 FEELIN' GOOD 」も。私もロジャ・ニコの2曲が本作の白眉だと思います。特にファンキーでノリが良い「 WE'VE ONLY JUST BEGUN 」はサイコーっす。

んで、バカラック・カヴァーはT-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」。ピアノのブロック奏を主体とした4ビートのシンプルな演奏をバックに頑張って歌うリン嬢。ロングトーンの音程が微妙に不安定だし、適度に抜くような歌い方がまだ身についてない感じ。表現力が要求されるこの曲はちょっと厳しいかなぁ…と思った次第。

所有のリイシューCDは1997年のオランダ盤なんですが、ジャケットが変わり果てて…。何ですかあのジャケットの男性は。お前は引っ込んでろっ!って怒鳴りたくなります。安かったらからまぁしゃあないですが(苦笑)。

因みに、フランク・カニモンド・トリオは1969年のアルバム『 The Lamp Is Low 』でバカラックの「 アルフィー 」をカヴァーしています。まだ聴いたことないので、いつか聴いてみたいです。


【データ】
『 Introducing Lynn Marino 』 (所有リイシューCDのタイトルは『 Feelin' Good 』)
The Frank Cunimondo Trio   (所有リイシューCDは、The Frank Cunimondo Trio featuring Lynn Marino)

LP:1971年リリース (所有リイシューCDは、1997年リリースのオランダ盤)
レーベル:Mondo (US)   (所有リイシューCDは、Movieplay Music)
番号:M-103   (所有リイシューCDは、MPV 100401)

Executive-Producer - Frank A. Cerra
Production Coordinator - Frank Cunimondo
Arrangements & Musical Director - Frank Cunimondo
Vocals - Lynn Marino
Piano - Frank Cunimondo
Bass - Mike Taylor
Drums - Roger Humphries

2019年7月14日 (日)

TO HAL AND BACHARACH/V.A. (1998年)

オーストラリアの若手アーティスト達によるバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Rebecca’s Empire 〜  F
2. WALK ON BY  〜 The Mavis’s 〜  FM
3. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  〜 Leonardo’s Bride 〜  F
4. TRAINS AND BOATS AND PLANES  〜 The Dumb Earth 〜  M
5. THE LOOK OF LOVE  〜 Lisa Miller And Tex Perkins 〜  FM
6. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Cordrazine 〜  M
7. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 Frank Bennett 〜  M
8. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 The Whitlams 〜  M
9. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 Regurgitator 〜  M
10. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 The Avalanches 〜  M
11. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Kim Salmon & The Surrealists 〜  M
12. 24 HOURS FROM TULSA  〜 Chris Wilson 〜  M
13. WIVES AND LOVERS  〜 Kiley Gaffney 〜  F
14. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 The Earthmen 〜  M
15. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 The Blackeyed Susans 〜  M
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Billy Baxter 〜  M
17. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  〜 Kiiva 〜  F
18. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Dave Graney and Clare Moore vs The Dirty Three 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約70分


アルバムタイトルを見てデジャヴを感じました。前回紹介したメラニー・パリーのバカラック・カヴァー集が『 To Hal & Bach 』でしたからねぇ。ということで、オーストラリアの若手アーティスト達によるバカラック・カヴァー集です。

リリースは1998年。18組のアーティストがバカラック/デイヴィッド作品をそれぞれ1曲ずつカヴァー。誰それ? 何そのバンド名? のオンパレードですが。

─ 日曜の夜にクリスタとカフェで仕事していたら『明日に向って撃て!』のサントラが流れた。それをきっかけに、バカラックの音楽にどう親しんできたかを語り始めた。痛切に訴えかけてくるハル・デイヴィッドの歌詞にも話が及んだ。先人と同様、2人は彼等の音楽に大きな影響を受けていたんだ。そこから、オーストラリアのアーティストによるバカラック/デイヴィッドのカヴァー・アルバムを作ることを思いついた。(中略)レコーディングするなら今だと思った。オーストラリアの才能を信じている。でも、どうしたら良いんだ? 期待している母がいた。そして、熱心なバンドマネージャーがいた。みんなの熱意でハードルを飛び越えた。 ─ (ライナーの一部を要約、私の超意訳で)

記載ないのでわかりませんが、ライナー執筆者は3人いるエグゼクティヴ・プロデューサーのうちの1人と思われます。その後、紆余曲折があったものの1年半後に本作が実現!

CDケースの透明なトレイの下にキャッチコピーが書かれていました。オーストラリア人としての矜持を感じます。
─ Austrlian Adventures Into The World Of Hal David nd Burt Bcharach ─

各アーティストをDiscogsでチェックしてみましたが、パワーポップ、オルタナ・ロック、ポップ・ロック、ガレージ・ロック、ヒップポップ、ハウス、アート・ロック、ブリット・ポップ、フォーク・ロック、ブルース、ジャズ…といった様々なジャンル/スタイルの面々。聴いてみるとユニーク且つ意欲的なアレンジ&パフォーマンスが目白押し。逆に言うと、オーソドックスなカヴァーが1曲もない。1曲もですよ! …いやぁ、確かにAdventures(複数形だから冒険談とかそんな意味か?)ですねー。

私のレコメンドは、メロディ崩しまくり且つ「 タブー 」のようなサックスがヤバいT-4.「 汽車と船と飛行機と 」、ブルース調でクールなのに崩した男性ヴォーカルがカッコイイT-6.「 雨にぬれても 」、原曲の楽しさをチャールストン風のアレンジで更に楽しくしたT-7.「 何かいいことないか子猫ちゃん? 」、4拍子の原曲を6/8拍子のブリット・ポップ調にアレンジして男性がドリーミーに歌うT-14.「 恋のとまどい 」、鳥の声が聴こえたりアンビエントで素朴な肌触りのバックに男性シンガー(Dave Graney)の味わい深いしゃがれた歌声が妙にマッチするT-18.「 世界は愛を求めている 」、などなど。

他にもユニークなアレンジの曲が多いです。中には、全く原曲がわからないT-10.「 サン・ホセへの道 」やメロディはわかるけど音程が一定のT-3.「 ディス・ガール 」など不思議ちゃんもありますが。

あっ、そうそう。T-18.のアーティストの1人である Dave Graney が今年(2019年)1月こんなツィートをしていました。
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─ 1997年、バート・バカラックと一緒に。Clare Moore と私は The Dirty Three と一緒に「 世界は愛を求めている 」を演奏した。トリビュート・コンピ集のためだ。この写真はバートのショーの直後で、私は彼を前に恥ずかしく決まり悪そうにしている。私は今夜、Hobart の Homestead で恥知らずにもソロをやっている。 ─

写真をよく見ると、トリビュート・コンピ集(本アルバム)のCDケースが写ってます。思わずオーっとなりました。ただ、この写真は1997年じゃなくて1998年だと思います。1997年はまだリリースされてませんからね…。

日本のAmazonじゃ取り扱ってないしMP3にもなってないのでレアなアルバムではありますが、見つけたらゲットされることをオススメします。


【データ】
『 TO HAL AND BACHARACH 』
V.A.

CD:1998年リリース
レーベル:wea / Warner Music Australia
番号:3984228212

Executive Producers: Kurt Luthy, Christa Mitchell and Melissa Whebell @ Talking Stick.
クレジットは ↓ をどうぞ!(転記面倒なので横着しました)
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※ 日本の Amazon での取り扱い無し(因みにオーストラリアのAmazonでも見つからず)

2019年7月 7日 (日)

To Hal & Bach/Melanie Parry (2007年)

オーストラリアの女性シンガー、メラニー・パリーが2007年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
4. WISHIN' AND HOPIN’
5. A HOUSE IS NOT A HOME
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
7. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
8. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
9. THE LOOK OF LOVE
10. ALFIE
11. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
12. ANYONE WHO HAD A HEART
13. I SAY A LITTLE PRAYER
14. DON'T MAKE ME OVER
15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約51分


オーストラリアの女性シンガー、メラニー・パリーが2007年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

メラニーはシドニー生まれ(生年不詳。FBには1970年大学入学と出てたので1952年頃の生まれ?)。11歳の時にはすでに舞台に立ったそうですが、女優・歌手としてのキャリアは1976年頃から。基本的な活動拠点はオーストラリアですが、英国/ラスヴェガス/ニュージーランドでも公演してるそう。現在は『 VERA, The Magic of Dame Vera Lynn 』『 Judy Garland Story - A Life In Song 』『 Bacharach & Friends 』と銘打った3種類のショーを各地の劇場で行なってます。

ショーそれぞれに対し彼女はプロモーション用のアルバムをリリースしていて本アルバムはその一つ。ちなみに↓写真は『 Bacharach & Friends 』ショーのひとコマです。ピアノ&シンセ、ダブルベース、ドラムス、トランペットをバックに歌ってます。
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本作は全15曲。カヴァー定番曲ばかりで、しかもバカラック&デイヴィッド作品のみをチョイス。アルバムタイトル通りですね。

ブライト、パワフル、いかにもミュージカル女優的なビブラート。メアニーの歌声を形容するとすればそんな感じ。アレンジはいずれもその曲の先人バージョンをベースにしています。15曲のうち11曲は'60年代〜'70年代の定番バージョンですが、T-2.「 雨にぬれても 」は英国チャート1位となったサッシャ・ディステル版、T-4.「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」はぺトゥラ・クラークの2002年ライヴ版、T-9.「 恋のおもかげ 」はダイアナ・クラール版、T-13.「 小さな願い 」はダイアナ・キングの Love To Infinity's Classic Radio Mix 版を元にしています。でもまぁ、全体的にはワクワクドキドキ感の薄い常識的なアレンジと言えます。

とっても残念なのがバックの演奏。ピアノ系、Eベース、ドラムス、一部曲で聴かれるサックス・ソロやと女性コーラス。ここまではいいんです。他にストリングスやブラスを全てシンセ系で賄ってるんですが、これがチープ過ぎるんですねー。音色にしてもアーティキュレーションにしても。いやもう興ざめっすよ。今時シンセ使ってももう少しマシなもの演れるでしょ!

メラニーは頑張って歌ってるんですが、そういった理由で積極的にはオススメ致しかねます。ごめんねメラニー。

尚、2007年当時はCDでリリースされたようですが現在入手可能なのはMP3だけ。私もMP3しか所有していません。


【データ】
『 To Hal & Bach a tribute to the music of Burt Bacharach & Hal David
Melanie Parry

CD:2007年リリース (所有MP3は2017年リリース)
レーベル:Independent Music
番号:?

クレジット詳細不明

2019年6月30日 (日)

sings Bacharach/Laura Avanzolini (2019年)

イタリアの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ローラ・アヴァンゾリーニが2019年6月にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

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1. ANYONE WHO HAD A HEART
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
3. THE LOOK OF LOVE
4. WIVES AND LOVERS
5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. THE APRIL FOOLS
8. I SAY A LITTLE PRAYER
9. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
10. BABY IT'S YOU

収録時間約49分


イタリアの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ローラ・アヴァンゾリーニが今月(2019年6月)リリースしたばかりのバカラック・カヴァー集です!

ローラの公式サイトによれば、彼女は1985年生まれ。えぇと今年で34歳ですね。最初はギターやピアノに取り組んだけど、歌とジャズに転向したそうです。2013年から数枚アルバムをリリース。2015年からは、ジャス・シンガーのクラスを持って教えてるんだとか。

バックはセクステットで、ピアノレスのトリオ(ギター、ウッドベース、ドラムス)+ホーン3人という編成。ホーンが3本もあるとやはり賑やかですねー。CDの裏ジャケにメンバーが勢揃いしてますが、1人を除いて髭生やしてていかにも伊太利亜って感じ(笑)。

取り上げたバカラック・ナンバーは有名曲ばかり10曲。アレンジは実にバラエティ豊か。よく言えば意欲的ですが、やりすぎと感じる曲もチラホラ。でもそれが狙いなのかもしれません。ありきたりのバカラック・カヴァー集にはしないぞ、と。

T-3.「 恋のおもかげ 」は冒頭ウッドベースのアドリブが1分間続き、それからイントロがスタート。階段状のベース、タイトなリズム、ホーンによる和音がカッコイイ。最初はクールに、だんだん熱を帯びてまたクールに戻るローラの歌いっぷりとバックがうまくマッチングしてます。T-7.「 エイプリル・フールズ 」でも冒頭アコギがソロでメロディを約50秒間変奏。本編に入ると、8分音符で和音をきざむアコギ、間奏でのトランペットやギター等のアドリヴ、ローラの歌唱とハモるホーンがなかなかに独創的。ゆったりしたグルーヴ感が大人な感じです。

T-8.「 小さな願い 」では今度はドラムスが約1分間アドリヴ。本編に入ると、最初はハンドクラップ(2拍目と4拍目)、続いて16ビートのリズムに乗ってホーン群によるメロディ+アドリヴ。フェイクを交えたローラのヴォーカルも見事。これもなかなかに独創的です。T-9.「 雨にぬれても 」は一転、ゆったりしたバラード調にアレンジ。中間部でのトロンボーンのメロディ・ソロは自分も吹いてみたいと思いました。後半はドラムスのリズムが強くなり、トランペットのアドリヴがまたイイ感じでございます。

以上4曲が私のレコメンドです。

T-5.「 愛のハーモニー 」はリズムなしの前半部でボウイング奏法のダブルベースがなんともイイ雰囲気なのですが、リズムが入ってからの後半が凡庸ですかね。ところどころで4拍子+3拍子の変拍子を繰り返すT-6.「 恋よさようなら 」もユニーク。一方、1コーラス目難しいリズムに乗せて歌うT-2.「 遥かなる影 」、デキシーランド・ジャズ風のT-10.「 ベイビー・イッツ・ユー 」あたりはやりずぎ感強めです。あくまでも私の主観ですが。

クセが強いけれど意欲的な本アルバム、ジャズというジャンルにとらわれないで聴いてほしいです。


【データ】
『 sings Bacharach 』
Laura Avanzolini

CD:2019年6月13日リリース
レーベル:Koiné / Dodicilune (IT)
番号:KNE035

Produced by Laura Avanzolini, Walter Pignotti, Michele Sperandio
All original arrangements by Michele Francesconi
  Laura Avanzolini - vocals
  Giacomo Uncini - trumpet, flugelhorn
  Antonangelo Giudice - tenor saxophone, clarinet
  Paolo Del Papa - trombone
  Walter Pignotti - guitars, banjo
  Tiziano Negrello - double bass
  Michele Sperandio - drums
Recorded 30th, 31st October 2018 at Marzi Recording Studio,Riccione, Italy

2019年6月23日 (日)

Still in Love: Songs of Bacharach/Julian Yeo (2016年)

米国の男性ジャズシンガー、ジュリアン・ヨーがアコギだけをバックに歌ったバカラック・カヴァー集です。(CD無し/デジタル配信のみ)

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1. PAPER MACHE
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
4. ANYONE WHO HAD A HEART
5. THIS HOUSE IS EMPTY NOW
6. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
8. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
9. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
10. THE LOOK OF LOVE
11. ONE LESS BELL TO ANSWER
12. A HOUSE IS NOT A HOME
13. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約42分


米国の男性ジャズシンガー、ジュリアン・ヨーがアコギだけをバックに歌ったバカラック・カヴァー集です。2016年リリースで、デジタル配信のみです。

彼の公式サイトを見ても生年はわからず。2006年に最初のアルバムをリリースし、本作が8作目のアルバムとのこと。アートワークから判断するに、本作リリース時で30歳半ば〜40歳くらいでしょうか? ニューヨークでジャズ/キャバレー歌手をしているそうです。ビング・クロスビー、フレッド・アステア、初期のシナトラあたりが彼のお気に入りで、彼らをリスペクトしつつ現代風にアレンジして歌っているんだとか。

それじゃなんでバカラック集なん? という疑問がムクムクと湧いてくるわけですが、まぁそれは吹き消しちゃいます💨。

全13曲のほとんどはカヴァー定番曲ですが、T-1.「 ペイパー・マシェ 」やコステロとの共作曲T-5.「 ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ 」といったシブい曲をチョイスするあたりはセンスいいですね。

豊かなバリトンで若干ザラついたジュリアンの歌声は、まったりしたアコギの伴奏にもマッチしてます。ジャズの感じは薄いかな。それはいいんですが、1曲めから13曲めまで同じトーン・同じ曲調・同じ歌い方なので聴いてると正直怠くなってきます。アコギの奏法にもっとバリエーションがあるとまた違ってくるのかもしれませんが…。1曲だけ独立して聴く分にはいいんですけどね。ジュリアンやギター奏者がどうこうというより、プロデュースの問題でしょう。

レコメンドを挙げるとすれば、感情こもった歌唱のT-5.「 ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ 」と、同じく気持ちの入った歌唱とギタープレイが光るT-12.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」の2曲でしょうか。おっ、どちらも家を題材にした曲! ジュリアンは家🏠に何か思い入れでもあるのかしらん。

どうせならピアノ・トリオ(ギター・トリオでもいいから)で聴いてみたかったです。


【データ】
『 Still in Love: Songs of Bacharach 』
Julian Yeo

MP3:2016年12月16日リリース
レーベル:Yeomo Productions (US)
番号:?

