2025年10月19日 (日)

EXTRAVAGANT GESTURES/Carole Bayer Sager (1985年)

キャロル・ベイヤー・セイガーが久々に歌唱! ディオンヌに提供した曲をセルフカヴァー!

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A. EXTRAVAGANT GESTURES (4:32)
A. EXTRAVAGANT GESTURES (4:32)


キャロル・ベイヤー・セイガーが1985年、久々(4年ぶり)に歌唱! ディオンヌに提供した曲をセルフカヴァー!

ディオンヌ・ワーウィックは、1985年にリリースしたアルバム『 FRIENDS(邦題:フレンズ)』でバート・バカラックとキャロル・ベイヤー・セイガーの曲を5曲歌っています。Dionne & Friends 名義で大ヒットした「 THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)」や、キャロルがバカラックの協力を得て1981年にリリースしたアルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中にくちづけ)』で歌った「 STRONGER THAN BEFORE(愛は果てしなく)」のカヴァーが有名ですが、新曲の一つであるこの曲「 EXTRAVAGANT GESTURES(愛のとまどい)」も歌っていました。そのセルフカヴァーが本シングル盤でございます。

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しばらく前にDiscogsで何気なくキャロルのレコードリストを眺めていてこのシングル盤を発見。キャロルが1985年にシングルをリリースしていたなんて全く知らなかったので、ちょっと値は張りましたがポチッとして約10日後に米国から届きました。現物を手に取って
感じた疑問…①:レーベルの表示が無い、②:ジャケット表面はキャロルの写真だけで表記が何も無い、その③:ジャケット裏面の Inspired by Arvor House Novel by Carole Bayer Sager 👉 はぁ?🤔、④レコード盤の表裏両面ともSIDE Aでレーベル面の記載も全く一緒(レーベル面の写真はちゃんと表面と裏面です、ドーナツ穴と印字位置が微妙にずれているので違う写真だとわかると思います)

まぁとにかく聴いてみましょう。一聴してディオンヌ版と同ようなアレンジですが歌声は紛れもないキャロルのもの。歌い方は1stアルバム『 Carole Bayer Sager(私自身)』(1977年) や2ndアルバム『 ...Too(TOO)』(1978年) の頃から全く変わらずハスキーで語り口調。誤解を恐れずに言えばヘタウマ。でもこれがキャロルなんょ…と懐かしさすら感じます。キャロルに歌ウマを求めてはいけません。ちなみに裏面も歌入りで全く同じトラックでした。

バージョン メロディ最初の音 テンポ Time アウトロ その他
ディオンヌ版 G# ♩≒65 4:57 サビ2回繰り返し、フェードアウト  
キャロル版 G ♩≒62 4:32 サビ1回繰り返し、終止形 2番の歌詞が少し異なる

キャロル版の方がキーが半音低くテンポもやや遅いです。多分アレンジ譜自体は同じだと思うのですがキャロル版の方が楽器の音色やエフェクトがシンプル。レコーディングやその後の編集にあまり手をかけていない印象を受けました。

また、ファン向けのバカラック解説本『 SONG BY SONG 』(Serene Dominic著、©️2003) で、本の表紙らしきモノクロ写真とコラム記事が載っていました。 ─ Extravagant Gestures. The melancholy finale to Dionne's Friends album is also the title of Sager's enjoyably funny novel about the fictitious best-selling author Katie Fielding. The book name-drops real-life lumi-naries from Phil Donahue and Halston to Sager's pal Liz Taylor. She dedicates it to Burt, "for making my life so much more." ─ Google先生の訳によると… ─ エクストラヴァガント・ジェスチャーズ。ディオンヌのアルバム『フレンズ』のメランコリックなフィナーレは、架空のベストセラー作家ケイティ・フィールディングを描いたセイガーの楽しくユーモラスな小説のタイトルでもある。この本には、フィル・ドナヒューやハルストンからセイガーの友人リズ・テイラーまで、実在の著名人の名前が出てくる。彼女はバートに「私の人生をずっと素晴らしいものにしてくれた」と捧げている。  ─

もしや…とネットで検索してその本の画像を発掘したのがこちら。ホントにキャロルは小説を上梓したんですね!
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以上のことを踏まえて想像するに、キャロルは小説本の出版に際し自身で歌ったこのシングル盤を自主制作して関係者に配ったんじゃないでしょうか。それならカップリング曲なんてなくてもいいし。レコード番号 BB 1001 の 'BB' はバート・バカラックのイニシャルだったりするし。

ちなみにこの曲の歌詞はどんな意味なのか、Google AIモードに訊いてみました。その回答がこちら。 ─ 人生の別れと、それにどう向き合うかについて歌った曲です。直訳すると「大げさな身振り手振り」となりますが、この歌詞では、大きな感情表現やドラマチックな行動をしても、運命や避けられない別れを変えることはできない、という諦めや悟りを表現しています。 ─  なるほど…深いなぁ。キャロルとバカラックは1991年に離婚しちゃうもんなぁ…。


【データ】
「 EXTRAVAGANT GESTURES 」
Carole Bayer Sager

7" Single:1985年リリース
レーベル:Carole Bayer Sager Music (US)
番号:BB 1001

Producers:Burt Bacharach & Carole Bayer Sager
Written by Burt Bacharach & Carole Bayer Sager
Inspired by "Extravagant Gestures" the Arbor House Novel written by Carole Bayer Sager
©️ 1985 Carole Bayer Sager Music (BMI)/New Hidden Valley Music (ASCAP)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年10月12日 (日)

Motoring Along/Al Cohn & Zoot Sims (1975年)

ジャズ史上に輝く名テナー・サックス・コンビ、アル・コーン&ズート・シムズが1975年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

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全5トラック中、バカラック作品は1トラック

B3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW (8:40)



ジャズ史上に輝く名テナー・サックス・コンビ、アル・コーン&ズート・シムズが1975年にリリースしたアルバムです。

っても、アル・コーン、ズート・シムズ、どっちも名前知らんしなぁ。AIにでも訊いてみるか。

─ アル・コーン&ズート・シムズは、長年にわたり共同活動を行ったジャズ・テナーサックス奏者の名コンビのことです。二人とも1925年生まれで、ウディ・ハーマンの楽団でともに頭角を現しました。主な特徴は以下のとおりです。
①息の合ったテナー・サックス:互いに異なる個性を持ちながらも、相手の音色を尊重し合い、見事なアンサンブルを聴かせました。②スウィンギーで温かいスタイル:レスター・ヤングの影響を受けた、軽快で心地よいスウィング感が特徴です。③数々の傑作アルバム:1950年代から録音を重ね、多くの名盤を世に残しました。代表作としては、『フロム・A・トゥ・Z』(1956年)やライブ盤の『ハーフ・ノートの夜』(1959年)などが挙げられます。
④長期にわたる共演:1950年代からズート・シムズが亡くなる1985年まで、30年以上にわたって共演し続けました。
彼らの演奏は、二人の友情と成熟したジャズセンスが感じられる、大人のジャズとして高く評価されています。  ─ (Google AIモードによる)

ネットやWikiで調べるより全然簡単で
楽だぁ。これからはAIに教えてもらうことにしよう。(もう歳だし手抜きをしないとね😅)

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さて、本アルバムは2人をリーダーとしたクインテットによる1974年ストックホルム録音盤。全体的にスウィンギーです、ホント。彼らの他のアルバムは聴いたことありませんが、いつもこんな感じなんですかねぇ。AIによれば、─ スカンジナビア・ジャズらしいクールな雰囲気がありつつも、力強く絡み合うテナーが聴き応えを与えています。アル&ズートの他の有名作品の陰に隠れがちですが、録音状態も良く、ファンからはかなりの名盤として評価されています。  ─ なんだそう。いつもよりクールってことなのかな?

んで、バカラック作品はB3.「 世界は愛を求めている 」。原曲の3拍子ではなく4拍子のスウィングにアレンジ。そしてテンポが♩≒194〜200 と超速い。尺は約9分間ありますが、2人のアドリヴが殆どです(ピアノも少しだけアドリヴ有り)。これだけ曲が長いと途中退屈しちゃいそうですけれど、軽快感があるからか最後までダレずにリラックスして聴くことが出来ました(何を偉そーに)。特に二人がハモって吹いてるところは聴いていて気分が上がります。全体的になかなか良いんじゃないでしょうか。


【データ】
『 Motoring Along 』 (邦題:モータリング・アロング)
Al Cohn & Zoot Sims

LP:1975年リリース
レーベル:Sonet (UK)
番号:SNTF 684

Producer – Rune Öfwerman
Al Cohn (ts)
Zoot Sims (ts,ss)
Horace Parlan (p)

Hugo Rasmussen (b)
Sven Erik Norregaard (ds)
Recorded November 25th, 1974.
Studio: Stockholm, Sweden

©️ Sonet Productions Ltd. 1975
12 Needham Road, London W11 2RP
Distributed in the U.K. by Pye Records (Sales) Ltd.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年9月28日 (日)

WALK ON BY/SOUL BOYS featuring D'Nessa (1998年)

バカラック作「 WALK ON BY 」のハウス・カヴァー。アナログ12" Singleです!

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A1. WALK ON BY (Club)  (7:48)
A2. WALK ON BY (Radio Edit) (5:41)
B1. WALK ON BY (Dub) (6:19)
B2. WALK ON BY (Instrumental) (7:26)


バカラック作「 WALK ON BY 」のハウス・カヴァー。アナログ12" Singleです!

─ バカラックによるダンクラ大名曲をD'Nessaがソウルフルに歌い上げ、高橋透がプロデュースした1枚!クラブ/ラジオエディットに加え、ダブ&インストなど、多彩なバージョンを揃えたフロアユースを全4曲収録! ─ (STEREO RECORDS さん公式サイトの紹介文より)

わたくしあるでお、ハウスもクラブも縁遠い世界でよくわかりませぬ。ダンクラとはダンスクラシックのこと。D'Nessa(ディネッサ と呼ぶらしい)さんはA1.及びA2.の女性ヴォーカル。高橋透さんは、1976年からDJ活動を開始し、日本のディスコ/ガラージ/ハウス・シーンのパイオニアとして知られているんだそう。…全てネット情報です😅。
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D'Nessaさん(Discogsより)、高橋透さん(Xより)

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まずA面を聴いてみましょう。なお、回転数は33 ⅓ RPM。音圧は幾分高めです。
A1.はクラブバージョン。これが基本形のようです。♩=93の四つ打ちリズム&ベース。く〜っ、カッコイイしクールだね。自分は踊れないけど、体は揺れます。D'Nessaさんの歌いっぷりはソウルフルですがネコ声チック。このアレンジには合っていると思います。
A2.はラジオエディット。所謂短縮版ですね。A1.の途中でフェードアウトして終わるのですが、それでも5分以上あります…😓。

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続いてB面。
B1.はダブバージョン。♩=93の四つ打ちリズム&ベースは変わらないものの、リードヴォーカルは入らずA1.で鳴っていたシンセストリングスや細かい鳴り物が消え、新たに加わったエレピ(ローズ系ではなくウーリッツァー系の音色)がサビ部分の4小節のコードを延々とブロック奏し続けるというもの。
B2.はA1.のインストバージョンです。

ちなみに、ジャケットは中央レーベル部分がくり抜かれており、ジャケットおもて面のアートワークはシールになっています。
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【データ】
「 WALK ON BY 」
SOUL BOYS featuring D'Nessa

12" Single:1998年リリース
レーベル:Katana (JP)
番号:KATANA-2001

Produced by Tohru Takahashi(高橋透)
Vocals by D'Nessa
Mixed by Additional Production by Tohru Takahashi & Teruo Konishi
Executive Produced by Ikuro Takano
(P)1998 AM Associates Inc. ©️1998 Katana Label
Manufactured & Distributed by Hinomaru Records Ltd.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年9月 7日 (日)

レッツ・ダンス・ウィズ・バカラック&レイ/猪俣猛とサウンド・リミテッド (1971年)

バート・バカラックとフランシス・レイのヒット曲を社交ダンス用にアレンジしたLP2枚組アルバムです。日本社交舞踏教師協会撰定!

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全24トラック中、バカラック作品は12トラック

Disc1《ラテン編》
A1. LOVE STORY
A2. UN HOMME ET UNE FEMME
A3. KNOWING WHEN TO LEAVE
A4. LIVE FOR A LIFE
A5. LIFE, LOVE AND LIFE
A6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B1. MEXICAN DIVORCE
B2. HELLO GOODBYE
B3. THE LOOK OF LOVE
B4. DU SOLEIL PLEIN LES YEUX
B5. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B6. BOND STREET

Disc2《モダン編》
A1. RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD
A2. APRIL FOOLS
A3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
A4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A5. 13 JOURS EN FRANCE
A6. ENCOUNTER
B1. MADLY
B2. CONCERTO POUR LA FIN'D UN AMOUR
B3. LA FONTAINE
B4. LA VALSE DU MARIAGE
B5. PROMISES, PROMISES
B6. SOUTH AMERICAN GETAWAY

収録時間(Disc1/2)約35分/約31分



バート・バカラックとフランシス・レイのヒット曲を社交ダンス用にアレンジしたLP2枚組アルバムです。1971年リリース。

帯や裏ジャケに記載あるとおり、本アルバムは "日本社交舞踏教師協会・撰定!"。日本社交舞踏教師協会で検索すると、
一般社団法人日本社交舞踏教師協会(NATD)なるサイトが出てきます。歴史ある社交ダンスプロ教師の協会だそうで、サイトの中を覗くと "カム&ダンスシリーズ" という社交ダンス用CDの通販もしていました。社交ダンス用レコードでググると昔の中古レコードがたくさん出てきますし、社交ダンス輸入盤CDの専門通販サイトやキングレコードのサイト(社交ダンス用CDが11タイトル載ってました)も出てきます。レコード会社からすると企画盤の一種ということになるんでしょうが、昔も今も一定の需要があるんだなぁと得心しました。

本アルバムは当時どういう位置付けだったのでしょうか。ジャケット見開き面左側にある "アルバム紹介" を全文引用します。

─ 今をときめく、世界の花形人気作曲家の双璧であるバート・バカラックとフランシス・レイのヒット曲をパレードして、わが国のダンス・ミュージックにエポック・メーキングな内容のアルバムを提供したキング・レコードの壮挙にまず感謝したい。
バカラックとレイの音楽を関心のそとにおいたならば、1970年代のポピュラー音楽と映画音楽は、軸のない車の輪のようなものになろう。それは、ダンス・ミュージックについてもいえることだが、わが国のダンス・シーンの音楽は、とかく保守性が強いので、とくに、若いジェネレーションは、欲求不満に駆られがちであった。バカラックとレイの新鮮なメロディーによるフォーマルなダンス音楽で踊れたら、どんなに嬉しいだろう、とは多くのダンス・ファンの熱烈な願いであった。
バカラックとレイの一世を風靡しているヒット曲の数々は、いろんな意味で、従来のポピュラーにくらべて、音楽性にいちじるしい進化発展を内包している。これがために、ダンス音楽に編曲するうえで、かなりの困難がともなうのである。彼らのヒット・ナンバーが、ほんの一部を除いて、欧米のダンス音楽にあっても、いまだ広く使用されていない理由だ。そういう条件と環境にあって、敢然と、新しい時代のためのダンス音楽の見本といってよい本アルバムが制作され、ダンス・シーンのゴージャスな贈りものとして、レコード市場を飾ることは、踊りの好きな人々ばかりでなく、ポップスのファン大衆にも、絶大な拍手でむかえられるにちがいない。
ダンス音楽のアルバムにおける旧来の解説では、まったく閑却、無視されていた録音の演奏パーソネルを明記したのも、本アルバムの音楽が、いかに音楽的に優秀で、良心的な企画のうえに推進されているかを問いかけるためである。
バート・バカラックとフランシス・レイのヒット名曲の代表作は、ここにことごとくといってよく網羅されている。ダンスとポップスのファン大衆は、二大巨星の珠玉のメロディーを、あらためて賞味して欲しい。  ─

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ごく最近購入した中古LP、ダブルジャケットは見開き面こそ多少黄ばみがあるものの色褪せや破れもなく上々で、盤面もスクラッチノイズ少なく新品に近い状態。惜しむらくは帯の表側がジャケットと癒着していたコト(見開き面はOK)。剥がそうとするとジャケット印刷面がビリビリと破れ始めたので途中で断念😥。というわけで表ジャケは帯付きの画像になっております、ご容赦ください🙇。

ちなみに、本アルバムの名義はジャケットと帯で違いがあります。とゆーか、そもそもアーティスト名義は無いんですね。表現としては、帯が<演奏>猪俣猛とサウンド・リミテッド+ストリングスで、ジャケットが演奏=猪俣猛とサウンド・リミテッド。猪俣猛は1936年2月宝塚市生まれ(2024年10月没、享年88)の名ジャズ・ドラマー。サウンド・リミテッドは猪俣猛が1969年暮れに結成したジャズ・ロックのグループで、気鋭の若手ミュージシャンを集めていました。レコーディングによって面子は違っていたようですが。本アルバムのパーソネルは後述する【データ】をご覧ください。んで、Disc2《モダン編》のみストリングスを加えた編成になっていて、"+ストリングス" はDisc2だけなんですね。拙ブログでは猪俣猛とサウンド・リミテッド名義とさせていただきました。

収録曲は全24曲。Disc1《ラテン篇》/Disc2《モダン篇》それぞれ12曲ずつで、Disc1/2共にバカラックとレイが6曲ずつ。従ってトータルでバカラック12曲とレイ12曲を取り上げています。ジャケット見開き面右側の "各曲解説" より曲名とダンスの種類をピックアップして表にしました。以降、バカラック作品に絞って簡単に1曲ずつコメントしていきます。あっ、そうそう。ラテン篇の3曲(Disc1-A3,B1,B6)はバカラック物コンピ集『 ラヴ・サウンズ・スタイル <バート・バカラック作品集> 』で紹介済みでして、
コメントもそこからパクっちゃいます。
なお、"各曲解説" は原曲の紹介が主なのですが、1971年当時各曲がどう認識されていたかが窺えます。拡大すればなんとか読み取れると思います。興味があれば画像をクリックしてみてください。
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Disc1《ラテン篇》
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A3.「 去りし時を知って 」:比較的ノーマルなアレンジ。賑やかなラテン・パーカッションがいかにもって感じ。A6.「 恋よ、さようなら 」:イントロのワウ・トランペットのフレーズが特徴的。ライトなルンバ?。変拍子で2拍子になる箇所は4拍子にストレッチ。B1.「 恋するメキシカン 」:ジャガジャ〜ンやギュイ〜ンといったギターがロックしています。B3.「 恋のおもかげ 」:メロディを奏でる主役は1・3コーラス目がマリンバ、2コーラス目はフルート。雰囲気は
まったり。B5.「 ディス・ガイ 」:ノリのいいテンポ(♩≒144)のスウィングにアレンジ。中間部ではトランペット、トロンボーン、ヴィブラフォンのソロも。B6.「 ボンド・ストリート 」はズンチャチャの原曲に対しズンチャッチャとリズムが跳ねているのが特徴で、ギターのアドリヴも渋いっす。

Disc2《モダン篇》
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A1.「 雨にぬれても 」:イントロでのヴァイオリンによるロングトーンとグロッケンによる雨粒音が印象的。他はよくあるアレンジ。A2.「 エイプリル・フール 」:この曲としては速めのテンポ(♩≒116)で軽快なアレンジ。Aメロの2拍子になる変拍子もそのまま。A3.「 遥かなる影 」:全体的にオーソドックスなアレンジですが、エレキ・ヴァイオリンが効果的。A4.「 サン・ホセへの道 」:スウィング調にアレンジ。Bメロでのウォーキングベースがアクセントになっています。B5.「 プロミセス・プロミセス 」:変拍子の嵐が吹くこの曲をほぼ原曲通りのリズムでアレンジ。ちゃんと踊れるんでしょうか。B6.「 自由への道 」:原曲はダバダバスキャットの3拍子曲で2種類のテンポ(前半・後半は♩≒210、中間部は♩≒68)で演奏していますが、ここではその中間のテンポ(♩≒134)で全編演奏しています。無理してこの曲取り上げなくてもいいのに…と思っちゃいました。

全体的に、前田憲男が編曲したDisc1《ラテン篇》の方が攻めたアレンジ。Disc2《モダン篇》はB5,B6あたり選曲自体に無理があります。他にダンス向きの
曲(例えば「 アルフィー 」「 世界は愛を求めている 」など)があると思うんですけどねぇ。

また、ここまで全く触れませんでしたがフランシス・レイの曲は聴いていてちょっと退屈に感じました。私が知らない曲が多かったせいもあるとは思いますが…。1970年前後、イージーリスニングのジャンルでは、バート・バカラックとフランシス・レイの曲がセットになっているレコードが沢山リリースされていました(例えば原信夫とシャープス&フラッツの『 レイ・アンド・バカラック・オン・ブラス 』とか)。映画音楽がチャート上位に食い込んでた当時はフランシス・レイとバート・バカラックが双璧だったんですね。でも、今聴いて新鮮なのはバカラックの曲だなぁ…と。そんなことも感じたアルバムでした。

ここからはオマケ。MP3で所有している猪俣猛関連のバカラック・カヴァーをご紹介。
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八木正生・江草啓介(お二人ともピアニスト)が1976年にリリースしたジャズ系イージーリスニングのアルバム『 サウンド・オブ・エレピアン 星に願いを/雨にぬれても 』。猪俣猛がプロデュースし、猪俣猛&フレンズとして共演もしているのですが、バカラック・カヴァーを2曲収録しています。1曲はアルバムタイトルにもなっている
「 雨にぬれても 」(2:36)。メロディはエレピアン、フルートが奏でています。もう1曲は「 エイプリル・フール 」(2:45)で、メロディはエレピアン、トランペット、アコギが奏でています。
ちなみに、エレピアンは日本の電気ピアノの草分けで日本コロムビアが1962年開発に着手。リード(振動板)を通常のフェルトハンマーで叩き、その振動音を電気信号に変換・増幅する方式で、ウーリッツァーピアノに近いみたいです。なかなか世に認知されずに苦戦していましたが、1974年夏、神奈川県の団地で起こったいわゆる "ピアノ殺人事件" をきっかけにして、音量調節のできるピアノということでにわかに時代の楽器として注目されたんだそう。
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猪俣猛とウエスト・ライナーズとして1971年2月にリリースしたイージーリスニング・ジャズのアルバム『 マイ・ウェイ/ウエスト・ライナーズの復活 』にて
「 遥かなる影 」(2:50) をカヴァー。編曲は前田憲男で、シャッフルではなく8ビートのシンプルで軽快なリズムの演奏。メロディはトランペット、テナーサックス、ギターが繋いでいきます。少しだけギターのアドリヴもあります。紹介済みのバカラック物コンピ集『 バカラック スタイル 』に収録されているのですが、その記事でコメントしていなかったのでこちらでコメントした次第。


【データ】
『 レッツ・ダンス・ウィズ・バカラック&レイ ダンス専科=ラテン編・モダン編 』 (英語タイトル:Let's Dance Bacharach & Lai)
猪俣猛とサウンド・リミテッド

LP:1971年12月5日リリース
レーベル:キングレコード (JP) 
番号:SKM 1169〜70

Disc1《ラテン編》
編曲:前田憲男
ドラムス:猪俣 猛
ベース:鈴木 淳
エレキ・ギター、フォーク・ギター:中牟礼貞則、水谷公生
ピアノ、エレキ・ピアノ:大原繁二
トランペット:伏見哲夫、鈴木武久、吉田謙三
トロンボーン:キジ西村
フルート、アルトサックス:鈴木重男
ソプラノ・サックス、アルト・サックス、テナー・サックス、バリトン・サックス:ジェイク・F・コンセプション
ラテン・パーカッション:中島 御
ヴァイヴ、マリンバ:金山 均
─ ダンス・ファンの方は、以上のような日本のミュージシャンが、ジャズの世界での、代表的なトップ級の実力と名声をもつ存在である事実にうといかもしれない。無理もない。わが国のダンス・ミュージックの市場は、これらのそうそうたる若い俊英たちが活躍するには、あまりに貧寒だからである。  ─ (ライナーノーツより、パーソネルについて)

Disc2《モダン編》
編曲:加地克行
ドラムス:猪俣 猛
ベース:鈴木 淳
エレキ・ギター:中牟礼貞則
ピアノ、チェンバロ:大原繁二
トランペット:鈴木武久、吉田謙三
フルート、アルトサックス、クラリネット:清水万紀夫
オーボエ:坂 宏之
フルート:旭 孝
ラテン・パーカッション:中島 御
グロッケン、マリンバ、ヴァイヴ:金山 均
ハープ:今道美樹子
エレキ・ヴァイオリン:玉木宏樹 (A3,B1,B4)
ヴァイオリン:7名、ヴィオラ:2名、チェロ:2名
─ ウィズ・ストリングスのダンス・ミュージックで、しかも、モダン・ダンス種目の演奏において、こういう当代の一流ジャズメンを揃えたレコード録音は、文字通りの超豪華盤である。手前味噌という古いコトバがあるが…。ラテン・ダンス篇と併せて、手前味噌かどうかは、きいてくれる各自の耳が判断するであろう‼︎ ─ (ライナーノーツより、パーソネルについて)

監修・解説:榛名静男
発売元・キングレコード株式会社
KING RECORD CO., LTD. Japan (P) 1971
<2枚組 / ¥2,400>

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年8月24日 (日)

The Piano Of Eddie Higgins/Eddie Higgins (1967年)

米国のジャズ・ピアニスト、エディ・ヒギンスが1967年にリリースしたアルバムです。バカラック曲を1曲カヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

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米国のジャズ・ピアニスト、エディ・ヒギンスが1967年にリリースしたアルバムです。

エディ・ヒギンスは1932年2月米国マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ(2009年8月没、享年77歳)。ノースウェスタン大学音楽学部を卒業後、2年間の兵役を経てシカゴに戻り自身のトリオを結成。ベーシスト兼アレンジャーのRichard Evans(リチャード・エヴァンス)とドラマーのMarshall Thompson(マーシャル・トンプソン)を主なメンバーとして1960年代後半までトリオを率いてシカゴで活動するとともに、様々なミュージシャンのサイドマンとしても活躍、多くの録音に参加しました。1970年フロリダに移り、1980年代初頭からはジャズフェスなどヨーロッパと日本で頻繁に演奏。晩年の2000年代には日本のVenusレーベルからアルバムを多数リリースしています。

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本作はヒギンス4作目のアルバム。取り上げた曲は1965年〜1966年の映画音楽やヒット曲がメイン。ピアノトリオ+金管/木管&ストリングスのオケ(A4.では男女コーラスも)という編成で、もちろん主役はヒギンスのピアノ。ヒギンスがアレンジした3曲は抒情的なのですが、その他のリチャード・エヴァンスがアレンジした曲はゴージャスなアレンジが多いです。例えばA3.「 ミッシェル 」やA5.「 いそしぎのテーマ 」はSwing調、B1.「 ララのテーマ 」はダイナミックな映画音楽調?、B4.「 サニー 」はラテン調、B6.「 蜜の味 」なんて高速ワルツに。"ゴージャス" が本アルバム全体の印象かなぁ。

さてさて、バカラック・カヴァーはA1.「 アルフィー 」。クラシックのピアノ協奏曲か!?と勘違いしちゃうような怒涛のイントロ。本編に入るとダイナミックで大袈裟なピアノのメロディをゴージャスなオケがバックアップ。そして再び怒涛のエンディング。裏ジャケのライナーノーツは全曲にコメントしているのですが、「 アルフィー 」についてはこんな感じ。 ─ エヴァンスの「 アルフィー 」の楽譜は、適度に飾り気のないピアノのラインを背景に、クラシックなサウンドとロックのサウンドの間の綱渡りをうまくこなしています。 ─ 適度に飾り気のないピアノ?🙄 いやいやそんな事ないでしょ。適度に大袈裟(お下劣と言ってもいいくらい😓)…ならわかりますが。因みに、Hi-Fiレコード・ストアさんの評は…。 ─ クラシックからポップまで弾きこなす天才肌のピアニスト。シカゴ・ジャズシーンの名ストリングス・アレンジャー、リチャード・エヴァンスを迎えてのバカラック・カヴァーです。奇抜なことはしていません。ただただ美しい。  ─ ただただ美しい?🤔 う〜ん、言い過ぎだと思うんですけどねぇ。

DiscogsではJazzのジャンルになっている本アルバムですが、Easy Listeningでいいんじゃね? そう感じたあるでおでございました。


【データ】
『 The Piano Of Eddie Higgins 』
Eddie Higgins with the Richard Evans Orchestra

LP:1967年リリース
レーベル:Atlantic (US)
番号:SD 8136 (Stereo), 8136 (Mono)

All selections were arranged by Richard Evans except A2,B2,B3 which were arranged Eddie Higgins.
Recorded at Universal Recording Corporation, Chicago, Illinois
©️1967 Atlantic Recording Corp.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年8月17日 (日)

Traces/Brooks Arthur Ensemble (1969年)

米国のサウンドクリエーター、ブルックス・アーサーがブルックス・アーサー・アンサンブル名義でリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は2トラック

B2. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME (3:13)
B3. KNOWING WHEN TO LEAVE (2:45)


米国のサウンドクリエーター、ブルックス・アーサーがブルックス・アーサー・アンサンブル名義でリリースしたアルバムです。

ブルックス・アーサーは1936年ブルックリン生まれ(2022年没、享年86歳)。1960年代からエンジニアとして活躍し、60年代後半には自身のスタジオ(センチュリー・サウンド・スタジオ)もオープン。70年代前半はまだエンジニアとしての仕事がメインでピーター・アレン、ヴァン・モリソン他の作品に参加。そしてプロデュースを担当したジャニス・イアンの1975年作『 Between The Lines 』が全米1位となり、以降、ピーター・アレン、フィル・コーディー、キャロル・ベイヤー・セイガー、ベット・ミドラーなどN.Y.をベースとするシンガーのアルバムを中心にプロデューサーとして活躍しました。因みにバカラック関連では、キャロル・ベイヤー・セイガーのアルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中のくちづけ)』がバカラックとブルックス・アーサーによる共同プロデュース作品でございます。

そんなブルックス・アーサーは、ブルックス・アーサー・アンサンブル名義でアルバムを2作リリースしています。1作目『 Sole Forms 』は1966年にクリード・テイラーのプロデュースで発表。2枚目が本作で1969年に自身のプロデュースで発表しました。

─ このアルバムは、かつてブルックス・アーサーの頭の中にあったものが、今はこのアルバムに収められた、新しいサウンドです。めったに聞かれない音楽のカテゴリーに属し、正直なものと呼ばれています。

ブルックス・アーサーは美しい楽器を持つ歌手としてスタートし、歌手、ミュージシャン、アーティスト、プロデューサー、ビジネスマンなど、彼が手がけたすべての事業で成功を収め、現在では国内有数のオーディオエンジニアの一人となり、ニューヨーク市にある自身のセンチュリー・サウンド・レコーディング・スタジオの責任者となっています。彼の功績をすべて挙げることは不可能でしょう…(彼のアルバム『 Sole Forms 』/Brooks Arthur Ensemble, V6-8650 は1967年にグラミー賞にノミネートされました)。彼の名前は、事実上何百ものヒットレコードの裏面で見てきましたが、ここでついに表紙に登場しました。そして、私たちが最も関心を持っているのはこのアルバムです。なぜなら、すべてがここに至ったからです…。
ブルックス・アーサーには、愛、仕事、そして知識があり、それらはすべて結びついて音楽と呼ばれています。
ブルックス・アーサーにとって、自身のアイデアを実現するためのアレンジャーの選択は極めて重要でした。リー・ホールドリッジの選択は実に賢明でした。リーはコスタリカ在住時にドン・ウーゴ・マリアーニに師事し、後にボストンで有名なヘンリー・ラスカーに師事しました。リーとブルックスの音楽哲学は、愛を強調した温かみのあるアレンジメントに刻まれています。
このアルバムを聴いていると、お気に入りの椅子は柔らかくなり、暖炉は暖かくなり、人生と思い出はより甘美なものになるでしょう。 - Ann Ruckert Collins  ─ (本作裏ジャケのライナーノーツ、Google先生訳で)

ブルックス・アーサーについて詳しくは公式サイトをどうぞ。


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演奏はバンド+オケという編成。オケには金管/木管楽器・ストリングスに加えてシタールやリコーダーも入っています。メンバー全員クレジットされているのですが、確認したところ1枚目のアルバムとは編成やメンバーが違っていました。スタジオミュージシャンの寄せ集めなのかしらん。ブルックス・アーサー自身はプロデュース以外にシンガーズの一人としてクレジットされています。
取り上げた楽曲は、映画『 華麗なる賭け 』の挿入歌A1.「 風のささやき 」、Classics IVのヒット曲A2.「 TRACES 」、ビージーズのA6.「 若葉のころ 」、B7.「 マッカーサー・パーク 」など1967年〜1968年のヒット曲が主体。男女コーラスが随所に入ってるほか、A1,A4,B7の3曲では男性ヴォーカルが、A7では女性ヴォーカルがフィーチャーされています。

本作、Hi-Fiレコード・ストアさんのサイトでは ─ 洗練されたムード~ソフト・ロックの快作 ─ と紹介されていました。表ジャケは女性じゃないしクレジットもキッチリしているのでイージーリスニングではないんでしょうが、インスト曲が多いこともあって"アレンジに工夫の見られるイージーリスニングの好盤"…てな印象を持ちました。Discogsでも Easy Listening に分類されていますしねー。

さて、バカラック・カヴァーは2曲。
B2.「 愛の想い出 」は1964年ルー・ジョンソンがオリジナル(US#49)で、同年サンディ・ショウが大ヒット(UK#1, US#52)させた曲ですが、ブルックス・アーサー版はそれら2曲のアレンジをほぼ踏襲。
ホルンやストリングスが主メロを演奏しますが、サビの少し前〜サビ部分は男女コーラスが主メロ(歌詞)を歌っています。オブリガートや合いの手で金管(トランペット、トロンボーン、バストロンボーン)が目立つくらいで、他にはそれほど特徴が見られないカヴァーです。
B3.「 去りし時を知って 」は1968年のミュージカル『 プロミセス、プロミセス 』の劇中歌。個人的に好きなバカラック曲のひとつ。この曲には優れたカヴァーが多いのですが、ブルックス・アーサー版もなかなかの好カヴァー。まずイントロ。ピアノのアルペジオとヴァイオリンの不協和音が緊張感を漂わせます、"この曲はなんだろう?"と。主メロはフリューゲルホーンが主役で、時々女性コーラスも歌詞を歌っています。ハープ、トロンボーン、ティンパニ、ストリングス、トランペットなど様々な楽器&バリエーションのオブリガートが新鮮です。このアレンジでフル女性ヴォーカル版を聴きたいところです。


【データ】
『 Traces 』
Brooks Arthur Ensemble

LP:1969年リリース
レーベル:Verve (US)
番号:V6-8779

Produced by Brooks Arthur

Arranged and Conducted by Lee Holdridge

Recorded at Century Sound Recording Studios in New York City

Engineer:Brooks Arthur



PERSONNEL

Drums:Gary Chester, Al Rogers

Keyboards:Stan Free, Frank Owens, Morris Wexler

Percussion:George Devens

Guitar:Sam Brown, Charlie Macey, Willard Suyker

Sitar:Vinnie Bell

Bass:Richard Davis, Julio Ruggiero, Richard Romoff

Woodwinds:Jerry Dodgion, Romeo Penque

Recorder:William Hammond

Trumpet:Bert Collins

Fluegelhorn:Bert Collins

Trombone:Wayne Andre, Eddie Bert, Mickey Gravine, Richard Hixon, Alan Rath (Bass Trombone)

Violin:Gene Orloff, Emanuel Green, Max Cahn, Norman Carr, Selwart Richard Clarke, Henri Aubert, Michael Comins, Theodore Isreal, Peter Dimetrias, George Ockner, Harry Lookofsky, Leo Kahn, Harry Urbont, Julius Brand

Harp:Eugene Bianco

Cello:Kermit Moore, Harry Wimmer

Singers:Marilyn Jackson, Maretha Stewart, Linda November, Jim Campbell, Kenny Karen, Brooks Arthur

Vocal solos:Kenny Karen (A1, A4, B7), Maretha Stewart (A7)



Manufactured by MGM Records Division; Metro-Goldwyn-Mayer Inc.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年8月10日 (日)

I Love This Land/Al Harrington (1975年)

ハワイのレジェンド・シンガー、アリ・ハリントンのデビュー・アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

A2. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER (3:13)


ハワイのレジェンド・シンガー、アリ・ハリントンのデビュー・アルバムです。1975年リリース。

─ 2021年に86歳で亡くなったハワイのレジェンド・シンガー。これがデビュー・アルバムです。ドン・コスタのプロデュースでトラディショナルだけでなく、本土アメリカの要素も積極的に吸収。若いバンドのようにロックには走らず、そのかわりバカラックやポール・ウィリアムスをとりあげています。バカラック「Living Together」のこのカヴァーはほとんど知られてないのでは? ─ (Hi-Fiレコードさんのアルバム紹介コメントより)

ハイ、全くその通り! このバカラック・カヴァーは知りませんでした。

アル・ハリントンは1935年12月生まれで、本アルバムリリース時は39歳。かなり遅いデビューじゃない? ライナーノーツにアリ・ハリントンのバイオ&キャリアが詳しく載っていましたが、歌は彼のマルチな才能の一つに過ぎないんですねー。せっかくなのでGoogle先生の訳で全文引用します、長いですけど😅。

─ ハワイに長年住んでいる人に「アル・ハリントンって誰?」と尋ねれば、それぞれ違った説明をするでしょう。彼は、実に様々な形で多くの人々の人生に影響を与えてきました。ハワイの名門プナホウ校での素晴らしい学業成績を覚えている人もいるでしょう。また、アメリカ本土以外で初めて高校オールアメリカンに選ばれたフットボールの才能、そしてボルチモア・コルツがかつて彼をドラフトしようとしたことを覚えている人もいるでしょう。スタンフォード大学への奨学金について話す人もいるでしょう。そして、後にプナホウに戻って5年間歴史を教えた際に、プナホウの優秀な教師の一人に選ばれたことを話す人もいるでしょう。最近では、「彼は『 HAWAII FIVE-0(ハワイ5-0)』※1 の Ben Kokura だ」とか、「ワイキキでヘッドライナーを務める明るくエネルギッシュなエンターテイナーだ」といった話も聞かれるでしょう。

真実は、彼がこれらすべてであるということです。そして、西サモアのパゴパゴ出身のタウアス・ターという3歳の少年が、町中の人々に愛され、親友となったエンターテイナー、アル・ハリントンに至るまでの道のりは、あまりにもアメリカ的なサクセスストーリーすぎて、信じられないほどです。
若者は彼を現代のヒーローとして尊敬しています。年配の人々は、すべての少年が彼のようになればいいのにと思っています。エンターテイナーや友人たちは彼の活発な才能を尊敬し、ヒルトン・ハワイアン・ビレッジ、シェラトン・ワイキキ、アラモアナ・ホテルのメインショールーム、そして『 ハワイ5-0 』の刑事として全国的な人気を得るまでの道のりを彼を励ましました。
アル・ハリントンは美しい男だ。彼のたくましくハンサムな顔立ちは、まさにスターダムにふさわしい。故郷ハワイへのアルの愛は、島の歌を温かく歌い上げる姿に反映されている。優しいウィット、機敏な心、表現力豊かな歌声、そして奔放な魅力は、彼のワイキキでのショーを島で最も人気のあるショーの一つにしている。訪れる人々は、アル・ハリントンとハワイを共に喜び、存分に体験することができる。地元の人々は、彼を愛するためだけに何度も足を運んでいる。
力強い力で歌われるオープニング曲でありタイトル曲でもある「 I LOVE THIS LAND 」から、繊細で魅惑的なメランコリーを奏でる「 TRY TO REMEMBER 」まで、アル・ハリントンの声は、この男の魔法のような人生の深さと広さを反映している。
これからアル・ハリントンについてもっと知ることになるだろう。そして、彼について知るべきことはたくさんあります。彼が特別な存在であることは、たった1分聴けばわかるだろう。しかし、彼のすべてを知るには何年もかかるだろう。  ─

※1 HAWAII FIVE-0(ハワイ5-0):アメリカCBS系で1968年から1980年まで12シーズンに渡り、284話が放送された刑事ドラマ。 また、リメイク版の『 HAWAII FIVE-0(ハワイファイブオー)』が2010年秋のシーズンからアレックス・オロックリンの主演で放映されました。そのリメイク版にもアル・ハミルトンは Mamo Kahike 役で10話ほど出演しています。

さて本アルバム。演奏はバンド+オケ。オケの編成はストリングスに金管・木管もいる充実したもの。バンドにはハワイらしくスチールギターも入ってますがその露出は控えめで節度を持った鳴らし方。敢えてそうしている感じで、ハワイ風味は薄く全体的にはポップな仕上がりです。アル・ハリントンの歌声はちょっとガラガラした所謂“おじさん声”ですが、低音ボイス且つ押し出しが強くて張りがあります。見た目のイメージに近い声じゃないかと。


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んで、バカラック・カヴァーはA2.「 LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER(リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー)」。裏ジャケやレーベル面は「 LIVING TOGETHER 」と省略した表記になっています。1973年の映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』の挿入歌で、フィフス・ディメンションのカヴァーが1973年2月全米32位になった曲です。アリ・ハリントンのカヴァーは映画のサントラ版をベースとしたアレンジですが、テンポがサントラ版(♩≒116)より速く(♩≒130)元気がいいし、子供たちのコーラスが入っていて多幸感があります。バックの演奏も、金管楽器や木管楽器による楽しい雰囲気のオブリガートが多幸感を後押ししています。これはレコメンドですねー。クレジットを見たらアレンジはドン・コスタでした、納得!

アルバムの他の曲について少し言及しますと…。A3.「 LOVE CALLS 」は、歌詞の所々に日本語や
日本女性の名前が出てくる変な曲。しっとりスローなA5.「 DREAM AWAY 」やB5.「 TRY TO REMEMBER 」あたりは聴き応えがありました。

最後にちょっと。表ジャケの真ん中あたりに誰かのサインが書かれています。最初はアル・ハリントンの自筆サインかと思ったのですが、そうは読めません。Discogsでこのアルバムを見てみると、やはりサインが入っています。そういうデザインなのかと思ってよく見ると同じサインではありませんでした。このサインは一体なんなんだ???


【データ】
『 I Love This Land 』
Al Harrington

LP:1975年リリース
レーベル:Maui Records (Honolulu, Hawaii)
番号:HR-1001

Conductor & Arranger:Don Costa
Children's Chorus:Honolulu Children's  Chorus
Background Singers:Coppernickles
Musical Consultant:Gary Shimabukuro

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年7月19日 (土)

2025年7月12日 FM COCOLO『 My Life, 10 Stories 』ゲストの岸谷香さん、1曲目は「 ONE LESS BELL TO ANSWER 」!

2025年7月12日 FM COCOLO『 My Life, 10 Stories 』ゲストの岸谷香さん、1曲目は「 ONE LESS BELL TO ANSWER 」!

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2025年7月12日(土) 23:00〜24:00
FM COCOLO『 My Life, 10 Stories 』
DJ:中西建夫 / ちわきまゆみ

ゲスト:岸谷香

このラジオ番組について
さまざまなシーンで活躍されているゲストを迎え、「私の人生のサウンドトラック」をテーマに、彼らの人生の中で特に強く影響を受けた曲、印象深かった曲を10曲選曲いただきます。(ゲストは2週にわたり5曲ずつ紹介) 音楽が持つ普遍的な魅力や、その背景にあるエピソードを通して、各々の曲がどのように心を動かし、どんな意味を持つのか、多彩なゲストの経歴とともに掘り下げます。

<音楽家>岸谷香さんをお迎えして「人生のサウンドトラック」今週はまず5曲をご紹介頂きました✨

🎵今週のオンエアリストは…
M1. One Less Bell To Answer / Burt Bacharach
M2. When A Man Loves A Woman / Bette Midler

M3. Jackson Cannery / Ben Folds Five
M4. Love Has No Pride / Bonnie Raitt
M5. Mack The Knife / Ella Fitzgerald

「自分は凄い歌手でも、凄い作家でも、凄いギタリストでもない。<総合点>で勝負するタイプ」と仰る岸谷香さんが、「この人に出逢わなかったら、今の私はない」とご紹介頂いた楽曲たちです💫

「“美しい”とはこういうことかと、<作家>としてのターニングポイントとなったBurt Bacharach」
「この人に出逢わなかった自分がどんな歌手になっていたかわからないというBette Midler」

「実は自分にとって一番付き合いが長い楽器ーピアノーとの新たな気付きを得られたBen Folds Five」
「ギタリストとしての“幹”みたいなものが無いと思っていた自分が出逢えた、これからもっと好きになる予定のBonnie Raitt」
「ROCK BAND、弾き語り、BIG BAND…色んなスタイルのパフォーマンスが出来る自分が、BIG BANDとの繋がりを感じたElla Fitzgerald」
どの楽曲についても、<音楽家・岸谷香>を構成するに欠かせないエピソードと共にご紹介頂きました🥰

DJの中西さんとはお互いのお子さんを通じて、もはや親戚のようなお付き合いをされているからこそ聴ける、リラックスしたムードの中でのお喋り☀️
40年以上にわたる自身の活動についても、とても明るくポップにお話されるので、1時間があっという間に感じられるはずです👍
----------<以上、番組のXより引用しました>

リアタイでは聴けず、radikoで後から聴きました。1曲目のバカラック関連部分のみ文字起こしします。

 岸谷香さん
 中西建夫さん
 ちわきまゆみさん

*****  文字起こし開始:タイムカウンター 04'00"〜
今夜はこの方をお迎えしております。
こんばんは、岸谷香です。
こんばんは〜、よろしくお願いいします。(3人)
ということでねー、家族ぐるみって言うかね、うちのバカ息子と香ちゃんのバカ息子があったりとか…。
息子さんなんですね。
そうなんですよ、だから…ホント中西さんももはや親戚ですね、これは。
親戚のおじさんですねー。
親戚のおじさんとおばさんって言う感じですけど。
ただねぇあの〜、香ちゃんはやっぱホント真っ直ぐな方なんで、特にあの〜ここ10年かなぁ、まぁ子供たちが海外行ったこともあるけど、急に海外旅行というか海外に足を伸ばし出して。
そうですねー、めっちゃ足を伸ばし出しましたねー。
英語も勉強してるし、すごいモチベーション高いなぁと思って。
いや、でも、やっぱりあの勿体無いな〜と思って。なんか時間とか人生とか。だからまぁ中西さんなんてほらこうやって一生現役でやってらっしゃるし。
とうとうラジオまで。
ほんとですよ。
ホンマや。
だから私も中西さんに追いつき追い越せ、ついて行きますっつー感じで。
色々多彩なことを。
楽しいこととか、なんだろう、好きな人がけっこう近いから、そこが仲良くなってるとこかも。
うん、あと中西さんの好きなところは、あんまり言わないんだけど、例えば飲んでたりとかして、お知り合いとかも死ぬほどいらっしゃるから、ばったり会ったりして、なんかこぅ俺ちょっと話してくるね〜とか言ってその方と話して戻ってきたら、例えばこうなんか盛り上がって、なんかのイベントがあるんだけど、香ちゃんそこでダイヤモンド歌ってくんない?みたいなもぅ、盛り上がっちゃってんの! だからそれが無いとダメじゃないかな人間て、って思う、なんかこういつまでも。
常に、プロデュース能力というか、そういうのがこう、発揮しちゃう。
ま、そん時はね国立競技場で歌うってけっこう大きい話だったんで。
そうでしたね。
はぁ、立ち話でそんなことを。
飲み話でそうなっちゃって。
なんかそのイメージって急に思いつく時あるじゃないですか。考えてることじゃなくてその場でね。そういうのが楽しいんじゃないかなあ。
沢山のひらめきで、はい。
ひらめき、んで奇跡が。
そうですね、中西さんの、沢山沢山そばにいるとあります。

…ということで、今日は香ちゃんの人生を紐解いて行きたいと思ってるんで。まず何から行きますかね、今日の1曲目。
今日ねぇ、実はアンケートいただいて、迷ったんですよ色々どうしようかなぁ、なかなか難しいじゃないですか自分の人生のね。
10曲、大変ですよね。
そう。なんだけど、だからあのひとつは、私が他の人と違うとこってどこかなぁと思ったら、なんかこう、シンガーかって言われるとシンガーだけでもないし、作家かって言われると作家だけでもないし、なんかこうギタリストかって言われると別にギタリストでもないしみたいなこう、なんとなく私ってこうあの総合点で勝負するタイプだと思ったので、それをひとつずつ自分でも考えてフォーカスしてみようかなっと思ったんですね、まず。で、やっぱりまずは作曲家ってか作家としての自分っていうのが一番最初に、こう芽生えたっていうか自分の中で音楽家として一番最初に大きくこだわりを持ったのは、作品だったような気がしたのでまずは作曲家…作家としてのターニングポイントていうか自分の人生のターニングポイントについて考えてみました。
なるほど。
ハイ。で、選んだのが、バート・バカラックなんですけど。
大巨匠ですよねぇ。
そうなんですよねー、なんかあの10代の頃とかこう当たり前にもうほんとに洋楽のロックとかメタルも勿論好きでしたし、なんかもう学校でバンドやってますみたいな感じであの〜ほんとハードなもの大好きだったし、ポップなものばっかり聴いてたんだけど、やっぱ20代の…23,4,5…「 Diamonds 」の後ぐらいかなぁ、なんか色々なものにやっぱ興味が出てきて、でまぁそのぉ歌モノだけじゃなくて、バート・バカラックの美しいメロディの世界観とか、ロックと全くあの真反対なのかもしれないんだけど、なんかロックだロックだって言ってる反面、そうじゃないものをすごく求めだした時期があったんですね。でそん時、ホントにハマって、そんなのばっかり寄せ集めたようなアルバムを作っちゃったし、もうあのマニアックすぎて多分ファンも “え〜〜っ” って感じだったと思うし。
プリンセス プリンセスでいうと、どのアルバムがそれに当たるんですか。
あのねぇ、大体ねぇそのプリンセス プリンセスでいうと『 DOLLS IN ACTION 』っていうアルバムぐらいからちょっとその片鱗が出始めて、であの転調とか激しくするようになって、であのそれも自分でもう恥ずかしいっていうか若気の至りなんだけど、もぅそん時はそういうのやりたいから、周りに “なんか難しい” とか “ややこしい” とか言われても “うるさい!” みたいに、 “いいの、コレやりたいの” みたいな。
聞いてないよって。
もうね、ホント猪突猛進で。んで、しまいに、プリプリだとやっぱでもやっぱ、ね、「 Diamonds 」歌ったプリプリが、突然バート・バカラックはできないから、だからやっぱりある程度ここはプリプリじゃないと…ここはまぁやっぱポップじゃないと…ってなって、それで物足りなくなってソロ・アルバムを作ったんですね
。そん時に作ったアルバムが『 Renaissance 』ってアルバムなんだけど、そりゃもうやり放題やりまくってあのバート・バカラックの世界をやって、もうホンットに満足しました。
満足(笑)
じゃあその曲を聴いてみましょうか。
まずじゃぁその沢山数多あるバート・バカラック作品の中から。
はい! モチロン死ぬほど好きな曲あるし、有名な曲もねぇあの「 RAINDROPS FALLIN' ON MY HEAD 」とか「 CLOSE TO YOU 」とかいっぱいありますけど、コレ私歌ったことがあって、あのホントに美しい曲だなぁと思って、こういうなんて言うんだろ、ジャンル何コレ?みたいな、そういうのに凄く憧れたんですね。なんで、今日は変わりどころと言うことでバート・バカラックの曲を選んでみました。はい、バート・バカラックで「 ONE LESS BELL TO ANSWER 」。

♪:Burt Bacharach "ONE LESS BELL TO ANSWER" 悲しみは鐘の音とともに (1971) …収録アルバムについてはこちら

お届けしたのは、岸谷香さんの人生のサウンドトラックから、バート・バカラック「 ONE LESS BELL TO ANSWER 」。
もうホント、数小節聴いただけで “はい、ごめんなさい!” みたいな、 “負けたぁ!” みたいなね、ってるわけじゃないけど。
でもホント、
バート・バカラックの音像感って独特のもぅありますよね、スタイルと響きがね。
このなんか、もう、誰にも勝てないロマンチストな感じというか。
もう素晴らしかった。
素晴らしく感動しちゃった。
あのーなんだろう、いっぱいその頃こういう人達いたじゃん。ポール・モーリアとかさ、あと映画音楽作る人って。
そうですね。
特殊だね、バート・バカラックは。
うーん。なんでしょうね、だけどやっぱりこの人って、映画音楽を作る人ではないと思うんです。勿論いっぱいね書いてるけど、メロディが美しいんですよねー。
あと弦アレンジ。
そうですねー。
なんかこの時代の人って弦アレンジがすごい。
ねー。
この曲、てかバート・バカラックとジョン・ウィリアムスに出逢わなかったら、今の私はちょっと作曲家として違う作曲家になってたと思いますね。
その、曲を書く身としてはバート・バカラックはどういうところが凄いっていう…。
いやー、やっぱり美しいってこういうことかっていう、自分の中のなんか求める美しさみたいな、そういうのがもう絶対的にバート・バカラック、ロマンチックだっていう。
そうですよねー。またこの曲、ちょっと歌詞がいいじゃないですか。これ、ハル・デイヴィッドの歌詞ですけど、そのもう、彼と別れて、ベルが鳴らないのは、なんか嬉しい。
あっ? “嬉しい” なの、それ

なんだけど、でも嬉しいって言いながら実はそうじゃない。
で、悲しいんだよね。
そうそうそう。卵焼く卵も1個でいいからせいせいしたわ、みたいな感じなんだけど。
全部裏返しのねー。
そう、そうですね。
なんか、そういう歌詞最近沁みる。
どうしたんすか、あっはっは。
中西さん〜(笑)
なーんか、わかるー。
それはあの飲みの席で、続きは(笑)。
はい。
…という意味では、なんでしょう、ある種キャリアにおいての、作曲家としての。
うん、ターニングポイントってここには書いてありますけど、やっぱりこの人に出逢わなかったら今の私は無い、っていうのをテーマに今日は全部選んでみました。
楽しみだなぁ、どの曲も。
そうですね〜。
ということで、Lifetime Music Station FM COCOLO『 My Life, 10 Stories 』、お知らせの後も、まだまだ。人生のサウンドトラックについてのお話し、伺って参ります。

*****  文字起こし終了:タイムカウンター 〜15'22"

…この番組を聴くまで、岸谷香さん(奥居香さん)がそういうお方だとは全く知りませんでした。チョイスした曲が「 ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに)」ですからね。選曲からも彼女がガチのバカラック・マニアだとわかります。

radiko はタイムフリーで今日まで(タイムフリー30プランでは8/11まで)聴取可能ですので!

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彼女初のソロ・アルバム『 Renaissance 』(1994年11月21日リリース)をざっと聴いてみました。ブラスやストリングスも入った良質なポップアルバムなのですが、転調が多く、ちょっと捻ったコード進行&メロディラインの曲が多くて、確かにバカラックっぽいです。アレンジ面でも、ソフトな音色のトランペットソロや、フルートによるポップなオブリガートにバカラックの影響を感じます。中でもT-7.「 天使とピストル 」。バカラックの「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている)」をオマージュしたであろうミディアムテンポの3拍子曲で、特に3:18からの間奏なんて思わず笑っちゃうほど “そのまんま”😅。このアルバムのファンになっちゃいました😄。

この日の放送では、他に4曲のアーティストが紹介されました。そのうち3曲のアーティストは以下の通りバカラックをカヴァーしてるんですね。※(こちら)は拙ブログの紹介記事にリンクしています。

Bette Midler(ベット・ミドラー)は「 BABY IT'S YOU 」と「 GOD GIVE ME STRENGTH 」をカヴァー(こちら)。
Ben Folds Five(ベン・フォールズ・ファイヴ)はバカラック・トリビュート・コンサートで「雨にぬれても」をカヴァー(こちら)。
Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)は女性ジャズシンガーの大御所で、何曲も歌っておいでです(こちら)。

岸谷香さんと私、音楽の好みが結構近いのかもしれません。


2025年7月 6日 (日)

Bacharach on Guitar/Jack Jezzro (2025年)

米国のジャズ・ギタリスト、ジャック・ジェズロによるギター・カルテット+αのバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
2. I SAY A LITTLE PRAYER
3. THE LOOK OF LOVE
4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
5. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. WALK ON BY
8. ALFIE
9. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
10. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
11. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
12. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR

収録時間約53分


米国のジャズ・ギタリスト、ジャック・ジェズロによるギター・カルテット+αのバカラック・カヴァー集です。

Jack Jezzro(ジャック・ジェズロ)は、1957年12月ウェストバージニア州生まれ。1981年からテネシー州ナッシュビルを拠点に活動。グラミー・アーティストのレコーディングに多数参加、またスタジオ・ミュージシャンとして300を超えるアルバムにクレジットされている国際的なジャズ・ギタリスト、コンポーザー、プロデューサーなんだそう。プロデューサーとしては、日本でも人気があるピアニスト、ビージー・アデールのプロデュースを17年にわたり30作以上手がけていることで知られています。
(公式サイト https://www.jackjezzro.com
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ジャック・ジェズロは、自身名義でもイージーリスニングジャズ或いはスムースジャズの分野を中心にアルバムを多数リリースしておいでです。本作もそのうちの一作。今年5月にMP3でリリース後、6月にはCDもリリースされたのですが日本のアマゾンではCD購入できないようで(それにライナーやクレジットが付いてないオンデマンド的なCD-Rの可能性が高いし)、それならばとMP3を購入しました。まぁYouTubeでも自動生成でフルアルバム聴けるんですけどね〜。…ということで動画を貼り付けておきます。

あと、ジャック・ジェズロさんご本人のYouTubeチャンネルにレコーディング動画が4
アップされています。併せてリンクを貼っておきます。
WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
I SAY A LITTLE PRAYER
(THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)   👈2025/7/11追加

基本的にジャック・ジェズロのギターとピアノトリオによるカルテット。曲により、オルガン、サックス(ソプラノ、テナー)、トランペット、パーカッションが加わります。暑くなるこれからの時季にピッタリの涼しげなイージーリスニングジャズで、T-4.「 遥かなる影 」もボサノヴァ調にアレンジ。各曲にはアドリヴもありますがハードなものではなくてあくまでもクール。聴いていて心地良いサウンドです。個々の曲について細かく解説する気も起きません😅。難しいことは考えずに、聴いて涼し〜くなりましょう🎐。

各曲それぞれ曲名にフィーチャリングアーティストが添えられています。ジャック・ジェズロとフィーチャリングアーティスト以外にもミュージシャンがいるはずですが、クレジットがないのでわかりません。私が聴いた感覚で、各曲の編成とリードorアドリヴの楽器を整理しておきます。
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ここからはオマケ。
ジャック・ジェズロがプロデュースした米国の女性ジャズ・ピアニスト、Beegie Adair(ビージー・アデール)の関連アルバムより、MP3で所有するバカラック・カヴァーをご紹介。
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ビージー・アデールが2011年に日本でリリースしたピアノトリオのアルバム『 My Piano Memory 』で「 I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)」(3:51)をカヴァー。ピアノの音色をはじめトリオ全体が軽快なフィーリングの演奏で、リラックスして聴けます。
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また、米国のサックス奏者Denis Solee(デニス・ソリー)とビージー・アデールのピアノトリオによるカルテット編成のアルバム『 Trav'lin' Light 』(Denis Solee with The Beegie Adair Trio 名義、2007年リリース)で「 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道)」(4:06)をカヴァー。デニス・ソリーのテナー・サックスがメインですが途中でピアノのアドリヴもあります。こちらもリラックスして聴けます。


【データ】
『 Bacharach on Guitar 』
Jack Jezzro

MP3/CD:2025年5月23日リリース/同年6月13日リリース
レーベル:Green Hill Productions and Burton Avenue Music
番号:ー/1000172526
※ 所有しているのはMP3のみ

Producer: Jack Jezzro
Jack Jezzro(ジャック・ジェズロ):guitar
Pat Coil(パット・コイル):piano, organ
Jacob Jezioro(ジェイコブ・ジェジオーロ):bass
Danny Gottlieb(ダニー・ゴットリーブ):drums
Joel Frahm(ジョエル・フラーム):a.sax, s.sax
John Mock(ジョン・モック):multi-instrumentalist
Leif Shires(リーフ・シャイアーズ):trumpet
Christopher Phillips(クリストファー・フィリップス):piano

Amazonリンク(MP3

2025年6月29日 (日)

2025年6月28日 NHK Eテレ『 未来へのプレイリスト 』1曲目は「 I SAY A LITTLE PRAYER 」!

2025年6月28日 NHK Eテレ『 未来へのプレイリスト 』1曲目は「 I SAY A LITTLE PRAYER 」!

(画像は全てクリックすると大きくなります)↓ は画像です、動画ではありません。
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2025年6月28日(土) 22:00〜22:29
NHK Eテレ『 未来へのプレイリスト 』第1回
ピーター・バラカン プレゼンツ ラブソング with 矢野顕子

ピーター・バラカンさんがゲストとともに名曲を紹介するテレビ番組『未来へのプレイリスト』が昨日(2025年6月28日)スタートしました。第1回のテーマはラブソング(ゲストは矢野顕子さん)。んで、なんとその1曲目がバカラック作品の「 I SAY A LITTLE PRAYER 」でございました。関連して他のバカラック作品2曲もちらっと紹介されました。👏👏👏

<第1回のプレイリスト>
M1. I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い) 〜 Aretha Franklin 〜
      RAINDROPS KEEP FALLIN' ON THE HEAD(雨にぬれても) 〜 B.J. Thomas 〜
      ALFIE(アルフィー) 〜 Dionne Warwick 〜
      MOONDANCE  〜 Van Morrison 〜
M2. HAVE I TOLD YOU LATELY  〜 Van Morrison 〜
      I WILL BE THERE  〜 Van Morrison 〜
M3. CRY ME A RIVER  〜 Julie London 〜
      CRY ME A RIVER  〜Joe Cocker 〜
      MY OH MY  〜 Punch Brothers 〜
      POLICE DOG BLUES  〜 Muireann Bradley 〜
M4. DRIFT AWAY  〜 Dobie Gray 〜

私はリアルタイムで試聴できず…。だって番組のこと(10日前には告知されていたようです)知らなかったんだもん😢。今朝になってXで知り早速NHK+で視聴した次第。記念に文字起こしをします(バカラック作品部分のみ)。


 出演
 ピーター・バラカンさん
 矢野顕子さん

*****  文字起こし開始
第1回はラブソングを取り上げることにしました。ゲストとしてこの方をお招きしました、矢野顕子さんです。今日はどうも。

どうもどうも。
よろしくお願いします。
お招きいただきました、ハイ。
お久しぶりと言おうと思ったんだけど、意外にそれほどでも。
そうだよね。
毎年なんだかんだ何処かでお会いしています。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。

ラブソングっていうものは、ボブ・ディランが現れるまでは、英語圏ではもうポピュラー音楽って言ったらほぼ全てラブソングだったと思うんですけど。
やっぱりラブソング = ポピュラーミュージックみたいな。
わりと月並みなラブソングが多いと思う。で、どちらかというと大ヒットするのはそのタイプかもしれませんけど、今日はどちらかというとちょっと一風変わったそういうラブソングを選びたいなぁと思いました。
ピーター・バラカン、真骨頂でございます。

じゃ、今日最初に選んだのは「 I SAY A LITTLE PRAYER 」。アリーサ・フランクリンが1968年に歌ったものです。邦題は「 小さな願い 」だったと思います。曲は当然知ってると思いますけれども。
もうリアルタイムで、ハイ、聴いておりました。
元々ディオンヌ・ワーウィックが歌ってたものを、その直後ぐらいにアリーサ・フランクリンが取り上げていますけど。まぁアリーサというと生前史上最高のヴォーカリストの投票みたいなものがあると大体1位になるような人だったんですけど。
なりますでしょうね、ハイ。
ものすごく個性的な歌い方…と思いませんか?
ハイ、だって誰が聴いてもこぅパッと、ホントにフレーズ短いのパッと聴いただけでもアリーサでしょってすぐ、ねっ。
ですよね、ハイ。でまぁこの曲ちょっと面白いと思うのは、直接的な愛の表現ではなく、日常のいろんな細かい描写を淡々と語っているようなそういうところが面白いと思います。
なるほど。
じゃぁビデオを用意したのでご覧いただきましょう。

🎥:Aretha Franklin "I SAY A LITTLE PRAYER" 小さな願い(1968)  映像提供:BBC Motion Gallery/Getty Images
(約2分)オリジナルの詞と訳詞をテロップ表示。訳詞はピーター・バラカンさん。

いいねぇ。
いいねぇ。
もぅ何年経ってもいい曲だゎ。じゃ、ちょっと歌詞をみましょうか。まずこのタイトルなんですけど、当時の邦題はさっき言ったように「 小さな願い 」だったんですけど、Prayerですね、Prayはやっぱり祈りです。で、あの、目覚めた途端に、メイクする前にも、あなたのために、まっ僕、ささやかに祈っている…という風に訳してみたんですね。で、髪をとかして、今日どんな服着ようかなぁと思っているときにも、あなたのためにささやかに祈っている。という、どういう設定かっていうと、当時全く分からなかったんだけど随分後になって、コレ'68年だからベトナム戦争ん時。で、恋人なのか夫なのか戦場に行っている人、それが今日生き延びるかどうかっていうそういう心配っていうかちょっとした不安がずっと消えずに、その女性が独り言のように歌ってるその感じが凄く良くてね。通勤するバスに乗るために走って行く時にも、或いは会社でコーヒー飲む時も、ずっとあなたのことを考えてささやかに祈っている…という。

この曲を作ったのはバート・バカラックとハル・デイヴィッドのふたりで。バート・バカラックはソングライターとしてどう思ってました? 或いは今どう思ってます?
も〜う、だって、20世紀の偉大な作曲家のひとり。

♪:B.J. Thomas "RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD" 雨にぬれても(1969)
(BGMとして約35秒)


あの2人が作ったヒット曲がもぅ無数にあるぐらい。で、子供の頃からラジオで、彼らが作ったことを知らないでずっと聴いてたものもあるんだけど、後から知るとあっやっぱりバート・バカラックが作る曲ってこういう変わったメロディが多いなぁとか、コード進行が普通とはちょっと違うなぁとか、案外難しいんじゃないかっていう気がするんだけど、ソングライターとしてバカラック或いはハル・デイヴィッドに直接影響を受けたことってあります?
もぅ、多分有形無形でありますねぇ。作詞作曲する場合、言葉が音楽の…音とかメロディの犠牲になるのは嫌なわけ。一番印象的なのはやっぱり

🎤:矢野顕子 "ALFIE" 冒頭2小節を生歌唱
(約3秒)

♪:Dionne Warwick "ALFIE" アルフィー(1966) 矢野顕子さんおすすめ
(BGMとして約40秒)

っていう、その…もうそれだけで私たちはそこにこうポンッと入れる。どっかでやっぱりバート・バカラックが言葉がちゃんと伝わるような音列にしている。その、ホントに会話のような音楽なんですよねぇ。だから、実際譜面にすると、変拍子ここで入ってる、おっおってこうあの、えっえっみたいになるんですけど、一緒に歌うとぜーんぜん普通にいけるんですよね。それが、そのぉ自分の曲作りにやっぱり影響しているんじゃないかなっ、と今は思いますね。
*****  文字起こし終了

こういう番組、いいですね〜。月イチじゃなく、週イチで(いや隔週でもイイんで)やって欲しいところです。
NHK+の配信は7/5(土) 22:29 までだそうです。見逃した方は是非!

2025年6月22日 (日)

THE WINDOWS OF THE WORLD/Kenny Watson (2022年)

デトロイト出身のR&B/Soulシンガー、Kenny Watsonが2022年にリリースしたバカラック・カヴァーのシングルです。(CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THE WINDOWS OF THE WORLD (3:28)


デトロイト出身のR&B/Soulシンガー、Kenny Watsonが2022年にリリースしたバカラック・カヴァーの配信シングルです。

Kenny Watson(ケニー・ワトソン)はデトロイト出身のヴォーカリスト。…ということぐらいしか分かりません。

数日前にX(旧Twitter)でDan Yessian(ダン・イェシアン)というお方がこの曲を取り上げていました。リンク先のサイトを覗いたところ知らないカヴァーでして。聴いたら“ほほぉ〜”となり、今回ご紹介する次第。

ダン・イェシアン(たぶんプロデューサーでしょうね)が前述のサイトで語っていた内容を引用してご紹介します。機械訳です、悪しからず。
─ ケニー・ワトソンをフィーチャーした「 THE WINDOWS OF THE WORLD (世界の窓と窓)」を振り返ります。1967年にディオンヌ・ワーウィックによって初めてレコーディングされたこの曲は、バート・バカラックとハル・デヴィッドによってベトナム戦争への抗議として書かれました。2022年にウクライナでの暴力が激化した時、この曲はこれまで以上に現代社会にふさわしいものに思えました。2025年の今、何か変わったでしょうか? ケニー・ワトソンをヴォーカルに迎え、Walter White(ウォルター・ホワイト)、Ohad Wilner(オハッド・ウィルナー)、Chuck Shermatero(チャック・シャーマテロ)、Sonia Lee(ソニア・リー)といった素晴らしいミュージシャンたちが参加した「 THE WINDOWS OF THE WORLD 」をご覧ください。  ─


出だしはリズムレスのバラード調ですが、徐々に熱を帯びていき中盤〜終盤にかけて厚みのあるオケサウンドにケニー・ワトソンの想いが溢れんばかりの熱唱が重なります。エンディングはまた静かになりますが、とっても熱いカヴァーです。この曲は他にアイザック・ヘイズも熱唱していましたが、ケニー・ワトソンはそれ以上だと思います。

動画の概要欄にリンクが貼ってあった “Behind The Scenes(レコーディングの舞台裏)” の動画🔽を観て、(何言ってるのかはさっぱり分からないのですが😅)歌って思いを吐露したい…ということは伝わってきました。


ケニー・ワトソンもInstagramで自身の思いを語っていました。引用しますね。(またまた機械訳ですが)
─ ロシアとウクライナの紛争において、冷静な判断が勝利することを祈ります。バート・バカラックとハル・デイヴィッドがこの詞を書いた当時、彼らが社会的な懸念を抱いていたにもかかわらず、このような才能を使って感情を表現するとは考えもしなかったというのは、悲しい現実です。 ただ言えるのは、この懸念と希望の線が、友人のDan Yessian、Ohad Wilner、そしてYessianチーム、そして私自身に届き、希望という重荷を世界と分かち合えるようになったことに感謝しているということです。動画の全編は、私のプロフィールにあるリンクからご覧いただけます。ぜひシェアしてください!  ─

さて、ここからはオマケです。MP3で所有しているバカラック・カヴァーをご紹介。
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アイザック・ヘイズは、1973年にリリースした2枚組ライヴアルバム『 Live At The Sahara Tahoe 』で「 THE WINDOWS OF THE WORLD 」(6:20)をカヴァー。アイザック・ヘイズはこの曲はライヴ盤しか録音を残していません。持ち前のシブ〜い声でしっとり歌っているのですが、前述した通り最終盤では熱唱しています。
このライヴアルバムではもう1曲「 THE LOOK OF LOVE 」(6:56)もカヴァー。こちらの曲は1970年にレコーディングしており、基本的にそのバージョンのアレンジで歌っています。


【データ】
「 THE WINDOWS OF THE WORLD 」
Kenny Watson

MP3:2022年4月1日リリース
レーベル:The Latest Music (US)
番号:ー

Kenny Watson - Vocalist
Ohad Wilner - Rhythm/Synth Arrangement
Walter White - Brass/Wind Arrangement
Chuck Shermetaro - Piano Arrangement
Sonia Lee - Violin

Amazonリンク

2025年6月 7日 (土)

レイン・ドロップス/石毛恭子 (1972年)

TV番組『 ママとあそぼう!ピンポンパン 』で石毛恭子が歌った「 雨にぬれても 」の日本語カヴァーです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original 7"Single front cover

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所有7"コンパクト盤 front cover/back cover/広げたところ

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所有コンピCDのジャケット表/ケース裏/帯

Original 7"Single
A. レイン・ドロップス (RAINDROPS KEEP FALLIN' ON THE HEAD)
B. キャンディ・マン (THE CANDY MAN)

所有7"コンパクト盤
A1. レイン・ドロップス (RAINDROPS KEEP FALLIN' ON THE HEAD)
A2. キャンディ・マン (THE CANDY MAN)
B1. 日曜日に雨はいらない (IF THE RAINS GOT TO FALL)
B2. すてきなトゥルーリー (TRULY SCRUMPTIOUS)

所有コンピCD
15. レイン・ドロップス (RAINDROPS KEEP FALLIN' ON THE HEAD)


TV番組『 ママとあそぼう!ピンポンパン 』で石毛恭子が歌った「 雨にぬれても 」の日本語カヴァーです。

石毛恭子さんは1950年6月7日生まれ(今日が誕生日❗️㊗️おめでとうございます🎉)。1971年4月フジテレビにアナウンサーとして入社。半年後『 ママとあそぼう!ピンポンパン 』の2代目お姉さんに抜擢され、同年10月4日から1975年4月5日まで約3年半お姉さん役を務めました。1976年フジテレビ退社後はフリーに転向。音楽バラエティ番組の司会やNHK教育テレビの音楽教育番組等に出演する傍ら、TVドラマ出演やギター抱えてのコンサート活動もしていたそう。私生活では1979年に作曲家の坂田晃一さんとご結婚されました。(坂田晃一さんといえば私にとって1981年の大河ドラマ『 おんな太閤記 』の音楽を担当された方という印象が強く、OP曲は高3の時に吹奏楽部の定演で指揮した思い出の曲です。どーでもいい話ですみません😓)

実は私『 ママとあそぼう!ピンポンパン 』を観た記憶がありません。…なので『 ピンポンパン 』や石毛恭子さんに対して “懐かしい” という感情は湧きませんし「 レイン・ドロップス 」も聴いたことありませんでした。最初のシングルが出た1972年当時、私は小3…。所有コンピCDのライナーノーツに ─ バート・バカラックの傑作「 雨にぬれても 」のカヴァー「 レイン・ドロップス 」がバカラック初体験となった子供は多かっただろう ─ と書かれていますが私は該当しないのです
😭。「 雨にぬれても 」がバカラック初体験ではありましたが、小2から習っていたエレクトーンで知ったクチです(ウェブページの個人的な思い出を参照ください)。

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所有7"コンパクト盤のレーベル面 A面/B面

A1.「 レイン・ドロップス 」の訳詞は中村しのぶさん(『 風雲ライオン丸 』の主題歌「 行くぞ! ライオン丸 」の作詞を手がけた方で、『 ピンポンパン 』では外国曲のカヴァーの訳詞や作曲家の小林亜星さんと組んでオリジナル曲の作詞を担当しとられます)。「 レイン・ドロップス 」は原曲の詞から子供向けにかなり変えています。冒頭の "Raindrop Keep Fallin' On The Head" が "あまだれこぞうちゃん ぽつんと空から おちてきた" ですから😆。それでも “ぬれても 平気です” という肝となる部分を残しているのはさすが。バックのオーケストラはストリングスに金管・サックス等編成も大きく、グロッケンが雨粒を模して楽しい雰囲気。清楚でまっすぐな歌い方の石毛恭子さん、いいですねぇ〜。

この曲、これまで音源を持っておりませんでした。ネタが尽きたので記事にしようとコンピCDを入手したのですが、ピンポンパンのファンサイトの番組で歌われた歌の50音順表をみると「 レイン・ドロップス 」にはバージョンが5種類あり、オリジナルの編曲者が服部克久さんとなっているではないですか。コンピCD(編曲:前田憲男さん)はオリジナルと違うってことか??
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そうなるとオリジナルの7"シングルを聴きたくなります。でも中古は入手できず…。'73年の7"コンパクト盤は入手できたのですがコンピCDと同じ音源でした。という訳で、5種類のレコードを聴き比べるため約6年半ぶりに国立国会図書館に行ってきました。
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「 レイン・ドロップス 」のバージョンは、オリジナル版とイントロが長くてフルート&クラリネット&ハープが加わったキラキラプラス版(あるでお命名)の2種類あるようです。全てのレコードを聞いた訳では無いので100%の自信はありませんが…。それでもスッキリしました😄。

“ レイン・ドロップス 石毛恭子 ” とYouTubeで検索すると3つ動画が見つかります。コンピCD音源の「 石毛恭子 - レイン・ドロップス 」はオリジナル版、放送映像の「 ピンポンパン レインドロップス 」もオリジナル版、同じく放送映像の「 石毛恭子 - レイン・ドロップス 」は3つの映像を繋げていて最初と最後はオリジナル版ですが真ん中だけキラキラプラス版。放送でもキラキラプラス版が使われていたってことですねー。

★ 先ほども触れましたが、今回記事を書くにあたりピンポンパンのファンサイト『 ぎんがみむいて 』を参考にさせていただきました。ありがとうございました。★


さてここからはオマケです。所有するMP3音源から、石毛恭子以後の「 RAINDROPS KEEP FALLIN' ON THE HEAD 」日本語カヴァーをピックアップしました。他にもあるようでしたら教えてください。なお、メンボーズはCD持ってるんで過去の紹介記事にリンク貼ってます。沢田知可子さんはオマケで紹介している記事にリンクしてます。

No. タイトル アーティスト 日本語詞 リリース年 BPM 最初の音 歌い出しの歌詞 収録シングル/アルバム
1 雨にぬれても 倍賞千恵子 岩谷時子 1973 106 E 雨がふってきた
私が出てきた世のなかは
チグハグで
頭にはいつでも雨ふる
LP『 アカデミー賞主題歌を歌う 』King SKD-170
2 雨にヌレテモいーや マサ子さん マユタン 1989 146 A 外をフト見れば
わあ!大つぶの雨が
ミ・レ・ド・ラ・シ・ミで
地面にぷつぷつドットもよう
CD『 つちのこ男爵 』Ika-Ten IKA-003
3 雨にぬれても メンボーズ メンボーズ 1998 117 E 雨がふったなら
僕の胸をぬらしてくよ
手のひらをね
たたくように降り続くよ
CDシングル「 雨にぬれても 」Bad News Records BNCA-17
4 雨にぬれても 石嶺聡子 岩谷時子 2014 108 E (No.1と同じ) CD『 洋灯(らんぷ)~nostalgia for tomorrow〜 』徳間ジャパン TKCA-74143
5 雨にぬれても ヒネるズ 中川ひろたか 2020 106 F♯ 僕の薄くなった
頭の上に落ちてくる
雨のしずくが
Raindrops Keep Fallin’ on the head ポツンと
CD『 レッツ!ヒネるズ 』ソングレコード SR-2901
6 Raindrops Keep Fallin’ on the head 沢田知可子 松井五郎 2022 110 E なんにもしたくない
眠れないベッドは狭すぎる
ねぇ なんだか きっと そう
ずっと降り続く雨のせい
CD『 Vintage 』U-Can FRCA-1314

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因みに、歌い出しの原曲歌詞をGoogle翻訳してみますと…

雨粒が頭に落ちてくる
ベッドに足が大きすぎる男みたいに
何も合わないみたいだ
雨粒が頭に落ちてくる 降り続く

岩谷時子さんの日本語詞は原曲に近いのに対し、他の日本語詞はかなり意訳していますね。各者各様で面白いです。


【データ】
「 レイン・ドロップス 」 (原題:RAINDROP KEEP FALLIN' ON THE HEAD)

石毛恭子 (ISHIGE, Kyoko)

7"Single:1972年12月10日リリース (所有7"コンパクト盤は、1973年7月25日リリース)
レーベル:日本コロムビア (所有7"コンパクト盤も同じ)
番号:SCS-181 (所有7"コンパクト盤は、C-116)

フジテレビ『 ママとあそぼうピンポンパン 』から
原作詩/ハル・デビッド、作曲/バート・バカラック
作詩/中村しのぶ、編曲/前田憲男
伴奏:パレス・ミュージック
©️フジ音楽出版
©️オリジナルパブリッシャー:ブルーシーズ

<所有コンピCD>
『 ママとあそぼう!ピンポンパン ソングコレクション 石毛恭子イヤーズ(1971〜1974)』
V.A.(石毛恭子、他)

CD:2019年9月18日リリース
レーベル:日本コロムビア
番号:COCX-40951

プロデューサー:遠藤亮輔(日本コロムビア)
取材・解説:鈴木啓介
All Songs Licensed by FUJIPACIFIC MUSIC INC.
(P) 2019 NIPPON COLUMBIA CO., LTD.
©️フジテレビジョン


Amazonリンク(2019年コンピCD

2025年6月 1日 (日)

ベスト・オブ・バート・バカラック/ユニオン・オール・スターズ (1970年)

 1970年にテイチク傘下のユニオン・レコードからリリースされたイージーリスニングのバカラック集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A2. ANY DAY NOW
A3. MESSAGE TO MICHAEL
A4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A5. WALK ON BY
A6. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. DON'T MAKE ME OVER
B3. THE WINDOWS OF THE WORLD
B4. WISHIN' AND HOPIN’
B5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN

収録時間約36分


1970年にテイチク傘下のユニオン・レコードからリリースされたイージーリスニングのバカラック集です。

アーティスト名義はユニオン・オール・スターズ。ユニオン・レコードのオールスターって誰? …演奏者についての解説・クレジットは一切ありません。常識的に考えるとスタジオ・ミュージシャンの寄せ集めでしょうね。ストリングス、金管、サックス(持ち替えでフルートやオーボエ)、ギター、Eベース、ドラムス、ヴィブラフォン、ピアノが鳴っています。女性コーラスも入ってますし、時折チェンバロやハモンドオルガンっぽい音も聴こえます。

一方、編曲者は2名クレジットされています。池田 孝氏は、'60年代後半〜'70年代前半にかけて大映レコードや東宝レコードからリリースされた俳優(勝新太郎、松方弘樹等)のレコードや、東芝やRCAやテイチク/ユニオンからリリースされた歌謡曲の編曲者として名前が見つかります。利根常昭氏は、同じく'60年代後半〜'70年代前半あたりのGS/歌謡曲系のソングライター&編曲者。ザ・サベージの「 この手のひらに愛を 」で作詞・作曲・編曲を、ザ・スパイダース「 太陽の翼 」では作詞・作曲を担当しているお方です。


収録されている全12曲はカヴァー定番曲ばかり。ボブ・ヒリアードと組んだA2.「 エニィ・デイ・ナウ 」を除く11曲がバカラック&デイヴィッドコンビの作品です。ライナーノーツの曲目解説の日付が1970年4月8日と記されていることから、本作は1970年春〜夏頃のリリースと思われます。従ってカーペンターズがヒット(1970年6月全米1位)させた「 遥かなる影 」は入っておりません。

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聴いてみますと…これといった売りの無い凡庸なイージーリスニングでございました。A1.「 雨にぬれても 」は映画『 明日に向って撃て! 』サントラのインスト版のコピーですし、A3.「 マイケルへのメッセージ 」とB3.「 世界の窓に光を(世界の窓と窓)」はバカラックのアルバム『 Reach Out 』の演奏を、A2.「 エニィ・デイ・ナウ 」とA6.「 ディス・ガイ 」とB5.「 サン・ホセへの道 」は同じくアルバム『 Make It Easy On Yourself 』の演奏をベースとしたアレンジ。完コピならよく再現したじゃねぇか!…という評価もできますが、完コピでもなくかといって新鮮味があるわけでなく…。その他の曲もディオンヌ・ワーウィックなどヒットしたバージョンを下敷きにしたもの。よく知ってるアレンジの無難なイージーリスニング物バカラック集といった感じなんですよねぇ。ミュージシャンの名誉のために言っておきますが、演奏自体の出来はいいんです。プロデュース/コンセプトの問題でしょう。

そんな中身とは対照的にライナーノーツは充実! 1ページ目では “バート・バカラックとはどんな男か” と題してバカラックの人となりや経歴を細かい字で詳しく紹介しているのですが、本人になりきった口調(文体)がユニークで面白いです。また、ライナーノーツの3〜4ページ目では “バカラック・サウンドを解剖する” と言うタイトルに相応しく各曲ごとに作曲面からアレンジ、プロデュース面まで含めてその特徴を分析&解説しているのですが、これまた内容・文体ともユニークなのです。B5.「 サン・ホセへの道 」で、曲作りを家作りに例えて  ─ 普通のヒット・メイカーは土台より上の部分だけで勝負しているのです。(中略)そこでバカラックの家はと言うと、土台付きの家を売っているのです。  ─ と解説しているくだりは思わず “ほぉ〜っ” と唸ってしまいました。(当時 ─ バカラックという音楽家が、そうとう厚ぼったい音楽的教養の上に、どっかと座っていることが感じられたからである。 ─ と雑誌に書いた方がいましたが、似たこと言ってるなぁ…と。→ こちら 参照)

こーゆー解説をしたかったから、本アルバムは “
バカラックがアレンジやプロデュースまで手掛けたバージョン” ベースのアレンジ&演奏にしたのかもしれません。知らんけど😅

そのライナーノーツを4ページ全て載せました。クリックして拡大すればなんとか読めると思います。興味ありましたら是非!

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【データ】
『 ベスト・オブ・バート・バカラック 』(英題:Salute to BURT BACHARACH)
ユニオン・オール・スターズ(UNION ALL STARS)

LP:1970年リリース
レーベル:ユニオン・レコード(発売元:テイチク)
番号:UPS-67-J
定価:¥2,000


編曲:池田 孝 / 利根常昭

<ライナーノーツ執筆者>
P1. バート・バカラックとはどんな男か:?(記載なし)
P2. 曲目解説:1970年4月8日、中部日本放送 片岡功氏
P3〜4. バカラック・サウンドを解剖する:ラジオ関西 井上正之助氏


<参考> 曲数・曲順・音源が同じ、キューピット・シリーズ『 ザ・ベスト・オブ・バート・バカラック 』/ユニオン・オール・スターズ(ユニオン、CJP-1026、¥1,000)もリリースされています。リリース年は不明。

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年5月18日 (日)

Walk on By/Kristina Koller (2025年)

米女性ジャズシンガー、Kristina Koller が2025年にリリースしたコンテンポラリー・ジャズのバカラック・カヴァー集です!(CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
3. A HOUSE IS NOT A HOME
4. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR (feat. Rosemary Minkler)
5. I SAY A LITTLE PRAYER
6. DON'T MAKE ME OVER
7. WALK ON BY
8. REACH OUT FOR ME
9. LOVING IS A WAY OF LIVING (feat. Fima Chupakhin)
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約40分


米女性ジャズシンガー、Kristina Koller が2025年にリリースしたコンテンポラリー・ジャズのバカラック・カヴァー集です!

ニューヨーク市の郊外で育った Kristina Koller(クリスティーナ・コラー)は、幼い頃から青少年向けのミュージカルに出演。シンガーソングライターやオルタナティブ・ロックバンドのボーカリストなどソロ・パフォーマンスにも挑戦し、またクラシック音楽とオペラを学んで歌唱力を向上させ、様々な発声法を習得します。ジャズ、ソウル、R&Bに対するオープンマインドなアプローチのエイミー・ワインハウスに感銘を受け、ボーカリストとして自由に自己表現したいという願望が彼女をジャズの世界へ導きました。音楽奨学金を得て、彼女はハート・スクールのジャッキー・マクリーン・ジャズ研究所でジャズを学び、ニューヨーク市立大学でジャズ研究のBFA(美術学士号)を取得。並行してジャズ・カルテットにヴォーカリストとして加わり、ニューヨークを拠点に活動。これまでに3枚のアルバムをリリースしています。

本作は4枚目のアルバム。バカラックの音楽をコンテンポラリー・ジャズにアレンジしたものです。

なお、コラーの公式サイトには、─ 現在、コラーは4枚目のアルバムに取り組んでいます ─ とあるだけでまだ本作の情報がアップされていません。ミュージシャン等の情報は JAZZ CHLL MUSIC というブログを参考にしました。

コラーの母親はバカラックの音楽を深く愛していて、─ 私は幼い頃からバカラックの音楽を人生のBGMとして聴いて育ちました ─ んだとか。本作も母親のリクエストに応えたものだそう。 ─ バカラックの音楽は、とてもノスタルジックな気持ちにさせてくれます。でも、私はこれらの曲を、感情の核となる部分を損なわずに、現代のリスナーにも響くようなアプローチで捉えたいと思いました ─ ふむふむ、コラーの心意気や良し…ですね。

全10曲のうち、1曲だけ見慣れない曲があります。1959年にスティーヴ・ローレンスが歌ったT-9.「 LOVING IS A WAY OF LIVING(ラヴィング・イズ・ア・ウェイ・オブ・リヴィング)」です。この曲のカヴァーは聴いた事がありません。多分コラーが初めてだと思います。

バックのピアノトリオは、長年のバンド仲間である Fima Chupakhin (piano/Rhodes)、James Robbins (bass)、Cory Cox (drums)。James Robbins はコラーと共にアレンジを手がけました。T-4.「 愛のハーモニー 」では、女性ピアニストでありコラーの友人でもある Rosemary Minkler がヴォーカルで加わりサビでデュエットしています。T-9.「 ラヴィング・イズ・ア・ウェイ・オブ・リヴィング 」はピアノ伴奏のみで歌っています。

まず感じるのは、アレンジがチャレンジングでいずれもユニークなこと。1曲ごとに寸評しますと…。
T-1.「 恋よ、さようなら 」:ファンキー
T-2.「 遥かなる影 」:なんと4/5拍子にアレンジ、疾走感がある
T-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」:スローな6/8拍子、エモーショナル
T-4.「 愛のハーモニー 」:Aメロはシンプル、サビでファンキーになりデュエットが熱い
T-5.「 小さな願い 」:拍子がコロコロ変わりついていけない(ただしサビは原曲通り)、ファンキー
T-6.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」:ゆったりウォーム
T-7.「 ウォーク・オン・バイ 」:リズムが複雑に変化、アヴァンギャルドでクール
T-8.「 リーチ・アウト 」:コンテンポラリーなスウィングで楽しい
T-9.「 ラヴィング・イズ・ア・ウェイ・オブ・リヴィング 」:軽快な♩≒136のズンチャチャソングがスローバラードに変身、揺れるテンポに漂うコラーの柔らかい歌声が沁みる
T-10.「 世界は愛を求めている 」:クールな16ビートに大胆アレンジ、澄んだ強い歌声にコリーがこの曲に込めた思いを感じる

素晴らしいです。捨て曲はひとつもありません。アルバム全体としてレコメンドです。強いて超レコメンドを挙げるならT-2,4,7,9,10.でしょうか(半分もあるじゃねぇか)。

YouTube の Kristina Koller - トピック には自動生成で本作がアップされていますので、ぜひそちらを視聴ください。また、コラー自身のアカウントに3曲ほどレコーディング時の動画が上がってましたのでリンクを貼っておきます。
 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
 THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR


【データ】
『 Walk on By 』
Kristina Koller

MP3:2025年5月16日リリース
レーベル:Feel Good Records (US)
番号:?

Kristina Koller - vocal
Fima Chupakhin - piano/Rhodes
James Robbins - bass (except T-9)
Cory Cox - drums (except T-9)
Rosemary Minkler - vocal (T-4)

Amazonリンク

2025年5月 4日 (日)

Raindrops - Songs by Burt Bacharach/Carmela Corren (1974年)

イスラエルの女性歌手・俳優、Carmela Correnが1974年にリリースしたヘブライ語によるバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD = טיפות הגשם
A2. WIVES AND LOVERS = גברים, בגידות ושאר חטאים קטנים
A3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU = איש הסתו
A4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE = מוכר החלומות מסן חוזה
A5. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL) = עצרו את כל השעונים
A6. WALK ON BY = לך לאט
A7. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU = איש אוהב
B1. I SAY A LITTLE PRAYER = תפילה קטנה
B2. ALFIE = אלפי
B3. THE WINDOWS OF THE WORLD = עולמות רחוקים
B4. LONELINESS REMEMBERS (WHAT HAPPINESS FORGETS) = הבדידות זוכרת
B5. A HOUSE IS NOT A HOME = כשאין אתה אתי
B6. THE LOOK OF LOVE = מבט אוהב
B7. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE = מה צריך עכשו

収録時間約44分


イスラエルの女性歌手・俳優、Carmela Correnが1974年にリリースしたヘブライ語によるバカラック・カヴァー集です。

Carmela Corren カルメラ・コリーン(カルメラ・コーレン)は1938年2月、当時英国委任統治領下にあったテルアビブ生まれ。イスラエル国防軍の兵役で歌手として空軍管弦楽団にいた際、仕事でイスラエルに来ていた米国のテレビチームの目に留まり渡米、1956年に米国のTV番組『 Toast of the Town 』でデビューします。1961年には、クリフ・リチャードの南アフリカ・ツアーに同行。1962年、「 Eine Rose aus Santa Monica 」が独チャートで3位になるヒットとなり、以降ドイツ語圏のPopsフィールドで活躍します。1963年にはユーロビジョン・コンテストにオーストリア代表として出場し「 Vielleicht geschieht ein Wunder 」を歌って7位に。'60年代、Ariola(独)、Vogue Schallplatten(独)、Decca(独)といったレーベルから、ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、ギリシャ語のバラードやシャンソンのレコードを沢山リリースしているようです。

また、'60年代にカルメラは数々の映画に出演。スパイ・スリラー『 Zwischen Schanghai und St. Pauli 』(1962年)や、伝説のアルペンスキー・レース・チャンピオン、トニ・ザイラーと共演した登山ドラマ『 Sein bester Freund 』(1962年)などなど。その他いくつかのミュージカルにも出演。イギリスのクラブでポピュラーソングを歌う一方、オーストリアとドイツのTVバラエティ番組にも出演して大きな成功を収めたんだそう。


1964年から1970年にかけて、ドイツ人音楽プロデューサーのホルスト・ガイガーと結婚し、2人の子供をもうけています。1984年以降、再婚したカルメラは米国フロリダに移住しショービジネスの第一線から退きました。没年:2022年1月(享年83歳)。

以上、Wikipedia / IMDb / Carmela Corren(公認サイト)を参考にしてカルメラの略歴を記しました。'70年代は苦難の時代だったようで、(子育てしていたことは分かりますが)本作をリリースした1974年前後のことはよく分かりません。1973年10月に勃発した第4次中東戦争の停戦後(=第1次オイルショックの最中)
という時期に、何故彼女は本作をヘブライ語でレコーディングしてリリースしたのか…。まさか、映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』が大コケして当時どん底にいたユダヤ人のバカラックを元気付けようとヘブライ語で彼の曲を歌った…な〜んてことはまず無いな😅。

収録された14曲は全てデイヴィッド&バカラック作品で、B4.「 ロンリネス・ハッピネス(愛は想い出)」を除けばカヴァー定番曲ばかり。カルメラは重心が低いながらもハリのある声質で、1974年当時36歳だった年齢に相応しい大人の歌唱を聴かせます。ヘブライ語の歌詞もさほど違和感はありません。バックはバンド+ポップスオーケストラなのですが、本作の一番の魅力は楽しげでユニークなアレンジにあります。

個人的に印象に残ったアレンジは…
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A1.「 雨にぬれても 」:イントロで、装飾音の付いた “E-F” の音を最初は2拍おき、3小節目から1拍ごと交互にオクターヴでピアノが弾いてます。雨粒を表現するベタな手法ですが、「 雨にぬれても 」のインスト・カヴァーでは時折見られるもののヴォーカル・カヴァーでは余り例(注)がないんですよね…。(注)他の例:Bobbie Gentry版はギター、The Dells版はハープ?とグロッケン、Lisbet Guldbaek版はギターとウッドベース、石毛恭子さんの日本語版「 レイン・ドロップス 」ではグロッケンが奏でています。
A4.「 サン・ホセへの道 」:特徴的な女性バックコーラスによる “ウォウォ ウォウォッ
…” の9度下降を、“イェイェ イェイェッ…” と歌っています。ヘブライ語に訳したらそうなるのか? レナウンの「 ワンサカ娘 」を連想しちゃいました。でもこれはアレンジの話じゃないよねぇ😓。
A6.「 ウォーク・オン・バイ 」:2コーラス目以降の金管楽器&フルートによるオブリガートがカッコいいです。そして、後半の間奏部分24小節が(アウトロも)脈絡なく突然サンバ・アレンジになってノリノリになるのがサイコー。

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B2.「 アルフィー 」:イントロは32分音符刻みのハイハットとカッティングギターで始まります。そう、バカラックのインストセルフカヴァー版(アルバム『 Reach Out 』収録)ベースのアレンジなんです。コレにヴォーカルを乗せてくるとはっ❗️ しかもテンポ速いっ(バカラック版の♩≒75に対し♩≒85)。インストでならバカラック版ベースのカヴァー(Messias版田畑貞一版スクリーン・ポップス版、オルケスタ・リブレ&柳原陽一郎版)も存在しますが、このアレンジにヴォーカルを乗せたのは唯一無二で他には知りません。実は1971年リリースのライヴアルバム『 LIVE IN JAPAN 』でバカラックはちょびっと「 アルフィー 」を歌っています。しかし、この時はピアノ弾き語りでAメロを歌い終わった後に『 Reach Out 』と同じアレンジで「 アルフィー 」をインスト演奏する…という展開。なので、やはりカルメラの「 アルフィー 」は唯一無二です❗️
B3.「 世界の窓と窓 」:ホルンを含む木管アンサンブルと流麗なストリングスをバックに歌い上げるカルメラが神々しい。素晴らしい❗️
B4.「 ロンリネス・ハッピネス(愛は想い出)」:この曲も木管楽器が活躍して可愛らしい雰囲気を醸し出しています。
B6.「 恋の面影 」:「 THEME FROM SHAFT(黒いジャガーのテーマ)」を彷彿させるエレキギターのカッティングが全編にわたり流れ、2コーラス目からトランペット&トロンボーンのオブリガートが炸裂するブラスロック調のアレンジが超カッコイイ❗️ カルメラも粘っこくソウルフルに歌っています。
B7.「 世界は愛を求めている 」:イントロの金管アンサンブルに意表を突かれますが、本編に入ったらジャズワルツのリズムに変わりストリングスとブラスによるオブリガート合戦が始まりカルメラの歌唱を盛り上げます。ラストはバリバリに吹いてアルバムを締めくくります。

'60年代後半〜'70年代の女性ソロシンガーによるバカラック・カヴァー集というと、個性的な解釈と陰影のある歌唱のコニー・フランシス『 Connie Francis sings Bacharach and David 』(1968年)、ドリーミーなストリングスとオリジナリティあるオブリガートのシェイラ・サザーン『 THE BACHARACH & DAVID SONGBOOK 』(1969年)、ジャズらしくイントロや間奏を原曲と大きく変えてるリタ・ライス『 Rita Reys sings Burt Bacharach 』(1971年) など素晴らしいレコードがあります。方向性全然違いますが本作はそれらに比肩しうるアルバムだと私は思いますし、レコメンドです。

ちなみに、盤起こしではありますがYouTubeに本作全曲がUPされています。前述した公認サイトの DISKOGRAFI の LPs からもリンクが貼られているので、公認サイト主がUPしたものでしょう(知らんけど)。
 


【データ】
『 Raindrops - Songs by Burt Bacharach 』
Sung in Hebrew by Carmela Corren

LP:1970年リリース
レーベル:CBS (Israel)
番号:80354

Lyrics:Hal David
Music:Burt Bacharach
Hebrew Lyrics:Yossi Behar
Stage Director:Itzhak Chalutsi
Musical Director:Moshe Zorman
Arrange:Y. Barak (A1-2,A4,A7,B1,B6), M. Zorman (A3,A6, B2-5,B7), M. Kupperboim (A5)

(p) 1974 CBS Inc.
MADE IN ISRAEL

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し


2025年4月27日 (日)

Tribute to Dionne Warwick/Rina Johnson (2014年)

どこぞの女性シンガー? Rina Johnson が2014年にリリースしたディオンヌ・ワーウィックのカヴァー集。そのうち約6割ほどがバカラック・カヴァーです。(CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全23トラック中、バカラック作品は14トラック

1. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
2. I SAY A LITTLE PRAYER
3. LOVE POWER
4. HOW MANY TIMES CAN WE SAY GOODBYE
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
6. WHISPER IN THE DARK
7. IT’S YOU
8. ALL THE LOVE IN THE WORLD
9. FRIENDS IN LOVE
10. HEARTBREAKER
11. I’LL NEVER LOVE THIS WAY AGAIN
12. THEN CAME YOU
13. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
14. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
15. PROMISES, PROMISES
16. ALFIE
17. THEME FROM VALLEY OF THE DOLLS
18. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF
19. TRAINS AND BOATS AND PLANES
20. WALK ON BY
21. WISHIN' AND HOPIN’
22. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
23. MAKE IT EASY ON YOURSELF

収録時間約79分


どこぞの女性シンガー? Rina Johnson が2014年にリリースしたディオンヌ・ワーウィックのカヴァー集。

“どこぞの女性シンガー?” と書いたのは全く素性が知れないから。検索すると米国の俳優が出てくるのですが歌ってる雰囲気皆無なので別人かと。

Rina Johnson 名義のアルバム、iTunesでは本アルバムの他に『 Tributo a Toni Braxton 』(2013)と『 Tribute to Christina Aguilera 』(2014) が見つかります。Spotifyでは『 Tribute to Kylie Minogue 』(2014)、『 Tribute to Kylie Minogue, Vol.2 』(2014)、『 Tribute to Mariah Carey 』(2014)、『 Tribute to Mariah Carey, Vol.2 』(2014)、『 Tribute to Kesha 』(2014)、『 Tribute to Beyonce 』(2014)、『 A Tribute to Sade 』(2013)、『 Tribute to Madonna:The Queen of Pop, Vol.1 』、『 Tribute to Madonna:The Queen of Pop, Vol.2 』(2013)、『 Tribute to Madonna, the Beginnings 』(2013) などたくさん出てきます。しかもリリースは2013〜2014年に集中。一方、Discogsでは検索しても全くヒットしません。う〜ん、なんか胡散臭いぞ。イージーリスニング系でよくある覆面シンガーなのかな?

収録曲は全23曲。セプター時代(1962〜1971年:13曲)〜 ワーナー時代(1972〜1978年:1曲)〜 アリスタ時代(1979〜1989年:9曲)におけるディオンヌ・ワーウィックのヒット曲をバランスよくカヴァーしています。全23曲を表に整理してみました。
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バカラック作品は約6割の14曲。バカラック作品のうちT-3.「 ラブ・パワー 」は全米12位とそれなりにヒットしたにも関わらず殆どカヴァーされていないので、貴重なカヴァーと言えます。それを除けばまぁ無難な選曲かなぁ。私だったら「 ANYONE WHO HAD A HEART(恋するハート)」「 THE APRIL FOOLS(エイプリルフール)」「 THE WINDOWS OF THE WORLD(世界の窓と窓)」は絶対取り上げるんですけどね、好きな曲なので。

アレンジは、後述する1曲を除いて基本的にディオンヌ版の完コピ。テンポやキーもディオンヌ版に右に倣えしている曲が殆どです。T-13.「 ディス・ガール 」とT-16.「 アルフィー 」はテンポやキーが少し違うけれどそれでも印象が大きく変わることはありません。ストリングスはシンセで代用。それはいいんですが、T-1.「 愛のハーモニー 」やT-6.「 イッツ・ユー 」に出てくるハーモニカのシンセ代用はいけません。ニュアンスが表現できてなくてチープさが際立ってます。まぁ、全体としてバックトラックの演奏は緩くて、出来としては70点くらいでしょうか。一方、若干鼻にかかった声質の女性メインヴォーカルは歌唱力もあってなかなかのもの。80〜85点は付けてもいいかと。ただ、声にハリがある曲とそうでない曲があって年齢が十歳くらい違う印象。定かなことは分かりませんが違う人なのかも?

さて、“後述する1曲” とはT-19.「 汽車と船と飛行機と 」のこと。ディオンヌ版とはアレンジが全く違うし。てか、そもそもヴォーカルが無い
でも…このアレンジはどこかで聴いたことがあるなぁ…。とゆーワケで、所有する「 汽車と船と飛行機と 」の音源を片っ端から再生! …見つけましたょ。英国mfpレーベル(いわゆる廉価盤専門レーベルの類い)から1971年にリリースされた、ビートルズ、バッハ、バカラックを軽いボサノヴァ・タッチで演奏したイージーリスニングのアルバム『 Beatles, Bach, Bacharach Go Bossa 』/Alan Moorhouse (1971年)の中の1曲でした。しかも “似てる” じゃなくて、ドンピシャそのもの❗️  コレは一体どーゆーこと❓ …編集上のミスとしか思えませんね。イージーリスニング系ってのはいい加減だよなー。金返せ!と怒っても無駄だし。…忘れることにしました。


【データ】
『 Tribute to Dionne Warwick 』
Rina Johnson

MP3:2014年リリース
レーベル:Abriluc Records (UK)
番号:?

クレジット無し、詳細不明

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し


2025年3月23日 (日)

Promesse, Promesse/Italian Stage Cast (2002年)

ミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』の2002年イタリア・キャストによるアルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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CDのジャケット表/ケース裏
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CDのジャケット裏/CDレーベル面

1. Ouverture  〜 Orchestra 〜
2. Scala 1 A 2  〜 Gianluca Guidi
3. Grapes Of Roth  〜 Orchestra 〜
4. Piu' Su  〜 Gianluca Guidi
5. Tu Pensa A Qualcuno  〜 Maria Laura Baccarini & Gianluca Guidi
6. Piccolo Segreto  〜 Renato Cortesi & Gianluca Guidi
7. Ama Il Basketball  〜 Gianluca Guidi
8. Sapere Quando Andarsene  〜 Maria Laura Baccarini
9. Dove Vai Con Una Ragazza  〜 (Dobitch, Kirkeby, Eichelberger, Vanderhof) 〜
10. Vorrei Non So Che  〜 Renato Cortesi
11. Taki Taki  〜 (Miss Della Hoya, Miss Polanski, Miss Wong) & Company 〜
12. E' Natale  〜 Orchestra Voices
13. Metti Un Po' Di Gioia In Me  〜 Silvia Delfino, Gianluca Guidi & Ensemble 〜
14. Metti Un Po' Di Gioia In Me (ripresa)  〜 Ensemble 〜
15. Cosi' Come Sei  〜 Maria Laura Baccarini
16. Bella E Giovane Come Sei  〜 Gianluca Guidi & Gianni Fenzi
17. Non M'innamorero' Mai Piu'  〜 Maria Laura Baccarini & Gianluca Guidi
18. Promesse, Promesse  〜 Gianluca Guidi
( )は役名で、アーティストは不明。

収録時間約54分


ミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』の2002年イタリア・キャストによるアルバムです。

バカラック初のミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』は、1968年12月よりブロードウェイで上演されました。以後数年のうちに、ロンドンのウエスト・エンドをはじめイタリア、ドイツ、オーストラリア、日本などで上演されました。
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イタリアではCatherine Spaak(カテリーヌ・スパーク)とJohnny Dorelli(ジョニー・ドレルリ)主演により1970年にローマその他で上演され、キャスト・アルバム(画像)もリリースされました。そのアルバム紹介記事で、 ─ イタリア語版『 プロミセス・プロミセス 』は2002年に再演されCDもリリースされたようだ。しかし探しても見当たらない。実在するならなんとか手に入れたい… ─ と書きましたが、それから6年余り…ようやくゲット出来ました。うれぴーなっつ(©️松永里愛)。ただこのCD、ジャケットの表面/裏面、CDケース裏面、CDレーベル面…スタッフのクレジットはそこそこ載ってるのですが、どこ見ても役者のクレジットがありません。仕方がない、CDをPCに取り込む際に判明したアーティスト名を頼りにネットで調べるか…。(参考サイト:amicidelmusical.it, castalbums.org

上演時期は、2002年〜2003年(たぶんローマ公演)および2003年〜2004年(おそらく国内ツアー)。演出はジョニー・ドレルリ…そうです、1970年イタリア語版でチャックを演じたあのお方です。

チャック役のGianluca Guidi(ジャンルカ・グイディ)は1967年3月ミラノ生まれの歌手、俳優、演劇監督。歌手としてキャリアをスタートさせ、その後は主にミュージカルで活躍。2002年当時は35歳でした。そして、な・な・なんと!彼はジョニー・ドレルリの息子なんですって。つまり親子でチャック役を演じたってワケ。なんか歌舞伎みたい(笑)。Wikiによれば父親と共に演出にも関わったようです。
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フラン役のMaria Laura Baccarini(マリア・ローラ・バッカリーニ)は1966年5月ローマ生まれの歌手、俳優。ミュージカルでキャリアをスタートし、『 コーラス・ライン 』『 ウエスト・サイド・ストーリー 』『 シカゴ 』などに出演。現在でも幅広く活動しているそう。2002年当時は36歳でした。CDのジャケット写真を見ると髪型は1970年のカテリーヌ・スパークに寄せてるように感じられます。(参考サイト:公式サイト
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そういえばCDのジャケ写はミュージカルのラスト、トランプの続きをしようとフランがチャックにカードを渡すシーン。この構図はミュージカルの原作たる1960年の映画『 アパートの鍵貸します 』のラストも同様で、DVDのジャケ写もまさしくこのシーンです。
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曲名は全てイタリア語(歌詞もイタリア語)。翻訳者が違うのか、1970年イタリア語版とも曲名が異なっています。1970年イタリア語版の曲名、オリジナル・タイトル及び日本語タイトルを並べて表にしました。
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収録曲は、ブロードウェイ版(以下、BW版)オリジナル・キャスト・アルバムの17曲より1曲多い18曲。とは言え、その1曲はリプライズのT-14.「 事実は美しいはずなのに(リプライズ)」なので、新たに曲が増えたわけではありません。オケのアレンジはBW版ではなく1970年イタリア語版がベース。元々1970年イタリア語版は一部曲で独自のアレンジや追加パートがありました。この2002年イタリア語版は、ギターのカッティングが今風だったり全体的に演奏がキレッキレだったり、クオリティが高いですねー。独自の追加パートとして、T-11.「 ターキー・ラーキー・タイム
 」でOL3人組がバキバキに歌い踊っている最中に、突然T-7.「 バスケットボールがお好き 」の3拍子メロディが木管主体のアンサンブルで約30秒間挿入される…ってのがあります。これ、面白いです。その30秒間OL3人組は何してんだろう(笑)。

主演の2人は歌唱力・表現力共にあるし、声質のバランスもバッチリ。特にフラン役のマリア・ローラ・バッカリーニは場面ごとの心情表現が素晴らしく、聴いていて引き込まれます。相当な実力者なんだと思います。シェルドレイク役のRenato Cortesi(レナート・コルテシ)、マージ役のSilvia Delfino(シルビア・ドルフィン)、ドレイファス医師役のGianni Fenzi(ジャンニ・フェンツィ)のお三方も上手に歌っておられます


6年待った甲斐がありました。

ここからはオマケ。ちょっと愚痴を…。
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今回、米国のお店が$75のプライスで売り出したのを知り速攻注文しました。円安だし高いなぁとは思いましたが、新品(Mint Media Condition)でしたし今度いつ出品されるかわかりませんからね。意外に早く注文後10日で到着。荷物を開けると本当に新品でした。店頭でも売っていたんでしょう、値札が貼ってあってプライスは$25.95。😳! 👀目が飛び出ましたょ。3倍に値を吊り上げやがって! …いや、頭じゃわかっていますょ、こういうもんだと。でもねー、せめて値札は剥がしといて欲しかったなぁ…。

◆◆ Promises, Promises アルバム一覧 ◆◆
1968 デモ録音集
1968 Original Broadway Cast Recording
1969 Original London Cast Recording
1969 Aimi Macdonald and Ronnie Carroll (London Studio Cast)
1970 SPAAK - DORELLI (Italian Stage Cast)
2002 Italian Stage Cast ← 本作
2010 New Broadway Cast Recording
2022 宝塚歌劇宙組公演


【データ】
『 Promesse, Promesse 』
2002 Italian Stage Cast


CD:2002年リリース
レーベル:Carosello (Italy)
番号:CARSM 064 2

Musica di (Music by) 作曲 - Burt Bacharach
Liriche di (Lyrics by) 作詞 - Hal David
Regia di (Directed by) 演出 - Johnny Dorelli

Direzione musiccale (Musical direction) 音楽監督 - Riccardo Biseo
Traduzione e adattamento (Translation and adaptation) 翻訳と翻案 - Giorgio Calabrese
Produzione Musicale (Music Production) 音楽制作 - Salieli Entertainment
Registrato da (Recorded by) 録音者 - Marco Cucci
Presso gli studi di Registrazione (At the Recording Studios) 録音スタジオ - Titania Roma
Orchestra a cura della societa (Orchestra by the company) オーケストラ - Arte & Spettacolo

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年3月 2日 (日)

THE SONGS OF BACHARACH & COSTELLO (2LP+4CD BOX SET)/Elvis Costello & Burt Bacharach (2023年)

エルヴィス・コステロがバート・バカラックと共作した楽曲をすべてまとめた作品集! その SUPER DELUXE EDITION たる2LP+4CD ボックスセット!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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BOX front cover/a sheet with track list

CD1:PAINTED FROM MEMORY (2023 REMASTER)
1. IN THE DARKEST PLACE  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
2. TOLEDO  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
3. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
4. THIS HOUSE IS EMPTY NOW  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
5. TEARS AT THE BIRTHDAY PARTY  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
6. SUCH UNLIKELY LOVERS  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
7. MY THIEF  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
8. THE LONG DIVISION  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
9. PAINTED FROM MEMORY  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
10. THE SWEETEST PUNCH  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
11. WHAT'S HER NAME TODAY?  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
12. GOD GIVE ME STRENGTH  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M

CD2:TAKEN FROM LIFE - Songs from the stage score of Painted From Memory
1. YOU CAN HAVE HER  〜 Elvis Costello 〜  M

2. PAINTED FROM MEMORY  〜 Cassandra Wilson & Bill Frisell 〜  F
3. DON’T LOOK NOW  〜 Burt Bacharach, Elvis Costello & The Imposters 〜  M
4. EVERYONE’S PLAYING HOUSE  〜 Elvis Costello & The Imposters 〜  M
5. I LOOKED AWAY  〜 Audra Mae 〜  F
6. TAKEN FROM LIFE  〜 Elvis Costello & The Imposters 〜  M
7. MY THIEF  〜 Don Byron & Bill Frisell 〜
8. SHAMELESS  〜 Jenni Muldaur 〜  F
9. PHOTOGRAPHS CAN LIE  〜 Burt Bacharach, Elvis Costello & The Imposters 〜  M
10. IN THE DARKEST PLACE  〜 Audra Mae 〜  F
11. WHY WON’T HEAVEN HELP ME?  〜 Elvis Costello & The Imposters 〜  M
12. STRIPPING PAPER  〜 Jenni Muldaur 〜  F
13. HE’S GIVEN ME THINGS  〜 Elvis Costello & The Imposters 〜  M
14. WHAT'S HER NAME TODAY?  〜 Audra Mae 〜  F
15. LOOK UP AGAIN  〜 Elvis Costello 〜  M
16. LIE BACK & THINK OF ENGLAND  〜 Burt Bacharach 〜  M

CD3:BECAUSE IT'S A LONELY WORLD - Live
1. TOLEDO  〜 Elvis Costello & Steve Nieve 〜  M

2. IN THE DARKEST PLACE  〜 Elvis Costello & Steve Nieve 〜  M
3. MY THIEF  〜 Elvis Costello & Steve Nieve 〜  M
4. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL  〜 Elvis Costello & Steve Nieve 〜  M
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Elvis Costello & Steve Nieve 〜  M
6. GOD GIVE ME STRENGTH  〜 Elvis Costello & Steve Nieve 〜  M
7. PAINTED FROM MEMORY  〜 Elvis Costello, Steve Nieve & The Swedish Radio Symphony Orchestra 〜  M
8. WHAT'S HER NAME TODAY?  〜 Elvis Costello, Steve Nieve & The Swedish Radio Symphony Orchestra 〜  M
9. THIS HOUSE IS EMPTY NOW  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M

CD4:COSTELLO SINGS BACHARACH / DAVID
1. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Elvis Costello & The Attractions 〜  M
2. BABY IT'S YOU  〜 Elvis Costello & Nick Lowe 〜  M
3. PLEASE STAY  〜 Elvis Costello 〜  M
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
5. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
6. MY LITTLE RED BOOK  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
7. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
8. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M

LP1
Side A:PAINTED FROM MEMORY

A1. IN THE DARKEST PLACE  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
A2. TOLEDO  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
A3. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
A4. THIS HOUSE IS EMPTY NOW  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
Side B:PAINTED FROM MEMORY
B1. TEARS AT THE BIRTHDAY PARTY  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M

B2. SUCH UNLIKELY LOVERS  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
B3. MY THIEF  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
B4. THE LONG DIVISION  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M

LP2
Side C:PAINTED FROM MEMORY
C1. PAINTED FROM MEMORY  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M

C2. THE SWEETEST PUNCH  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
C3. WHAT'S HER NAME TODAY?  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
C4. GOD GIVE ME STRENGTH  〜 Elvis Costello & Burt Bacharach 〜  M
Side D:Songs From TAKEN FROM LIFE
D1. YOU CAN HAVE HER  〜 Elvis Costello 〜  M

D2. DON’T LOOK NOW  〜 Audra Mae & John Pagano 〜  FM
D3. I LOOKED AWAY  〜 Audra Mae 〜  F
D4. TAKEN FROM LIFE  〜 Elvis Costello & The Imposters 〜  M
D5. WHAT'S HER NAME TODAY?  〜 Audra Mae 〜  F
D6. LOOK UP AGAIN  〜 Elvis Costello 〜  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間(CD 1/2/3/4)約52分/約61分/約40分/約27分
(LP Side A/B/C/D)約17分/約17分/約19分/約23分


エルヴィス・コステロがバート・バカラックと共作した楽曲をすべてまとめた作品集! その SUPER DELUXE EDITION たる2LP+4CDボックスセットです。

リリースされて丸2年。生来のズボラな性格に加え、このボリュームに圧倒されてなかなか記事に取り掛かれずにいました。ようやく記事にすることが出来て重石が取れた気分です、ふぅ〜😮‍💨

本作、1998年のコラボ・アルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』の25周年を記念して2023年3月3日にリリースされました。バカラックさん死後1ヶ月足らずというタイミングでしたが、2023年1月10日頃には既にプレスリリース記事が発表されておりました(英語日本語)。ですので遺作ではなく追悼盤でもありません。基本形はCD2枚組ですが(前記トラックリストの CD1CD2)、他にも複数のリリース形態がありました。
① 2CD … 基本形
② 2LP+4CD

③ 2LP
④ 2SHM-CD(日本盤)
⑤ 配信

私としてはLPは要らなかったのですが、4CDが買えるのは ② 2LP+4CD しかありません。それならばと②を選択。早速1月24日にAmazonで予約しました。2月8日にバカラックさんがお亡くなりになる前のことです。米国だしリリース日から20日遅れくらいで届くかなーと思ったのですが、手にすることができたのはリリース日を約40日も過ぎた4月12日。コロナ禍だし流通に時間がかかるのは仕方がありません。開封前のパッケージはこんな感じ(下の写真)。重さは1,242gもありました。お値段は25,427円(税込)…1gあたり単価に換算すると@20.5円/g(税込)かぁ。果たして高いか安いか。いやいや、単純に高いでしょ💰。それでも予約時の値段がキープされていたのでまだ良かったほう。バカラックさん逝去以降どんどん値段上がっていきましたから😱。
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BOXは本のような仕立て。表表紙と裏表紙のポケットにそれぞれLP1枚とブックレット1冊が入っておりまして、中央の台紙にCDが4枚差し込んであります。ブックレットは、1冊が歌詞&クレジットを含む詳細な楽曲データ(全20ページ)で、もう1冊がコステロによる約1万語にも及ぶエッセイ(全20ページ)。英語音痴なものでそのエッセイを全く読む気になれなかったのですが、ちたりた様が和訳してくださいまして幸運にも内容を知ることができました。この場を借りてお礼申し上げます、ちたりた様どうもありがとうございました🙏。(ちたりた様によるエッセイの和訳はこちら
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CD1は1998年のアルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』の2023年リマスター。1998年盤と今回のリマスター盤の違いなんて正直私にはわからないのですが😅。

CD2には、TAKEN FROM LIFE - Songs from the stage score of Painted From Memory というタイトルがついてます。
─ CD2は『 ペインテッド・フロム・メモリー 』のミュージカル・スコアを想定して書かれた未発表曲や新録曲3曲などを収録した『 テイクン・フロム・ライフ 』というタイトルのディスク。  ─(プレスリリースより)
─ CD2『 テイクン・フロム・ライフ 』に収録される3曲の新録曲は、ヴィンス・メンドーサ編曲によるバカラック&コステロの共作曲「 ユー・キャン・ハヴ・ハー 」と「 ルック・アップ・アゲイン 」、これらは2021年9月にハリウッドのキャピトル・スタジオ(Capitol Studio)でバカラック指揮のもと録音。そしてエルヴィス・コステロ&ジ・インポスターズによる「 テイクン・フロム・ライフ 」、こちらはコステロ近作でおなじみのセバスチャン・クリスのプロデュースで2022年に録音された。  ─(同上)
─ この他、第62回グラミー賞「最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム」受賞作『 ルック・ナウ 』、EP「 Purse 」、ビル・フリゼールによる『 ペインテッド・フロム・メモリー 』のジャズ・アレンジ盤『 ザ・スウィーテスト・パンチ 』からもバカラック&コステロ・ソングが収録されている。  ─(同上)

文章を読んでもイマイチ頭に入ってこないので表にしてみました。
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楽曲そのものの情報(作詞作曲者、ASCAP登録年、初出アルバム)と本作収録バージョンの情報(アーティスト、未発表/新録、収録元のアルバム)を整理してみたのですが
、なんかわかりにくい。センスねぇな、自分。クレジットされてない情報には '?マーク' を付しております。自分が読み取れてないだけなんだと思いますが…。ASCAP登録年は、バカラック研究本『 SONG BY SONG 』/Serene Dominic著、及び Connor Ratliff さんのブログ(2014年2月3日付け記事)に基づき記載しました。

楽曲そのものは、全16曲のうちコステロ1人で作った2曲(T-11,12)を除く14曲がバカラック&コステロの共作曲です。アルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』からの曲が4曲(T-2,7,10,14)あり、他10曲がのちに作った曲。うち
9曲は2014年にASCAP登録されています(T-16の1曲だけは未確認)。コステロがエッセイの中で   ─ 私が見つけたミュージカルの最後の脚本ドラフトは 2013年のものです。  ─ と証言していることから、ひとまず出来上がったので2014年にASCAP登録したワケですね。

さて、聴いてみましょう。んーと、今回再収録した7曲については収録元アルバムの過去記事を参照いただければと思います。T-2,7 👉 『 The Sweetest Punch 』、T-3,4,9,11,13 👉 『 Look Now 』(おまけで『 Purse EP 』) 

新録曲を含む未発表曲9曲のうち、3曲は初出
ではありません。オードラ・メイが歌うT-10.「 イン・ザ・ダーケスト・プレイス 」とT-14.「 ホワッツ・ハー・ネーム・トゥデイ? 」の2曲はアルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』の曲。どちらの曲も淡々としたピアノ伴奏をバックに若干掠れ声ではあるけれどブライト且つ力強くエネルギッシュな歌声を聴かせます。T-15.「 ルック・アップ・アゲイン 」は2016年にハーブ・アルパートがフリューゲルホーンを吹いたインスト物がオリジナル。今回、ストリングス+ピアノトリオをバックにコステロが歌詞付きで歌います。いかにもコステロといったエモーショナルな歌唱でございます。

残り6曲は本作で初めて世に出る楽曲。T-1.「 ユー・キャン・ハヴ・ハー 」とT-15.「 ルック・アップ・アゲイン 」は前述の通りバカラック指揮のオケをバックにコステロが歌唱しています。前者はダイナミックな曲調でエモーショナルなコステロの歌声が堪能できます。後者はしっとりした8分の6拍子のバラード曲で、こちらの曲の方がバカラック味強めでしょうか。T-6.「 テイクン・フロム・ライフ 」はエルヴィス・コステロ&ジ・インポスターズによるパフォーマンス。あっちこっちにメロディが跳ぶ転調の多い3拍子のバラード曲です。T-5.「 アイ・ルックト・アウェイ 」は変拍子チックなバカラック臭の強いメロディのバラード曲で、オードラ・メイがピアノ伴奏をバックに歌唱しています。T-8.「 シェイムレス 」は軽妙な曲で、ジェニー・マルダーがいかにもミュージカルっぽく大げさに歌唱しています。同じくジェニー・マルダーが歌うT-12.「 ストリッピング・ペーパー 」はバカラック曲ではないのでスルーします。

ここでシンガーのお二人をちょろっとご紹介。
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オードラ・メイ(Audra Mae, 1984-)は、オクラホマ州オクラホマシティ出身のアメリカのシンガーソングライター。あのジュディ・ガーランドの曾姪なんだとか。
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ジェニー・マルダー(Jenni Muldaur, 1965-)は、マサチューセッツ州ボストン生まれのアメリカのブルース/フォークロックのシンガーソングライター。米国のブルース/ジャズ・シンガー、マリア・マルダー(Maria Muldaur)の娘だそう。

CD3は BECAUSE IT'S A LONELY WORLD - Live というサブタイトルがついたバカラック&コステロ曲のライヴ選集。どうしてそんなタイトルなのか? 1998年10月18日に行われたライヴ『 Sessions at west 54th/Elvis Costello & Burt Bacharach 』の映像と2人の対談で構成されたTVドキュメンタリー『 ELVIS COSTELLO & BURT BACHARACH - Because It's A Lonely World 』のサブタイトルから取ったとのこと。ドキュメンタリーの対談でコステロがこんなこと言ってます(ドキュメンタリー動画の49:21から。日本語版の動画では48:17から)。

─ 「 PAINTED FROM MEMORY 」はアルバムのタイトルにもなっているけど特別な曲ではないんだ。変な先入観を与えたくないから実にいろいろなタイトルを検討したよ。サブタイトルは「 WHAT’S HER NAME TODAY? 」という曲から取ったんだけど “なぜバカラックと共作を?” と訊かれたらこう答えることにしている。“孤独な世の中だからね(Because It’s a Lonely World)”って。(笑)  ─

「 WHAT’S HER NAME TODAY? 」の歌詞には確かに "Because it's a lonely world" の一節があります。ホントはこれをアルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』のタイトルにしたかったってことか。

全9曲を表に整理してみました。
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バカラックとコステロはアルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』リリース後の1998年10月、バカラック・バンドとストリングス及びスティーヴ・ニーヴを加えて米国&英国を短期間ツアー。翌11月に米NBC テレビの深夜トーク・バラエティ番組『 レイト・ナイト・ウィズ・コナン・オブライエン 』に出演しており、その時演奏した曲の一つがT-9.「 ディス・ハウス・エンプティ・ナウ 」。年が明けて1999年、コステロはスティーヴ・ニーヴらと "The Lonely World Tour" に出ます。T-1〜8.の8曲はそのツアーからの音源です。

9曲のうち未発表音源は4曲。とはいえ、T-7,8の2曲は収録元アルバムが非公式盤なので未発表音源は実質6曲かと。バカラックさんではなくスティーヴ・ニーヴがピアノを弾くと雰囲気ちょっと違いますね。そういう意味でバカラックさんがピアノを弾いているT-9.「 ディス・ハウス・エンプティ・ナウ 」は耳に馴染んでいるからか聴くと落ち着きます🤗。

CD4はコステロによるバカラック&デイヴィッド曲のカヴァー集とのこと。CD4も全8曲を表に整理しました。
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コステロはデビューした1977年の秋に所属レーベルのライヴ・ツアー "Live Stiffs Tour" で、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズとしてT-1.「 恋のとまどい 」を演奏。翌年リリースされたStiffレーベルのライヴ・アルバムに収録されました。アンプラグド(ではないけれど)的で素朴な肌触りです。それから10年後の1987年にニック・ロウとのデュオ名義でT-2.「 ベイビー・イッツ・ユー 」をカヴァー。ビートルズ版に寄せてる印象ですが歌唱はコステロ節ですね。そして1995年にリリースしたカバー曲ばかりのアルバムでT-3.「 プリーズ・ステイ 」をカヴァー。録音したのは1990年で、コステロはゆったり&しっとり歌っています。1999年のT-4.「 恋よ、さようなら 」は映画『 オースティン・パワーズ:デラックス 』のサントラ記事を参照ください。

T-5〜8.の4曲は(CD3 で触れた)アルバム『 PAINTED FROM MEMORY 』リリース後の米国&英国短期間ツアーからの音源。エッセイの中でコステロは、T-5.「 涙でさようなら 」とT-6.「 マイ・リトル・レッド・ブック 」を初めて歌ったけれどそれは自分へのご褒美だった、またバカラックの指揮でT-7.「 恋するハート 」を歌えたことはとてもスリリングだった…と述懐しています。T-8.「 恋のとまどい 」は前述の通りコステロにとって初めてカヴァーしたバカラックソングですから、思い入れも相当でしょう。

さて、アナログ盤については、LP1 のA面、B面、LP2 のC面までがCD1『 PAINTED FROM MEMORY 』全曲、D面はCD2『 TAKEN FROM LIFE 』からのハイライトとなっております。

重量はLP1が実測148g、LP2が実測149gありました。普通のLP盤(120g台〜130g台、ペラペラのものだと100g台)よりは重いですが、こちとら高いお金払ってんだから180g級の重量盤にして欲しかったっすねー、ユニバーサルさん。

音源はCDと同じと思っていたのですが、LP2のD2.「 ドント・ルック・ナウ 」だけはオードラ・メイとジョン・パガーノがピアノのみをバックに歌うバージョンでして、CD2に収録されていない音源でございます。これだけはLPにしか収録されていないってことです。LP購入者への
特典ってこと??? そんなセコいことやめよーよ、ユニバーサルさん。CD2にこの音源も収録すればいいことでしょう、プンプン😠

結論! 萩原健太さんが薦めておられるように(こちら参照)、ブツとしては基本形のCD2枚組(解説付きの日本盤が良いでしょう)を購入して、CD3やCD4の音源は配信で楽しむ…というのがBESTです。どーしてもアナログの音を聴きたいという方は、別にLP2枚組を買い足せばよろしいかと。


【データ】
『 THE SONGS OF BACHARACH & COSTELLO (2LP+4CD BOX SET) 』
Elvis Costello & Burt Bacharach

CD+LP:2023年3月3日リリース
レーベル:Universal
番号:B0036682-00

Box Set Produced by Elvis Costello and Steve Berkowitz
CD1:Produced by Burt Bacharach and Elvis Costello
CD2:Produced by Burt Bacharach and Elvis Costello (except T-2,3,4,6,7,9,11,13)、Produced by Lee Townsend (T-2,7)、Produced by Elvis Costello and Sebastian Krys (T-3,4,6,9,11,13)
CD3:Produced by Burt Bacharach and Elvis Costello (except T-7,8)、Produced by Jan B. Larsson (T-7,8)
CD4:Produced by Tim Summerhayes and Mick Crickmer (T-1)、Produced by Nick Lowe, Elvis Costello and Paul "Bassman" Riley (T-2)、Produced by Elvis Costello and Kevin Killen (T-3)、Produced by Elvis Costello and Burt Bacharach (T-4)、Produced by Burt Bacharach and Elvis Costello (T-5〜8)

その他のクレジットは割愛させていただきます🙇‍♂️

(注)本アルバムのカテゴリーは、"カヴァーアルバム" と "新作主体のアルバム" の2種類を設定しました。

A Universal Music Enterprises release; ©️2023 UMG Recordings Inc.

Amazonリンク
① 2CD … 基本形
② 2LP+4CD
③ 2LP
④ 2SHM-CD(日本盤)

2025年2月 9日 (日)

The Songs of Burt Bacharach/Alfie! (2025年)

スウェーデンのジャズ・グループ、Alfie! の2025年作。デビュー・アルバムでありバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THE LOOK OF LOVE
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
3. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
4. I SAY A LITTLE PRAYER
5. A HOUSE IS NOT A HOME
6. WIVES AND LOVERS
7. TRAINS AND BOATS AND PLANES
8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
9. ALFIE
10. WALK ON BY
11. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約58分


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ただいま日本時間の2月9日0時 ─ ロサンゼルスは2月8日の朝7時(米国太平洋時間)になったところですね。バカラックさんがロサンゼルスの自宅で大往生を遂げて早2年。息を引き取ったのは2月8日の何時頃だったんでしょう…。合掌🙏
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スウェーデンのジャズ・グループ、Alfie! の2025年作。デビュー・アルバムでありバカラック・カヴァー集です。

Alfie! は女性ヴォーカル+ギタートリオの4人組。ヴォーカルのStina Ágústsdóttir(スティーナ・アウグースツドウッティル)はアイスランド出身(1976年生まれ)のシンガー&ソングライター。アイスランドで最高のジャズアーティストの1人だそう。アルバムも数枚出しとられます。デンマーク、イギリス、カナダでキャリアを積んだ後、2011年からはスウェーデンのストックホルムに在住しているようです。


VENTO AZUL RECORDS さんのサイトで知ったのですが、ライヴの様子(2022年7月22日のライヴ:5曲をフェードで繋いだ約3分間の動画)がYouTubeに上がっていましたので貼っておきます。この動画には Alfie! の表記がないので、グループ名を付けたのは最近のことなのかもしれませんね。


スティーナのインスタによれば、Alfie! は本アルバムのリリースにちなみ先月から今月にかけてストックホルムでコンサートをしている模様。特に2月14日のコンサートは "Releaee fest!" と銘打ってます。おめでとう〜🎉


収録された12曲は全てバカラック&デイヴィッド作品で、ちょっとマイナーなT-7.「 汽車と船と飛行機と 」を除くと有名曲ばかり。ギター、ダブルベース、ドラムスによるバックの演奏はオカズを程度に交えつつスティーナが気持ちよく歌えるようサポートしていて、ソロパートではセンス良いアドリヴを披露しています。スティーナは太くハリのある声質で、表現力もあります。全体的にざらっとした肌触りの、チャラチャラしたところがなく落ち着いて聴くことができるサウンドです。北欧(行ったことないしあくまでもイメージですが)の透明感ある雰囲気も感じます。

そういえば、タワーレコード広島店さんが入荷情報として ─ バート・バカラック、珠玉の名曲をビター感あるショコラヴォイスヴォーカルでお洒落。🎶 ─ とXで呟いとられました

曲による出来不出来もなくクオリティは全曲同レベル。普通はどこかに穴があるもんなんですけどねぇ…。その分インパクトは薄いのですが。インパクトがあったりゴリゴリしたサウンドがお好きな方にはお気に召さないかも?。個人的にはアルバム全体としてレコメンドです。


【データ】
『 The Songs of Burt Bacharach 』
Alfie!

CD:2025年2月14日 on Valentine's day リリース (日本のレコードショップでは2025年1月22日発売)
レーベル:Overseas Records (Sweden)
番号:OVCD0005

Stina Ágústsdóttir - Vocals
Fredrik Olsson - Guitar
Mats Dimming - Bass
Jojo Djeridi – Drums
Recorded in Stockholm 28-29 January 2024

(p)&©️ Overseas Records 2024

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し
 ディスクユニオン、タワーレコード、HMV、VENTO AZUL RECORDSのサイトでは取り扱っています

2025年1月26日 (日)

The Greatest Roman Of Them All/Lyn Roman (1968年)

米女性シンガー、リン・ローマンが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は2トラック

A1. KNOWING WHEN TO LEAVE (3:14)

B5. THE LOOK OF LOVE (2:54)


米女性シンガー、リン・ローマンが1968年にリリースしたアルバムです。

リン・ローマンはワシントンD.C.出身。1963年スモーキー・ロビンソンによりMotownと契約して本名(Linda Griner)でシングル1枚リリース。翌年からはリン・ローマンの名でColumbia、Mercury、Dot、BrunswickのレーベルでPop〜Soulのシンガーとして活動。80年代はIchiban RecordsからDisco/Soul路線のアルバムをリリース、90年代からは本名に戻しているようです。(彼女の公式サイト

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本作は1968年にDotからリリースしたアルバムで、ビリー・ホリディの歌唱が有名なA2.「 GOD BLESS THE CHILD 」、リチャード・ハリスが1968年に歌ったA4.「 DIDN'T WE 」、O.C.スミス1968年のヒット曲B1.「 LITTLE GREEN APPLES(青い果実)」、ダスティ・スプリングフィールドの1968年シングルB面曲のB2.「 ジャスト・ア・リトル・ラヴィン 」、ご存じアレサ・フランクリン1967年のヒットB3.「 ナチュラル・ウーマン 」などポップやソウルの良曲カヴァーが目立ちます。

んで、バカラック・カヴァーは2曲。A1.「 去りし時を知って 」は1968年12月からスタートしたブロードウェイ・ミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』の中の曲。まず、イントロ冒頭4小節でのトロンボーンが吹くシンコペーションのメロディにほんわかした気持ちになります。オリジナルはもとより他のカヴァーでは聴いたことが無いフレーズで、つかみはバッチリ。リン・ローマンの歌声はハリがあって芯が太く、そして歌がうまい。バックの演奏はハープやグロッケンも入ったポップスオーケストラで特にブラスのメリハリが素晴らしいです。中間の間奏部分でイントロ冒頭とはまた異なる4小節のフレーズをトロンボーンが、次にトロンボーン+オーボエ、そして金管がバリバリと吹きまくります。いいですね〜。彼女の歌はそのバックに負けていません。超レコメンドです!

もう1曲はB5.「 恋の面影 」。この曲もイントロから引き込まれます。テンポは♩≒130。キューバン・ボレロに近い感じのリズムで、イントロ冒頭8小節はパーカッションのみで奏でます。9小節目からベースやギター、ピアノが加わり、13小節目からAメロを歌い始めます。この曲でのリン・マーロンはソウルフルな歌いっぷりで、特に後半部16小節で繰り広げられるフルートとのアドリヴ合戦はとてもファンキーで圧巻です。この曲もレコメンドですねー。

アレンジャーは、A1.「 去りし時を知って 」がリチャード・ウェスで、B5.「 恋の面影 」はアーティー・バトラー。2人ともいい仕事してると思います。

他には、A3.「 WHEN I WAS FIVE 」が個人的に気に入った曲でした。

尚、YouTubeに「 去りし時を知って 」は見当たらなかったけれど「 恋の面影 」はありました。ご興味あれば是非!