Vocals - Julian Yeo
Guitar - Tony Romano

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し。iTunesや米国Amazonで購入可能

2019年6月16日 (日)

she's back/Dionne Warwick (2019年)

ディオンヌ・ワーウィックが先月リリースしたばかりのアルバムです。バカラック作品2曲を新たにリメイク!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Disc1
全15トラック中、バカラック作品は2トラック

12. IF I WANT TO (4:34)
15. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (4:50)  〜 ft. Jubilation Choir 〜 

Disc2  …  <ボーナス・ディスク>
1998年リリース『 DIONNE SINGS DIONNE 』のリマスター盤
(但し、曲順は Original CD と若干異なっています)


ディオンヌ・ワーウィックが先月(2019年5月)リリースしたばかりのアルバムです。

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─ She's Back!  ディオンヌ・ワーウィックが戻ってきた。だが、今年で79歳を迎えるディオンヌは“戻ってくる”必要がないくらい今も現役で活動を続けている。2015年の来日公演で元気な姿を見せてくれたことも記憶に新しい。作品もコンスタントに出してきた。近年は、2012年にデビュー50周年を記念した『 Now 』、2014年にデュエット・アルバム『 Feels So Good 』を発表。ただ、この四半世紀くらいは最近の2作を含めセルフ・カヴァー集が中心で、他にもブラジル音楽やゴスペルなどをテーマにした企画色の強いアルバムが多かった。(中略)今作『 She's Back 』は前作から5年ぶりであることに加え、セルフ・カヴァーを含めてソウル/R&Bの曲を歌った作品ということで、“R&Bに意識的になったディオンヌが戻ってきた”と解釈すれば<She's Back>というタイトルにも納得がいく。 ─  (林 剛氏、ライナーノーツより)

以上、アルバムの概要でした(手抜き💦)。

ここで1998年以降のリメイク集やデュエット集をリリース順にリストアップ。( )は略称、"  " は新たに録音したバカラック作品の曲数です。
① 1998年『 DIONNE SINGS DIONNE 』(DSD)"8曲"
② 2000年『 DIONNE SINGS DIONNE Ⅱ 』(DSDⅡ)"9曲"
③ 2006年『 MY FRIENDS & ME 』(F&ME)"9曲"
④ 2012年『 NOW 』"10曲"
⑤ 2014年『 FEELS SO GOOD 』(FSG)"6曲"

ヒップポップ系のアレンジが目立つ①『 DSD 』、コンテンポラリーな味付けの②『 DSDⅡ 』、全て女性とのデュエットでヒップポップ風味の③『 F&ME 』、②に近いコンセプトだけど意欲的な選曲が光る④『 NOW 』、スタイルにこだわらず老若男女とデュエットした⑤『 FSG 』。…手を替え品を替えといった感じでしょうか。前述の林氏は<She's Back>というタイトルに納得されたようですが、私の感覚としては<She's Back Again>…えーっ、またかって感じですね(苦笑)。

本アルバムはボーナス・ディスクとして『 DSD 』のリマスター盤を付属しているのですが、本アルバムでリメイクしているバカラック作品2曲はこの『 DSD 』以来のリメイク。早速聴き比べてみましょう。

T-12.「 イフ・アイ・ウォント・トゥ 」は超レア曲。オリジナルはサンディ・パティ(1994年『 FIND IT ON THE WINGS 』)で、ディオンヌが『 DSD 』でカヴァーしたもの。『 DSD 』版と同じテイストの生ストリングス入りスロー・バラードに仕立てられていて、テンポは『 DSD 』版の♩≒65に対して♩≒64とほぼ同じ。ですがキーは二度半低く、全体的に声が細くて最高音のG♯なんて声が掠れてちょっと辛そう。編集段階で色々修正はしてるのでしょうが、それでもコレですからね。20年の歳月を突きつけられました、残念。

T-15.「 世界は愛を求めている 」はジャッキー・デシャノンがオリジナルのバカラック・カヴァー定番曲。ディオンヌにとっては曰くつきの曲ですね(こちら)。『 DSD 』版はヒップポップ系のアレンジで共演者のラップが全面的にフィーチャーされたものでしたが、本作ではクワイヤをフィーチャーしたゴスペル仕立て。コレは良いです! ディオンヌが最初に歌った1966年の『 HERE WHERE THERE IS LOVE 』版と比べてキーは二度低いだけなんですが、最高音のGもしっかり出ていて声に力強さを感じます。「 イフ・アイ・ウォント・トゥ 」とは大違い。これはリメイクした価値が十分あります(エラそうにスミマセン)。

他の曲についても少しばかり触れます。全15曲のうち、10曲がカヴァーで、バカラック作品の2曲を含む5曲(T-5,10,12,13,15)がリメイク。それぞれ異なる男性シンガーと6曲(T-1,3〜6,10)でデュエット。まぁ、確かにR&B調の曲が多いです。ただ、ディオンヌのノリはイマイチ。年齢考えたら無理もないかな…。ディオンヌが本当に歌いたかったのか…私は疑問に思います。

💡拙ブログでは、過去自身が歌った曲のカヴァーをリメイクと呼び、他人に提供した曲を自身でカヴァーすることをセルフ・カヴァーと呼んで区別しています(但し、ライナーノーツは本文ママ)。ややこしいですが、悪しからず。


【データ】
『 she's back 』 (邦題:シーズ・バック)
Dionne Warwick

CD:2019年5月17日リリース (所有CDは、同年5月22日リリースの日本盤)
レーベル:Kind music / Entertainment One (US) (所有CDは、ビクター・エンタテインメント)
番号:ECM-CD-46085 (所有CDは、VICP-65526〜7)

Executive Producer:Dionne Warwick, Damon Elliott, Alan Grunblatt, Maurice White
Produced by Damon Elliott and Teddy Harmon (T-2〜5,7〜9,13)
Produced by Damon Elliott, Teddy Harmon and Musiq Soulchild (T-1)
Produced by Damon Elliott (T-15)
Produced by Brian McKnight and Damon Elliott (T-6)
Produced by Rob Shrock (T-10,12,14)
Produced by Brenda Russell (T-11)

T-12. Written by Burt Bacharach and Will Jennings
T-15. Written by Burt Bacharach and Hal David

2019年6月 9日 (日)

Plays Bacharach/Bengt Hallberg (1971年)

スウェーデンのジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルクが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. MY LITTLE RED BOOK
A2. AS LONG AS THRER'S AN APPLE TREE
A3. MAGIC POTION
A4. ANYONE WHO HAD A HEART
A5. THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU
A6. SATURDAY SUNSHINE
B1. 24 HOURS FROM TULSA
B2. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS
B3. TURKEY LURKEY TIME
B4. WALK LITTLE DOLLY
B5. UPSTAIRS

収録時間約33分


スウェーデンのジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルクが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

ベンクト・ハルベルクは1932年スウェーデンのヨーテボリ生まれ(2013年没)。初レコーディングは1949年、もちろんSPレコードの時代です。その後、彼はスウェーデンを代表するジャズ・ピアニストとなりました。

編成は、ピアノ・トリオ+アコギのカルテット(5曲)、ピアノ・トリオ(4曲)、ピアノ・ソロ(2曲)の3種類。澄んだ空気感と明るい色調のサウンドがリラックスした雰囲気を醸し出します。スウェーデンで録音したら皆そうなるのでしょうか?

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それにしても、カヴァー定番曲の少ないこと! おそらくこれまでで最もマニアックな選曲のバカラック・カヴァー集だと思います。全11曲のうちカヴァー定番曲はA4.「 恋するハート 」とA5.「 ディス・ガイ 」だけ。A1.「 マイ・リトル・レッド・ブック 」とB1.「 タルサから24時間 」もそこそこカヴァーされてますが、それ以外は超レア曲ばかり。特にA2.「 アズ・ロング・アズ・ゼアズ・アン・アップル・ツリー(リンゴの木がある限り)」とB4.「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」は初めて聴くカヴァー。でも、いい曲をチョイスしてます。

ということで、1曲ずつ簡単にコメントします。

A1.「マイ・リトル・レッド・ブック 」はカルテットでの演奏。アコギによるクールなメロディとノリの良いリズムが印象的です。A2.「 アズ・ロング・アズ・ゼアズ・アン・アップル・ツリー(リンゴの木がある限り)」はピアノ・トリオによる演奏。オリジナルはディオンヌ(こちら)。原曲の小粋さを無くさずにゆったりしたシャッフルのリズムでカヴァーしています。これ、レコメンドです。A3.「 マジック・ポーション 」もピアノ・トリオ。軽快なテンポで賑やかな演奏です。A4.「 恋するハート 」はカルテットでの演奏。若干インタープレイ的な印象を受けます。A5.「 ディス・ガイ 」はピアノ・トリオ。1コーラス目は退屈ですが、2コーラス目でのアドリヴはいい感じ。A6.「 サタデイ・サンシャイン 」はピアノ・ソロ。コロコロしたピアノの音色と弾むようなリズム。聴いててウキウキしてきます。レコメンドです。

B1.「 タルサから24時間 」はカルテットでの演奏。原曲の4拍子をラテン調のジャズワルツにアレンジ。大胆ですねー。B2.「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」はピアノ・ソロ。オリジナルはブライアン・フォーリー(こちら)。とても美しい演奏で、後半いつの間にかワルツになってるところも素晴らしい。レコメンドです。B3.「 ターキー・ラーキー・タイム 」はピアノ・トリオ。だんだん盛り上がって、途中ベースのアドリヴで一旦クールダウンし、また盛り上がる構成に唸りました。この曲のジャズなんて想像もしませんでした。レコメンドです。B4.「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」はカルテット。オリジナルはディオンヌ(こちら)。ゆったりまったり、アコギとピアノの掛け合いが心地良いです。B5.「 二階の僕の部屋 」もカルテット。後半の疾走感が堪りません。

Discogsでスウェーデンのレコード屋さんから購入。昨日届いてすぐ聴いて、早速紹介した次第。是非リイシューCD化(いやMP3でもいいから)して欲しいアルバムです。


【データ】
『 Plays Bacharach 』
Bengt Hallberg

LP:1971年リリース
レーベル:Polydor (SW)
番号:2379 022

Executive Producedr:Ivan Nordstrøm
Piano:Bengt Hallberg
Guitar:Rune Gustafsson
Bass:Red Mitchell
Drums:Egil Johansen
Recorded at Europafilm Studios, Sundbyberg, Sweden, April 13th and 16th 1971 by Polydor AB, Stockholm, Sweden

※ 日本の Amazonでの取り扱いは無し

2019年6月 2日 (日)

And I Love You So/The Mike Sammes Singers (1974年)

英国のバックコーラス・グループ、マイク・サムズ・シンガーズが1974年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

B4. KNOWING WHEN TO LEAVE (3:14)


英国のバックコーラス・グループ、マイク・サムズ・シンガーズが1974年にリリースしたアルバムです。

マイク・サムズは1928年イングランドの生まれ(2001年没、享年73歳)。バカラック爺と同年生まれですね。セッション・シンガー/ヴォーカル・アレンジャーとして活躍した彼が結成したのがマイク・サムズ・シンガーズでした。
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─ マイク・サムズ・シンガーズがテレビの曲を好み人気のテレビ番組の多くでフィーチャーされているのは、もう当たり前のことですね。実際に「Sunday Night at the London Palladium(英国のTVバラエティ番組)」ショーに出演したことのある人は、世界のそうそうたるアーティスト達の「バック・グループ」として左上のステージボックスにいる彼らを見たことがあると思います。 デ・オコナー、トム・ジョーンズ、エンゲルベルト・フンパーディンク、ハリー・セクーム、ぺトゥラ・クラークなどが彼らのハーモニーの恩恵を受けています。これらのシリーズのすべてで、このメロディアスなセクステット(男性3人、女性3人)はなくてはならない存在なのです。
今ここに彼らのレコードがあります。素晴らしい曲ばかり、それをあなたは好きなときにいつでも聴くことができるのです。マイク・サムズ・シンガーズのサウンドはいつも素晴らしく、このアルバムも期待に違わぬ出来です。 ─(本アルバムジャケ裏のライナーノーツより)

テキトーに訳してます。あしからず。

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マイク・サムズが全曲でアレンジと指揮を担当。ソフトタッチで美しいハモりを聴かせるコーラス・ワーク、派手さはないけれどコーラスを引き立たせるオブリガートが心地よいオーケストラ・アレンジ…。よくあるイージーリスニングものとは一線を画すアルバムだと思います。

1971〜1973年頃のヒット曲や英国TV番組の曲を中心に選曲してるようです。んで、バカラック・カヴァーはB4.「 去りし時を知って 」。ミュージカル『 Promises, Promises 』の中の曲ですが、ここでは1971年のカーペンターズのアルバム『 Carpenters 』に収められた「 BACHARACH/DAIVID MEDLEY 」の初っ端約1分半に流れる「 去りし時を知って 」を元にしたカヴァーとなっています。カーペンターズ版を元にしたこの曲のカヴァーって、他には無いような気がします。

キーはカーペンターズ版と同じで、テンポは元々速いカーペンターズ版(♩≒185)よりも速い♩≒200。カーペンターズ版ではサビの部分だけだったハモりも、至る所で聴けます。テンポに乗ったキレのあるコーラス・ワークがとにかく素晴らしい! それに、間奏部分で流れる金管やストリングスのオブリガートがまた素敵なんですよねー。超レコメンドです!

他の曲では、スティービー・ワンダーのB1.「 サンシャイン 」、ドン・マクリーンのB5.「 ヴィンセント 」あたりがレコメンド。特に「 ヴィンセント 」は美しいお花畑にいるようなアレンジ&ハーモニーが素敵です。

YouTubeに上がっていますので、興味ある方は是非聴いてみて下さい。


【データ】
『 And I Love You So 』
The Mike Sammes Singers

LP:1974年リリース
レーベル:Sounds Superb / EMI Records (UK)
番号:SPR 90015

Produced by Walter J. Ridley
Arranged and Conducted by Mike Sammes

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2019年5月26日 (日)

The Crooner Sings Bacharach/Richard Poon (2014年)

フィリピンの男性シンガーソングライター、リチャード・プーンが唄うバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
2. THE LOOK OF LOVE
3. A HOUSE IS NOT A HOME
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
5. ALFIE
6. WALK ON BY
7. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
8. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
9. SAY A LITTLE PRAYER
10. DON'T MAKE ME OVER
11. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
12. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

収録時間約43分


フィリピンの男性シンガーソングライター、リチャード・プーンが2014年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

リチャード・プーンは1973年フィリピン生まれ。ジャケ写からもわかるように中国系のお方です(ご両親は香港と台湾の出身)。

本作、Amazon での取り扱いはMP3のみでCDは無し。元々MP3は購入していたのですが、今回記事を書くにあたりCD購入できないかとネットで検索。日本でフィリピンのCD/DVDを販売しているオンラインショップ MIA MUSIC&BOOKS があることを知り、CDをゲットできました。

早速CDのライナーをめくったら、リチャード・プーン自筆のサイン付きでコメントが載ってました。

─ 6回のグラミー賞を受賞したバート・バカラックの不滅の作品のうち12曲をレコーディングするチャンスを与えられるのは、息をのむようで怖い機会です。60年以上にわたる米国と英国での彼のチャートトップヒット125曲は、非常に多くの優れたカヴァーがすでに世界的に有名なアーティストによって行われてきました。しかし、私たちは心から願っています。それぞれの曲によく合うようにアレンジを考えた我々チームの努力が、あなたの耳に新鮮に届いてこのアルバムに愛情を持ってもらえることを。どうか楽しんで! ジャズのタッチと品格を持って、大いなる愛をあなたに。リチャード・プーン ─

拙い意訳でスミマセン。それでも、なんとなく彼の意気込みは伝わってくるかと思います。

オンラインショップ MIA MUSIC&BOOKS のアルバム紹介ページにショップからの “ 一口メモ ” が書いてありました。リチャード・プーンの略歴等にも触れていて大変参考になる内容でしたので、誠に勝手ながらこそっと転載させていただきます。MIA MUSIC&BOOKS さん、ごめんちゃい m(__)m

─ MCA musicからフィリピンの国内レーベル Universal records へ移籍して2枚目となるRichard Poonの最新アルバムです。今回のアルバムはバートバカラックのヒット曲をリメイク。MCA時代はずっとスイングジャズをやっていた彼ですが、Universal 移籍後の第一弾アルバムではポップスに戻った(ソロ(MCA時代)の前はU-TurnというM.Y.M.Pに似たポップバンドのボーカルでした)Richard、今回のアルバムもジャジーなアレンジとポップなアレンジが混在している作りになっています。アーバンポップスに仕上げたトラック02の Look Of Love やトラック06の Walk On By、ラストの Close To You など大人の男の色気を感じさせるクールなトラックは最高! ポップスへの転向は正解だったと改めて思った1枚です。 ─

ということで、おしまい。…イヤイヤ、それじゃぁあまりに手抜きだろっ。

全12曲は見ての通りバカラックの代表曲ばかり。T-1.「 愛の想い出 」とT-11.「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」はビッグバンドによるスイングで、T-8.「 雨にぬれても 」もブラスをフィーチャーしたスイング風。もともとスイングジャズをやってたからでしょう、安定感があります。この3曲の中ではT-11.が一番ノリがいいかな。

ラテン調アレンジのT-9.「 小さな願い 」、T-10.「 ドント・メイク・ミー・オーバー 」。しっとり系アレンジのT-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」、T-4.「 世界は愛を求めている 」、T-5.「 アルフィー 」、T-7.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」、T-12.「 遥かなる影 」。確かにバラエティ豊かだし、アレンジもなかなか良いです。そう言えば以前、フィリピン人女性がいるスナックで「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」を歌ったら、その女性から “ この曲はフィリピンでも人気あるのょ ” と言われたのを思い出しました。

閑話休題、本題に戻ります。でもですね、このアルバムでレコメンドなのはアーバン・アダルト・コンテンポラリー的なT-2.「 恋のおもかげ 」とT-6.「 ウォーク・オン・バイ 」。一口メモ氏と同じになってしまいましたが、感じたからにはそう書かざるを得ない訳で。特に間奏やオブリガートでアコギがクールな演奏を聴かせるT-6.がイチオシです。

適度にヴィブラートした歌声はcroonerと呼ぶのに異論はありませんが、これと言った特徴がないことと高音域がちょっと細いのが弱点。曲によってはそれが気になるんですよねー。それがなければ自信を持ってオススメするのですが…。

Official Album Preview が YouTube に上がってましたので埋め込んでおきます。全曲のダイジェストが聴けます。ご参考まで。



【データ】
『 The Crooner Sings Bacharach 』
Richard Poon

CD:2014年10月リリース
レーベル:Universal records (Philippine)
番号:CDP-94,1579

Produced by Richard Poon and Ito Rapadas
Executive Producer:Kathleen Dy-Go
Music Arrangement by Mel Villena (T-1,11), Bob Aves (T-2,8,9,10), Jimmy Antiporda (T-3,7), Arnold Buena (T-4), Bobby Velasco (T-5), Marlon Oliveros (T-6), Fred Garcia (T-12)
Backup Vocal Arrangement by Ito Rapadas (T-6)

Live Big Band Music by The Amp Big Band (T-1,11)
Guitar Tracks by Janno Queyquep (T-3,5,7,8,9,10,12), Gigi Arcay (T-4,6)
Bass Guitar by Joshua Royeca (T-2,9), Richard Poon (T-6,12)
Drums by Karmi Santiago (T-6)
Flugelhorn by Robert "Cocoy" De Pano (T-2)
Muted Trumpet by Robert "Cocoy" De Pano (T-9)
Backing Vocal Tracks by Cataran (T-6)
Additional Orchestral Tracks by Bobby Velasco (T-1,3,11)
Additional Brass Tracks by Willy Villa (T-8)
Additional Brass and Wurlitzer Tracks by Richard Poon (T-10)
Additional Piano and Soft Pad by Espie Estanislao (T-12)

※ 日本の Amazon での取り扱いはMP3のみ

2019年5月19日 (日)

Bacharach goes Latin/Peter Nieuwerf (1970年?)

オランダの男性ジャズ・ギタリスト、ペーター・ニューヴェルフによるラテン・アレンジのバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A2. THE LOOK OF LOVE
A3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A4. ALFIE
A5. PAPER MACHE
A6. A HOUSE IS NOT A HOME
B1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B2. THE WINDOWS OF THE WORLD
B3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B5. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約33分


オランダの男性ジャズ・ギタリスト、ペーター・ニューヴェルフによるラテン・アレンジのバカラック・カヴァー集です。

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ペーター・ニューヴェルフは、1938年オランダのハーグ生まれ(2015年没、享年76歳)。写真は晩年のもので、若かりし頃の画像は拾えませんでした。Wikipediaによれば、アストラッド・ジルベルト、ディジー・ガレスビー、スタン・ゲッツ、トゥーツ・シールマンス、リタ・ライス、クリス・ヒンゼ等と共演したそうです。

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LPジャケットの表はどこか異国でマラカスを演奏している男性のイラスト。裏返せば、曲目リストと他アルバムの紹介だけで、解説はおろか演奏者や録音データなどのクレジットもありません。体裁から推察するにイージー・リスニング物としてリリースされたアルバムのようですね。

リリース年は不明。収録曲の中で最も新しい「 PAPER MACHE 」はディオンヌ・ワーウィックがオリジナルで1970年4月リリースのアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』が初出(同年7月にシングル・カットされ全米43位)ですから、本作のリリースは早くても1970年の後半でしょう。イージー・リスニングは鮮度も重要ですから、ちゃっちゃと録音してバカラック人気が旬のうちにリリースしたんじゃないでしょうか。てなことから、拙ブログでは1970年リリースとさせていただきました(100%の確信はないので?マーク付きで…)。

メロディを奏でるのは全編アコースティック・ギター。他にEベースと多様な打楽器という編成。ペーター・ニューヴェルフによるラテン・アレンジは、曲によってリズムが異なります。キューバ系のルンバ(A4,A5,A6,B2,B3,B5)、チャチャチャ(A1)に、ブラジル系のボサノヴァ(A2,B1,B6)、サンバ(A3,B4)といった具合。ラテン音楽には詳しくないのでリズムはあくまで私の感覚によるものです、悪しからず。

セルジオ・メンデス版ほどの疾走感はないもののサンバのリズムが軽快なA3.「 世界は愛を求めている 」、ゆったりルンバのまったり感が心地よいA4.「 アルフィー 」とA6.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」とB5.「 汽車と船と飛行機と 」あたりがユニークでレコメンド。対照的に、A5.「 ペイパー・マシェ 」やB2.「 世界の窓と窓 」、B6.「 サン・ホセへの道 」などはオリジナルのディオンヌ・ワーウィック版に極く近い平凡なアレンジ。そこがちょっと残念なところです。


【データ】
『 Bacharach Goes Latin, Peter Nieuwerf Plays The Bacharach Hits 』
Peter Nieuwerf

LP:1970年?リリース
レーベル:Imperial / JK Productions (Holland)
番号:5C 052-24520

Arranged and Conducted by Peter Nieuwerf

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年5月12日 (日)

祝 バカラック爺 91歳!

バカラック爺、91歳の誕生日おめでとうございます!

5月12日は誕生日記念で何か企画を…と考えていたのですが良案なく困っていました。そんな折、5月9日深夜(5月10日未明)にNHK『 ラジオ深夜便 』でバート・バカラック特集がありまして。聴いたところ、バカラック爺の91歳を祝っての企画だったようです。NHKも粋なことするなぁ。渡りに船ということで、文字起こしして紹介することにしました。聴き逃しサービスの対象外ですしね。他人の褌で相撲を取るようでいささか後ろめたい気もしますが、気にせずパァ〜っといってみましょう!


NHK ラジオ第一/NHK FM 『 ラジオ深夜便 』
2019年5月10日 2:05〜3:00
[ロマンチック・コンサート]
ポピュラー名曲アルバム:バート・バカラック作品集

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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バート・バカラックは、メロディ・メーカーとして、ポップス・シーンのクリエイターとして、大きな功績を残してきました。5月12日に91歳の誕生日を迎えるバカラックの曲を、今夜はたっぷりとご紹介します。

1曲めは、日本でも大ヒットした映画『 明日に向って撃て!』の主題歌、B.J.トーマスの「 雨にぬれても 」です。アメリカでは既に有名だったバート・バカラックの名前が世界中に広まるきっかけになった作品、となりました。作詞はハル・デイヴィッド。作曲家バート・バカラックにとって、ベスト・パートナーとも言える存在の作詞家です。1969年の曲、B.J.トーマスで、「 雨にぬれても 」。〜 ♫ 〜 B.J.トーマス、「 雨にぬれても 」でした。

続いては、ビートルズ「 ベイビー・イッツ・ユー 」。この曲のオリジナルは、ガールズ・グループのシュレルズ。ビートルズは、デビュー・アルバム『 プリーズ・プリーズ・ミー 』でこの曲をカヴァーしています。1963年発表、ビートルズで、「 ベイビー・イッツ・ユー 」。〜 ♫ 〜 ビートルズで「 ベイビー・イッツ・ユー 」でした。

バート・バカラックは、数多くの映画音楽を担当しました。次にご紹介する「 恋のおもかげ 」は、映画『 007/カジノ・ロワイヤル 』の挿入歌に使用されました。最初はインストルメンタルとして作られたそうですが、ハル・デイヴィッドが詞を書いてダスティ・スプリングフィールドが歌いヒットしました。1967年、ダスティ・スプリングフィールドで、「 恋のおもかげ 」。〜 ♫ 〜 ダスティ・スプリングフィールドで「 恋のおもかげ 」をお聴きいただきました。

続いては、「 ディス・ガイ 」。ハーブ・アルパートです。ハーブ・アルパートは、「 蜜の味 」「 ティファナ・タクシー 」など、日本でも親しまれているティファナ・ブラスのリーダーです。この曲は、ハーブ・アルパートがソロ名義で1968年にリリースしてヒットしました。ちなみに、翌年1969年にはディオンヌ・ワーウィックが「 ディス・ガール 」とタイトルを変えてリリースしています。ハーブ・アルパートで、「 ディス・ガイ 」。〜 ♫ 〜 ハーブ・アルパートで「 ディス・ガイ 」でした。

次は、アレサ・フランクリンの「 アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー/小さな願い 」です。この曲は、ディオンヌ・ワーウィックのオリジナルをソウル・シンガーのアレサ・フランクリンがカヴァーし、ミリオン・セラーとなった曲です。1968年、アレサ・フランクリンで、「 アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー 」。〜 ♫ 〜 アレサ・フランクリンで「 アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー/小さな願い 」でした。

この時間は、メロディ・メーカー、バート・バカラックの作品集をお送りしています。
次の曲は、カーペンターズです。カーペンターズ初めての全米1位に輝いた出世作「 クロース・トゥ・ユー/遥かなる影 」。今もなお多くのアーティストにカヴァーされるスタンダード・ナンバーであり、カーペンターズの代表的な1曲です。1970年の曲、カーペンターズで、「 クロース・トゥ・ユー 」。〜 ♫ 〜 カーペンターズで「 クロース・トゥ・ユー 」でした。

続いては、「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー/愛の仲間達 」、フィフス・ディメンションです。フィフス・ディメンションのコーラス・ワークとバカラックの曲が見事に溶け合った1曲です。「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー/愛の仲間達 」、フィフス・ディメンション、1973年発表の曲です。〜 ♫ 〜 フィフス・ディメンションの「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー/愛の仲間達 」でした。

続いては、スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」です。スタイリスティックスは、甘く洗練されたスウィート・ソウルが持ち味の黒人ソウル・コーラス・グループです。この曲のオリジナルは、1964年にディオンヌ・ワーウィックが歌いヒットしました。1973年発表の、スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」をお聴きください。〜 ♫ 〜 スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」でした。

次の曲は、リタ・クーリッジの「 ウィッシン&ホーピン 」。こちらも原曲はディオンヌ・ワーウィックです。バカラック・サウンドをレゲエ風にアレンジして、心地よく耳に馴染むものにしています。1981年発表の「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」、歌はリタ・クーリッジです。〜 ♫ 〜 リタ・クーリッジの「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」でした。

この時間は、メロディ・メーカー、バート・バカラックの作品集をお送りしています。
続いては、クリストファー・クロスのバラード、「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ/アーサーのテーマ 」です。コメディ映画『 ミスター・アーサー 』の主題歌に起用され、クリストファー・クロスの歌で全米1位、更にアカデミー賞で主題歌賞も受賞しました。1981年の曲、クリストファー・クロス、「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ/アーサーのテーマ 」。〜 ♫ 〜 クリストファー・クロスで「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ/アーサーのテーマ 」でした。

この時間は、バート・バカラックの作品集をお送りしています。
最後にご紹介するのは、ディオンヌ&フレンズの「 愛のハーモニー 」です。原曲は、映画『 ラブ IN ニューヨーク 』でロッド・スチュアートが歌っています。ディオンヌ&フレンズ名義でカヴァーされ、グラミー賞ポップ・パフォーマンス賞、最優秀楽曲賞を受賞しました。ディオンヌ・ワーウィックがスティービー・ワンダー、エルトン・ジョン、グラディス・ナイト等をパートナーに迎えて、エイズ基金チャリティ・レコードとして発表したものです。1986年の曲で、ディオンヌ&フレンズの「 愛のハーモニー 」をお聴きください。〜 ♫ 〜 ディオンヌ&フレンズの「 愛のハーモニー 」をお聴きいただきました。

今夜の2時台は、、ロマンチック・コンサート、ポピュラー名曲アルバム:バート・バカラックの作品集をお送りしました。(了)


<あるでおの感想>
全11曲。バカラックのアイコンたる「 雨にぬれても 」を最初に流して “ つかみ ” はバッチリ、あとは年代順に代表曲を並べる…というコンセプトでしょうか。直球(定番曲の定番バージョン)ばかり…というわけではなく、ビートルズの「  ベイビー・イッツ・ユー」、フィフス・ディメンションの「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」、スタイリスティックスの「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」、リタ・クーリッジの「 ウィッシン&ホーピン 」のような変化球を混ぜてるのは、選者のコダワリか? ちょっとマニアックですねー。

反面、「 アルフィー 」「 世界は愛を求めている 」「 サン・ホセへの道 」「 恋よさようなら 」など日本でも人気の高い曲が外れました。時間の制約から致し方のないところですが、もし私が選者なら「  ベイビー・イッツ・ユー」の代わりにベタですが1965年のジャッキー・デシャノン「 世界は愛を求めている 」を、「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」の代わりにこれもベタだけど1966年のシラ・ブラック「 アルフィー 」を、「 ウィッシン&ホーピン 」の代わりに同じ1981年のルーサー・ヴァンドロス「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」をチョイスします。深夜という放送時間帯にもマッチするし。まぁ、趣味の問題ですが。

「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」の邦題が「 愛の仲間達 」というのは知りませんでした。調べたら、フィフス・ディメンション版の邦題がそうなんですね。勉強になりました。

<オマケ情報>
ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、バカラック爺の近況を伝える記事が英国の新聞“ガーディアン”のサイトに出ていました。5月10日付けのインタビュー記事です。米国の某大統領に怒ってること(2005年のアルバム『 AT THIS TIME 』を思い出します)、曲にまつわる思い出、および新曲「 LIVE TO SEE ANOTHER DAY 」「 WITH A VOICE 」について爺が語っています(なお、新曲の前者は昨年配信ではリリースされています→こちら)。7月にロンドンでジョス・ストーンとのコンサートがあることにも触れています。
爺が元気で何よりです!!

2019年5月 5日 (日)

Instrumental Music From The Ross Hunter Production LOST HORIZON And Other Selections/101 Strings (1972年)

映画『 失われた地平線 』の曲をフィーチャーした101ストリングス・オーケストラのアルバムです。

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全10トラック中、バカラック作品は7トラック

A1. LOST HORIZON
A2. THE WORLD IS A CIRCLE
A3. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER
A4. I COME TO YOU
A5. JACARANDA
B1. SHARE THE JOY
B2. QUESTION ME AN ANSWER
B3. REFLECTIONS
B4. FRIDAY STREET
B5. JUST FRIENDS

収録時間約29分


バカラックが音楽を担当した映画『 LOST HORIZON(失われた地平線) 』の曲をフィーチャーした101ストリングス・オーケストラ(以下、101ストリングス)のアルバムです。

101ストリングスは、レコーディングのためのオーケストラとして1957年にドイツのハンブルクで結成。1964年からイギリスのロンドンに本拠地を移しました。これまでに150タイトル以上のアルバムをリリースしており、世界的に有名なイージーリスニング・オーケストラの一つです。その名の通り、弦楽器が101人もいるのが特徴。クラシックのオーケストラは4管編成の場合通常約100人でそのうち弦楽器は60人程度ですから、101ストリングスの大編成ぶりがわかります。ちなみに、弦楽器101人の内訳は、第1バイオリン30、第2バイオリン26、ヴィオラ20、チェロ18、コントラバス7、だそうです。

本作は、映画(1973年2月公開)やサントラ盤(1973年1月リリース)に先立って、1972年にリリースされました。

─ 映画『 失われた地平線 』は本質的にミュージカルではありません。 それは音楽のあるドラマです。この101ストリングスのプレゼンテーションにおける『 失われた地平線 』のスコアは、今日アメリカでナンバーワンのソングライター、バート・バカラックとハル・デイヴィッドによって書かれました。Jack Dorsey自身により巧妙にアレンジ&編成され、そしてマエストロDorsey指揮の下壮大な101ストリングスによって録音された魅力的な『 失われた地平線 』インストゥルメンタルはとても楽しめるものとなりました。本作を完成させるために、3つの想像力豊かなオリジナル曲を含めました。本作は、世界中の何百万人もの101ストリングス・ファンに多くの喜びをもたらすものと確信しています。 ─   (裏ジャケのライナーより)

この映画関連では、エド・エイムスのアルバム『 SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES 』、トニー・ベネットのシングル「 LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER 」あたりも公開前にリリースされたクチ。プロモーションの一環として映画製作サイドから依頼したのか、映画の人気(というかバカラック人気?)を当て込んでアーティストが独自にレコーディングしたのか、そのどちらかなのでしょう。まぁ、映画が大コケして目論見は外れたようですが…。

ちなみに、本作のジャケットは映画の一場面。ヒマラヤの山中をシャングリラへ向かって歩く主人公たちを描いています。シャングリラでの楽しそうなシーンの方が良かったんじゃないかと思うんですけどねー。

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収録された10曲のうち、7曲が映画『 失われた地平線 』からの選曲。なかなか巧みな編曲で、どの曲でも流麗で豊かなストリングスを聴くことができます。また、ストリングスだけではなく、木管楽器、金管楽器、打楽器等もそれぞれ楽器の特色を生かしたアレンジを施しています。本家のショボいショーン・フィリップス版よりよっぽど映画のオープニングにふさわしい壮大なアレンジのA1.「 失われた地平線(ロスト・ホライズン)」、木管楽器や打楽器が明るく弾むアレンジが素敵でテンポが速まるエンディングも印象的なA2.「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい)」、35秒に及ぶ情感のこもったイントロのあとオーボエ(コーラングレか?)とストリングスが哀愁込めてメロディを奏でるA4.「 アイ・カム・トゥ・ユー 」、色々な楽器を駆使してユーモラス且つゴージャスに仕上げたB2.「 クエスチョン・ミー・アン・アンサー 」あたりが個人的なレコメンド。

とにかく充実した内容で、他のバカラック&デイヴィッド作品と併せてCDリイシューしたらいいのに…と思うほど。実際、CD化はされてませんがMP3ではそういうアルバムが出てるんですよねー。以下、オマケとして紹介するのが、私が購入・ダウンロードした『 101 Strings Presents Best of: Burt Bacharach as Classical 』。
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このアルバムには、本作の7曲が丸々入ってるほか、以下9曲がコンパイルされています。
「 サン・ホセへの道 」「 恋のおもかげ 」「 ディス・ガイ 」… アルバム『 Million Seller Hits Of Today 』(1968年)より
「 恋よさようなら 」… アルバム『 Million Seller Hits Of 1969 』(1969年)より
「 サンダンス・キッド 」… アルバム『 Hit Songs From Hit Movies 』(1970年)より
「 雨にぬれても 」「 遥かなる影 」… アルバム『 More Million Seller Hits 』(1971年)より
「 何かいいことないか子猫チャン 」… 収録元アルバム不明
「 カジノ・ロワイヤル 」… 収録元アルバム不明
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色々アレンジも工夫されていてそれなりの出来ですが、聴き比べてみて本作の7曲が出色だと思いました。視聴できますので是非お確かめください。尚、原曲のほぼコピーでストリングスが全く聴こえない「 カジノ・ロワイヤル 」はコンパイル上のミスでしょうね、たぶん。


【データ】
『 Instrumental Music From The Ross Hunter Production LOST HORIZON And Other Selections 』
101 Strings Jack Dorsey Conducts

LP:1972年リリース
レーベル:Alshire (US)
番号:S-5280

Jack Dorsey Conducts
101 Strings

※ 日本のAmazonでは取り扱いなし

2019年4月28日 (日)