【データ】
『 The Greatest Roman Of Them All 』

Lyn Roman

LP:1968年リリース
レーベル:Dot (US)
番号:DLP 25903

Produced by Gerry Granahan
Arrangers:Artie Butler (A4,B3-5), Richard Wess (A1,A3,A5,B1-2), Tom Scott (A2)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2025年1月12日 (日)

Always Something There To Remind Me/Wayne Armond (2007年)

ジャマイカのギタリスト/プロデューサー、ウェイン・アーモンドが2007年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァーアルバムです。(CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
2. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
3. ON MY OWN
4. ANY DAY NOW
5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
6. A HOUSE IS NOT A HOME
7. WALK ON BY
8. REACH OUT FOR ME
9. WISHIN' AND HOPIN’
10. THE WINDOWS OF THE WORLD

収録時間約45分


ジャマイカのギタリスト/プロデューサー、ウェイン・アーモンドが2007年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァーアルバムです。

Wayne Armond(ウェイン・アーモンド)は1950年代初頭ジャマイカ生まれ。1980年結成のジャマイカのレゲエバンド、Chalice(チャリス)のオリジナル・メンバーであり、ソングライターとしても他のアーティストに多くの曲を書いてきたお方です。現在はフロリダ在住だそう。

ネットで情報収集したところ、Jamaica Gleaner Newsというサイトに本アルバムに関する記事が出ておりました。記事の日付は2007年5月4日。以下、ポイントのみ要約しますと…。

彼は12歳の時にディオンヌ・ワーウィックの「 ウォーク・オン・バイ 」を聴いたとき、そのアレンジに衝撃を受けました。クレジットに目をやるとそこにはバート・バカラックという名前が…。彼は歌い手のディオンヌよりも裏方のバカラックに惹かれたんですね。本アルバムを振り返ってのコメントは…  ─ 難しくはありませんでした。バート・バカラックのカタログに目を通して、私たちのジャンルに最も適していると思ったものを見つけたんです。間違いなく私のやり方、ジャマイカのやり方で(素材)を解釈することを意図しました。  ─ …とのこと。

アルバムは全10曲。'60年代の曲だけではなく'80年代のT-3.「 オン・マイ・オウン 」とT-5.「 愛のハーモニー 」もあります。実は私、昔からレゲエミュージックが苦手で…あのリズムを生理的に受け付けないんですょ。ジャマイカはレゲエ音楽発祥の地。“ジャマイカのやり方” = コテコテのレゲエだったらやだなぁと思いつつ再生したところ、想像したほどではありませんでした。良かった〜😙

全編でメロディを奏でているのは優しい音色のギター。T-1.「 世界は愛を求めている 」は原曲の3拍子ではなくゆったりした4拍子。ベースの動きはレゲエのそれっぽいですが、全体にはスムースジャズ的なサウンド。所々クールなバックコーラスも入ってカッチョイイです。T-2.「 愛の思い出 」はライトなレゲエかなぁ。T-3.「 オン・マイ・オウン 」のリズムはもう普通にレゲエでしょ。T-4.「 エニィ・デイ・ナウ 」はレゲエ臭薄く、ギターのアドリヴもなかなか。T-5.「 愛のハーモニー 」はゆったりレゲエ調。イントロ0:15くらいからのギターリフがまんまティアーズ・フォー・フィアーズの「 Everybody Wants To Rule The World(ルール・ザ・ワールド)」していて笑っちゃいましたが。

T-6.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」もT-5.同様ゆったりレゲエ調。アウトロではルーサー・ヴァンドロスのシャウトを連想させる場面もあったり。T-7.「 ウォーク・オン・バイ 」はベースの動きがレゲエしてますが全体としてはコンテンポラリーな雰囲気。T-8.「 リーチ・アウト・フォー・ミー 」はレゲエ感薄めでスムースジャズ的。T-9.「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」はレゲエ感なくて8ビート。シンセのトランペットがチープなのが惜しい。T-10.「 世界の窓と窓(世界の窓に光を)」もレゲエ感薄めで独特な世界観のアレンジ。イントロや曲の途中で入る男性コーラスのリフ(原曲には出てこないフレーズなんです)がやたら耳に残って😅。アルバムの中で最もオリジナリティある演奏では。

イージーリスニングとも違うし、レゲエっぽいスムースジャズという言い方がしっくりくるかなぁ。ゆったりBGM的に流すには良さげなバカラック・カヴァー集かな…と思います。

本アルバム、YouTube にフルでアップされています(こちら



【データ】
『 Always Something There To Remind Me A Jamaican Tribute to Burt Bacharach 』
Wayne Armond

MP3:2007年リリース
レーベル:Griot Musik
番号:-

クレジットは不明。以下は前述のネット記事でわかる範囲の情報です。
Wayne Armond - guitar
Richard McDonald - bass
Sheldon Bernard - keyboards
Marlon Stewart Gaynor - hand drums
Robbie Lyn - keyboards

Amazonリンク

2025年1月 5日 (日)

「バート・バカラック2008年来日時のTV出演!」をYouTubeにアップしました!

「バート・バカラック2008年来日時のTV出演!」をYouTubeにアップしました!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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数年前に放送内容を文字起こしして記事にしたのですが、今回、放送内容=当時録画したものをYouTube上で公開しました。TV局さんがなかなかアーカイヴを公開しないので、業を煮やして一昨日つい…😅。 画質・音質ともあまり良くありません、悪しからず🙇‍♂️。

【動画リンク】
https://youtu.be/u_7pilPiQOg


2025年1月 1日 (水)

2025年もよろしくお願い申し上げます

2025年も『 いつもあなたとバカラック 』をよろしくお願い申し上げます あるでお


🔸ウェブページの “ 本ブログとバカラックについて ” を改訂しました。スマホの方は参照先が画面に表示されないようですのでリンクを貼っておきます。(こちら

🔸ページビュー数(PV数)ランキング:昨年(2024年)閲覧数が多かったページTOP30をランキング形式で表示します。順位の (  ) は前年のランキングで (-) は30位圏外を意味します。集計対象期間は 2024/1/1〜2024/12/31。因みに、最低は858位/PV数1 でした。
2015/1/3追記:リンクが繋がってなかったのであらためてリンクを貼り直しました🙇‍♂️

順位 TITLE 記事DATE
(年/月)
カテゴリー PV数 入口回数
1 (1) いつもあなたとバカラック - - 3,273 1,400
2 (4) 国立国会図書館での録音資料閲覧体験 2018/11 ネタ 919 723
3 (3) THE APRIL FOOLS/O.S.T. (1969年) 2017/07 IN 439 313
4 (14) Alfie/Vanessa Williams (1996年) 2015/10 EP 371 337
5 (11) カヴァーアルバム - CV 326 103
6 (21) 関連CD バカラックがビートルズに逢った時/筒美京平 (1971年) 2013/10 ネタ 314 264
7 (20) 本ブログとバカラックについて - - 314 154
8 (9) ディオンヌ・ワーウィックのアルバム - DW 271 116
9 (5) コンピレーションアルバム - CP 229 50
10 (-) MORE TODAY THAN YESTERDAY/Spiral Starecase (1969年) 2017/02 IN 185 162
11 (29) 10月9日 NHK-FM『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』プレイリスト 2023/10 ネタ 168 96
12 (15) I SAY A LITTLE PRAYER/DIANA KING (1997年) 2015/10 EP 163 138
13 (7) バート・バカラックのアルバム - BB 158 50
14 (28) THE BEST OF ME/David Foster (1983年) 2016/06 IN 141 111
15 (-) RESERVATIONS FOR TWO/Dionne Warwick (1987年) 2016/07 DW 138 102
16 (-) REACH OUT/Burt Bacharach (1967年) 2016/03 BB 138 103
17 (8) LIVE IN JAPAN/Burt Bacharach (1971年) 2014/04 BB 135 106
18 (-) Your Eyes/Nancy Wilson (1983年) 2020/05 IN 133 108
19 (13) LOST HORIZON/O.S.T. (1972年) 2016/05 BB 123 76
20 (25) LIVING TOGETHER/Burt Bacharach (1973年) 2016/05 BB 123 65
21 (23) MAKE IT EASY ON YOURSELF/Burt Bacharach (1969年) 2016/04 BB 123 90
22 (17) BURT BACHARACH A LIFE IN SONG バート・バカラック ライブ・イン・ロンドン 2015/V.A. (2016年) 2016/03 CV 123 90
23 (10) バカラックの曲がちょっと入ったアルバム - IN 122 33
24 (-) CASINO ROYALE/O.S.T. (1967年) 2016/03 BB 120 90
25 (26) the look of love the Burt Bacharach collection/V.A. (1998年) 2018/01 CP 119 73
26 (22) 狐火/郷ひろみ (2021年) 2021/08 EP 117 100
27 (-) THE WINDOWS OF THE WORLD/Dionne Warwick (1967年) 2016/03 DW 112 77
28 (18) 布施明がバカラックに会った時/布施明 (1971年) 2014/04 CV 111 91
29 (-) Royal Straight Soul Ⅲ Vol.2/V.A. (1992年) 2019/12 IN 106 92
30 (-) TOY BOX/椎名 恵 (1996年) 2014/11 IN 104 91

カテゴリー略号の意味
CV:カヴァーアルバム、CP:コンピレーションアルバム、EP:シングル、DW:ディオンヌ・ワーウィックのアルバム、IN:バカラックの曲がちょっと入ったアルバム、ネタ:バカラック関連ネタ、BB:バート・バカラックのアルバム、NW:新作主体のアルバム

2024年12月30日 (月)

ライブの感想 Yammy* sings Burt Bacharach Dec. 22, 2024

Yammy* sings Burt Bacharach(以降 YsBBと表す)〜 これまでのYsBBの中で最も渋い大人の選曲かも

2024年12月22日(日) 18:00開場 19:00開演
Premium Marche Azul Terrace アズールテラス@大阪梅田(公式サイト
Yammy*(Vo)、Sasapong(P)、堂地誠人(Soprano Sax)

年末恒例となったYammy*さんのライヴ、実は今回所用のため参戦できませんでした。ところが翌日、Yammy*さんのプロデューサーである廣瀬紳一さんより一足早いクリスマスプレゼントが…。
─ 昨夜も無事にYammy* sings Burt Bacharachを終えました。〇〇さんにも聴いていただきたいと思いますので、昨夜の音源を送らせていただきます。またお時間のある時に聴いてみてください。  ─ 
送ってくださったのはPAアウト音源。再生してみると拍手や残響もあり十分鑑賞できるもの(MCが所々カットされていたのはチト残念でしたが)。聴けないと思ったライヴを聴けたのは望外の歓びでした。廣瀬サンタさんの粋な計らいに感謝!

…というワケで、そのPAアウト音源を自宅オーディオで聴いての感想です。なお、画像は全て Yammy*さんの Facebook より拝借いたしました、悪しからず。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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<1st stage>
1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 世界は愛を求めている(愛をもとめて) 【T-8.】

2. WALK ON BY ウォーク・オン・バイ 【T-9.】
3. THIS HOUSE IS EMPTY NOW ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ
4. A HOUSE IS NOT A HOME ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム … w/Sasapong 【T-10.】
5. GOD GIVE ME STRENGTH ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 【T-7.】
6. DON'T MAKE ME OVER ドント・メイク・ミー・オーヴァー
7. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO) ニューヨーク・シティ・セレナーデ

<2nd stage>
1. WIVES AND LOVERS 素晴らしき恋人たち
2. ON MY OWN オン・マイ・オウン
3. THE BELLS OF ST. AUGUSTINE ベルズ・オブ・セント・オーガスティン
4. THE APRIL FOOLS エイプリル・フール
5. ALFIE アルフィー … w/Sasapong 【T-1.】
6. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL アイ・スティル・ハヴ・ザット・アザー・ガール
7. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE サン・ホセへの道
8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 遥かなる影 【T-2.】

<Encore>
1. THE BELL THAT COULDN'T JINGLE ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル
2. I SAY A LITTLE PRAYER 小さな願い

※ セットリストの最後に添えた【T- .】はアルバム『 Yammy* sings Burt Bacharach 』(2020年)のトラック番号



1st Stageは1-1.「 世界は愛を求めている 」からスタート。これまで、この曲を冒頭インストで使うことはあっても(2019年がそうでした)この3拍子のメッセージソングからYsBBを歌い始めるのは初めてのはず…。“ 世界に必要なのは愛 ”、Yammy*さんの気持ちが今年は特に強いのかもしれません。1-4.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」は、曲の前に ─ 普段とはちょっと違った想いで歌いたいと思います ─ と仰り、日本語詞で歌唱。最初に音源を聴いた時は日本語詞に気づかなかったくらい自然でした。廣瀬さんから澤田知可子バージョンから拝借したと伺い、改めて確認・納得した次第。その後、1-5.「 ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 」('90年代、エルヴィス・コステロ)、1-6.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」('60年代、ハル・デイヴィッド)、1-7.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」('80年代、キャロル・ベイヤー・セイガー)とそれぞれ時代&作詞家そして曲調も違う3曲を歌って1st Stageを終了します。

2nd Stageの2曲め、2-2.「 オン・マイ・オウン 」は1986年にパティ・ラベルとマイケル・マクドナルドのデュエットで全米1位になった曲。これはYsBB初登場曲。Yammy*さんの歌唱に堂地さんのソプラノサックスがうまく絡まっていました。更に熱くなってもいいかも。また、2-7.「 サン・ホセへの道 」もYsBB初登場曲だと思います。オリジナルのディオンヌ・ワーウィック版ではなくてBossa Rio版をベースにカヴァーしたもの。ディオンヌよりも賑やかですからねー。そう言えば森高千里さんも1988年にBosssa Rioベースでカヴァーしてましたし。曲のラストがちょっとドタバタしたのはやっぱり初めてだったからか。2nd Stageは2-8.「 遥かなる影 」で締め、アンコールでサプライズが!

アンコール1曲目は「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」。バカラックの数少ないクリスマスソングで、ましてやこの時期。日本ではほとんど知られていませんが、以前より私がYsBBで歌って欲しいと願っていた曲です。いや〜やっぱりライヴ行きたかった!と思った次第。この曲はポール・エヴァンスが1962年に歌ったのがオリジナル。有名なのはハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスのカヴァーでしょうか。Yammy*さんは野宮真貴さん版の日本語詞でカヴァーされたんですね。どうアレンジするか苦労されたんじゃないかと思いますが、楽しく仕上がっていたと思います。ちなみにこの曲は中嶋美智代さんも日本語詞で歌っているのですが、「 ベルガモットに月は泳いで 」という曲名で歌詞の内容もかけ離れたものになっています(こちらに収録)。そしてアンコール2曲目は「 小さな願い 」。YsBBでは最近2022年2023年と続けてアンコールで歌っており定番となりつつあります。

改めてセットリストを眺めてみると、「 RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD(雨にぬれても)」「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU(ディス・ガイ)」「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よ、さようなら)」「 ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに)」等の有名曲はありません。これまでのYsBBの中で最も渋い大人の選曲かも。それだけYsBBは回を重ねて熟成してきているんだなぁと感じました。

それでは皆さん、良いお年を!

2024年12月15日 (日)

ラヴ・サウンズ・スタイル <バート・バカラック作品集>/V.A. (2014年)

キングレコードが持つジャズ、イージーリスニング系音源からコンパイルされたバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 レオン・ポップス 〜
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
3. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  〜 伊東ゆかり 〜  F
4. KNOWING WHEN TO LEAVE  〜 猪俣猛とサウンド・リミテッド 〜
5. THE APRIL FOOLS  〜 レオン・ポップス 〜
6. PACIFIC COAST HIGHWAY  〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
7. BOND STREET  〜 猪俣猛とサウンド・リミテッド 〜
8. PROMISES, PROMISES  〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
9. ALFIE  〜 スクリーン・ポップス 〜
10. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 レオン・ポップス 〜
11. THE LOOK OF LOVE  〜 ザ・ピーナッツ 〜  F
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
13. MEXICAN DIVORCE  〜 猪俣猛とサウンド・リミテッド 〜
14. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 スクリーン・ポップス 〜
15. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
16. THE WINDOWS OF THE WORLD  〜 タイム5 〜  M
17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 スウィフト・ファイヴ・プラス・フォー 〜
18. SOUTH AMERICAN GETAWAY  〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
19. TO WAIT FOR LOVE (今日、今、この時)  〜 布施明、A&Mオールスターズ 〜  M
20. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 レオン・ポップス 〜

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記


収録時間約60分


キングレコードが持つジャズ、イージーリスニング系音源からコンパイルされたバカラック物コンピ集です。

─ 「 Love Sounds Style 」シリーズは、レコード会社各社に残された膨大なカタログのなかから、主に1960〜70年代にかけて制作された、国内録音によるイージーリスニング・アルバムより選曲・構成された作品集で、2004年に複数のレコード会社から全6タイトルが発売されました。それから10年を経て、今回はキングレコードに残された膨大なカタログのなかから、カテゴリごとに構成した5タイトル(各盤20曲、合計100曲)を発売します。
1960〜70年代は、こうしたインストゥルメンタルやイージーリスニング・ヴォーカルの企画盤が定期的に制作されており、そこでは映画音楽や海外のポピュラー・ヒットの数々が洒脱なアレンジを用いてカヴァーされていました。時期的にステレオ装置の一般家庭への普及と重なることから、それらはリスナーに好意的に受け入れられ、常に安定したセールスを記録していたといいます。とりわけサックス、ピアノ、ギターなどの楽器をフィーチャーした作品が人気を博し、由紀さおりの「 夜明けのスキャット 」のヒット以降は、スキャットを意欲的に採用したアルバムが多数制作されました。
ところが、そのあまりに膨大なタイトル数から再編に着手するのが困難で、さらに極めて匿名性の高いアーティスト表記などからも、これらが顧みられる機会はなかなか訪れませんでした。現に、本シリーズに収録された楽曲の大半が初CD化となるものです。しかし、お聴きになればおわかりのように、ここに収録された楽曲は、時を経てもなお色褪せぬ魅力を備えた楽曲が揃っており、今こそ聴き返される時期なのではないでしょうか。贅を尽くしたオーケストラ演奏から、気心の知れたミュージシャンによる気ままなセッションまで、我が国のポピュラー史を彩った名曲・名演の数々をお楽しみください。  ─ (ライナーより、本シリーズについて)

本コンピ集はキングレコードからリリースされたシリーズ5タイトルのうちの1タイトル。 ─ 20世紀を代表する作曲家にして、もはや“バカラック”というジャンルを確立したと言っても過言ではない偉大な音楽家バート・バカラック。キングレコードに残された数多くの録音のなかから、さまざまなアーティストがカヴァーしたバカラック作品だけで構成したオリジナル編集盤。ジャズ、イージーリスニングの企画盤を中心にベテラン歌手が歌った楽曲など20曲を収録‼︎ ─ (CDの帯より) でございます。
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丁寧なコンパイルは濱田高志さんのお仕事。ライナーには収録元アルバムの情報がほぼ網羅されてました。それらの情報を整理して、全20曲を収録元アルバムのリリース順に並べたものがこちら👇。(レオン・ポップスのT-10.「 雨にぬれても 」だけは収録元アルバム不明、残念!😅) 
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約半数の9曲は拙ブログで既に紹介済みでして、ここでは簡単に紹介します。リンクから過去紹介記事に跳びます。なお、ジャケ写は収録元アルバムのものです。

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伊東ゆかりのT-3.「 ディス・ガール 」はサラッとした歌唱でセンスを感じます。アレンジもストリングスやフルートのオブリガートがとっても素敵。→ 2014年の編集盤『 ルック・オブ・ラヴ 』の記事で紹介

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ザ・ピーナッツのT-11.「 恋のおもかげ 」はハープのアルペジオやオルガンのオカズなど独自のアレンジが光ります。ザ・ピーナッツの息の合ったハモリも流石。→『 フィーリング・グッド!~ピーナッツの新しい世界~ 』

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男性5人組コーラス・グループ、タイム5(タイムファイヴ)のT-16.「 世界の窓と窓 」はリードヴォーカル&コーラスのハーモニーが美しい。途中の転調(B♭→C)も印象的です。→『 THIS IS TIME 5 』

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斎藤英美プラス・リズム・セクションの6曲(T-2,6,8,12,15,18.)はちょっとマニアックなエレクトーンもの。ただし、アルバム名義どおり斎藤英美(エレクトーン)+ リズム・セクション(E.G, E.B, Dr)なのはT-2,6,15.の3曲だけ。そのうちT-6.「 パシフィック・コースト・ハイウェイ 」は原曲を再現しつつもアドリブの独自性が光っていてレコメンド。一方、エレクトーン経験者の私としては、エレクトーンだけで演奏しているT-8,12,18.の3曲を興味深く聴きました。テンポが速く和音でリズムを刻み続けるT-8.「 プロミセス・プロミセス 」は弾くの大変だったと思いますし、エレクトーンによる忠実な原曲の再現に挑戦したT-18.「 自由への道 」は力作で且つ熱の入った演奏です。どちらもミスタッチが多くて一般リスナーにはレコメンドではないかも知れませんが、私としては超レコメンドです。→『 プレイ・バカラック 』

残り11曲は私もこのコンピ集で初めて聴きました。

T-17.「 何かいいことないか仔猫チャン 」を演奏しているスウィフト・ファイヴ・プラス・フォーは、ジャズギタリストで企画物のイージーリスニング・レコードを多く残している沢田駿吾をリーダーとするユニット。1966年(原曲の翌年)にシングル盤をリリースするとは! 原曲ベースのアレンジです。

T-1,5,10,20,の4曲を演奏しているレオン・ポップスは、石川皓也(名前はあきらと読むそう)がアレンジ&指揮をしたキングレコードのセッション・オーケストラ。T-1.「 サン・ホセへの道 」はボサ・リオ版ベース、T-5.「 エイプリル・フール 」はパーシー・フェイス版(日本のチャートで最高66位)を軸にディオンヌ版(同99位)も少し取り入れて、T-10.「 雨にぬれても 」はバカラックのインスト版ベース、T-20.「 遥かなる影 」はカーペンターズ版ベースのアレンジ。4曲ともステレオタイプなイージーリスニングの雰囲気です。

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T-9,14.の2曲を演奏しているスクリーン・ポップスは、匿名のレコーディング用オケ。収録元アルバムのジャケットにも表記ないですし(見開きジャケットの内面とレーベル面には表記あるようですが)。T-9.「 アルフィー 」はバカラック版のほぼコピー、T-14.「 リバティ・バランスを射った男 」はオリジナルのジーン・ピットニー版ベースのアレンジ。レオン・ポップスよりも更にステレオタイプなイージーリスニングです。

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布施明のT-19.「 今日、今、この時 」は、同日(1970/10/1)リリースのバカラック・カヴァーアルバム『 布施明がバカラックに会った時 』でもカヴァーした「 TO WAIT FOR LOVE(トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ)」の日本語詞版(訳詞:安井かずみ)。バックトラックはアルバムの英語詞版と同じ(ギターとドラムスがよく聴こえるなど楽器のバランスは若干異なる)。英語詞だろうと日本語詞だろうと、持ち前のハリのある美声は変わらず流石の歌唱です。

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T-4,7,13.は、つい先日(2024/10/4)お亡くなりになった名ジャズ・ドラマーの猪俣猛が1969年暮れに結成した猪俣猛とサウンド・リミテッドによるジャズ・ロックの演奏。T-4.「 去りし時を知って 」は比較的ノーマル。T-7.「 ボンド・ストリート 」はズンチャチャの原曲に対しズンチャチャとリズムが跳ねているのが特徴で、ギターのアドリヴも渋い。T-13.「 恋するメキシカン 」ではジャガジャ〜ンやギュイ〜ンといったギターがロックしてます。

日本人による'60年代後半〜'70年代前半のバカラック・カヴァーを集めたバカラック物コンピ集は他にもあります。
『 バカラック スタイル 』by 東芝EMI (1995年)
『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』by テイチク (1998年)
今回の記事を書きながら、ビクターやコロムビアあたりからも出ないかなぁ…と思った次第。是非お願いしたいところです。


【データ】
『 ラヴ・サウンズ・スタイル <バート・バカラック作品集> 』 英語タイトル『 Love Sounds Style BURT BACHARACH SONG BOOK 』
V.A.

CD:2014年6月18日リリース
レーベル:King Record (JP)
番号:KICS-3055

Produced, Compiled & Linernots:Takayuki Hamada 濱田 高志


This Compilation (P)2014 King Record Co., Ltd. Japan

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2024年12月 1日 (日)

If You Could Read My Mind/Cameron Carpenter(2014年)

米国のオルガン奏者、キャメロン・カーペンターが2014年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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全27トラック中、バカラック作品は1トラック

1. J.S. Bach / Cameron Carpenter: Cello Suite Elaboration (after Cello Suite No.1 in G major: Prelude)
2. Leonard Bernstein: Candide - Overture
3. Sergei Rachmaninov: Vocalise, Op. 34/14
4. Cameron Carpenter: Music For An Imaginary Film
5. Astor Piazolla: Oblivion
6-17. Marcel Dupré: Variations Sur Un Noël - pour grand orgue Op. 20
      Cameron Carpenter: Song Paraphrases
18. IF YOU COULD READ MY MIND (Gordon Lightfoot)
19. ALFIE (Burt Bacharach)  (3:01)
20. SISTER OF MERCY (Leonard Cohen)
21. PURE IMAGINATION (Anthony Newley & Leslie Bricusse)
22. BACK IN BABY'S ARMS (Bob Montgomery)
23-24. Alexander Scriabin: Piano Sonata #4 In F Sharp major, Op. 30
25-27. J.S. Bach: Organ Sonata #6 In G major, BWV 530

収録時間約78分



米国のオルガン奏者、キャメロン・カーペンターが2014年にリリースしたアルバムです。

キャメロン・カーペンターは、1981年ペンシルヴァニア生まれ。少年合唱団で歌っていた頃から作曲も始め、12歳でカンタータを作曲。ノースカロライナ芸術高校ではオルガンを学び、マーラーの交響曲第5番など100曲以上をオルガン用に編曲していたそう。2000年ジュリアード音楽院に進学後はさらに大規模な作品を作曲する傍らで膨大なピアノ作品をオルガンに編曲。卒業後はオルガニストとしてワールドツアーを敢行。2005年に最初のアルバムをリリース。有名オケとの共演も多数。超絶技巧とショーマンシップ、高度なオルガン奏法と編曲で知られるオルガニストなんだそう。(彼の公式サイト

─ これはキャメロン・カーペンターのインターナショナル・ツーリング・オルガンでのデビュー録音です。この楽器は、世界中の楽器からデジタル化された音を使用して、彼独自の仕様で製作されました。

「 私のビジョンは、クラシック・オルガンの最高の部分、つまり感情の豊かさ、音域、色彩豊かなドラマ性などを残しつつ、パイプ・オルガンの不動性、可動部分、コスト、制度性から解放することです。私は ‘アメリカン・クラシック’ 大聖堂オルガンを、その対極であるシアター・オルガンと組み合わせ、1つの楽器にしたいと思っています。それは、時には空気のように軽妙でリズムのない音になり、時には世界中のどのパイプオルガンよりもリズムが激しい音になります。」キャメロン・カーペンター ─ (CDケース裏より、ほぼグーグル先生訳で)

CDケーストレイの下には、件のインターナショナル・ツーリング・オルガン(International Touring Organ:略してITO)の写真が! ダース・ベイダーみたいな漆黒&精悍な佇まいに心が躍ります。
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このITO、Marshall & Ogletree Inc.という米国のオルガンビルダーがキャメロン・カーペンターの依頼により2013年に製作した Opus 8 というモデルです。メーカーサイトの Opus 8 紹介ページを読んでもなかなか理解できないのですが、キャメロン自身が説明しているように ‘アメリカン・クラシック’ 大聖堂オルガンを、その対極であるシアターオルガン(※)と組み合わせ、1つの楽器にしたもののようです。  (※)シアターオルガンはパイプオルガンの一種で、20世紀初頭にデザインされ、様々な音色と効果音や打楽器音などを発することができ、ワンマン・オーケストラとして映画館などに設置され無声映画の伴奏に使用されていた楽器。シアターオルガンによるバカラック・カヴァー集もあります(紹介記事はこちら)。

本アルバムの収録曲はクラシックからポップス系まで幅広いもの。クラシック曲で私が知ってるのはT-1.「 バッハの無伴奏チェロ組曲 」とT-2.「 バーンスタインの《キャンディード》序曲 」くらいでしょうか。他にラフマニノフやピアソラ、スクリャービンの曲も。一方、ポップス系の曲については5曲ほど取り上げています(T-18〜22.)。

んで、バカラック・カヴァーはT-19.「 アルフィー 」。パイプオルガンとシアターオルガン両方の音色が出せるITOの特徴をしっかり生かしたアレンジで、荘厳且つ煌びやか。冒頭では銅鑼のような音が、途中グロッケンの音色、アウトロでは鐘の音も聴こえます。音色がころころ変わるんですが、レジストチェンジ(音色切り替え)はエレクトーンみたいにシーケンス制御なのかな? 本当に素敵な演奏で、コレはぜひ生で聴いてみたいです。

ランニングシャツ姿(いや、タンクトップ姿ですね)で自己陶酔して弾いてるようなジャケ写を見て “バッタもん” じゃねーの?…と思った第一印象は、
聴いて180°変わりました。見た目で判断しちゃいけませんね、反省。

なお、YouTubeでフルアルバム聴くことができます。(→こちら


【データ】
『 If You Could Read My Mind 』
Cameron Carpenter

CD:2014年リリース
レーベル:Sony Classical (Europe)
番号:88883796892

Recording Producer:Philipp Nedel
Recording Engineer:Martin Kistner
Executive Producer:Michael Schetelich
Arranger:Cameron Carpenter (CD T-2,3,5,18-24)
Recorded November 26 to December 2, 2013 at Methuen Memorial Music Hall, Methuen, Massachusetts, USA on the International Touring Organ (Opus 8/2013) by Marshall & Ogletree
Total design by Cameron Carpenter

(P)&©️ 2014 Sony Music Entertainment.

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2024年11月10日 (日)

SENSIBILITY/Bill Cantos (2023年)

米国のキーボード奏者/歌手/ソングライター/プロデューサー、ビル・カントスが2023年にリリースしたアルバムです。バカラックのメロディに歌詞をつけた曲を1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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MP3 artwork

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所有CDジャケットの表/裏

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

3. BULL IN A CHINA SHOP (5:46)


米国のキーボード奏者/歌手/ソングライター/プロデューサー、ビル・カントスが2023年にリリースしたアルバムです。

バカラック爺の2014年来日公演でキーボードを担当し、何曲かはビルも歌っていたのを覚えています(→ライヴの感想@拙ブログ)。でも知ってるのはそれくらい…。仕様がないので、タワーレコードのサイトで紹介されていた “発売・販売元 提供資料” から引用します(但し、一部書式を拙ブログ仕様に置き換えています)。

─ 歌声、アレンジ、新曲、カヴァー、どれも最高! 大人ジャジーメロウな2024年作!

1995年に『 WHO ARE YOU(明日巡り逢う君)』でソロデビューしAOR好きや大人ジャジーなメロウもの好きに人気のシンガー・ソングライター、ヴォーカリスト、ピアニストのビル・カントスが2024年作をリリース! バート・バカラックやハーブ・アルパートのツアー・バンド・メンバーやレコーディングも行う彼の2024年作はジャズ、ポップス、ブラジル音楽の影響を融合させた魅惑的な音楽の旅。オリジナル曲に加え想像力豊かに見事なアレンジで驚かせるカヴァーを組み合わせたカントスならではのスタイルで期待に応えつつも時に心地よく予想を裏切ってくれます。本作には故バート・バカラックとジョニー・マンデルが作曲で、ハーブ・アルパートが演奏で、と関係の深いレジェンドも参加。乾いた質感の伸びやかな極上の歌声は、衰え知らずどころか深みを増した絶妙な節回しでリスナーを魅了すること間違いなし。ピアノを中心とした小気味よい大人ジャジーな演奏も最高過ぎ。モンキーズやビートルズのカバー・アレンジも素晴らしく鼻歌フンフンが止まりません♪ CDにはボーナス1曲入り。  ─ (発売・販売元 提供資料より)

文中 “2024作” とありますが、 2023年にMP3でリリースされていたのを知らなかったんでしょう。


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ジャケットを開くと、ハーブ・アルパート(上)、バカラック(下)との2ショット写真が!

バカラックの「 BOND STREET 」にビルと奥様のマリ・ファルコーニが歌詞を乗せた曲が T-3.「 BULL IN A CHINA SHOP 」。クレジットを見ると2023年にASCAPに登録されているので、カヴァーではなくバカラックとの共作曲ということになるんでしょう。タイトルを直訳すると「 陶器店の雄牛 」。ビルは公式サイトの "STORY BEHIND THE SONG" で次のように語っています。

─ BURT & THE BUCKET LIST:2011年から2019年末の最後のショーまでバートと一緒にツアーに参加できてとても楽しかったし、光栄でした。でも、マリと私が彼と曲を共同制作する方法があるのではないかとずっと考えていました。このアルバムの制作中に、彼のソロアルバムの曲「Bond Street」から、とても楽しいインストルメンタル曲という形でその機会が訪れました。
LYRIC INSPIRATION:私です。私は陶器店の牛です。何かにぶつかったり、落としたり、壊したりしたら、私はそれを見つけます。マリは「センシビリティ」の女の子です。エレガントで、ユニークで、クールです。私はこの男です。でも、歌詞の出来栄えは気に入っています。マリは Bond Street という言葉を歌詞に取り入れる方法さえ見つけました...
IT WAS SUPPOSED TO BE A REALLY SHORT SONG:トラックは、The Hideaway スタジオの Eric Astor と録音しました。私、ベースの Kevin Axt、ギターの Grant Geissman です。オリジナルの「 BOND STREET 」は 2 分ほどですが、少し遅くして、最後にずっと続くヴァンプを追加しました。3 人の間の素晴らしい対話になり、あまりに良かったのでフェードアウトするのに耐えられませんでした (後で Mike Shapiro がパーカッションを追加しました)。家に持ち帰って、たくさんの BGV をオーバーダビングしました。
DID HE LIKE IT?:既存のインストルメンタル曲を歌詞付きでリリースするには、作曲者の承認を得る必要があります。そこで、私たちは曲を完成させてバートに送りました。電話を受けたとき、自分がどこに立っていたか、はっきりと覚えています。あのしわがれた声で「うん、最高だ!」と言っていたのを。完成した曲をバートが聞いてくれて本当にうれしいですし、皆さんとシェアできることをとてもうれしく思っています。どうぞお楽しみください。  ─

歌詞を見ると、確かに Bond Street という言葉が出てきます(公式サイトの "SENSIBILITY credits and lyrics" を参照)。ズンチャチャリズムで♩≒208のオリジナルに対して、テンポは♩≒180でそこまで速くはないもののチャールストン風のリズムが原曲のユーモラスな感じをうまく表現しています。かっこいいしクールだし、ビル・カントスさすがです。3分過ぎで終わるかと思ったら、すんげぇ長いアウトロが約2分半同じノリのまま続きます。それぞれの楽器とビルが楽しく掛け合いしながら遊んでいるかのよう。なんか微笑ましいです。バカラック爺の承認もちゃんと貰えて良かった(じゃなきゃASCAPに登録なんて出来ないもんねー)。

カヴァー曲は他に、ジョニー・マンデルの曲にビルとマリが詞を付けてハーブ・アルパートがトランペットを吹いているT-5.「 LOVE, TO ME 」、ビートルズのT-8.「 THINGS WE SAID TODAY(今日の誓い)」、モンキーズのT-4.「 I'M A BELIEVER 」、ホール&オーツのT-6.「 KISS ON MY LIST 」などをセレクト。スタンダード曲では、T-11.「 FLY ME TO THE MOON 」やT-2.「 THIS CAN'T BE LOVE 」を取り上げています。アルバム全体はコンテンポラリー・ジャズ・ヴォーカル・アルバムでした。(YouTube


【データ】

『 SENSIBILITY 』
Bill Cantos

MP3:2023年7月21日リリース
LP:2024年4月19日リリース
CD:2024年4月26日リリース
レーベル:SLEEPY NIGHT RECORDS (US)
番号:MP3:- /LP:SNRV003/CD:SNRCD030

Produced and arranged by Mari Falcone and Bill Cantos
Recorded at The Hideaway, Reseda, CA (Eric Astor, engineer)
              GIC Productions, Glendale, CA (Bill Cantos, engineer)
              QnQ Studios, Manila, Philippines (Marvin Querido, engineer)
              Hussain Jiffry Studios, Tarzana, CA (Hussain Jiffry, engineer)
Mixed by Bill Schnee at Schnee Studios, Nashville, TN
    except T-12.「 I’ve Always Been Here 」, mixed by Carlos Gallardo-Candia

T-3.「 BULL IN A CHINA SHOP 」
  (music by Burt Bacharach; lyrics by Mari Falcone/Bill Cantos)
  ©2023 New Hidden Valley Music/Jolly Holiday Music/Jam Bar Music (ASCAP)
  piano/all vocals: Bill Cantos
  guitar: Grant Geissman
  bass: Kevin Axt
  additional percussion: Michael Shapiro

ちなみに、ギターの Grant Geissman は1999年にバカラックカヴァーアルバム『 BACHARACH! THE INSTRUMENTAL SIDE 』をリリースしています。

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2024年10月27日 (日)

LOUNGE-A-PALOOZA/V.A. (1997年)

1997年に米国でリリースされたラウンジ・ミュージックのコンピレーションCDです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (3:31)  〜 Fastball 〜


1997年に米国でリリースされたラウンジ・ミュージックのコンピレーションCDです。

─ モダン・ロックの先鋭からポップスの大御所まで、クセ者揃いのカクテル・パーティー。ラウンジ・ミュージックの未来がここにある⁉︎ ─ (同時期リリース日本盤CDの帯より)


ユル〜いラウンジ物を集めたのかと思ったら大違い。実際のところ、14組のアーティストによるいろんなジャンルのコンピでございました。オリジナルは2曲だけ(T-4,14.)ですがいずれもラウンジ成分多め。他はカヴァーで、T-1,9.はリメイク物でもありますね。'90年代のカヴァー(T-3,5.)もあるけど、エスキヴェルのT-1.「 ミニ・スカート 」、ゲッツ&ジルベルトのT-6.「 イパネマの娘 」、10ccのT-8.「 アイム・ノット・イン・ラヴ 」、グレン・キャンベルのT-9.「 ウィチタ・ラインマン 」、フランク・シナトラのT-10.「 ウィッチクラフト 」、キャプテン&テニールのT-11.「 愛ある限り 」、アンディ・ウィリアムスのT-12.「 恋はリズムに乗せて 」、サッシャ・ディステルのT-13.「 グッド・ライフ 」等'50〜'70年代のカヴァーが多いです。

そして、バカラック・カヴァーのT-2.「 ディス・ガイ 」。パフォーマンスしているファストボールは、1992年に結成された米国のオルタナ系ロック・バンド。オリジナルのハーブ・アルパートはシャッフルのリズムですが、彼らは力感ある8ビートでカヴァー。ところが途中からシャッフルに変化します。オリジナルをリスペクトしてのことなのかしらん? でもこのリズムの変化があることで2度美味しいです。ところどころハモるヴォーカルもエモいなぁ。好カヴァーかと。(YouTube


スティーヴ&エディ(スティーヴ・ローレンスとエディ・ゴーメのおしどり夫婦デュオ)が歌うT-5.「 ブラック・ホール・サン 」がしみじみするバラードでレコメンド。カサンドラ・ウィルソンのざらっとした歌唱が魅力のT-13.「 グッド・ライフ 」、そしてポップで多幸感あふれるベン・フォールズ・ファイヴによるT-3.「 SHE DON'T USE JELLY 」もレコメンドですねー。あのピチカート・ファイヴも参加していて、T-6.「 イパネマの娘 」をカヴァーしています。

ちなみに、本作をリリースしたHollywood Recordsは映画『 オースティン・パワーズ 』1作目のサントラも同じ1997年にリリースしています。本作のアーティストのうちEdwyn Collins(T-10.)とThe James Taylor Quartet(T-12.)は『 オースティン… 』サントラにも参加していますし、音楽的なつながりを感じるところです。


ここからはオマケ。MP3で所有しているバカラック・カヴァーをご紹介。
本作に参加しているベン・フォールズ・ファイヴは、バカラック・トリビュート・コンサート『 ONE AMAZING NIGHT 』(1998) に出演して「 雨にぬれても 」をカヴァーしていました。(YouTube
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バンド解散後はソロで活動しているベン・フォールズが、一昨日(2024/10/25)リリースしたホリデー・アルバム『 Sleigher 』で「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」(3:11) をカヴァー。オリジナルのPaul Evans版を紹介した記事でこの曲のカヴァーを類型化しましたが、その中ではグループB(ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス版が元ネタ)に当てはまりますね。イントロのアカペラも素敵だし、楽しい演奏です。メロディをちょっと変えて歌ってる点は気になりますが、好カヴァーでしょう。(YouTube


【データ】
『 LOUNGE-A-PALOOZA 』 (邦題:ラウンジ・ア・パルーザ)
V.A.




CD:1997年10月7日リリース (所有CDも同じ)
レーベル:Hollywood Records (US) (所有CDは、Hollywood Records (Europe))
番号:HR-62072-2 (所有CDは、162 072-2)

Executive Producers:Bill Forman, David Konjoyan, Rob Seidenberg
Mastered by:Stephen Marcussen at Precision Mastering
Creative Director:Dave Snow

T-2.「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU 」
(Burt Bacharach and Hal David)
Produced by Julian Raymond and Fastball for A Violent Society Productions
  Miles Zuniga:Guitar, Lead Vocals
  Tony Scalzo:Bass, Vocals
  Joey Shuffield:Drums
  Bennett Salvay:Keyboards
  The Magneto USA Chamber Orchestra:Strings, Orchestration
Recorded at The Hit Factory, NYC, NY and A&M Studios, Hollywood, CA

(P)1997 Hollywood Records
©️1997 Hollywood Records

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2024年10月20日 (日)

THE SONGS OF BURT BACHARACH/V.A. (2013年)

英国の'50〜'60年代再発専門レーベル Not Now Music が2013年にリリースした英国編集の60曲入りCD3枚組バカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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Disc 1
1. DON'T MAKE ME OVER  〜 Dionne Warwick 〜  F
2. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  〜 Gene Pitney 〜  M
3. Rosanne  〜 Burt Bacharach 〜
4. DON'T YOU BELIEVE IT  〜 Andy Williams 〜  M
5. UNINVITED DREAM  〜 Peggy Lee 〜  F
6. THE ANSWER TO EVERYTHING  〜 Del Shannon 〜  M
7. WAITING FOR CHARLIE (TO COME HOME)  〜 Jane Morgan 〜  F
8. MANPOWER  〜 The Exotics 〜  M
9. BOYS WERE MADE FOR GIRLS  〜 Everit Herter 〜  M
10. KEEP AWAY FROM OTHER GIRLS  〜 Helen Shapiro 〜  F
11. JOANIE'S FOREVER  〜 Buddy Clinton 〜  M
12. INDOOR SPORT  〜 Jo Stafford 〜  F
13. YOU'RE FOLLOWING ME  〜 Perry Como 〜  M
14. COME COMPLETELY TO ME  〜 Steve Rossi 〜  M
15. DON'T, UNLESS YOU LOVE ME  〜 Paul Hampton 〜  M
16. IN TIMES LIKE THESE  〜 Gene McDaniels 〜  M
17. THE MIRACLE OF ST. MARIE 〜 The Four Coins 〜 M
18. HEAVENLY  〜 Johnny Mathis 〜  M
19. ANY DAY NOW  〜 Chuck Jackson 〜  M
20. ONCE IN A BLUE MOON  〜 Nat 'King' Cole 〜

Disc 2
1. TOWER OF STRENGTH  〜 Gene McDaniels 〜  M
2. PLEASE STAY  〜 The Drifters 〜  M
3. DREAMIN' ALL THE TIME  〜 Jack Jones 〜  M
4. CRAZY TIMES  〜 Gene Vincent 〜  M
5. FEELIN' NO PAIN  〜 Paul Evans 〜  M
6. FAITHFULLY  〜 Johnny Mathis 〜  M
7. DEEPLY  〜 The Shepherd Sisters 〜  F
8. WITH OPEN ARMS  〜 Jane Morgan 〜  F
9. TAKE ME TO YOUR LADDER (I'LL SEE YOUR LEADER LATER)  〜 Buddy Clinton 〜  M
10. THESE DESPERATE HOURS  〜 Mel Tormé 〜  M
11. LOVE BANK  〜 Bob Manning 〜  M
12. HOW ABOUT  〜 Della Reese 〜  F
13. IT SEEMED SO RIGHT LAST NIGHT  〜 Mary Mayo 〜  F
14. TWO HOUR HONEYMOON  〜 Paul Hampton 〜  M
15. I'LL BRING ALONG MY BANJO  〜 Johnnie Ray 〜  M
16. YOU'RE ONLY YOUNG ONCE (Yeh Yeh Yeh)  〜 The Avons 〜  M
17. KEEP ME IN MIND  〜 Patti Page 〜  F
18. DREAM BIG  〜 Sonny James 〜  M
19. YOUR LIPS ARE WARMER THAN YOUR HEART  〜 Rosemary June 〜  F
20. IT'S LOVE THAT REALLY COUNTS (IN THE LONG RUN)  〜 The Shirelles 〜  F

Disc 3
1. MEXICAN DIVORCE  〜 The Drifters 〜  M
2. SOMEBODY ELSE'S SWEETHEART  〜 The Wanderers 〜  M
3. YOU DON'T HAVE TO BE A TOWER OF STRENGTH  〜 Gloria Lynne 〜  F
4. SITTIN' IN THE TREE HOUSE  〜 Marty Robbins 〜  M
5. LITTLE BETTY FALLING STAR  〜 Gene Pitney 〜  M
6. WRITE ME  〜 Paul Hampton 〜  M
7. THREE WHEELS ON MY WAGON  〜 Dick Van Dyke 〜  M
8. A GIRL LIKE YOU  〜 Larry Hall 〜  M
9. PICK UP THE PIECES  〜 Jack Jones 〜  M
10. CLOSE  〜 Keely Smith 〜  F
11. SATURDAY NIGHT IN TIAJUANA  〜 The Five Blobs 〜
12. THE BREAKING POINT  〜 Chuck Jackson 〜  M
13. BEAUTY ISN'T EVERYTHING  〜 June Valli 〜  F
14. OUT OF MY CONTINENTAL MIND (Live)  〜 Lena Horne 〜  F
15. I CRY MORE  〜 Alan Dale 〜  M
16. THIRTY MILES OF RAILROAD TRACK  〜 The Hammond Brothers 〜  M
17. CREAMS  〜 Paul Hampton 〜
18. Ten Thousand Years Ago  〜 Rusty Draper 〜  M
19. I SMILED YESTERDAY  〜 Dionne Warwick 〜  F
20. Searching Wind  〜 Burt Bacharach 〜

※ メイン・ボーカル入りの曲は、
F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間(Disc 1/2/3)約53分/約47分/約50分


英国の'50〜'60年代再発専門レーベル Not Now Music が2013年にリリースした英国編集の60曲入りCD3枚組バカラック物コンピ集です。

─ 永遠のヒットメーカー、バカラックの3枚組初期作品集:数多くのアーティスト達に楽曲を提供しヒット・ソングを生み出した永遠のヒットメーカー、バート・バカラック。彼が50〜60年代に手掛けた作品の数々を集めた豪華3枚組コレクション。ペギー・リー、ジョー・スタッフォード、ドリフターズ、ディオンヌ・ワーウィック他、豪華な顔触れによる全60曲を一挙収録! ─ (当時リリースされた日本盤の帯より)

日本盤の帯に書いてあるようにバカラックの “初期作品集” です。本作タイトル『 THE SONGS OF BURT BACHARACH 』だけを見てベスト盤かな?と誤解する人いるんじゃないですかねぇ。一般的に知られているヒット曲は皆無ですから、そういう意味でこの日本盤の帯は親切だと思います。それさえ分かっていれば、60曲で¥825(リリース翌月の2013年8月に新品で購入。証拠として…購入時の注文書 ↓ )というお値段はコスパ抜群かと。解説はバカラックのバイオ+初期キャリアの概説だけ( ↓ )とショボく同様コンセプトの他コンピ集とバッティングする曲も多いのですが…。今の円安下でもAmazonで新品が¥980(送料別)で購入できますょ。サブスク時代の今じゃあまり関係ないか😅。
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収録されているのはリリース年が'52〜'62年の曲。バカラック作品でレコーディングされたことが確認できている最初の音源であるナット・キング・コールのDisc1-20.「 ワンス・イン・ア・ブルー・ムーン 」から、ディオンヌ・ワーウィックのデビューシングル盤であるDisc3-19.「 昨日のほほえみ 」c/w Disc1-1.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」まで…。バカラックのキャリアのうちディオンヌ・ワーウィック登場までのコンピ集ということになります。バカラックが作曲していない2曲(Disc1-3.とDisc3-20.)とジェーン・モーガンのDisc1-7.「 ウェイティング・フォー・チャーリー 」を除く57曲は全てオリジナル・アーティストのバージョンばかり。以下、他のバカラック物
コンピ集(私が所有しているものに限りますが)に入ってない8曲を中心にコメントしていきます。

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<Disc1>
🔸ジョー・スタッフォードのDisc1-12.「 インドア・スポーツ 」。作詞は、Frederick K. Tobias。チャチャチャのリズムによるコミカル・ソングで、水泳、サッカー、ボクシング、ポロ、闘牛、野球、テニス、釣り、スキーの全てのプレー要件と、必要な屋内スポーツをリストアップしてるんだそう。訳わからん😅。バカラックはTobiasと他にも2曲共作したそうですが、世に出たのはこの曲だけだったそう。(YouTube
🔸ポール・ハンプトンのDisc1-15.「 ドント・アンレス・ユー・ラヴ・ミー 」。ポール・ハンプトンは作詞も担当しており、ズンチャチャ・リズムの凡庸な曲です。バカラックは彼と計4曲を共作。いずれも彼が歌唱していて、本コンピ集にも4曲全て収録されています。ハンプトンは俳優でもあったのですが、バカラックは “彼と一緒に書くのは大変だった” と述懐しています。(YouTube

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<Disc2>
🔸ポール・エヴァンスのDisc2-5.「 フィーリング・ノー・ペイン 」。作詞はBob Hilliard。3拍子の賑やかで楽しい曲で、エヴァンスは酔っ払って歌ってるかのよう。のちの「 何かいいことないか子猫チャン 」に雰囲気が似ています。なお、米国ではチャートと無縁でしたが、カナダチャートでは1962年8月に最高23位になったそう。(YouTube
🔸ジョニー・マティスのDisc2-6.「 フェイスフリー 」。作詞はSydney Shaw。以前ジョニー・マティスのバカラック・カヴァー集を紹介した際、この曲も取り上げています。(→ こちら)(YouTube
🔸バディ・クリントンのDisc2-9.「 テイク・ミー・トゥ・ユア・ラダー
 」。作詞はBob Hilliard。宇宙船の梯子を使って月に昇る?てなことを歌うズンチャチャ・リズムのコミカル・ソング。当時米国で人気のあったブライアン・ハイランドの「 ビキニスタイルのお嬢さん 」みたいな甲高い女性コーラスをイントロ初っ端からフィーチャーしています。(YouTube
🔸ジョニー・レイのDisc2-15.「 アイル・ブリング・アロング・マイ・バンジョー 」。作詞はNorman Gimbel。ジョニー・レイは'50年代に米国で人気のあった歌手。アップテンポなカントリー調の曲で、全編でバンジョーの音が聴こえます。(YouTube

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<Disc3>
🔸ポール・ハンプトンのDisc3-6.「 ライト・ミー 」。ポール・ハンプトンは作詞も担当。ゆったりした凡庸な曲です。(YouTube
🔸リナ・ホーンのDisc3-14.「 アウト・オブ・マイ・コンチネンタル・マインド 」。作詞はSydney Shaw。リナ・ホーンは'40年代から活躍する歌手で俳優さん(バカラック・カヴァーも3曲あります。→ こちら)。1961年にバカラックが彼女のために書き下ろした曲で、ビッグバンド+ストリングスというゴージャスな演奏をバックに軽快にシャウトしながら歌ういかにもジャズといった曲。バカラックらしさは皆無ですねー。ライヴ録音です。*他のバカラック物コンピ集にも入ってますが取り上げました。(YouTube
🔸ディオンヌ・ワーウィックのDisc3-19.「 昨日のほほえみ
 」。作詞はもちろんHal David。ディオンヌのデビューシングルA面曲です(B面はDisc1-1.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」)。ディオンヌのファースト・アルバムに収録していまして、以前の記事で紹介しています。(→ こちら)(YouTube

ここからはオマケ。所有MP3の中から、本コンピ集に収録されている曲の意外なカヴァーをご紹介!
まずはDisc1-12.「 インドア・スポーツ 」のカヴァーを。
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米国のジャズ/キャバレー歌手の Sandy Stewart(サンディ・スチュワート)が1961年にシングルA面でカヴァー (2:52) 。チャチャチャのリズムは変わらず、ホイッスル等の効果音を散りばたスポーツ寄りの演出が面白いです。(注)MP3は無くYouTubeで視聴
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大西洋を渡り、英国の歌手 Petula Clark(ペトゥラ・クラーク)が1961年にフランス語版「 Le Tu Sais Quoi 」(2:29) をフランスでリリース。EPおよびシングル(B面)がありました。フランス語だと英語よりコミカルに感じます。なぜでしょう?(YouTube
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ペトゥラ・クラーク版がヒットしたのか、フランス語版が1961年にフランスで
立て続けにカヴァーされます。①フランスの女性デュオ Betty Et Suzy(ベッティ&スージー)がEPの1曲としてカヴァー(2:35) 。二人のハモリ歌唱のバックでフルート2本のオブリガートもハモっていてほのぼのした雰囲気が良きです。(YouTube
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②フランスの女優/歌手 Doris Marnier(ドリス・マルニエ)がやはりEPの1曲としてカヴァー (2:18) 。コミカル度強めの歌唱、バックの軽やかなシロフォン、おどけたブラスの組み合わせがとっても楽しいです。(YouTube
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③フランスのラテンジャズ楽団 Pepe Luiz Et Son Orchestre がEPの1曲としてカヴァー (2:33) 。何かの試合の歓声をバックにイントロがスタートします。男女コーラスによるハモリ歌唱、ブラスが入ったオケ共にノリがよく、ライヴを聴いてるかのよう。(YouTube

続いて、Disc2-9.「 テイク・ミー・トゥ・ユア・ラダー 」のカヴァーを。
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イタリアの作曲家 Pino Donaggio(ピノ・ドナッジオ)が1963年にシングルA面でカヴァー (2:35) 。イタリア語詞で
曲名は「 La Scaletta 」… ストレートに “梯子” という意味。画像はスリーヴの表/裏で、表は歌詞の世界観を表現したイラスト(たぶん🤔)、裏の体育座りの男性が本人です。イントロ頭4小節にオリジナルにない可愛らしいフレーズが加わった以外、アレンジはオリジナルをほぼ完コピ。歌ってるのは本人なのかなぁ、よーわからん。(注)MP3は無くYouTubeで視聴


【データ】
『 THE SONGS OF BURT BACHARACH 』 (邦題:バート・バカラック・ソングブック)
V.A.

CD:2013年7月9日リリース
レーベル:Not Now Music (UK)
番号:NOT3CD117

<非バカラック曲>
Disc1-3. Mannung/Osser/Osser
Disc3-20. Young/Heyman

Sleeve notes by Helen Akitt
(P)&©️ 2013 Not Now Music Limited.
Distributed by Not Now Music Limited.
Made in The E.U

Amazonリンク

2024年10月 6日 (日)

Promises, Prayers, And Raindrops: Allyson Briggs Sings Burt Bacharach/Fleur Seule (2024年)

米国のレトロジャズバンド、Fleur Seule によるバカラック・カヴァー集です。(現時点でCD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. Trop'ns Fin Regen Oif Mein Kop (RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD) (feat. Julie Benko)
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
5. ONE LESS BELL TO ANSWER
6. ANYONE WHO HAD A HEART
7. UNINVITED DREAM
8. MY ROCK AND FOUNDATION
9. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
10. Wenn Ich Mir Was Wünschen Dürfte
11. CASINO ROYALE(インスト)
12. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
13. PROMISES, PROMISES
14. WALK ON BY
15. ALFIE
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
17. I SAY A LITTLE PRAYER
18. THE LOOK OF LOVE
19. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
20. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR

収録時間約67分



米国のレトロジャズバンド、Fleur Seule によるバカラック・カヴァー集です。

Fleur Seule(読み方よくわかりませんが、Google先生に倣って "フルール・スール" と呼びます)はマンハッタンのレトロジャズバンド。リード・ヴォーカルの Allyson Briggs(ア
リソン・ブリッグス)がバンド・リーダー。クラシックなシャンソン、ジャズスタンダード、スイング、ボサノバ、サルサなどをレパートリーとし、複数のパブレストラン等でハウスバンドを務めているそうです。会場や雰囲気に合わせて2〜15人でバンドを編成。2015年以降アルバムを6作リリースしており、本アルバムは7作目になります。(Fleur Seule 公式サイト→こちら

アリソン・ブリッグスは、歌手以外にナレーションやゲームのキャラクターの声の仕事もしていて、英語・仏語・独語・西語に堪能なんだそう。それらも含めて7ヶ国語で歌うことができるんだとか。才女ですねー。

本作は2024年7月にリリースされたんですが、フルール・スールは2023年2月8日バカラックの訃報のすぐ後、2月10日に「 小さな願い 」のライヴ映像をYouTubeにアップしていました。

調べてみると、フルール・スールは以前から "A Burt Bacharach Night" というライヴをやっていて、この動画はそのアーカイヴみたいなんです。その後2月13日にライヴのダイジェスト、3月5日に「 世界は愛を求めている 」、8月26日に「 恋するハート 」をアップ。衣装が同じなので同じライヴの動画と思われます。

そして今年に入り本アルバムをレコーディング。2024年4月6日にはレコーディング4日めの動画をアップしています。


本作には全20曲を収録。ピアノトリオ+トランペットをバックにアリソン・ブリッグスが歌っています。公式サイトのブログで彼女は本作への思いを熱く語っているのですが、セルフライナーノーツ的な内容でとても参考になりました(特に見慣れない曲について😅)。是非ご覧ください。

カヴァー定番曲がほとんどですが、見慣れない曲がいくつか…。
T-3.「 Trop'ns Fin Regen Oif Mein Kop 」は「 雨にぬれても 」のYiddish(イディッシュ語)版。イディッシュ語は、中世ドイツ語方言を基礎とし、もとは中欧・東欧系のユダヤ人が用い、現在はイスラエルをはじめ世界各地のユダヤ人によって使用されている言語だそう。フィーチャリング・シンガーのブロードウェイ女優 Julie Benko がユダヤ人だから…のチョイスでしょうね。最初はソロで、途中から2人になりユニゾン→ハモリ→掛け合いになるオシャレなカヴァーです。
T-7.「 UNINVITED DREAM(アンインヴァイテッド・ドリーム)」はペギー・リーがオリジナル。1957年のシングルA面曲で、作詞は Sammy Gallop(サミー・ギャロップ)。バカラックの"バ"の字もないジャズの標準的なスタイルの曲です。ペギー・リーも彼女が尊敬する歌手で、ペギー・リーとバカラックの繋がりを調べる中でこの曲を発見したそう。王道のジャズ・バラードをきっちりパフォーマンスしています。
T-8.「 MY ROCK AND FOUNDATION 」もペギー・リーがオリジナルで、1971年のアルバム『 Where Did They Go 』収録曲(過去にコンピ集で紹介)。超レア曲で、彼女もブログにこの曲初めてのカヴァーだと書いてました。私もこの曲のカヴァーは初めて聴きました〜。オリジナルよりシンプルですね。
T-10.「 Wenn Ich Mir Was Wünschen Dürfte 」はバカラック作品ではありません。彼女のブログに詳しいですが、バカラックがマレーネ・ディートリッヒの音楽監督をしていた頃にアレンジした Friedrich Holländer の曲とのこと。ディートリッヒとバカラックに敬意を表し、この曲をチョイスしたそう。ドイツ語で歌っています。

─ オリジナルの曲の完全性を維持したかった ─ とアリソン・ブリッグスがブログで書いてるように、ピアノトリオ+トランペットという編成で原曲(オリジナル or 有名なバージョン)のテイストを表現する…そんなコンセプト。派手なアドリヴも少なくしっかりシンガーを立てていますね。彼女の歌唱は原曲を模倣することはせず、かといって尖った自己主張をするわけでもなく、咀嚼した上で心を込めて伸びやかに歌っているように感じます。 ─ アレンジの複雑さ、ハル・デイヴィッドの歌詞の深さを強調し、スタジオオーケストラであろうと小さなコンボであろうと、これらの曲をどのように楽しむことができるかを示したかったのです。  ─ 彼女の思いが十分感じられる、そんな落ち着いた大人のバカラック集かと。

後半熱くなるT-4.「 世界は愛を求めている 」、レアなカヴァーT-8.「 MY ROCK AND FOUNDATION 」、エモーショナルな歌唱のT-14.「 ウォーク・オン・バイ 」、かなりジャズしているT-15.「 アルフィー 」、後半盛り上がるT-17.「 小さな願い 」、アドリヴが素敵なT-18.「 恋の面影 」あたりがレコメンドかな。

アルバム全曲、YouTubeで聴くことができます。→ こちら
また、アルバムリリース直前7月9日のリリース記念ライヴからも現時点で3曲聴くことができます。「 愛の思い出(愛のウェイトリフティング)」「 MY ROCK AND FOUNDATION 」「 恋よ、さようなら 」
※ 2024/10/11追記:For Your Consideration in Best Traditional Pop Vocal Album this Grammy®︎ voting season … と称して約4分半の宣伝動画をUPしています。内容は、レコーディング風景を中心にバンドメンバーのコメントも。→ こちら


ここからはオマケです。
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フルール・スールは2020年にも「 CLOSE TO YOU(遙かなる影)」(4:15) をカヴァーしてシングル・リリースしています。本作とキーは同じでバックの編成(ピアノトリオ+トランペット)やテイストも同じですが、テンポは本作(♩≒96)よりゆったりしています(♩≒84)。彼女の歌唱もより自然に感じられて、私は2020年版の方が好みですねー。


【データ】
『 Promises, Prayers, And Raindrops: Allyson Briggs Sings Burt Bacharach 』
Fleur Seule

MP3:2024年7月12日リリース
レーベル:Algos Music (US)
番号:?

Allyson Briggs, serving as bandleader and star vocalist
music director Andy Warren on trumpet
James Navan and Jason Yeager on piano
Michael O'Brien on bass
Shareef Taher and Peter Traunmueller on drums
Broadway luminary Julie Benko (Funny Girl, Harmony) as guest vocalist (T-3.)