田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦/田畑貞一とオーケストラ (1971年)

ドラマー、田畑貞一が1971年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有LP(イタリア盤)のジャケット表/裏

A1. THE APRIL FOOLS
A2. THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU
A3. I SAY A LITTLE PRAYER
A4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A6. PROMISES, PROMISES
B1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B2. REACH OUT FOR ME
B3. BOND STREET
B4. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B5. THE LOOK OF LOVE
B6. ALFIE

収録時間約36分


ドラマー、田畑貞一が1971年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァー集です。

田畑貞一は、1936年東京生まれ。大学在学中の1953年に森亨&シックス・ポインツに加入してプロデビュー。様々なバンドで経験を積んだ後、1966年に石川晶に代わって宮間利之とニューハードに参加。1971年にニューハードから独立、スタジオ・ミュージシャンとしての活動と並行し、ポリドール、テイチク、コロムビア等で自身のリーダーアルバムを数々リリース。現在もリーダー&ドラマーとして演奏活動を続けながら後進の育成に取り組んでいるそうです。

本作は、『 田畑貞一ドラムの世界/歌謡ポップスに挑戦 』(JRS-7051)、『 田畑貞一ドラムの世界Vol.2/ワールド・トップ・ヒットに挑戦 』(JRS-7052)に続く『 ドラムの世界 』シリーズ3作目として、1970年9月に録音、1971年2月に日本ビクターからリリースされました。当時のお値段は¥1,800でしたが、国内の某中古レコード屋さんのサイトを見ると¥7,800の値札がついています。しかも売り切れ。人気盤なんですね。

うむむ、買えないと欲しくなるのが人の性。Discogsを見たらイタリア盤が見つかりまして。商品状態Near Mintでお値段は€25。イタリアからの送料€17込みで€42(購入時レートで¥5,528)はちと高いけど、気づいたらポチッとしてました。ということで所有LPはイタリアの RCA Victor から STEREO SOUNDS FROM JAPAN シリーズの第4弾として1971年9月にリリースされたもの。ゴルフのアドレスしてるみたいなジャケ写は何故か鉄橋の写真に差し替えられ、タイトルも『 SADAKAZU TABATA plays BACHARACH 』に。もしかして中身も違うんじゃ…と思い、念のため国立国会図書館に行ってオリジナルの国内盤LPを聴いて確認。曲数・曲順含めて全く同じだったのでホッとしました。

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名義は田畑貞一とオーケストラとなっていて、編成はバンドに金管/木管/ストリングス/パーカッションを加えたもの(所有LPの裏ジャケ左側に載ってる録音時のレイアウト図を参照ください)。super 50-16 sound(※)という録音技術のせいでしょうか、音がクリアで音圧レベルも高くこの時代としては優秀な録音と思います。(※ テープ巾50mm 16トラックのマスターレコーダーで録音)

全12曲はバカラック・カヴァーの定番曲ばかり。独自アレンジの曲はB5.「 恋のおもかげ 」くらいでしょうか。他はバカラック版(A3,4,6,  B1,2,3,4,6)、ディオンヌ版(A1)、ハーブ・アルパート版(A2)、セルジオ・メンデス版(A5)をベースとしたアレンジで、特にA2,4,6やB4,6はほぼコピー。インスト物はアレンジが肝心なのに、工夫が足りない感じ。演奏そのものはノリが良くていいんですけどねー。そんな中で印象に残ったのは、フルートとピアノのアドリブが熱いA5.「 世界は愛を求めている 」、ドラムスのアドリブが聴けるB1.「 サン・ホセへの道 」とB3.「 ボンド・ストリート 」あたり。ドラムスがリーダーなんだからもっとドラムスを強調したアレンジがあっても良かったと思うんですよね。田畑貞一はジャズもバリバリ演れるドラマーなのに…。イージーリスニング全盛時代ということもあって控えめにしたのかなぁ。

オリジナルの国内盤には解説が載ってました。当時バカラックをどう評価していたかがわかるのでちょっと長いですが以下紹介します。ライターは吉浜節子氏。バカラックの音楽については疑問符が付くところもありますが、蛇足以降の女性ならではの視点が面白いです。田畑貞一についても書いてありましたので併せて紹介します。

─ バート・バカラック、この名前、ポップスファンならずとも、よくご存知のことと思います。彼が精力的に生み出す作品の数々はどれもがヒット性を持ち、したがって、沢山のアーティストが取り上げることになり、文字通り巷にあふれている状態ですから。では何故このようにバカラックの作品が受けるのか。それには様々な要素があるのですが、最大のポイントは、非常に耳ざわりの良い音楽であるからです。これは逆の見方をしますと、強烈な印象がないということになるかと思いますが、あまりに強烈なサウンドが氾らんする中では、それがかえって、人々の心に新鮮で心地良い印象を覚えさせるのでしょう。そうですね、たとえば原色の中に混った淡い色のようなもの。それ自体独立すると人々にはさほど強い印象を与えないけれど、まわりの原色にひきたてられて、ひときは光りを放つ。そういう効果をバカラックの音楽は持っているような気が致します。バカラックの曲が、たとえば20年、30年前に出たとします。さて、今ほど受けたでしょうか? 一寸疑問ですね。何故なら、彼の持つやさしさ、あたたかさ、といったものが当時の音楽には非常に多かったからです。つまりバカラックは、失われつつある人間性といったものを現代に持ち込んだのです。勿論だからといって、バカラックの音楽が単に人間味だけで成り立っているというのではありません。メロディ・ラインの作り方も、また処理の仕方にも、すぐれた才能がうかがえます。沢山のアーティストが彼の曲を競って取り上げているのがその良い証拠ですね。しかし、そうした技術的なもの以上に、人間的な魅力が大きいということなのです。少なくとも私はそう思います。そして、そんなバカラックの豊かな人間味が大好きなのです。
 さて、これは蛇足になるかも知れませんが、バカラックって、とてもハンサムなんですよ。年令は今年(1970年)で、ちょうど42才になりますが、とてもそんな年には見えない程若々しくて、明るい人です。機会があれば会って、ゆっくりおしゃべりをしたい、そんな気持を誰にも起こさせるナイス・ガイなのです。やはり蛇足だったでしょうか……。 ─

─ “バート・バカラックはナイス・ガイです”と書きました。そして、ここでそのバカラック・ナンバーを演奏するグループのリーダー田畑貞一さんが、これまたナイス・ガイなんです。粋なセンスを感じさせる彼のおしゃれ、当りの柔らかな物腰し、そして、控え目な人間性。そうしたものが、彼のドラミングには良くあらわれています。
 日本の場合、ドラムとその演奏法に関して、誤った考え方をしている人が多いように思います。たしかにドラムという楽器は、大きい音が出るせいでしょう、華やかな雰囲気があります。ただし、それはあくまで楽器の持つ特性であり、リズム体としての役目を持つものであるという現実を忘れてしまう人が多いのでしょう。ともすると前面に出たがる傾向があるように思います。ドラムはあくまでもリード楽器が歌いやすいようにサポートしなければならないのです。決して耳ざわりであってはいけないのですね。この辺が、彼我のつまり外国と日本のドラマーの大きな差になっているのではないかと思うのです。あくまでも、これは私見ですが……。
 その点、田畑貞一さんのドラミングは役目に忠実です。時には力強くそして時には繊細な感覚で音楽を作り出して行きます。日本において、これだけの感覚を持ったドラマーは少ないといわれる所以でしょう。それも一にかかって、彼の人間性からくるものでしょう。但し、本アルバムは、あくまでもフィーチャリング・ドラムということでありますから多分にドラムを前面に押し出して居るようではありますが……。
 最後に田畑貞一の略歴を記しておきましょう。
昭和11年、東京に生まれ、二松学舎大学を卒業後、竹内均氏に師事。そしてフルバンドでスタートを切り、モダン・ジャズのグループからスイング系のコンボに入りました。現在、年令的にも乗りにのってる所です。
 さて、ナイス・ガイ同志、バカラックと田畑貞一の組合わせ。どうなりますか、早速レコードに針を落としてみて下さい。きっと御満足いただけると思います。 ─


【データ】
『 田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦 』 (所有LPは『 SADAKAZU TABATA plays BACHARACH 』)
田畑貞一とオーケストラ

LP:1971年2月リリース (所有LPは、1971年9月リリースのイタリア盤)
レーベル:日本ビクター (所有LPは、RCA Victor)
番号:JRS-7054  ¥1,800 (所有LPは、LSP 34138)

ディレクター:ロビー和田
編曲:藤崎 邦男(A1,3, B2,5)、山屋 清(A2,5, B3,4)、山木 幸三郎(A4,6, B1,6)
エンジニア:内沼映二
録音日:1970年9月3,4,30日
録音スタジオ:ビクター新スタジオ No.1

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し

2019年4月21日 (日)

Center Stage/Helen Reddy (1998年)

豪州出身の女性シンガー、ヘレン・レディが1998年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

6. KNOWING WHEN TO LEAVE (2:10)


豪州出身の女性シンガー、ヘレン・レディが1998年にリリースしたアルバムです。

ヘレンは1941年メルボルン生まれ。1960年代末にオーストラリアからアメリカのロサンゼルスに渡り、1970年代には国際的な成功を収めました。特にアメリカ合衆国では、ビルボードHot100のトップ40に15曲を送り込み、6曲がトップ10入り、「 私は女 ('72) 」「 デルタの夜明け ('73) 」「 アンジー・ベイビー ('74) 」の3曲が全米1位になっています。1980年代半ばからはミュージカルの舞台も経験、ブロードウェイとウエスト・エンドの舞台にも立っています。(ウィキペディアより)

この方、全米No.1ヒットを持つアーティストなんですね、全然知らなかった^^;。

8年ぶりにアルバムをリリースにあたり、ヘレンはミュージカルの曲をカヴァーすることにします。 ─ 私の初恋は劇場。だからこのアルバムのアイデアを最初に知ったとき、私は嬉しかったの。私のキャリアの2つの分野 〜 録音スタジオと劇場のステージ 〜 を組み合わせるための完璧な手段だったから。さまざまな時代のさまざまなソングライターの曲を選んだわ。もちろん、私が出演したミュージカルの曲もね。 ─ (ライナーノーツより抜粋、私の超意訳で)

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↑ は収録曲と元のミュージカル。T-1,4,9,10. の4曲は自身が出演したミュージカルから、その他はヘレンお気に入りのミュージカル曲のようです。バックの演奏はオケ+バンドが約半数。その他、ビッグバンド、ストリングス+ピアノ、ストリングス+バンド、バンド、ピアノのみなど曲によってアレンジもそれぞれ。知らない曲も多いですが、Varese Sarabandeらしくいかにもミュージカル的なライヴ感あるサウンドで楽しめます。

んで、バカラック・カヴァーは『 プロミセス・プロミセス 』からT-6.「 去りし時を知って(もうさようならの時)」。オケ+バンドによるゴージャスなアレンジは、ミュージカルの完コピではなく所々に独自のオブリガードを配したもの。特にイントロのブラスのフレーズはインパクトあって新鮮。張りのあるヘレンの歌声は若干ハスキーで味があります。惜しいのは高音域で、線が細くなってピッチも微妙に低めなんですね。でも、全体的には好カヴァーだと思います。もう少し尺があればよかったのになぁ。


【データ】
『 Center Stage 』
Helen Reddy

CD:1998年リリース
レーベル:Varese Sarabande (US)
番号:VSD-5962

Produced by Bruce Kimmel
Arranged and Conducted by Ron Abel (except T-10.), Joseph Baker (T-10.)
Orchestrations by Steven Orich

2019年4月14日 (日)

LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER/Tony Bennett With The Mike Curb Congregation (1972年)

トニー・ベネットが1972年にリリースしたシングルです。バカラックが音楽を担当した映画『 失われた地平線 』の曲をカヴァー!

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A. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER (3:19)
B. THE GOOD THINGS IN LIFE (3:25)


トニー・ベネットが1972年にリリースしたかなりレアなシングルです。

トニー・ベネットは米国の大御所男性歌手のひとり。1926年生まれなのでバカラック(1928年生まれ)より2歳上。ジャズ・スタンダードからポップスまで守備範囲の広いお方で、いわゆるクルーナーの代表的存在でもあります。最近では多様なアーティストとのデュエットで存在感を示していて、特にレディー・ガガとのデュエットは話題を呼びましたね。

1972年、トニー・ベネットはそれまで長く在籍していたコロンビアからMGMに移籍。10月には移籍後初のアルバム『 The Good Things In Life 』をリリースします。そして同時期にリリースしたシングルのA面がこの「リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー」でございます(ただしアルバムには未収録)。ちなみに↓は billboard 1972年11月4日号25ページに掲載されたMGM/Verveの全面広告。こう書いてあります。 ─  A new album by Tony Bennett is one of the good things in life. Plus a great new single - "Living Together, Growing Together" "The Good Things In Life"  ─
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ご承知の通りこの曲はバカラックが音楽を担当した1973年3月公開(日本では同年7月公開)の米ミュージカル映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』の中で歌われた曲の一つ。コロンビア映画の作品だったのでお世話になったコロンビアに忖度してカヴァーしたのかもしれませんね。

アレンジは映画およびそのサントラ盤をベースにしたもの。トニー・ベネットは軽くヴィブラートを効かせ、サビではメロディちょっぴりフェイクなんかしちゃったりして余裕の歌唱といったところ。歌い出しは彼のソロですが、男性コーラス、女性コーラス、キッズコーラスが次々に重なっていきます。この大人子供混成のコーラスは1960年代にマイク・カーブが中心となって結成されたコーラス・グループのThe Mike Curb Congregation(マイク・カーブ・コングリゲイション)によるものです。ちなみにマイク・カーブは当時MGMレコードとヴァージンレコードの社長さんでした。

このトニー・ベネット版は全米チャートで1972年12月に111位を記録しています。「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」最大のヒットはフィフス・ディメンション版ですが、1972年12月のリリースで全米チャート32位を記録したのは1973年1月でした。つまり、チャート上ではフィフス・ディメンションよりも先だったんですね。いやいや、意外でした。

ここからはオマケです。
トニー・ベネットはコロンビア時代にバカラックをちょくちょくカヴァーしています。
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1969年のアルバム『 I've Gotta Be Me 』で「 アルフィー 」「 世界は愛を求めている 」「 あなたはあなた 」、同じく1969年のアルバム『 Tony Sings the Great Hits of Today 』で「 恋の面影 」、1970年のアルバム『 Tony Bennett's Something 』で「 涙でさようなら 」というように(リンク先はコロンビアのバカラック物コンピ集)。いずれもゴージャスで凝ったアレンジなのですが、片や「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」はオリジナルほぼ完コピのアレンジ。コロンビアだったらどんな風にカヴァーしたのか…ちょっと気になるあるでおでした。


【データ】
「 LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER 」
Tony Bennett With The Mike Curb Congregation

Single:1972年10月リリース
レーベル:MGM / Verve
番号:MV 10690

Produced by Mike Curb and Don Costa
Arranged by Don Costa

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年4月 7日 (日)

STRONGER THAN BEFORE/Just Friends (1981年)

正体不明のユニット?、Just Friends が1981年にリリースしたバカラック・カヴァーのシングルです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A. STRONGER THAN BEFORE (3:30)
B. STRONGER THAN BEFORE (3:30)  ← プロモ盤なのでA面と同じ曲


米国のヒップホップ/ソウル系レーベル、Sugar Hill Records から1981年にリリースされたシングルです。

バカラック作品の中ではそれほどカヴァーされていない「 STRONGER THAN BEFORE(愛は果てしなく)」。そのカヴァーを連続で紹介する企画の第4弾。ネタが尽きて今回がラストです。

オリジナルはキャロル・ベイヤー・セイガー。1981年にリリースしたサード・アルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中のくちづけ)』の収録曲で、シングルは全米30位を記録しました。オリジナルと同じ1981年にカヴァーされたのは本作の Just Friends だけです。

メイン・ヴォーカルは男性1人、サブとして女性1人も歌っています。男性は裏声で歌っていて女性と音程が同じ。声質もよく似ています。Just Friends はこの2人のユニット名と思われますが、色々調べたものの結局正体はわかりませんでした。アレンジはオリジナルのセイガー版のコピーですが、サウンドの厚みと密度が全然違っていて本作は至って質素な仕上がり。

実は、キャロル・ベイヤー・セイガーのアルバム『 真夜中のくちづけ 』には「 JUST FRIENDS 」という曲が入ってます。マイケル・ジャクソンがバック・コーラスで参加した曲なのですが、本作のアーティスト名はその曲と関係があるんじゃないかと睨んでいます。マイケル・ジャクソンとキャロル・ベイヤー・セイガーが「 愛は果てしなく 」をデュエットしたらどうなるか、パロディで誰かがやったのかなぁ…と。ま、私の妄想ですが。

あと、細かい指摘をひとつ。この曲はバート・バカラック、キャロル・ベイヤー・セイガー、ブルース・ロバーツの3人による共作曲なのですが、レーベル面のクレジットにはブルース・ロバーツの表記がありません。あぁ、なんて可哀想なブルース・ロバーツ💦。

ここからはオマケです。MP3で所有している「 愛は果てしなく 」のカヴァーをご紹介。
Keys Toni Cecil
まずは B. Judahl Keys。2013年?のアルバム『 Evolution of the SoulQuarian 』でカヴァー(5:32)。チャカ・カーン版をベースにしたヒップポップ風アレンジ。この方は男性アーティストのようですがちゃんと歌ってるのはAメロとBメロの一部とアドリヴ風のフェイクくらいでサビは女性バック・コーラスが主役。サウンド的にはとっても今風です。

続いて Toni Redd。米国アトランタの女性R&Bシンガーで、2015年のアルバム『 Her Reddness 』でカヴァー(4:48)。アレンジはチャカ・カーン版のほぼコピーですが、ベースの動きがチャカ版よりもカッコイイです。Toni Redd の歌唱はソウルフルですがそれほど印象には残りません。

最後に Cecil Ramirez。2015年?のアルバム『 Party in the Back 』でカヴァー(4:09)。スムーズ・ジャズ系のインスト物で、メロディを奏でるのはピアノ。1コーラス目は普通に、2コーラス目からはアドリヴも交えてきます。このアドリヴがなかなかクールで気持ちいいです。エンディングがフェードアウトじゃなく終止形なのは個人的にポイント高いです。