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2024年9月29日 (日)

SOUL/Lena Horne (1966年)

米国のポピュラー・シンガーで俳優のリナ・ホーンが1966年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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Original LP front cover/back cover
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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW (2:26)


米国のポピュラー・シンガーで俳優のリナ・ホーンが1966年にリリースしたアルバムです。尚、彼女のファーストネームは "レナ"・"リナ" 二通りの表記がありますが、Lena は英語では "リーナ" のように発音されるそうで
拙ブログでは "リナ" と表記いたします。

彼女は1917年ブルックリン生まれ(2010年没、享年92歳)。1933年にコットンクラブの舞台に立ち、1938年のミュージカル映画でジャズ歌手としてデビュー。彼女の父親が白人とのハーフだったために黒人(アフリカン・アメリカン)にしては色が薄かったため、白人からだけでなく黒人からも差別を受けたそうです。しかし、その美しさゆえハリウッドからも声がかかり、1940年代以降、映画やミュージカルなどで大活躍しました。公民権運動にも積極的に参加したことからブラック・リストに載り、アメリカ国内での活動が制限され活動の本拠をヨーロッパに移した時期も…。'50年代からコンスタントにアルバムを発表する傍らテレビなどに出演するようになり、その後映画にも復帰。2000年頃まで活躍しました。

本作は、1965年に United Artists レーベルに移籍した後にリリースした3作目にあたります。裏ジャケのライナーノーツにはこう書かれています。長いですがせっかくなので全文引用します。Google先生の訳で、どーぞ。

─ 「 ソウル 」という言葉は、最近、ポピュラー音楽の世界で最も頻繁に使われる名詞や形容詞の 1 つになっています。この言葉は、最近、さまざまなタイプの歌手に当てはめられ、時には誤って当てはめられ、その意味は混乱しています。しかし、長年にわたり、魂を込めて歌い続けてきた偉大な女性がいることを否定する人はほとんどいません。もちろん、彼女は比類のないリナ・ホーンです。
 これは、素晴らしいリナがユナイテッド アーティスツ レコードのために作った 3 枚目のアルバムです。最初は『 Feelin' Good 』、次は『 Lena In Hollywood 』でしたが、この 2 つの優れたコレクションに対する反響は衝撃的で、批評家もファンも、このボーカリストの女王がここまで最高の歌声を披露したことは一度もないと同意しました。ホーンの興奮、ホーンの活力、ホーンのスタイルは、まさに今、最高潮に達しています。
 そして、シンプルかつ適切に『 SOUL 』と名付けられたこのコレクションは、まさに最高峰です。これは、これまで聞いたことのないリナでもあります。
 曲は、おなじみの愛すべき「 THE OLD MILL STREAM 」を除いて、比較的最近のもので、この不朽の名曲は、ラ・リナの素晴らしい演奏によって、二度と同じ音には聞こえなくなるでしょう。『 SOUL 』には、トップ 10 入りした曲、リズム&ブルースの曲、カントリーの名曲、ゴスペル風の演奏、そして、おまけに素晴らしい新曲がいくつか収録されています。これらは、リナ・ホーンの演奏でもめったに見られない自由さと活気をもって演奏されており、特に注目すべきは、今日の音楽的背景であり、実際には明日の音楽的背景でもあるということです。
 ここに、唯一無二のリナ・ホーンがいます。ここに『 SOUL 』があります。エンターテインメント界の真の偉人の一人の芸術性を、まったく新しい設定、目もくらむほど新しく、スリリングなほど現代的に表現しています。『 SOUL 』は、リナがなぜ時代の伝説なのかを鮮明に示しています。実際、リナは時代の先を進んでおり、これからもそうあり続けることを示しています。リナはスターです。リナはスターです。リナは『 SOUL 』です。  ─

ビッグバンド+ストリングスというゴージャスな編成とリッチなアレンジの演奏をバックに、ソウルフルで自在な表現力を発揮した歌唱は素晴らしいの一言。彼女の全盛期がいつなのか私は知らないのですが、リリース時49歳のこのアルバムがそうだと言われても納得しちゃいます。粘っこいT-5.「 アンチェインド・メロディー 」、スローで艶やかなT-8.「 蜜の味 」…よく知ってるこの2曲もステレオタイプじゃないアレンジと相まっていずれもグイグイ聴かせます。

前置きが長くなっちゃいました😜。さて、バカラック・カヴァーはT-4.「 世界は愛を求めている 」。オリジナルの1965年ジャッキー・デシャノン版(♩≒108)よりゆったり目(♩≒98)且つ半音低いキー。ジャッキー版同様3拍子ですが、8小節あるイントロではトロンボーンやブラスがオリジナルには無いオブリガートを吹き、只者じゃない雰囲気が漂います。僅かに細かいビブラートが効いたリナの歌唱も、重厚というか貫禄があるというか…。ジャッキー版が「 世界には愛が必要なの、ね 」なら、リナ版は「 世界にゃ愛がいるんじゃ、わかっとんのかい 」てな感じ。いや、そりゃ言い過ぎか…😅。

ここからはオマケ。MP3で所有しているリナ・ホーンのバカラック・カヴァーをご紹介。
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リナ・ホーンは『 SOUL 』の次にリリースした『 Lena In Hollywood 』(1966年)で「 WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち)」(2:10) をカヴァー。映画関係の曲をカヴァーしたアルバムのようで、ビッグバンド+ストリングスの優雅且つゴージャスな演奏をバックに、肩の力を抜いて軽やかに歌っています。
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1970年には Lena Horne & Gabor Szabo 名義のアルバム『 Lena & Gabor 』で「 MESSAGE TO MICHAEL(マイケルへのメッセージ)」(3:14) をカヴァー。ガボール・ザボはジャズ系のギタリスト。ドラムス、Eベース、オルガン、ギターという編成で、オルガンのリチャード・ティー、ギターのコーネル・デュプリーとエリック・ゲイルはのちにフュージョンバンド Stuff を結成する面々。♩≒82〜85のゆったりしたテンポ、ゴスペルファンク的なリズム、ソウルジャズのクールなサウンドをバックにリナは情感込めて歌っています。1998年に Varèse Vintage から出たコンピ集『 the burt bacharach songbook 』で聴いた時は余り印象に残らず。でも今聴いたらイイんですよねー。

他にバカラックがリナ・ホーンに書き下ろした曲もあるのですが、未紹介のバカラック物コンピ集に入っておりまして…。いずれ紹介いたします。2024/10/23 追記:こちらのコンピ集で取り上げました。


【データ】
『 SOUL 』
Lena Horne

LP:1966年リリース (所有リイシューCDは、1996年リリース)
レーベル:United Artists (US) (所有リイシューCDは、EMI(UK))
番号:UAL 3496/UAS 6496 (所有リイシューCDは、7243 8 37393 2 5)

All tracks arranged, conducted and produced by Ray Ellis

Amazonリンク(1996年リイシューCD)(2007年リイシューCD ボーナストラック入り全18曲

2024年9月22日 (日)

Burt Bacharach Re (Imagined)/The Anya Audette (2024年)

The Anya Audette(アニヤ・オーデット)が2024年9月にリリースしたバカラック・カヴァー集です。(デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. CHECK OUT TIME
3. ODDS AND ENDS
4. DON'T MAKE ME OVER
5. THE LOOK OF LOVE
6. ALFIE
7. A LIFETIME OF LONELINESS
8. WALK ON BY
9. ON MY OWN  (feat. Jarreau Williams)
10. ANYONE WHO HAD A HEART
11. ANYONE WHO HAD A HEART  (Dance Version)
12. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF
13. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
14. I SAY A LITTLE PRAYER

収録時間約46分


The Anya Audette(アニヤ・オーデット)が2024年9月にリリースしたバカラック・カヴァー集です。ただし、ネット上では theanyasudette という表記でアップされています。"the"がついているのでプロジェクトの名称みたいですが本記事では"彼女"と呼ぶことにします。

彼女は米国メリーランド州ボルチモア生まれ(生年不詳)。Anya Randall Nebel の名で40年以上にわたり演劇界で活躍(パフォーマー、監督、プロデューサー)してきた方だそう。一方で、2017年にバークレー音楽学校を卒業して Music Production and Engineering の学位を取得。2023年12月に6曲入りのEP『 Random 』をリリースします。ジャンルとしてはテクノ系のダンスミュージックでその内1曲が「 ANYONE WHO HAD A HEART 」でした。

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画像は彼女の公式サイト(1番目、2番目)とインスタ(3番目)から拾いました。インスタはごく最近の投稿から。

先行して数曲をシングル・リリースしたのち、本アルバム『 Burt Bacharach Re (Imagined) 』を2024年9月12日にリリース! リリースの2日前、彼女は自身の Linkedin で本アルバムについて次のように語っています。熱意を感じますね〜。

─ 1年前、私はコンセプトと夢を持ってBlue Room Productionsで旅に乗り出しました-自分のアルバムを制作してレコーディングします。その仕事は愛の労働であり、私は世界に与えたいと願う影響を信じられないほど誇りに思っています。私の目標はスターになることではなく、本当に素晴らしいものを共有することを目指しています。音楽は私の人生のサウンドトラックであり、ストーリーテリングの芸術をその核心にすることで存在をナビゲートすることができます。ステージでの40年以上の経験により、このプロジェクトは、常に私の中に宿っている新しいレベルの創造性と情熱のロックを解除しました。今年9月12日にすべてのプラットフォームでリリースされる予定のアルバムは、特に女性にとって再発明の力の証です。これは、私たち全員が独自の物語を進化させ、作成する権利があることを思い出させるものです。  ─ (彼女の Linkedin 2024/9/10投稿全文、Googleの機械訳で)

本アルバムの14曲全てバカラック作品のカヴァー。取り上げたのは、T-9.「 オン・マイ・オウン 」(作詞:キャロル・ベイヤー・セイガー)を除いてハル・デイヴィッドと共作した1960年代〜1970年の曲。以下、簡単に各曲に触れていきます。尚、リンク先は拙ブログ記事です。

T-1.「 サン・ホセへの道 」はディオンヌ・ワーウィックが歌って全米10位になったお馴染みの曲(1968年のアルバム『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』収録)。ディオンヌ版をベースにポップでふんわりしたアレンジにしたは良いのですが、彼女の歌声はちょいと高い音域で苦しげ。オリジナルと同じキーにはせず、キーを下げても良かったかも。
T-2.「 チェック・アウト・タイム 」のオリジナルもディオンヌ(1970年のアルバム『 VERY DIONNE 』収録曲)。この曲のカヴァーに初めて出会えて、ムチャクチャ嬉しいっす。キーは原曲と同じでテンポもほぼ同じ。アレンジはオリジナルをリスペクトしたもので雰囲気は出ていますし、言葉を噛み締めるように丁寧に歌う彼女の真摯な姿勢もいいですね。トランペットの特徴的なオブリガートを
シンセで演奏しているのですが、このトランペット音色がかなりチープなのが惜しいところ。でも、こんな超レア曲をチョイスした彼女のバカラック愛に敬意を表します。
T-3.「 オッズ・アンド・エンズ 」もディオンヌがオリジナル(1969年のシングル曲で全米43位。拙ブログではこちらで紹介)。キー、テンポ共に原曲と同じ。アレンジはオリジナルをリスペクトしたもので、コピーと言ってもいいくらい。歌声も味わいがあります。
T-4.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」はディオンヌのデビュー曲(1963年のアルバム『 PRESENTING DIONNE WARWICK 』収録)。この曲を彼女はダンス・チューンとしてカヴァー。メロディを適度にフェイクして歌っていてカッコイイです。
T-5.「 恋のおもかげ 」はダスティ・スプリングフィールドがオリジナル(1967年のサントラ『 CASINO ROYALE 』収録)。サントラ版ではなくダスティ自身のアルバム収録版(短縮バージョン)をベースとしたアレンジ。彼女の歌声は若干ハスキーでダスティと似ていることもあって違和感なく馴染んで聴こえます。
T-6.「 アルフィー 」はシラ・ブラックがオリジナル(1966年の英映画『 アルフィー 』宣伝用イメージソングで全英9位。拙ブログではこちらで紹介)。シラ版と同じキー、同じテンポで、アレンジもシラ版をリスペクトしたものです。
T-7.「 ア・ライフタイム・オブ・ロンリネス 」はスティーヴ・アライモがオリジナル(1963年)ですが、有名なのはジャッキー・デシャノンのカヴァー(拙ブログではこちらでちょろっと紹介)。ジャッキー版をリスペクトしたアレンジで、キーもテンポも同じ。歌声もジャッキーに寄せて歌っています。

T-8.「 ウォーク・オン・バイ 」はディオンヌがオリジナル(全米6位。1964年のアルバム『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』収録)。彼女はコンテンポラリーでクールなダンスチューンにアレンジ。そういうアレンジなら声にもう少し勢いがあるといいなぁと思います。
T-9.「 オン・マイ・オウン 」はパティ・ラベル&マイケル・マクドナルドの全米1位曲(1986年のアルバム『 WINNER IN YOU 』収録)。キー&テンポ含めてオリジナルに忠実なアレンジで、R&B系の男性シンガー Jarreau Williams とデュエット。でもなんかコピー感が強いです。
T-10.「 恋するハート 」はディオンヌがオリジナル(全米8位。1964年のアルバム『 ANYONE WHO HAD A HEART 』収録)。ディオンヌ版の世界観をキーやテンポは同じままコンテンポラリーなアレンジで表現。後半ではラップも加わります。彼女の声ではなさそうですが。
T-11.「 恋するハート 」は同じ曲のダンス・ヴァージョンで、前述したEP『 Random 』に収録されていたもの。思いっきりユーロビート系?のダンスチューンに仕上げていてメロディもぶっとんでます。原曲の面影は薄いですがこれはこれでカッコイイですねー。
T-12.「 恋のとまどい 」はトミー・ハントがオリジナル(1962年)ですが、有名なのはダスティ・スプリングフィールドのカヴァー(1964年に全英3位。こちらで少し触れてます)。しかし、彼女のカヴァーはディオンヌ版(1966年のアルバム『 HERE WHERE THERE IS LOVE 』収録)を忠実に再現したもの。当時の若いディオンヌと比べて高音域の歌声のハリがイマイチかなぁ。
T-13.「 愛の思い出 」はトミー・ハントがオリジナル(1964年)ですが、なんと言っても同年全英1位になったサンディ
・ショウのカヴァーが有名で、ディオンヌもカヴァー(1967年のアルバム『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』収録)。彼女はダンスミュージックにアレンジしていますね〜。この曲がこんなにカッコ良くなるとは!
T-14.「 小さな願い 」はディオンヌがオリジナル(全米4位。これも1967年のアルバム『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』収録)。世間的にはアレサ・フランクリンのカヴァーの方が人気ありますが(こちら参照)。彼女はアレサ版をベースとしてダンス・チューンにカヴァーしています。

半数の7曲(T-2,3,5,6,7,9,12)がオリジナル或いは有名なカヴァーをリスペクトしたもの、5曲(T-4,8,10,13,14)がダンス・チューン、1曲(T-1)がポップ・チューン、1曲(T-11)がぶっとんだカヴァー。
バックトラックのクオリティは正直イマイチではあるものの、彼女のバカラック愛が十分伝わってくるカヴァー集だと思います。個人的なレコメンドは、T-2,3,4,11,13 あたりです!

参考までに、本アルバムに関するネット記事をいくつか貼っておきます。インタビュー記事1本①とアルバム紹介記事3本②③④です。アルバム紹介記事はけっこう似通ってますけれど…。
Burt Bacharach-Dionne Warwick Tribute Album – The Anya Audette
Legendary Artist TheAnyaAudette Revives Burt Bacharach’s Genius in “Burt Bacharach Re (Imagined)”
Visionary and Bold: TheAnyaAudette’s Tribute in “Burt Bacharach Re (Imagined)” is Mesmerizing
A Masterpiece Reborn: TheAnyaAudette’s “Burt Bacharach Re (Imagined)” Will Leave You Speechless


【データ】
『 Burt Bacharach Re (Imagined) 』
The Anya Audette(ネットでの表記は theanyaaudette)

MP3:2024年9月12日リリース
レーベル:HARDYGIRL1966 (US)
番号:?

詳細なクレジットは不明

Amazonリンク(MP3

2024年9月15日 (日)

I Who Have Nothing/Tom Jones (1970年)

トム・ジョーンズが1970年にリリースしたスタジオ録音アルバムです。今年ちょっと話題になったバカラック・カヴァー1曲を収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

B2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:39)


トム・ジョーンズが1970年にリリースしたスタジオ録音アルバムです。

トム・ジョーンズは1940年英国南ウェールズ生まれの男性ポップシンガー。バカラック曲「 WHAT'S NEW PUSSYCAT?(何かいいことないか子猫チャン)」、「 PROMISE HER ANYTHING(プロミス・ハー・エニシング)」、「 US(アス)」のオリジナル・アーティストでもあります(これらの曲はバカラック物コンピ集にもよく取り上げられています)。2006年には大英帝国ナイト位を授与されました。所謂 “サー” の称号付きで呼ばれるわけですね、すげー。

本作は『 Tom 』(1970年4月リリース、UK#4)に続けて同年11月にリリースされました。1967年以降のアルバムが全てUKチャートで1桁順位だったのに対して、本作はUKチャート10位。彼独特のダイナミックな歌唱は健在だしノリの良い曲(A4,B6)もありますが、バラードタイプの曲(A2,A3,A5,B1,B5)も多くて全体的に大人しめな印象です。ジャケット裏面には、赤いドラゴン(ウェールズ国旗の中央に描かれている竜ですよね)、
“WALES” LAND OF SONG... This is my homeland; where I was born and raised のコピー、ウェールズと思しき丘陵地を背に佇むトムの写真…。出身地のウェールズに想いを馳せて感傷的になってそういう曲が多くなったのかしらん。(知らんけど)
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んで、バカラック・カヴァーはB2.「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(当時の日本盤の邦題:愛を求めて)」。歌い出しはイントロなしでアウフタクト2拍をゆったりと。オリジナルと同じ3拍子でテンポは♩≒118。バックはビッグバンド+ストリングスのゴージャスなサウンド。トム・ジョーンズは最初は抑えめに歌っていますが、ラストサビでは彼らしいシャウトを聴かせます。いいですねぇ〜、
レコメンドでございます。公式動画がありましたので貼っておきます。


当時トム・ジョーンズはテレビ番組『 This is Tom Jones TV Show 』(1969〜1971年)のホストを務めていました。その番組で、1969年にサミー・デイヴィスJr.とこの曲をデュエットしています。エンディングが少し違っていてテンポも僅かに遅いですが、本アルバムのバージョンと基本的にバックの演奏は同じ。シャウトの掛け合いが素晴らしいです。これも公式動画を貼っておきます。


そして、今年ちょっと話題になったのが…。来月(2024年10月)公開となる映画『 Joker: Folie à Deux(ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ)』。今年4月10日リリースの特報トレーラーにトム・ジョーンズの歌う「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 」が使われていたんです(ワーナー公式サイトのNEWS参照。特報トレーラーも視聴できます)。じっくり聴いてみると、デュエット版からサミー・デイヴィスJr.の冒頭の歌声が、本アルバムのトム・ジョーンズ版からラストサビの2フレーズ目の歌声が使われているようです。バックの演奏はとても重厚ですし、ゆったりしたインスト部分の美しさも際立っていますね〜。映画本編でも使われるのか、フォローしたいと思います。


ここからはオマケ。MP3で所有しているトム・ジョーンズのバカラック・カヴァーをご紹介。
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トム・ジョーンズは1967年のアルバム『 Green, Green Grass Of Home 』〜 ただし、Decca盤(UK)には収録されておらず、Parrot盤(US)のみ収録 〜 で「 ANY DAY NOW 」(2:54)をカヴァー。こういう曲にトム・ジョーンズの歌い方は相性いいですね。後半でのシャウトもハマっています。補足:1966年フランスでリリースした4曲入りEP『 What A Party 』のA面2曲目が初出の模様。
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同じく1967年リリースのアルバム『 13 Smash Hits 』で「 I WAKE UP CRYING 」(2:19)をカヴァー。それほど特徴はなくオーソドックスな仕上がり。もちろんトム・ジョーンズの歌唱はパワフルですけれど。
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ついでにライヴ盤も。1967年の『 Tom Jones Live! At The Talk Of The Town 』で「 WHAT'S NEW PUSSYCAT? 」(2:14)を歌唱。イントロで何やらおどけてるみたいですがよくわかりません。ライヴはやっぱり映像が欲しいですな。楽しく歌ってるのは伝わってきますけど。


【データ】
『 I Who Have Nothing 』(邦題:アイ)
Tom Jones

LP:1970年11月リリース
レーベル:Decca (UK)
番号:SKL 5072

詳細クレジット不明

Amazonリンク(MP3)(1998年リイシューCD 2 in 1

2024年8月25日 (日)

The Sound Of Bacharach/Messias (1969年)

ブラジルのギタリスト、メシアスが1969年にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

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A1. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
A2. A HOUSE IS NOT A HOME
A3. I SAY A LITTLE PRAYER
A4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A6. THE BEGINNING OF LONELINESS
B1. THE LOOK OF LOVE
B2. ALFIE
B3. THE WINDOWS OF THE WORLD
B4. WHO IS GONNA LOVE ME
B5. PROMISES, PROMISES
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約36分


ブラジルのギタリスト、メシアスが1969年にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

─ ブラジルのギタリスト。1941年にジャカレジーニョで生まれました。6歳の時、メシアスは父親(ギター教師、パーカッショニスト)から音楽理論とドラムを学びました。約3年間、彼はギタリストと歌手として、Cry Babiesというダンスミュージックグループに参加しました。その後、サンパウロに移り、地元のナイトクラブで演奏して徐々に非常に人気になります。
彼は1964年にContinentalと契約し、最初の7"EP『 Sem Bossa 』をリリース。その後、RCAブラジルから最初のLP『 Messias E A Musica De Chico Buarque De Hollanda 』をリリースしました。彼のフルネームはMessias Santos Jr.で、フルネーム名義では主に作曲家/アレンジャーとして活躍しました。彼は1985年に自動車事故で亡くなりました。 ─ (Discogsより)

メシアスに関する情報は殆ど無く、Discogsに載ってるMessias (4)のプロフィールをそのまま引用しました。悪しからず。

ブラジルのギタリストということでジャズボッサあるいはラテンジャズ的なテイストを期待したのですが、ちょっと期待はずれでした。まぁ、ジャケットの表面が当時のバカラックの写真をパクったものという時点で胡散臭いし(ジャケット裏面はギターを爪弾いてるメシアスですが)、ミュージシャンのクレジットも無く、曲目リストにしたってトラック順ではなく曲名の長い順に並べてるだけですから。全くフザケてます😡。

因みに表ジャケのバカラックはこちらの写真の左側をトリミングしたものですねー。無断使用した疑いが濃厚です…。
Embed from Getty Images

んで、聴いてみたらイージーリスニングでした…。編成はギター、ベース、ドラムス、オルガン、ピアノ、フルート/サックス、トランペット。アレンジはディオンヌ・ワーウィックやバカラックのセルフカヴァーなどのバージョンをベースとしたものが多く、あまり気を衒った感じは無く無難な印象。特徴は、ギターが主メロを多く奏でていることと、オルガンと管楽器が活躍していて若干ソウルジャズ的な雰囲気があるところでしょうか(薄いですけどね)。

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とりわけこれはレコメンド!という曲はありませんが、B1.「 アルフィー 」はバカラックバージョンをベースとしたアレンジで、ギターとフルートとトランペットのバランスが良く(特にフルートとトランペットがユニゾンや掛け合いでメロディを吹く場面)準レコメンドといったところ。それから、A6.「 ザ・ビギニング・オブ・ロンリネス(孤独を知って)」はオリジナルのディオンヌ・ワーウィック(1967年3月にシングルA面でリリース、全米79位)以外にカヴァーを聴いた事がない超レア曲で、これは嬉しいですねー。それと、カヴァーが少ない上にあの山下達郎氏が全バカラック作品の中でとりわけ好きな曲だというB4.「 フー・イズ・ゴナ・ラヴ・ミー(誰が私を)」(これもディオンヌがオリジナルで1968年8月にシングルA面リリース、全米33位)を取り上げてる点も評価できるかな。

以上、あまりの暑さに脳みそが溶けてしまい、やっとこさブログを更新したあるでおでした。


【データ】
『 The Sound Of Bacharach 』
Messias

LP:1969年リリース
レーベル:RCA Victor (Brazil)
番号:BBL-1490

Artistic production:ramalho nato & wilson miranda
Arrangements and conductor:francisco morais

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年8月 4日 (日)

Sings & Loves Burt Bacharach/Stephy Haik (2024年)

フランス系アメリカ人のボーカリスト、ステフィー・ハイクが2024年にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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全14トラック中、バカラック作品は13トラック

1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
2. WALK ON BY
3. TRAINS AND BOATS AND PLANES
4. I SAY A LITTLE PRAYER
5. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
6. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
7. MY LITTLE RED BOOK
8. THE WINDOWS OF THE WORLD
9. GOD GIVE ME STRENGTH
10. WIVES AND LOVERS
11. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
12. DON'T MAKE ME OVER
13. 無音トラック (0:04)
14. A HOUSE IS NOT A HOME

収録時間約58分


フランス系アメリカ人のボーカリスト、ステフィー・ハイクが2024年7月下旬にリリースしたばかりのバカラック・カヴァー集です!

最初に言っておきます。本アルバムはガチでレコメンドです。ジャズに抵抗がない方であれば断然オススメいたします。

ステフィー・ハイクはニューヨークで育ち、幼い頃から音楽とともに育ちました。彼女は有名な舞台芸術高校「フェイム」で学び、その後マンハッタン音楽学校で学びました。彼女の官能的なトーン、大胆なスウィング、そして素晴らしい歌いやすさは、最も権威あるミュージシャンを魅了してきました…。彼女の公式サイトではそう紹介されています。ニューヨークとパリを中心に活動している様です。そして、彼女の最新プロジェクトがBurt Bacharach Project。当初は2020年11月にリリースする予定だったそう。コロナ禍で狂っちゃったのかな? ともあれ、完成したアルバムが本作というワケです。

─ 彼女は、ポップミュージックの中でも最も素晴らしいバカラックのナンバーのメロディーの豊かさを強調することに成功しています。アルバムプロデューサー、ジャン・クロード・グレナシアは、バッキングに本物のオールスター・ジャズミュージシャンを起用しています。アレンジとオーケストレーションはオリヴィエ・ユットマンが担当し、ステフィー・ハイクのヴォーカルの優美さを見事に引き出しています。  ─ (VENTO AZUL RECORDSさんのアルバム紹介より引用)

彼女がライナーノーツに記しているコメントをご紹介します。彼女の並々ならぬ思いが伝わってきます。Googleによる機械訳です、悪しからず。

─ バート・バカラックの曲は、たとえそのいくつかが彼のレパートリーであるとは知らなかったとしても、文字通り私の人生のサウンドトラックを形作りました。どれも私や人々の心に響きます。常にポップな気楽さを感じさせる一方で、リズミカルでハーモニーのあるひねりが美しく、誰もが受け入れることができます。バカラックの歌を歌うのは至福のひとときです。それは私の魂の奥深くに到達し、あらゆる音楽的感覚と感性を探求する素晴らしい機会を与えてくれます。レパートリーの選択は間違いなく最もデリケートで難しいことでした。どの曲もこれほどの魔法を伝えているのに、どうやって数曲だけを選ぶことができるのでしょうか? この偉大な作曲家に対する私の愛と尊敬が、私が彼の音楽に敬意を払うきっかけとなりました。彼の曲の1つ「 ALFIE 」を私のアルバム『 The Longest Mile 』に収録するのはごく自然な流れでした。私は今、オリヴィエ・ユットマンがアレンジしたこれらの曲でバート・バカラックの道を歩んでいます。私たちは二人ともこの素晴らしい作曲家を愛しており、彼の音楽に敬意を表したいと思っていました。皆さんとそれを共有できることを楽しみにしています...。  ─

彼女の歌声は芯があって明るく若干ファニーなキャラクターですが、曲によってさまざまな印象を与えます。バックは、ピアノトリオを軸として、曲によりギターやトランペットが加わります。アレンジも自在で意欲的且つ聴きごたえのある本格的なジャズのサウンドが展開されます。一曲ずつ簡単にご紹介します。

T-1.「 恋よさようなら 」:スウィングのリズムでとても軽快なカヴァーです。
T-2.「 ウォーク・オン・バイ 」:リズムがちょっと変わっていてピアノやベースのアドリヴも熱い。レコメンド。
T-3.「 汽車と船と飛行機と 」:バックはピアノトリオ+ギター。跳ねる様なリズムが心地よいです。レコメンド。
T-4.「 小さな願い 」:8分の6拍子の細かいリズムが印象的。ステフィーの歌唱はエモーショナルですがどこか翳があります。
T-5.「 愛の思い出 」:バックはピアノトリオ+トランペット。なんと7拍子(4拍子+3拍子)にアレンジ。ステフィーの歌声もパンチがありますねー。そのチャレンジングなアレンジにレコメンド。
T-6.「 遥かなる影 」:ゆったり3拍子にアレンジ(4拍子1小節→3拍子2小節に)。揺れる想いを表現してるかのよう。レコメンド。
T-7.「 マイ・リトル・レッド・ブック 」:ウォーキングベースやピアノのアドリヴがカッコイイ。ステフィーのシャウトもカッコイイ。レコメンド。
T-8.「 世界の窓と窓 」:落ち着いた演奏&歌唱が美しい。
T-9.「 ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 」:バックはピアノのみで、ミニマルな音しか弾いてません。ステフィーの魂の歌声に聴き入ってしまいます。レコメンド。
T-10.「 素晴らしき恋人たち 」:バックはピアノトリオ+トランペットで、男性ヴォーカル(ブルース・ジョンストン)とのデュエット。なんとなんと5拍子にアレンジ。アグレッシブでタイトな演奏です。レコメンド。
T-11.「 世界は愛を求めてる 」:本アルバムの中では一服の清涼剤的な割とオーソドックスなアレンジ。
T-12.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」:バックはベースのみ。ステフィーの歌唱に心揺さぶられます。レコメンド。
T-13. 4秒だけの無音トラック。13という数字を嫌ったのかもしれません。だって全く意味ないですもん…。
T-14.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」:ピアノトリオ+ギター+トランペットという編成。しかも3拍子にアレンジしています。

ここからはオマケ。MP3で所有しているステフィー・ハイクによるバカラック・カヴァーをご紹介。
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彼女は2009年にリリースした自身初のアルバム『 The Longest Mile 』で「 ALFIE 」(3:45)をカヴァーしています。ライナーノーツで言及していたヤツですね。バックはアコースティック・ギターのみで、彼女はエモーショナル&繊細に歌っています。素敵なカヴァーだと思います。


【データ】
『 Sings & Loves Burt Bacharach 』
Stephy Haik

CD:2024年7月下旬リリース
レーベル:Frémeaux & Associés (FR)
番号:FA8614

Co-produced by Jean-Claude Ghrenassia and Stephy Haik
Stephy Haik - Vocals
Olivier Hutman - Piano and Arrangements
Sylvain Romano, Jean-Claude Ghrenassia - Bass
Steve Williams - Drums
Hugo Lippi - Guitar
Hermon Mehari - Trumpet
FEATURING ...
Bruce Johnston - Vocals
Andre Ceccarelli - Drums

Recorded by Dominique Blanc-Francard at Labomatic Studio in Paris
except T-4,6. - Recorded by David Drussant at STUDIO DE PETIT PONT in Maurepas
Mixed Dominique Blanc-Francard - May 2023

All songs written by Burt Bacharach and Hal David
except T-9. by Burt Bacharach and Elvis Costello

(P) 2023-2024 Cirta Editions - Frémeaux & Associés
©️2024 Groupe Frémeaux Colombini

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し(私はタワーレコードで購入)

2024年7月28日 (日)

Marrakesh Express/Stan Getz (1970年)

米国男性ジャズ・テナー・サックス奏者のスタン・ゲッツが1970年にリリースしたアルバムです。バカラックナンバー4曲を収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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Original LP front cover/back cover

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所有日本盤LPジャケットの表/裏

全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A3. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:54)
B2. Medley: BECAUSE - DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE (8:12)
B3. RAINDROPS KEEP FALLIN' ON Y HEAD (3:41)
B4. THE APRIL FOOLS (3:10)


米国男性ジャズ・テナー・サックス奏者のスタン・ゲッツが1970年にリリースしたアルバムです。

スタン・ゲッツは1927年2月ペンシルバニア州フィラデルフィア生まれ(没年1991年、享年64)。1942年に15歳でプロ・デビュー。各楽団を転々としたのち、1947年にウッディ・ハーマン・オーケストラに加わりクール・スタイルのテナー・マンとして一躍名声を得ました。1949年に独立。'50年代は欧州中心に活動。'62年、当時人気を得てきたボサノヴァを取り入れて演奏したアルバム『 Jazz Samba 』が大ヒット。1963年にはアストラッド・ジルベルトをフィーチャーしたボサノヴァの名盤『 Getz / Gilberto 』をリリース。一家に一枚と言われるほど(実際、私もCD持ってます)の世界的なヒットになります。この頃からスタン・ゲッツは多分にイージー・リスニング・ジャズ的な演奏をすることが多くなってきたんだそう。1968年にはバカラック・カヴァー集『 What The World Needs Now - Stan Getz Plays Bacharach and David 』もリリースしています。そして1970年にリリースしたのが本アルバム。

─ このレコードはイージー・リスニング・ジャズ的な性格ももっており、最近のヒット曲を中心に演奏している。とくに4曲もあるバカラック・ナンバーが注目されよう。オーケストラの編曲と指揮はリチャード・ヒューソンが担当、ストリングスも加えたオーケストラはしゃれたムードを作っている。なお、プロデュースには、ジョージ・マーティンが当っている。ゲッツの最新盤らしいフレッシュなアルバムだ。  ─(所有日本盤LPの解説より、岩浪洋三氏)

実は昨年(2023年)コイツのアナログ重量盤がリイシューされました。でもね、6,000円近くもするんですょぉ…わたしゃ買えません😭。中古盤もなかなか高くて(海外送料が高い)どうしようか悩んでましたら中古の日本盤(タイトルがロミオとジュリエットに変更されてます)でプロモ品の安いヤツを見つけてゲットした次第。アナログ盤がリイシューされたからでしょう、いつの間にかYouTubeで全曲聴けるようになってるし…😅。

折角当時の日本盤が手元にあるので、バカラック・ナンバー4曲の解説を引用して紹介いたします。表記はママで。※印
はあるでお注。各曲名のリンク先はYouTubeです。

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A3.「 恋よさようなら 」
─ このところブームを呼んでいるバート・バカラック作曲の佳曲で、ブロードウェイ・ミュージカル『 プロミシーズ・プロミシーズ 』(※1)の主題歌である。ディオンヌ・ワーウィックの歌でヒットしたが、ここではスタン・ゲッツが原曲のメロディーの美しさを充分に生かして演奏している。軽快で抒情的なテナー・ソロをきかせ、バックのストリングスを生かしたオーケストラも見事である。  ─
木管楽器をうまく使った可愛らしいオケのアレンジが印象的です。ゲッツのサックスは全体的に寝ぼけてますけど。
※1 現代での一般的な邦題は
『 Promises, Promises(プロミセス・プロミセス)』。「 恋よさようなら 」はあくまでも挿入歌であって主題歌ではありません。

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B2.「 ビコーズ / サン・ホセへの道 」
〜 ビコーズについては割愛 〜
─ 「 サン・ホセへの道 」は原曲の軽快な味を生かして、リズミックなプレイが行われるが、弦を加えたオーケストラはカラフルで美しく、ゲッツはリラックスした気分で、快適なアドリブをくりひろげている。にぎやかで楽しい演奏である。このアルバムの中でもとくに聞きものの一曲といえよう。  ─
確かにバカラック・ナンバー4曲のうちで最もゲッツがアドリヴを聴かせるのはこの曲かも。バカラック版のアレンジがベース。オケのアレンジは軽快で派手で小技も効いててユニークです。

B3.「 雨にぬれても 」
─ このアルバム三つ目のバカラック・ナンバー。ちょっととぼけた味と哀感があって、数あるバカラックの作品のなかでもとくに印象ぶかい曲である。上当りした愉快な映画『 明日に向って撃て! 』の主題歌のひとつで、B.J.トーマスが映画のバックでも歌ってヒットさせた。ミディアム・スロー・テンポによるスタン・ゲッツの演奏は、原曲のユーモアのセンスも込めて楽しい仕上りとなっている。  ─
この曲でも木管楽器の響きがスパイスとなったオケのアレンジが楽しいです。ゲッツのサックスは相変わらず眠たそう。

B4.「 幸せはパリで 」
─ 1970年の秋に日本でも封切られる映画『 幸せはパリで 』(原題エイプリル・フールス)(※2) の主題歌で、この映画のためにバート・バカラックが作曲したものである。映画にはカトリーヌ・ドヌーヴとジャック・レモンが主演、社長夫人に恋をした社員が職を捨ててパリにかけ落ちするという恋をテーマにした映画である。現代の愛を歌い上げた映画にぴったりの甘美で哀感にあふれた曲で、スタン・ゲッツもロマンティックなバラードとして歌い上げている。ストリングスを加えたオーケストラを背影にしてのゲッツのソロはあざやかだ。ゲッツにはバカラック集があるようにバカラックは得意にしている作曲家である。  ─
全然派手じゃないし、オケのアレンジも楽器や音数が少なめでシンプルなのですが、私はバカラック・ナンバー4曲中この曲が最も印象に残りました。ゲッツのサックスがオケに寄り添ってる風だったからかなぁ。
※2 映画『 The April Fools 』の邦題が『 幸せはパリで 』なのに対し、同名タイトルのこの曲「 THE APRIL FOOLS 」の邦題は「 エイプリル・フール 」というのが一般的です。まだ日本で公開されてなかったんだ!?と思って調べたところ、米国で1969年5月28日に公開されたこの映画、日本公開日は1970年10月24日でした。

スタン・ゲッツのテナー・サックス+オケという編成。岩浪洋三氏はイージー・リスニング・ジャズと表現されてましたが、イージー・リスニングでいいんじゃね?というのが率直な感想です。スタン・ゲッツよりもオケのアレンジの方が主役ですもん。ジャケットは主役よろしくカッコいいんですけどねー。



【データ】
『 Marrakesh Express 』 (日本盤LPタイトル『 Romeo And Juliet(ロミオとジュリエット)』
Stan Getz

LP:1970年9月リリース (所有日本盤LPは、1971年リリース、解説:岩浪洋三氏)
レーベル:MGM Records (US) (所有日本盤LPは、MGM/日本グラモフォン)
番号:SE 4696 (所有日本盤LPは、MM 2021)

Produced by George Martin
Arranged and Conducted by Richard Hewson
Stan Getz - tenor sax

Amazon リンク(2023年リイシューLP


2024年7月14日 (日)

Close To You - Songs Of Burt Bacharach/V.A. (2013年)

2013年に米国でリリースされた米国編集のバカラック物コンピ集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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全21トラック中、バカラック作品はT-12を除く20トラック

1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Ace Cannon 〜  
2. THE LOOK OF LOVE  〜 Arthur Lyman 〜
3. ALFIE  〜 Arthur Lyman 〜
4. DON'T MAKE ME OVER  〜 Barbara Jean English 〜  F
5. THIRD WINDOW FROM THE RIGHT  〜 Dean Barlow 〜  M
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Don Williams 〜  FM
7. YOU DON'T HAVE TO BE A TOWER OF STRENGTH  〜 Gloria Lynne 〜  F
8. THE LOOK OF LOVE  〜 Hampton Hawes Trio 〜
9. WALK ON BY  〜 Jimmy Caravan 〜
10. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 
Lionel Hampton 〜  F
11. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Maurice Williams & The Zodiacs 〜  M
12. HERE I AM  〜 Page Cavanaugh 〜  M
13. THE LOOK OF LOVE  〜 Sam Fletcher 〜  M
14. MAKE IT EASY ON YOURSELF  〜 Sonny Til 〜  M
15. A LIFETIME OF LONELINESS  〜 Steve Alaimo 〜  M
16. I WON'T BREAK  〜 Steve Lawrence 〜  M
17. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 The Afro Blues Quintet (feat. Rene Bloch)〜
18. WALK ON BY  〜 The Afro Blues Quintet Plus One 〜
19. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 The Moments 〜  ML
20. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 Burl Ives 〜  M
21. THE LOOK OF LOVE  〜 Vic Damone 〜  ML

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記
 L はライヴ録音

収録時間約74分


2013年に米国でリリースされた米国編集のバカラック物コンピ集です!

本コンピ集、最初はMP3でリリースされました。レアなカヴァーが多そうなのでどうしようか思案していたところ、およそ半年後にCDリリースされまして。それなら…とCDを購入した次第です。

でも届いたらこれがちょっと酷い代物で…。曲名とアーティスト以外の情報は皆無だし、ジャケットのバカラックさんのお顔は真っ白だし(わかってたけど)、1曲コンパイルミスがあってT-12.「 HERE I AM 」がバカラックさんの楽曲じゃない同名異曲だったり…。特にコンパイルミスはイカンでしょ、CDリリースまでの半年間に気づかんかったんかいっ!😡 リリース元のEssential Media Groupはフロリダで2007年に設立された昔の音源を多く保有するレーベル。MP3ファイルでのリリースが主体で、CDでもオンデマンドCD(CD-R使用)が多いようです。このコンピ集はCDでしたが…。RhioやAce、そして日本のコンピ集にみられる “コンパイルに対するこだわり” が全く感じられません。大手レーベルのカタログから漏れた音源を所有し、既存のバカラック物コンピ集に取り上げられていないものをコンパイルしたんでしょう。
このCDがトラウマになって、バカラック物コンピ集をCDで買わなくなったんですよね〜自分。必要な曲だけダウンロードすりゃいいや…と。

話を戻して…。いつものように表にまとめました。
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収録されているバカラック作品20トラックのうち、16トラックは他のコンピ集に入ってないレアなカヴァー。殆どはカヴァー定番曲ですが、T-16.「 I WON'T BREAK(愛のアレンジメント)」はキャロル・ベイヤー・セイガーが1981年にリリースしたアルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中のくちづけ)』の2曲めで、
他に誰もカヴァーしてないレア曲です。…表を眺めて感じるのは、あまり聞いたことないマイナーレーベルが多く、同様によく知らないアーティストが多いこと。そんなに詳しくなくても良いので簡単な解説や基本的なクレジットを載せて欲しいところですね、いやホント。

個々のバージョンについての特記事項はリストの脚注をご覧ください。以降、個人的なレコメンド曲を紹介します。

🔸ドン・ウィリアムスのT-6.「 愛のウェイト・リフティング(愛の思い出)」:実はPozo Seco(当時ドン・ウィリアムスがメンバーだった男女フォーク・デュオ)によるカヴァー。フォーキーな味わいがなんとも心地よいです。
🔸ハンプトン・ホーズ・トリオによるT-8.「 恋の面影 」:1970年のスタジオ録音で、とってもファンキーな演奏が堪りません。ハンプトン・ホーズ、1976年リリースのアルバム『At Montreux』のオマケで紹介しています。
🔸スティーヴ・ローレンスのT-16.「 I WON'T BREAK(愛のアレンジメント)」:この曲のカヴァーがあったなんて! しかもクルーナー・タイプの男性ベテランシンガーによるロマンチックな歌唱で! 録音がもう少しクリアだったらもっと良かったのに。
🔸アフロ・ブルース・クインテット・プラス・ワンのT-18.「 ウォーク・オン・バイ 」:ソウルジャズというかラテンジャズというか、ヴィブラフォンとフルートのアドリヴがご機嫌なノリの良いカヴァーです。尺も長くて5:17あります。

尚、ザ・モーメンツのT-19.「 遥かなる影 」はアルバム『 Live At The Miss Black America Pageant 』の記事で紹介しております。

ここからはオマケ。所有MP3の中から、本コンピ集のアーティストによる他のバカラック作品をご紹介!
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モーリス・ウィリアムズ&ザ・ゾディアックスは、2000年にリリースしたアルバム『 Back To Basics 』で「 ANY DAY NOW(エニィ・デイ・ナウ)」(3:40)をカヴァー。実にオーソドックスなカヴァーです。
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スティーヴ・アライモは、1963年のアルバム『 Every Day I Have To Cry 』で「 I WAKE UP CRYING(アイ・ウェイク・アップ・クライング)」(1:58)をカヴァー。オリジナルのチャック・ジャクソン版と比べて若干テンポが速く、金管楽器のオカズが良いアクセントになってます。
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アフロ・ブルース・クインテットは1960年代後半にカリフォルニアを拠点に活動したラテン/ソウル/ジャズ・インスト・グループ。本コンピ集の「 I SAY A LITTLE PRAYER 」が入っている1968年リリースのアルバム『 The Afro Blues' Next Album 』では、他にも「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(2:18)もカヴァーしています。クールなフルートを吹いているのはフューチャリングされているReno Blochと思われます。
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大物男性歌手のヴィック・ダモンは、1958年リリースのシングル「 Forever New 」(非バカラック曲)のB面曲として、「 OOOOH, MY LOVE 」(1:45)をレコーディング。書き下ろし曲でヴィック・ダモンがオリジナル。朴訥とした4拍子の曲です。また、1963年にシングルA面で「 WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち)」(2:25)をカヴァー。オリジナルのジャック・ジョーンズ版(♩≒130)より遅め(♩≒120)の落ち着いたアレンジで大人の歌唱を聴かせます。オリジナル版はオケの指揮が別の人なのに対し、ヴィック・ダモン版はバカラック自身がオケを指揮している点がポイントかと。
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スティーヴ・ローレンスは、1959年にシングルB面用に「 LOVING IS A WAY OF GIVING 」を提供するなどバカラックにとって旧知の仲。奥様のイーディ・ゴーメとのデュエット(Steve & Eydie名義)でも活躍。Steve & Eydieとして1990年にリリースしたアルバム『 Alone Together 』で「 THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)」(3:59)をカヴァー。仲睦まじいデュエットを聴くことができます。尚、他にもソロあるいはデュエットで多数バカラック・カヴァーを録音していますがMP3化されていないため割愛いたします。


【データ】
『 Close To You - Songs Of Burt Bacharach 』
V.A.

MP3,CD:MP3 2013/3/12リリース、CD 2013/9/4リリース
レーベル:MMXI Essential Media Group (US)
番号:-

(p)&©️ MMXI Essential Media Group LLC.
This copyright in these remasters & the resotored album art is owned by Essential Media Group LLC.
その他詳しいクレジットは無し。

Amazonリンク

2024年6月30日 (日)

This Is Time 5/タイムファイブ (1970年)

男性5人組コーラス・グループ、タイムファイブのデビュー・アルバムです。バカラック・カヴァーを3曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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Original LP front cover/back cover
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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は3トラック

3. THE LOOK OF LOVE (3:17)
5. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (4:04)
9. THE WINDOWS OF THE WORLD (4:00)


男性5人組コーラス・グループ、タイムファイブが1970年にリリースしたデビュー・アルバムです。

タイムファイブは、─ 同志社大学軽音楽部出身の男性5人(田井康夫、野口鎮雄、勅使河原貞昭、吉村晴哉、杉江浩平)で1968年に結成されたグループ。当時、ハワイでヒットしていたコーラスグループ「INVITATIONS」の曲「ナニワイメア」を歌って大学対抗バンド合戦で優勝。結成50年を超えてメンバーは一度も変わったことがない。大学対抗バンド合戦に優勝後上京、プロとして活動を開始以来、楽器を演奏しながらコーラスするというスタイルと、テンションを駆使した高度なハーモニーをグループのカラーとして、コンサート・ライブ、テレビ、ラジオに出演。1000本以上に及ぶコマーシャル音楽の制作に携わる。  ─ (Wikipediaより)

詳細な経歴は公式サイトの「 タイムファイブとは 」を参照されたし。(こちら

これまで私はタイムファイブを単なるコーラス・グループだと思ってました。最近たまたまYouTubeで「 WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)」の動画を見つけて、“ えっ⁉️  楽器演奏しながら歌うの❓ カッケ〜😳 ” となった次第。今頃気が付くなんて…何ともお恥ずかしい😅。尚、この動画は概要欄に “ Walk On By -TIME FIVE ('75) ” と書かれており画面右上にtbsロゴがあることから当時彼らがレギュラー出演していたTBS『 サウンド・イン“S” 』のものと思われます。

本アルバムについてはCD帯の紹介文をご覧ください(私から付け加えることは何もございません😓)。─ 同志社大学のコーラス・グループとして学生時代から評判を呼んでいた5人組のデビュー作。<日本のフォー・フレッシュメン>の鳴り物入りで発表されたこの作品は、噂にたがわず素晴らしいハーモニーと、自分たちで全ての楽器も手がける、まさに日本のフォー・フレッシュメン(こちらは5人組だが)ぶりが大きな話題を呼んだ。スマートなコーラスと洒落たセンスの演奏。日本ではこれ以前にほとんどなかったこのスタイル。以後も成功した例がないことから、彼らの存在は貴重といえる。スタンダードとポップスから選ばれた曲も趣味がいい。  ─ (小川隆夫氏、リイシューCDの帯より)
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本作では3曲のバカラック・カヴァーを取り上げています。
T-3.「 THE LOOK OF LOVE(恋のおもかげ)」は♩≒116のライトなボサノヴァ・アレンジ。トランペットのオブリガートや2コーラス目のサビのコーラス・ワークにはアニタ・カー・シンガーズ版(1969年)との近似性を感じます。
あのオブリガートは元々ディオンヌ・ワーウィック版(1969年)でストリングスが奏でていたものですけれど。一方、ラストのコーラス&トランペットは彼ら独自のものかと。演奏している楽器はドラムス、トランペット、ベース、オルガン、ヴィブラフォン。シンプルで気持ちいいカヴァーですね。
T-5.「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU(ディス・ガイ)」は♩≒84のシャッフルでオリジナルと同等。Aメロは楽器演奏のみでメロディはトランペット。Bメロ前半4小節はフルートのメロディ+コーラスでハミング。Bメロ後半4小節〜サビはコーラスが主旋律をハモって歌います。2コーラス目はフルートがAメロを吹き、Bメロ〜サビはコーラスが主旋律をハモリます。楽器はドラムス、トランペット、ベース、ピアノ、フルート/ヴィブラフォン。「 恋のおもかげ 」よりも更にシンプルなアレンジかな…と思います。
T-9.「 THE WINDOWS OF THE WORLD(世界の窓と窓)」はディオンヌの原曲(♩≒92)よりゆったり目な♩≒88のシンプルな8ビート。リードヴォーカルもコーラスのハーモニーも実に美しく、途中の転調(B♭→C)も印象的。楽器はドラムス、トランペット、ベース、ピアノ、フルート。全編にわたってピアノがキラキラしたオカズを弾き、トランペットとフルートがハモってオブリガートを吹くのがエモいです。3曲の中ではこれが最も魅力的かなぁ。

アルバム全体では、T-7.「 CALL ME(コール・ミー)」がライトなサンバ・アレンジにコーラス&楽器演奏とも軽快且つお洒落でレコメンド。

YouTubeには「 ウォーク・オン・バイ 」の他に「 THE LOOK OF LOVE(恋のおもかげ)」の動画も上がっています。メンバーの風貌から近年の演奏と思われますが、ジャズロック風な8ビートでより洗練されたサウンド&コーラスを聴くことが出来ます。ドラムスとベースはサポート・ミュージシャンのようですが、出来としてはこの動画の方が今回紹介したアルバム(1970年版)よりも素敵ですね。
YouTubeにはもう1曲、女性コーラス・グループEVEとの共演で「 SOUTH AMERICAN GETAWAY(サウス・アメリカン・ゲッタウェイ)」の動画もありました。あのダバダバの曲です。メドレーの最初の1分20秒程と最後の1分少々ですが、一度こーゆーの生で聴いてみたいものです。

さて、ここからはオマケ。タイムファイブのメンバーが大好きな米国の男性ヴォーカル・グループThe Four Freshmen(フォー・フレッシュメン)のバカラック・カヴァーをご紹介!
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フォー・フレッシュメンは1968年のアルバム『 Today Is Tomorrow! 』で「 WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)」(2:12) をカヴァー。ファンキーなアレンジで、コーラス・ワークも要所でポルタメントを入れてファンキーっぽく。間奏のトランペットのアドリヴもカッコイイし、エンディングのコーラスもエモすぎる〜。フュージョンタッチのタイムファイブ1975版とは全くスタイルが違いますが、甲乙つけ難し…です。
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1972年には The Four Freshmen With Stan Kenton And His Orchestra 名義のライヴ録音アルバム『 Live At Butler University 』で再び「 WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)」(2:07) をカヴァー。1968年のスタジオ録音と同じアレンジですが、演奏が荒っぽいけど勢いがあります。でもまぁスタジオ録音の方がいいかな。


【データ】
『 THIS IS TIME 5 』(LP帯:ディス・イズ・タイム・ファイブ)
タイムファイブ (英:TIME FIVE)




LP:1970年リリース (所有CDは、2018年12月5日リリースのリイシュー盤)
レーベル:King Records (JP) (所有CDは、同じくKing Records)
番号:SKK 3002 (所有CDは、KICJ 2625)

プロデュース:不明
編曲:吉村晴哉

タイムファイブ
  田井康夫:ドラムス、ウクレレ/リード・ヴォーカル
  勅使河原貞昭:トロンボーン、トランペット、フリューゲルホーン/2ndテナー
  野口鎮雄:ベース/2ndテナー
  吉村晴哉:ピアノ、オルガン/バリトン
  杉江浩平:ヴィブラフォン、フルート/バス
Recorded by Fontaine Tokyo, Japan

Amazonリンク(1970年LP)(2007年リイシューCD)(2012年リイシューCD) (2018年リイシューCD

2024年6月16日 (日)

ライヴの感想 Something nice June 15, 2024

谷岡久美さんと龍尺千秋さんのお二人が主催するライヴ『 Something nice 』を聴いてきました。友情出演の伊田恵美さんがバカラック・カヴァー1曲を歌唱!

2024年6月15日(土)

  12:15  受付開始
  12:30  開場
  13:00過ぎ  開演 → 約10分の休憩を挟み、15:30過ぎに終演
@高円寺  Studio K  2F-スタジオ2
Something nice 10  〜 なにかいいこと!〜  10回目ありがとう公演!


JR総武線高円寺駅南口から東に徒歩7分。環七通りに突き当たって右に見える茶色いビルの2階にありました、Studio K。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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私が参戦したのは6月14〜16日計5公演のうち2公演目。受付して1ドリンク+お菓子2袋をチョイスしたあと、しばし待機。12:30に開場し、会場真ん中あたりの端っこに座りました。座席は100席弱。最終的にほぼ満席となりました。前説の方が「 公演始まると行きづらいので今のうちにトイレへ 」と再三申し訳なさそうに頼んでいたのが可笑しかったです。

13:00ちょっと過ぎに開演。出演者及びセトリは当日配られたパンフレット ↓ を参照ください。
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最初のMCで、谷岡久美さん(ピアノ&作曲)が “ サムシング ”、龍尺千秋さん(ボーカル&作詞&脚本&演出)が “ ナイス ”、二人合わせて “ サムシングナイス ” …という説明がありました。そーゆーことかと納得。お二人を軸にゲストの方やコントの方が入れ替わり立ち替わり、歌、踊り、歌語り、シュールコントを次々に披露していく、そんな楽しい公演でした。

最初に龍尺さんが3曲歌い、コントの乱入(セトリにはありません)があった後、「 久々の復活、北のディーヴァ 伊田恵美!
」というMCに導かれてお目当ての伊田恵美さんが登場!

伊田恵美(いだめぐみ)さんは北海道在住(BARKSサイトのプロフィールにリンク)。ゲームに疎い私は知らなかったのですが、ファイナルファンタジーⅣ 愛のテーマ「 月の明り 」を歌ったスゴいお方。その伊田さんはバカラックさんが亡くなったことを昨年暮れに知り、X(旧Twitter)で回ってきた「 アルフィー 」を弾き語りするバカラックさんの動画に感動してバカラックさんの歌を歌い継いでいこうと思われたんだそうです。さっそく今年3月には「 雨にぬれても 」をピアノで弾き語りしてYouTubeにアップしとられます。


拙ブログも覗いてくださり、SNSでやりとりさせていただくなかで本公演を知った次第。

今回歌ってくださったバカラック・カヴァーは
「 CLOSE TO YOU(遥かなる影)」。登場時に両手に抱えていたバカラックさんのLPや自作の推しうちわをピアノの前に捧げてから歌いはじめました。バックの演奏は、ピアノ(谷岡さん)、バイオリン(多ヶ谷樹さん)、ドラムス(鈴木淳一さん)のトリオ。伊田さんのこだわりで、アレンジのベースはシャッフルのカーペンターズ版ではなく4つ刻みのバカラック版。ピアノのイントロから始まったので、イントロのない1971年リリースのアルバム『 BURT BACHARACH 』『 LIVE IN JAPAN 』ではなく、イントロのある最近のライヴを参考にしたんでしょう(音源としては2008年リリースのアルバム『 LIVE AT THE SYDNEY OPERA HOUSE 』あたりかと)。
伊田さんの歌声は若干ハスキー。派手さはありませんが、実に情感のこもった、たおやかな歌唱でした。アウトロのハミングも素敵でしたねー。バカラック愛をひしひしと感じました。柔らかいタッチの谷岡さんのピアノはバカラックさんのピアノをより膨らませたものでしたし、バイオリンのオブリガートも素敵でした。この曲もぜひYouTubeにアップして欲しいナ…と思いました。

…と思っていましたら、伊田さんより「 動画を YouTubeに公開しました 」との連絡が届きました! 私が参戦した2日目昼公演ではなく、3日目夜の最終公演のパフォーマンスです。伊田さん、最後の最後に初めて “おおきに” と言えたそうです(何のことかわからない方は『 LIVE IN JAPAN 』の「 雨にぬれても 」を聴くとよろし)。サムネイルも凝ってますね〜。バカラックさんのネタがいくつも散りばめられています。推しが尊い! …ということで、動画を埋め込みました。伊田さん、ありがとうございました! ※2


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公演後、初めて伊田さんとご対面。わざわざ北海道から持参されたLPレコード3枚を見せていただきました。バカラックさんの『 BURT BACHARACH 』『 LIVE IN JAPAN 』とカーペンターズの『 Close to You(遥かなる影)』※1 で、3枚とも帯付きのむちゃ綺麗な日本盤。今回は持参されなかったけど『 LIVE IN JAPAN 』はマトリックス4ch版のLPもゲットされたとか。スゴいっす。お土産として1998年ライノ3枚組コンピデザインの絵葉書まで頂いて…どうもありがとうございました!
しばしバカラック談義に花を咲かせましたが、「 バカラックさん生誕100周年の時には素敵なイベントができるといいですね 」とおっしゃってたのが印象的でした。4
年後かぁ、それまで元気でいなければ!
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※1 2024/6/19 伊田さんからの情報で訂正。
※2 2024/6/26 ライヴ動画を埋め込み!

2024年6月 9日 (日)

Mystical Soul/John Blair (1971年)

米国のジャズ・バイオリニスト、John Blair(ジョン・ブレア)が1971年にリリースしたヴォーカル・アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全6トラック中、バカラック作品は1トラック

A3. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (6:22)


米国のジャズ・バイオリニスト、John Blair(ジョン・ブレア)が1971年にリリースしたヴォーカル・アルバムです。

ジョン・ブレアはアメリカのジャズ・バイオリニスト。1943年11月オハイオ州トレド生まれ(2006年6月NYC没、享年62歳)。彼はバイオリンとギターのアコースティックコンビネーションであるVitar(Wikipedia)の演奏家としてもよく知られているんだそう。自身の3枚のアルバム以外にも、多くのジャズファンク系レコーディングに参加していたようです。本作ジャケ裏のライナーによれば、この時点でアイザック・ヘイズ、ハリー・ベラフォンテ、サミー・デイヴィスJr、ジェームズ・ブラウン、リッチー・ヘヴンズ等のレコーディングに参加したとありますし、兵役に就いた際は空軍Strolling String SymphonyのメンバーとしてJ.F.ケネディ大統領とジョンソン大統領の前で演奏したんだそう。

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本作はジョン・ブレアの1stアルバム。収録されている6トラック/7曲のうちA2, B2, B3.の3曲は自作曲で、その他4曲はカヴァー。A1.はビートルズ「 ゴールデン・スランバー 」とファイヴ・ステアステップス「 ウー・チャイルド 」のメドレー…ってゆーかマッシュアップ。ディオンヌ・ワーウィックやボビー・ジェントリーのヒットA3.「 恋よ、さようなら 」。そしてブラザーフッド・オブ・マンのヒットシングル「 UNITED WE STAND(二人だけの世界)」のB面曲であるB1.「 SAY A PRAYER 」。取り上げたカヴァーはいずれも1969〜1970年頃の曲ですね。

各曲の曲調はバラード
〜ジャズ・ファンクまでと幅広いのですが、アルバム全体の印象はクールなソウル。若干しゃがれ声の男性ヴォーカルは彼自身によるもので、決して下手ではないけれどヴォーカリストとしてはあまり印象に残りません。それよりもバックトラックの手の込んだアレンジの方が印象的です。…とジャケットを確認したところ、アレンジはボブ・ジェームスとクレジットされていました。そっかそっかと納得。CTIレーベルに所属して様々なレコーディングにプレーヤーとして参加してた頃、こんなアレンジの仕事もしていたんですね。

さて、バカラック・カヴァーはもちろんA3.「 恋よ、さようなら 」。ディオンヌ版(1969/12:US#6,♩≒138)やボビー・ジェントリー版(1969/8:UK#1,♩≒114)とは全く異なり、グッと落ち着いた♩≒80のスローテンポ。8小節あるイントロは
「 恋よ、さようなら 」がこれから始まるとは全く予想できない爽やかなメロディ&コード進行。んで、ジョン・ブレアがAメロを歌い始めるとソウルバラード調に。ギターとベースがオクターヴで爪弾くオブリガートがなんとも素敵です。サビではホルンやオルガンも加わり16ビートのファンクになるんですがこれがまた渋い! 4分ほどして一旦休止し、Aメロを1回リプレイした後(歌はココでおしまい)イントロのフレーズを繰り返すんですが、ジョン・ブレアによる緊張感あるバイオリン・ソロが加わり不思議な盛り上がり?を見せてフェードアウトして終わります。
他に類を見ない「 恋よ、さようなら 」の歌ものカヴァーだと思います。掛け値なしにレコメンドっす!

さて、ココからはオマケ。
私がこのジョン・ブレアのカヴァーを知ったのは、Radio France の『 Repassez-moi l'standard 』という約1時間の番組。その2024年4月14日の放送回が「 "I'll Never Fall in Love Again" composer Burt Bacharach & lyricist Hal David (1968) 」でして、「 恋よ、さようなら 」のオリジナルとカヴァーを次々紹介するというプログラムでした。オンエアされたのは計13曲。1. ジル・オハラ&ジェリー・オーバック、2. ディオンヌ・ワーウィック、3. シャーリー・バッシー、4. ボビー・ジェントリー、5. カーペンターズ、6. Wilson Simonal(ウィルソン・シモナール)、7. John Blair(ジョン・ブレア)、8. グラント・グリーン、9. アイザック・ヘイズ、10. ザ・デルズ、11. リーグモル・グスタフソン、12. Tok Tok Tok、13. Noël Akchoté …このうち私が聴いた事なかったのが 6.と7. でした。MP3が見当たらなかったため本LPをDiscogsでゲットしたワケです。

その放送回は こちら で聴く事ができます。また、リンク先ページを下の方にスクロールすると各曲のYouTubeも貼ってあります(12.と13.を除く)。よろしければ是非!。


【データ】
『 Mystical Soul 』
John Blair

LP:1971年リリース
レーベル:A&R (US)
番号:ARL 7100/002

Produced by Pete Spargo
Arranged and Conducted by Bob James
Engineer:Dave Greene
Violin Solos:John Blair
Recorded at A&R Studios, New York

A&R Records New York
Manufactured and Distributed by Mercury Records Productions, Inc.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年6月 2日 (日)

WHAT THE WORLD NEEDS NOW/José Calvário (1978年)

ポルトガルのピアニスト/ソングライター/指揮者、ホセ・カルヴァリオが1978年にリリースした12"シングルです。両面に亘ってバカラック・カヴァー8曲をディスコでメドレー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)

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Original 12"single front cover/back cover
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 ↓ 12"シングル盤のレーベル面の表記
A.
WHAT THE WORLD NEEDS NOW
RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
DO YOU KNOW THE WAY TO ST. JOSE (← ST. は SAN JOSE の間違いですね…)
I SAY A LITTLE PRAYER
THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B.
THE LOOK OF LOVE
CLOSE TO YOU
I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN

収録時間  A. 7:09, B. 4:29


ポルトガルのピアニスト/ソングライター/指揮者、ホセ・カルヴァリオが1978年にリリースした12"シングルです。

ホセ・カルヴァリオは1951年1月、ポルトガルのポルト生まれ(2009年6月没、享年58歳)。幼少の頃からピアノを習い、わずか10歳でポルト交響楽団と共演したそう。ポップソングの作曲、アニメのサントラのレコーディング、ポルトガルの多くのフェスティバルの指揮、1972年から1988年の間に5回ユーロビジョン・ソング・コンテストのポルトガル代表に作曲家・編曲家・指揮者として参加、1990年代にはオーケストラの指揮・レコーディング…など、ポルトガルで活躍した指揮者・編曲家でございます。↓ の写真はDiscogsからパクったものです、悪しからず。それにしてもジャケ写の女性は一体誰なんだ? サングラスは米国国旗を模したものでしょうし、左袖のワッペンは 1969-70 AMERICAN BOWLING CONGRESS LEAGUE CHA…(米ボウリング会議リーグチャ…)と書かれています…。謎だ🙄

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そんなホセ・カルヴァリオは1977年〜1979年にかけてディスコにハマっていたようで、1977年に『 The Best Disco In Sound 』というディスコのアルバムを、1979年にはヴィヴァルディの四季をディスコにアレンジしたアルバム『 A Love In Four Seasons 』をリリース。その流れの中で1978年…27歳の時にリリースしたのがこの12"シングル「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW 」でございます。

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ジャケットには「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW 」としか書かれていませんが、レーベル面には、A面で5曲、B面には3曲、バカラックカヴァー定番曲が書いてあります。トラック数はA面/B面ともに1トラックずつで、どちらの面もレコード盤内周までレコード溝が刻まれています( ↑ の画像をクリックして拡大すればわかると思います)。特にB面は4分半しか収録されてないのに…。12インチで45回転の場合11分程度は録音可能と言われているので、溝が広く余裕を持ってカッティングされてることが窺えます。だからと言ってカッティングレベルは決して大きくないんですけどね😅。

A面にレコード針を落とすと、いきなり聴こえるのはバスドラのアップテンポ(♩≒138)な4ビート。時折
アナログシンセのピコピコ効果音や女性コーラスのオカズが入り、34秒経ったところで女性が “ Do you know what the world needs now ” と囁きます。ココまでがイントロでして、37秒から A(1).「 世界は愛を求めている 」がスタートします。テンポは若干落ち着いて♩≒135となりますが、バスドラの4ビートはこのテンポのままB面ラストまで続いてます。メドレーの流れを表形式にまとめましたのでクリックしてご覧ください。
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Eギター、アナログシンセ、エレピ、ベース、ドラムス、ストリングスやブラス等によるバックトラックはまさしくディスコ調。女性ソロ、男性ソロ、2人のシンガー共歌いっぷりはファンキーで、それは男女コーラスも同様。A面最後の A(7).「 恋の面影 」はフェードアウト後、B(1).「 恋の面影 」にフェードインして続いてます。ですから、A〜B面が連続してトータル11分間半のメドレーになってるワケですね。ホセ・カルヴァリオはアレンジを担当したのかな? クレジットは何も書かれてないのでわかりません。それにしてもポルトガルで1978年にこんなバージョンがあったなんてっ⁉️

このシングルのタイトルになっている「 世界は愛を求めている 」は何度も出てきます。それから、A(1)〜(5).と同じ曲順で B(4)〜(8).でも短くメドレー。
アレンジ上では、テンポは同じままメロディを倍の長さでゆったり歌う手法を多用しているのが特徴的。B(3).「 恋よ、さようなら 」では4倍の長さで歌ったりもしています。メロディのフェイクも多彩ですし、聴いてて踊りたくなっちゃいますネ💃🕺。

この “ バカラック定番曲8曲のディスコメドレー ”、YouTubeにはどうやら上がってなさそうです。皆さんに聴いていただきたかったのに…、残念です。


【データ】
「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW 」
José Calvário

12"single:1978年リリース
レーベル:orfeu (Portugal)
番号:SS AT 1

クレジット全く不明

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年5月26日 (日)

Digits/David Benoit (1983年)

米ジャズ・フュージョンピアニスト、デヴィッド・ベノワが1983年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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Original LP front cover/back cover
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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全8トラック中、バカラック作品は1トラック

4. ARTHUR'S THEME (4:07)


米ジャズ・フュージョンピアニスト、デヴィッド・ベノワが1983年にリリースしたアルバムです。

デヴィッド・ベノワは1953年8月18日米国カリフォルニア州ベイカーズフィールド生まれ。18歳からミュージシャンとして始動。契約したAVIレコードから1977年にアルバム『 Heavier Than Yesterday 』でデビューし、以降アルバムを定期的にリリース。1987年にGRPに移籍、アルバム『 Freedom at Midnight 』を発表するとタイトル曲が大ヒット。それ以来、L.A.(西海岸)スタイル・フュージョンを代表するピアニストとして活躍しているお方だそう。私はお名前しか知らなかったのですが😅。

本作はAVIでの4枚目のアルバム。全8曲はT-6.を除いてインスト・ナンバー。曲によってテイストが違っていて、アルバム全体の印象は "AORチックなフュージョン"。'80年代前半の空気感も漂ってますねー。ドライブ中のBGMにいいんじゃないでしょうか。ただ、バカラック・カヴァー(T-4.)も含めて曲目リストには楽曲の作者情報が全く載ってなくて…。誰の曲なのかさっぱりわからん💦。
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そのくせ、ミュージシャンや楽器は各曲ちゃんとクレジットされています。演奏メンバーや編成は様々で、ピアノソロ(T-8)、4人(T-2,4,7)、5人(T-3)、6人+ホーン(T-1)、4人+オケ(T-5)、6人+オケ+男性ヴォーカル(T-6)という具合。デヴィッド・ベノワは、Fender Rhodes/Synthesizer/Pianoを弾き分けています。

んで、バカラック・カヴァーはT-4.「 ARTHUR'S THEME(ニューヨーク・シティ・セレナーデ)」。キーはクリストファー・クロスが歌うオリジナルと同じくAメロがAmで、サビがA。イントロ〜1コーラス目のサビ手前まではピアノソロでとてもリリカル。サビからベース&ドラムスが、2コーラス目からはシンセとラテン系パーカッションも加わります。主メロは基本ピアノで、オリジナルではサックスが吹く中間部8小節のアドリヴもピアノ。軽く崩して弾くメロディは都会的な香りがしますね。このあとサビをリピートしてフェードアウトするのかと思ったら、Emに転調してAメロを4小節 → 更にキーが半音下がってAメロを4小節 → その後に
イントロを4小節再現して終止形で終わる… とゆー他のカヴァーではみられないアレンジに胸がキュンとなりました。この展開はレコメンドです。曲全体としては聴き心地がよいフュージョン(今でいうスムーズジャズ)ってところでしょうか。

ここからはオマケ。私がMP3で所有している楽曲のうち、デヴィッド・ベノワと同時期にジャズ系ミュージシャンがカヴァーしたインスト物の「 ARTHUR'S THEME 」をご紹介!(イージーリスニング系のインスト物は1982年を中心に結構
リリースされていますが、ここでは対象外といたします。また、Super Guitar Duo(1983年)などジャズ系インストカヴァーは他にもありますがMP3データ無く対象外です。)
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デヴィッド・ベノワより前に、スウェーデンのジャズ・ギタリスト、Rune Gustafsson(ルネ・グスタフソン)が1982年のアルバム『 La Musique 』で「 ARTHUR'S THEME 」(3:15)をカヴァーしています。ナイロン弦のギター、ベース、ヴィブラフォンというユニークなトリオ編成。ギター、ヴィブラフォンがそれぞれ軽快なアドリヴを披露し、ベースもよく動きます。フュージョンではなくジャズの範疇だと思いますが、聴き心地良く好印象です。
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実は、それ以前にも米国のプロデューサー/編曲家/指揮者/ピアニストのAl De Lory(アル・デロリー)が1980年のアルバム『 Somebody's Knockin' 』で「 ARTHUR'S THEME 」(3:59)をカヴァー。ピアノをメインとしたバンド形式。おとなしいフュージョンというか、イージーリスニングとの境界スレスレで紹介するの躊躇しましたが、ジャケットで情けないポーズをしてるアル・デロリーに免じて紹介した次第😅。DiscogsやWikiには1980年リリースとなっていて、あれっ? オリジナルのクリストファー・クロスが1981年夏にリリースした曲を1980年にカヴァーできる訳ないやん🤔…とツッコミを入れつつ。


【データ】
『 Digits 』
David Benoit

LP:1983年リリース (所有CDは、1990年リイシューのUS盤)
レーベル:AVI Records (US) (所有CDは、Bluemoon (US))
番号:AVI-6183 (所有CDは、R2 79159)

Produced by Laurin Rinder and W. Michael Lewis
Synthesizer Programming - W. Michael Lewis
T-4.「 ARTHUR'S THEME 」
  David Benoit: Piano, Synthesizer
  Bobbye Hall: Percussion
  Wade Short: Bass
  Gary Ferguson: Drums

(R)1983 AVI Record Productions ©️1990 Mesa/Bluemoon Rcordings, Ltd.
Marketed by Mesa/Bluemoon Rcordings, Ltd.
Licensed and Distributed by Rhino Records, Inc.

AmazonリンクリイシューCD

2024年5月19日 (日)

I'll Never Fall In Love Again/Bob Dorough (1970年)

ボブ・ドローがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンものインスト・レコードです。バカラック作品を4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (3:20)
A2. THE LOOK OF LOVE (2:50)
B1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (3:30)
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (2:50)


ボブ・ドローがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンもののインスト・レコードです。

先月Discogsで入手したのですが、私はボブ・ドローを全く知らなくて…。CDジャーナルさんのサイトから以下引用させていただきます🙇。

─ 1923年12月12日アーカンソー州チェリーヒル生まれ。ヴォーカリスト、ピアニスト。ノーステキサス州のカレッジで作曲とピアノを学び、1954年から1年ほどシュガー・レイ・ロビンソンの伴奏・編曲者となりカナダやフランスに楽旅した。ニューヨークでは自己のトリオを結成し注目され多くのコンボと共演も。マイルス・デイヴィス『ソーサラー』への参加でも知られる。1956年、『デヴィル・メイ・ケア』でアルバム・デビュー。1973~85年には米の国民的子供番組『スクールハウス・ロック』で音楽を担当、「スリー・イズ・ア・マジック・ナンバー」で一世を風靡した。2013年6月、89歳にして初来日公演が決定。  ─ (CDジャーナルさんの公式サイトより、2013年5月)

その後2015年にも来日して元気な姿を見せるも、2018年4月帰らぬ人に…
。享年94歳はバカラックさんと同じですね、合掌。

本アルバムのレーベル:Music Minus One(略してMMO)は、教育目的のためにソリストパートなしで録音したレコード等(ピアノなしのピアノ協奏曲など)が付属する楽譜を制作する会社。1950年に設立されNYに本拠を置いてました。リリースしたアルバムはDiscogsに載ってるだけでも600タイトル以上。多くの録音で、有名&腕っこきのミュージシャンを起用したそうです。


ボブ・ドローは、MMOから少なくとも8タイトルをリリース(Discogsによる:あるでお調べ)。レコード番号順に『 The Medieval Jazz Quartet Plus Three 』[CE 1050]、『 The Music of Nacio Brown 』[MMO 1017]、『 The Harry Warren Songbook 』[MMO 1019]、『 Swing Or Sing Along 』[MMO 1021]、『 The Gershwin-Porter Songbook 』[MMO 1023]、『 本アルバム 』[MMO 1069]、『 A Taste Of Honey 』[MMO 1070]、『 Watch What Happens! 』[MMO 1075]、とまぁこんな具合。

んで、本アルバム。Hi-Fiレコード・ストアさんの公式サイトに載っていた紹介コメントを引用させて頂きます(Hi-Fiさんの紹介コメントが購入する引き金になったものですから…)。

─ ボブ・ドロウが手ほどきする歌のないバカラック。 ボブ・ドロウがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンものインスト・レコード(歌の教則用レコード)。レパートリーはバカラック・ナンバーを始め、60年代ソフトロックの名曲ばかり。エレピ中心で、コンガやソフトなブラスを効かせたアレンジがさすが。スチュワート・シャーフ、ビル・グッドウィンらが参加。歌メロディがないことで、逆にコード展開などがつかみやすく感じられます。もちろん、あわせて歌ったってよいでしょう! ジャケもいい! 譜面ブックレットなし。   ─ (Hi-Fiレコード・ストアさんの公式サイトより。原文ママで。ただし、今現在は在庫が無いようで表示されません…。)

ジャケもいい! …私も同感ですが、ボブ・ドローは裏ジャケ写真の人物で表ジャケの方は別人ですよね。一体誰なん?

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 ↑ は裏ジャケの曲目リストを拡大したもの。普通のレコードには記載が無い Key と Tempo が新鮮です 。

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演奏しているのは弦楽器入り小規模ビッグバンドといった感じ。ピッチ合わせのためか、A面/B面とも最外周にA=440Hz(ラの音)のテストトーンが入っているのが面白いです。メロディは殆どありません(うっすら流れる箇所もありますが)。でも、所謂カラオケとはちょっと違います。カラオケの演奏は通常原曲を完コピしているのに対し、本作では独自のアレンジを施しているんですねー。

全10曲中4曲あるバカラック作品について簡単に触れます。A1.「 恋よさようなら 」は、全編でコンガをフィーチャーしたラテン調の軽いアレンジ。A2.「 恋の面影 」は、他では聴いたことが無いEベースの16分音符のリフが斬新で、サビでのストリングスのオブリガートも印象的。B1.「 雨にぬれても 」は、可愛らしいアレンジでフルートのオブリガートが心地良い。B4.「 遥かなる影 」が4曲の中では最も意表をつくアレンジ。ブラスによるムード歌謡っぽい9小節のイントロ、全編に流れるアコギとエレピによる8ビートの刻み(そう、シャッフルのリズムじゃないんです!)。一方でカーペンターズ版にあるサビ後の5連符はありません。テンポこそカーペンターズ版とほぼ同じですが、全米1位になったばかりの大ヒット曲をけっこういじってるなぁ…と。

ボブ・ドローによる裏ジャケの各曲解説は、アレンジの説明&歌う方へのアドバイス。一例としてB4.「 遥かなる影 」の解説を載せますね。 

─ 4.「 遥かなる影 」…イントロは長いですが、非常に明快です。 2つのスタッカートの和音は、"Why do"というワード(あるでお注:歌い出しの歌詞)を導くためのクリーンな間です。ワンコーラスの後、繰り返してフェードアウトします。冒険好きな人は、ただ1つのセリフを何度も歌うのではなく、繰り返し中に新しいセリフやワードを創作してもよいでしょう。  ─ (ボブ・ドローによる解説文。拙意訳で)

アレンジに光るところは多々見られるものの、やはり主メロが聴こえないのは(カラオケ🎤するなら別ですが)ツマンナイ。わざわざ買うほどじゃないか…というのが率直な感想。Hi-Fiレコード・ストアさんには申し訳ないですが…。

さて、ここからは参考情報です。
私は所有していないのですがMMOシリーズにはバカラック集が5タイトルもあります。
『 Bacharach Revisited - 10 Backgrounds For Male Singers 』[MMO 1056]、『 Bacharach For The Ladies 』[MMO 1057]、『 Bacharach Revisited: Bacharach For Instrumentalists 』[MMO 1058]、『 Bacharach For Pianists (Music Minus One Piano) 』[MMO 1059]、『 Bacharach Organized (Music Minus One ORGAN) 』[MMO 1060]

これら5タイトルは全て1969年のリリース。収録曲(全10曲、曲目&曲順も)に加えて、Orchestra Arranged & Conducted by Jack Six、Personnelなど裏ジャケットの記載が全く同じなので音源も同一と思われます。以前から存在は知っていたのですが、どうせカラオケ音源だろうと高を括って無視してきました。本アルバムが単なるカラオケ音源じゃないとわかった今、どうしたものかと思案中…。


【データ】
『 I'll Never Fall In Love Again 』
Orchestra arranged and conducted by Bob Dorough
Music Minus One Singer or Instrumentalist

LP:1970年リリース
レーベル:Music Minus One (US)
番号:1069

Producer: Bob Dorough
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Recorded at Lincoln Sound Center
Complete Music and Lyrics for C, Bb, Eb and Bass Clef Instruments Included. … 入手した中古レコードに楽譜は入ってませんでした。まぁ仕方ないですねー、そもそも楽譜がメインでレコードはオマケですから。

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2024年5月12日 (日)

バカラック・ベスト~バート・バカラック・ソングブック/V.A. (2012年)

バカラック5度目の来日公演を記念して2012年にユニバーサルからリリースされた、日本編集のCD2枚組バカラック・コンピ集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Disc 1
1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Jack Jones 〜  M
2. DON'T MAKE ME OVER  〜 Patti LaBelle 〜  F
3. WALK ON BY  〜 Smokey Robinson & The Miracles 〜  M
4. THIS G'S IN LOVE WITH YOU  〜 Frankie Valli 〜  M
5. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Martha Reeves & The Vandellas 〜  F
6. WISHIN' AND HOPIN'  〜 The Merseybeats 〜  M
7. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Julius Wechter & The Baja Marimba Band 〜  M
8. ONE LESS BELL TO ANSWER  〜 McCoy Tyner 〜
9. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Jimmie Rodgers 〜
10. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 Bossa Rio 〜  FM
11. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Dusty Springfield 〜  F
12. MAGIC MOMENTS  〜 Ronnie Aldrich 〜
13. THE STORY OF MY LIFE  〜 Connie Francis 〜  F
14. TOWER OF STRENGTH  〜 Frankie Vaughan 〜  M
15. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Richard Chamberlain 〜  M
16. FOR THE CHILDREN  〜 Burt Bacharach 〜  M
17. FALLING OUT OF LOVE  〜 Burt Bacharach 〜  F
18. WHO'LL SPEAK FOR LOVE  〜 Burt Bacharach 〜  F
19. THE LOOK OF LOVE  〜 Chris Montez 〜  F
20. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  〜 Michael Ball 〜  M
21. Hallo, Pussycat (WHAT'S NEW PUSSYCAT?)  〜 Gus Backus 〜  M

Disc 2
1. THE APRIL FOOLS  〜 Vanessa Williams 〜  F
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 The Dells 〜  M
3. WIVES AND LOVERS  〜 Rita Reys 〜  F
4. ALFIE  〜 Dee Dee Warwick 〜  F
5. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Julie Rogers 〜  F
6. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  〜 Paul Mauriat 〜
7. ANY DAY NOW  〜 Bill Medley 〜  M
8. US  〜 Tom Jones 〜  M
9. HE WHO LOVES  〜 Lenny Welch 〜  M
10. WAITING FOR CHARLIE (TO COME HOME)  〜 Marlena Shaw 〜  F
11. PROMISE HER ANYTHING  〜 Tom Jones 〜  M
12. WHO'S GOT THE ACTION?  〜 Phil Colbert 〜  M
13. SAY GOODBYE  〜 Pat Boone 〜  M
14. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  〜 Richard Chamberlain 〜  M
15. BLUE GUITAR  〜 Richard Chamberlain 〜  M
16. THAT'S THE WAY I'LL COME TO YOU  〜 Jack Jones 〜  M
17. DREAMIN' ALL THE TIME  〜 Jack Jones 〜  M
18. FORGIVE ME  〜 Babs Tino 〜  F
19. PICK UP THE PIECES  〜 Jack Jones 〜  M
20. TEN THOUSAND YEARS AGO  〜 Rusty Draper 〜  M
21. WITH OPEN ARMS  〜 Jane Morgan 〜  F
22. PARADISE ISLAND  〜 The Four Aces 〜  M
23. LOVING IS A WAY OF LIVING  〜 Steve Lawrence 〜  M
24. HOT SPELL  〜 Margaret Whiting 〜  F
25. THESE DESPERATE HOURS  〜 Mel Tormé 〜  M
26. KEEP ME IN MIND  〜 Patti Page 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間(Disc1/2)約75分/約75分


❗️バカラックさん生誕96年🎊 今日(5月12日)はバカラックさんの誕生日ということで、お祝いムードが何処となく感じられるアルバムを取り上げます。5度目の来日公演を記念して2012年にユニバーサルからリリースされた、日本編集のCD2枚組バカラック・コンピ集です!

─ ユニバーサル ミュージックの著名なアーティスト陣によるバカラック・カヴァーで2008来日公演を再現! スペシャル・トラックとしてバカラック本人演奏の最新曲「 FOR THE CHILDREN 」収録!! さらに、知られざるレアなユニバーサル オリジナル音源を集大成!!! ─ (CDの帯より)

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裏ジャケやCDの帯を見て何かデジャヴ(既視感)を感じませんか?
本コンピ集の英題は The Universal Sound Of Burt Bacharach Vol.2 。そうです、本作は2008年リリースのバカラック・コンピ集『 バカラック・ベスト〜生誕80年記念スペシャル(英題:The Universal Sound Of Burt Bacharach)』の第2弾でございます。デザインそっくりですもんね🤗。

…てことは、選曲&監修は日本におけるバカラック研究の第一人者である坂口修さん。なかなか他のコンピ集では見られないバージョンを丁寧に選んでコンパイルしとられます。坂口さん自身による解説はもとより、歌詞と対訳が載ってるのも嬉しいですね(Disc2-9 と Disc2-13 の2曲を除く)。


─ 彼のソロとオリジナル・アーティストによるヒット曲を1971年初来日公演の曲順で並べ、小倉智昭氏がCX「とくダネ!」で紹介して下さり好評だった前作(あるでお注:前述した2008年リリースのバカラック・コンピ集)に引き続き、今回は著名なユニバーサル アーティスト陣の華麗なるカヴァー・ヴァージョンで前回2008年のステージをダイジェスト的に再現してみた。 さらにボーナスとして、知らざれるBacharachのレアなユニバーサル オリジナル音源を集大成。 豊富な音源を誇るユニバーサル ミュージックだからこそ実現したBurt Bacharach究極の作品集Part 2である。  ─ (解説より、坂口修氏)

収録全47曲の構成は以下の通りです。
Disc 1  1〜21. A Tribute to Burt Bacharach Japan Tour 2008 [Part 1]

Disc 2  1〜7.   A Tribute to Burt Bacharach Japan Tour 2008 [Part 2]
           8〜26. Rare Tracks

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─ 本CDの目玉は、なんと言ってもBurt Bacharachの最新曲「 FOR THE CHILDREN 」を収録できたこと。日本公演直前の2008年1月31日にシドニー・オペラハウスで行われたオーストラリア公演で録音された物だが、「 FALLING OUT OF LOVE 」と「 WHO'LL SPEAK FOR LOVE 」の3曲はアルバム『 Live At The ydney Opera House 』(UCCV-1119)には収録されていない。オーストラリア&ニュージーランドのみでリリースされた2枚組デラックス・エディションでやっと日の目を見たが、そこに収録された「 FOR THE CHILDREN 」は3分21秒に編集されたショート・ヴァージョンだった。10分56秒にも及ぶフル・サイズを堪能できるのはこれしかない!  ─ と坂口さんも興奮気味に解説しとられます。

その2枚組デラックス・エディションですが、拙ブログの紹介記事でも書いたように ─  「 FOR THE CHILDREN 」は、<CD2> のT-11.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム  」の後半 ~ T-12.に跨って収録されています。CD編集時にチャプターマークをつけ間違えたようです。惜しいです。まぁ、続けて聴く分には支障ないですけれど。  ─ でして、編集したショート・ヴァージョンではありません。そのことだけ申し添えておきます。

あと、フランキー・ヴァリのDisc 1-4.「 ディス・ガイ 」マッコイ・タイナーのDisc 1-8.「 悲しみは鐘の音とともに 」マイケル・ボールのDisc 1-20.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」は、それぞれ収録アルバムの拙ブログ紹介記事にリンクしておきます。


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Disc 2 の8トラック目からのRare Tracksは、Disc 2-10.を除いて全てオリジナル・アーティスト。曲順が進むごとに時代が遡るっていうところにも坂口さんの拘りを感じます。

ヴァネッサ・ウィリアムスのDisc 2-1.「 エイプリル・フール 」ザ・デルズのDisc 2-2.「 雨にぬれても 」リタ・ライスのDisc 2-3.「 素晴らしき恋人たち 」は、それぞれ収録シングル/アルバムの拙ブログ紹介記事にリンクしておきます。

当初本コンピ集は2012年9月の来日公演に合わせてリリースする予定が、諸事情により発売が大幅に遅れてしまたそうです。そこで追記として『 Billboard Live news 』2012年11月号に掲載したLive Reportを2ページ強にわたって再録くださっています。引用は差し控えますが、バカラックファンに寄り添う坂口さんには本当に感謝の念しかありません。こんなに手の込んだ本コンピ集が税抜き価格¥3,048だなんて、安すぎる! 坂口さんありがとうございますです。


【データ】
『 バカラック・ベスト~バート・バカラック・ソングブック 』(英題:The Universal Sound Of Burt Bacharach Vol.2)
V.A.

CD:2012年12月26日リリース
レーベル:USM JAPAN (JP)/Universal Music (JP)
番号:UICZ-1454~5

This Compilation (P)&©️ 2012 USM JAPAN, a division of UNIVERSAL MUSIC LLC
Marketed & Distributed UNIVERSAL MUSIC LLC
Supervised & Compiled by Osamu Sakaguchi 坂口 修 (O.S.T. INC.)
ライナーノーツ:坂口 修
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2024年5月 5日 (日)

Papier Mâché/Pilar Tomas (1970年)

フランスの女性歌手、ピラール・トーマスが1970年にリリースしたシングルです。A面でバカラックの「 ペイパー・マシェ 」をカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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しっかりした紙製ジャケットの表/裏

A. Papier Mâché (PAPER MACHE) (2:52)
B. La Golondrina (3:07)


フランスの女性歌手、ピラール・トーマスが1970年にリリースしたシングルです。
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ピラール・トーマスについては前回記事『 Pilar Tomas 』(1969年)をご覧ください。…と言っても、詳しい情報ではありませんが…😅。

彼女がカヴァーしたバカラック曲はA面の「 Papier Mâché 」。オリジナルはディオンヌ・ワーウィックの「 PAPER MACHE(ペイパー・マシェ)」で、1970年の4月リリースのアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』に収録、同年7月にシングルカット(全米43位)されました。ピラール・トーマスはこの曲をフランス語詞で歌っています。

paper mache を英和辞典で引いてみたのですが、見出し語にズバリそのものは載っておらず…

papier-mâché n. [U] 混凝紙[張り子細工用]; 張り子   ─adj. 1 混凝紙で作った 2 模造の; 欺まん的な [<F  chewed paper  <paiper paper +mâché chewed] (出典:旺文社英和中辞典©️1975、発音記号は省略)

語感から薄々感じてはいましたが、元々フランス語なんですねー。混凝紙とはパルプ、紙片、布片などと糊を混ぜたもの。“こんくりがみ”と読み、混凝はコンクリートを意味するんだそう。知らんかったー。Hal David が作詞した原曲の歌詞を読んでみましたが、張り子で作られた世界を歌っていて消費文明をチクリと皮肉ってる感じも受けます。

さて本題。ピラール・トーマスのカヴァーは、キー(歌い出しの音:F)とテンポ(♩≒130)いずれもディオンヌ版と同じ。曲全体の構成も同じだし、イントロのマリンバのリフ、アコギのリフ、サビ部分の歌唱ハモリ、トランペットのオブリガートなど主要なアレンジも同じ。所謂完コピってヤツですね(原曲にあるオカリナのオブリガートなど一部のオカズは省略されてますが)。ピラール・トーマスの歌唱はその特徴である細かいビブラートが曲にマッチしているようで、軽く歌っているディオンヌとどっこいどっこいと言ったところ。ただ、こうなると本家に勝るものはないんですよねー。

B面はドリーミーな曲ですが、彼女の細かいビブラートの歌声は曲にあまりマッチしてない気がします。

ここからはオマケ。MP3で所有している「 ペイパー・マシェ」のうち1970年にリリースされたカヴァーをご紹介!
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ピラール・トーマスと同じ1970年、Sylvia Vrethammar(シルヴィア・ヴレタマー)というスウェーデンの女性ポップ/ジャズ・シンガーが「 PAPER MACHE 」をスウェーデン語詞でカヴァーしています。2ndアルバム『 Sylvia 』に収録されていて、曲名は「 På En Öde Ö 」(2:54) 。どういう風に読むんでしょうか🤔。キーは同じでテンポは♩≒132とほんの少し速いだけ。オカリナのオブリガートもきっちり入ってて、アレンジはピラール・トーマス版以上に完コピです。シルヴィアの歌唱はディオンヌよりも骨太な印象を受けます。
他に1970年にリリースされた「 ペイパー・マシェ 」のカヴァーは、Peter Nieuwerf 版Sir Christopher Scott 版The Carmen Cavallaro Camp 版Floyd Cramer 版がありますが、いずれもインスト物でそれぞれ紹介ずみでございます。
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えぇい、ついでだ! シルヴィア・ヴレタマーの他のバカラック・カヴァーも紹介しちゃえ!
彼女は1969年にリリースした1stアルバム『 Tycker Om Dej 』で「 世界は愛を求めている 」と「 アルフィー 」の2曲をカヴァー。やはりスウェーデン語詞で歌っていて、曲名は「 Vad Världen Behöver Är Kärleken 」(3:36) と「 Alfie 」(2:53) 。どちらの曲も、豊穣なストリングスを軸にしたゆったりアレンジ。彼女の歌声はメリハリがあって上手いなぁと思います。
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もぅ一丁ついで!
シルヴィア・ヴレタマーは2019年にリリースしたジャズのアルバム『 Vortex 』で「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(3:28) をカヴァー。アルバムジャケットのお姿はとても50年経ったようには見えません。テンポの速いウォーキングベース&キレのあるピアノをバックに英語詞のまま歌っています。メリハリのある歌唱も変わっておらず素敵です。


【データ】
「 Papier Mâché 」/「 La Golondrina 」
Pilar Tomas

7"single:1970年リリース
レーベル:CBS (FR)
番号:5257

Orchestre, direction:Jean Claudric
A.「 Papier Mâché 」(French version of PAPER MACHE)

      B.Bacharach - E. Marnay - Hal David
B.「 La Golondrina 」
      Arranged By Jean Claudric - E. Marnay

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年4月28日 (日)

Pilar Tomas/Pilar Tomas (1969年)

フランスの女性歌手、ピラール・トーマスが1969年にリリースした彼女唯一のアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全12トラック中、バカラック作品は1トラック

B3. Folie D'avril (THE APRIL FOOLS) (2:51)


フランスの女性歌手、ピラール・トーマスが1969年にリリースした彼女唯一のアルバムです。

ピラール・トーマスについてはよくわからなかったのですが、
ひょんなことから情報を得ました。オマケとして後述します。

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本アルバムの12曲は全てフランス語詞の曲で、バカラック・カヴァーの1曲を除いて私の知らない曲ばかり。フォーキーな曲からラテン調の曲、陽気な曲から哀愁漂う曲まで色々なタイプが揃っています。ピラール・トーマスの歌唱は細かいビブラートが特徴的。落ち着いた大人の歌手といった印象です。

んで、バカラック・カヴァーはB3.「 Folie D'avril 」。1969年公開の映画『 The April Fools(幸せはパリで)』の主題歌「 THE APRIL FOOLS(エイプリル・フール)」をフランス語詞で歌っています。曲名の Folie D'avril を直訳すると Madness of April = 4月の狂気。THE APRIL FOOLS の意味する "4月馬鹿たち" とは微妙に違うような気がするのですが…
。誰かフランス語が堪能な方に教わりたいっす。フランスの有名なソングライター、Eddy Marnay(エディ・マーネイ)による歌詞の中身も気になりますね。それにこの方、この曲を“歌って”カヴァーした最初の人っぽいです(あるでお調べ→こちら)。

オリジナルのディオンヌ・ワーウィック版と較べてキーは半音高くテンポも若干速め(ディオンヌ版の♩≒77に対して♩≒82)ですが、アレンジの基本はディオンヌ版そのもの。トランペットが吹くイントロメロやオブリガート、全編に漂うアコギの刻みなどはディオンヌ版を踏襲しています。一方で、和音を奏でるストリングスをオルガンに置き換えたり、グロッケンやマリンバ、チェロ、ハープによる独自のオブリガートを加えるなど、哀愁が増す方向に味付けして曲の魅力を高めています。この編曲家はいい仕事してますね。ピラール・トーマスは持ち味の細かいビブラートを効かせて丁寧に歌っていますが、表現力豊かなディオンヌの前ではちょっと分が悪いかな…。

ここからはオマケ。なんと、彼女は「 THE APRIL FOOLS(エイプリル・フール)」の日本語詞バージョンを歌い、日本でシングルをリリースしていたんです。こちら ↓ がその証拠。Discogsに載ってた画像を拝借しました、悪しからず。
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CBS・ソニーから1970年にリリース(SONG 80181、定価¥400)されたもので、タイトルは「 幸せはパリで = THE APRIL FOOLS 」(訳詞:岩谷時子)。カップリングは「 Zの愛のテーマ = THEME FROM “Z” 」(訳詞:山川啓介)で、本アルバムのA1.「 Un Homme Dans Une Île 」ですね。非公式ですがYouTubeにアップされています。私も聴きましたが、バックトラックは本アルバムと全く同じでした。

シングルにピラール・トーマスのプロフィールが書いてありましたので、引用して紹介します。
─ ピラール・トーマスは、B面にも収録されている「 Zの愛のテーマ 」をヒットさせ、デビューを飾ったフランス・ポップス界の新人で、そのメランコリックな歌い方は、むしろ日本人向きとも言えるフィーリングを感じさせます。すでに本国フランスでは「 星を追いかけて 」(Tout En Suivant L'étoile)、「 愛のまえでふるえないで 」(Ne Tremble Pas Devant L'Amour)のヒットがあり、今後の活躍が大いに期待されています。  ─

結局ピラール・トーマスは1971年のシングル1枚を最後に表舞台から消えてしまいました。何があったんでしょうねぇ。


【データ】
『 Pilar Tomas 』
Pilar Tomas




LP:1969年リリース (所有LPは、同年リリースのカナダ盤)
レーベル:CBS (France) (所有LPは、Columbia (Canada))
番号:S 63938 (所有LPは、FS-719)

Direction Artistique(Producer):Ph. Boutet
Orchestre, direction:Jean Claudric (except A1,B4), Bernard Gerard (A1,B4)
B3.「 Folie D'avril 」(French version of THE APRIL FOOLS)
      E. Marnay - B.Bacharach

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年4月21日 (日)

Burt Bacharach Long Ago Last Summer 1959-61/V.A. (2012年)

作曲家バート・バカラック、1959年〜1961年の作品ばかりを集めた英国編集のコンピ集です。2012年リリース、マニア向け。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. DREAM BIG  〜 Sonny James 〜  M
2. LOVING IS A WAY OF LIVING  〜 Steve Lawrence 〜  M
3. MAKE ROOM FOR THE JOY  〜 Jack Jones 〜  M
4. PARADISE ISLAND  〜 The Four Aces 〜  M
5. MOON MAN  〜 Gloria Lambert 〜  F
6. THE HANGMAN (Inspired By the Film "The Hangman")  〜 John Ashley 〜  M
7. THE NET  〜 John Ashley 〜  M
8. WITH OPEN ARMS  〜 Jane Morgan 〜  F
9. FAKER, FAKER  〜 The Eligibles 〜  M
10. IN TIMES LIKE THESE  〜 Gene McDaniels 〜  M
11. A GIRL LIKE YOU  〜 Larry Hall 〜  M
12. YOUR LIPS ARE WARMER THAN YOUR HEART  〜 Rosemary June 〜  F
13. TWO HOUR HONEYMOON  〜 Paul Hampton 〜  M
14. CREAMS  〜 Paul Hampton 〜
15. YOU'RE ONLY YOUNG ONCE (Yeh Yeh Yeh)  〜 The Avons 〜  M
16. CLOSE  〜 Keely Smith 〜  F
17. LONG AGO LAST SUMMER  〜 Diana Trask 〜  F
18. BOYS WERE MADE FOR GIRLS  〜 Everit Herter 〜  M
19. I COULD MAKE YOU MINE  〜 The Wanderers 〜  M
20. JOANIE'S FOREVER  〜 Buddy Clinton 〜  M
21. THREE WHEELS ON MY WAGON  〜 Dick Van Dyke 〜  M
22. AND THIS IS MINE  〜 Connie Stevens 〜  F
23. MOON GUITAR  〜 The Rangoons 〜
24. LOVE IN A GOLDFISH BOWL  〜 Tommy Sands 〜  M
25. I WAKE UP CRYING  〜 Chuck Jackson 〜  M
26. THE ANSWER TO EVERYTHING  〜 Del Shannon 〜  M
27. DEEPLY  〜 The Shepherd Sisters 〜  F
28. YOU DON'T HAVE TO BE A TOWER OF STRENGTH  〜 Gloria Lynne 〜  F
29. YOU'RE FOLLOWING ME  〜 Perry Como with The Ray Charles Singers  〜  M
30. THE BREAKING POINT  〜 Chuck Jackson 〜  M
31. THE MIRACLE OF ST. MARIE  〜 The Four Coins 〜  M
32. SOMEBODY ELSE'S SWEETHEART  〜 The Wanderers 〜  M
33. BABY IT'S YOU  〜 The Shirelles 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約79分


作曲家バート・バカラック、1959年〜1961年の作品ばかりを集めた英国編集のコンピ集です。

…バカラック物コンピレーションアルバムを取り上げるのは『 WIR LIEBEN BACHARACH 』(2012年) 以来、およそ3年ぶり。紹介していないアルバムがまだ5タイトル残ってるのに、リスト作成が面倒臭くてず〜っとサボっておりました。古い音源はサブスク等でいつでも聴ける時代になりコンピ集紹介する意味あんのかなぁ、などと思ったりもして…。拙ブログもほぼネタが底をつき、ヨッコラショとようやく重い腰を上げたワケです💦。

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─ バカラック初期作品集第2弾。50年代後半から60年代前半に作られた貴重なトラック全33曲。バカラック・マジックに彩られたドリーム・ポップ・ワールド ─

私が所有するCDは輸入盤に日本語の帯が付いた所謂 <国内仕様輸入盤> で、上記はその帯に書かれていたPR文。シリーズ第1弾の『 Burt Bacharach The First Book of Songs 1954-58 』(2009年)は輸入盤を買ったのですが、日本語解説のある国内仕様にしとけば良かった…と後悔したことを思い出して第2弾ではこの国内仕様輸入盤を購入いたしました。

収録曲をいつものようにリスト化してみます。大きくしてご覧くださいませ。
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収録されてる全33曲は1959年〜1961年にリリースされた曲ばかり。この3年間にリリースされたバカラック楽曲はおよそ60曲ありますので、約半数に当たります。
この3年間でヒットしたバカラック作品というと、「 PLEASE STAY(プリーズ・ステイ)」〜 The Drifters:US#14、「 TOWER OF STRENGTH(タワー・オブ・ストレングス)」〜 Gene McDaniels:US#5/Frankie Vaughan:UK#1、「 BABY IT'S YOU(ベイビー・イッツ・ユー)」〜 シレルズ:US#8 等がありますが、収録されたのはT-33.「 ベイビー・イッツ・ユー 」のみ。ヒットした曲よりレア曲を優先している感じです。他のバカラック物コンピ集(私が所有しているものに限りますが)では見かけない曲も5曲あります。作詞家はやはりハル・デイヴィッドが19曲と多いですね。ボブ・ヒリアードが6曲、ポール・ハミルトンが3曲と続きます。

そして33曲全てがオリジナル・アーティストのバージョン。つまりオリジナル率100%。これまでご紹介してきたバカラック物コンピ集では初の快挙! …まぁ、この頃のレア曲はそもそもカヴァーされることが少ないしなぁ。実際、33曲のうちカヴァーが存在するのは11曲(T-8,10,11,16,19,21,25,26,29,30,33.)だけと、3分の1しかありません。

まだバカラックの曲と明確にわかる曲は少ないですが、可笑しな曲はそれなりにあります。T-6.「 ザ・ハングマン 」とT-7.「 ザ・ネット 」は同じシングルのA,B面で、どちらも映画に引っ張られた奇妙な雰囲気の曲。自動車事故とカエルの鳴き声で始まりサックスのハーレム調メロディが印象的なT-13.「 トゥ・アワ・ハネムーン 」とミュート・トランペットが剽軽な
T-14.「 クリームス 」は、どちらもドラマのダイアログ風。

本コンピ集のタイトルにもなっているT-17.「 ロング・アゴー・ラスト・サマー 」について少々。この曲は、米国の作家テネシー・ウィリアムズが書いた同名戯曲を映画化した1959年公開の米/英映画『 SUDDENLY, LAST SUMMER(去年の夏 突然に)』の宣伝ソング。ストリングス/男声コーラス/ホルンが奏でる弾むようなリフが古風な印象を与えます。麗しい歌声のダイアナ・トラスクは1940年オーストラリア生まれの女性シンガー。1959年に渡米して1962年までColumbiaレーベルでポップシンガーとして活動。この曲はColumbiaで2枚目のシングル曲でした。テレビ番組にも多数出演。のちに1968年〜1981年にかけて18枚のシングルを米国のカントリーチャートに送り込んでます。

…はぁ、リスト作るのに草臥れたので曲に関するコメントはこの辺でやめときます😅。興味ありましたらサブスク等でお聴きになってみてください。

英文ライナーノーツは個別の楽曲紹介は無く、概説風で所々曲のコメントもあるというもの。
折角ですからその日本語訳の一部を引用しましょう。
─ このコレクションでは、既に一連の奇妙な例外的なサウンドや、その後のBacharachサウンドの萌芽というべきものが見られるのだ。60年代中期には英国全体があの Bacharach サウンドに感染していた。(略)Bacharach 特有の手法の中でも、ニューヨークの香り豊かなストリングスの豊かな響き、そして分厚いヴォーカルが際立っており、さらに大西洋(Atlantic)のようにブルーで、分厚いコードが聴かれるのだ。Bacharachの音楽は、親しみやすいスナップ・ショットという趣の「 MAGIC MOMENTS 」から Connie Stevens による手触りのT-22.「 AND TIME IS MINE 」に至るまで常に野心的であり、その究極が Dionne Warwick の数々のアルバムに於ける豪華なサウンドなのだ。Gene McDaniels のT-10.「 IN TIME LIKE THESE 」は一聴の価値がある。それはスタンダードなカクテル・ラウンジのバッキングと天使の様な女性コーラスをあしらい、'50年代後期の雰囲気満点だが、和音の展開が意表をつくもので、気持ちをグッと掴まれるのだ。  
 (Bob Stanley, Highgate, May 2012/翻訳:栗船主税)

なんかよくわかりませんね…。まぁいいや😅。(投げやり)


【データ】
『 Burt Bacharach Long Ago Last Summer 1959-61 』(邦題:バート・バカラック ロング・アゴー・ラスト・サマー 1959-61)
V.A.

CD:2012/6/19リリース (所有CDは、国内仕様輸入盤で2012/8/18リリース)
レーベル:Él in association with Cherry Red Records(UK) (所有CDは、Solid Records / ULTRA-VYBE (JP))
番号:ACMEM233CD (所有CDは、CDSOL-7763)

Recording dates:T-1-10. 1959、T-11-20. 1960、T-21-33. 1961
Liner Notes - Bob Stanley
(C)2012 Cherry Red Records

Amazonリンク(CD)(国内仕様輸入盤CD

2024年4月 7日 (日)

GYPSY BELLS Columbia Recordings 1967/Lou Christie (2024年)

米国男性歌手、ルー・クリスティのColumbiaレーベル在籍時のコンプリート集です。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全24トラック中、バカラック作品は1トラック

14. HOW MANY DAYS OF SADNESS (3:10)


米国男性歌手、ルー・クリスティのColumbiaレーベル在籍時のコンプリート集です。

ルー・クリスティ( Lou Christie、1943年2月19日 - )は、アメリカ合衆国の男性歌手、シンガーソングライター。1960年代前半〜中盤にかけて、ファルセットが特徴的な楽曲を複数ヒットさせています。私は彼を本アルバムで初めて知ったど素人。…ということでディスクユニオンさんのサイトに載ってた本アルバムの “商品詳細情報” をそっくり引用させていただきます。

─ 一聴して彼とわかる4オクターブの歌声で多くのヒットをとばしたルー・クリスティ。全米1位を獲得した66年「Lightnin' Strikes」を初めヒットを連発し人気絶頂の中、マネージャーのスタン・ポリーはMGMからコロンビアへの移籍を画策し、レコーディングを行いました。67年当時すでに大物プロデューサー兼アレンジャーのチャーリー・カレロはそれまでヒットを凌駕することを狙い数枚のシングルを制作するも全国的なヒットにはつながらず、アルバム制作に至らないまま残された音源はその後日の目を見ることがありませんでした。今回コロンビアの倉庫に秘められたそれらの音源がついにリリースとなります。不気味な「Don't Stop Me」、進歩と平等を訴える軽快な「Self Expression」、クラシック・クリスティといえる「Yellow Lights Say」と「Gypsy Bells」、予想外に生々しい「Paper And Paste」、そして特にフック満載な「Holding On For Dear Love」、ツィラ・ハーバートと共作した「Blue Champagne」は「Escape」をも凌駕し、ジョビンの「Meditation」、バカラック&デヴィッドの「How Many Days Of Sadness」、カール・フィッシャー/ビル・キャリー「You've Changed」では、これまでに聴いたことのない彼の声を聴けます。ここに収録された楽曲の幅広さは、彼がいかに様々音楽から影響を受け、それらの要素を巧みに取り入れて、豊かでかつ極めてユニークなものを作り上げていたことを記しています。  ─ディスクユニオンさんのサイトより)

彼は、コロムビアではシングルを3枚リリースしただけでブッダ・レコードに移籍してしまいます。英ACEから先々月リリースされたばかりの本アルバムはそれらシングル3枚に未発表音源を全て収めたコロムビア・イヤーの作品集という訳です。

さて、上述の通りバカラック・カヴァーはT-14.「 HOW MANY DAYS OF SADNESS(悲しみの日々)」。オリジナルはディオンヌ・ワーウィックで、1964年10月にリリースしたシングル「 REACH OUT FOR ME(リーチ・アウト)」のカップリング曲でした。その後、1965年2月リリースの4thアルバム『 THE SENSITIVE SOUND OF DIONNE WARWICK 』に収められます。そうそう、フランス語バージョンもリリースしています(2018年のアルバム『 ODDS & ENDS SCEPTER RECORDS RARITIES 』参照方)。ディオン版と比べてキーは長三度高くテンポはディオンヌ版(♩≒82)より若干遅め(♩≒77)ですが、基本的にディオンヌのバージョンとほぼ同じアレンジ。高音域の馬力はディオンヌに負けるものの、高低差があってクセのあるメロディをルー・クリスティはしっかり歌っています。好カヴァーと思います。

それにしてもこの曲、ルー・クリスティ以外にカヴァーを聴いたことがありません。そんなレア曲をなぜ彼は歌ったんでしょう?

─ Memories. Lou Christie played the Dionne Warwick original (flip-side of 'Reach Out For Me') over and over on a battery-powered phonogragh with tour bus companion Diana Ross during the Dick Clark Caravan Of Stars, 14 November-6 December 1964.  思い出。 ルー・クリスティは、1964年11月14日から12月6日まで行われたディック・クラーク・キャラバン・オブ・スターズの間、ツアーバスの同行者であるダイアナ・ロスとともに電池式蓄音機でディオンヌ・ワーウィックのオリジナル曲(「リーチ・アウト・フォー・ミー」の裏面)を何度も繰り返し聴いた。  ─ (ライナーノーツより、Google翻訳付き)

なるほど…、ルー・クリスティにとって思い出の曲なんですねぇ。そういえば、X(エックス)にこのライナーノーツの内容がポストされていたのですが、そこにはダイアナ・ロス&ルー・クリスティが車の中?で寝ている写真が添えられていました。当時のツアー中のものなのかなぁ。( → こちら

ここからはオマケです。ルー・クリスティによる他のバカラック・カヴァーをご紹介!
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彼は1966年リリースのアルバム『 Lightnin' Strikes 』で「 (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME(愛の思い出)」をカヴァー。拙ブログでは既にバカラック物コンピ集の中で紹介していますので詳細は割愛します。…と言っても特段触れてないんですけど💦。( → コンピ集『 Burt Bacharach MASTERPIECE Vol.3 』,『 LIPPY LIP BACHARACH 』

他にも、Jack JonesやBobby Veeが歌った「 THAT'S THE WAY I'LL COME TO YOU 」をルー・クリスティが1963年にカヴァーした…というネット情報もあるのですが、確認出来ておりません。悪しからず。


【データ】
『 GYPSY BELLS Columbia Recordings 1967 』
Lou Christie

CD:2024年2月23日リリース
レーベル:Ace Records (UK)
番号:CDTOP 1601

Tracks 7-19,21 & 24 previously unreleased
Stereo except 1-8

T-14.「 HOW MANY DAYS OF SADNESS 」
  (Burt Bacharach, Hal David)
  CO 92284
  Produced & Arranged by Charles Calello

  Recorded 17 July at Columbia's studio at 207 East 30th Street
  Choral overdub 22 August
  Vocal overdub 13 September

Compiled by Harry Young with Mick Patrick
Note by Harry Young with Introduction by Bob Stanley
This compilation (P) and ©️ 2024 Ace Records Ltd
Made in the EU

Amazonリンク

2024年3月10日 (日)

エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力/沖浩一トリオ(1970年)

エレクトーン奏者の沖浩一がギターやドラムスを加えたトリオ編成で録音したバカラック作品集です。1970年10月リリース。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  (2:46)
A2. I SAY A LITTLE PRAYER  (4:48)
A3. LONELINESS REMEMBERS (WHAT HAPPINESS FORGETS)  (2:22)
A4. ODDS AND ENDS  (2:28)
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  (4:12)
A6. THE APRIL FOOLS  (3:51)
B1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE   (4:13)
B2. DON'T MAKE ME OVER  (2:57)
B3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  (3:16)
B4. PROMISES, PROMISES  (2:52)
B5. THE SUNDANCE KID  (1:57)
B6. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  (3:51)

収録時間約40分


エレクトーン奏者の沖浩一がギターやドラムスを加えたトリオ編成で録音したバカラック作品集です。

─ 1958年に日本で開発された電子オルガン、エレクトーン(注1)は、今や電子オルガンの代名詞となってしまった感がある。このレコードで編曲・演奏をしている沖浩一(注2)も大阪学芸大学の特設音楽科でピアノを専攻するかたわら、エレクトーンに興味を持ち、オルガニスト斉藤超に師事、独特の奏法を作りあげた。このレコードで彼は、主に、エレクトーンD-2B型(注3)を自ら改造した楽器を用い、彼のトリオで独特なサウンドの演奏をくりひろげ、オリジナルなバカラック像を作り出している。  ─ (ライナーノーツ「 このレコードについて 」より)

本アルバムは、バカラック初来日コンサート(翌1971年4月)の約半年前…1970年10月のリリース。日本人演奏者によるバカラック・カヴァー集としては比較的早い時期にリリースされました。参考※までにバカラック来日以前に発売されたアルバムをリリース順に紹介します(リンクは拙ブログ記事に跳びます)。なお、キム・サン・ヒーのアルバムは、ヴォーカル以外は全て日本人による演奏であるため掲載しています。※リスト作成:土龍団

リリース アルバムタイトル アーティスト
1969/  3/10 SADAO PLAYS BACHARACH & BEATLES 渡辺貞夫とオールスターズ
1969/11/25 スターゲイザース・バカラックを歌う 岡崎広志とスターゲイザース
1970/  2 サン・ホセへの道≪バート・バカラックの世界≫ 稲垣次郎とリズム・マシーン
1970/  9 バック・トゥ・バカラック ロック・アカデミー弦楽四重奏団
1970/10 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 沖浩一トリオ
1971/  2 田畑貞一ドラムの世界VOL.3 バート・バカラックに挑戦 田畑貞一
1971/  3/25 Sings Tom Jones & Burt Bacharach キム・サン・ヒー(Kim Sang Hee)


エレクトーンの沖浩一を中心に、ドラムス(長谷川昭弘)、ギター(水谷公生, 川崎燎)を加えたトリオ編成。
今ではエレクトーンに当たり前に備わっているオートリズム機能(リズムボックスのこと)ですが、1972年に初めてオートリズム付きエレクトーンが世に出るまではオートリズム無しで演奏されていました。エレクトーンは右手鍵盤でメロディを、左手鍵盤と足鍵盤でリズム伴奏をするのが一般的ですが、エレクトーンだけだとリズムが甘くなるんですね…。当時プロのプレイヤーはコンサートではドラマーと一緒によく演奏していたそうです。本アルバムではドラムスに加えてギターも参加して(このギターがほぼリズムを刻むことに徹しとるんですわ)リズムをサポートしています。そのおかげか、左手鍵盤は和音の他にメロディ(音色を変えて右手鍵盤とハモったり)やオブリガートを弾くことも多くアレンジの幅を広げています。

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なお、ダブルジャケットの見開きは ↑ こんな感じ。クリックして拡大すればなんとか読めると思います。ライナーノーツの大半はバカラックの説明で、他には前掲した「このレコードについて」のみ。取り上げた楽曲についての解説は一切なく、演奏者の顔写真もなし。ただし、来日したハル・デイヴィッド夫妻の写真(拡大しました)は貴重かも。1970年7月だから万博でも観に来たのでしょうか?

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全12曲はバカラックの有名曲が殆どですが、A3.「 ロンリネス・ハッピネス(本アルバムの邦題:愛は想い出)」、A4.「 オッズ・アンド・エンズ 」のようなレア曲もあります。後者A4.はディオンヌ・ワーウィックの1969年7月シングルA面曲なのでまだわかりますが、前者A3.はディオンヌ・ワーウィック1970年3月リリースのシングル「 LET ME GO TO HIM 」のB面曲。1970年4月リリースのアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』に収録されているとはいえ決してヒットした曲ではありません。沖浩一さんの琴線に触れたんでしょうねー。B6.「 雨にぬれても 」以外にB5.「 サンダンス・キッド 」も演ってるのは映画『 明日に向って撃て!』の日本公開直後だからかな?

A面の曲は比較的大人しいアレンジが多い印象。そんな中、A2.「 小さな願い 」ではエレクトーンのアドリヴに加えて本アルバム中で唯一となるギターのアドリヴが熱いです。あと、A6.「 エイプリル・フール 」のイントロ/アウトロは独特でちょっとシュールな気もします(笑)。

一方、B面は意欲的なアレンジが目立ちます。B1.「 サン・ホセへの道 」の面白い音色はモーグっぽい。B2.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」はハモンドオルガン的音色でブルース風。B3.「 ディス・ガイ 」ではブロック奏法でメロディを弾き、スウィングのリズムで中間部〜後半のアドリヴも含めてジャズオルガンの香りがプンプンします。B4.「 プロミセス・プロミセス 
」でのグリッサンド奏法などを駆使したノリに乗った演奏は私的レコメンド。B6.「 雨にぬれても 」ではマンドリン効果(マンドリンとそっくりの音色が出るというのではなく、マンドリン奏法に似た、断続的な音を発するエフェクトの一種)をメロディにかけて雨粒の雰囲気を出しています。エレクトーンならではの面白い音です。

エレクトーンによるバカラック・カヴァー集は、以前拙ブログでも斎藤英美の『 プレイ・バカラック 』(1971年リリース)を紹介しています。ハモンドオルガンによるバカラック・カヴァー集も、Ena Bagaの『 The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach 』(1972年リリース)、Patrick Saussois & Rhoda Scottの『 THE LOOK OF LOVE 』(2010年リリース)を紹介しています。それぞれアレンジの方向性が全く違っていて面白いなぁと思います。

(注1)エレクトーン:ヤマハ株式会社が製造発売する電子オルガンの商品名。エレクトーンの開発が始まったのは1952年(昭和27年)。1958年(昭和33年)日本楽器(現:ヤマハ)、日本電気、NHKのそれぞれの技術陣が協力して、真空管方式による国産初めての電子オルガンを試作、銀座ヤマハホールで公開した。「1958年に日本で開発された…」とあるのはこのことを指すのであろう。1959年(昭和34年)に最初のエレクトーンD-1型が発売された。なお、商品としては日本ビクターから1958年に発表されたEO-4420型が日本初の電子オルガンである。


(注2)沖浩一:1940年生まれ(2022年12月8日没、享年82歳)、大阪府出身のジャズ・オルガン/エレクトーン/シンセサイザー奏者。1966年の第3回エレクトーンコンクール本選会の演奏部門シニアで第1位。なおこの時の審査員は芥川也寸志、朝比奈隆、外山雄三、山本直純、川上源一(当時の日本楽器社長)など錚々たる顔触れであった。1966年に日本テレビ系列で毎週木曜の夕方に全国放送された『 エレクトーン教室 』のエンディングで、当時活躍したプレイヤーの道志郎、斎藤英美などに混じってゲスト出演し演奏を披露。60年代から70年代にかけてレコードも多数リリース。1977年にペレの引退試合が大阪と東京で行われた際には東京会場で演奏した。東京スカパラダイスオーケストラの沖祐市の実父でもある。
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(注3)エレクトーンD-2B型(ヤマハ公式サイト エレクトーンの変遷):発売期間 1967年6月〜1971年4月。価格 ¥395,000。多くの人に愛された機種で、1971年に製造が停止されて以降も数年にわたって中古市場で引っ張りだこ。人気の秘密は音の美しさにあったよう。基本的には音の立ち上がりが速い、と評価されていたが、沖浩一はD-2Bに満足しきっていたわけでもなかった。 ─ D-2Bはよく使いましたが、ベース(足鍵盤)の音はサスティンを切っても甘かった。それで、サスティンは効かなくなるけど、パチッと音が出るベースにするには、ただ一ヶ所ペンチでプツンと切ればいいと。そういうことをやって、楽しかったですね ─ 沖浩一は、コンサート会場のD-2Bを本番前にプツンと改造しては、あとで元に戻して帰ったそう。本アルバムも、恐らくサスティンの回路を切った改造D-2Bのサウンドと思われる。

(注1)〜(注3)の参考文献:エレクトーン雑学班/編著『 知ってるようで知らない エレクトーンおもしろ雑学事典 』(2009年、ヤマハミュージックメディア)

ここからはオマケ。MP3で所有している沖浩一のバカラック・カヴァーをご紹介。

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沖浩一は豪州/ニュージーランドで1970年にリリースしたアルバム『 Incredible Organ... 』で「 雨にぬれても 」(3:29)をカヴァー。アレンジの構成は『 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 』と同じですが、1970年発売のエレクトーンEX-42型(ヤマハ公式サイト エレクトーンの変遷)によるソロ演奏で、音色の設定も異なります。ドラムスやギターがいない分自由に演奏できるからかテンポも若干速く、より表現力が豊かな演奏だと思います。
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沖浩一は1971年にリリースしたアルバム『 エレクトーン・ファンタスティック 沖浩一の“ロンドンの休日” 』で「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(3:06)をカヴァー。英国や豪州では『 Yamaha Superstar! 』というタイトルでリリースされました。エレクトーンEX-42型とドラムス、ギターという編成。沖浩一のエレクトーン演奏はとてもハード。ジャズオルガンですわ、これは。レコメンドですねー。


【データ】
『 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 』 (英題:Electone Fantastic - Burt Bacharach Song Book)
沖浩一トリオ

LP:1970年10月リリース
レーベル:CBSソニー (JP)
番号:SOND-66041
価格:¥1,800


Produced by ?
Arranged by 沖浩一
  Drums - 長谷川昭弘
  Guitar - 川崎燎 (A1〜5, B1,5,6)、水谷公生 (A6, B2〜4)
  Organ - 沖浩一

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年3月 3日 (日)

The Look of Love/Ali Harper (2020年)

ニュージーランドの女性シンガー、アリ・ハーパーが2020年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THE LOOK OF LOVE
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. I SAY A LITTLE PRAYER
4. ALFIE
5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
6. WALK ON BY
7. A HOUSE IS NOT A HOME
8. WHO'LL SPEAK FOR LOVE
9. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD / THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
10. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF / ANYONE WHO HAD A HEART
11. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
13. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR

収録時間約43分


ニュージーランドの女性シンガー、アリ・ハーパーが2020年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。私は全く知らなかったのですが最近ちたりた様に教えていただいた次第。ちたりた様、情報提供ありがとうございました!

アリ・ハーパー(生年不詳)はニュージーランドの演劇学校を卒業後、クライストチャーチを拠点に歌手/俳優/プロデューサー/ライター/MC/歌のコーチ/ヨガ講師として30年にわたるキャリアを積んできたお方。クライストチャーチといえばニュージーランド南島の中心的な都市。私も30年近く前にプライベートで行ったことがあります。季節は2月下旬〜3月上旬で現地は夏の終わり頃。当時の写真を見て記憶が蘇りました。2泊してチャリンコであちこち走ったんですが、暑くなく穏やかで緑豊かな街でした…。
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彼女はこれまでに7枚のアルバムをリリースしていますが、本作は6作目にあたります。彼女の公式サイトからCDをオーダーできるようですが、AmazonやDiscogsでは中古も含めて取り扱っておらず今回MP3データをダウンロードしました。ブログ冒頭のCDケース裏面の画像は公式サイトからパクったものですが、バーコードも印刷されてないしオンデマンドCD的なものでクレジットも記載ないんでしょう
。なのでCD入手してもあまり意味ないかな…と。そうそう、YouTubeにはフルアルバムが自動生成されておりますです。

─ 収録された15曲(13トラック)はバカラックのヒットソングから選曲したもの。このCDは、アメイジングなCSOのストリングスを含めてニュージーランド腕っこきのミュージシャンをフィーチャーしています。  ─ (公式サイトのアルバム紹介より、私の意訳で)


CSOとはクライストチャーチ交響楽団(Christchurch Symphony Orchestra)の略称。聴いてると確かに控えめなストリングスが聴こえます。演奏の基本となるのはピアノ、ドラムス、ベース。曲によって女性コーラス、ギター、金管楽器が加わります。金管楽器がCSOの団員なのかスタジオミュージシャンなのかはよくわかりませんが…。多くの曲が最もポピュラーなバージョンをベースにしたアレンジ。ですが、T-3.「 小さな願い 」だけはオリジナリティのあるアレンジで、最初はピアノだけそしてシンフォニックなオケをバックにソウルフルに、次いでテンポアップしてライトなボサノヴァ調になります。

アリ・ハーパーはとても張りのあるブライトな歌声で、まさしくミュージカルや舞台で活躍する方の歌唱。T-4.「 アルフィー 」とT-7.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」はピアノのみをバックにとても感情豊かに歌っておいでですし、最初はしっとりで後半に向けて盛り上がっていくT-8.「 フール・スピーク・フォー・ラヴ 」も同様です。これら3曲が彼女の真骨頂じゃないかと思います。

彼女は2020年3月に本アルバムをリリースしたのち、翌年にかけてニュージーランド国内で『 The Look of Love 』ツアー(3月:Nelson、12月:
Christchurch、2021年1月:Wellington)を敢行。そのうち首都であるウェリントンのCIRCA Theatreでのショウの時の写真を公式サイトからパクっていくつか載せておきます。また、そのショウの裏側を撮影した公式動画がありましたのでついでに貼り付けておきます。
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ここからはオマケです。他にMP3で所有しているアル・ハーパーのバカラック・カヴァーをご紹介!
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彼女は2004年にリリースした1stアルバム『 Something So Right 』で「 CLOSE TO YOU 」(4:12)をカヴァー。カーペンターズ版をベースにしていますが、ジャズ・バラード風のアレンジでしっとりした肌触り。中盤からはブラスとサックスもは加わり華やさも。アル・ハーパーはアレンジに合わせて最初はしっとり、中盤からはブライトな歌声で歌っています。


【データ】
『 The Look of Love  Celebrates the Music of Burt Bacharach
Ali Harper

CD:2020年3月リリース  (所有はMP3のみ)
レーベル:Ali-CatProductions (NZ)  (所有はMP3のみ)
番号:-   (所有はMP3のみ)

Produced by Ali Harper and Iain Cave (Ali-Cat Productions)
Music arranged, produced and mixed by Tom Rainey
Soundtrack played by members of the Christchurch Symphony Orchestra
Backing vocals performed by Jennine Bailey, Naomi Ferguson and Juliet Reynolds-Midgely
Recorded and engineered by Thom O’Connor

Amazonリンク(MP3

2024年2月25日 (日)

Christmas Kiss/Diana Panton (2012年)

カナダの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ダイアナ・パントンの5thアルバムです。レアなバカラック作品1曲をカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original CD front cover/back cover
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所有日本盤CDのジャケット表/ケース裏

日本盤CD全16トラック中、バカラック作品は1トラック

11. WINTER WARM (4:47)


カナダの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ダイアナ・パントンの5thアルバムです。尚、日本盤は『 Winter Kiss 』というタイトルに改題されています。

ダイアナ・パントンは、1974年カナダのオンタリオ州ハミルトン生まれ。(ハミルトンはトロントとナイアガラの滝の中間に位置する都市。遠い昔、海外出張した際にトロントからナイアガラの滝を通って米国ニューヨーク州ロチェスターまでバスで移動したことがあるのですが、その時に通過していたことになります。どーでもいい話ですが😅) 地元のジャズ・バンドにバック・シンガーとして活動していた高校生当時、カナダの重要なジャズ・プレイヤーであるドン・トンプソンに見出されます。その後パリの大学でフランス文学を学んだのち2005年にアルバム・デビューを果たしました。ファニーで若干ハスキーな歌声が特徴的です。

本作は5作目にして彼女初のクリスマス・アルバム。とはいっても、アルバム全体にウキウキしたクリスマス感は薄く、聴いてると冬のぬくぬくした部屋の中でゆったり寛いでる情景が浮かびます。実際、私は本アルバムを聴いてる途中でうたた寝してしまいました。

─ 2曲のオリジナルと、13曲のカヴァー、そして日本盤のみに1曲のボーナス・トラックを収録した、計16曲。バックを務めるのは、前述のドン・トンプソン(ピアノ/ベース/ヴィブラフォン)と、レグ・シュワガー(ギター)、ギド・バッソ(コルネット/フリューゲルホーン/トランペット)という、いずれも彼女の音楽の精神的支柱ともいえるプレイヤーたちだ。ダイアナの歌声を引き立たせるように、抑制を効かせた演奏はリラックスした趣で共感できる。  またこの『 Winter Kiss 』は選曲がとても興味深い。というか心にくい。ジャズのクリスマス・アルバムといえば、トラディショナルで誰もが知ってる曲を最初から最後まで収録させるのが通例だが、この作品には有名曲から隠れた名曲まで違和感なく並んでいる。つまりダイアナにとってこの作品は企画盤というよりは、彼女自身の趣味を反映させた、オリジナル作品としての思いが強く込められている。  ─ (日本盤ライナーノーツより)
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同感ですねー。T-3.「 クリスマス・キッス 」は彼女とドン・トンプソンが共作した佳曲でそれをアルバム・タイトルにしているのですが、日本盤ではジャケットも含めてタイトルをわざわざ『 Winter Kiss  ウインター・キッス〜わたしのホリディ 』に変えたのは、クリスマス・アルバムではなくオリジナル作品としてアピールしたかったからなんでしょーね。

バカラック・カヴァーは、T-11.「 ウィンター・ウォーム 」。ハル・デイヴィッドとのコンビによるホリデーシーズン向けの曲で、米女優/歌手のゲイル・ストームが1957年11月にシングルB面でリリースしたのがオリジナル。テンポ♩≒66〜70でハープ/グロッケンシュピール/フルート等を用いたドリーミーなアレンジ&歌唱のオリジナルに対して、ダイアナ・パントンのカヴァーは♩≒47〜50という極めてゆったりとしたテンポで羽毛でふんわりと包み込まれるような歌唱&演奏です。伴奏はピアノのみで、中間部のソロ演奏も美しく素敵です。刺激的な歌声&音が全くないんですよ。この曲のカヴァーの中でも最も子守唄に向いたバージョンなんじゃなかろうか…(もちろん私個人の感想です)。

拙ブログでは以前の記事で「 ウィンター・ウォーム 」のカヴァー・リストを作りました。その時点のカヴァーは6バージョンだったので、ダイアナ・パントン版を加えるとカヴァーは7バージョンということになります。私の知る限り…ですが。


【データ】
『 Christmas Kiss 』(邦題:Winter Kiss  ウインター・キッス〜わたしのホリディ
Diana Panton




CD:2012年リリース (所有CDは、2012年10月24日リリースの日本盤。解説は山本勇樹氏)
レーベル:Diana Panton (Canada) (所有CDは、MUZAK, INC.)
番号:DIA-CD-5605 (所有CDは、MZCF-1259)

Produced by Diana Panton
Co-Produced by Don Thompson
Arrangement by Don Thompson
  Diana Panton - vocal
  Don Thompson - piano, bass, vibraphone
  Reg Schwager - guitar
  Guido Basso - trumpet, flugel, cornet
  Harrison Kennedy - vocal on track 2
Recorded at Inception Sound Studios, Toronto, Ontario, Canada in August 2011
日本盤ボーナス・トラック:T-9.「 SNOW 」

Amazonリンク日本盤


2024年2月18日 (日)

Plays The 3B's/The Carmen Cavallaro Camp (1970年)

米国のピアニスト、カーメン・キャバレロが The Carmen Cavallaro Camp 名義で1970年にリリースした3Bカヴァー集。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. ELEANOR RIGBY (3:37)

A2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:58)
A3. LET ME GO TO HIM (2:34)
A4. PAPER MACHE (3:25)
A5. YESTERDAY (4:29)
B1. HERE, THERE AND EVERYWHERE (3:17)
B2. GAVOTTE (2:59)
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (2:08)
B4. AIR ON A G STRING (3:22)
B5. LET IT BE (3:11)

収録時間約33分


米国のピアニスト、カーメン・キャバレロが The Carmen Cavallaro Camp 名義で1970年にリリースした3Bカヴァー集です。

The 3B's とはその下に小さく括弧書きされてる通り The Beatles, Bacharach & Bach のこと。ジャケットにも左からビートルズ4人→バカラック→バッハが描かれてます。バカラックの顔は全然似とらんけど😆。

カーメン・キャバレロは、1913年NYC生まれ(1989年没、享年76歳)の🇮🇹系米国人ピアニスト。 ─ クラシックの演奏家を目指したが、ある時点から非常にポピュラー音楽に興味を持ち、転向した経緯があり、演奏基礎はクラシックにあった。クラシックからポピュラー・ミュージックまで幅広くこなした。ピアノ・タッチは豪快で、処狭しと細かい装飾音もまじえたもので、「キャバレロ・タッチ」と称される。和音と装飾音のリズムは目の前が開けるように華麗な演奏で、「煌びやかなホテルのロビーにいるよう」とも評された。  ─ (Wikipediaより)

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この画像はDiscogsからパクりました。いつの写真かわかりませんが若い頃の写真でしょう。そのDiscogsによればキャバレロのレコードデビューは1939年(勿論SP盤の時代)。キャバレロ名義だけでも1940年代に12枚、50年代に19枚、60年代に25枚、70年代に12枚、80年代に3枚のアルバムが載っています。人気あったみたいですねー。


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さて本アルバム。↑ はダブルジャケットを開いて90°回して縦向きにしたところ
。3Bについて何て書いてんだろ?と期待して英文読んだんですが、その中身はキャバレロの宣伝文句のみ。イラストのモノクロ版なんか載せるヒマがあったら何かしら3Bの解説しろやっ! と、思わずツッコミを入れてしまいました😤。

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全10曲の内訳はビートルズ4曲(A1,A5,B1,B5)、バカラック4曲(A2〜A4,B3)、バッハ2曲(B2,B4)。バッハのB2.「 GAVOTTE 」の元曲は「 French Suite No.5 」で、B4.「 AIR ON A G STRING 」はご存じ「 G線上のアリア 」です。

キャバレロの華麗で豪快で煌びやかなピアノが主役。ピアノのタッチはクラシック系統のソレ。ピアノを生かしつつ更に自らも活躍しているオケのアレンジがこれまた秀逸でして。オリジナリティのあるオカズやオブリガートをふんだんに盛り込み、管楽器・弦楽器・パーカッションがメリハリの効いた演奏でそれに応えています。加えて、曲により加わる男女コーラスも美味(A4.と B1.では一部歌詞も歌ってます)。アレンジャーのJim Tylerはブロードウェイ・ミュージカルの編曲家で、ヴィック・ダモンやトニー・ベネットのショーでも活躍した方だそう。Good jobです。


バカラック4曲について感想を。A2.「 恋よ、さようなら 」は可愛らしい小洒落たアレンジ。A3.「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム(恋に生きて)」はディオンヌがオリジナルでカヴァーが片手くらいしかない超レア曲。オリジナルのゆったりワルツに対しキャバレロ版はテンポの早い跳ねるジャズワルツ調が新鮮。A4.「 ペイパー・マシェ 」はディオンヌのオリジナルから遠く離れないドリーミーなアレンジ。2コーラス目だけ男女コーラスが歌詞をハモって歌います。B3.「 雨にぬれても 」は♩≒180超のむっちゃ速いテンポにのけぞります。ブラスとピアノの派手な掛け合いが聴きどころで、2分少々と尺は短いですが印象に残ります。そーですねぇ、A3.とB3.をレコメンドにしときましょうか。

因みに、A2.〜A4.の3曲はディオンヌが1970年4月にリリースしたアルバム『 I'll Never Fall In Love Again 』の収録曲で、3連続シングルA面曲でもあります(「 恋よ、さようなら 」1969年12月リリース【US#6】、「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム 」1970年3月リリース【US#32】、「 ペイパー・マシェ 」1970年7月リリース【US#43】)。B3.「 雨にぬれても 」は言わずと知れた'70年代最初の全米1位曲。「 恋よ、さようなら 」は1968年のミュージカル『 Promises, Promises 』の挿入歌ですが米国でヒットしたのはディオンヌのカヴァーでしたので、旬の曲ばかりをチョイスした感じでしょうか…。

アルバム中の白眉はA5.「 イエスタデイ 」。ピアノ協奏曲のようなイントロで始まります。1コーラス目はわりと普通にイエスタデイしてるんですが、2コーラス目のサビからからいきなり高速ラテンモードに突入! …と思ったら劇的なクライマックスを迎え、その後はしっとり陰影あるエンディング。まるで一遍のロマンス映画(ひょんなことから知り合い障害を乗り越え結ばれたが引き裂かれてしまう悲恋物語)を観たような壮大なアレンジに唸りました。

このアルバムは掘り出し物ですねー。YouTubeにフルアルバムがUPされてますが、是非CDリイシューして欲しいものです。

ここからはオマケ。キャバレロのバカラック・カヴァーを更にご紹介(MP3すら所有しておらずあくまでYouTubeを聴いての感想です
😅)。
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キャバレロは1965年リリースのアルバム『 The Magic Music Of Hollywood 』で「 WIVES AND LOVERS 」(2:06)をカヴァー。キャバレロのピアノ+ドラムス+ギターという変則ピアノトリオ編成。ドラムスは単調に刻むだけだしギターもバッキングだけなので注目はピアノなんですが、多少アドリヴはあるものの単調な演奏でう〜んという感じ、残念!
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また、1968年リリースのアルバム『 Carmen Cavallaro Plays The Hits 』では「 ALFIE 」(2:53)をピアノトリオ編成でカヴァー。ドラムスとベースはサポートに徹しています。キャバレロは華麗なアドリヴを交えて情感込めてピアノを弾いてますが、まぁ無難な演奏といったところかと。


【データ】

『 Plays The 3B's (The Beatles, Bacharach & Bach)
The Carmen Cavallaro Camp

LP:1970年リリース
レーベル:GWP Records (US)
番号:ST 2011

Produced by Andy Wiswell
Arranged by Jim Tyler
Recorded at Pye Studios, London, England

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

 

2024年2月 8日 (木)

バカラックさん初のTV特番『 The Bacharach Sound 』(1965年)

1965年4月14日に英国で放送されたバカラックさん初のTV特番をご紹介!

バカラックさんがお亡くなりになって今日で1年…


バカラック自伝(110〜111ページ)にも載ってた英グラナダTVの『 The Bacharach Sound 』が3ヶ月ほど前(2023年10月17日)YouTubeにアップされてました。公式とかじゃないのでちょっと後ろめたいですが、バカラックさん初のTV特番を視聴してありし日を偲びましょう。


動画は約38分間。

0:04  Introduction - Clips of Bacharach driving a car in London
4:07  「 24 HOURS FROM TULSA 」(Bacharach) - Bacharach Talks

5:54  「 ANYONE WHO HAD A HEART 」(Dionne Warwick) - Bacharach Talks
9:17  「 MAGIC POTION 」(The Searchers) - Bacharach Talks with Hal David
12:54  「 TRAINS AND BOATS AND PLANES 」(Bacharach) - Bacharach Talks
16:09  「 I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF 」(Dusty Springfield)
19:16  Intermission
20:09  「 WIVES AND LOVERS 」(Dionne Warwick) - Bacharach Talks
23:47  「 ANY DAY NOW 」(Chuck Jackson) - Bacharach Talks
27:22  「 WISHIN' AND HOPIN' 」(The Merseybeats & Dusty Springfield) - Bacharach Talks
30:35  「 (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME 」(Bacharach) - Bacharach Talks
33:52  「 WALK ON BY 」(Dionne Warwick)
36:46  Outroduction

当時バカラックさんは36歳、若々しいですねー。放送の翌月(5月)にはKAPPからバカラックさん初のアルバム『 HIT MAKER! 』をリリース…というタイミング。アルバムからの先行シングルとして英国でリリースされた「 TRAINS AND BOATS AND PLANES(汽車と船と飛行機と)」も披露してますし(この曲は全英チャートで4位まで上昇します)、良いプロモーションになったことでしょう。

…にしても、バカラックさんの運転映像長すぎませんかぁ? アイドルじゃないんだしー。それに、当時はそれが当たり前だったとはいえ全曲映像に音源をかぶせてるのもねぇ…。「 WISHIN' AND HOPIN' 」でキーの違うマージービーツとダスティを編集で無理やり繋げてるトコなんて強引すぎ! な〜んてぶつくさ言ってたら天国のバカラックさんヘソ曲げそうなのでこの辺でやめときまーす💦。

※ 2025/11/3 リンク先の動画がなくなっていたため別の動画に差し替えました。タイムスタンプは2:35ズレていますので再生時はご留意ください。

2024年2月 4日 (日)

Rarin'/Something Big (2013年)

米国のバンド、Something Big が2013年にリリースした5曲入りEP。バカラックのレアな曲ばかりをカヴァー! (デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. AFTER THE FOX (2:23)  FM
2. IT DOESN'T MATTER ANYMORE (2:50)  F
3. COME AND GET ME (3:25)  F
4. SOMETHING BIG (3:29)  FM
5. LIVE AGAIN (3:01)  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記


収録時間約15分


米国のバンド、Something Big が2013年にリリースした5曲入りEP。バカラックのレアな曲ばかりをカヴァー!