【データ】
「 STRONGER THAN BEFORE 」
Just Friends

シングル:1981年リリース
レーベル:Sugar Hill Records(US)
番号:SH-761

Produced by Joey Robinson, Jr. Productions
Recorded at Sweet Mountain Studio

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2019年3月31日 (日)

Move Closer/Sacha Distel (1985年)

英男性シンガー、サッシャ・ディステルが1985年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

B5. STRONGER THAN BEFORE (3:45)


英男性シンガー、サッシャ・ディステルが1985年にリリースしたアルバムです。

サッシャ・ディステルは、1933年フランスはパリ生まれ(2004年没、享年71歳)。最初はジャズ・ギタリストとして、その後クルーナー(ソフトに優しく語り掛けるような歌のスタイルで歌う歌手)として活躍。1960年代にはフランスのテレビでバラエティ・ショーの番組を持つまでになります。

1970年に英語でカヴァーした「 雨にぬれても 」はUKチャート10位に。英国ではB.J.トーマス(UK38位)よりもヒットしたんですね〜(こちらのコンピ集を参照ください)。1970年代以降はフランス以外でも(特に英国)活動。そんなこんなで本作は英国で1985年にリリースされたアルバムでございます。

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全14曲がカヴァー。うち8曲(A1,2,4,5,6,7, B2,3)は当時のヒット曲。1983年〜1985年のUSチャートまたはUKチャートでTOP10以内になった曲ばかりです。

残り6曲はバラバラ。A3.「 イマジン 」、マイケル・ジャクソン1980年のヒット曲B1.「 あの娘が消えた 」、B4.はヒット曲じゃなくて、スタンリー・クラークとジョージ・デュークがコラボした1983年のアルバム収録曲。B6.はポール・アンカ1962年のヒット曲「 ボサ ノヴァでキッス 」、B7.がコモドアーズ1979年のヒット曲「 スティル 」といった感じ。

そしてバカラック・カヴァーがB5.「 愛は果てしなく 」。オリジナルはキャロル・ベイヤー・セイガーで1981年にUSチャート30位。1984年にチャカ・カーンがカヴァーしましたがシングルは出ていません。どうして本作で取り上げられたのかちょっと謎ではあります。イントロが3小節長い以外、アレンジはキャロル・ベイヤー・セイガー版と瓜二つ。テンポやキーも一緒。サッシャは淡々と無難に歌っている印象で、イマイチ魅力を感じません。ただ、この曲を男性ソロで歌ってる例は他にないのでその点は貴重かと…。

アレンジやテンポが元曲のほぼ完コピなのは本作の14曲全てに共通しています。キーだけは上げたり下げたりしてますけどね。同じクルーナー・タイプの歌手でもアンディ・ウィリアムスやトニー・ベネットあたりがアレンジを工夫してるのとは対照的です。

サッシャは「 愛は果てしなく 」「 雨にぬれても 」以外に「 ディス・ガイ 」「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ 」をカヴァー(こちらのコンピ集で紹介済み)。私は未聴ですが、他に「 遥かなる影 」も1970年にカヴァーしてるようです。


【データ】
『 Move Closer 』
Sacha Distel

LP:1985年リリース
レーベル:Towerbell Records (London, UK)、Distributed by EMI
番号:TOELP 16

Produced by Nigel Wright for Skratch Music Productions
String & Brass Arrangements by John Pearce

※ 日本の Amazon では取り扱いなし

2019年3月24日 (日)

STRONGER THAN BEFORE/Joyce Kennedy (1984年)

米女性シンガーのジョイス・ケネディが1984年にリリースしたシングルです。A面がバカラック作品のカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A. STRONGER THAN BEFORE (3:59)
B. CHAIN REACTION (3:40)


米女性R&B/ソウル・シンガーのジョイス・ケネディが1984年にリリースしたシングルです。
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ジョイスは1948年米国ミシシッピ州生まれ。1963〜65年にかけてシングルを数枚リリースするもローカル・ヒットのみ。その後、1972年にジョージア州アトランタで結成されたR&B/ファンク・バンド Mother's Finest(マザーズ・ファイネスト)の女性リード・ヴォーカルとして活動します。1984年にバンドを脱退しA&Mと契約。リリースした初のソロ・アルバム『 Lookin( For Trouble 』からの第2弾シングルがバカラック・カヴァーのA.「 愛は果てしなく 」でした。

前回ご紹介した通り、チャカ・カーンがこの曲をカヴァーしたのも1984年。チャカは10月リリースですがジョイスのリリース月は調べても判らず。どっちが先なんでしょうねぇ…。

テンポ(♩≒80)&キー共にオリジナルのキャロル・ベイヤー・セイガー版と同じ。バックの演奏は割りとオリジナルに近いのですが、イントロだけは独自のアレンジでギター・リフがカッコイイです。ジョイスの歌唱は1コーラス目こそノーマルなものの2コーラス目からメロディをかなりフェイクして、エンディングではチャカに負けず劣らずシャウト! 歌声は力とハリがあり素晴らしいです。80年代中盤の雰囲気を感じるのはサウンド含めチャカ版でしょうけど、こと歌唱に関してはジョイス版の方がグッ✊ときます。

全米チャートには縁がなかったものの、US R&Bチャートは30位。MP3音源にはなってないようですが YouTube で聴くことができます。TV番組『 Soul Train 』で歌ってる動画もありますょ、口パクですけど💦。


【データ】
「 STRONGER THAN BEFORE 」
Joyce Kennedy

Single:1984年リリース
レーベル:A&M
番号:AM-2685

Produced by Jeffrey Osborne for Jay Oz Inc. (A面)

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年3月17日 (日)

I Feel For You/Chaka Khan (1984年)

米女性R&Bシンガー、チャカ・カーンが1984年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

2. STRONGER THAN BEFORE (4:21)


米女性R&Bシンガー、チャカ・カーンが1984年にリリースしたアルバムです。

Fullsizeoutput_25d61953年イリノイ州生まれのチャカは1973年ファンクバンド Rufus(ルーファス)のヴォーカルとしてデビュー。ソロとしても1978年にデビューし、1982年にルーファスが解散してからはソロに専念。本アルバムはソロでの6枚目にあたります。

メインのプロデューサーはアリフ・マーディン。全米3位/R&B1位になったプリンス作のアルバム・タイトル曲T-6.「 フィール・フォー・ユー 」をはじめ、ダンス/ファンク・チューンの曲がアルバムの大半を占めます。そんな中でバカラック・カヴァーのT-2.「 愛は果てしなく 」は明らかにテイストが違います。

オリジナルはキャロル・ベイヤー・セイガー(1981年のアルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT 』に収録)。同年シングル・カットされ全米30位になりました。3年も経ってチャカ・カーンがカヴァーしたのは何故なんだろう? オリジナルをアレンジしたのがT-8.「 スルー・ザ・ファイア 」の作者であるデヴィッド・フォスターなんですが、彼がチャカに薦めたんじゃないかなぁ…と勝手に想像しています。

キーは2度高いけれど♩≒80のミディアム・テンポはオリジナルとほぼ同じ。オリジナルがAOR風だったのに対しこちらは若干R&B寄りでしょうか。エフェクトのかかったドラム、フェアライトや各種シンセ(絶対にヤマハDX7を使ってると思う)の音色はいかにも80年代中盤っぽい。チャカの歌唱は余裕を持ってパワフルに歌っていて、中間部やエンディングでのシャウト(ここはオリジナルと大きく違う点です)は流石です。

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
AmazonやiTunesでチャカ・カーンの「 STRONGER THAN BEFORE 」を検索するとライヴ音源(2:45) が見つかります。例えば画像のようなコンピ集です。
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でも、しかし、これが、どう逆立ちしてもチャカ・カーンの歌声に聴こえない…。MORの女性シンガーっぽいんですよねー。演奏もオリジナルのほぼ完コピみたいですし…。
これ誰なんだろう?と色々と音源を聴き比べました。そしてようやく、Marie Osmond(マリー・オズモンド)のライヴ音源と一致することを確認! コンパイルする際、音源を間違えたんでしょう。もー、人騒がせな(怒)。
オズモンズ・ファミリーの彼女は Donny & Marie Osmond 名義での活動が有名なお方。上記ライヴ音源が入ってるコンピ集(MP3のみ)はその名も『 Stronger Than Before (Live) 』でございます。
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【データ】
『 I Feel For You 』(邦題:フィール・フォー・ユー)
Chaka Khan

CD:1984年10月1日リリース (所有CDは、1997年リイシューの日本盤)
レーベル:Warner Bros. (所有CDは、Warner Bros./wea Japan)
番号:9 25162-2 (所有CDは、WPCR-1008)

Executive Producer:Arif Mardin for Deniz Productions
Produced by Arif Mardin, Russ Titelman, John Robbie, David Foster, Humberto Gatica, Robbie Buchanan, Hawk, Joe Mardin
T-2. 「 STRONGER THAN BEFORE 」
  Written by Burt Bacharach, Carole Bayer Sager & Bruce Roberts
  Produced by Arif Mardin & Robbie Buchanan
  Arrangement:Robbie Buchanan & Arif Mardin
  Robbie Buchanan:All Keyboards & Synthesizers
  J.R. Robinson:Drums
  Nathan East:Bass
  Dan Huff:Guitar
  Craig Siegel:Fairlight Programming

2019年3月10日 (日)

Genesis/Delaney & Bonnie (1971年)

デラニー&ボニーが1971年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:45)


米国の男女ロック・デュオ、デラニー&ボニーが1971年にリリースしたアルバムです。

A3916731239220030jpeg デラニー・ブラムレット(1939年ミシシッピ州生まれ、2008年没)とボニー・レイン(1944年イリノイ州生まれ)の2人が1967年にロサンゼルスで出会って結婚。1969年から1972年にかけて Delaney & Bonie 或いは Delaney & Bonnie & Friends 名義でアルバムやシングルをリリース。エリック・クラプトンに見染められ、大きなバックアップを受けて世界的なデュオに。1973年以降はそれぞれソロ活動に専念していきました。

リリースは1971年ですが、レコーディングは1964〜65年及び1967年だそう。デュオ名義なのに全12曲のうちデュエットしてるのは3曲のみで他はデラニーのソロ。プロデューサーは2人いて、T-1,2,5のデュエット曲がレオン・ラッセルのプロデュース、ソロ曲のうちT-3,4,6,10,11,12の6曲はジャッキー・デシャノンのプロデュースです。

昨年末、このアルバムにバカラック・カヴァーのT-1.「 世界は愛を求めている 」が入ってることを知りリイシューCDを購入。でも、CD再生して聴こえてきたファンファーレ調のイントロは野宮真貴の「 世界は愛を求めている 」じゃないですかっ⁉︎  ディスクを間違えたのかと思いましたょ、マジで。それ位そっくり。…と言うか、野宮真貴版はデラニー&ボニーの完コピだったんですねー(エンディングだけは違いますが)。

元々3拍子のこの曲を4拍子のソウル・ロックにアレンジ。♩≒128のリズムもカッコイイです。金管にストリングスも加わった熱く分厚いバックの演奏に、デラニーとボニーのソウルフルで骨太な歌声がジャストフィット。スケールの大きなカヴァーです。素晴らしいっ! プロデュースはレオン・ラッセルで、アレンジもそうなのでしょう。この曲を最初に歌って1965年に全米7位になったジャッキー・デシャノンがプロデュースしたバージョンも聴きたかったですが。

他の曲では、やはりソウル・ロック風にカヴァーしたT-2.「 ふられた気持 」、ジャッキー・デシャノンの曲でジャッキーがプロデュースしたT-12.「 ユー・ハブ・ノー・チョイス 」あたりがノリ良く印象的でした。


【データ】
『 Genesis 』
Delaney & Bonnie

LP:1971年リリース (所有CDは、1991年リイシューの日本盤)
レーベル:GNP Crescendo (所有CDは、キング・レコード)
番号:GNPS 2054 (所有CDは、KICP 2168)

Produced by Leon Russell (T-1,2,5.)
Produced by Jackie DeShannon (T-3,4,6,10,11,12.)
Artists:Delaney & Bonnie (T-1,2,5.), Delaney Bramlett (except T-1,2,5.)
Jackie DeShannon or Leon Russell produced and arranged the "dates" featuring the top Hollywood studio musicians, among them Glen Cambell, Billy Strange, Hal Blaine, Al Casey and James Burton.

2019年3月 3日 (日)

Vol. II/Liz Damon's Orient Express (1971年)

ハワイのグループ、リズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレスが1971年にリリースしたアルバムです。超レアなバカラック・カヴァーを2曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は2トラック

A2. WALKING BACKWARDS DOWN THE ROAD (2:59)
A5. LONELINESS REMEMBERS WHAT HAPPINESS FORGETS (2:02)


コーラスワークが素晴らしいハワイのグループ、リズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレスが1971年にリリースしたアルバムです。

ホノルルはヒルトン・ハワイアン・ヴィレッジにあるバーのハウスバンドだったグループで、メンバーはリード・シンガーのリズ・ダモンと2人の女性シンガー、あと男性コーラスも含むバンドもそうなのかしらん? 1970年代に5枚アルバムをリリースしていて、本作は2枚目に当たります。

Fullsizeoutput_2740Fullsizeoutput_273a 収録曲は全てカヴァー。有名曲はローラ・ニーロのA3.「 TIME AND LOVE 」、キャロル・キングのB3.「 WHERE YOU LEAD 」フランシス・レイのB4.「 ある愛の詩 」あたり。 半分は私にとって聴いたことない曲でしたが、そのコーラス・ワークの素晴らしさの前では曲を知ってるかどうかなんて関係ないですねー。

リズ・ダモンを軸に、男女コーラスがユニゾンしたりハモったり、ホントに心地よいコーラスを聴かせてくれます。効果的に使われるヴィブラフォンや柔らかなトランペットなど、アレンジと演奏もソフトタッチでドリーミーです。

んで、2曲入ってるバカラック・カヴァー(というよりディオンヌ・カヴァーでしょうけど)は超レアなもの。

A2.「 ウォーキング・バックワーズ・ダウン・ザ・ロード(私が歩む世界)」のオリジナルはディオンヌ1968年のアルバム『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』に収録。カヴァーは本作だけだと思います。キーやアレンジの基本形はディオンヌ版と同じ。メロディのほとんどは女性コーラスがユニゾンで歌い、所々で男女コーラスがハモります。ディオンヌ版(♩≒98)より幾分速いテンポ(♩≒104)とソフトで明るい声質もあり、聴いててウキウキ楽しい雰囲気になります。

A5.「 ロンリネス・ハッピネス 」のオリジナルはディオンヌ1970年のアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』に収録。カヴァーの数は本作を入れても片手くらいですかね。キーとテンポはディオンヌ版と同じですが、イントロやオブリガートなど独自のアレンジを施されていてもっと軽やかな印象。そしてコーラスの素晴らしさ! メロディは最初から最後まで男女コーラスが歌っていて、しかもほとんどがハモリ。何回聴いても飽きないです。この曲はシングル・カットされて1972年にUS ACチャートで29位を記録しています。

私が所有しているLPは Anthem盤ですが、同年同じ内容で Delilah Records からジャケット違いの『 Try A Little Tenderness 』がリリースされています。
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Discogsで購入する際迷ったのですが、ジャケットに惹かれて『 Vol. II 』を購入。だってセンスが全然違うんだもん

ここからはオマケとして、MP3で所有しているバカラック・カヴァーをご紹介。
リズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレスは1970年リリースのファースト・アルバム『 Liz Damon's Orient Express 』で「 遥かなる影 」(3:24)をカヴァー。可愛らしいカヴァーです。メロディをほとんどユニゾンで歌っているのがちょっと残念。
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また、1973年リリースのサード・アルバム『 Me Japanese Boy (I Love You) 』ではアルバム・タイトルにもなった「 ミー・ジャパニーズ・ボーイ 」(2:27)をカヴァー。歌ってるのはリズ・ダモンとキッズ・コーラスのみで、大人のハーモニーは聴けず。アレンジもなにやらチープでちょっと期待外れかなぁ。
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【データ】
『 Vol. II 』
Liz Damon's Orient Express

LP:1971年リリース
レーベル:Anthem (US)
番号:ANS-5900

Produced by George P. Chun
Arranged and Conducted by Joe Eich

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年2月24日 (日)

Tribute/Melissa Manchester (1989年)

メリサ・マンチェスターが1989年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

5. WALK ON BY (3:46)


米国の女性シンガーソングライター、メリサ・マンチェスターが1989年にリリースした13枚目のオリジナル・アルバムです。

メリサ・マンチェスターについては11作目のアルバム『 EMERGENCY 』をご参考ください。

Fullsizeoutput_22abアルバム・タイトルのとおり本作はトリビュート・アルバム … いわゆるカヴァー・アルバムです。

─ これは私がずっと長い間作りたかったアルバムよ。一周して元に戻り、ジュディ、エラ、エディット、バーブラ、ビリー、イーディー、ロージー、サラ、そしてディオンヌにお礼を言わなくちゃって気付いたの。 ─ (ライナーより)

具体的な曲名とトリビュートする女性シンガーはライナーの曲目リスト(画像)の通り。T-10.のみ自身のリメイクです(キャロル・ベイヤー・セイガーとメリサの共作曲)。

プロデュースとアレンジは1曲を除いて彼女自身とピーター・マッツによるもの。T-1,3,4,6,7,10の6曲はオケ中心のアレンジでゴージャスにしっとり聴かせます。ビッグバンド・アレンジの3曲は派手で楽しいT-2,8とゆったりバラードのT-9。いずれの曲でもメリサは表現力たっぷりに歌い上げています。

んで、バカラック・カヴァーはディオンヌ・ワーウィック・トリビュートのT-5.「 ウォーク・オン・バイ 」。この曲だけはロン・ネヴィソンのプロデュースで演奏はバンド形式。テンポは♩≒83、どことなくアイリッシュな雰囲気のポップ・バラードに仕立てられていて、要所でオブリガードを吹くサックスにはスムーズ・ジャズっぽさも感じます。メリサの歌唱は肩の力が抜けていていいですね〜。曲の後半、" Walk on 〜〜〜〜〜 " と13秒間ブレスなしで歌うところはグッときます。

本アルバムからはこの「 ウォーク・オン・バイ 」だけがシングル・カットされました。US ACチャートで6位という記録が残っています。

思いがしっかり伝わってくる中身のあるカヴァー・アルバムだと思います。


【データ】
『 Tribute 』
Melissa Manchester

CD:1989年リリース
レーベル:MIKA Records / Polydor
番号:841 273-2

Produced and Arranged by Melissa Manchester and Peter Matz
Orchestrated and Conducted by Peter Matz

T-5.「 WALK ON BY 」
Produced by Ron Nevison
Arranged by Melissa Manchester, David Paich & Ron Nevison

2019年2月17日 (日)

Today/The Dudley Moore Trio (1972年)

英国出身の俳優ダドリー・ムーアが1972年にリリースしたピアノ・トリオのアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全8トラック中、バカラック作品は1トラック

4. THE LOOK OF LOVE (6:29)


英国出身の俳優ダドリー・ムーアが1972年にリリースしたピアノ・トリオのアルバムです。

どこかで聞いた事がある名前です。そう、バカラックが音楽を担当した1981年公開の米映画『 ARTHUR(ミスター・アーサー) 』で主演を務めたあのダドリー・ムーアです。大富豪の御曹司アーサー・バックに扮し、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。

─ 結婚披露パーティーではアーサーが白いピアノに向い「 サンタが街にやってくる 」(この歌は入浴中にも口ずさむ)や「 ブルー・ムーン 」を歌う場面がありピアニストとしても名高いダドリー・ムーアの本領を垣間見せてくれました。 ─

引用したのは『 ミスター・アーサー 』サントラ日本盤の解説の一節。ですからピアノが弾ける俳優さんなんだ〜という認識はありました。でも、ここまで本格的なプロのジャズ・ピアニストだったとは! 