─ Something Big, interpreters of great pop jazz. Constantly curating our collection to reflect our style. Listen, enjoy tunes Chamber Pop style Bacharach, Beatles, Cole Porter, Tears for Fears, Dusty Springfield, Rolling Stones, Carole King.
サムシング・ビッグ、偉大なポップ ジャズの解釈者。 私たちのスタイルを反映するためにコレクションを常に厳選しています。 チェンバー・ポップ・スタイルのバカラック、ビートルズ、コール・ポーター、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ダスティ・スプリングフィールド、ローリング・ストーンズ、キャロル・キングなどの曲を聴いて楽しみましょう。  ─ (Facebook の Something Big ページの自己紹介より 原文ママ+Google翻訳)

更に詳しい自己紹介がバンド公式サイトにありました。

─ From San Francisco's avenues by ocean beach Eva Jay Fortune first hatched Something Big. Kevin Bertness often jammed with Eva Jay and in 1997 began meeting regularly to play the music of Burt Bacharach & Hal David. Kevin played piano and soon they brought in bass player Steve Fowler. Until 1999 Nicky Garratt, dispite living only a couple of blocks away, had not met Eva Jay. Nicky, a long time champion of the Music of Bacharach and David, then joined the sessions. Now dubbed "Something Big" after a late uplifting yet rather rare Bacharach/David song, the group played their first show at a party on 23rd of September 1999.The set expanded over the years to include songs they simply liked. Now jazz standards, pop, Beatles and even Kraut rock have been brought into the Something Big sound.
サンフランシスコのオーシャンビーチ沿いの大通りから、エヴァ・ジェイ・フォーチュンは初めてサムシング・ビッグを孵化させました。 ケビン・バートネスはエヴァ・ジェイと頻繁にジャムセッションをしており、1997年にはバート・バカラックとハル・デイヴィッドの音楽を演奏するために定期的に集まり始めました。 ケビンはピアノを演奏し、すぐにベーシストのスティーブ・ファウラーを迎え入れました。 ニッキー・ガラットは、ほんの数ブロック離れたところに住んでいたにもかかわらず、1999年までエヴァ・ジェイに会ったことはありませんでした。 その後、ミュージック・オブ・バカラックとデヴィッドの長年のチャンピオンであるニッキーがセッションに参加しました。 後期の高揚感のある、しかしかなり珍しいバカラック/デヴィッドの曲にちなんで「サムシング・ビッグ」と呼ばれるようになったこのグループは、1999年9月23日にパーティーで初めてショーを行いました。セットは長年にわたって拡張され、単に彼らが気に入った曲も含まれるようになりました。 現在では、ジャズ・スタンダード、ポップス、ビートルズ、さらにはクラウト・ロックさえもサムシング・ビッグ・サウンドに取り入れられています。  ─ (Something Big 公式サイトより 原文ママ+Google翻訳)

バンド名の由来はやっぱりバカラック曲だったんだっ❗️

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左の写真は Something Big の公式サイトからパクったもので2011年8月撮影。左から Steve Fowler (Bass), Eva Jay Fortune (Vo.), Bruce Greenstein (Perc.), Kevin Bertness (Piano), Nicky Garratt (Guitar) の面々で、本作アートワークに書かれている5名の皆さんです。
一方、右の写真は Facebook Something Big ページの2023年2月10日投稿より(ただし写真自体は2021年頃撮影されたもの)。ケビンはギターも弾くんですね。今はこの3名で活動しているようです。

んで、その2023年2月10日投稿をスクショしたのがこちら ↓ 。亡くなったバカラックさんへの思い&感謝がひしひしと伝わってきます。
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前置きが長くなりました💦。本題に入ります。収録曲の5曲はいずれもレア曲ですので、1曲ずつオリジナルにも触れながら紹介していきます。

T-1.「 アフター・ザ・フォックス 」は1966年の🇬🇧🇮🇹映画『 After The Fox(紳士泥棒/大ゴールデン作戦)』の主題歌。英国のロック・バンド、ザ・ホリーズが歌い、ゲスト・ヴォーカルとして映画主演のフォックス自身(ビーター・セラーズ)をフィーチャーしていました。それをほぼ完コピ❗️ テンポ(♩≒120)、キーも同じです。メインヴォーカルはエヴァ・ジェイ・フォーチュンが男性っぽい声色で歌い、ゲスト・ヴォーカル役はスティーヴ・ファウラーが務めています。公式サイトによればスティーヴはこれがヴォーカル・デビューだったとか👏。

T-2.「 気にしないさ 」は1966年の🇺🇸
TVミュージカル『 ON THE FLIP SIDE(オン・ザ・フリップ・サイド)』でリック・ネルソンが歌ったのがオリジナル。本作は、そのオリジナルよりも1967年に The Cyrkle がカヴァーしたロック寄りのテイストに近いです。が、アンプラグドなウッドベースやコンガの響きだったり最初の1コーラス6小節までのスローテンポ(♩≒65)から倍速(♩≒130)になる展開にはハッとさせられます。

T-3.「 カム・アンド・ゲット・ミー 」は1966年4月にジャッキー・デシャノンがリリースしたシングルがオリジナル(こちらでちょろっとご紹介)。この曲をチョイスするなんてシブいなぁ。ジャッキー版とキーは同じですがテンポはジャッキー(♩≒98)より速い♩≒110。高低差が大きく難しいメロディをアンプラグドな演奏をバックにエヴァ・ジェイはエネルギッシュに歌っています。

T-4.「 サムシング・ビッグ 」は1971年の🇺🇸映画『 Something Big(テキサス大強盗団)』の主題歌で、歌ってたのはマーク・リンゼイ(こちらでちょろっとご紹介)。本作のバンド名の由来でもあります。この曲のカヴァーはマーク・リンゼイ版かバカラックのセルフ・カヴァー版、どちらかのイントロをコピーするケースが大半ですが、このカヴァーのイントロ30秒間はフリージャズのようにいろんな楽器が好き勝手に音を鳴らすというもの。いやー、流石はバンド名にしただけのことはあって独自のアイディアをぶつけてきます。本編はマーク・リンゼイ版(♩≒166)やバカラック版(♩≒164)よりやや遅い♩≒154で、アコースティックな響きもあって落ち着いた印象を受けます。私的にはレコメンド。

T-5.「 リヴ・アゲイン 」は🇺🇸ソウル・シンガーのアーマ・トーマスがオリジナル。1965年にレコーディングしたものの当時はリリースされず1992年に初めて世に出ました(こちらでちょろっとご紹介)。オリジナルとほぼ同じテンポ&キーでアーマ・トーマスに負けず劣らずエヴァ・ジェイがパワフルに歌っています。

なお、YouTube に本作が自動生成されていましたのでリンクを貼ってきます(こちら)。また、2006年頃の「 カム・アンド・ゲット・ミー 」ライヴ動画がYoutubeに上がってましたので併せてリンクを貼っておきます(こちら)。本作はEPですが、ミニアルバム相当として “カヴァーアルバム” カテゴリに分類しました。

ここからはオマケ。MP3で所有している「 SOMETHING BIG 」(バンドじゃなくて曲の方)のカヴァーをご紹介!
バカラックのセルフカヴァー(『 LIVING TOGETHER 』収録)、ジム・オルーク(『 Eureka 』収録)、ローナン・キーティング(『 WHEN RONAN MET BURT 』収録)は拙ブログで収録アルバムを紹介してますので省略します。
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🇨🇦の The Johnny Burt Society が1972年にリリースしたアルバム『 Come Summer 』で「 SOMETHING BIG 」(2:03)をカヴァー。このアルバムはカナダ産ソフトロックの最高峰なんだそう。男女コーラスがなんとも爽やかだこと。対照的にブラスのオカズは派手ですけど。
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🇫🇮フィンランドの女性シンガー、Katri Helena が1972年にリリースしたアルバム『 Lauluja Meille Kaikille 』で「 SOMETHING BIG 」(2:30)をカヴァー。フィンランド語詞で歌っていて曲名は「 Jotain Suurta Tapahtuu 」。彼女は1945年生まれでこの時27歳。ヴィブラートが効いて大人っぽいのに可愛らしい、そんな歌唱です。
ここまでの2曲、イントロはいずれもマーク・リンゼイ版。ってゆーか、バカラックがセルフ・カヴァーするのは1973年なのでまだマーク・リンゼイ版しか存在しなかったワケです。
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🇮🇸アイスランドの男性歌手/ソングライター/DJ、Páll Óskar が Páll Óskar & Casino 名義で1998年にリリースしたアルバム『 Stereo 』で「 SOMETHING BIG 」(3:23)をカヴァー。イントロはバカラック版。全体的にもバカラック版のほぼコピーでしょうか。
このアルバムでは他にもバカラック・カヴァーを収録。「 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道)」(2:20)、「 KNOWING WHEN TO LEAVE(去りし時を知って)」(2:39)、「 I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)」(3:16) の3曲なんですが、バックの演奏がチープでイマイチかなー。

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🇺🇸ニューヨークのテナー・サックス奏者、Charles Owens が Charles Owens Quartet 名義で2022年にリリースしたアルバム『 Golden Moments 』で「 SOMETHING BIG 」(6:14)をカヴァー。イントロはバカラック版ですが、冒頭のサックスからピアノやベースに拡大して約50秒間にも及ぶ壮大なイントロを展開。コンテンポラリージャズのフィーリング溢れる独創的なイントロです。バカラック版の♩≒160より若干ゆったりした♩≒150のテンポ感がまた絶妙で、サックスやピアノのグルーヴィーなアドリヴも聴いてて気持ちいいっす。レコメンドですね👍。ちなみに、途中でベースとピアノのアドリヴが入る「 SOMETHING BIG (Extended Version) 」(9:19)もイイですよー。
なお、彼は1972年生まれ。米国には1939年生まれの同姓同名ジャズ・サックス奏者がいます。混同しませんように。

ご紹介したオマケは全てYouTubeで聴くことができます
✌️


【データ】
『 Rarin' 』
Something Big


MP3:2013年2月12日リリース
レーベル:CHAMBER POP RECORDS (US)
番号:-

Producer - unknown

Arrangement - unknown
Musicians
  Eva Jay Fortune - Vocals
  Kevin Bertness - Piano
  Bruce Greenstein - Percussion
  Nicky Garratt - Guitar
  Steve Fowler - Bass

Amazonリンク


2024年1月28日 (日)

SPACED OUT/Enoch Light & The Light Brigade (1969年)

パーカッション奏者、また電子音楽のパイオニアとしても知られるイノック・ライトの1969年の余りにも有名なラウンジグルーヴの名作。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover/back cover
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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は4トラック

1. BOND STREET (2:38)
2. LOVER'S CONCERTO (2:49)
3. KNOWING WHEN TO LEAVE (2:48)
4. MY SILENT SONG (2:52)
5. WALK ON BY (3:02)
6. ELEANOR RIGBY (2:42)
7. A LITTLE FUGUE FOR YOU AND ME (2:48)
8. NORWEGIAN WOOD (2:48)
9. OB-LA-DI, OB-LA-DA (2:54)
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (2:40)
11. PETITE PAULETTE (2:44)
12. GET BACK (3:40)


パーカッション奏者、また電子音楽のパイオニアとしても知られるイノック・ライトの1969年の余りにも有名なラウンジグルーヴの名作。

イノック・ライトとは… ─ 1907年8月18日米国オハイオ生まれ。イージー・リスニング分野で活躍したプロデューサー。30年代にバンドを率いてラジオなどに出演。40、50年代には多くのポピュラー・バラードを生む。60年代後半ザ・チャールストン・シティ・オールスターズのヒット・シリーズをプロデュース。再び注目を浴びると50年代に発表の『プロボケーション・パーカッション』などが米国のチャートでトップ10入りをした。78年他界。  ─ (CDジャーナルより)
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本作はいろんな顔を持つイノック・ライトが1969年(62歳頃)にリリースしたアルバムです。

─ “ムーグ”、“イージーリスニング”の巨匠イノック・ライトが'70年に放った、POPでキッチュ、めくるめくソフト・ロック、ムーグ・ワールド‼︎ '60年代を通して最大のヒットメーカーでありサウンド・クリエイターであるイノック・ライトが、ビートルズ、バッハ、そしてあのバカラックの名曲を、彼のレーベル “Project 3” の独特のクリアーなサウンドとムーグ・シンセサイザーで料理したナイス・アルバム。アポロより早く月に到着してしまった男イノック・ライトと宇宙に飛び出せ‼︎ ─ (1994年リイシュー日本盤LPの帯より)

“'70年に放った”となってるのは最初の日本盤リリースが1970年だったからか。
それにしても、同じ年(1969年)に史上初めて人類による月面着陸に成功したアポロ11号をライバル?に見立てて“アポロより早く月に到着したイノック・ライト”って…😅。なんのこっちゃ??

ジャケット表の右にニョロニョロフォントで書かれているのは Exploratory trips through the music of Bach Bacharach The Beatles integrating the Moog the guitar scene electric harpsichords flugelhorns etc...(モーグ、ギターシーン、エレクトリックハープシコード、フリューゲルホルンなどを統合した、バッハ・バカラック・ビートルズの音楽を巡る探検旅行)。むむむ、音楽の探検旅行と月面着陸を同列にしてるってことか? だったら数日前にSLIMがやっと月面着陸した日本はボロ負けやん(無人やし)、やっぱ訳わからん…😅。

本作のバカラック・カヴァー4曲はかなり前からMP3で聴いてたのですが、ごく最近リイシューCDを手に入れたので今回取り上げた次第。でもこのリイシューCD、曲名しか載ってない雑なパッケージの代物でして。よく見るとジャケット表のアートワークも左側&下側が切れてるし…。それに極低レベルですがチリチリノイズも入ってるし(要は盤起こしってヤツですね)、くっそ〜😡。

気を取り直して中身をご紹介しましょう。全12曲の内訳はバッハ(T-2,4,7,11)とビートルズ(T-6,8,9,12)とバカラック(T-1,3,5,10)が仲良く4曲ずつ。因みにバッハの元曲はT-2.「 Minuet in G Major(メヌエット ト長調)」、T-4.「 Air for the G string(G線上のアリア)」T-7.「 Little g minor Fugue(小フーガ ト短調)」、T-11.「 Bourrée No.1 」。T-11以外は聴けばわかる曲ばかりです。

ビッグバンド系のオケとモーグ・シンセの合同演奏で、けっこう男女コーラスも活躍します。でもメインはオケでモーグは時々メロディやオブリガートを奏でる程度。全くモーグが登場しない曲もありますしね。そんなことよりも、各曲の多彩で凝ったノリの良いアレンジに注目して聴くのが本作を楽しむ肝。

まずはバカラック・カヴァーについて。T-1.「 ボンド・ストリート 」は楽しげに歌うホーン入りの踊れるアレンジ。T-3.「 去りし時を知って 」はイントロ冒頭のマリンバから始まる特徴的なリフが印象的で、トランペットやトロンボーンによるアドリヴ気味のソロがゴキゲンな疾走感のある好カヴァー。聴いててウキウキします。本作のバカラック・カヴァー中私が最も気に入った曲で、これはレコメンドですねー。モーグは出てこないけどそんなの全く気になりません。T-5.「 ウォーク・オン・バイ 」はねちっこいアレンジでモーグのビンビンという音に時代を感じます。T-10.「 世界は愛を求めている(愛を求めて)」は意表をつくバロック風の木管アンサンブルでスタートし、モーグ、フルート、ファゴット、トランペット、女性コーラスなどが入れ替わり立ち替わりメロディを奏でます。

ビートルズ曲ではT-6.「 エリナー・リグビー 」がゴージャスなアレンジ且つグルービーでレコメンド。バッハ曲ではT-11.「 プティット・ポレット 」が本作で唯一4種類くらいの音色をモーグで演奏して(多分オーバーダビングしたんでしょう)とても幼稚なアレンジになってしまってるのが可笑しい。一方、T-7.「 2人だけの小フーガ 」はブラス・ロック風というかロック・ミュージカル風に仕立ててすごく新鮮、アレンジャーのセンスの良さを感じます。

やっぱ名作だわ…。

さて、ここからはオマケ。MP3で所有しているイノック・ライトによるバカラック・カヴァーをご紹介。
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The Enoch Light Singers名義で1968年にリリースしたアルバム『 12 Smash Hits 』で「 I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)」(2:52)をカヴァー。男女コーラスがフルで歌っています。オリジナルのコピーという訳ではないのですが、アレンジはあまり特徴ないかなぁ。アウトロでメロディをフェイクしながらフェードアウトしていくのですが、そのフェイクは新鮮に感じます。
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同じくThe Enoch Light Singers名義で1968年にリリースしたアルバム『 Whoever You Are, I Love You 』で「 Whoever You Are, I Love You(あなたはあなた)」(3:22)をカヴァー。これも男女コーラスがフルで歌います。全体的にオリジナルの雰囲気に近いですがフルートによるオブリガートは瑞々しく好印象です。
このアルバムではもう1曲「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU 」(2:46)もカヴァーしていますがMP3化はされてません。でもYouTubeでは聴けます。「 あなたはあなた 」と同様に男女コーラスがオリジナルに近い雰囲気でふんわり歌っています。※
※ 2024/1/29 追記(ちたりた様よりYoTubeの情報提供をいただきました。ありがとうございました。)

イノック・ライトによるバカラック・カヴァーはMP3化されてないものも多いです。
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Enoch Light & The Light Brigade名義で1966年にリリースしたアルバム『 Film On Film • Great Movie Themes 』で「 ALFIE 」(3:19)をカヴァー。MP3化されてませんがYouTubeでは聴けます。基本は大袈裟なオーケストラで、中間部とエンディングはアコギでしっとり…という抑揚が効いたアレンジでございます。
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Enoch Light & The Light Brigade名義で1969年にリリースしたアルバム『 The Best Of The Movie Themes 1970 』で「 RAINDROP KEEP FALLING ON MY HEAD(雨にぬれても)」(2:45)と「 THE APRIL FOOLS(エイプリル・フール)」(3:13)をカヴァー。いずれもMP3化されてませんがYouTubeでは聴くことができます。「 雨にぬれても 」は男性シンガーがフルで歌っててビックリ。「 エイプリル・フール 」はパーシーフェイス版テイストのアレンジでした。
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Enoch Light And The Glittering Guitars名義でリリース(1969年)した唯一のアルバム『 Enoch Light And The Glittering Guitars 』で「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(3:20)をカヴァー。MP3化はされてませんがYouTubeで聴けます。ギターとオケのアルバムで、「 恋の面影 」はアルバムの冒頭曲。主メロのおよそ半分はギター。それよりもところどころバックに流れる“8分音符が昇って降りるギターの動き”が独特でオッとなります。これが全編で流れればレコメンドだったのに。
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Enoch Light & The Light Brigade名義で1972年にリリースしたアルバム『 Movie Hits! 』で「 LONG AGO TOMORROW(ロング・アゴー・トゥモロー)」(4:10)をカヴァー。これもMP3化はされてませんがYouTubeでは聴けます。オリジナルのB.J.トーマス版に近い雰囲気でゆったりゴージャスなアレンジ。メロディはフリューゲルホルン、ストリングス、コーラングレ等が紡いでいます。これはレコメンドですね。


【データ】
Enoch Light Presents SPACED OUT 』
Enoch Light & The Light Brigade

LP:1969年リリース (所有CDは、1999年リイシューの輸入盤)
レーベル:Project 3 Total Sound (US) (所有CDは、SPJ Music (US) )
番号:PR 5054 SD (所有CDは、SPJ 5704)

Producer – Enoch Light
Co-producer – Jeff Hest, Tony Mottola
Arranger - Dick Lieb
Bernie Glow (tp), Urbie Green (tb), Phil Bodner (as), Bob Tricarico (ts), Bucky Pizzarelli (g), Tony Mottola (g), Vinnie Bell (g), Dick Hyman (org, p, el-harpsichord) , Bob Haggart (b), Russell George (b), Phil Kraus (mar), Billy LaVorgna (ds), 
Dick Lieb (moog) , etc…

Amazonリンク(1999年リイシューCD)(2017年リイシュー 2 on 1 CD

2024年1月 7日 (日)

Repainted From Memory/Jason Mendelson (2021年)

米バージニア州在住のミュージシャン、Jason Mendrlson が2021年にリリースした『 Painted From Memory 』のフルカヴァー・アルバムです。(デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. IN THE DARKEST PLACE
2. TOLEDO
3. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL
4. THIS HOUSE IS EMPTY NOW
5. TEARS AT THE BIRTHDAY PARTY
6. SUCH UNLIKELY LOVERS
7. MY THIEF (feat. Ari Voxx)
8. THE LONG DIVISION
9. PAINTED FROM MEMORY (feat. Ari Voxx)
10. THE SWEETEST PUNCH
11. WHAT'S HER NAME TODAY ?
12. GOD GIVE ME STRENGTH

収録時間約58分


米バージニア州在住のミュージシャン、Jason Mendelson(ジェイソン・メンデルソン)が2021年にリリースしたアルバムです。

公式サイトによれば、 ─ メンデルソンはバージニア州Strasburg(ストラスバーグ)の作曲家であり、2010年代のD.C.地域のMetroSongsプロジェクトで最もよく知られているマルチインストゥルメンタリストであり、各ステーションの場所の歴史に独自の音楽的な風味を注入しています。─ …だそうです。要は、マルチに楽器を操るローカルなミュージシャンといったところでしょうか。Apple Musicには本作含みアルバム10作、EP1作、シングル4曲がリリースされています。ストラスバーグの場所 ↓ … ワシントンD.C.から西に約80マイル(約130km)。公式サイトよりメンデルソンのお姿 ↓ … なんでもHe prefers to play electric 12-string guitar and sing. なんだとか。
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んで本作。アルバムタイトルやアートワークを見た第一印象は、“バカラックとコステロが共作したアルバム『 Painted From Memory 』のパロディじゃないの?”。タイトルの頭に“Re”が付いた意味は単なるコピーか再構築か、それともやっぱりパロディなのか?…などなど、聴く前から想像が膨らみます。収録曲全12曲のタイトル及び曲順は『 Painted From Memory 』と全く同じ。そして聴いてみたところ、『 Painted From Memory 』の大まじめなオマージュ作品で、全体的にはオリジナルのアレンジを尊重しつつもそのうち数曲には独自の解釈を注入したとても意欲的なフルカヴァー・アルバムでございました。2021年1月にリリースされていたのに約3年全く気づかず…不覚でしたぁ😓

T-9.「 PAINTED FROM MEMORY(ペインテッド・フロム・メモリー)」のみ、YouTubeに公式MVがアップされています。※ なお、自動生成により本作全12曲の音源がYouTubeにアップされてました。(2024/1/7 9:49 追記)


動画はレコーディング映像なんですが、歌うだけじゃなくすべての楽器(ローズピアノ、オルガン、フルート、クラリネット、トロンボーン、E.ギター、E.ベース)をメンデルソンが演奏して一人多重録音をしていることが分かります。鍵盤・木管・金管楽器にギターまで、マルチインストゥルメンタリストの肩書きは伊達じゃなかった! 他の曲で
聴こえるシンセ系やパーカッション系、それにバックコーラスも(あくまでも推測ですが)メンデルソンだと思われます。ただ、曲名に併記してあるようにこのT-9.「 ペインテッド・フロム・メモリー 」とT-7.「 MY THIEF(マイ・シーフ)」だけはフィーチャリング・ヴォーカルとしてワシントンD.C.を拠点に活動するジャズ・シンガー、Ari Voxx(アリ・ヴォックス)が参加しています。

キーは3曲を除いてオリジナルと同じ。キーが異なる3曲についてメロディ最初の音を比較してみると、T-2.「 TOLEDO(トレド)」がオリジナルEに対しGと短三度 ↑ 、T-9.「 ペインテッド・フロム・メモリー 」がA♭に対しB♭と長二度 ↑ 、T-11.「 WHAT'S HER NAME TODAY(ホワット・ハー・ネーム・トゥデイ?)」がDに対しEと長二度 ↑ という風にいずれもメンデルソン版のキーが高くなってます。メンデルソンは高い音でも地声で歌っている部分が多く、コステロに対抗?してよく頑張ってると思います。

アレンジ面では、T-2.「 トレド 」のリズムやシンセの音がチープ過ぎるのをはじめシンセ系にチープな音色が散見される点はマイナスポイントですが、それ以外はなかなかのクオリティ。オリジナルとテイストが違って新鮮に聴こえる以下数曲はレコメンドです。T-4.「 THIS HOUSE IS EMPTY NOW(ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ)」ではオリジナルには無い独自のリフが印象的ですし、リズムもタイトでオルタナティブな雰囲気の攻めたアレンジ。T-8.「 THE LONG DIVISION(ザ・ロング・ディヴィジョン)」ではオリジナルよりも細かい刻みを入れたブラコンテイストのサウンドがカッコイイ。T-11.「 ホワット・ハー・ネーム・トゥデイ? 」もディストーションを効かせたギターとロックなリズムでオリジナルよりアグレッシヴ。また、オリジナルではストリングスの部分 〜 シンセストリングスをチョイスすれば良さそうなところ 〜 を、例えばT-9.「 ペインテッド・フロム・メモリー 」ではフルート&クラリネットで意表をついてきます。メンデルソンなりの拘りがあるんでしょう。

ネットで本作を検索してみましたが全く話題になっていません。もっと評価されてもいいと思うんですけど…。まぁ、そもそもメンデルソンの公式サイトからして2020年以降更新されておらず本作も未紹介ですからねー、然もありなんか😓。


【データ】
『 Repainted From Memory a new cover of the classic album by Bacharach & Costello
Jason Mendelson




MP3:2021年1月10日リリース
レーベル:MetroSongs Records (US)
番号:-

クレジット詳細は不明ですが、以下推測で(may be) …
Produced by Jason Mendelson
Arranged by Jason Mendelson
All Instruments are performed by Jason Mendelson
Vocal:Jason Mendelson
Backing chorus:Jason Mendelson
Featuring Vocal:Ari Voxx (T-7,9)

Amazonリンク(MP3

2024年1月 1日 (月)

米ラジオ番組でのライヴ・セッション Burt Bacharach On Piano Jazz (2005年)

年明けから衝撃のニュースが立て続けに飛び込んできました。能登半島地震の被害に遭われた方には謹んでお見舞い申し上げます。まだまだ気が抜けない状況が続くと思いますが1日も早い復興を祈っています。(2024/1/2 修正)

2024年も『 いつもあなたとバカラック 』をよろしくお願い申し上げます あるでお


米ラジオ局NPRのラジオ番組『 Marian McPartland's Piano Jazz 』用に2005年11月4日レコーディングされたセッションの音源がNPR公式サイトで2014年8月8日から公開されています。

番組のホスト役 Marian McPartland(マリアン・マクパートランド)さんは米国のジャズピアニスト(1918年〜2013年)。バカラックさんより10歳年上でセッション時は87歳。話ぶり・ピアノ演奏とも全然そんな感じは受けず、最初予備知識なく聴いた時とてもバカラックさんより年上には思えませんでした。バカラックさんまた口説くのか?と思いましたから😅。
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↑ 画像はちたりた様よりいただきました。ちたりた様ありがとうございました。

以下のURLのページでまだ聴くことができます。とても楽しげに語り、ピアノを弾き、歌うバカラックさんが印象的です。年始休暇の間、バカラックさんを偲びながら聴いてみてはいかがでしょう?
https://www.npr.org/2014/08/08/338846155/burt-bacharach-on-piano-jazz

【セットリスト】
1. ALFIE アルフィー
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 恋よさようなら
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU ディス・ガイ
4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  雨にぬれても
5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 世界は愛を求めている
6. Portrait Of Burt Bacharach (McPartland)
7. THE WINDOWS OF THE WORLD 世界の窓と窓
8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 遙かなる影

収録時間約57分

尊敬するまったりさんが2015年9月8日にブログ『バカラックマジックでまったりと』でこのラジオ番組の音源を紹介しておられました。→ 「Burt Bacharach On Piano Jazz」 です。…本記事をアップした後に気付いた次第。まったりさんから8年以上も遅れている あるでお でした😅 (2024年1月4日 追記)


以下、オマケです。

🔸ウェブページの “ 本ブログとバカラックについて ” を改訂しました。スマホの方は参照先が画面に表示されないようですのでリンクを貼っておきます。(こちら

🔸ページビュー数(PV)ランキング:昨年(2023年)閲覧数が多かったページをランキング形式で表示します。集計対象期間は 2023/1/1〜2023/12/31。因みに、最低は827位/PV数1 でした。

TITLE DATE(年/月) カテゴリー PV数 入口
回数
1 いつもあなたとバカラック - - 6,404 3,269
2 薔薇色の明日/高橋幸宏 (1983年) 2013/10 IN 1,260 1,077
3 THE APRIL FOOLS/O.S.T. (1969年) 2017/07 IN 871 711
4 国立国会図書館での録音資料閲覧体験 2018/11 ネタ 824 677
5 コンピレーションアルバム - CP 727 136
6 CARPENTERS/Carpenters (1971年) 2013/06 IN 669 593
7 バート・バカラックのアルバム - BB 650 227
8 LIVE IN JAPAN/Burt Bacharach (1971年) 2014/04 BB 558 401
9 ディオンヌ・ワーウィックのアルバム - DW 549 268
10 バカラックの曲がちょっと入ったアルバム - IN 543 272
11 カヴァーアルバム - CV 537 268
12 バカラックさん、安らかにお眠りください 2023/02 ネタ 536 62
13 LOST HORIZON/O.S.T. (1972年) 2016/05 BB 446 308
14 Alfie/Vanessa Williams (1996年) 2015/10 EP 423 373
15 I SAY A LITTLE PRAYER/Diana King (1997年) 2015/10 EP 373 228
16 AUSTIN POWERS /O.S.T. (1997年) 2016/09 IN 367 297
17 BURT BACHARACH A LIFE IN SONG バート・バカラック ライブ・イン・ロンドン 2015/V.A. (2016年) 2016/03 CV 361 275
18 布施明がバカラックに会った時/布施明 (1971年) 2014/04 CV 355 280
19 レディメイド、バカラックを讃える/V.A. (1994年) 2017/06 CP 351 233
20 本ブログとバカラックについて - - 347 189
21 関連CD バカラックがビートルズに逢った時/筒美京平 (1971年) 2013/10 ネタ 345 298
22 狐火/郷ひろみ (2021年) 2021/08 EP 337 286
23 MAKE IT EASY ON YOURSELF/Burt Bacharach (1969年) 2016/04 BB 322 231
24 RARITIES/山下達郎 (2002年) 2013/12 IN 307 248
25 LIVING TOGETHER/Burt Bacharach (1973年) 2016/05 BB 273 149
26 the look of love the Burt Bacharach collection/V.A. (1998年) 2018/01 CP 272 167
27 BURT BACHARACH/Burt Bacharach (1971年) 2016/05 BB 269 158
28 THE BEST OF ME/David Foster (1983年) 2016/06 IN 264 217
29 10月9日 NHK-FM『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』プレイリスト 2023/10 ネタ 253 80
30 BBCのTVドキュメンタリー『 Burt Bacharach... This Is Now 』(1996年) 2020/04 ネタ 248 197













































カテゴリー略号の意味

CV:カヴァーアルバム、CP:コンピレーションアルバム、EP:シングル、DW:ディオンヌ・ワーウィックのアルバム、IN:バカラックの曲がちょっと入ったアルバム、ネタ:バカラック関連ネタ、BB:バート・バカラックのアルバム、NW:新作主体のアルバム

2023年12月31日 (日)

Lawrence Welk Presents The Now Sound of Sandi & Salli/Sandi & Salli (1970年)

米国のTV番組“ローレンス・ウェルク・ショー”から登場した人気コンビ Sandi & Salli 唯一のアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は2トラック

A2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (2:23)
B1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:25)


米国のTV番組“ローレンス・ウェルク・ショー”から登場した人気コンビ Sandi & Salli 唯一のアルバムです。

Sandi & Salli(サンディ&サリー)のプロフィールついては前回記事を参照いただければと思いますが、Lawrence Welk(ローレンス・ウェルク)がホストを務める米国のミュージカル・バラエティTV番組“ローレンス・ウェルク・ショー”(1951年〜1982年放送)に1968年1月から出演して一躍人気となった女性デュオです。

1967年から1968年にかけて3枚シングルをリリースした後、ローレンス・ウェルクとDotレコード社長の Randy Wood(ランディ・ウッド)が設立したレーベルの Ranwood から1970年に本アルバムをリリースしました。レコードのタイトルからして Lawrence Welk Presents ですから、番組の人気にあやかってのリリース。ちなみに、レコードジャケットの左がサンディで右がサリーでございます。

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ギターやキーボード主体のバンド形式、バンドにブラスが加わった編成、ストリングスが加わった編成など曲によって演奏形態は異なりますが、総じて軽くて能天気な演奏(能天気は語弊があるかもしれません😅)。サンディ&サリーは基本ユニゾンで歌っているようで、時折ハモるのは女性バックコーラスだと思います。明るくブライトな2人の歌声は瑞々しく元気。“ローレンス・ウェルク・ショー”で2人が歌っている動画がいくつかYouTubeに上がってますが、派手ではないもののお揃いの衣装を纏ったお嬢さん的な印象。そういったビジュアルも含めてウケたんじゃないかなぁ。双子じゃないけどザ・ピーナッツに近しいものを感じます。

バカラック・カヴァーはA2.「 雨にぬれても 」とB1.「 恋よさようなら 」。「 雨にぬれても 」はあくまで元気で明るくがコンセプト。2コーラス目のサビで2小節だけ追っ掛けする場面があり、そこはちょっとエモいです。「 恋よさようなら 」もやっぱり元気で明るくがコンセプト(笑)。2人のうち一方がソロで歌う場面もありますが、それはAメロの一部のみ。
これら2曲を含めほとんどの曲が終止形で終わっています。TVショーで歌うことを考慮して終止形が多いんじゃないかな。

他の曲では、Tom Jones(トム・ジョーンズ)の原曲よりも思い切り能天気なB2.「 HELP YOURSELF 」、Timi Yuro(ティミ・ユーロ)がオリジナルでノリが良いB5.「 I CAN'T STOP RUNNING AWAY 」あたりが良さげです。本作、YouTubeにフル・アルバムがUPされています(サムネイルのジャケ写がちょっと違うのが気になりますが)。興味がありましたら是非。

ここからはオマケ。“ローレンス・ウェルク・ショー”でサンディ&サリーが「 サン・ホセへの道 」を歌っている動画がYouTubeに上がってました。2種類見つかったのですがどちらも寸劇になっていてちょっと笑っちゃいます。こっそりリンクを貼っておきますね。(バイクバージョン)(ガソリンスタンドバージョン


【データ】

『 Lawrence Welk Presents The Now Sound of Sandi & Salli 』
Sandi & Salli




LP:1970年リリース
レーベル:Ranwood (US)
番号:RLP 8069

Produced by George Cates

Arranged by Frank Scott (except A3.)
Arranged by Bob Smale (A3.)
Recorded at Annex Studios - Hollywood, Calif.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年12月24日 (日)

DON'T COUNT THE DAYS/Sandi & Salli (1968年)

米国の女性デュオ、Sandi & Salliが1968年にリリースしたシングルです。B面がバカラック超レア曲のカヴァーです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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B面

A. IN THIS FOR-THE-MOMENT WORLD (2:15)
B. DON'T COUNT THE DAYS (2:37)


米国の女性デュオ、Sandi & Salliが1968年にリリースしたシングルです。

Sandi & Salli(サンディ&サリー)は、Sandi Griffiths(サンディ・グリフィス:1946年8月1日LA生まれ)とSally Flynn(サリー・フリン:1946年7月23日オレゴン州オンタリオ生まれ)のガールデュオ。ユタ州にあるBrigham Young University(ブリガム・ヤング大学)でクラスメイトだった2人はコンビを組み、ビッグバンド・リーダーのLawrence Welk(ローレンス・ウェルク)がホストを務める米国のミュージカル・バラエティTV番組“ローレンス・ウェルク・ショー”(1951年〜1982年放送)に1968年1月から出演して一躍人気となります。1972年後半、サリーはソロキャリアを追求するためショーを去りデュオは解散。サンディはそのあと1980年までショーに出演を続けました。

Discogsによればサンディ&サリーはシングルを3枚リリース(1967年と68年にCapitolから2枚、1968年にRanwoodから1枚)。Ranwoodはローレンス・ウェルクと Dotレーベル社長のRandy Wood(ランディ・ウッド)が1968年に設立したレーベルなんですが、本シングルリリース時はRanwood設立前だったのかしらん。それともCapitolとの契約が残っていたのかな? まぁどっちでもいいかっ😄

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んで、本シングルのB面がバカラック超レア曲「 DON'T COUNT THE DAYS 」のカヴァーでございます。マリリン・マイケルズが1968年秋にリリースしたシングルがオリジナル(拙記事参照)。すぐにカヴァーしたってことになりますね。オリジナル(♩≒144)よりゆったり目のテンポ(♩≒124)でキーは半音低く、よく動くベースでウキウキ感を出しヴィブラフォンやオーボエのオブリガートでドリーミーな雰囲気を醸し出すアレンジはよく練られてると思います。2人は基本ユニゾンで歌っています。サビでハモってるのはバックコーラスではないかと…。決して歌唱力は高くはないのですが、そのフワッとした歌唱はアレンジによくマッチしてますねー。YouTubeにもアップされていますので要チェックです(ちなみに上の画像はその動画のサムネイルをスクショしたものです。サンディ<左>&サリー<右>)。

この曲は他にLisa Carroll(リサ・キャロル)が1969年7月にカヴァー(拙記事参照)。マリリン版がアイドル風、リサ版はポップス風、そしてサンディ&サリー版はドリーミー、私はいずれも好きです。が、それ以降カヴァーが無いんですょ〜。誰かこの曲をカヴァーしてくんない?…と思う2023年の年の瀬です。


【データ】
IN THIS FOR-THE-MOMENT WORLD/DON'T COUNT THE DAYS 」
Sandi & Salli

7"Single:1968年リリース
レーベル:Capitol (US)
番号:2089 (所有シングルは、P 2089 … プロモーションレコードは頭にPが付く)

Produced by Alexis de Azevedo
Arranged By Gene Page
A.「 IN THIS FOR-THE-MOMENT WORLD 」
    (Billy Page)
B.「 DON'T COUNT THE DAYS 」
    (B.Bacharach - H. David)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年12月17日 (日)

ライブの感想 Yammy* sings Burt Bacharach Dec. 16, 2023

14年目の Yammy* sings Burt Bacharach!(以降 YsBB)

2023年12月16日(土) 18:00開場 19:00開演
Restaurant Bar & New York Sound Live ROYAL HORSE
Yammy*(Vo)、Sasapong(P)、堂地誠人(Soprano Sax)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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昨年に引き続き年末恒例のYsBBを聴きに梅田のロイヤルホースへ!
コロナ5類以降後初めてのYsBB。昨年は店のエントランスにあった『 感染症対策認証飲食店/ワクチン・検査パッケージ制度登録店 』認定証 も今年は見当たらず…。とはいえ(インフルが流行しコロナも下火にはなってないので)マスク着用して店内へ。
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私が初めてYsBBを聴いたのが2013年12月15日、ここロイヤルホースでした。ちょうど10年前かぁ。その時は“38th”だったステージバックのタペストリーも“48th”になっとる(当たり前ですが)。この10年の来し方が走馬灯のように思い出されます(なんてのはウソ。ホント思い出せなくて…😅)。お店の方による注意事項(写真はOKですが動画撮影はご遠慮ください〜etc.)の後、いつものトリオよるYsBBが始まりました。

Yammy*さんはMCでYsBBは今年が13年目と仰ってましたが、初回は2010年なので今年は13周年=14年目になるんじゃ? ライヴの事前告知でプロデューサー廣瀬氏も確か14年目と書いておられましたし。ま、事実は変わらないのでどっちでもええんですが。

<1st stage> 19:08〜19:58
1. THE WINDOWS OF THE WORLD 世界の窓と窓
2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 世界は愛を求めている(愛をもとめて)
3. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO) ニューヨーク・シティ・セレナーデ
4. DON'T MAKE ME OVER ドント・メイク・ミー・オーヴァー
5. ANYONE WHO HAD A HEART 恋するハート
6. THE LOOK OF LOVE 恋の面影
7. WALK ON BY ウォーク・オン・バイ
8. ALFIE アルフィー

<2nd stage> 20:23〜21:10
1. BELLS OF ST. AUGUSTINE ベルズ・オブ・セント・オーガスティン
2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU ディス・ガイ
3. A HOUSE IS NOT A HOME ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム … w/Sasapong
4. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL アイ・スティル・ハヴ・ザット・アザー・ガール … w/Sasapong
5. ONE LESS BELL TO ANSWER 悲しみは鐘の音と共に
6. COUNT ON ME カウント・オン・ミー
7. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 遙かなる影
8. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 恋よさようなら

<Encore> 21:15〜21:25
1. I SAY A LITTLE PRAYER 小さな願い
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今年も昨年同様、アンコール含めオール・バカラック・プログラム(Yammy*さん手書きのセットリストは廣瀬さんよりいただきました。感謝!)。ライヴ途中でYammy*さんも仰ってましたが、全体的に円熟味が増すと共に演奏面・歌唱面共にブラッシュアップされていたのが印象的でした。「 初回(13年前)と同じキーで歌ってるけれど、キーが高くてキツい 」とYammy*さんは謙遜しておられましたが、全然そんなことなかったです。

1st Stage は1-1.「 世界の窓と窓 」から1-2.「 世界は愛を求めている 」に繋ぐメドレーでスタート。この形はルーサー・ヴァンドロスの十八番ですが、ソウルフルなYammy*さんが聴けて嬉しかったです。続く1-3.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」でも感じたのですが、今回Sasapongさんのピアノが以前より柔らかい音色に聴こえたこと。いい雰囲気です。ブルースっぽいピアノで始まった1-4.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」はこれまでも2015年や2018年のYsBBで披露しているのですが、初めて取り上げたんじゃ?と思ったくらい新鮮に聴こえました(私の記憶力低下も多分にありますが😅)。

2nd Stage は2020年ダニエル・タシアンとバカラックが共作した2-1.「 ベルズ・オブ・セント・オーガスティン 」でスタート。Yammy*さんはノン・ビブラートで歌っていましたが、タシアンに寄せていたんでしょうか。心に響く歌唱でした。2-6.「 カウント・オン・ミー 」での堂地さんのソプラノサックスは本当にYammy*さんの声と同化していて心地よかったです。アップテンポの2-8.「 恋よさようなら 」で締めて、アンコールは「 小さな願い 」。SasapongさんもYammy*さんも踊る踊る! 気分高揚してライヴは終了しました。
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Yammy*さんは来年2024年の1〜3月にほぼ毎週末ギター弾き語りのライヴを予定しとられます(京都、大阪、奈良)。興味ある方はYammy*さんの公式サイトを参照ください!

2023年12月10日 (日)

DON'T COUNT THE DAYS/Lisa Carroll (1969年)

米国の女性歌手、リサ・キャロルが1969年に英CBSよりリリースしたシングル。B面が超レアなバカラック・カヴァーです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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B面

A. YOU MADE ME WHAT I AM (2:08)
B. DON'T COUNT THE DAYS (2:48)


米国の女性歌手、リサ・キャロルが1969年に英CBSよりリリースしたシングルです。

彼女は1930年、米ノースダコタ州生まれ。若い頃('50年代)はFay Morleyという名前で映画やテレビに出演。初めての映画出演はマリリン・モンロー主演の西部劇『 RIVER OF NO RETURN(帰らざる河)』(1954年) で、ダンスガールを演じたそう。ですがあまり成功を収めることはできず、英国に渡ってクルーズ船で歌ったりBBCの番組で3年間ホスト役をしたり英CBSで録音しています。同時期に彼女は名をLisa Carrollに変えており、本シングルはこの渡英時代のものかと。その後米国に戻った彼女はナイトクラブやラスベガスでパフォーマンス。70歳の頃と思われる映像がありましたのでYouTubeのリンクを貼っておきます。

Discogsにあった彼女の画像を拝借しました。モノクロですからねぇ…、いつ頃だろ?
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さてこのシングル、B面で超レアなバカラック曲「 DON'T COUNT THE DAYS 」をカヴァーしています(オリジナルはマリリン・マイケルズで1968年にシングルリリース)。軽快なテンポ(♩≒144)で元気良かったマリリン版と較べるとちょっと趣が違うようで…。テンポは落ち着きのある♩≒126、キーも長三度低く、少しばかり鼻にかかったリサの歌声はとても表情豊か。バックの演奏もマリリン版のコピーではなく、分厚いブラスによる合いの手、フルートのオブリガートなど一味加えたアレンジが光ってます。リサはこの時39歳。マリリン版がアイドル風、リサ版はポップス風と言ったら違いがわかりますでしょうか。

高低差のある歌いにくい音程のメロディ、Bメロで半音上がる転調、ユニークな楽節の数。これら原曲の持つバカラックらしさは健在で魅力的なのは変わりません。
聴いててクセになりますね〜この曲は。実は先日の『 NHK-FM一日バカラック三昧 』で私がリクエストした3曲のうち1曲はこの曲(マリリン版)だったんです。採用されませんでしたが…。
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このスリーヴもレーベル所属アーティストがプリントされていていいですねー。(レーベルはA面です)

この記事を書くためにリサのことを調べていたら面白い情報を発見。リサは結婚したことはないようですが、デートした男性はいらしたようで、なかでもバカラックさんとは特別な関係だったと…。

─ It seems she had a special relationship with songwriter Burt Bacharach, as attested by this funny quote:
“It was my first release. They presented the song to me and, for the b-side, anything written by Burt Bacharach would have to be a success, especially since his parents were my dearest friends. I think it sold well. That was a funny situation as [Burt’s parents] were always trying to fix me up with their son between his many marriages, but it never worked out. They wanted me for a daughter-in-law. Every time he got divorced, they would ring me and say, “Now’s the time!” But by then, I’d be off singing somewhere.” ─ (obscureactresses.wordpress.comより、PRIVATE LIFE のおしまいの辺り)

バカラックの両親はリサのお友達。両親はリサのことを気に入ってたようで、バカラックが離婚するたびにリサとを引っ付けさせようとしたとか(もちろんそれは叶わなかったのですが)。確かに1928年生まれのバカラックと1930年生まれのリサは年齢的に釣り合ってるけど。この話ホントかなぁ😅


【データ】



YOU MADE ME WHAT I AMDON'T COUNT THE DAYS 」
Lisa Carroll

7"Single:1969年7月25日リリース
レーベル:CBS (UK)
番号:4428

Arrange and Produced by Keith Mansfield
A.「 YOU MADE ME WHAT I AM 」
    (J. Trent / T. Hatch)
B. 「 DON'T COUNT THE DAYS 」
    (B. Bacharach)  注:なぜか作詞 Hal David の名はクレジットされていません。可哀相なハルさん…

U.K. Production
(P) 1969

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

 

2023年12月 3日 (日)

THE BELL THAT COULDN'T JINGLE/The Baby Dolls (1964年)

英国の姉妹デュオ、ベイビー・ドールズが1964年にリリースしたシングル。A面がバカラックの代表的なクリスマス・ソング「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」のカヴァーです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A. THE BELL THAT COULDN'T JINGLE (2:23)
B. WE'RE NO ANGELS (2:16)


バカラックさんが亡くなってから10ヶ月近く…。今年ももう12月、早いですねぇ。前から欲しかったシングルをやっと入手しました。それが
英国姉妹デュオのベイビー・ドールズが1964年にリリースしたこのシングル。A面がバカラックの代表的なクリスマス・ソング「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」のカヴァーです。

─ One - off sisters' duo comprised of Angela Maberley and Hillary Maberley, from London U.K. At the time of their single release they were 11 and 12 years old respectively. 英国ロンドン出身のアンジェラ・マーバリーとヒラリー・マーバリーからなる一度限りの姉妹デュオ。シングルリリース当時、彼女らはそれぞれ11歳と12歳でした。 ─ (Discogsより、機械訳です悪しからず)

あらまぁ、ベイビー・ドールズはこの曲だけの即席デュオだったのね。どんなお嬢さんだったんでしょう? …ということで、Shutterstockのリンク(こちら:このシングル盤を持ってニッコリ)と、Getty Imagesのリンク(こちら:フウセン割れそうで耳を塞いでる)を貼っておきます。どちらの画像もお揃いの服を着ておしゃまな雰囲気っすね。
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Shutterstockの画像には手元にスリーブも写ってます。当時から60年近く経ったこの色褪せ感がたまらんですなぁ。

「 THE BELL THAT COLDN'T JINGLE 」はポール・エヴァンスが1962年12月にリリースしたのがオリジナル。拙ブログで紹介した際(2017年12月24日の記事)、この曲のカヴァーをリリース順に並べてグルーピングしたのですが、このときは1964年リリースのボビー・ヴィントン版を最初のカヴァーとしていました。しかしベイビー・ドールズ版も1964年リリース。もしかしたらこちらの方が初めてのカヴァーだったのかもしれません(知らんけど)。

Aメロ9〜12小節で女性コーラスが歌う “ パンパパン、パパン ” のフレーズをそのままイントロに持ってきてるのはオリジナルのポール・エヴァンス版と違うところですが、この方が子供にとっては歌いやすいのかな? んで、歌唱は明らかに素人の子供のソレ。とても元気なのはいいんですが、勢い余って前につんのめってるところが所々あります。アウトロで笑い声が入ってるのは微笑ましくて私は好きなんですけどねー。どうせディレクターの指示であざといとは思うけど😅

どなたかがYouTubeに上げてますので興味があれば是非。


ここからはオマケです。ここ数年で知った
この曲の好カヴァーをいくつかご紹介。
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ロサンゼルスを拠点に活動する俳優、作家、ソングライター、レコーディング、ボイスアーティストのAshley Fox Lintonが、2020年リリースのアルバム『 Christmas Will Keep Us Warm 』で「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」(2:05)をカヴァー。ブライトな歌声にピアノやグロッケンをフィーチャーした軽快な伴奏も相まって、キラキラで楽しいカヴァーです。YouTubeに動画上がってます。
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ニューヨーク/ニュージャージー地域の主要なプロの金管楽器とパーカッション奏者からなるGramercy Brass Orchestra of NYが2022年のアルバム『 A Gramercy Brass Christmas 』にクリスマスソング4曲をメドレーした「 Christmas Celebration 」(7:40)を収録しているのですが、そのメドレーの最初の曲が「 THE BELL THAT COULCN'T JINGLE 」(約2分間)です。巧みなアレンジで、最初は柔らかく途中からウキウキするサウンドを展開しています。遙か昔にちょろっとトロンボーンを吹いた経験のある私がまた吹いてみたいと思った魅力的な演奏でした。レコメンドです。これもYouTubeに上がってますね。



【データ】
「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」/「 WE'RE NO ANGELS 」
The Baby Dolls with Geoff Love and His Orchestra

7"Single:1964年リリース
レーベル:Columbia (UK)
番号:DB 7432

Recording first published 1964
A.「 THE BELL THAT COULDN'T JINGLE 」
    (Bacharach - Kusik)
    BATON MUSIC LTD.
B.「 WE'RE NO ANGELS 」
    (Ponte - Johnson)
    PONTE-OATES MUSIC WESTSIDE MUSIC
MADE IN GT. BRITAIN

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し



2023年11月26日 (日)

At Montreux/Hampton Hawes Trio(1976年)

米国の男性ジャズ・ピアニスト、ハンプトン・ホーズがトリオで参加した1971年モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音盤です。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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所有① Original LP front cover/back cover

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所有② 1990年リイシュー日本盤LP の front cover/back cover


全2トラック中、バカラック作品は1トラック

A1. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (20:17 … 裏ジャケには31:15と記載) 
B1. HIGH IN THE SKY (20:30 … 裏ジャケには26:12と記載)


米国の男性ジャズ・ピアニスト、ハンプトン・ホーズがトリオで参加した1971年6月モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音盤です。

─ ハンプトン・ホーズ(1928年11月13日 - 1977年5月22日) は、アフリカ系アメリカ人のジャズ・ピアニスト。ビバップやハード・バップのジャンルで活躍し、1950年代において最も優れた、また、影響力のあったピアニストの一人。モダン・ジャズ草創期の日本に米軍の一員として滞在し、多くの日本人ジャズメンとも交流があった。(*1)  ─ (Wikipediaより概要)

1928年生まれということは、バカラックさんと同い年だったのかぁ…。

─ ロスアンジェルスに生まれたホーズは7人兄弟の末っ子として、宣教師の父に育てられた。アール・ハインズの演奏を12才の時に聴いてジャズに興味を持ったという、そして、高校の頃には、プロとして演奏を始めている。(中略)その後は、親友のソニー・クリス、ワーデル・グレイ、テディ・エドワーズ、アート・ペッパーといった、西海岸黒人派達との共演を経て急速に名ピアニストの評価を高める。やがて、コンテンポラリーへの諸作で、第一期黄金期 (*2) を確立、復帰後 (*3) 、第二期のコンテンポラリー時代へ続く、第三期欧州楽旅時代を経て、「テンションの時代」へと足を踏み入れたホーズの頂点を捉えたのが本作だ。  ─ (所有② リイシュー日本盤LPの解説より、瀧口秀之氏)

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本作は1971年モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。裏ジャケのライナーノーツによれば50分以上休むことなく演奏を続けたと
あります。裏ジャケおよびレーベル面の記載によればA面は1トラックのみで31:15、B面も1トラックのみで26:12。でも聴いてみると…、A面はMC(司会者によるメンバー紹介)と拍手で始まり20分ちょっとでフェードアウト。B面はフェードインで始まり終止形+観客の拍手で終わるんですが、収録時間はやはり20分ちょっと…。全然違ってました。アナログレコードには具体的な収録可能時間は存在せず溝を細くすれば収録面積内に沢山の溝を刻めて長く収録することができますが、音量は溝の細さと比例して下がる為一般にLP(33 1/3回転、12インチ)の場合で片面20分程度と言われています。なので、片面20分程度しか収められなかったのは理解できるんですが、裏ジャケやレーベル面に記載する収録時間は実際を踏まえて記して欲しいっすね。

んで、A1.がバカラックの「 ディス・ガイ 」。20分間のうち「 ディス・ガイ 」のメロディが聴こえるのは、曲が始まって [1] 2分過ぎからの1分20秒間、[2] 12分過ぎからの1分40秒間、[3] 17分ころからの1分20秒間、の計3箇所。メロディ以外の部分はアドリヴですが、フリージャズか?という感じで原曲の面影は全く感じられません。オリジナルLP裏ジャケのライナーノーツでは次のように解説しています。

─ たとえば、ハンプトンの最初は優しく、その後は厳しく、探りを入れるようなイントロから、彼が私たちを「 This Guy's In Love With You 」の甘美なメロディーに引き込もうとしているなどと誰が予想できたでしょうか? この曲自体は、その後の 31 分間の単なる参照点として機能します。これはハンプトンと同僚がまったく新しい構造を構築するためのメロディーですが、バカラックのベースはそのすべてに役立ちます。ここではハンプトンの芸術性の多くの側面が展示されており、渦巻くクライマックスやテンポの動きの中でも、ブルースは決して遠く離れたものではありません。その多様性は、ミンガスのアプローチを彷彿とさせます。それは、曲、コーラスが 3 つずつ、曲というきちんとした計画ではありません。しかし、ビクトリア朝時代に建てられた家のような、とりとめのない広大なレイアウトでは、通路の終わりや階段の頂上でさらなる楽しみを発見し続けるということです。ホーズ、フランクリン、カービンの間の理解はテレパシーに近いものです。2 回目か 3 回目の演奏をすると、その音楽的才能がどれほどのものであるかがわかります。
 自由に演奏するには適切な規律が必要であり、レニー・トリスターノが同様の形式で初期の実験を行ったときと同様に、その事実がここでも再び明らかになります。ホーズを見ていると、彼が安易な近道を選ばず、常に探求し、風変わりな道を模索していることが感じられます。カーヴィンは同僚のニーズに敏感で、冒険心に富んだパーカッショニストとして印象的ですが、フランクリンの太い音と楽器の技術的な熟練は随所で明らかです。  ─ (Mark Gardner、ほぼ機械訳です)

う〜ん、よーわからん(汗)。

所有② 1990年リイシュー日本盤LPも、収録時間はOriginalと同じでした。
因みにこの1990年日本盤、ライナーノーツ/帯/レーベル面でのA1.「 ディス・ガイ 」の曲目表記が「 THIS GUY'S IN LOVE WITH ME(ディス・ガイズ・イン・ラヴ・ウィズ・ミー)」と間違ってます。裏ジャケの表記はOriginalそのままなので正しいんですけどね。
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(*1) 1952年から1954年にかけて、米国陸軍の一員として軍務で日本に駐留。日本に滞在中、ホーズは飛び入りで演奏に参加するなどして、植木等や穐吉敏子などといった日本人ジャズメンとしばしば交流し、ジャム・セッションなどを行ったそう。
(*2) 除隊後、ベーシストのレッド・ミッチェルと、ドラマーのチャック・トムスンと共にトリオを結成し、1955年〜57年コンテンポラリー・レコードにいくつもの名盤を録音。1955年の『 Hampton Hawes Trio, Vol. 1 』はジャズに明るくない私でもリイシューCD持ってるくらい。
(*3) 1958年に薬物で逮捕。10年の実刑を受け収監されたが1963年に特赦〜放免となりました。


ここからはオマケです。MP3で所有しているハンプトン・ホーズのバカラック作品をご紹介します。
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ハンプトン・ホーズは1975年リリースの『 This Guy's In Love With You 』Freedom – FLP 40128(同年リリースの『 Live At The Montmartre 』Arista – AL 1020 も内容は同じ)でも「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU(ディス・ガイ)」(12:02) を演奏しています。1971年9月、デンマークはコペンハーゲンのライヴハウス "モンマルトル" でライヴ録音したもので、モントルーと同じメンバーによるトリオ編成。メロディが聴こえるのは、[1] 1分26秒からの1分20秒間と、[2] 9分32秒からの1分20秒間。終止形で終わり、最後には拍手が入ってます。基本、モントルーの短縮版といった感じ。ジャズ的には違うんでしょうけど、バカラック・ファンとしてはこれで十分満足かなぁ…。
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また、1970年リリースの『 High In The Sky 』Vault – SLP-9010 では「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(6:36) を収録。1970年のスタジオ録音で、Leroy Vinnegar (Bass), Donald Bailey (Drums) とのトリオ。とってもファンキーな演奏ですねぇ。私はわりと好きです、尺も短いですし(笑)。


【データ】
『 At Montreux 』 (邦題:トリオ・アット・モントゥルー)
Hampton Hawes Trio

LP:1976年リリース (所有②は、1990年11月リイシュー日本盤LP。解説は瀧口秀之氏。)
レーベル:JAS Records (US) (所有②は、JAS / CENTURY RECORDS CO., LTD Japan.)
番号:JAS-4002 (所有②は、CEJC 00184)

Produced by Jack Lewerke
Hampton Hawes - piano
Henry Franklin - bass
Mike Carvin - drums

Recorded at Casino de Montreux, Montreux Jazz Festival, June 1971.

『 At Montreux 』はAmazonでは見つかりませんでしたが、タイトル名を変えてリイシューされたアルバムが引っかかりました。一応リンクを貼っておきます。

Amazonリンク(CD UK盤)(CD日本盤

2023年10月22日 (日)

Blame It On Bacharach!/V.A. (2012年)

2008年にロサンゼルスで行われたバカラック・トリビュート・コンサートのライヴ録音盤です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. OVERTURE  〜 Orchestra 〜
2. HALF AS BIG AS LIFE  〜 Danny Gurwin 〜  M
3. TURKEY LURKEY TIME  〜 
Donna McKechnie, Valarie Pettiford, Jane Lanier, Sandahl Bergman 〜  F
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Danny Gurwin & Vicki Lewis 〜  FM
5. BABY IT'S YOU  〜 Catte Adams 〜  F
6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Marilyn Maye 〜  F
7. BLUE ON BLUE  〜 Stephen Bishop 〜  M
8. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Donna McKechnie 〜  F
9. THE LOOK OF LOVE  〜 Justin Guarini 〜  M
10. THE APRIL FOOLS  〜 Nancy Dussault 〜  F
11. WALK ON BY  〜 Stefanie Powers 〜  F
12. GO ASK SHAKESPEARE  〜 Jai Rodriguez 〜  M
13. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Dave Koz 〜
14. ALFIE  〜 Valarie Pettiford 〜  F
15. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF / ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Melissa Manchester 〜  F
16. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  〜 Carole Cook 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記


収録時間約63分


The 24th Annual Southland Theatre Artists Goodwill Event(略してS.T.A.G.E.)として、2008年にロサンゼルスでバカラック・トリビュート・コンサートが行われました。そのライヴ録音盤です。

ググったところコンサートの模様を伝える broadwayworld.com の記事が見つかりましたので、引用して紹介します(ほぼ機械訳です、悪しからず)。元記事には出演アーティストの画像も載っていますので興味がありましたらリンクをクリックくださいませ。

─ エイズ・プロジェクト・ロサンゼルスは、3月8日と9日にビバリーヒルズのウィルシャー劇場で作曲家バート・バカラックの音楽を祝う第24回サウスランド・シアター・アーティスト・グッドウィル・イベント(S.T.A.G.E.)から約35万ドルを受け取りました。

デビッド・ガリガン演出、メアリー・エクラー音楽監督による『 Blame It On Bacharach! 』は、ヴィッキー・ルイス(『 ニュースラジオ 』)とダニー・ガーウィン(『 フル・モンティ 』)が主演するバカラックのブロードウェイヒット作『 プロミセス・プロミセス 』の特別版をフィーチャーしました。コーラスラインのドナ・マッケニー(『 プロミセス・プロミセス 』のオリジナルキャスト)は、サンダール・バーグマン、ジェーン・ラニアー、ヴァラリー・ペッティフォードが加わった「ターキー・ラーキー・タイム」ダンスナンバーを再演しました。プロダクションには、イアン・アバークロンビー、ポール・エインズリー、クリス・コードーン、マリル・ヘナー、アルバン・イン、リン・マータ、ジェイミー・マクマレー、リンダ・ミシェル、グレゴリー・ノースも出演しました。

後半は、バカラックの名曲セレクション。ロングランした『 Forever Plaid 』から、オリジナルの Plaids 〜 スタン・チャンドラー、デビッド・エンゲル、ロジャー・ベフェラー&ラリー・ラーベン の4人組 〜 がバカラックの映画音楽のメドレーのために再会しました。

『 アメリカン・アイドル 』のジャスティン・グアリーニは「 恋の面影 」を歌い、シンガーソングライターのメリサ・マンチェスターは「 恋するハート 」と「 恋のとまどい 」のメドレーを選び、デニース・ウィリアムズは「 マジック・モーメンツ 」を演奏しました。その後、『 Queer Eye for the Straight Guy 』のジャイ・ロドリゲスは「 ゴー・アスク・シェイクスピア 」を、ステファニー・パワーズは「 ウォーク・オン・バイ 」を、マッケニーとペティフォードはそれぞれ「 ハウス・イズ・ノト・ア・ホーム 」と「 アルフィー 」を歌いました。

S.T.A.G.E.は、24年前の設立以来、南カリフォルニア全土のHIV/エイズ組織のために数百万ドルを調達してきました。純収益はすべてエイズプロジェクトロサンゼルスに寄付され、ロサンゼルス郡全体で直接サービスとHIV / AIDS予防教育を提供する25年目を迎えます。  ─  (by James Sims Mar. 15, 2008)

以前、似た構成のコンサートを聴いたことがあります。『 PROMISES,PROMISES in Concert  May 9, 2012 』です。第一幕は Promises, Promises ブロードウェイ2010年版に沿った曲目を全てフルサイズで踊り付きで歌い、第二幕はバカラックの代表曲を一部の曲は踊り付きで歌う…そんなコンサートでした。もう11年以上も前かぁ…歳とるワケです😓。

本CDはT-1〜4.が『 プロミセス・プロミセス 』特別版で、T-5〜16.がバカラックの名曲セレクション。先ほどの記事に載っていたPlaidsの4人組による映画音楽メドレーやデニース・ウィリアムスの「 マジック・モーメンツ 」は入ってないので、コンサートの全てを収めたものではなさそうです。出演者には拙ブログで過去紹介した名前もちらほら。T-3とT-8のドナ・マッケニーは記事にもあるように1969年オリジナル・ブロードウェイ版でも「 ターキー・ラーキー・タイム 」を歌っていた方ですし、T-6のマリリン・メイは1969年に「 恋よさようなら 」をカヴァー(こちら)。T-7のスティーブン・ビショップは映画『 ミスター・アーサー 』のサントラで「 IT'S ONLY LOVE 」を歌ってました。そしてT-15のメリサ・マンチェスターは1983年に書き下ろし曲「 TIME 」を歌い、1989年に「 ウォーク・オン・バイ 」をカヴァーしとられます。意外に知ってるアーティストが多くてびっくりしました。

何かないかなぁとYouTubeを漁っていたらこのコンサートの動画が1本見つかりました。タイトルは Blame it on Bacharach Finale で、「 愛のハーモニー 」を大勢で歌っています。CDのラスト、T-16.「 愛のハーモニー 」(2:00) はキャロル・クックさんがソロで歌いフェードアウトで終わっているので、キャロル・クックさんの後にキャスト全員で歌った場面なんでしょう。

『 プロミセス・プロミセス 』特別版のT-1〜4はオリジナルに忠実なアレンジ&演出でしっかり再現しています。ストリングスがシンセでちょいと残念ではありますが…。踊りながら4人で歌うT-3.「 ターキー・ラーキー・タイム 」で声が苦しいところがあったりしますがそれはご愛嬌。ドナ・マッケニーさんなんてこの時65歳なんですから。

T-5〜16の後半は一転、元曲のコピーではない心持ちジャジーなアレンジでライヴを盛り上げます。私のレコメンドをいくつか。カッテ・アダムズがゆったり且つエモーショナルに歌うT-5.「 ベイビー・イッツ・ユー 」、ブルース調のアレンジも素敵です。ジャスティン・グアリーニのT-9.「 恋の面影 」は若干ジャズ・ファンクっぽいノリの良いカヴァー。カッコイイっす。ナンシー・ダソルがしっとり歌うT-10.「 エイプリル・フール 」も歌唱が不安定なところはあれどアレンジも含め聴いてて胸を打ちます。ヴァラリー・ペッティフォードがテンポを揺らして(ちょっと大袈裟なきらいもありますが)感情込めて歌うT-14.「 アルフィー 」もグッときます。メリサ・マンチェスターのT-15.メドレー前半の「 恋のとまどい 」はちょっとハネたR&B調リズムのパワフルな歌唱が素晴らしいですねー、流石です。

本CD、Amazonでは扱っていませんが手にする機会がありましたら是非!


ここからはオマケ。MP3で所有する本CD出演アーティストによるバカラック作品をご紹介。
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本CDでT-6.「 世界は愛を求めてる 」を歌っているマリリン・メイは、1967年のアルバム『 Step To The Rear 』でも「 世界は愛を求めてる 」(3:10)をカヴァー。さすがに声が若々しくパワフル!
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ドナ・マッケニーは2002年リリースのコンピアルバム『 Inside the Music 』で「 ターキー・ラーキー・タイム 」(2:10) を歌っています。"ミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』でこの歌を歌ったのよ!"というMC付きのライヴ録音。途中を省略したバージョンですけれど。
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本CDでT-13.「 ディス・ガイ 」を演奏しているスムース・ジャズのサックス奏者、デイヴ・コーズは1999年のアルバム『 The Dance 』にバカラックと共作した「 DON'T GIVE UP 」(4:02) を収録。  ─ ハバナで行われたソングライター・コンベンションでバカラックと会い、その後L.A.で改めて共作。ヴォーカル曲のようなフックを持つインストを書こうと試み、この曲を完成させた。スムースなカルフォルニア・サウンドで、ピアノはバカラック自身が弾いている。 ─ (ムック本『 AOR AGE Vol.28 』より)
また、2010年のアルバム『 Hello Tomorrow 』では「 ディス・ガイ 」(4:56) をヴォーカルでカヴァーしてるんですが、なんとハーブ・アルパートがトランペットで参加。本家ハーブ・アルパートを差し置いて歌うとは!


【データ】
『 Blame It On Bacharach! 』
V.A.

CD:2012年リリース
レーベル:KRITZERLAND (US)
番号:KR 20021-7

Produced for CD release by Bruce Kimmel
CD Executive Producer:David Galligan
Musical Direction and Arrangements by Mary Ekler
Staged and Directed by David Galligan
Recorded at The Wilshire Beverly Hills March 8,9 2008

©️(P)2008,2012 S.T.A.G.E.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し
KRITZERLAND の通販サイトを紹介しておきます。

2023年10月15日 (日)

HALFWAY TO PARADISE The Complete Epic Masters 1961-1964/Tony Orlando (2006年)

米男性シンガー、トニー・オーランドがEpic時代にリリースした音源をコンプリートしたコンピ集です。バカラック作品を2曲(カヴァー1曲、書き下ろし1曲)を収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全27トラック中、バカラック作品は2トラック

26. TO WAIT FOR LOVE (Is To Waste Your Life Away) (2:22)

27. ACCEPT IT (2:23)


米男性シンガー、トニー・オーランドがEpic時代にリリースした音源をコンプリートしたコンピ集です。

トニー・オーランドは1944年NYC生まれ。1961年(16歳の時)にEpicからデビュー。その後、1970 年代初頭に人気を博したグループ、トニー・オーランド&ドーンのリード・シンガーとして活躍。1973年には「 Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree(幸せの黄色いリボン)」の全米No.1ヒットを生みます。1977年のグループ解散後も度々再結成してパフォーマンスしていたようです。

このコンピ集は、トニー・オーランドが1961年から1964年の間にエピック・レーベルからリリースしたすべてのマスターをコンパイルしたもの。11枚のシングルの両面と、1961年の1stアルバム『 Bless You and 11 Other Great Hits 』からシングルカットされなかった5曲を収録しています。曲目のクレジットを見てビックリしました。ほとんどがブリル・ビルディングの有名ソングライター達によるもの。ジェリー・ゴフィン、キャロル・キング、ジャック・ケラー、バリー・マン、シンシア・ワイル、ブルックス・アーサー、ニール・セダカ、ボビー・ダーリン…等々。トニー・オーランド自作曲も2曲あります。曲も書けるんだ!
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本作の中でバカラック作品は2曲。1964年9月にリリースされたEpic最後のシングル (Epic 9715) の両面になった曲で、いずれもバート・バカラック&ハル・デイヴィッド作。

シングルA面の
T-26.「 TO WAIT FOR LOVE (Is To Waste Your Life Away)」はカヴァーで、Jay & The Americans が1964年1月にリリースしたものがオリジナル。ポール・アンカ(1965年)、トム・ジョーンズ(1965年)、ジャッキー・デシャノン(1966年)ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス(1968年)布施明(1971年)山下達郎(2002年)などのカヴァーがある隠れた名曲ですが、最初にカヴァーしたのがトニー・オーランドになるんですねー。オリジナルよりゆったりしたテンポとトニーのソフトな歌声で、この曲らしい味がよく出た好カヴァーです。実際、ポール・アンカやハーブ・アルパートのカヴァーはオリジナルよりもこのトニー版をベースにしてるように感じます。

シングルB面のT-27.「 ACCEPT IT 」は書き下ろし曲。超レアな曲でこの曲のカヴァーを私は知りません。先日(2023年10月9日)のNHK-FM『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』でこの曲が流れて久しぶりに聴きました。拙ブログにもコメントをくださったバカラック教信者さんのリクエストで、コメントも読まれていました。 ─ バカラックらしい変な曲です。なんか調子っぱずれてますね。でもいい曲です。 ─  ホントそう思います。もろバカラックさんの曲ですね。どう展開するか分からないメロディにコード進行! 歌いにくいと思うんですけど…。私が初めてこの曲を聴いたのはまったりさんのブログで、その後YouTubeで聴くのみで音源は持ってなかったので今回ラジオで聴いて速攻本CDを購入した次第です。


【データ】
『 HALFWAY TO PARADISE The Complete Epic Masters 1961-1964 』
 Tony Orlando

CD:2006年リリース
レーベル:ACE (UK)
番号:CDCHD 1137

Compilation, note and archive research by Tony Rounce
This compilation (P) & ©️ 2006 Ace Records Ltd
T-26.「 TO WAIT FOR LOVE (Is To Waste Your Life Away) 」… Epic 9715-A (1964)
  wrtten by Burt Bacharach, Hal David
  Produced by Bob Morgan
  Arranged and conducted by Garry Sherman
T-27.「 ACCEPT IT 」… Epic 9715-B (1964)
  wrtten by Burt Bacharach, Hal David
  Produced by Bob Morgan
  Arranged and conducted by Garry Sherman

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(CD


2023年10月 9日 (月)

10月9日 NHK-FM『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』プレイリスト

2023年10月 9日 NHK-FM『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』プレイリスト

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NHKの三昧サイトのプレイリストの情報をこちらでもピックアップさせていただきました。
凡例:曲名/アーティスト  - リリース年
なお、リンク先は関連する拙ブログ記事です。よろしかったらどうぞ。


第1部(12:15〜18:50)
<12:15>
01. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道)/Dionne Warwick  - 1968
02. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU(ディス・ガイ)/Herb Alpert  - 1968

03. MAGIC MOMENTS(マジック・モーメンツ)/Perry Como  - 1958
04. WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)/Dionne Warwick  - 1964
05. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めてる)/Jackie DeShannon  - 1965
06. MAKE IT EASY ON YOURSELF(涙でさようなら)/The Walker Brothers  - 1965
07. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER(リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー)/The 5th Dimension  - 1972

<13:00>
08. ALFIE(アルフィー)/Cilla Black  - 1966
─ Special message from Dionne Warwick ─(※①)
09. PROMISES, PROMISES(プロミセス・プロミセス)/Dionne Warwick  - 1968
10. I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)/Dionne Warwick  - 1967  ※当初の邦題は(あなたに祈りをこめて)
11. BABY IT'S YOU(ベイビー・イッツ・ユー)/The Shirelles  - 1961(※②)
12. BABY IT'S YOU(ベイビー・イッツ・ユー)/The Beatles  - 1963(※②)
13. BABY IT'S YOU(ベイビー・イッツ・ユー)/Smith  - 1969(※②)
14. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME(愛のウェイト・リフティング)/Sandie Shaw  - 1964(※②)
15. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME/José Feliciano  - 1968(※②)
16. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME(僕はこんなに)/Naked Eyes  - 1983(※②)
17. THE LOOK OF LOVE(恋の面影)/Dusty Springfield  - 1967(※②)
18. THE LOOK OF LOVE(恋の面影)/Sergio Mendes & Brasil '66  - 1968(※②)
19. THE LOOK OF LOVE(恋の面影)/Isaac Hayes  - 1970(※②)
20. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU(遙かなる影)/The Carpenters  - 1970
21. ONE LESS BELL TO ANSWER(悲しみは鐘の音とともに)/The 5th Dimension  - 1970
22. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD(雨にぬれても)/B. J. Thomas  - 1969

<14:00>
23. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)(ニューヨーク・シティ・セレナーデ)/Christopher Cross  - 1981
24. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE(リバティ・バランスを射った男)/Gene Pitney  - 1962
25. WHAT'S NEW PUSSYCAT?(何かいいことないか子猫チャン)/Tom Jones  - 1965
26. THE LOOK OF LOVE(恋の面影)/Dusty Springfield  - 1967
27. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)/Rod Stewart  - 1982
= ゲスト:菊地成孔さん登場 =
28. THE WORLD IS A CIRCLE(地球はまるい)/Diana Lee, Bobby Van & chorus  - 1972
29. I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)/Roland Kirk  - 1969

<15:00>
30. SOMETHING BIG(サムシング・ビッグ)/Burt Bacharach  - 1973
= ゲスト:菊地成孔さん退場 =
31. ACCEPT IT/Tony Orlando  - 1964
32. AFTER THE FOX(アフター・ザ・フォックス)/Peter Sellers and The Hollies  - 1966
33. TRAINS AND BOATS AND PLANES(汽車と船と飛行機と)/Anita Harris  - 1965
34. NIKKI(ニッキー)/Burt Bacharach  - 1971
35. KEEP ME IN MIND(キープ・ミー・イン・マインド)/Patti Page  - 1955
36. TO WAIT FOR LOVE(愛のおとずれ)/Herb Alpert & The Tijuana Brass  - 1968
37. IT DOESN'T MATTER ANYMORE(イット・ダズント・マター・エニモア)/The Cyrkle  - 1967
38. MEXICAN DIVORCE(恋するメキシカン)/Ry Cooder  - 1974

<16:00>
39. LOST HORIZON(ロスト・ホライズン)/Shawn Phillips  - 1972
40. THE STORY OF MY LIFE(ザ・ストーリー・オブ・マイ・ライフ)/Marty Robbins  - 1957
41. BLUE ON BLUE(ブルー・オン・ブルー)/Bobby Vinton  - 1963
42. WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち)/Jack Jones  - 1963
43. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART(愛の痛手)/Gene Pitney  - 1962
44. MAKE IT EASY ON YOURSELF(涙でさようなら)/Dionne Warwick  - 1963
45. DON'T MAKE ME OVER(ドント・メイク・ミー・オーヴァー)/Dionne Warwick  - 1962
46. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)/Dionne & Friends  - 1985

<17:00>
47. ON MY OWN(オン・マイ・オウン)/Patti LaBelle & Michael McDonald  - 1986
48. HEARTLIGHT(ハートライト)/Neil Diamond  - 1982
─ Special message from Carole Bayer Sager ─(※①)
49. SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中にくちづけ)/Carole Bayer Sager  - 1981
50. WILD AGAIN(ワイルド・アゲイン)/Carole Bayer Sager  - 1981
51. EASY TO LOVE AGAIN(甘い誘惑)/Carole Bayer Sager  - 1981
52. STRONGER THAN BEFORE(愛は果てしなく)/Carole Bayer Sager  - 1981
53. YOU DON'T KNOW ME(夜にひとり)/Carole Bayer Sager  - 1981
54. Reprise/Carole Bayer Sager  - 1981  ※「 SOMETIMES LATE AT NIGHT 」のフレーズが出てきます
55. EVER CHANGING TIMES(エバー・チェンジング・タイムズ)/Aretha Franklin featuring Michael McDonald  - 1991
56. DON'T GO BREAKING MY HEART(ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート)/Roger Nichols & The Small Circle Of Friends  - 1968
57. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めてる)/Wes Montgomery  - 1966

<18:00>
58. GOD GIVE ME STRENGTH(ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス)/Elvis Costello & Burt Bacharach  - 1996
59. TOLEDO(トレド)/Elvis Costello & Burt Bacharach  - 1998
60. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よ、さようなら)/Burt Bacharach & Elvis Costello  - 1999
61. DON'T LOOK NOW(ドント・ルック・ナウ)/Elvis Costello & The Imposters  - 2018
62. LOOK UP AGAIN(ルック・アップ・アゲイン)/Elvis Costello  - 2023
63. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL(アイ・スティル・ハヴ・ザット・アザー・ガール)/Elvis Costello & Burt Bacharach  - 1998

第2部(19:20〜21:15)
<19:20>
64. THE APRIL FOOLS(エイプリル・フール)/Dionne Warwick  - 1969
65. WALK ON BY(ウォーク・オン・バイ)/Bobby Caldwell  - 1995
= ゲスト:野宮真貴さん登場 =
66. ME, JAPANESE BOY I LOVE YOU(ミー・ジャパニーズ・ボーイ)/Pizzicato Five  - 1994
─ Special message from 朝妻一郎 ─(※①)

<20:00>
67. CLOSE TO YOU(遙かなる影)/細野晴臣  - 2013
68. IT WAS YOU/椎名林檎と斎藤ネコカルテット  - 2013
69. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めてる)/野宮真貴 with Corinne Drewery  - 2015
= ゲスト:野宮真貴さん退場 =
70. BOND STREET(ボンド・ストリート)/Burt Bacharach  - 1967
71. SOUTH AMERICAN GETAWAY(自由への道)/Burt Bacharach  - 1969
72. WHERE DID IT GO?(ホエア・ディド・イット・ゴー?)/Burt Bacharach  - 2005
73. DANCING WITH YOUR SHADOW/Sheryl Crow  - 2017
─ Special message from Daniel Tashian ─(※①)
74. MOON OVER WICHITA/Burt Bacharach & Daniel Tashian  - 2022
75. A HOUSE IS NOT A HOME(ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム)/Luther Vandross  - 1981

<21:00>
76. HEAVENLY/Johnny Mathis  - 1959


…パックンさんの米国での実体験&歌詞の解説、加羽沢美濃さんのピアノ実演含めた楽理面からの解説、そして坂口修さんによる安心・安定の解説、いずれもバカラック愛を感じる素晴らしいMC陣でしたねぇ。(NHKの三昧サイトより … 出演者第1部ギャラリー第2部ギャラリー

心残りはリクエストがボツになったこと。ですがそんなことどうでもいいです。聴き終わって幸せな気分がまだ続いています。とっても良い番組でした。明日仕事したくないなぁ、はぁ…。

- * - * - * - * - * - * - * - * - * -


【補足】
※① Special message は、ちたりた様が4名分全て文字起こししてコメント <2023年10月11日(水)08時11分> に書き込んでくださいました。ちたりた様、誠にありがとうございました。

※② バカラック・カヴァー特集コーナー:
「 BABY IT'S YOU 」はM-11〜13、「 (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME 」はM-14〜16、「 THE LOOK OF LOVE 」はM-17〜19、それぞれ3曲ずつの聴き比べ。各曲とも、1コーラスあるかないかくらいの尺しか流れません。

2023/10/15:補足を追記

2023年9月30日 (土)

10月9日 NHK-FM『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』の詳細発表。8時間半の生放送。

8時間半もバート・バカラックの音楽に浸れるなんて❗️
司会、ゲスト、スペシャル・メッセージの皆さんも楽しみですし、解説は日本におけるバカラック研究の第一人者、坂口 修さん❗️ 濃い内容になることは間違いありません。10月9日が待ち遠しいです。

【番組タイトル】
『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』

【放送日時・チャンネル】
2023年10月 9日(月・祝)スポーツの日
12:15 ~ 18:50、19:20 ~ 21:15
NHK-FM で生放送!
─ 番組では、皆さまからのリクエストを募集しています。心に残るバカラックの名曲、それにまつわるエピソードもお願いします。 ─ (番組サイトより)

【内容】
─ 作曲家でピアニスト、指揮者としても活躍したポップス界の巨匠バート・バカラックが今年2月に94歳でこの世を去りました。彼の豊かな音楽性、膨大な名曲は、ジャンルの壁を越えて様々な音楽家に影響を与え、今も多くのリスナーに愛聴されています。バカラックの偉大な功績を振り返りながら、その叙情味あふれる名旋律をたっぷりとお楽しみください。 ビッグ・アーティストたちが語るバカラックの知られざるエピソードにも乞うご期待! ─ (番組サイトより)
◯司会
 パトリック・ハーラン (パックン)(タレント)
 加羽沢 美濃(作曲家/ピアニスト)
◯ゲスト
 菊地 成孔(音楽家/文筆家)
 野宮 真貴(歌手/ミュージシャン)
◯スペシャル・メッセージ
 ディオンヌ・ワーウィック(シンガー)
 キャロル・ベイヤー・セイガー(シンガーソングライター)
 ダニエル・タシアン(ソングライター/プロデューサー)
 朝妻 一郎(音楽評論家/音楽プロデューサー)
◯解説
 坂口 修(音楽プロデューサー)


…私も取り急ぎ3曲ほどリクエストしましたぁ🙋


2023年9月17日 (日)

Soon It's Gonna Rain/Blossom Dearie (1967年)

ブロッサム・ディアリーが、英Fontanaレーベルから1967年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は2トラック

2. TRAINS AND BOATS AND PLANES (4:05)

3. ALFIE (2:42)


ブロッサム・ディアリーが、英Fontanaレーベルから1967年にリリースしたアルバムです。

ディアリーは1924年生まれ(2009年没)の米国女性ジャズ・シンガー/ピアニスト。拙ブログでもアルバム『 The Lost Sessions From The Netherlands 』を取り上げてます。略歴等はそちらをご覧ください。

本アルバムについては所有CD(今年発売のリイシュー日本盤)の解説から関連部分をそのまま引用させていただきます。
─ Verveを離れたディアリーは、前述の『 シングス・ルーティン・ソングス 』とオーケストラとの『 May I Come In? 』(64年、Capitol)を制作した後、活動の場を再びヨーロッパへ移す。65年12月ロンドンに到着後、66〜70年にイギリスFontanaが4タイトルを制作し、この時期の大きな収穫とした。(略)本作『 スーン・イッツ・ゴナ・レイン 』は、今回ディアリーがFontana時代の66〜70年に残した未発表音源27曲を収録した2CD作『 フィーリング・グッド・ビーイング・ミー:ザ・ロスト・アンド・ファウンド・ロンドン・セッションズ 』の発売に合わせて登場するオリジナル・アルバム4タイトルのうちの1枚だ。パーソネルはブロッサム・ディアリー(p,vo)、レグ・ゲスト(arr,cond)+アンサンブルで、67年ロンドン録音。今回が世界初CD化となる。ポップスやボサノヴァを主体とした選曲は、ジャズ以外のリスナーにも向けた制作意図を感じさせる。 ─

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全12曲中バカラック作品は2曲。
T-2.「 汽車と船と飛行機と 」はオリジナルのバカラック版とほぼ同じ構成・アレンジですが、オリジナル(♩≒110)よりゆったりしたテンポ(♩≒94)、フルートによる優しい音色のメロディラインや時折聴こえるグロッケンによる分散和音のオブリガート、そしてディアリーのキュートで舌足らずな歌唱が合わさり、ドリーミーな雰囲気を醸し出しています。個人的にはレコメンドですね。
T-3.「 アルフィー 」もオリジナルのシラ・ブラック版をベースとしたアレンジでテンポもほぼ同じ。キーは二度低いもののディアリーは頑張って歌っていて好感持てます。…が、音域が広くある程度感情を込めないと説得力がないこの曲では、彼女のヘタウマな歌声は頼りなくて逆効果かなぁ…と思っちゃいました。

さて、ここからはオマケ。MP3で所有しているブロッサム・ディアリーのバカラック作品をご紹介!
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今年(2023年)リリースされた Fontana時代の66〜70年に残した未発表音源27曲を収録した2CD作『 フィーリング・グッド・ビーイング・ミー:ザ・ロスト・アンド・ファウンド・ロンドン・セッションズ 』に、バカラック作品も収録されていました。「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている)」(3:18)、「 THE WINDOWS OF THE WORLD (世界の窓と窓)」(3:10) の2曲です。いずれもバックはピアノトリオで、ドラムスはブラシワーク。そして、工夫が感じられない淡々とした演奏にディアリーのあまり気持ちの入ってない歌唱も共通してます。悪くはないですが、そりゃアウトテイクになるよね…という感じ。ごめんねディアリー。
尚、ヨーロッパでは『 Discover Who I Am: The Fontana Years, London 1966–1970 』というタイトルで、66〜70年にFontanaからリリースされた4タイトルと未発表音源27曲を含めた6CDボックスセットとして今年6月30日にリイシューされてます(日本でも、AmazonやApple Musicでの配信はこちらのタイトルで今年4月21日にリリース)。


【データ】
『 Soon it's gonna rain 』(邦題:スーン・イッツ・ゴナ・レイン)
Blossom Dearie

LP:1967年リリース (所有CDは、2023年7月26日リイシューの日本盤、復刻紙ジャケ仕様。解説は杉田宏樹氏)
レーベル:Fontana(UK) (所有CDは、Fontana/UNIVERSAL LLC(JP))
番号:TL.5454 (所有CDは、UCCU-45090)

Accompaniment directrd by Reg Guest
  ブロッサム・ディアリー (p,vo)
  ロニー・ヴェレル (ds)
  ブライアン・デーリー (g)
  ケニー・サーモン (org)
  レグ・レオポルド (vln)
  デイヴィッド・スネル (harp)
  ジム・ロウレス (perc)
  アーサー・ワッツ&ピート・マクガーク (b)
  デレク・グロスミス (fl)
  アラン・ハーキン (perc)
  キース・バード (as on #10)
  レグ・ゲスト (arr, cond)
  ディック・リーヒー (arr, cond)
1967年8月21〜23日、ロンドンにて録音
(P)&©️ 1967 Mercury Records Limited.

<T-13,14.:日本盤ボーナス・トラック>
1968年リリースシングルのA,B面
Accompaniment directrd by Arthur Greenslade
(P) 1968 Mercury Records Limited.

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(リイシューCD

2023年9月 7日 (木)

雑誌『 レコード・コレクターズ 』と、ムック本『 AOR AGE 』(2023年)

雑誌『 レコード・コレクターズ 』2023年9月号と、ムック本『 AOR AGE 』Vol.28 のバカラックさん特集記事をご紹介!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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皆様ご承知のことと存じますが、去る8月12日に発売された『レコード・コレクターズ』9月号の特集は “バート・バカラックの名曲を聴く” でございました。私はAmazonで購入。届いたのは発売日の2日後?くらいだったでしょうか。初耳のエピソードがあったり、知らなかったカヴァーが載ってたり。拙ブログ記事の中にちょっと事実誤認を見つけて、数箇所こっそり訂正or追記したりしてます。

32 特集 バート・バカラックの名曲を聴く
34 バート・バカラックの名曲 126選(青山陽一、朝日順子、出田圭、宇田和弘、金澤寿和、ガモウユウイチ、北中正和、サエキけんぞう、柴崎祐二、立川芳雄、谷口雄、鳥居真道、中村彰秀、中森泰弘、能地祐子、萩原健太、林剛、松永良平、村尾泰郎、安田謙一、湯浅学、除川哲朗、若月眞人、渡辺亨)
81 バート・バカラック・ヒストリー(萩原健太)
88 90年代以降の活動からその音楽的人生を振り返る(高橋健太郎)

個人的にはシンコーミュージックから出た「AOR AGE」Vol.28(今年4月19日発行)も興味深く読みました。特集のひとつがバカラックさん。1980年以降に発表した書き下ろし曲を初出レコードの発表年ごとに整理し各曲にコメントしています。切り口が新鮮で、 意外な方のインタヴューもあったりして。特に、拙ブログでもアルバムを紹介した羽根田ユキコさんのインタビューはサプライズ。来日公演後に対面したバカラック爺に「曲を書いて下さい!」と直訴したらその後爺から2枚のCD-R(未発表曲が10曲以上!)が送られてきた話。そして、その中から5月くらいにバカラックさんの曲を出そうと考えている話。Spotifyのプリセーヴィングに登録したらその曲のデモ(25秒だけ)が聴けました!


098 R.I.P. BURT BACHARACH
100 ヒストリー
102 山本光男
106 羽根田ユキコ
108 光行猛
111 林哲司
112 バート・バカラック&エルビス・コステロ作品集
114 保存版:1980年以降の書き下ろし曲を総点検(30ページ)

それぞれ公式サイトのリンクを貼っておきます。
レコード・コレクターズ 2023年9月号
AOR AGE Vol.28〈シンコー・ミュージック・ムック〉

そういえば、10月9日スポーツの日にNHK-FMで『 今日は一日“バート・バカラック名曲”三昧 』やりますね! 9時間ぶっ通しで聴くぞー!

Amazonではまだ在庫あるようです。

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(レコード・コレクターズ)(AOR AGE

2023年9月 3日 (日)

The Music Of LOST HORIZON/The Shangri-La Orchestra & Chorus (1973年)

バカラックが音楽を担当した1973年の米映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』の曲をカヴァーしたアルバムです。1973年リリース。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. LOST HORIZON  M
A2. THE WORLD IS A CIRCLE  F
A3. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER  FM
A4. I MIGHT FRIGHTEN HER AWAY  FM
A5. THE THINGS I WILL NOT MISS  F
B1. IF I COULD GO BACK  M
B2. WHERE KNOWLEDGE ENDS (FAITH BEGINS)  F
B3. QUESTION ME AN ANSWER  M
B4. REFLECTIONS  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記
 
収録時間約30分 



バカラックが音楽を担当した映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』の曲をカヴァーしたアルバムです。

Discogsで注文して昨日入手したばかりのこのLP。プレーヤーの針を下ろすまではイージー・リスニングのインストもの(+バックコーラス付き)だろうと思っていました。がしかし、聴いてみると元曲に近いアレンジ&演奏でしっかりメイン・ボーカルも入ってます。そう、本家サントラのコピー・アルバムと言っていいような代物でございました。

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本家サントラの全11曲に対し、本作は「 シェア・ザ・ジョイ(喜びを分けあおう)」「 アイ・カム・トゥ・ユー 」の2曲を除く9曲を収録。本家と本作を簡単に比較してみましたので、興味ありましたらクリック ↓ してご覧ください。
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アレンジは前述した通り元曲に近いですが、細かい部分では違う点や省略している箇所が散見されます。楽器の数も本家より少なく感じられます。プロデュースやアレンジはクレジットされておらず、おそらく本家サントラを真似して誰かがオーケストラ譜を書いたんじゃないか…。そう推察致します。

アーティスト名義は正確に書くと The Shangri-La Orchestra & Chorus featuring The Mountain Children Singers 。Discogsを検索してもこんなオーケストラは他に見つかりませんから、イージーリスニングものによくある録音用寄せ集めオケでしょう。The Mountain Children Singers は同じレーベルのイージーリスニングもので1作見つかりましたが、その名の子供合唱団が実在するわけではなくやはり録音用に集めた子供たちと思われます。

オケの演奏を本家サントラと比較すると、全体的にはサウンドの厚みが薄くメリハリも今一つ…そんな印象です。ただまぁ、本作を単独で聴く分にはアレンジも含めてそこそこの出来に聴こえるので、点数をつけるとしたら70点くらいかなぁ。メイン・ボーカルは男女2名ずつ計4名。A2.「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球は丸い)」で本家だと途中でちょっとだけボビー・ヴァンが歌う箇所を女性が歌ってる以外、男女の役割分担は本家と同じ。4名のお名前はクレジットされているもののDiscogsで調べてみてもさっぱりわからず。スタジオミュージシャンの類だとは思いますが…(男性シンガーの1人、Tony Cooper という名のドラマーは見つかりましたが同一人物なのかは甚だ疑問です)。この4名の中で女性陣おふたりの歌唱は頑張ってると思います。

…以上を踏まえて改めて表ジャケットを眺めると…。“LOST HORIZON” の文字が大きく目立つ反面、その上の “The Music Of” は目を凝らさないと良く見えません。アーティスト名義に至っては一体どこに書いてあるんだ?という程で、下に書かれているもののこちらも目を凝らさないと見えません。裏ジャケットをみると、4名のシンガーは “CAST” といかにも映画の出演者のような表記だし、中央のライナーノーツは映画の紹介&各曲が使われる場面の説明だし…。結局このアルバムは、本家サントラ風を装いレコード屋さんでよくわからないお客さんに買ってもらおうという意図のもと製作されたんではなかろうか? そう思えてなりません。

まぁ、それだけこの映画は前評判が高かったということでしょう。映画の人気(というかバカラック人気?)を当て込んで制作されたと思われる
101ストリングスのアルバム『 Instrumental Music From The Ross Hunter Production LOST HORIZON And Other Selections 』、エド・エイムスのアルバム『 SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES 』、トニー・ベネットのシングル「 LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER 」あたりと同様、同じ穴の狢だったか…。


【データ】
『 The Music Of LOST HORIZON 』
The Shangri-La Orchestra & Chorus featuring The Mountain Children Singers

LP:1973年リリース
レーベル:Pickwick/33 Records (US)
番号:SPC-3342

Producers:unknown
Arrangements:unknown
CAST (=Vocals):
  Tony Cooper (A1,A4)
  Mary Reynolds (A2,A4,A5,B2)
  Adrienne Matson (A5,B4)
  Steve Bolin (B1,B3)
The Shangri-La Chorus (A3)
The Mountain Children Singers (A2,B3)
Recorded in England

(P) 1973 PICKWICK INTERNATIONAL,INC.
A PRODUCT OF PICKWICK INTERNATIONAL,INC. WOODBURY, N.Y. 11797
PRINTED IN U.S.A.
MADE IN U.S.A.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年8月27日 (日)

Plays Beatles Bach & Bacharach/The Ted Heath Orchestra (1970年)

英国のテッド・ヒース・オーケストラがビッグバンド編成でビートルズ、バッハ、バカラックを演奏したアルバムです。バカラック作品を4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover/back cover
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所有リイシューCD(2 in 1)のジャケット表/ケース裏

全10トラック中、バカラック作品は4トラック


1. NORWEGIAN WOOD
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. MINUET IN 'G'
4. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
5. HEY JUDE
6. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
7. LET IT BE
8. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
9. AIR ON THE 'G' STRING
10. B, B & B

収録時間約32分


英国のテッド・ヒース・オーケストラがビッグバンド編成でビートルズ、バッハ、バカラックを演奏したアルバムです。

Wikipediaによれば、テッド・ヒースは1902年ロンドン生まれ(1969年没、享年67歳)。当初はジャズのトロンボーン奏者として数々のバンドやサイドマンで活躍
。その後自分のバンドを持ちたいと考えるようになり1944年に結成、英国スイング・ビッグバンドの雄のひとりになりました。Discogsを見ると、Ted Heath And His Music や Ted Heath And His Orchestra の名義だけで100作以上のアルバムが載っています。彼の死後も2000年まで活動・録音を続けました。(写真は晩年のお姿でしょうか。Discogsからパクりました、悪しからず)
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本作は彼が亡くなった翌年(1970年)のリリース。ジャケットは複数あるようで、女性が写ってるヤツは1972年の日本盤です。
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'60年代後半〜'70年代初頭、イージーリスニングの世界で Beatles, Bach, Bacharach は3大Bとしてネタにされていたようで他にも同様なアルバムがあります。拙ブログでも取り上げた Alan Moorhouse の『 Beatles, Bach, Bacharach Go Bossa 』(1971) や、有名な Enoch Light の『 Spaced Out 』(1969)Carmen Cavallaro の『 Plays The 3B's 』(1970) 等がソレ。時代はくだって、バッハの代わりにビージーズを組み合わせた 東京メトロポリタン・ブラス・クインテット
の『 Plays ポップス3大B 』(2014) なんてのもあります。

さて、本作全10曲の内訳は、ビートルズ3曲(T-1,5,7)、バッハ2曲(T-3.「 ラヴァース・コンチェルトの元曲 」, T-9.「 G線上のアリア 」)、バカラック4曲(T-2,4,6,8)、オリジナル1曲(T-10)。バカラック曲多いなぁ。ビートルズ曲とバカラック曲のアレンジを手掛けた John Keating(ジョン・キーティング)は、1952年からテッド・ヒースのバンドでトロンボーンを吹くかたわらバンドの主要なアレンジャーでもあったお方。並行してバンド以外のさまざまなアーティストにも曲を提供したそうです。編成は基本ビッグバンドで全体的に元気なサウンドですが、チェンバロ、フルート(サックスの持ち替えでしょうが)を上手く使って所々にバロック風味を醸し出してるのが印象的。ただ、このアルバムを聞く限りこれがテッド・ヒースだ!的な特徴は無さそうです。

バカラック曲についてそれぞれ触れます。T-2.「 恋よさようなら 」はボビー・ジェントリー版を下敷きにしたアレンジで、伴奏形やオブリガートまでかなり忠実に再現しています。この曲、英国でヒットしたのはボビー・ジェントリー版ですからねぇ(英国で1969年8月15日にシングルリリースされその月のうちにUKチャート1位に)。T-4.「 ディス・ガイ 」はゆったり目のテンポ(♩≒75)。ブラスが柔らかい和音でメロディを吹いてるんですが、チェンバロのちょこまかしたオカズがいいアクセントになってます。T-6.「 遠い天国 」はオリジナルたるディオンヌ・ワーウィック版ベースのアレンジで、主メロをサックス〜トランペット〜トロンボーンと繋いでいきます。T-8.「 雨にぬれても 」は、イントロ冒頭4小節でのフルート数本によるバロック調アンサンブルやチェンバロがリードするAメロなどクラシカルな部分と、ブラスが和音でメロディを吹くビッグバンドらしい部分が上手くバランスされてます。アウトロでフルートが独自メロをアドリヴっぽく吹くのが新鮮で、個人的にはレコメンドです。

他にいくつか印象に残った曲を。T-1.「 ノルウェーの森 」は冒頭で「 アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク 」を引用したり木琴の活躍やワウを使ったブラスなどアレンジが多彩で面白い。T-9.「 G線上のアリア 」はトロンボーンのソロが多くて元トロンボーン吹きとしては耳福。T-10.「 B, B & B 」は3分10秒のオリジナル曲で、曲名から察するに3大Bのトリビュート曲と思ったのですが違ってました。最初の40秒ほどはバッハっぽいバロック調でしたが、それ以降は'70年代のバカラックを彷彿とさせるフュージョンタッチのインストナンバー。変拍子もあるし、作曲者のMartinさんいい仕事してます。

ここからはオマケ。MP3で所有しているテッド・ヒースのバカラックカヴァーをご紹介!
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Ted Heath And His Orchestra 名義で🇬🇧Deccaから1965年にリリースした『 Fever! 』で「 WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち)」(3:05) をカヴァー。アレンジャーはわかりませんがいかにもビッグバンド的な派手でゴージャスなサウンド。中間部でのテナーサックスのアドリヴも熱い。バシッと決めるエンディングもいいし、気持ち良いカヴァーです。


【データ】
『 Plays Beatles Bach & Bacharach 』
The Ted Heath Orchestra

LP:1970年リリース (所有CDは、『 Big Band Percussion 』との2 in 1、2007年リイシュー英国盤)
レーベル:London Records (US) (所有CDは、vocalion(UK))
番号:SP 44148 (所有CDは、CDLK 4346)

Producers:Tony D'Amato and Ray Richardson 
Arrangements:John Keating (except T-3,9), Martin (T-3,9)
Written by Lennon=McCartney (T-1,5,7), Bach (T-3,9), Bacharach & David (T-2,4,6,8), Martin (T-10)

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(リイシューCD


2023年8月20日 (日)

super.modern.artistic.performance/SMAP (2008年)

SMAP18枚目のオリジナル・アルバムです。なんとバカラックの新作を1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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所有CDはレンタル使用中古品。貼ってあったシールを上手く剥がせずこうなりました、悪しからず。

全19トラック中、バカラック作品は1トラック

DISC 2
3. LIFE WALKER (5:11)


SMAP18枚目のオリジナル・アルバムです。2008年9月にリリースされました。

Wikiによると、“モダンで芸術的で見たことがない新しいSMAP” がコンセプトだそう。
CD2枚組、全19曲(DISC 1:14曲、DISC 2:5曲)。DISC 2は各メンバーのソロ曲で、ヴォーカルは1曲目から順に中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾。
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注目のバカラック新作はDISC 2-3.「 LIFE WALKER 」。稲垣吾郎(以下、吾郎ちゃん)のソロ曲です。ブックレットには、作詞:森浩美/作曲:Burt Bacharach/編曲:小西康陽(以下、小西さん)とクレジットされています。

バカラックさん訃報から約1ヶ月後、吾郎ちゃん自身がMCを務めるラジオ番組『 THE TRAD 』(2023/3/13 15:00〜16:50)で、この曲についてゲストの小西さんとこんなこと話してました。(以下、要点のみ)

吾郎ちゃん ─ 覚えてない。当時は忙しくてあんまりこの頃のことを覚えてない。小西さんが編曲してくださると聞き、安心してお願いしたことは覚えている。原曲は僕も聴かせてもらったが、打ち込みで主メロだけだった。 ─
小西さん ─ とにかくあの頃のSMAPは時間がなさすぎた。オファーがあってから1ヶ月後に出ていた。時間のない中でアレンジやって、ディレクターから歌詞を誰にしますか?と訊かれた。時間があったら僕がやりたかったが、時間がなくて森さんを薦めた。 ─

覚えとらんのか〜い(笑)

曲はミディアムテンポ(♩≒118)で、ダンス・ポップ系のリズム。ホーン、ストリングスにハープ、ティンパニまで加わったオケは豪華です。1コーラスの基本構成はA-B-サビ。A-Bは嬰ヘ長調(F♯)で、サビは嬰ヘ短調(F♯m)に転調。AメロBメロはそれぞれ普通に8小節なのですが、サビは11小節(5小節+6小節)と変則的な上に3〜5小節目及び8〜10小節目のメロディはぎこちなく拍子が取りにいし、しかも5小節目は5拍! メロディそのものも、Aメロ歌い出しの音がA♯3と低く、音域もG♯3〜F♯5と2オクターヴ近くあります。転調・変な小節数・変拍子っぽく高低差の大きいメロディ…、バカラックらしいエッセンスを持った曲ではあります。メロディへの当て嵌めがぎこちない日本語詞も相まって吾郎ちゃんとても歌いにくそう…。それでも歌い切るのはサスガ(覚えとらんけど💦)。

以前、ちたりた様が「 LIFE WALKER 」
のライヴ動画をコメントで教えてくださいました(どうもありがとうございます)。こちら の2曲目です。わたしゃてっきりアルバム・オンリーの曲だと思ってたのですが、まさかコンサートでも歌ってたとは…。しかもあんな振り付け(ダンス?)まで付けて。カッコいいですねー。(ただ、一部カットしてる以外は音源と同じようで口パクっぽいですが)

因みに、スペインのレーベルから2017年に出たバカラック&トニオ・K作品のデモ音源集『 Original Demos 』に、「 LIFE WALKER 」の元曲とみられる「 DO YOU? 」が収録されています。今回聴き比べて気づいたんですが「 DO YOU? 」のサビ5小節目は4拍。「 LIFE WALKER 」では小西さんが(バカラック風味を出すために?)1拍追加して5拍にしたんでしょう。独自の日本語詞
をつけたため曲名を変更したんだと思いますが、「 LIFE WALKER 」3コーラス目サビの “ Do it ! ” に元曲の名残があります。


【データ】
『 super.modern.artistic.performance 』
SMAP

CD:2008年9月24日リリース
レーベル:ビクターエンタテインメント
番号:VICL-63333~4

Sound Producer:Kohji Mikami
Producer:Michi Iijima (Johnny & Associates)、Satoshi Kamata (Victor Entertainment, Inc.)
DISC 2-3.「 LIFE WALKER 」
  作詞:森浩美、作曲:Burt Bacharach、編曲:小西康陽
  オーケストレイション:村山達哉
  Strings:徳永友美ストリングス
  Horn:高橋臣宜グループ
  Harp:斉藤葉
  Timpani:小竹満里
  Percussions:有泉一
  A. Guitars:古川昌義
  Chorus:知野芳彦
  Programming:新井俊也
  小西康陽 by the courtesy of columbia readymade / COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENT, INC.
(P) & ©️ 2008 ビクターエンタテインメント株式会社

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(CD

2023年8月13日 (日)

Pavane/Louis Van Dyke (1969年)

オランダの男性ジャズ・ピアニスト、ルイス・ヴァン・ダイクが1969年にリリースしたトリオ編成のアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全9トラック中、バカラック作品は1トラック

9. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (3:01)


オランダの男性ジャズ・ピアニスト、ルイス・ヴァン・ダイクが1969年にリリースしたトリオ編成のアルバムです。

ルイス・ヴァン・ダイクは1941年11月オランダのアルステルダム生まれ(2020年4月没、享年78歳)。7歳からピアノを始めアムステルダム音楽院でクラシック・ピアノとオルガンを習い、教会でピアノを弾くうちにジャズに興味を持ち1961年ルースドリヒト・ジャズ・コンテストで優勝。1964年にはオランダの音楽界で最高に名誉あるエディソン賞に輝き一躍人気に。トリオ等の活動の他に、アン・バートンの名作『 Blue Burton 』『 Ballads & Burton 』をはじめアストラッド・ジルベルトやサリナ・ジョーンズ等の伴奏での名演も多いそうです。彼はクラシックとジャズを独自のアレンジでミックス、特にバッハにインスピレーションを受けてきたんだとか。(所有CDの解説やDiscogsのプロフィールより抜粋・要約)

尚、名前は本来 Louis Van Dijk ですが、トリオ等では Louis Van Dyke のスペルが多いようです。

─ 本アルバムは、1969年に発表されたジャック・ショールス(b)、ジョン・エンゲルス(ds)のトリオで当時の割合と新しいヒット・ソングをクラシック出身らしい華麗なピアノで聴かせるものだ。  ─ (所有CDの解説より)
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アルバムタイトルにもなっているT-1.「 パヴァーヌ 」はフォーレ:パヴァーヌ Op.50 の変奏?バージョン。ミッシェル・ルグランのT-3.「 風のささやき 」、グラン・キャンベルのT-4.「 恋はフェニックス 」、ビートルズのT-5.「 フール・オン・ザ・ヒル 」等のヒット曲や、映画『 シェルブールの雨傘 』の主題歌T-7.「 アイ・ウィル・ウェイト・フォー・ユー 」も取り上げています。彼のピアノはリリカルで、アドリヴはクラシックの “変奏” 的なものやアルペジオが多く、いかにもクラシック出身らしい感じ。

んで、バカラック作品はアルバムを締めくくるT-9.「 世界は愛を求めている 」。原曲と同じ3拍子、テンポも至って常識的な♩≒122。凝ったところがなく肩肘張らずに聴けるのはいいんですが、ピアノのメロディ&アドリヴは凡庸で中途半端な印象。中盤ちょっと盛り上がりはしますけど…。アルバムを最初から聴いた流れで、もっとリリカルな演奏を想像してたんですけどねー、ちょっとがっかり
…。まぁこの辺は好みの問題かな。

因みに、ルイス・ヴァン・ダイクは同じオランダのジャズ・ピアニスト Pim Jacobs とのデュオで「 遙かなる影 」をレコーディングしています(1985年のアルバム『 FACE TO FACE 』に収録)。が、私は未聴。いつか聴きたいです。


ここからはオマケ。MP3やCDで所有しているピアノ・トリオの「 世界は愛を求めている 」をご紹介!
と言っても少ないですが…。この曲、ジャズヴォーカル版は数多ありますし、インストでもホーン入りの編成だったりビッグバンドやオーケストラ物が多くてピアノ・トリオはあまり見かけません。私のリサーチ不足もあるんでしょうけど。尚、リンク先は拙ブログの過去記事です。

① George Shearing Trio (1973):アルバム『 Number 1 』より
英国のジャズ・ピアニスト、ジョージ・シアリング(p), Andy Simpkins(b), Harvey Mason(ds)のトリオによる演奏(3:05)。3拍子で、テンポは♩≒128。全編に亘りピアノの左手が “おっとっとっ” のリズムを刻んでるのが特徴的で面白い。アドリヴも軽めですがファンキー。フェードアウトしてるのが惜しいです(ジャズは終止形じゃないとね)。
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② Peter Nordahl Trio (2004):アルバム『 My Rubber Soul 』*より
スウェーデンのジャズ・ピアニスト、ペーター・ノーダール(p), Hampus Lundgren (b), Harry Wallin (ds)のトリオによる演奏(5:56)。3拍子で、テンポは♩≒162と軽快。ピアノのソウルフルでファンキーなアドリヴがイイですねー。私的レコメンドです。 *日本では1曲入れ替えジャケットも変えて
『 ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ 』というタイトルでリリース。
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David Hazeltine Trio (2006):アルバム『 Alfie Burt Bacharach Song Book 』より
米国のジャズ・ピアニストのトリオによる演奏(6:22)。4拍子(6/8ブルース)にアレンジ、テンポは♩≒96。中間部(2分過ぎから約2分弱)のアドリヴはカッコいいですが、前半と後半がダレてしまいます。惜しい。

New Roman Trio (2008):アルバム『 Bacharach Jazz 』より
松本茜(p), 山下弘治(b), 松尾明(ds)のトリオによる演奏(4:56)。サビは5拍子にアレンジ(他は3拍子)。テンポアップ(♩≒202)と相まって聴く人の高揚感を誘っています。キラキラしたピアノのアドリヴやベースのアドリヴもゴキゲンで楽しく聴けます。



【データ】
『 Pavane 』(邦題:パヴァーヌ)
Louis Van Dyke

LP:1969年リリース (所有CDは、2014年9月24日リイシューの日本盤。解説:高田敬三氏)
レーベル:CBS (Netherlands) (所有CDは、Sony Music Labels Inc.)
番号:S7-63811 (所有CDは、SICP 4225)

Produced by John J. Vis
Louis Van Dyke (piano)
Jacques Schols (bass)
John Engels (drums)
録音:1969年

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(リイシューCD


2023年8月 6日 (日)

HEY! MR. BACHARACH/Nick The Nightfly Orchestra featuring Maggie (2022年)

英国のジャズ・ミュージシャン、Nick The Nightfly が2022年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全8トラック中、バカラック作品は7トラック

1. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  M
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  M
3. I SAY A LITTLE PRAYER  F
4. STILL IN LOVE  M
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  FM
6. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  M
7. WALK ON BY  F

8. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間約32分


英国のジャズ・ミュージシャン、Nick The Nightfly が2022年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

Nick The Nightfly(本名 Malcolm MacDonald Charlton)は1957年グラスゴー生まれ。1982年イタリアに渡り、現在はミラノを拠点に活動。芸名はドナルド・フェイゲンのアルバム『 The Nightfly 』に触発されて命名したんだとか。自分のビッグバンドを持つとともに、ラジオ番組でのMC、プロデューサー、歌手とマルチに活躍しているようです。

そんな彼がどうして本作をリリースしたのか。CDのブックレット2ページに亘って彼の思いが書いてありました。ちょっと長いですが、伊太利亜語の全文を機械訳して紹介します。(
一部手直ししましたが、変な訳が多い点ご容赦くださいませ)
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─ HEY! MR.BACHARACH、多くの人がそうだと思いますが、それこそシャワーを浴びるように私があなたの曲やハル・デイヴィッドの歌詞をこれまで何回歌ってきたか、あなたは分からないでしょう。

彼らは確かに音楽史上で最も有名なソングライターカップルの一組でした。人気があり、バカラックは史上最も影響力のある作曲家の1人です。私は、彼らの人気曲をどうやって再考し、現代的で最新のものにし、同時にまったく新しい外観を与えることができるだろうかと何度も自問しました。確かに簡単な仕事ではありませんでした。実際、歌手やミュージシャンにとって、一見するとシンプルに見えますが、実際には色彩とメロディーの飛躍を伴う珍しいハーモニーに満ちたこれらの曲を解釈するのは本当の挑戦であると私は思います。特別で、異なっていて、時代を超越したもの。これらのエヴァーグリーンな曲にオリジナリティをもたらすことを期待して、これらの曲を成功に導いた作者やアーティストには多大な敬意が必要です。私の挑戦は、バカラックの洗練されたPOPに、2023年に創立20周年を迎える優秀なミュージシャンで構成される “ザ・ナイトフライ・オーケストラ” のSWINGを加えることでした。結果がどうなるか見てみましょう!
しかし、この結果を得るには、オーケストラのすべての音楽家をまとめる能力のある人、パートを書き、新しい編曲を発明し、デザインする人が必要です。私は長年にわたり、イタリア最高のサックス奏者および編曲家の1人とコラボレーションできたことを光栄に思います。私たちは一緒に多くのプロジェクト、レコード、コンサートを共有してきました。伝説のクインシー・ジョーンズやイエロー・ジャケッツで一緒にプレーしたよ!マエストロのガブリエレ・コメリオは、数日で再編曲し、このアルバムに収録されているすべての曲を書き、オーケストラを指揮しました。わぁ、おめでとう、ガブリエレさん、ありがとう!
このレコードでは、オーケストラに新しく美しい女性の声を加え、ここで歌う若い歌手をフィーチャーしています。彼女の名前はマギーです。彼女はスウィングとソウルに満ちた美しい声を持っています。
最後に、大規模なオーケストラでは、曲中および編曲全体を通して正確かつ確実な進行でオーケストラをサポートする、テンポの達人が必要であることが知られています。だからこそ、このアルバムでは、長年の友人である世界最高のドラマーの一人、アルフレッド・ゴリーノを特別ゲストとして迎えることができて光栄です。
バカラックのレパートリーにはたくさんの曲があり、その中から私が好きな曲を選びました。それらは私が彼について持っている音楽的記憶の一部です。ディスクにはバカラック氏に捧げた私のオリジナル曲「 STILL IN LOVE 」も収録されており、彼の音楽が私に影響を与えた曲です。私は何度か彼にインタビューする機会に恵まれました。私の記憶では、彼はとても愉快で、文化的で、好奇心旺盛で、いい人で、音楽界での彼の長い人生についての逸話がたくさんありました。私の中でバカラックについての最も鮮明な記憶は、ミラノ・アリーナでの彼のコンサートのときで、私はそれを家族と一緒にステージから披露し、鑑賞した。忘れられないコンサート。その夜、彼の音楽を聴きながら、私は自分の人生の一部を追体験し、人生の思い出や瞬間とリンクし、永遠に私たちに寄り添うであろう歌にどれだけの魔法があるのか​​を考えました。『 Hey! Mr. Bacharach 』のレコーディングとライブパフォーマンスを通して感動と美しい瞬間を皆様にお届けすることで、バート・バカラックとハル・デイヴィッド、そして他の作家たちの音楽への私たちのトリビュートを楽しんでいただければ幸いです。

Nick The Nightfly ─

オリジナル曲のT-4.「 STILL IN LOVE 」を除くバカラック作品7曲はいずれもカヴァー定番曲。T-3.「 小さな願い 」とT-7.「 ウォーク・オン・バイ 」はゲストシンガーの Maggie Charlton(マギー)に任せ、T-5.「 恋よさようなら 」ではデュエット、その他は Nick The Nightfly がソロで歌っています。Nick The Nightfly はリスペクトを持って丁寧に歌っていますし、マギーの若干ハスキーでパワフルな歌唱もなかなか。欲を言えば、2人とももう少しメリハリつけて歌って欲しかったかなぁ。
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ビッグバンドの演奏はさすがで、金管は元気だしサックス→フルートやクラリネットへの持ち替えも効果的。…なんですが、アレンジ自体はなんかこう…ビッグバンドとしてオーソドックス過ぎてワクワクしないんですよねぇ。 ─ 私の挑戦はPOPにSWINGを加えること ─ とか言ってた割には、各曲のリズムはオリジナルのままでSWING感は特段なし。曲自体の雰囲気を大事にし過ぎてるように感じました。決して悪いワケじゃないんですが…。
ブックレットにはレコーディング時の写真がたくさん載ってました。なんか皆さん楽しそう。いい雰囲気でレコーディングできたんだろうな…ってゆーのが伝わってきます。

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YouTubeに自動生成でアルバム全曲UPされてましたので貼り付けておきますネ。



さて、ここからはオマケ。MP3で所有している Nick The Nightfly のバカラック・カヴァーをご紹介!
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彼は、2004年に Nick The Nightfly & Monte Carlo Nights Orchestra Featuring Sarah Jane Morris 名義でリリースしたライヴ録音アルバム『 Live At The Blue Note Milan 』で「 ウォーク・オン・バイ 」(3:15)、「 恋の面影 」(4:53)、「 素晴らしき恋人たち 」(3:45)、「 雨にぬれても 」(4:16) 計4曲をカヴァー。ビッグバンドをバックに歌っていて、「 恋の面影 」と「 雨にぬれても 」の2曲では女性シンガーとデュエットしています。まず、Nick The Nightfly の声が若くてハリがある。それから、全体的にアレンジが攻めてる。「 ウォーク・オン・バイ 」では曲の途中からSWINGのリズムに変わってヒートアップするのが熱いし、「 素晴らしき恋人たち 」の疾走感あふれる演奏は素晴らしい。この2曲はレコメンドとさせていただきます。
※ そして2023年3月24日に20th Anniversary Editionとしてリイシューされた際「 愛のハーモニー 」(4:19) が追加されました。Nick The Nightflyによれば、バカラックさんに捧げるためとのこと。アコギをバックに、Nick The Nightfly、Sarah Jane Morris、Mario Biondiの3人のヴォーカルとPaolo Fresuのフリューゲルホルンによるコラボ。バカラック愛を感じるカヴァーです。
※ 2023/8/6 夜、ちたりたさんから情報をいただき追記しました。ちたりたさんありがとうございました。


【データ】
『 HEY! MR. BACHARACH 』
Nick The Nightfly Orchestra featuring Maggie



CD/MP3:2022年11月25日リリース
レーベル:Incipit Records (Italy) / EGEA MUSIC (Italy)
番号:-

Produced by Nick The Nightfly
All orchestrations by Gabriele Comeglio

MUSICIANS, THE NIGHTFLY ORCHESTRA
  Emilio Soana:lead trumpet, flugelhorn
  Sergio Orlandi, Alessandro Bottacchiari:trumpet, flugelhorn
  Andrea Andreoli:lead trombone
  Angelo Rolando:trombone

  Gabriele Comeglio:lead alto, flute, bass clarinet
  Maurizio Meggiorini:alto sax, clarinet
  Giulio Visibelli:tenor sax, flute
  Valerio Beffa:tenor sax, clarinet
  Ubaldo Busco:baritone sax

  Marco Confalonieri:piano, keyboards
  Marco Esposito:electric bass
  Ezio Rossi:electric bass nel brano "STILL IN LOVE"
  Alessandro Gallo:guitars
  Alfredo Golino:drums
  Marco Serra:drums (on "WALK ON BY")

Maggie Charlton:lead and backing vocals
Caterina Comeglio:backing vocals

Solos:
  Sergio Orandi (Trumpet on "ARTHUR'S THEME")
  Alfredo Golino (drum solo on "STILL IN LOVE")
  Gabriele Comeglio (alto sax on "I SAY A LITTLE PRAYER")
  Giulio Visibelli (flute on "WALK ON BY" e "THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU")
  Ubaldo Busco (baritone on "WHAT THE WORLD NEED NOW IS LOVE")
  Andrea Andreoli (trombone on "THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU")
  Emilio Soana (trumpet on "STILL IN LOVE")

(P) & (C) 2022 Nick The Nightfly
Exclusively licensed M.T. SRL EGEA MUSIC

※ 日本のAmazonでは CDの取り扱いは無し、配信のみ購入可能です。

2023年7月30日 (日)

OUR LOVELY DAYS/清野由美 (1982年)

1981年にデビューした女性シンガー、清野由美(せいの ゆみ)が1982年7月にリリースしたシングルです。当山ひとみのバカラック・ナンバー「 OUR LOVELY DAYS 」をカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original 7"single front cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全2トラック中、バカラック作品は1トラック

1. OUR LOVELY DAYS (3:48)
2. サマーホテル (3:57)


1981年にデビューした女性シンガー、清野由美(せいの ゆみ)が1982年7月にリリースした4thシングルです。

清野由美さんについて詳しいことはわかりません。  ─  音性多彩‼︎ ポップス、フュージョン、ジャズ……ジャンルを超えた多彩な個性が……いま、TAKE OFF! ─ これは1981年の1stアルバム『 U・TA・GE 』ジャケット帯のコピーですが、少なくともアイドルじゃなさそうですね。
今で言ったらシティポップ? 今月シングルやアルバムが日本コロムビアから配信開始されましたし、来月には一部LPが復刻されたり動きが活発な様子。これからもっと彼女の情報が出てくるかもしれません。

さて、本シングルのA面「 アワ・ラヴリー・デイズ 」は当山ひとみが歌ったバカラック楽曲のカヴァー。2人とも日本コロムビア所属で、しかも同じ1982年7月にシングルをリリースしてるんですねー。カヴァーというよりは競作になるのかな? ただし、当山版が英語詞なのに対して清野版は日本語詞。当山版は日立製作所のイメージ・ソングとしてTV-CMに使われました(個々の製品ではなく、企業イメージCMに使われたようですね。例えばこちら)。清野版のシングル・ジャケットの曲名の下にも小さく“日立イメージ・ソング”と書いてありますが、YouTubeを検索しても使われたCMは見当たらず…。当山版とも清野版とも異なるアレンジのインスト版「 アワ・ラヴリー・デイズ 」がFM番組『 日立ミュージック・イン 』のオープニングで使われた(例えばこちら)ことも併せて想像するに、日立イメージ・ソングを清野由美も歌ってみました…ということなんでしょうか…。
尚、当山版については拙ブログ記事のオマケで詳しく触れています。ご参考ください。
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さて、清野由美の「 アワ・ラヴリー・デイズ 」は、当山版のアレンジに似たシティ・ポップス。明確に違うのはイントロで、当山版の18小節に対して清野版は後半10小節をカットした8小節。それを除くと構成は一緒で、1コーラス目はAメロ-Aメロ-サビ-サビ、2コーラス目はAメロ-サビ-サビで、その後サビを繰り返しながらフェードアウト。テンポは♩≒120で当山版(♩≒112)より速めな一方、キーは当山版(Aメロ最初の音=G)より二度低く(同音=F)、全体的な軽快さは同等といったところ。本シングルB面の「 サマーホテル 」を聴く限り彼女の歌声はしっとり&透明感があって魅力的なんですが、この「 アワ・ラヴリー・デイズ 」では歌声にリバーブや音を揺らせるエフェクトを強く効かせてて…。エフェクト無しの歌声を聴きたかったです。

竜真知子さんの日本語詞は英語詞の訳ではないけれど大意は同じで、あなたと過ごした素敵な日々を思い出す…てな感じ。聴いてて全く違和感ありません。

林哲司さんのアレンジは80年代前半らしいエレピの音がいい感じ。因みに、林哲司さんは駆け出しの頃、アメリカに行ってバカラックさんが作曲した曲を現地でアレンジ、レコーディングしてくるという仕事をしたそうですが、それがこの曲だったと語っておられます。(日刊ゲンダイ 2023年5月29日の記事『 林哲司さん語る 今年2月に死去した音楽家バート・バカラックとの不思議な縁 』を参照方) ─ 本人に会うことはできなかったけど、バカラックの誰も聴いていない曲のアレンジを任された ─ とも書いとられます。レコーディングは当山版と清野版どちらが早かったんでしょうね。レコード番号は当山版の方が若いのでオリジナルは当山版になるんでしょうけど
…。

そういえば、歌詞カードの下の方に(Los Angeles 録音)と書いてありました。

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YuTubeに自動生成でUpされてましたので動画を置いておきます。


ついでに、リリース当時のものと思われるプロモーション動画?も。温泉宿の玄関にいる人たちは何なんだ?(笑)



【データ】
「 OUR LOVELY DAYS/サマーホテル
清野由美




7"Single:1982年7月21日リリース (所有リイシューCDは、2023年4月1日リリースのオンデマンドCD:MEG-CD)
レーベル:Blow Up / 日本コロムビア(JP) (所有リイシューCDは、JVCKENWOOD Victor Entertainment (JP))
番号:AH-236-A (所有リイシューCDは、VODL-37071)

T-1.「 OUR LOVELY DAYS 」
作詞:竜 真知子
作曲:Burt Bacharach
編曲:林 哲司
(Los Angeles 録音)

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Amazonリンク(リイシューCD


2023年7月23日 (日)

Vintage II/澤田知可子 (2023年)

澤田知可子さんが2023年6月にリリースした、洋楽の日本語詞カヴァーアルバム第2弾。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全15トラック中、バカラック作品は2トラック

10. 恋の面影  THE LOOK OF LOVE  (3:54)
12. A HOUSE IS NOT A HOME  (3:34)


澤田知可子さんが2023年6月にリリースした、洋楽の日本語詞カヴァーアルバム第2弾です。

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 2022年に作詞家・松井五郎氏プロデュースによる洋楽の日本語詞カヴァー『 Vintage 』をリリース。オリジナルの英語歌詞の聴感を尊重しながら、ただの訳詞に留まらず、日本語の歌としても歌いやすく聴きやすい作品に仕上がりました。本作はこの『 Vintage 』の続編で、洋楽カヴァーに加えて、代表曲の「 会いたい 」と「 時がめぐるなら 」を収録した、澤田知可子の記念碑的アルバムです。  ─ (CDの帯より)

皆さん彼女のことをご存知でしょうからプロフィールは紹介しません。2022年に改名してることだけ触れておきます。 ─ 私ごとですが本日2022年5月22日より「澤田知可子」として歌手活動をして参ります。沢田→澤田と旧漢字へと改名致しました。読み方は変わらず「さわだちかこ」です。  ─ (彼女の公式サイトのNEWSより)

全15曲のうち、洋楽カヴァーは13曲。バックの演奏は曲により編成が異なるもののアコースティックな響きで統一。カーペンターズ、オリヴィア・ニュートン=ジョン、ビージーズ、アルバート・ハモンド、ジェーン・バーキン、映画『 ひまわり 』主題歌、映画『 カサブランカ 』劇中歌、スコットランド民謡などと共にバカラック&デイヴィッド作品を2曲カヴァーしています。

T-10.「 恋の面影  THE LOOK OF LOVE 」:アコギ、トランペットなどによる伴奏は軽いボサノヴァ調のまったりとしたもの。イントロや間奏のトランペットのオブリガートは素敵です。英語詞訳をシンプル且つ柔らかい言葉で表現した日本語詞を歌う彼女の声は、ちょっぴりハスキーですが芯があり曲の雰囲気にマッチしてると思います。

もう1曲はT-12.「 A HOUSE IS NOT A HOME 」:バックはピアノ&チェロのみとシンプル。特にチェロが美しいです。英語詞には “house” “home” 共に5回登場しますが、松井五郎氏による日本語詞には “家” が1回、“home” に至っては相当する言葉がないんですね。それでも少ない言葉で曲の世界観をうまく表現できています。適度にヴィブラートを効かせた彼女の歌声もいいですね。


ここからはオマケ。MP3でしか所有していない澤田知可子さんのバカラック・カヴァーをご紹介。
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彼女は2022年3月にリリースした洋楽の日本語詞カヴァー・アルバム第1弾『 Vintage 』でもバカラック&デイヴィッド作品を2曲カヴァーしとられます(当時はまだ沢田知可子さん)。「 遙かなる影 」(3:49) のアレンジはカーペンターズ版のほぼコピー。日本語詞はなぁんかちょっと違和感あります。なんでだろ。そもそもこのメロディに日本語は乗りにくいように感じます。「 雨にぬれても 」(3:18) はウクレレとギターを中心としたシンプルなアレンジ。シャッフルのリズムに乗って彼女も軽やかに歌っとられます。が、日本語詞は過去の日本語版(石毛恭子さんの「 レインドロップス 」メンボーズの「 雨にぬれても 」)と較べるとなぁんか無難で、もう一捻り欲しいナと。勝手なことばかり書いてスミマセン m(__)m。


【データ】



『 Vintage II 〜時がめぐるなら〜 』
澤田知可子

CD:2023年6月28日リリース
レーベル:U-CAN (JP)
番号:FRCA-1320

Producer:松井五郎
Sound Producer:小野澤 篤 (Water Planet Music)
Arrangement:小野澤 篤 (T-1〜8,12,13,15)、田嶌道生 (T-10,11)、千住 明 (T-14)、エバラ健太 (T-9)
日本語詞:松井五郎
Vocal & Chorus:澤田知可子
All Keyboards, Programming & Chorus:小野澤 篤 (T-1〜8,11,13,15) → T-12でもピアノ聴こえます
Guitar:長谷川友二 (T-3,7)、伊藤ハルトシ (T-2,4,13,15)、田嶌道生 (T-10,11)、エバラ健太 (T-1,3,6,9)
Cavaquinho:だいどうじさかえ (T-11)
Drum:清水 淳 (T-1,3,6)
Bass:関 雅夫 (T-2,4,7,8,13)、五十棲千明 (T-1,3,6)
Percussion:長岡敬二郎 (T-10,11)
Cello:伊藤ハルトシ (T-5,8,10,12,13,15) → T-10にチェロは入ってないです
Viola:田中詩織 (T-8,13)
Trumpet:高瀬龍一 (T-12) → T-10の間違いだと思います
Cho arragne & Bg vocal:Luz (Unlimited tone) (T-15)
Bass vocal:Dody (Unlimited tone) (T-15)

(P)2023 U-CAN
Distributed by UNIVERSAL MUSIC LLC
制作・発売:ユーキャン 販売:ユニバーサル ミュージック合同会社

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(CD

2023年7月16日 (日)

The Piano Side of Burt Bacharach/Christoph Spendel (2023年)

ドイツの男性ジャズピアニスト、クリストフ・スペンデルが今年(2023年)6月にリリースしたピアノソロのバカラック・カヴァー集です。(CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
2. THE LOOK OF LOVE
3. WALK ON BY
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
7. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
8. I SAY A LITTLE PRAYER
9. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約45分


ドイツの男性ジャズピアニスト、クリストフ・スペンデルが今年(2023年)6月にリリースした全曲ピアノソロ演奏のバカラック・カヴァー集です。
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クリストフ・スペンデルは1955年生まれ。5歳でクラシック ピアノを始め、1975年にジャズ・トラックというバンドの一員としてベルリン・フィルハーモニー・ホールでデビュー。一時は米国に移住して活動していたんだそう。40 年以上にわたる音楽キャリアを持つジャズピアニストであり、一方でテレビ音楽と映画音楽の作曲家としても活躍。また、Blue Flame Records のプロデューサーとして自身及び自身のグループそして他アーティストのプロデュースも手がけてきたとのこと。(彼の公式サイトのBIOを超要約。写真も公式サイトより)

ピアノソロだけでも10タイトル以上のアルバムをリリースしてるみたいですが、公式サイトを見てもまだ本作は載っていません。更新遅すぎ^^;。想像ですが、バカラックさんの訃報を知って勢いでレコーディング→リリースしたんじゃないかと思います。

取り上げたのは、'60年代のバカラック&デイヴィッド作品9曲に、'80年代の「 愛のハーモニー 」を加えた全10曲。いずれもカヴァー定番曲で、選曲上のヒネリや拘りは特段感じられません。演奏はどうでしょうか。ゆったりとあまり抑揚をつけないシンプルなアレンジ、コロコロとしたピアノタッチで残響多め。1コーラス目のメロディはほぼ原曲通り、2コーラス目ではメロディを少しいじってきますがアドリヴ的なものではなく変奏曲的なスタイル。全体としてはラウンジやカフェのBGMにピッタリのイージーリスニング仕様といった感じでしょうか。

細かいこと言えば、T-2.「 恋の面影 」がダイアナ・クラール版ベースだったり(歌ってはいませんが)、イントロだけ聴いてもなんの曲だか分からないもの( T-3.「 ウォーク・オン・バイ 」、T-8.「 小さな願い 」、T-9.「 雨にぬれても 」)もあって好感するポイントもあります。T-6.「 サン・ホセへの道 」のイントロ(1オクターヴ下がる特徴的なメロディ)が微妙にリズムずれててちょっとつまづきそうになるのはご愛嬌といったところか。

全曲ピアノソロ演奏のバカラック集、これまで拙ブログでは David Osborne(2019年) と Len Rhodes(2019年)のアルバムを紹介しています。いずれもイージーリスニング仕様ですが、そのなかでは本作が最も退屈かなぁ…。あまりお勧めは致しません、悪しからず。


【データ】
『 The Piano Side of Burt Bacharach 』
Christoph Spendel

MP3:2023年6月2日リリース
レーベル:BLUE FLAME (Germany) / Schubert Music Europe GmbH
番号:?

クレジット等詳細不明

Amazonリンク

2023年7月 9日 (日)

THE JAZZ SIDE OF BACHARACH/Claudio "Wally" Allifranchini Quartet, Archimia String Quartet, Fabrizio Bosso (2023年)

伊太利亜のテナー・サックス奏者、クラウディオ・“ウォーリー”・アッリフランキーニ率いるカルテットと弦楽四重奏によるジャズ・バカラックカヴァー・アルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. WALK ON BY  (9:44)
2. WIVES AND LOVERS  (8:11)
3. A HOUSE IS NOT A HOME  (9:16)
4. ALFIE  (7:03)
5. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  (5:02)
6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  (5:59)
7. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  (8:55)
8. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  (6:53)

収録時間約61分


伊太利亜のテナー・サックス奏者、クラウディオ・“ウォーリー”・アッリフランキーニ率いるカルテットと弦楽四重奏によるジャズ・バカラックカヴァー・アルバムです。尚、本作は2023年4月リリースですがレコーディングは2022年なのでバカラックさんを追悼しての企画(追悼盤)ではありません。

─ イタリア北西部のロマニャーノ・セージア生まれのテナー&ジャズ・アレンジャー、クラウディオ・“ウォーリー”・アッリフランキーニはバカラックの音楽に自らのビジョンを反映しつつも、本来のエレガントで洗練された雰囲気を保った素敵なアレンジを施しました。自身が率いるカルテットとアルキミア・ストリング・カルテットの共演。さらに世界的トランペッター、ファブリツィオ・ボッソがゲスト参加した華やかなアルバムです。 ─ (新譜インフォより)

全く聴いたことない名前ばかり…。こんな時はライナーノーツを訳すしかない!(ほぼ機械訳だけど…)

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─ クラウディオ・“ウォーリー”・アッリフランキーニは、1956年伊太利亜ノヴァーラのロマニャーノ・セーシア生まれ。サックス奏者、ポリ楽器奏者、編曲家、作曲家として長年活躍し、ジョルジョ・ガスリーニやエンリコ・ラヴァなどの偉大なジャズアーティストと共演している。彼はミラノのポメリッジ・ムジカーリのビッグバンドである「ジャズ・クラス・オーケストラ」で10年以上演奏し、そこでエンニオ・モリコーネ、フィル・ウッズ、ボブ・ミンツァー、ジョルジョ・ガスリーニ、ジャンニ・バッソ、ブルーノ・トンマーソ、ロニー・キューバー、バーニー・ケッセル、リー・コニッツなどのアーティストと共演する機会を得た。サックス奏者としての演奏のほか、作編曲家としても活動し、1996年にはジャズ編曲・作曲の権威あるコンクール「バルガ・ジャズ」にて「ガスパチョ」で優勝。ポップミュージックの分野でも精力的に活動している。イタリアの偉大な歌手たちのレコーディング、ツアー、テレビ放送にサイドマンとして参加したこと数知れず。長年にわたりノヴァーラのスクオーラ・ディ・ムジカ・デダロで教鞭をとり、「ビッグバンドのためのジャズワークショップ」や「コンボジャズ」という名の小規模アンサンブルのためのアンサンブル音楽コースを指導している。  ─

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─ アルキミア弦楽四重奏団は、ミラノとピアチェンツァの音楽院出身で、新しいサウンドと音響の可能性を探求したいという願いを共有し、クラシックの訓練を受けた4人の音楽家によるアイデアから生まれた。カルテットは、ミラノ、ナポリ、ヴェローナ、ヴェネツィア、ローマ、チューリッヒ、ルガーノ、ベオグラード、ブラチスラヴァ、ベルリン、マドリッド、ウィーン、ロンドン、ブライトン、ウィーン、ワシントンなど、多くの重要都市で演奏。さらにミラノの名門「ブルーノート」のステージでも約20回演奏している。カルテットはテレサ・ポモドーロとミラノのテアトロ・ノーマと積極的に協力するようになり、ヨーロッパの最も重要な演劇祭でアーティストのウィリアム・ケントリッジによる「月への旅」の伴奏者に選ばれた。ライブやスタジオで、ルシオ・ダッラ、エリサ、ニコロ・ファビ、ニック・ザ・ナイトフライ、マリカ・アヤネ、ファブリツィオ・ボッソ、パオロ・トメッレーリ、ガブリエレ・コメリオ、パオラ・フォリ、ウォルター・リッチ、フランコ・ファザーノらと共演している。  ─

─ ファブリツィオ・ボッソは、比類のない楽器のテクニックと、すべてのリスナーの魂の最も深い弦を振動させることができる抒情性を備えたトランペット奏者。ジャズミュージシャンとしてのルーツに常に忠実でありながら、あらゆる音楽ジャンルと対話しながら芸術的開花とキャリアを発展させてきた。彼は世界中で厳格かつ精力的に演奏を行っており、素晴らしいメロディーの豊かさと絶妙なイタリアの歌唱スタイルをもたらした。これらの特質が彼のトランペットのサウンドをユニークですぐに認識できるものにしている。 ─

ジャケットの人物画、最初はクラウディオ・“ウォーリー”・アッリフランキーニなのかな?と思いました(だってバカラックさんはこんなに鼻の下長くないし…)。でもライナーノーツの写真を見たら髪の毛なかったんで、こりゃ違うわ…と。バカラックさんを描いたんですね、だったらもっと似せろよ!