ダドリーは1935年生まれ(2002年没)。俳優、コメディアン、ジャズ・ピアニスト、作曲家という4つの顔を持っていました(詳しくはウィキペディアを参照ください)。ジャズ・ピアニストとしては、自身のトリオを組んで『 Plays The Theme From Beyond The Fringe & All That Jazz 』(1962年)、『 The Other Side Of Dudley Moore 』(1965年)、『 Genuine Dud 』(1966年)、『 The Dudley Moore Trio 』(1969年)といったアルバムをリリース。本作はそれに続くアルバムでございます。

Fullsizeoutput_2369 ─ 『 Today 』は、シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、キャンベラでのコンサートを含むオーストラリアの3週間のツアーで大成功を収めた1971年に録音された。ダドリーは、頑強なドラマーのクリス・カランと、新しくメンバーとなったベースのピーター・モーガンを伴っていた。このトリオが完全な表現を見つけたことをダドリーが書いた5曲を通して説明しよう。 魅惑的な「 THE STAIRCASE 」、美しく揺れる「 WATERLOO 」、優雅で内省的な「 BEFORE LOVE WENT OUT OF STYLE 」、卑猥に聴こえる「 ROBIN’S BLUES 」、(バート・バカラックの「 恋のおもかげ 」における迷宮のような熟考は言うまでもない)、そしてダドリーが最初の妻である女優Suzy Kendall(スージー・ケンドール)へのオマージュとして書いたトップ10シングル、キャッチーなスキャットスタイルの「 SONG FOR SUZY 」。 ─ (リイシューCDのライナーノーツより、私の超意訳で)

ダドリーが書いた5曲は全くライナーノーツの通り。それぞれ魅力的な曲で作曲家としての才能もなかなかのもの。

バカラック作品のT-4.「 恋のおもかげ 」は♩≒104の幾分ファンキーな8ビート仕立て。他では聴けない特徴的で怪しげなイントロ&エンディング、ピアノのファンキーなアドリヴ、メリハリの効いたノリの良いベース…。いやホントにびっくりです。下手なピアノ・トリオの演奏より全然イイッ! 惜しいのはドラムスの音色が硬くてメリハリもなく平板なところかなぁ(他の曲でも言えることですが)。

ちなみに、本作の前年(1971年)に「 SONG FOR SUZY 」がオーストラリアでシングル・リリースされてまして、そのカップリング曲が「 恋のおもかげ 」でした。

本作はMP3で聴けますので興味がありましたら是非! なお、LPのアルバム・ジャケットはオーストラリア盤のものを拾いました。リイシューCDはUK盤のジャケットを再現しているようです。


【データ】
『 Today 』
Dudley Moore

LP:1972年リリース (所有CDは、2017年リイシューのUK盤)
レーベル:Atlantic (所有CDは、el in association with Cherry Red Records)
番号:SD-1000 (所有CDは、ACMEM332CD)

Dudley Moore:piano
Peter Morgan:bass
Chris Karan:drums
Written by Dudley Moore (T-2,3,5,7,8.)
Recorded at United Sound Studios, Sydney

2019年2月10日 (日)

HE WHO LOVES/Jerry Vale (1969年)

米男性歌手のジェリー・ヴェイルが1969年にリリースしたシングル。レアなバカラック・カヴァーです。

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A. HE WHO LOVES (2:29)
B. CLOSE TO YOU (2:52)


米男性ポップ・シンガーのジェリー・ヴェイルが1969年にリリースしたシングルです。

ジェリーは1930年NY生まれ(2014年、83歳で他界)のイタリア系アメリカ人。1950年代〜1960年代にバラードタイプのポップ・ソングを歌って活躍していたお方だそうです。歌手としてはいわゆる Crooner の類い。流行り歌もたくさん歌っていたようで、ご多分に漏れずバカラック作品もいろいろとカヴァー。そのうちの1曲が超レア曲の「 ヒー・フー・ラヴス 」でした。

Imagesオリジナルは米男性ポップ・シンガーの Lenny Welch レニー・ウェルチ(画像、1940年NY生まれ…ディオンヌと同い年)。1968年夏にリリースされたシングル「 テネシー・ワルツ 」のB面として世に出ました。ゆったりめ(♩≒80)のソウルっぽい8ビートで曲の尺は2:53。金管&ストリングスオケと女性コーラスをバックに細かいビブラートの張りのある歌声を聴かせます。シンコペーションを多用した長調のメロディは軽いタッチでどこかほのぼの。原題の「 HE WHO LOVES 」を直訳すると「 愛する人は誰でも 」でしょうか、ハル・デイヴィッドによる歌詞もノーテンキに愛の素晴らしさを語る love & peace 的なものです。

こんな軽い曲でもバカラックはバカラック。1オクターブ半の音域を持つメロディライン、ヘ長調とハ長調と変イ長調を行ったり来たりする転調、7小節のフレーズもあったりして…。やっぱりシンプルな曲作りができない性分なんですね、バカラックは

ちなみにこのレニー版は、2012年に出たバカラック物コンピ集『 The Universal Sound Of Burt Bacharach Vol.2(バカラック・ベスト 〜バート・バカラック・ソングブック) 』で聴くことができます。

そして今回の主役、ジェリー版。キーはオリジナルと一緒ですが♩≒106のテンポで若干ボサノヴァのふりかけがかかった8ビート。お花畑にいるかのようなふんわりしたアレンジで、女性コーラスと低音フルートが柔らかい感じを、ストリングスとヴィブラフォンがキラキラした雰囲気を、弾むピアノがウキウキした気分を醸し出しています。そしてジェリーも軽く柔らかな歌声でさらっと歌っています。曲のコンセプトに合っているジェリー版の方がオリジナルより私は好きです。チャート的にはUS ACチャートで34位を記録しています。

あっ、シングルB面の「 CLOSE TO YOU 」はトニー・ハッチ&ジャッキー・トレント作品ですので。お間違えのないように(実際 Wikipedia の Jerry Vale discography では誤ってバカラック作品を記載しています)。


R320243014428028334959jpeg ここからはオマケ情報その1。
実はこの「 ヒー・フー・ラヴス 」は1967年の6月16日に楽曲著作権登録されています(ちなみに「 ディス・ガイ 」も同じ日に登録!)。そしてその約1ヶ月後の7月28日と8月3日にPerry Como ぺリー・コモが2テイク録音しています。1968年リリースのアルバム『 Look To Your Heart 』(画像)のレコーディング・セッションのうちの1曲だったのですが、結局アルバムには収録されずシングルにもなりませんでした。ですが2015年にCDリイシューされた際にボーナストラックとして収録! 私はMP3で入手することができました。曲の尺は2:42。

ペリー版はオリジナルよりキーは2度低いのですがテンポは♩≒102でジェリー版に近く、曲調もジェリー版に近いふんわり可愛らしい感じ。歌声の柔らかさはジェリー・ヴェイルと大差ないのですが細かい部分の表現力が豊かで聴き手を優しく包む感覚はジェリー版にはないものです。さすがは大御所男性歌手!

そもそもこの曲はペリー・コモのために書き下ろしたんじゃないですかねー。真相はわかりませんが…。「 ヒー・フー・ラヴス 」は以上3種類しか聴いたことありません。聴き比べてのランキングは以下の通り。このうちペリー版は YouTube で聴けます。
1位:ペリー・コモ
2位:ジェリー・ヴェイル
3位:レニー・ウェルチ

そしてオマケ情報その2。MP3で所有しているジェリー・ヴェイルのバカラック・カヴァー8曲をちょろっとご紹介。

① 1968年のアルバム『 This Guy's In Love with You 』より
「 ディス・ガイ 」(3:05)、「 サン・ホセへの道 」(2:42)、「 恋のおもかげ 」(3:27) の3曲をカヴァー。バックで演奏するポップ・オーケストラのアレンジは一工夫あってなかなか良い感じなのですが、ジェリーの歌いっぷりが平板で大根歌手然としてまして…。もったいないです。なお、「 恋のおもかげ 」は1968年にシングルのB面曲になってます。
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② 1969年のアルバム『 Till 』より
「 プロミセス・プロミセス 」(2:54) をカヴァー。バックのポップ・オーケストラのアレンジはゴージャスな雰囲気。ジェリーの歌唱も大根的ではあるものの張りのある歌声を聴かせてくれます。
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③ 1970年のアルバム『 Let It Be 』より
「 恋よさようなら 」(3:03)、「 雨にぬれても 」(2:37) の2曲をカヴァー。このアルバムではバックのアレンジもなんだか大根ちっく。ジェリーの歌声もしゃがれた感じが強くて今まで以上に大根歌手に聴こえます。なお、「 恋よさようなら 」は1970年にシングル・リリースされてます(チャート・アクション無し)。
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④ 1971年のアルバム『 We've Only Just Begun 』より
「 涙でさようなら 」(2:55)、「 遥かなる影 」(3:20) の2曲をカヴァー。うーん、印象は同じですねー。演奏も大根ちっくでジェリーの歌も大根です。
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ジェリー・ヴェイルのバカラック・カヴァーでは「 ヒー・フー・ラヴス 」が1番だと思います。


【データ】
「 HE WHO LOVES 」
Jerry Vale

7" Single:1969年リリース
レーベル:Columbia
番号:4-44914

Producer:Wally Gold
Arranged & Conducted by Joe Gardner

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2019年2月 3日 (日)

"LIVE" IN TOKYO/Ramsey Lewis (1968年)

ラムゼイ・ルイス初来日時のライヴ録音盤です。バカラック作品を1曲収録!

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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDジャケットの表/裏

全9トラック中、バカラック作品は1トラック

4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (4:38)


米男性ジャズ・ピアニストのラムゼイ・ルイスが初来日したのは1968年9月。その時のライヴ録音盤です。(ラムゼイ・ルイスのプロフィールは前々回記事を参照ください)

この時にラムゼイ・ルイス・トリオは主要都市で6公演したそうです。
9月11日 東京・サンケイホール
   13日 大阪フェスティバル・ホール
   15日 広島市公会堂
   16日 神戸国際会館
   17日 東京・サンケイホール
   20日 名古屋市公会堂
入場料(東京公演)S¥2,300、A¥1,800、B¥1,400、C¥1,000

本アルバムのクレジットには1968年9月にサンケイホールにて録音…とだけ記載されていて、11日/17日どちらの公演なのか、あるいはいいとこ取りをしたのか、その辺りはわかりません。日本のみでリリースされ、以降も日本では何度かリイシュー。私が所有しているのは2004年のリイシューCDです。

聴衆のお目当てはやっぱりT-1.「 ジ・イン・クラウド 」やT-9.「 ウェイド・イン・ザ・ウォーター 」でしょう。どちらもラムゼイ・ルイスの代表曲で、聴衆の手拍子も一段と大きいです。それとT-5.「 ソング・フォー・マイ・ファーザー 」の中間部、ドラムスのアドリヴでカリンバも演奏するところはモーリス・ホワイトの面目躍如! 聴衆にもウケてました。

そんな中で演奏されたバカラック作品がT-4.「 世界は愛を求めてる 」。テンポ♩≒148のジャズワルツ。1コーラス演奏した後、1:30頃から始まるピアノのアドリヴが素晴らしい! だんだん激しくファンキーに。徐々にテンポアップしてベースとドラムスもそれに応えて熱い熱い演奏になっています。このノリはやはりラムゼイ・ルイスならでは。最後、我に返って消え入る様に終わるところもイイですねー。

ちなみに、私が聴いたことあるラムゼイ・ルイスのバカラック作品は6曲。
1966年「 マイケルへのメッセージ 」…『 Wade In The Water 』こちらで紹介済み
1967年「 恋のおもかげ 」「 アルフィー 」…『 Up Pops Ramsey Lewis 』
1968年「 サン・ホセへの道 」…『 Maiden Voyage 』こちらで紹介済み
1968年「 世界は愛を求めてる 」… 本アルバム
1983年「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」…『 Les Fleurs 』

R4042771334488855jpeg今回オマケとしてご紹介するのがMP3でしか所有していない「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」(6:09) 。画像はアルバム『 Les Fleurs 』のジャケットでございます。アルバムのタイトルはフランス語で花という意味。ジャケット見てもそんな感じしませんけど…。
ピアノ、アコースティックベース、チェロによる演奏なのですが、ほぼラムゼイ・ルイスのピアノ・ソロといった感じでベースとチェロはバックグラウンド的位置付け。リリカルで情熱的、そしてちょっとアヴァンギャルド。
こんな感じなのですが、イメージ湧きますかね?

R1227285715365037681264jpegR1227285715365037802648jpegそして、今回記事を書くにあたりDscogsを調べて見たらもう1曲「 恋のおもかげ 」の録音を発見!
日本でのみリリースされたアルバム『 ENCORE! / RAMSEY LEWIS IN TOKYO(ラムゼイ・ルイス・イン・東京 / アンコール!  』がそれ。1968年10月18日、東京サンケイ・ホールでの実況録音盤で、LPレーベル面にはVol.2の文字が…。初来日からわずか1ヶ月後に再度来日したのでしょうか。MP3は存在せず聴いたことないのですが、このアルバムが国立国会図書館に所蔵されていることを確認! 聴きたいなぁ。


【データ】
『 "LIVE" IN TOKYO 』 (当時の邦題:ラムゼイ・ルイス・イン・東京)
Ramsey Lewis

LP:1968年リリース (所有CDは、2004年1月28日リイシュー盤、解説は児山紀芳氏)
レーベル:Globe (Japan) (所有CDは、CADET/ユニバーサル・ミュージック)
番号:SMJ-7501 (所有CDは、UCCC-9072)

Ramsey Lewis - piano
Cleveland Eaton - bass
Maurice White - drums
Recorded September, 1968, live at Sankei Hall, Ohtemachi, Tokyo
(1968年9月、東京大手町サンケイホールでの実況録音)

2019年1月27日 (日)

Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra/Carpenters (2018年)

カーペンターズとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、奇跡の共演!! バカラック作品を2曲収録!

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全18トラック中、バカラック作品は2トラック

10. BABY IT'S YOU (3:12)
11. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (3:41)


Fullsizeoutput_1e20_2 リチャード・カーペンターがオーケストラアレンジを書き直し、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を自ら指揮、ロンドンのアビーロード・スタジオで録音したアルバムです。

発売元のユニバーサルミュージックは、これまでにロイ・オービソン、エルビス・プレスリー、アレサ・フランクリン、ビーチ・ボーイズ…といったアーティスト達のヒット曲から歌声部分を取り出し、ロイヤル・フィルよる新たな伴奏と組み合わせる企画アルバムを手がけています(アレサ版はこちらで紹介済み)。

しかし、本作はそれらと大きな違いがあります。それは製作の主導権をリチャード自身が握ったこと。ストリングスとの相性を考慮した選曲、カレンの歌声の魅力を最大限に活かしたリアレンジ、オリジナル録音時のノイズや微妙なピッチのズレ等の修復など、リチャードが自分で納得いくまでやりたかったんだと思います。

2018年12月、リリースに合わせて来日したリチャードは多くのメディアから取材を受けました(以下主だった記事をリンク)。読むとリチャードのこだわりがよく伝わってきます。
発売記念イベント@山野楽器銀座本店/BARKS
カーペンターズのリチャードに聞く(上)新作を作った理由/産経ニュース
カーペンターズのリチャードに聞く(下)人生はこれから/産経ニュース
リチャード・カーペンター、オーケストラ・サウンドを加えヒット曲に新しい息吹/BARKS
カーペンターズ、今も色褪せぬ名曲 リチャード「カレンは天才だった」/ミュージックヴォイス

T-1.「 OVERTURE(オーヴァーチュア) 」〜 T-2.「 YESTERDAY ONCE MORE(イエスタデイ・ワンス・モア) 」〜 T-3.「 HURTING EACH OTHER(ハーティング・イーチ・アザー) 」は曲間をつないで各曲のオケ・アレンジにもちょっぴりスパイスがかかっています。元の曲の雰囲気は変えずにうまくお化粧し直した印象なのですが、それは本アルバム全体の印象でもあります。

バカラック作品は2曲。T-11.「遥かなる影」があるのは当然として、嬉しいことにT-10.「ベイビー・イッツ・ユー」も入ってました。 ─ シングル盤にはならなかったけれど、私のお気に入りの曲にも光を当てました。「ベイビー・イッツ・ユー」「マスカレード」など。 ─ (リチャード談) へぇ〜、そうだったんだ! いずれもセカンドアルバム『 CLOSE TO YOU(遥かなる影)』からのチョイスです。

「 ベイビー・イッツ・ユー 」のイントロは元々のピアノ2小節からオケ8小節に変わっていますが違和感はありません。本編ではオケのアレンジにちょっと手を加えていて、所々に追加されたオブリガートが新鮮に聴こえます。

一方の「 遥かなる影 」は、音の “ ざらつき ” が取れてクリアになりヴォーカルが前に出てきた以外は変わってないんじゃない?って感じ。何もいじる必要がないくらい元の「 遥かなる影 」の完成度が高かったってことなんでしょう。本アルバムの他の曲とは違ってオケのアレンジは変わってないようですが、ハープやストリングスの表現は抑えめでカレンの歌声を最大限活かそうというリチャードのこだわりが伝わってきます。

リチャードがインタビューで語っていた様に、本アルバムはシャッフルせずに曲順どおりにゆったり聴くのが良いと思いました。曲間繋がってる所が多いですから。


【データ】
『 Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra 』
Carpenters

CD:2018年12月7日リリース
レーベル:A&M
番号:B0029419-02 (所有CDはCanada盤 B002914002)

Produced by Richard Carpenter
Associate Producer:Nick Patrick
Arranger:Richard Carpenter (Except T-7.), Paul Riser (T-7.)
Vocal Arranger:Richard Carpenter (T-7.)
Orchestra performed by The Royal Philharmonic Orchestra
Conducted by Richard Carpenter
The Royal Philharmonic Orchestra recorded by Haydn Bendall at Abbey Road Studio 2, London, U.K.

↓左:US盤、右:日本盤(ボーナストラック付き T-19.)

2019年1月20日 (日)

Up Pops Ramsey Lewis/Ramsey Lewis (1967年)

ラムゼイ・ルイスが1967年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を2曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は2トラック

A2. THE LOOK OF LOVE (4:22)
B3. ALFIE (2:45)


米国の男性ジャズ・ピアニスト、ラムゼイ・ルイスが1967年にリリースしたアルバムです。

ラムゼイ・ルイスは1935年シカゴ生まれ。自身のトリオを結成して1956年に最初のアルバムをリリース。1965年リリースの『 The In Crowd(ジ・イン・クラウド)』は100万枚以上のセールスを記録しグラミーも受賞。EW&Fのモーリス・ホワイト、フィリップ・ベイリー、ヴァーダイン・ホワイトが参加した1974年のアルバム『 Sun Goddess(太陽の女神)』はソウル・チャートとジャズ・チャートの両方で全米1位になりました。そのファンキーなピアノ・スタイルから “ ジャズ・ファンクのゴッドファーザー ” の異名をとるお方でございます。

私がラムゼイ・ルイスを初めて聴いたのは1980年代前半。1980年リリースのアルバム『 Routes 』で、モーリス・ホワイト、アル・マッケイ、ラリー・ダン、フィリップ・ベイリー、フレッド・ホワイトといったEW&Fメンバーの多くが参加したフージョン・タッチのアルバム。その後しばらく私はラムゼイ・ルイスをフュージョン界の人だと思ってましたねー

1967年当時のラムゼイ・ルイス・トリオは、ラムゼイ本人(ピアノ)、クリーヴランド・イートン(ベース)、それにモーリス・ホワイト(ドラムス)。本作はそのピアノ・トリオにホーン群やギター、パーカッションが加わって編成となっています。

Fullsizeoutput_1747Fullsizeoutput_174d全10曲のうち7曲がソウル/R&B/ポップのヒット曲。サム&デイヴのA1、ダスティ・スプリングフィールドのA2、アレサ・フランクリンのA3、スティーヴィー・ワンダーのB2、ステイプル・シンガーズのB4(ここまでが1967年のヒット)、シラ・ブラック/シェールのB3(1966年)、リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズのA4(1964年)…。アルバム・タイトルのとおりポップスを取り上げたアルバムなんですねー。

演奏のメインはピアノ・トリオ。メロディやアドリヴはピアノの独壇場。ホーン群も時折メロディを吹きますが、殆どは伴奏といった感じで持続音または刻みの和音を吹いてます。全体的な印象は、オケのアレンジ&指揮を担当しているリチャード・エヴァンス作の3曲を含めて “ 歌のないSOUL/R&Bアルバム ” といった感じです。

バカラック作品は2曲。A2.「 恋のおもかげ 」はR&Bのリズム(原曲は軽いボサノヴァ)にゆったりめのテンポ(原曲の♩≒98に対して本作は♩≒86)。1コーラス目はピアノ・トリオ主体でまったり妖しげな雰囲気。2コーラス目以降はねちっこく吹くホーン群とピアノのファンキーなアドリヴでゴージャスになります。なかなかユニークな演奏かと。一方B3.「 アルフィー 」は本作の中では最もR&B色の薄いアレンジ。イントロのクラリネットが意表を突きます。ホーン群がかなり出張っていてビッグ・バンドによるジャズ・バラードといった感じです。ちなみに「 恋のおもかげ 」は翌1968年にシングル・カットされました(Cadet 5593、B面曲は「 BEAR MASH 」)。

特別ファンキーでもないし、選曲的にも企画色が濃い本作。リイシューCDも出てないですし、ラムゼイ・ルイスのアルバムの中では人気ないんでしょうね…。

オマケとして内袋(CADETのジャズ・アルバムのカタログになっています)の画像を置いていきます。CADETはシカゴのR&B系レーベルであるチェス・レコードの傘下だったわけですが、こうして眺めるとなるほどCADETはファンキーなジャズ・ミュージシャンが多かったことがわかります。
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【データ】
『 Up Pops Ramsey Lewis 』
Ramsey Lewis

LP:1967年リリース
レーベル:CADET
番号:LPS-779

Produced by Richard Evans
Arranged by Ramsey Lewis and orchestrated by Richard Evans (A1,2.)
All others arranged and orchestrated by Richard Evans
Ramsey Lewis - piano
Cleveland Eaton - bass
Maurice White - drums
augmented by orchestra conducted by Richard Evans

Recorded:July & October, 1967, at Ter Mar Studios, Chicago

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2019年1月13日 (日)

Love Is Lainie/Lainie Kazan (1968年)

米国の女優&歌手、レイニー・カザンが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを4曲収録!

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全11トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. A HOUSE IS NOT A HOME (3:08)
A2. THE LOOK OF LOVE (3:12)
B1. THEY DON'T GIVE MEDALS (TO YESTERDAY'S HEROES) (3:07)
B4. THE WINDOWS OF THE WORLD (3:46)


米国の女優&歌手、レイニー・カザンが1968年にリリースしたアルバムです。

レイニーは1940年NY生まれ。ディオンヌ・ワーウィックとは同い年。1961年にブロードウェイ・デビューして、1964年のミュージカル『 ファニーガール 』では主演バーブラ・ストライザンドの代役も務めたとか。映画(1968年〜)、TV(1962年〜)にも数多く出演。今でも現役のようです。

歌手としてはMGMから1966年にアルバムやシングルをリリース。本作は4枚目のアルバムになります。バックは優しい響きのオーケストラ(詩を朗読してるみたいなB5.だけはギターのみ)で、3人のアレンジャーを使い分けています。レイニーの歌声はバーブラ・ストライザンドって感じ。押し出しの強さやブリリアントさバーブラほどではありませんが、さすが代役するだけはありますねー。

Fullsizeoutput_1701Fullsizeoutput_1706バカラック・カヴァーは4曲で、全てパット・ウィリアムスのアレンジ。前回ご紹介したレスリー・アガムスのアルバムでもいい仕事してましたが、このアルバムでもオヤッと思うアレンジがあちこちあってレコメンドです。

まずA2.「 恋のおもかげ 」。イントロのメロディは聴いたことないフレーズですし、Aメロが始まってから4ビートで刻むピアノのブロックコードも新鮮。2コーラス目サビの半音ずつ高くなる転調にはグッときました。B.4「 世界の窓と窓(世界の窓に光を)」は4拍子の原曲をしっとりした曲調の8分の6拍子にアレンジ。でもこれが実にマッチしてまして、全く違和感がありません。素敵なアレンジです。A1.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」はリズム無しストリングスのみのアレンジ。イントロだけ聴いたらとてもこの曲だとわからないでしょうね。レイニーの歌もぴったりで映画のワンシーンを見ているよう。

以上3曲はバカラックのカヴァー定番曲ですが、B1.「 悲しきイエスタデイ・ヒーロー 」はちょっとレアな曲。1966年のTVドラマ『 オン・ザ・フリップ・サイド 』でリック・ネルソンが歌ったのがオリジナル。同年ベン・E・キングがカヴァー。翌1967年にはチャック・ジャクソン、ルー・ロウルズ、ウォルター・ジャクソン、Rufus Lumleyがカヴァーしています。そして初めてカヴァーした女性がレイニーなのでございます。原曲よりもゆったりしていて、テンポは十数曲あるこの曲のカヴァーの中で最も遅い♩≒84。しかもエンディング近くでさらに遅くなります。う〜ん、なんともドリーミー!

ちなみに、「 悲しきイエスタデイ・ヒーロー 」はA面でシングル・リリースされています(MGM K13943)。どうしてこんな地味な曲をシングルにしたんでしょうね…。

バカラック・カヴァー以外では、ジャズ・タッチで後半弾けるA4.「 サニー 」や、ヤング・ラスカルズのカヴァーでゆったりゴージャスなB2.「 高鳴る心 」あたりが良かったです。

いいアルバムなのに、CD化もMP3化もされないなんてどうかしてます。ジャケットも素敵ですしね。加えて内袋も洒落てます↓。
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ここからは、オマケとしてMP3でしか持ってないバカラック・カヴァーをご紹介。
R505558113832982158242jpegレイニー・カザンは、1998年リリースのアルバム『 In The Groove 』で再度「 恋のおもかげ 」(4:40) をカヴァーしておいでです。
今度はオケではなく、ピアノ・トリオ+パーカッション+女性バックコーラスというコンテンポラリー・ジャズ仕立てのサウンド。年齢を重ねたからか、ドスの効いた歌声になっていてもうバーブラとの近似性は感じません。これはこれで魅力的なカヴァーです。
でも、なんていうですかねぇ、ポップス・アレンジの妙とジャケットの魅力で個人的には1968年のカヴァーに軍配を上げてしまいます。


【データ】
『 Love Is Lainie 』
Lainie Kazan

LP:1968年リリース
レーベル:MGM
番号:SE-4496

Produced by Pete Spargo
Arranged and Conducted by Pat Williams (A1,2,5, B1,4.)
Arranged by Claus Ogerman, Conducted by Peter Daniels (A3.)
Arranged and Conducted by Bob Florence (A4,6, B2,3.)
Accompanied on guitar by Tommy Tedesco (B5.)

Recording date
Oct. 16, 1967 (A4, B3.)
Feb. 26, 1968 (A6, B2.)
Feb. 27, 1968 (A2, B1,4.)
Feb. 28, 1968 (A1,5, B5.)
Unknown (A3.)

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し

2019年1月 6日 (日)

What's An Uggams?/Leslie Uggams (1968年)

米国の女優で歌手、レスリー・アガムスが1968年にリリースしたアルバム。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:46)
A2. ANY OLD TIME OF THE DAY (3:35)
A3. IN THE LAND OF MAKE BELIEVE (2:59)
A4. LET THE MUSIC PLACE (2:25)


今年(2019年)のブログ “ 書初め ” はこのアルバム! レスリー・アガムスが1968年にリリースしたアルバムです。

レスリーは1943年ニューヨークのハーレム生まれ。ブロードウェイ・ミュージカル『 Hallelujah, Baby! 』で1968年トニー賞(ミュージカル主演女優賞)を受賞したり、1977年の米TVドラマ『 Roots(ルーツ) 』で主人公クンタ・キンテの娘キジー役を演じてエミー賞にノミネートされるなど、女優として多方面で活躍。

一方、9歳でアポロ劇場に出演し1950年代後半にはミッチ・ミラーのレコード『 Sing Along with Mitch 』シリーズのレコーディングに参加するなど、早くから歌手としても活躍。1960年代前半のTV番組『 Sing Along with Mitch(ミッチと歌おう)』へのレギュラー出演と並行して、Columbiaからアルバムやシングルもリリース。1965年にAtlanticと契約、同レーベル2枚目のアルバムが本作でございます。

Fullsizeoutput_16ce_2Fullsizeoutput_179d収録曲10曲の内訳は、バカラック&デイヴィッド作品4曲、リーバー&ストーラー作品3曲、アービン・ドレイク作品2曲、バリー&グリーンウィッチ&スペクター作品1曲。バックの主体はポップス・オーケストラで、編曲はパット・ウィリアムス、ジャック・コートナー、ピーター・マッツの3人が担当。プロデュースはリーバー&ストーラーで、ポップスを軸にR&Bやジャズまでバラエティに富んでいます。

バカラック&デイヴィッド作品の4曲は全てカヴァー。どれも味があるアレンジでレコメンドです。中でもA2.「 エニィ・オールド・タイム・オブ・デイ 」が素晴らしい! この曲は以前ご紹介したコンピ集『 アトランティック・バカラック・コレクション 』にも入っていまして、その時私はこう書いてます。 ─  ドリーミーなレズリー・アガムスの「 エニィ・オールド・タイム・オブ・デイ 」 はこのレア曲のカヴァーとしてよく出来てます。アトランティックっぽさは殆どみられませんが(>_<)。 ─  具体的には、木管楽器(バリトンサックス?やフルート)による軽妙なオカズを筆頭に、ふわっとした柔らかな音色で奏でられる金管楽器やストリングスのオブリガート、艶やかでメリハリの効いたレスリーの歌唱…。ホント素晴らしいカヴァーです!

A1.「 世界は愛を求めている」は “ 頭サビ ” の曲ですが、イントロ無しでBメロからか始まります。ピアノだけをバックにジャズっぽく歌うこの冒頭部分にグッときます。本編はジャッキー・デシャノン版に近いテイストですが、ゴージャス感があっていい感じ。A3.「 イン・ザ・ランド・オブ・メイク・ビリーブ 」も柔らかい音色の金管楽器やストリングスが素敵で、全体的に軽めで「 エニィ・オールド・タイム・オブ・デイ 」ほどではありませんがドリーミーな雰囲気。A4.「 レット・ザ・ミュージック・プレイ 」はR&B色が感じられるアレンジ。ここまでの3曲とはアレンジャーが違うからでしょうかねー。随所で聴こえる木管楽器の “ オカズ ” がユニークで楽しいです。

バカラック作品以外について少々。アイク&ティナ・ターナーのカヴァーであるA5.「 RIVER DEEP, MOUNTAIN HIGH 」は、本家には負けるけれどソウルフルな歌唱です。B1.「 イズ・ザット・オール・ゼア・イズ(IS THAT ALL THERE IS?)」は、翌1969年にペギー・リーがカヴァーしてグラミーを受賞(最優秀女性ポップ・ボーカル賞)してますが、このレスリー版がオリジナルでございます。大人のペギー・リー版よりも軽いタッチですが私はレスリー版も悪くないと思います。B3.「 SOME CATS KNOW 」も1975年にペギー・リーがカヴァーしてますが、こちらはセクシーなペギー・リー版の方がいいかなぁ。

CD化はおろかMP3にもなっていない本作、バカラック・ファンにとって魅力的なアルバムなんですけどねー。

オマケとして内袋の画像を置いておきます。見てるだけで楽しいです。
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【データ】
『 What's An Uggams? 』
Leslie Uggams

LP:1968年リリース
レーベル:Atlantic
番号:SD 8196

A LEIBER - STOLLER PRODUCTION
Arranged by Pat Williams (A1〜3, B1〜3.), Jack Cortner (A4,5.), Peter Matz (B4,5.)

※ 日本のAmazonでの取り扱い無し

2018年12月30日 (日)

LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS/Brian Foley (1967年)

米国男性ポップ/ロック歌手、ブライアン・フォーリーが1967年秋にリリースしたシングルです。

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A. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS (2:47)
B. LOVE ME, PLEASE LOVE ME (2:51)


ブライアン・フォーリーが1967年秋にリリースしたシングルです。

ブライアン・フォーリーって誰? Discogsによればブライアンは “ ポップ・ロック・クルーナー - ソングライター ” だとか。んじゃ、クルーナー(crooner)って何? 大辞林第三版によれば “ おさえた低い声でささやくように情緒をこめて歌う流行歌手。ビング・クロスビーなどに代表される ” だそう。いやー、知りませんでした。

ブライアンは1966年2月にDotからシングル・デビューしました。当時ブライアンはこんな発言をしています。 ─ ロックンロールの歌手にはなりたくない/トニー・ベネットみたいな誠実なスタイルで歌いたい/フォークロックはやり過ぎでソニー・ボノよりもパット・ブーンの方が好きだ ─ 等々。ナルホド、クルーナーのイメージが湧いてきましたょ。その後1967年〜1969年の間にKappからシングルを数枚リリース。結局アルバムは出さなかったようです。

バカラックは、1967年にA&Mへ移る前はKappから自身名義のシングルやアルバムをリリースしていました。同じレーベルということでバカラックにオファーが来たんでしょう。てな訳でバカラックがブライアンに提供した新曲が本作。ブライアンがオリジネーターのこの曲は自身2枚目(Kappからは初)のシングルになりました。

Fullsizeoutput_1698作詞はハル・デイヴィッド。楽曲の著作権登録日は1966年11月14日ですから、ブライアンの為に書き下ろしたかどうかはタイミング的に微妙なところですね。

それにしても、こんな歌いにくい曲をまだ駆け出しの歌手に歌わせるなんて。バカラックは鬼だわ

リズムはシンプルな8ビートで、テンポ♩≒122、キーはEm。これだけだとごく普通のポップス曲に思えますが、Aメロ(12小節)− Bメロ(8小節)− サビ(4小節)という変則的な構成、変拍子チックなAメロ後半4小節のメロディ、半音が続く音程の取りにくいニョロニョロしたBメロ、短調⇆長調や3度移調したりコロコロ転調するコード進行…。

オーケストラのアレンジと指揮はゲイリー・シャーマンというお方。ストリングスや金管のオブリガートが凝っていたりベースの動きがカッコ良かったりと、この変な曲を上手く盛り上げています。ただし、イントロ 〜 1コーラス目Aメロにかけての不気味なストリングスはやりすぎでしょう。

ブライアンの歌声は甘くビブラートが効いていて、トニー・ベネットに似ています。堂々と歌いこなしていて立派! 本人はもっとシンプルな曲を歌いたかったでしょうけどねー。

シングルB面はミッシェル・ポルナレフ1966年の大ヒット「 愛の願い 」のカヴァー。こちらはオーソドックスにまとめた印象です。

数多あるバカラック物コンピ集にブライアンの「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」は入っていませんし、MP3も見当たりません。どうしても聴きたくて最近Discogsで購入。ラジオ局向けプロモ盤ですが入手できて良かったです!

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介!

R364999115237179961401jpeg_2 R372234315394164842864jpeg_2米国のトランペット奏者&バンドリーダーのドク・セバリンセンが1968年のアルバム『 Doc Severinsen & Strings 』(画像左)で「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」(3:20) をカヴァーしています。キーは同じEmで、テンポは少し遅目の♩≒112。ドクのトランペットはコク・キレ抜群で(じゃないですよ)甘いメロディ&派手なアドリヴ共にカッコイイです。因みに、同アルバムには「 BOND STREET 」(2:37) のカヴァーも入ってます。

そして、英国のモテ男エンゲルベルト・フンパーディンクが1969年のアルバム『 Engelbert 』(画像右)で「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」(3:11) をカヴァー。キーはこちらもEmで、テンポは更に落として♩≒108。メリハリの効いたアレンジのオケに加えて女性コーラスも加わってゴージャスな雰囲気。フンパーディンクの歌唱は流石に貫禄がありダイナミックレンジも広く素晴らしいです。

「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」はこれら3つのバージョンしか知らないのですが、ベストはどれかと訊かれたらフンパーディンクと答えます。ごめんねブライアン。


【データ】
『 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 』
Brian Foley

シングル:1967年秋リリース
レーベル:Kapp
番号:K-861

Producer − David Kapp
Conductor, Orchestrated By – Garry Sherman

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年12月23日 (日)

ライブの感想 Yammy* sings Burt Bacharach Dec. 16, 2018

『 Yammy* sings Burt Bacharach 』

2018年12月16日(日) 18:00開場 19:00開演
Restaurant Bar & New York Sound Live ROYAL HORSE
Yammy*(Vo)、Sasapong(P)、堂地誠人(Soprano Sax)

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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同郷(S県H市)の友人とグランフロント大阪のイタリアン・レストランでちょっと早めの夕食を摂っている間に降り出した雨は、ロイヤルホースへと向かう頃には本降りになっていました。そこでなるべく雨を避けようと梅田の地下街に入ったのがいけなかった。方角がよくわからない上にスマホのGPSも精度がイマイチで結構時間をロスしてしまい、ロイヤルホースに着いたのは開演10分前の18:50頃。

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店内座席表のB6に座り、なんとかライブが始まる前に友人と乾杯。あっ、飲み物はもちろんノンアルですよ!

<1st stage>
1. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)(ニューヨーク・シティ・セレナーデ)
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU(遥かなる影)
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU(ディス・ガイ)
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている)
5. GOD GIVE ME STRENGTH(ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス)
6. DON'T MAKE ME OVER(ドント・メイク・ミー・オーヴァー)
7. WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)

<2nd stage>
1. ALFIE(アルフィー) … この曲だけ w/Sasapong
2. THE LOOK OF LOVE(恋のおもかげ)
3. ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに)
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら)
5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)
6. I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)
7. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD(雨にぬれても)
8. BABY IT'S YOU(ベイビー・イッツ・ユー)

<Encore>
1. OUR WORLD   w/Dave Sinclair
2. ISLAND OF DREM   w/Dave Sinclair
3. 君のもとへ   w/Sasapong, 堂地誠人


Yammy* sings Burt Bacharach(略してYsBB)は今年が9年目になるとのこと。私が最初にYsBBを聴いたのは2013年。聴いてない年もあるので毎回かどうかはわかりませんが、セットリストは少しずつ変わってるようですね。(YsBB過去の感想:2013年2014年春2015年

今年の15曲のうち私にとって初のYsBB曲は2-8.「 ベイビー・イッツ・ユー 」。シレルズがオリジナルで、ビートルズやカーペンターズのカヴァーが有名な曲です。特徴的な “シャララララ…” の部分、Yammy*さんの歌声と堂地さんのサックスが殆ど同じ音色でなんとも気持ちが良かったです。

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どの曲も素敵でしたが、今年の個人的なレコメンドは2曲。まずは1-4.「 世界は愛を求めている 」。ゆったり&ゆらぎのあるテンポのなか、Yammy*さんの愛情溢れる歌声が心に響きました。Yammy*さんの手の振りも相まって大きな愛をもらったように感じました。そして2-6.「 小さな願い 」。ブルース調のアレンジは例年と同じだと思いますが、アレサ追悼ということもあって曲の途中で「 THINK 」を挟んで大盛り上がり! 元々ソウルフルなYammy*さんの真骨頂でしたねー。

MCで印象的だったのは、─   バカラックさんの曲を毎年歌ってきて、掘り下げることを学んだ。いろんなアーティストの曲を聴き、発音や歌詞の意味を研究してきた。   ─   とおっしゃってたこと。具体的な例として、2-1.「 アルフィー 」を今年は諭すように抑えて歌われたとか。私はバカラック曲の歌詞をあまり意識して聴いてないところがありまして、もっと歌詞の意味を勉強しようと思いました。

アンコールは、特別ゲスト 〜 英国のベテラン・キーボーディストのデイヴ・シンクレアさんの2曲とYammy*さんのオリジナル曲「 君のもとへ 」。デイヴさんのピアノの優しい音色に感動!「 君のもとへ 」はホントにいい曲で、アンコールの締めにぴったりでした〜。

来年10年目となるYsBB、絶対聴きに行かなくちゃ!
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2018年12月16日 (日)

What The World need Now/Cat Power (2018年)

米国の女性シンガーソングライター、キャット・パワーによる「 世界は愛を求めている 」のカヴァーです。

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1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:27)


米国の女性シンガーソングライター、キャット・パワーによる「 世界は愛を求めている 」のカヴァーです。

2018年12月3日にデジタル配信でシングル・リリースされました。これまで、2018年10月リリース『 WONDERER 』のリミテッドエディションLP盤と欧州向け特別仕様CD盤でしか聴けなかったものです。

原曲は3拍子ですが、4拍子の軽いシャッフルにアレンジ。ピアノが刻むリズムを中心に、アコーディオンと口笛とホンキートンクピアノとシンセストリングスがサポートするシンプルでどこか懐かしいサウンド。彼女の声は柔らかいけど芯があり、基本のメロディ・ラインは守りつつ適度にフェイクして歌っています。好カヴァーです。

2016年の “ Broadway for Orlando ” 以来、「 世界は愛を求めている 」をカヴァーするアーティストが以前より増えているように感じます。

ということでここからはオマケ。MP3でしか所有していない「 世界は愛を求めている 」カヴァーのうち、2016年以降のリリースで未紹介のものをいくつかピックアップしてみましょう。あくまで私個人のレコメンドですけれど。

① Trish & Friends (2016):デジタル配信のみ、シングル
女性シンガー Trish と男女バックコーラスによるカヴァー(3:36)。コンセプトは “ Broadway for Orlando ” に近いものを感じます。
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② Jana Allard (2016):デジタル配信のみ、シングル
米国の女性ジャズ・シンガーによるカヴァー(3:23)。バックはエレピ、ベース、ドラムス、シンセストリングス。エレピが渋いです。そしてJanaの抑え気味ながらもエモーショナルなヴォーカルが素晴らしいです。
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③ Missi Hale (2017):米映画『 THE BOSS BABY 』サントラより
映画のエンディングで流れたという、女性シンガーによるカヴァー(4:16)。細かいビブラートの効いた歌声が心に沁みます。そして曲後半の情感のこもった歌いっぷりに心が揺れます。映画の評判も良かったみたいだし、遅ればせながら観ようかなっと。
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④ Reigns (2017):デジタル配信のみ、シングル
ナゾの女性シンガーによるカヴァー(3:49)。バックはリズムなしのスピリチュアルな雰囲気。どこの誰だかさっぱりわかりませんが、Reignsの祈りのようなヴォーカルはバックとの一体感を感じます。
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⑤ Nā Leo (2018):アルバム『 Beautiful Day 』より
ハワイの女性ヴォーカルトリオ、ナ・レオによるカヴァー(3:12)。ウクレレのみをバックに、美しいユニゾン&ハモリを聴かせます。ウクレレによる3拍子の刻みが打ち寄せる波のようなリズム感を醸し出し、まるで浜辺でリラックスしているかのよう。
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⑥ Barbra Streisand (2018):アルバム『 Walls 』より
泣く子も黙るバーブラ・ストライザンドによるカヴァー(4:37)。歌い出しは無伴奏。ストリングスやピアノが加わりこのまましっとり行くのかと思ったら、曲の半ばで4拍子のR&B調に。マイケル・マクドナルドもバックコーラスで加わりゴージャスな感じ。さすがはバーブラ、スケールがデカい。んで、このR&B調部分のリズムや曲調がルーサー・ヴァンドロス版と瓜二つ。テンポも♩≒87 で全く一緒。ルーサーをリスペクトしたのかしらん。
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⑦ Rita Wilson (2018):デジタル配信のみ、シングル
米国の女優、リタ・ウィルソンによるカヴァー(4:13)。過去3枚のアルバムをリリースしているシンガーでもあります。アコースティック・ギター中心のシンプルなバックに芯があるけれど優しいリタの歌唱。とっても心地よいです。因みに彼女はトム・ハンクスの伴侶なんだってさ。
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⑧ Jim James (2018):デジタル配信のみ、Spotify限定シングル
米国のロック・バンド、マイ・モーニング・ジャケットのヴォーカルであるジム・ジェイムズによるカヴァー(3:04)。この12月12日にリリースされたばかり。バックはアコギと女性コーラスのみ。細かく不安定にビブラートするジムの歌声が妙に頭の中に残ります。画像の2枚目はレコーディングの模様。楽しそうだなぁ〜。
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以上、オマケで「 世界は愛を求めている 」のプチ特集でした。


【データ】
『 What The World need Now 』
Cat Power

MP3:2018年12月3日リリース
レーベル:Domino Recording
番号: -

Producer - Chan Marshall
その他詳細不明

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し(iTunesは取り扱ってます)

2018年12月 9日 (日)

LAST TRIO SESSION/Wynton Kelly (1988年)

米国のジャズ・ピアニスト、ウィントン・ケリーが自身のトリオ最後期に録音したアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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全9トラック中、バカラック作品は1トラック

3. I SAY A LITTLE PRAYER (3:17)


米国のジャズ・ピアニスト、ウィントン・ケリーがポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラムス)とのトリオ最後期に残したスタジオ録音です。

録音日は1968年8月4日。そのちょうど5ヶ月後となる1969年1月4日にポール・チェンバースが33歳で急逝したため『 LAST TRIO SESSION 』に…。ウィントン・ケリー自身も1971年に39歳で早世してしまいます。ジミー・コブはご存命のようですね(2018年12月時点、89歳)。

85715 本アルバムは、最初1979年に日本のトリオ・レコードから『 ON 'POWERTREE' 』というタイトルでリリース(画像)。その後米国で1988年に『 LAST TRIO SESSION 』と改題&ジャケ変更して本家のDelmarkからリリース。所有しているアルバムは1993年にCD化されたヤツですね。ここでは以後『 LAST〜 』のタイトルで紹介してまいります。

ポップス曲を多く取り上げた本作は気軽に聴けるアルバム。ケリーのアドリヴも引き出しが多くて軽やかなのですが、どの曲もどこか一本調子なんですよねぇ。ベースやドラムスに一切ソロが移らないのもどうかなぁ。ウィントン・ケリーのアルバムは他に1枚、ケリーの代表作の一つと言われる『 KELLY BLUE 』を所有しているのですが、それと比べると本作はなぁんか義務感でプレイしてるように感じられます。

バカラック作品のT-3. 「 小さな願い 」なんて特にそう。ケリーのピアノはダラけてるし、ベースやドラムスも惰性でお付き合いしてる感じ。マシに感じるのはイントロだけかなぁ。残念です。

R336030914517422037454jpegここからはオマケです。MP3データしか所有していないバカラック作品をご紹介。

ケリーは1968年のアルバム『 Full View 』で「 ウォーク・オン・バイ 」(3:17) を取り上げています。1966年9月の録音で、トリオのメンバーはロン・マクルーア(ベース)とジミー・コブ。こちらは「 小さな願い 」よりノリが良くていい感じです。



【データ】
『 LAST TRIO SESSION 』
Wynton Kelly

LP:1988年リリース (所有CDは、1993年リイシューの米国盤)
レーベル:Delmark (US) (所有CDも同じ)
番号:DS-441 (所有CDは、DD-441)

Album Production - Robert G. Koester
Wynton Kelly - Piano
Paul Chambers - Bass
Jimmy Cobb - Drums
Supervision and Recording - Paul Serrano, P.S. Recording Studio, August 4, 1968
CD Production - Kathryn Lynch

2018年12月 2日 (日)

BY GEORGE!/George Hamilton (1965年)

米国の俳優ジョージ・ハミルトンが1965年にリリースしたアルバムです。リイシューCDのボーナス・トラックとしてバカラック作品3曲を収録!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDジャケットの表/裏

オリジナルLP全11トラック中にはバカラック作品無し
リイシューCDのボーナストラック(4トラック)にバカラック作品を3トラック収録

12. DON'T ENVY ME (2:26)
13. LITTLE BETTY FALLING STAR (2:38)
14. ERRAND OF MERCY (2:19)


Fullsizeoutput_694 米国の俳優ジョージ・ハミルトンがABCパラマウントから1965年にリリースした彼唯一のアルバムです。

ジョージ・ハミルトンは1939年テネシー州生まれ。MGMと契約して1952年(13歳)から映画の仕事を始めたそうです。TVシリーズ『 刑事コロンボ 』に犯人役として二度出演(1975、1991年)したのを始め、映画やTVシリーズに多数出演。ただ、ウィキペディア日本版に載ってるジョージの説明を読むとですね、俳優としての評価なんかは書いてなくてプライベートで浮名を流した女優さんの紹介ばかり。なんだかなー(笑)

─  門外漢は時として事もなげにやってのけるもの。本業が表現力豊かな俳優ともなれば尚のこと面白い‼︎  ここに稀代の色男ジョージ・ハミルトン参上、今宵はアクションの合図でマイクの前に立つ‼︎  熱唱に台本なんて要らないだろ?  誰が歌うのか、それが問題だ‼︎  テレビ番組「 フラバルー 」が背中を押した唯一のアルバムに巨匠バート・バカラックとの秘宝‼︎  世界初CD化です‼︎  ─  (帯のCD紹介より)

稀代の色男なんだっ、ナルホドね(笑)

話を音楽に戻しましょう。もともと本アルバムにバカラック作品は入ってないし制作面での関わりもありません。

ジョージは1963年と1964年にMGMからリリース2枚シングルをリリースしています。その際、プロデューサーとして楽曲の準備からその編曲、スタジオでの指揮、監督まで全てを請け負ったのがバカラックだったんですねー。本アルバムのボーナストラック4曲がそのシングル2枚の両面曲なのでございます。

1963年10月リリースのファースト・シングル(MGM K13178)は、T-12.「 DON'T ENVY ME 」とT-13.「 星影のベティ(LITTLE BETTY FALLING STAR)」のカップリング。どちらもバカラック・カヴァー曲です。

「 DON'T ENVY ME 」は、前年リリースされたジョーイ・パワーズ(Loey Powers)のシングルB面曲がオリジナル。より “ ズン・チャチャ ” を強調したリズムや “ ワウワウ ” という女性コーラスの追加など、オリジナル版にもうひと工夫加えたアレンジはバカラックらしさが垣間見えます。ジョージ版は全米チャート134位となりました。

「 星影のベティ 」はジーン・ピットニーがオリジナル(こちらを参照ください)。キーは違いますが、イントロを除けばアレンジはジーン版とほぼ同じ。こちらは可もなく不可もなくって感じです。

1964年のセカンド・シングル(MGM K13215)はT-14. 「 ERRAND OF MERCY 」とT-15. 「 DOES GOODNIGHT MEAN GOODBYE 」のカップリング。B面はバカラック曲ではありませんが、A面はバカラックの新曲なんですねー。ジョージのオリジナル以外、カヴァーは聴いたことがありません。

ハル・デイヴィッドとの共作曲である「 ERRAND OF MERCY 」は1962年10月に著作権登録されています。新曲ではあるけれど所謂ストック曲だったワケで、ジョージのための書き下ろし曲ではありません。軽快でバカラックらしい “ ズン・チャチャ ” リズムのこの曲、曲調(特にイントロ)は「 タワー・オブ・ストレングス 」に似ています。でも、ニョロニョロして音程の取りにくい「 ERRAND OF MERCY 」のメロディは、バカラックへなちょこソングベスト10に挙げてもいいくらい。歌うの難しいと思うのですが、ジョージは堂々と歌っています。ただの色男じゃなかったな、見直したぞっ!(笑)

本編のアルバムについて少しばかり。ヒット曲のカヴァーにせよオリジナル曲にせよ、俳優が歌ってみました感ありありの凡作っすね。(モテない男のひがみじゃないっすょ


【データ】
『 BY GEORGE! 』 (邦題:バイ・ジョージ!)
George Hamilton

LP:1965年11月リリース (所有CDは、2018年9月15日リイシューの日本盤、解説は中原太志氏)
レーベル:ABC-Paramount (所有CDは、オールデイズ・レコード)
番号:ABC-535 (所有CDは、ODR6567)

Produced by Bob Thiele
Directed by Keith Davis, Pete De Angelis
その他詳しいクレジットは不明

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