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サックス/フルート、ギター、ベース、ドラムス編成のカルテットに、弦楽四重奏&トランペットが加わったユニークな編成。ライナーノーツには8人一緒に映ってる写真もありました。ん?トランペットはシカトされてるのか?(じゃなくて、1人だけ別録りなので映ってないだけ)

取り上げたのは、'60年代のバカラック&デイヴィッド作品7曲に、'80年代の「 愛のハーモニー 」を加えた全8曲。いずれもカヴァー定番曲ですね。全体的な印象は、しっかりアドリヴはするもののそれほどハードではないコンテンポラリー・ジャズで、メインはカルテット、弦楽四重奏はサポート役…といったところかな。

個人的なレコメンドは3曲。まずはT-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」。軽快(♩≒184〜188)なスウィング・アレンジで、トランペット、サックス、ギターによるアドリヴは兎に角ゴキゲンです。


T-5.「 ディス・ガイ 」は♩≒116のスウィング調アレンジ。イントロや間奏を中心に頻繁に使われている2小節フレーズの循環コード(特に2小節目3〜4拍目の半音階コード進行)がクセになります。

T-6.「 サン・ホセへの道 」は♩≒164〜172のライトなボサノヴァ・アレンジ。弦楽四重奏は他の曲では裏方に徹していますが、この曲ではヴァイオリンがアドリヴのトップバッター。24小節楽しげにソロを弾いてます。他の楽器のアドリヴも熱いです。

他にも、T-1.「 ウォーク・オン・バイ 」やT-2.「 素晴らしき恋人たち 」はクールでシリアス。T-7.「 遙かなる影 」のイントロやアウトロはバカラックのセルフ・カヴァーをベースとしたものだったり、T-8.「 愛のハーモニー 」が思いっきりスウィング・アレンジだったり、なかなかユニークな面もあったりします。


【データ】
『 THE JAZZ SIDE OF BACHARACH 』
Claudio "Wally" Allifranchini Quartet, Archimia String Quartet, Fabrizio Bosso

CD/MP3:2023年4月20日リリース
レーベル:DA VINCI JAZZ (IT)
番号:C00690

Produced by Claudio Allifranchini and Nicola Stranieri
Claudio "Wally" Allifranchini Quartet
  Claudio "Wally" Allifranchini:Tenor Saxophone, Flute, Arrangements
  Sandro Gibellini:Guitar
  Marco Micheli:Double Bass
  Nicola Stranieri:Drums
Archimia String Quartet (T-1,2,3,4,6,7)
  Serafino Tedesi:Violin
  Paolo Costanzo:Violin
  Andrea Anzalone:Cello
  Matteo Del Solda:Viola
Special Guest (T-2,3,4,5,7)
  Fabrizio Bosso:Trumpet

Recorded on April 19, 20, 2022 and mixed on September 28, 2022 at Riverside Studio, Turin(トリノ), Italy
Fabrizio Bosso recorded on June 2022 at Snokad Room Studio, Rome
(P) & (C) Da Vinci Jazz 2023
DDD Designed in Japan, Printed in EU

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Amazonリンク(CD

2023年7月 2日 (日)

Latin Colours/Chaquito (1972年)

英国で活躍した作/編曲家、ジョン・グレゴリーによるラテンアレンジのプロジェクト名がチャキート。そのチャキートによる1972年のアルバムです。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全12トラック中、バカラック作品は4トラック

A2. TRAINS AND BOATS AND PLANES (3:40)
B1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE (2:35)
B3. WALK ON BY (3:11)
B5. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (3:07)



英国で活躍した作/編曲家、John Gregory(ジョン・グレゴリー)によるラテンアレンジのプロジェクト名がChaquito(チャキート)。そのチャキートによる1972年のアルバムです。

─ イギリス人アレンジャー、ジョニー・グレゴリーがラテンアレンジのプロジェクト用に採用した変名が、チャキートでした。本国での需要はとても高く、アルバムは50年代から70年代まで十数枚。思い切りのいいブラスをあしらったグルーヴィーなサウンドで、ベルケン、バカラック、ボサノヴァ、ロックと幅広い選曲。「 Light My Fire 」かっこいい! ─ (Hi-Fiレコードさんのアルバム紹介より)

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ジョン・グレゴリー 〜 本名 Johnny Gregory(ジョニー・グレゴリー)〜 は、1924年ロンドン生まれ(2020年没、享年95歳)。長年にわたりイギリスの音楽業界の裏方として活動し、数多くのアレンジ、バッキング、ラジオ放送などを手がけたんだそう。彼の多作なキャリアには、27本の映画の作曲と編曲、フィリップスなどのレーベルにおける500以上の楽曲の作曲が含まれ、約20年にわたりカヴァーからラテン音楽のイージーリスニングまで2,000枚以上のレコードを制作。実際、Discogsで検索するとジョン・グレゴリーあるいはジョニー・グレゴリー、Nino Rico(ニノ・リコ)やチャキートといった名前で様々なレコードにクレジットされています。

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ジャケットに LATIN AMERICAN BIG BAND SOUND OF Chaquito と小さな文字で書かれている通り、ビッグバンド編成によるラテンアレンジのイージーリスニング。全体的な印象として、とにかくブラスが元気。鳴りっぷりが良いアレンジは聴いてて気持ちがいいです。

12曲中4曲がバカラック・カヴァー。中でもA2.「 汽車と船と飛行機と 」のアレンジには唸りました。この曲にしてはかなりゆったりした♩≒87のテンポ。最初は p で徐々に楽器が増えてファンキーなオルガンやフリューゲルホーンのフェイクもカッコイイ。そして2コーラス目、転調してキーが二度高くなり ff でブラスがメロディをぶちかまします。ビッグバンドならではの厚みと迫力。サックスのファンキーなアドリヴもいいです。唯一惜しいのはフェードアウトで終わる点。それを差し引いてもレコメンドです。

B1.「 サン・ホセへの道 」はサンバのリズムでブラスもバリバリ鳴っています。1:30位からはファンキーなテイストも加わってなかなか楽しい演奏です。B3.「 ウォーク・オン・バイ 」はメロウなアレンジ。メロディを崩して吹くフリューゲルホーン・ソロがセクシーですし、相変わらずブラスもカッコイイ。B5.「 ディス・ガイ 」では和音でメロディを奏でるバリバリのブラス、トランペットやフリューゲルホーンはたまたサックスのメロウなオブリガートも素晴らしい。

ハイ一丁あがり的な安易なアレンジじゃありません。内容のあるイージーリスニング・アルバムだと思います。私はHi-Fiレコードさんの紹介で知りました。Hi-Fiレコードさんに感謝です。


【データ】
『 Latin Colours 』
LATIN AMERICAN BIG BAND SOUND OF Chaquito

LP:1972年リリース
レーベル:Philips (UK)
番号:6382 106

詳しいクレジットは不明。

日本のAmazonでLPの取り扱いはありませんが、リイシューCD(2 in 1)がありましたのでリンクを貼っておきます。

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Amazonリンク(リイシューCD


2023年6月25日 (日)

Do You Know The Way?/Bobby Timmons (1968年)

米国の男性ジャズ・ピアニスト、ボビー・ティモンズが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全8トラック中、バカラック作品は2トラック

A4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE (4:06)
B4. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU (3:36)


米国の男性ジャズ・ピアニスト、ボビー・ティモンズが1968年にリリースしたアルバムです。

─ ソウルジャズというだけでは語れない知性。ジャズ・スタンダード「 Moanin’ 」の作者でもある黒人ピアニスト。ソウルジャズ的な気風の良さと知的でリリカルなセンスが共存しています。本作はあまり見かけない一枚。タイトルの由来は本作でカヴァーしているバカラックの「 サン・ホセへの道 」ですし、ジョー・ベックやジャック・ディジョネットを迎えた演奏は相変わらず知的かつソリッドでグルーヴィー。1974年に亡くなってしまう彼にとって、これはレコーディングキャリアとしては後期の作品。心から惜しいと思えます。  ─  (Hi-Fiレコードさんのアルバム紹介)

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ダブルジャケットの見開き左中央にボビー・ティモンズ、下にジャック・ディジョネット、見開き右上にジョー・ベック、下にボブ・クランショーが写っています。

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本作は全8曲入り。内訳は、3曲(A1,B2,B3)がピアノトリオで1968年11月録音。残り5曲(A2〜4, B1,B4)がピアノトリオ+ギターのカルテットで同年8月の録音。ただし、A3.はピアノとギターだけ、B2.はピアノソロです。

このうちバカラック作品はA4.「 サン・ホセへの道 」とB4.「 ディス・ガイ 」の2曲。
「 サン・ホセへの道 」はディオンヌ・ワーウィックがオリジナル。1968年4月リリース、5月に全米10位となるヒットになりました。「 ディス・ガイ 」はハーブ・アルパートがオリジナル。1968年5月のリリース、6月には全米1位に輝きます。2曲はほぼ同じ時期にヒットしたんですね。そしてボビー・ティモンズはその約3ヶ月後にレコーディングしたというワケです。

A4.「 サン・ホセへの道 」はオリジナル(♩≒158)よりも軽快(♩≒188)で、ピアノとギターが主メロディを奏でるライトなラテン感覚のアレンジ。中間部で聴こえるピアノのアドリヴは十分ファンキーですが、荒っぽくなくてどことなく知的な香りがします。

B4. 「 ディス・ガイ 」もオリジナル(♩≒84)よりも速いテンポ(♩≒118)で、やはりピアノとギターによるメロディライン。こちらも中間部でのピアノのアドリヴはファンキー。でもコテコテのソウルジャズではなく知的な雰囲気。

2曲とも同じようなコメントになってしまいましたね。他の6曲はもっとソウルジャズしてるんですが、この2曲がなんか違うのはバカラック曲の味が自己主張してるからじゃないかと思います。あくまで個人的な感想ですが…。



【データ】
『 Do You Know The Way? 』
Bobby Timmons




LP:1968年リリース
レーベル:Milestone (US)
番号:MSP 9020

Produced by Orrin Keepnews
Piano – Bobby Timmons
Guitar – Joe Beck (except A1,B2,B3)
Electric Bass – Bob Cranshaw
Drums – Jack De Johnette
New York City. Quartet numbers recorded August, 1968; trio November, 1968.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年5月28日 (日)

In Wonderland/The Mutual Understanding (1968年)

ミューチュアル・アンダースタンディングが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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所有のリイシューCD (紙ジャケット仕様:オリジナルLP盤を再現)

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

6. SAN JOSE (2:36)


ミューチュアル・アンダースタンディングが1968年にリリースしたアルバムです。

─ ミューチュアル・アンダースタンディングの『 イン・ワンダーランド 』は、トロントのジャズ/ポップス界で活躍するミュージシャンたちによるスタジオ・プロジェクト。ベン・マクピーク、ジェリー・トス、ジミー・デイルというコンポーザー/アレンジャーがカナダの混声コーラス・グループ、ローリー・バウワー・シンガーズのコーラス・サウンドをフィーチャーして、作り上げた傑作ソフト・サウンディング・アルバム。フリー・デザインやアニタ・カー・シンガースが引き合いに出されることもある洗練されたコーラスと流麗優美なアレンジが魅力だ。  ─ (ライナーノーツの解説より、July,2005 長門芳郎氏)

The Mutual Understanding(直訳は相互理解)はグループ名じゃなくてプロジェクト名なんですね。全く知らないのでライナーノーツからそのまま引用しました。

登場する人名も全く聞いたことないので、もう少しライナーノーツの助けを借ります。ベン・マクピーク(1934〜1981)は、コンポーザー/アレンジャー/ピアニストでカナダの音楽シーンの超大物。ジミー・デール(1935〜2017)は、カナダのTV局のピアニスト/音楽ディレクター。ジェリー・トス(1928〜1999)は、サックス/クラリネット/フルート奏者で、アレンジャー/カナダTV局の音楽プロデューサー。ローリー・バウワー・シンガーズは、シンガー/コーラス・アレンジャー/トロンボーン奏者のローリー・バウワー(1933〜2016)率いるカナダの人気・実力共にトップと言われる混声コーラス・グループ。本作録音時のメンバーは初代の5名。現在まで何度も代替わりしながら活動中だそうです。
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んで、本作のサウンドは、長門さんのおっしゃる通り、洗練されたコーラスと洒落たアレンジのサウンドのソフト・ロック。コーラスは、例えばアニタ・カー・シンガーズのバカラック・カヴァー集『 REFLECT on the hits of Burt Bacharach & Hal David 』と比較すると若干ユニゾン/オクターヴ多めかな?と思いますが洗練度では甲乙つけ難し。バックのサウンドは、アニタ・カー・シンガーズがイージーリスニング寄りなのに対してもっと多彩なアレンジ&演奏だと思います。

バカラック・カヴァーはT-6.「 SAN JOSE 」、要は「 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道)」ですね。のちに同じパターンをフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドがパクってます(笑)。オリジナルであるディオンヌ・ワーウィック(♩≒158)より速く(♩≒178)、オリジナルの “ズン・チャチャ” 8ビートにルンバの伴奏形を加えた独特なサウンドは確かにイージーリスニングというよりはソフト・ロックか。特に間奏部分のフルートやブラスの掛け合いはウキウキします。混声コーラスも楽しげでキレがありますね。

この曲、バカラックさん追悼のラジオ番組(K-MIX の『 夢街名曲堂 』2023年3月25日放送「We Love バカラック!Part.2」)で流れて初めて聴きました。配信では見当たらなかったのでCD購入した次第。届いたCDのライナーノーツに番組パーソナリテイである長門芳郎・土橋一夫両氏が執筆しとられて、ワォってなりました。

それにしても、アルバムジャケットのキノコはなんなんじゃろ?


【データ】

『 In Wonderland 』
The Mutual Understanding




LP:1968年リリース (所有CDは、2008年リイシュー韓国盤、ライナーノーツは日本語/韓国語併記:July,2005 長門芳郎氏、ゲイリー芦屋氏、鴨宮諒氏、片岡知子氏、土屋一夫氏)
レーベル:NIMBUS (Canada) (所有CDは、Beatball Records (Korea))
番号:NNS-101 (所有CDは、BEAT 48)

Producers:Dave Bird, Jack Richardson
Arranged by Ben McPeek (T-1,4,7,10.), Jerry Toth (T-3,6,9,12.), Jimmy Dale (T-2,5,8,11.)
Music Director:Ben McPeek
Vocal Leader/Director:Laurie Bower
Laurie Bower Singers:Laurie Bower, Tommy Ambrose, Kathy Collier, Vern Kennedy, Patty Van Evera
Recorded at Hallmark Studios-Toronto
Recording Engineer:Phil Sheridan

(P) 1968 NIMBUS 9 PRODUCTIONS LIMITED.
©︎ 2007 Beatball Records, a division of BEATBALL MUSIC GROUP, KOREA.

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2023年5月21日 (日)

2023年5月6日 NHK FM『 ジャズ・トゥナイト 』バカラック・ジャズ

2023年5月6日(土)夜、NHK FM『 ジャズ・トゥナイト 』という番組でバカラックさんが取り上げられました。文字起こししたので、ラジオ放送やらじるらじるの聴き逃し配信を聴き逃した方は(聴かれた方も)興味ありましたらご覧ください。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10曲中、バカラック作品は9曲(番組前半のバカラックさん特集のみ対象)

M1. WIVES AND LOVERS  〜 Burt Bacharach 〜
M2. WINDOWS OF THE WORLD  〜 Stan Getz 〜
M3. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Roland Kirk 〜
M4. WALK ON BY  〜 岡崎広志とスターゲイザース 〜
M5. ALFIE  〜 Bill Evans 〜
M6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 George Shearing 〜
M7. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Grant Green 〜
M8. RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD  〜 Roy Ayers 〜
M9. BACHARACH  〜 John Zorn - MASADA 〜
M10. CLOSE TO YOU  〜 大友良英 〜


【番組タイトル】
『 ジャズ・トゥナイト 』
バカラック・ジャズ

【放送日時・放送局】
2023年 5月 6日(土) 23:00~25:00 NHK FM

【この番組について】
─ 音楽家の大友良英さんの案内で、世界各国の最先端のジャズからクラシック・ジャズまでを幅広く紹介します。番組の前半では、毎回さまざまなテーマを設定した特集をお届けし、番組後半では、内外の新譜を中心に紹介しています。  ─ (番組HPより)

番組パーソナリティーは大友良英さん。その大友良英さんのバカラック愛がびんびん伝わってきました。

以下、放送時間のうち前半部分のバカラックさん特集のみ文字起こししました。各曲目の【 】は番組公式サイトに載っていたレコード番号です。( )内の"こちら"は拙ブログの過去記事にリンクしています、ご参考まで。尚、この放送で流れた曲は、ちたりたさんのブログ『 Silmaril Necktie 』で聴く事ができます(M10.を除いて)。ちたりたさんに感謝!


***** 文字起こし開始

皆さんこんばんは、大友良英です。今日前半の特集は今年2月8日に94歳で亡くなりましたポピュラー音楽界の大巨人と言ってもいいと思います、もう個人的には最高の作曲家と思っています、バート・バカラックの特集をしたいと思っています。作曲だけでなくピアニストやそれからなかなか味わいのある歌も歌いますプロデューサーとしても活躍しましたバート・バカラックですけども、ジャズミュージシャン達もバカラックの曲をたくさんカヴァーしています。なので今日はそんなバカラックのカヴァーを前半聴いていきたいと思います。

カヴァーを聴く前にまずは本人の演奏から聴きましょう。バート・バカラック自身は実はジャズの影響も随分受けていて、今日前半最初にかける曲はそんなジャズの影響が窺えるバカラックの曲を聴きたいと思います。「 WIVES AND LOVERS 」という曲がありますけども、これ元々映画のために書いた曲ですけどその映画には使われず、'63年にジャック・ジョーンズのカヴァーでこれもなかなかジャズっぽくて素晴らしいヴァージョンなんですけどヒットしましたが、今日聴いてもらうのは1971年録音のセルフ・タイトルの『 Burt Bacharach 』(こちら)というアルバムがあるんですけれどその中に入っている「 WIVES AND LOVERS 」を聴きたいと思います。かっこいい演奏ですよ。

M1. WIVES AND LOVERS  〜 Burt Bacharach 〜  (6'20")  ♪  【A&M POCM-2013】

今聴いてもホントによく出来たアレンジメント、いい演奏だと思います。バート・バカラック1971年録音の「 WIVES AND LOVERS 」聴いてもらいました。ピアノを弾いてるのと、あと最後に味わい深い歌を歌ったのはバート・バカラック自身です。

バート・バカラック、1928年の5月生まれ、日本で言うと昭和3年生まれなので私の父と同い年(※①)ですね、お父さん聴いてるかな? で、元々生まれはカンザスシティなんですけど育ったのはニューヨークのクイーンズです。ジューイッシュ系、ユダヤ系の血を引いています。そいで、彼の自伝読むと出てくるんですけども10代の中頃にニューヨークだったので、マンハッタンの52番街とかに行ってガレスピーのバンドとかカウント・ベイシーのバンドなんかを聴いたのが凄い強い影響になってると本人は言ってます。他にもクラシックの勉強もしていて、なんと驚くべきことにですねぇダリウス・ミヨーとかヘンリー・カウエルなんかに習ってたりしてるので、ヘンリー・カウエルはジョン・ケージの先生ですよね、彼の中にはそういうクラシカルなものの影響とそれからジャズやポップスなんかの影響がもう見事にこの中で融合して、で50年代終わりくらいからかなぁ素晴らしいアレンジの数々それから作曲の数々を残しています。もう個人的にはエンニオ・モリコーネとバート・バカラックが20世紀の二大最大作曲家、ジョン・ケージも加えてもいいかな?くらいなくらい好き、です。

と言うことで、ここからはジャズ・ミュージシャンによるバカラックのカヴァーを聴いていきましょう。まずはスタン・ゲッツによるバカラックのカヴァー集で『 Plays Bacharach and David 』(こちら)と言うアルバムがあります。このデイヴィッドというのはハル・デイヴィッド、バカラックと組んでいっぱい作詞をしている人ですね、この2人の作った曲をカヴァーしているアルバムがあってこれ全曲聴いても素晴らしくいいアルバムなんですけども、今日はその中から「 WINDOWS OF THE WORLD 」を聴きたいと思います。この曲自体はディオンヌ・ワーウィックの歌で1967年にヒットして、スタン・ゲッツ自身はこの年にすぐに録音しています。ワーウィックのシングルが7月にリリースされて8月31日にスタン・ゲッツが吹き込んでいるので、もう速攻吹き込んだってことなんですかねぇ。当時ジャズ・ミュージシャンっていうのは後々スタンダード・ナンバーになるような曲、つまり当時のヒット曲をすぐに取り込んだりしているのでそういう流れだったのかもしれません。メンバーはスタン・ゲッツのテナー・サックス、若き日のチック・コリアがピアノで参加してます、フィル・アップチャーチのギター、ウォルター・ブッカーのベース、ロイ・ヘインズのドラムスに、リチャード・エヴァンスのアレンジと指揮という編成です。聴いてみましょう。

M2. WINDOWS OF THE WORLD  〜 Stan Getz 〜  (2'40")  ♪  【Verve UCCU-9757】

スタン・ゲッツ、バカラックの曲をカヴァーした『 Plays Bacharach And David 』から1967年録音の「 WINDOWS OF THE WORLD 」を聴いてもらいました。もう…すごく洗練されたカヴァーというか、わずか発売してすぐにこんな形で洗練されたアレンジメントを施して、もうスタン・ゲッツの見事としか言いようのないメロディラインとアドリヴでカヴァーしてるってのが、当時の20世紀の音楽界のジャズとかポピュラー・ミュージックとか様々な関係のダイナミズムを語るのにすごくいい例なんじゃないかと思います。

続いてはですねぇ、今洗練したって言いましたけど洗練と真逆のカヴァーです。個人的にはバカラックのカヴァーとしては最高じゃないかと思っているローランド・カークの「 I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)」を聴きましょう。以前にもローランド・カークで一度かけたんですけど、今日はもう追悼なのでぜひもう一度聴きたいと思います。この曲は1967年にディオンヌ・ワーウィックが、そして翌年にはアレサ・フランクリンが歌ってヒットしました。もういろんな人が歌ってます。そして1969年の7月に録音されたのが今から聴くローランド・カークによる結構強烈なカヴァー・ヴァージョンです。アルバムは『 Volunteered Slavery 』(こちらのオマケ参照)に収められています。これもローランド・カークの最高の1枚だと思ってます。メンバーは、ローランド・カークがテナー・サックス/フルート/ホイッスル/それから冒頭に出てくるちょっと謎な電子楽器みたいなもの等々いろんな楽器を演奏していて、他にチャールズ・マギーのトランペット、ディック・グリフィンのトロンボーン、ロン・バートンのピアノ、バーノン・マーティンのベース、ソニー・ブラウンのドラムスという編成です。聴いてみましょう。

M3. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Roland Kirk 〜  (7'58")  ♪  【Atlantic AMCY-1192】

1969年ローランド・カークがカヴァーしましたバート・バカラックの名曲「 I SAY A LITTLE PRAYER 」聴いてもらいました。大混乱してるでしょ。もう…左チャンネルから聴こえてくるコントラバスとか、大丈夫かっていうくらいの混乱ぶりですし録音状態も決して良くはないですし、それからあのメンバーの中にはクレジットされてないですけどタンバリンの人がいてずーっと叩いてますよね。あの、映像とか観るとこのタンバリンの人が映ってたりするので、あぁこの人が叩いてんだなってわかりますけども、そんな大混乱ですけどこれもうまるで音楽のごった煮みたいで、あのバート・バカラックがごった煮っていうよりは非常に洗練された形で様々な音楽を作曲しアレンジしてたのに較べて、ローランド・カークは非常にあらゆる種類の音楽をもうごった煮でローランド・カークのある種カオスのような頭脳と身体を通して捻り出したようなカヴァーで、そういう意味で対照的なんですけどもすごく根本が僕は何か繋がるものがあるんじゃないかと思ってます。個人的なことを言っちゃうとこのローランド・カークのものを聴いたのは僕'70年代後半なんですけど、10代の頃バート・バカラックとか、ちっちゃい頃聴いてたのにね、なんかあんなのポップスだからって聴かなくなってた時期があったんですけども、ローランド・カークのこのヴァージョンを聴いてあれって思っても一回聴き直して、やっぱ凄いなぁバート・バカラックって、てゆーのを目覚めさせる切っ掛けを作ってくれたのがこのローランド・カークのカオス・ヴァージョンです。

続いても、ちょっとユニークなカヴァーです。日本でもバート・バカラックのカヴァーをしてる人達はジャズに限らず様々なジャンルでいっぱいいます。'70年代の歌謡曲なんか特にバカラックのアレンジのパクリ?と言ってもいいものがいっぱいありますけど、今日はジャズのカヴァーの中でヴォーカリストでアルト・サックス奏者でもあります岡崎広志が結成したグループ、岡崎広志とスターゲイザース(※②)の演奏で1969年リリースのバート・バカラックのカヴァー集『 スターゲイザース、バカラックを歌う 』(こちら)から「 WALK ON BY 」を聴きたいと思います。この岡崎広志さん、この番組でも一度かけたことがあるんですよ。11PMのシャバダバシャダバダってあの曲が岡崎広志さんが歌ってますね、伊集加代なんかと一緒にね。この録音、メンバーは岡崎広志のアルト・サックス/フルート/ヴォーカル、そして…ごめんなさい正確な読み方が分かりませんけど大久保計利(かずとし)さんって読むんでしょうかね、えっと計算の"計"に利益の"利"と書きます、その大久保さんがトランペット/フリューゲルホーン/ヴォーカル、それから根本博史(ひろし)さん、或いは(ひろふみ)さんと読むかもしれません、のフルート/バリトン・サックス/ヴォーカル、そして金井陽一さんのフルート/テナー・サックス、佐野博美(ひろみ)さんであってると思います、のクラリネット/アルト・サックス/フルート/ヴォーカル、藤井貞泰さんのピアノ、柴田恒雄さんのベース、間違ってたらごめんなさい西川欣司(きんじ)さんのドラムスで、編曲は前田憲男さんが担当しています。岡崎広志とスターゲイザースで「 WALK ON BY 」。

M4. WALK ON BY  〜 岡崎広志とスターゲイザース 〜  (2'34")  ♪  【日本コロムビア COCP-50222】

う〜んこれもいい演奏ですね。岡崎広志とスターゲイザース1969年リリースのアルバム、バカラック・カヴァー集の『 スターゲイザース、バカラックを歌う 』から「 WALK ON BY 」聴いてもらいました。なんかこれを聴くとバカラックのことを想うってよりは'70年前後の、昭和でいうと40年代なのかな、の日本の景色がふわ〜って浮かんでくる独特の日本観みたいなのがあって面白いなぁって思いながら聴きました。

続いては、もう名カヴァー中の名カヴァーです。ビル・エヴァンスのカヴァーで「 ALFIE 」を聴きましょう。ジャズで「 ALFIE 」っていうとソニー・ロリンズが演ってる「 ALFIE 」を思い出す人もいますけども、これ同じ映画の曲ですけどもロリンズが作ったのとは違うヴァージョンでバカラックが作ったものがあります。ビル・エヴァンスは「 ALFIE 」を何度も録音してますけど、今日は1967年8月にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで行ったセッション(こちら)から、フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスとエディ・ゴメスのベースによるトリオの演奏で聴きたいと思います。聴いてみましょう。

M5. ALFIE  〜 Bill Evans 〜  (5'05")  ♪  【Verve V2E-2545】

ビル・エヴァンス・トリオ、1967年8月ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴから「 ALFIE 」聴いてもらいました。これホントに素晴らしい曲で、ビル・エヴァンスの演奏も勿論素晴らしいんですけども、興味ある人は是非バート・バカラックのオリジナル・ヴァージョン、って言っても幾つもあるんですけどもバカラックが演ってるものがね色んな人が歌っているのであるんですけども、動画サイトをチェックするとジョージ・マーティンのプロデュースでシラ・ブラックが歌ったヴァージョン、ってこれ最初期のヴァージョンだと思いますけど、これが観れるので興味ある人は是非観て下さい。もうホントに凄いです。バカラック自身がピアノ演奏し生でオーケストラが演奏して生で歌ってます。当時のポップスってこうやって録ったんだっていう、今と全然違う状況がみて取れますので、是非興味ある人は!

続いてイギリスのピアニスト、ジョージ・シアリングによるカヴァーで「 サン・ホセへの道 」を聴きましょう。この曲ももう大好きな曲です。'68年にディオンヌ・ワーウィックがヒットさせましたけど、こちらのヴァージョンはメンバーがジョージ・シアリングのピアノ、ヘルベルト・サージックのヴァイブラフォン、ジギ・シュワブのギター、アンドリュー・シンプキンスのベース、ラスティ・ジョーンズのドラムス、そしてチノ・ヴァルデス、カルメロ・ガルシアのパーカッションで、非常にラテン・テイストのあるアレンジです。録音は1974年です。

M6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 George Shearing 〜  (5'49")  ♪  【MPS POCJ-2549】

ジョージ・シアリング、1974年の録音で「 サン・ホセへの道 」を聴いてもらいました。これオリジナルの曲も僕大好きなんですけども、そのオリジナルが大好きな僕が聴いてもこのカヴァーはいいなって思います。オリジナルの曲はあの確か都会で暮らしてた女の子が故郷のサン・ホセへ帰りたいみたいな、日本でいうと「 北国の春 」みたいな曲なのかな、そんな曲なんですけどすっごいお洒落に聴こえますよね。

次はギターによるカヴァーです。グラント・グリーンのアルバム『 Green Is Beautiful 』(こちらのコンピ集参照)に収められた「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 」を聴きたいと思います。この曲は1968年に初演されたブロードウェイ・ミュージカル『 Promises, Promises 』(こちら)のタイトル曲(※③)として書かれた曲です。こちらのグラント・グリーンによるカヴァーの方の演奏は、グラント・グリーン自身のギター、エマニュエル・リギンズのオルガン、アイドリス・ムハンマドのドラムス、キャンディードのコンガ、リチャード・ランドラムのボンゴという編成で、録音は1970年です。

M7. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Grant Green 〜  (6'44")  ♪  【Blue Note TOCJ-4342】

グラント・グリーン、1970年の録音で「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 」聴いてもらいました。これもいい曲ですよね〜ホントに。もう…ごめんなさい、言葉を失うぐらい大好きな曲なんですけども、このグラント・グリーンの録音聴いてると落ち着くなぁと思うと、この間特集しましたルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオの録音で、やっぱりこの種の歪んでないというかジャズのグラント・グリーン・タイプのギターの録音をさせたら天下一品だなぁって思いながら聴いてました。ものすごくヘッドフォンでよーくよーく聴くと、最初の方にオルガンからなのかギターからなのか真空管アンプのノイズがジィーって微かに聴こえるんですけど、すいませんもぅどーでもいい話ですけどそーゆーのだけでも、うわぁ嬉しい、ノイズが聴こえるって思っちゃうのはちょっとオカシイかな、すいません。

続いてはヴァイブラフォンのロイ・エアーズによるカヴァーで「 RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD(雨にぬれても)」ですねえ。もう多分バカラックの最大のヒット曲なんじゃないかな。映画『 明日に向って撃て! 』(こちら)の中の挿入曲ですけど、1969年にB.J.トーマスが歌った大ヒット中の大ヒット曲です。今日聴くのは、ロイ・エアーズのヴァイブラフォン、ハリー・ウィテカーのエレクトリック・ピアノ、エドウィン・バードソングのオルガン、ジョン・ウィリアムスのベース、アルフォンス・ムゾーンのドラムスに、ジュマ・サントスのコンガという編成です。これもかっこいい演奏です。聴いてみましょう。

M8. RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD  〜 Roy Ayers 〜  (4'48")  ♪  【Polydor UCCU-90066】

ロイ・エアーズ、1970年発売のアルバム『 Ubiquity 』から「 雨にぬれても 」を聴いてもらいました。これもいい演奏ですよね。まだフュージョンとかクロスオーバーというような言葉が言われる前の時代のものですけども、ジャズとファンクが程よく混じり合いながらバカラックのカヴァーしてる感じで、それとちょっと気になったのが左チャンネルから聴こえてくる方のロイ・エアーズのヴァイブラフォンの音が異様に伸びる、ヴァイブラフォンって普通ポーンって減衰してくんですけどポーってなるんですよね。なんでだろう、どういう仕組みかなぁ、録音で上手くやったのかなぁ、ちょっとわかんないですけどそういうのも含めて凄く凄く面白い録音でした。

さて、最後に近づいてきました。ちょっとした変化球というか、むしろストレート直球ど真ん中と言ってもいいようなものなんですけども、1996年にリリースされた、ジョン・ゾーンのグループであるMASADAのシリーズ第7弾『 MASADA SEVEN 』に収められた「 BACHARACH 」という曲があります。これはジョン・ゾーン自身のオリジナル曲なんですけども、聴くとこれはもうバカラック以外の何ものでもないような、バカラックの作曲の特徴を凄くよく捉えてジョン・ゾーンがこの曲を作っています。ジョン・ゾーンは1997年にバカラックに敬意を表して『 Great Jewish Music: Burt Bacharach 』(こちら)というコンピレーション・アルバムもプロデュースしてリリースしてるんですけど、要するにバカラックはユダヤ系ですので、ジョン・ゾーン自身もそうなので、そういう意味で今からかける曲もこのコンピレーション・アルバムもそういうのを作ったんだと思います。メンバーは、ジョン・ゾーンのアルト・サックス、デイヴ・ダグラスのトランペット、グレッグ・コーエンのベース、ジョーイ・バロンのドラムスという編成で、曲は「 BACHARACH 」。

M9. BACHARACH  〜 John Zorn - MASADA 〜  (1'24")  ♪  【DIW DIW-915】

1分24秒の短い曲ですけども、物凄くバカラックの特徴を捉えて曲を作り直してます。ジョン・ゾーンのMASADAで「 BACHARACH 」という曲を聴いてもらいました。バカラックの特徴ってもうホントに色々ハーモニーのセンスとかリズムのセンスとか色々あるんですけども、一つは独特の普通ポップスではあり得ないような変わった拍子が、ポップスって大体4拍子なら4拍子が続いたり3拍子なら3拍子が続くんですけど、バカラックは4拍子の中に突然3拍子的なものが入ったり4拍単位だったのが突然2拍単位のとこが出てきたりとか、3拍子のとこに2拍子が入って5拍子みたいになったりってゆーのをよく使います。「 小さな願い 」とかでも、途中で4拍子の中で2拍子が入るところがバスドラでドンドンってアクセント入れたりするんですけど、そーゆーのうまーく使いながら、ユダヤの音階を使った曲と上手く融合させてもう…バカラック以外の何ものでもないような曲を作ってて、見事だと思います。ホーン・セクションのアクセントの感じとかもね、物凄くバカラックっぽいなぁって思いました。あの、この曲もし面白いと思った人がいたら、是非バート・バカラックがやっているサントラ盤でジェームズ・ボンド・シリーズのパロディで作ったと言ってもいいのかな、ピーター・セラーズが主演の『 Casino Royale 』(こちら)を是非是非チェックして下さい。

お届けして参りました前半のジャズによるバカラックのカヴァー集、如何だったでしょうか。最後は、私自身がカヴァーしました未発表のものです。バカラックが亡くなった時に、自宅でアコースティック・ギターの録音をしてたんですけど、別の仕事でね、でももうどうにも堪らなくて思わず締切間際なのに録音してしまったもので、それをこの番組のために改めてミックスし直して、何処で発表するってのでもなく録音したものです。バート・バカラックの曲でカーペンターズのカヴァーでも有名です、「 CLOSE TO YOU 」を私のギター・ソロで聴いて下さい。後半のホットピックスもお楽しみに。

M10. CLOSE TO YOU  〜 大友良英 〜  (4'34")

***** 文字起こし終了


【注釈】

※① 因みに、私(ブログ主)の亡き父とも同い年になります。

※② 大友さんは「 スターゲイザーズ 」と仰ってましたが、アルバムに表記されている「 スターゲイザース 」に直しました。悪しからず。

※③ タイトル曲ではなく劇中歌なんですけどねぇ。大友さんのうっかりミスと思われます。

2023年5月12日 (金)

バート・バカラックさん 生誕95周年!

今日はバート・バカラックさんの誕生日。バカラックさんは今年2月8日にお亡くなりになりましたが、拙ブログでは今年も変わらず誕生日に記事をアップします。

バカラックさんの訃報に接した2月10日(金)から2日経った2月12日(日)のこと。

「元気にしてる?」のメッセージと共に中高時代の友人が教えてくれた鈴木祥子さんのバカラック追悼ピアノ弾き語り。Twitterでニコレット・ラーソンの「 FOOL ME AGAIN 」from『 Arthur 』(1981年) をカヴァーしてらっしゃるのですが、これがとっても良くて…。

彼女が1994年にリリースした4曲入りバカラックカヴァー・ミニアルバムにも入ってない隠れ佳曲。まぁ『 Shoko Suzuki Sings Bacharach & David 』ってタイトルなんでキャロル・ベイヤー・セイガーとの共作曲が入るワケないけど…。

訃報以降いくつか追悼演奏を聴きましたが、個人的にはこちらが最も心に響きました。友人の心遣いに感謝!

2023年5月 7日 (日)

Bill Badgley Plays Burt Bacharach/Bill Badgley (1969年)

カナダのピアニスト、ビル・バッジリーのピアノとオーケストラによるバカラック作品集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
A2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A3. WALK ON BY
A4. WHO IS GONNA LOVE ME
A5. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)
A6. MAGIC MOMENTS
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B3. THE LOOK OF LOVE
B4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B5. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B6. THE WINDOWS OF THE WORLD

収録時間約31分


カナダのピアニスト、ビル・バッジリーのピアノとオーケストラによるイージーリスニング・バカラック作品集です。

ビル・バッジリーをネットで検索してもよくわからず…。頼りは裏ジャケの解説のみ。
─ このアルバムでは、カナダで最も有名なポピュラー・ピアニストの芸術性が、世界で最も偉大な現代作曲家の1人の創造性と組み合わされています。60年代の洗練された曲のスタイルでカナダの放送局の至るところに浸透し続けているビル・バッジリーは、バート・バカラックがハル・デイヴィッドと共作した曲の中から12曲にスポットライトを当てています。元ラジオ・アナウンサーからパフォーマーに転身したビルは、彼が1964年トロントにオープンしたレストラン "Ports of Call" の "the Caesar Room" に常駐しています。彼のレコード・アルバムは、個人的な出演やラジオやテレビの放送と相まって、国際的なエンターテイメントの懸賞に参加しました。このレコーディングでは、30人のカナダ人ミュージシャンが彼のピアノのバックで演奏しています。アレンジは Rick Wilkins と Johnny Burt によります。  ─ (裏ジャケの解説より。Googleの力を借りて意訳しました)

リリース年はどこにも記載なくDiscogsサイトを見てもわからなかったのですが、YouTubeにUPされてたA3.「 WALK ON BY 」の動画に1969年と書いてありました。収録曲を眺めて見ても妥当じゃないかと思います。だって、1969年〜1970年に大ヒットした「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら)」「 RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD(雨にぬれても)」「 (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU(遙かなる影)」が1曲も入ってませんからね。

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取り上げた12曲は、A4.「 フー・イズ・ゴナ・ラヴ・ミー(誰が私を)」を除いてバカラックの定番曲ばかり。

裏ジャケにはアルバム・タイトルの下に小さな文字で "PIANO WITH ORCHESTRA" と書いてあります。オーケストラについては30人いるということ以外何も記載ありませんが、2種類の編成があるようで、A/B面とも奇数トラックがビッグバンド風の編成(フルート等木管楽器の持ち替え含む)で、偶数トラックがストリグス+ホルン+リズム隊という編成。バックコーラスは皆無。そして、全ての曲でピアノがセンターに定位しています。

メロディの大部分はピアノが受け持ってます。ビル・バッジリーのピアノは、メロディを弾くときはブロック奏又はオクターヴ奏が多い印象。特徴はそれくらいですかねぇ。他の楽器がメロディを奏でているときはピアノが所々アドリヴを弾いたりもしています。バックのアレンジはヒットしたバージョンに寄せたものですが、コピーではなくイントロやアウトロにはそれなりに工夫が感じられます(特に、ビッグバンド風の編成は)。でもまぁ全体的には緩いアレンジだと思います。レコメンドは…強いてあげるならピアノのアドリヴが多くてアウトロで下降していくコード進行がユニークなB3.「 恋のおもかげ 」くらいですかね…。

ピアノ+オケという編成のバカラック集は、拙ブログでもいくつか紹介してきました。マッコイ・タイナーのバカラック集(1997年)はジャズなので別ジャンルかな? イージーリスニングではロニー・アルドリッチのバカラック集(1972年)ピーター・ネロのバカラック集(1968年)があります。残念ながらビル・バッジリーのバカラック集はそれらよりアレンジ&演奏の両面でクオリティは落ちます。だからCDリイシューされてないんでしょうねぇ。

ところで、裏ジャケの曲目リストをよくみると "Time" の右隣に "Intro" の欄がありますが、これはイントロの時間 (sec) なんですね。こんなの初めてみましたょ。そしてその右隣には "Tempo" の欄が。M、MB、MS、B、S とか書いてあるんですが、これはどう意味なんでしょう? M は Moderato(モデラート)か? いやいや、絶対違うよねー。
どなたか教えてくださいませ🙇‍♂️


【データ】
『 Bill Badgley Plays Burt Bacharach 』
Bill Badgley

LP:1969年リリース
レーベル:GRT (Canada)/Canadian Talent Library (Canada)
番号:GRT 9208/S 5115

Arrangements by Rick Wilkins and Johnny Burt
Recording Engineer:Mark Smith
Recording Superviser:Johnny Burt
Technical Consultant:Bill Baker
Repertoire Consultant:Arthur Collins
Executive Producer:J. Lyman Potts

Distributed by GRT of Canada Limited, broadcast rights held by copyright owner, Canadian Talent Library Trust, Toronto, Canada
Stereo record and jacket produced in Canada.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年5月 4日 (木)

Bottom's Up/The Chi-Lites (1983年)

米国のR&B/ソウルヴォーカル・グループ、シャイ・ライツが1983年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全8トラック中、バカラック作品は1トラック

A4. MAKING LOVE (4:01)


米国のR&B/ソウルヴォーカル・グループ、シャイ・ライツが1983年にリリースしたアルバムです。

シャイ・ライツは1959年に米イリノイ州シカゴで結成。中心人物はユージン・レコードで、Chi-Litesの名前の "Chi" は故郷のシカゴに由来しているんだそう。米R&Bチャートで1位になった「 HAVE YOU SEEN HER 」(1971年) と「 OH GIRL 」(1972年) が彼らの代表曲のようです(後者は全米チャートでも1位に)。1970年代後半に一度は解散しますが1980年に再結成、メンバー入れ替わりながら現在でも活動しているそうです。

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本作は再結成後4枚目のアルバムで、チャート上位まで上昇しました(US R&Bアルバムチャート15位)。また、アルバムタイトル曲のA1.「 BOTTOM'S UP 」もヒットして、1974年以来となるUS R&BチャートTOP10(7位)を記録。当時のメンバーは3名で、ジャケット左からロバート・レスター、マーシャル・トンプソン、ユージン・レコードという面々。みなさん見た目濃いですねー。

本アルバム全8曲のうち、前述のアルバムタイトル曲を含む5曲(A1〜3,B1,B3)は所謂ブラック・コンテンポラリー。時代が時代ですからねぇ。んで、2曲(B2,B4)は昔のシャイ・ライツっぽいソウルバラード。そして残り1曲が他とは毛色の違うバラード曲、バカラック・カヴァーのA4.「 メイキング・ラヴ 」でございます。

この「 メイキング・ラヴ 」、オリジナルはロバータ・フラックで1982年の曲(後述するオマケを参照方)。バカラック自身のものを除けばカヴァーは両手あるかないかの渋い曲ですが、私の知る限りこのシャイ・ライツ版が最初のカヴァーじゃないかと。キーはオリジナルより半音低いだけで、リードヴォーカルのユージン・レコードはさすがのハイトーンを聴かせてくれますし、男声バックコーラスも素敵。オリジナル(♩≒70)よりテンポは少し速め(♩≒76)で、8ビートのリズムやフルートのオブリガートも奏功して若干ソウル色も感じられるアレンジ&仕上がりになってます。女性ヴォーカルのカヴァーが多い曲ですが、このシャイ・ライツのカヴァーは存在感がありますね。個人的にレコメンドです。

実はこの曲、去る2023年3月13日(月)23時〜 NHK FM『 松尾潔のメロウな夜 』"2週連続のバート・バカラック追悼特集「メロウなバカラック」後編" の放送を聴いて初めて知りました。配信は無かったので Discogs で本アルバムをポチッとしてゲットした次第。

ここからはオマケ。所有しているMP3音源から「 MAKING LOVE(メイキング・ラヴ)」のオリジナル版と男性カヴァーをご紹介します。

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前述した通り、「 MAKING LOVE(メイキング・ラヴ)」(3:43) のオリジナルはロバータ・フラック。米映画『 Making Love 』の主題歌で、1982年2月8日にシングルA面でリリース、全米13位を記録しました。また、
1982年5月1日リリースのアルバム『 I'm The One 』にも収録されております。Bruce Roberts, Burt Bacharach, Carole Bayer Sager の3名による共作で、プロデュースは Burt Bacharach, Carole Bayer Sager のおふたり。バックも豪華です。ドラムスは Jim Keltner、ギターは Lee Ritenour、ピアノは Richard Tee 等々。バカラックもシンセを弾いてます。美しいメロディとコード進行が印象に残る曲ですが、4拍子の途中に2拍子をさりげなく挿入するなどバカラックらしさも感じられます。
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そして、シャイ・ライツの他に男性がカヴァーしたのがこちら。True Love Always という米国のポップバンドが、2001年のアルバム『 Spring Collection 』で「 MAKING LOVE(メイキング・ラヴ)」(5:13) をカヴァーしています。なお、アルバムジャケットはCDとLPで異なっており、画像左がCD、画像右がLPのものです。True Love lways は、ネオアコ・ブームの波に乗って高い評価を得たバージニア州、シャーロッツビル出身のラブソングのみを歌うことをモットーに活動するインディロック/ギターポップバンド。演奏はギター、ベース、ドラムスのみとシンプルで瑞々しい。徐々に盛り上がっていく2分半にも及ぶアウトロが素晴らしく、これもレコメンドにしちゃいましょう。


【データ】
『 Bottom's Up 』
The Chi-Lites

LP:1983年リリース
レーベル:LARC Records (US)
番号:LR-8103

Produced by Eugene Record
Arranged by Eugene Record & Sonny Sanders
Recorded at Universal Recording Studios, Chicago
The Chi-Lites are:
  Robert Lester - Background Vocals
  Marshall Thompson - Background Vocals
  Eugene Record - Lead Vocals
Musicians:
  Kevin Bibbs - Electric Bass
  Clifford "Skip" Conley - Electric Guitar
  Dennis Howell - Drums
  Pat Leonard - Synthesizer

  Reggie Perkins - Synthesizer
  Eugene Record - Synthesizer Bass, Electric Bass, Keyboards & Percussion
  Theodis Rodgers - Synthesizer
  Ron Scott - Acoustic Piano & Synthesizer
  Walter Scott - Electric Guitar
  Marshall Thompson - Percussion
  Ken Carney - Flute & Percussion
  Barbara Acklin - Additional Background Vocals

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年4月23日 (日)

To Love Or Not To Love/Arthur Prysock (1968年)

米男性ジャズ/R&Bシンガー、アーサー・プライソックが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

A3. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS (2:44)


米男性ジャズ/R&Bシンガー、アーサー・プライソックが1968年にリリースしたアルバムです。

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↑ アーサー・プライソックは1924年サウスカロライナ州生まれ(ジャケット写真の女性じゃないですよ!)。第二次大戦中の1944年から1952年までバディ・ジョンソン楽団のヴォーカルとして活躍した後、ソロとして1980年代まで長く活動しました(1997年没)。深くて優しい彼の声質はまさにクルーナーの見本かと。本アルバムでも半分以上はしっとり&甘ったるいバラード曲を歌っています。

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バカラック・カヴァーはA3.「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」。ブライアン・フォーリーが1967年にリリースしたシングル曲がオリジナル。超レア、かつヘンテコな曲です(詳しくはブライアン・フォーリーの拙記事をご覧ください)。テンポはオリジナル(♩≒122)より少し速め(♩≒132)で軽快な一方、キーはオリジナル(Em)より3度低いCm。彼の声質・音域に合わせた感じでしょうか。イントロでのストリングスに重なる女性スキャット、Bメロやサビでの女性コーラス、キレのあるブラスのオカズなど、センス良いアレンジ/演奏をバックにアーサー・プライソックは歌いにくいヘンテコなこの曲を余裕をもって歌っています。好カヴァーだと思います。

実はこれも前々回前回と同様、2023年3月24日(金)19時〜 YouTubeで配信された 爆クラ in DOMMUNE で紹介された曲。ホント小西さんのDJタイムはもっと聴いてたかったなぁ。

ここからはオマケ。MP3で所有しているバカラック・カヴァーをご紹介!
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アーサー・プライソックは1987年にMilestoneよりリリースしたアルバム『 This Guy's In Love With You 』で「 This Guy's In Love With You 」(3:57) をカヴァー。ピアノトリオ+ギター+テナーサックス(+シンセストリングス)のシンプルな演奏をバックに、米女性ジャズ・シンガーのBetty Joplinとデュエットしています。アーサー・プライソックは年季が入ってしゃがれ声になってますね。個人的にはレコメンドじゃないけれど、この曲は1988年グラミー賞 最優秀ジャズ・ヴォーカル・パフォーマンス賞男性部門(Grammy Award for Best Jazz Vocal Performance, Male)にノミネートされました。 


【データ】
『 To Love Or Not To Love 』
Arthur Prysock

LP:1968年リリース
レーベル:Verve (US)
番号:V6-5048

Produced by Hy Weiss, Pete Spargo
Arranged and Conducted by Torrie Zito(A1,A3〜A5), Don Sebesky(A6,B1,B2,B5), Frank Hunter(A2,B4), Mort Garson(B3)


※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年4月16日 (日)

The Moment Of Truth / Everybody's Talkin' About Salena Jones/Salena Jones (1969年/1970年)

サリナ・ジョーンズが1969年および1970年にリリースしたアルバムです。それぞれバカラック・カヴァーを1曲ずつ収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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『 The Moment Of Truth 』Original LP front cover/back cover

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

4. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU (2:57)

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『 Everybody's Talkin' About Salena Jones 』Original LP front cover/back cover

全12トラック中、バカラック作品は1トラック

11. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (3:17)

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所有リイシューCD(2 in 1)のジャケット表/ケース裏


米国の女性ジャズ・シンガー、サリナ・ジョーンズが1969年および1970年にリリースしたアルバムです。

彼女は1938年1月29日のヴァージニア州ニューポート・ニューズの生まれ。15歳までにはクラブで歌い始めます。16歳で家族とともにニューヨークに移り、アポロ劇場のコンテストで1位になってプロに。当時はジョーン・ショウ(Joan Shaw)という名前で歌っており、さまざまなレーベルからシングルを、Epic(1961年)とSue(1964年)から各1枚ずつアルバムをリリース。ちょうどソウルが流行りだした頃のアメリカでスタンダード歌いの若い黒人歌手はなかなか難しかったようです。サリナ・ジョーンズ(Salena Jones)と改名し、1966年からは英国を拠点に活動することに。CBS(UK)で3枚、RCA(UK)で2枚、DJM(UK)で1枚のアルバムをリリースした後、1978年に日本を初訪問して以降はビクター(JVC)と契約して多数のアルバムをリリース。1981年の『 MY LOVE 』は優秀録音盤として話題となり、当時私も聴きました。のちにリイシューCDも購入。久々に再生しましたが「 マイ・ラブ 」「 レイトリー 」などやっぱいいですねー。


今回ご紹介するアルバムは、CBS(UK)からリリースされたサリナ・ジョーンズとしての1stアルバムと2ndアルバム。BBCを中心にテレビ番組のテーマミュージックやライブラリー作品を数多く手がけた英国の作編曲家 Keith Mansfield(キース・マンスフィールド)がプロデュースしています(この方、2009年にサリナと結婚しちゃいます)。ビッグバンド+ストリングスの賑やかな演奏をバックにサリナもノって歌ってます。

1969年の『 The Moment Of Truth 』で取り上げてるバカラック・カヴァーはT-4.「 ディス・ガール 」。スウィングのリズムに分厚いブラスが印象的で、サリナの歌唱よりもバックの演奏の方に耳がいってしまいます。ドスが効いたサリナの歌唱も味があっていいんですけどもう少し軽やかに歌ってくれた方がいいかなぁと。ちなみにこの曲、ソニー・レコード(昔のColumbia)のカタログの中から選曲した英国編集のバカラック物コンピ集『 Easy Listening BACHARACH 』(1996年)にコンパイルされてます。

本アルバムの中では他にT-3.「 FOR ME 」が個人的にはレコメンド。疾走感あふれるAメロとスキップしてるようなサビの対比がグッときます。世間一般ではLPではB面トップのT-7.「 RIGHT NOW 」がソウルフルで評判高いみたいですが。

1970年の『 Everybody's Talkin' About Salena Jones 』に入ってるバカラック・カヴァーはT-11.「 恋よさようなら 」。ユニークなアレンジがレコメンドです。ウォーキングベースのソロから始まる♩≒140の軽快なラテン調スウィングのビッグバンド・サウンド。しかも2コーラス目のAメロは♩≒152にテンポアップして4つ刻みだったウォーキングベースも8つ刻みに。サウンドに切れがあって盛り上がります。こんな速いテンポでもサリナの歌声は相変わらず腰が据わっていてパワフルでございます。このバージョン、2023年3月24日(金)19時〜 YouTubeで配信された 爆クラ in DOMMUNE <第104夜> Presents バート・バカラック追悼記念番組「 世界は愛を求めている 」のDJタイムで小西さんが回してたレコードのうちのひとつ。それまで私はこのバージョン知りませんでした。まだまだ修行が足らんです😅。

本アルバムはT-1.「 AM I THE SAME GIRL 」、T-5.「 SPINNING WHEEL 」、T-8.「 MY CHERIE AMOUR 」などポップス系のカヴァーが多く、曲によっては男女バックコーラスもフィーチャーされてます。ソウル/ポップ寄りと言えます。


さて、ここからはオマケ。MP3で所有しているサリナ・ジョーンズのバカラック・カヴァー4曲をご紹介。
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サリナは1998年にミントジャム/日本クラウンから『 Making Love 』をリリース。ハリウッド映画の主題歌をイギリスのミュージシャンとロンドンのアビー・ロード・スタジオ/ペントハウスで録音したアルバムです。その中で「 MAKING LOVE(メイキング・ラヴ)」(3:09)をカヴァー。バックはピアノトリオ+フルート+ギターというアコースティックでシンプルなもの。オリジナルのロバータ・フラック版よりキーが4度低いこともあってか、より落ち着いた雰囲気。サリナもしっとり丁寧に歌っています。
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サリナは2008年にビクター(JVC)から『 Love & Inspiration 』をリリース。万感の思いで“あまねく愛”を伝えるアルバムなんだそう。そのアルバムで「 THIS GIRL'S IN LOVE(ディス・ガール)」(2:55)、「 THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR(愛のハーモニー)」(4:13)、「 ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME(愛の想い出)」(3:52)の3曲をカヴァーしています。バックはビッグバンド編成+ヴィブラフォンやギターなど。サリナは70歳くらいのはずですが若い頃と何ら変わらない歌声。決して悪くはないんですが、バックの演奏(アレンジ)がなぁんかステレオタイプで…全体としてあまり印象に残らないんですよね。お勧めしないでおきます。


【データ】
①『 The Moment Of Truth 』/ ②『 Everybody's Talkin' About Salena Jones 』
Salena Jones

LP:① 1969年リリース / ② 1970年リリース (所有CDは、2006年12月9日リリース)
レーベル:CBS (UK) (所有CDは、VOCALION (UK))
番号:① 63613 / ② 63901  (所有CDは、CDSML 8422)

Produced by Keith Mansfield

Arranged by Keith Mansfield, Eddie Harvey (①)
Arranged by Keith Mansfield, David Gold (②)
With The Keith Mansfield Orchestra (①)
Remastered by Michael J Dutton

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(リイシューCD


2023年4月 2日 (日)

WHAT'S NEW PUSSYCAT?/The Bill Brown Singers (1967年)

ビル・ブラウン・シンガーズによる「 WHAT'S NEW PUSSYCAT? 」のカヴァー。小西康陽さん監修によるリイシュー7"シングルです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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所有リイシュー7"シングルのジャケット表/裏

A. THEME FROM 'CARNIVAL'  〜 Harry Getts With The Bill Brown Singers 〜  (2:14)
AA. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  〜 The Bill Brown Singers 〜  (1:51)


ビル・ブラウン・シンガーズによる「 WHAT'S NEW PUSSYCAT? 」のカヴァーです。レディメイド 未来の音楽シリーズ 7インチ編 第二シーズン※ – 11 として、2022年に他1曲とのカップリングで7"シングルリイシューされました。

※ 小西康陽さんのオールタイムDJクラシックを、本人の選曲・監修によるベスト・カップリング選曲で7インチカットして大好評だった【レディメイド 未来の音楽シリーズ 7インチ編】のセカンドシーズン。2022年4月より毎月1タイトルずつ発売(各500枚限定プレス)。


元々は、米国メインストリーム・レコードが1967年にリリースした『 Award Winning Original Motion Picture Sound Tracks And Themes 』(Mainstream Records – 56076)というタイトルの映画音楽集に収められていたもの。ジョニー・マンデル、モーリス・ジャール、ジェリー・ゴールドスミスのオーケストラ、と書いてありますが、実際の編曲者は不明です。このアルバム全11曲のうち8曲を歌っていたのがビル・ブラウン・シンガーズで、この「 WHAT'S NEW PUSSYCAT?(何かいいことないか子猫チャン)」はその1曲。ビル・ブラウン・シンガーズの素性はよくわからないのですが、元気の良い男女コーラスです。
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『 Award Winning Original Motion Picture Sound Tracks And Themes 』- Original LP front cover/back cover

監修の小西さんはシングルの解説でこうおっしゃてます。 ─ この「 何かいいことないか子猫チャン 」は埋もれていた宝石。 ─
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シングルに挿入されていた解説(名刺大のペラ)

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シングルのレーベル面(表面/裏面)。表面に両面(A面/AA面)の曲名等が印刷され、裏面はなぜか銀座のお肉屋さんの包み紙?が印刷されてます。なんじゃこりゃ?

閑話休題。聴いてみて、確かにこれは派手で楽しくおしゃれな "宝石" でした。こんな素晴らしいカヴァーを知ってるなんて!  さすがは小西さんです。実はこの曲、去る2023年3月24日(金)19時〜 YouTubeで配信された 爆クラ in DOMMUNE <第104夜> Presents バート・バカラック追悼記念番組「 世界は愛を求めている 」のDJタイムで小西さんが回してたレコードのうちのひとつ。私はそれでこのバージョンを知りまして、早速ゲットした次第。
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口で説明するのは難しいのですが、賑やかなオカズがたくさん散りばめられていて2分もかからない尺なのに聴き終わってお腹いっぱいになります。でもまた食べたく(聴きたく)なる料理(カヴァー)なんです。印象的なのはヴィブラフォンや男性コーラスが何度も展開する "2小節かけて駆け上がって駆け降りる" オブリガート。コレは中毒性があってクセになりますね〜、文句なしにレコメンドです。


【データ】
「 THEME FROM 'CARNIVAL' 」/「 WHAT'S NEW PUSSYCAT? 」
Harry Betts with The Bill Brown Singers / The Bill Brown Singers

7"シングル:2022年8月26日リリース
レーベル:Oldays Records (JP)
番号:ODREP45044

小西康陽 選曲・監修 レディメイド 未来の音楽シリーズ 7インチ編 第二シーズン – 11
design:SUGANO kazushige
remastered by NAGANO beat


--「 WHAT'S NEW PUSSYCAT? 」の Original --
『 Award Winning Original Motion Picture Sound Tracks And Themes 』
V.A.

LP:1967年リリース
レーベル:Mainstream Records (US)
番号:56076

Vocal Chorus:The Bill Brown Singers
Orchestras:Johnny Mandel, Maurice Jarre, Jerry Goldsmith

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/14)
Amazonリンク(7"シングル


2023年3月26日 (日)

Jungle/Astrud Gilberto (2002年)

アストラッド・ジルベルトが2002年にリリースしたスタジオ録音アルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original CD ジャケット表/ケース裏
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所有日本盤CD ジャケット表/ケース裏


全12トラック中、バカラック作品は1トラック

12. THE LOOK OF LOVE (5:14)


アストラッド・ジルベルトが2002年にリリースしたスタジオ録音アルバムです。

アストラッド・ジルベルトはジョアン・ジルベルトの最初の妻であり、ジョアンと、そしてアントニオ・カルロス・ジョビンが北米でスタン・ゲッツと共にアルバムを録音する際に同行、そのアルバムの中で英語でボサノヴァの曲を歌ったのがきっかけで北米にボサノヴァ・ブームを巻き起こした張本人。そのアルバムとは1964年にリリースされたかの有名な『 GETZ / GILBERTO 』で、歌った曲はもちろん「 イパネマの娘 」。私だってリイシューCD持ってる位ですから。なんちゅーか、大人の嗜み的な感じで。

アストラッドは1940年生まれ(ディオンヌと同い年じゃん)なので、2002年リリース当時62歳。歌声は『 GETZ / GILBERTO 』の頃と変わりません。元々がヘタウマ的なウィスパー・ヴォイスなのであまり劣化を感じないのかも。同い年のディオンヌが2000年リリースの『 DIONNE SINGS DIONNE Ⅱ 』でかなり劣化してたのとは対照的ですが、まぁ2人を比較してもしょーがないですね。

本作に収録されている全12曲中、10曲はアストラッドの手による作品。自分で曲も作るんですね。ボサノヴァ系の曲、ポップな曲、ジャジーな曲などバリエーションに富んでます。演奏してるミュージシャンも多彩。ブックレットの中開きに Jungle Scrapbook と称して写真が載ってます。なお、日本盤のジャケットに使われてるイラストはアストラッド自身によるものだとか。

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残り2曲はカヴァーで、そのうちT-12.「 恋のおもかげ 」がバカラック・カヴァー。
軽快な♩≒116のテンポ、ライトサンバ?の賑やかなリズム、クール且つファンキーでノリノリの演奏に心躍ります。この曲のカヴァーではあまり類をみないアレンジかと(セルジオ・メンデスの2008年版「 THE LOOK OF LOVE 」には近いものを感じます → こちらのオマケ参照)。アストラッドの歌声は熱くならずにこの曲でも冷静です^^;。なかなかにレコメンドだと思いますね〜。個人的にはブイブイ吹いてるトロンボーンがツボです。

他にアストラッドのバカラック・カヴァーは、「 DON'T GO BREAKING MY HEART 」(1966年のシングル) 、「 TRAINS AND BOATS AND PLANES(汽車と船と飛行機と)」(1969年のアルバム『 I Haven't Got Anything Better To Do 』) 、「 WANTING THINGS 」「 WHERE THERE'S A HEARTACHE 」(2曲とも1971年のアルバム『 Gilberto With Turrentine 』)があります。拙ブログでは各々リンクを貼ったバカラック物コンピ集で紹介しています。お暇で興味がございましたら覗いてみてください。



【データ】
『 Jungle 』
Astrud Gilberto




CD:2002年リリース (所有CDは、2003年11月26日リリースの日本盤、解説:麻生雅人氏)
レーベル:Magya Productions (US) (所有CDは、コロムビアミュージックエンタテインメント)
番号:MP2398-2 (所有CDは、COCB-53131)

Produced by Astrud Gilberto & Mark Lambert
All arrangements by Astrud Gilberto, assisted as follows:
By Kimson Plaut:T-1,2,3,5,6,8,12.
By Mark Lambert:T-4,7,10.
By Mark Lambert and Paul Ricci:T-9.
By Cliff Korman:T-11.
Musicians:
Piano & Accordion:Kimson Plaut
Bass:Gregory Jones
Drums:Magrus
Electric & Acoustic Guitars & Guitar Synthesizer:Mark Lambert
Percussion:Valtino
Trombone & Whistling:Luis Bonilla
Alto & Soprano Sax:Carol Chaikin
Keyboard Synthesizers:Cliff Korman
Harmonica:Hendrik Meurkens
Vocals:
Lead vocals:Astrud Gilberto
Additional lead vocals:Valtinho (T-1), Mark Lambert (T-9), Magrus (T-8), John Margolis (T-4)
Background vocals:Nancy Falkow, Mark Lambert, Valtinho, Dave Thorton, Astrud Gilberto
Sound-effects:Astrud Gilberto, Bogdan Hernick, Mark Lambert
Recorded and mixed at Indre Recording Studios, Philadelphia, PA
©️2002 Magya Productions Inc. - All Rights Reserved

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/14)
Amazonリンク(CD

2023年3月 5日 (日)

The Burt Bacharach Hal David Treasury/Terry Baxter His Orchestra and Chorus (1971年)

バカラックのカヴァーだけで全40曲! 本作はバカラック作品のみをアナログLP4枚にまとめたイージーリスニングのアルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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ボックスの外側ケース/ボックスの内側ケース

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ボックスの中身全景/ボックス収納状態

LP4枚組:全40トラック、オール・バカラック作品

<RECORD 1>
A1. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)  FM
A2. LONELINESS REMEMBERS (WHAT HAPPINESS FORGETS)  FM
A3. EVERYBODY'S OUT OF TOWN
A4. WISHIN' AND HOPIN’
A5. BOND STREET
B1. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  FM
B2. WINDOW WISHING
B3. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B4. WHO IS GONNA LOVE ME
B5. ALL KINDS OF PEOPLE  FM

<RECORD 2>
A1. DON'T MAKE ME OVER  FM
A2. TRAINS AND BOATS AND PLANES  FM
A3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A4. DON'T GO BREAKING MY HEART  F
A5. I'M A BETTER MAN (FOR HAVING LOVED YOU)
B1. THE GREEN GRASS STARTS TO GROW  FM
B2. THE LOOK OF LOVE  FM
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  F
B5. BLUE ON BLUE

<RECORD 3>
A1. PROMISES, PROMISES  FM
A2. I SAY A LITTLE PRAYER  FM
A3. ONE LESS BELL TO ANSWER
A4. WALK LITTLE DOLLY  F
A5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
B2. NIKKI  M
B3. ODDS AND ENDS  FM
B4. TRY TO SEE IT MY WAY  FM
B5. IN BETWEEN THE HEARTACHES

<RECORD 4>
A1. THE WINDOWS OF THE WORLD  FM
A2. HERE WHERE THERE IS LOVE
A3. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU  FM
A4. WALK ON BY
A5. MAKE IT EASY ON YOURSELF
B1. ALFIE
B2. WIVES AND LOVERS  FM
B3. GO WITH LOVE
B4. THEY DON'T GIVE MEDALS (TO YESTERDAY'S HEROES)
B5. LET ME BE LONELY  FM

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記
 
収録時間(RECORD 1/2/3/4) 約25分/約29分/約28分/約27分


世間では3月3日にリリースされたばかりのアルバム『 THE SONGS OF BACHARACH & COSTELLO 』の話題で持ちきりなのに、“ なんや、紹介せぇへんのか? ” という声が聞こえてきそうです。…と言われましてもまだ手元に届いてないし…。いずれ、必ず、取り上げます。 その後、丸2年経った2025年3月2日にやっとこさ取り上げましたぁ。→こちら

さて、本題!

─ バカラックのカヴァーだけで全40曲! 60年代後半から70年代にかけて、Columbiaの通販部門に向けてポップスのカヴァーを量産し続けたテリー・バクスターというクリエイターに、最近俄然注目しています。アレンジの機転が利くというか、素晴らしいセンスの作品がとても多いのです。本作はバカラック作品のみをアナログLP4枚にまとめたもの。これこそ、歴史からは見落とされた大傑作です。試聴を聴いていただければ一発でわかります。全40曲。駄カヴァー無しですし、この規模での復刻はまず不可能! ─ (Hi-Fiレコード・ストアさんのサイトより、本アルバムの推薦評)

Hi-Fiレコード・ストアさんの本アルバム推薦評をパクりました。本アルバムをコンパクトに紹介するにはこのコピーがバッチシやと思ったものですから…。勝手にパクってすみません。だって、テリー・バクスターがどんな人なのか、ネットで検索してもサッパリわからないんですぅ…(言い訳)。

なお、本アルバムで世に広く出回っているのはこちら ↓ です。これならネットで見たことある…という方いらっしゃるのではないでしょうか。異なるのは外側ケースのみで中身は一緒のようです。
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本アルバムの全体的な印象は、単なるコピーではなく一工夫・二工夫あるアレンジ、軽快なテンポ、管楽器(特に金管楽器)の活躍が目立つメリハリの効いた演奏、爽やかな男女コーラス、レアな曲も多く取り上げている、といったところでしょうか。貧弱なイージーリスニング音楽につきものなチープ感は感じられず、一定以上のクォリティを備えています。ただ、アレンジャーが6名クレジットされていて(誰がどの曲を編曲したかは不明)、アレンジャーによると思われるばらつきはありますね。

メイン・ボーカル入りの曲が半数。演奏も、ストリング入りのポップスオーケストラ編成から、ビッグバンド風の編成、管楽器入りの小編成バンドまで多様。録音時期やメンバーが様々なんだと思います。リリース年は不明なのですが、収録曲から類推するに1971年頃と思われます。

以下、レコメンドの曲をコメントしていきます。

<RECORD 1>
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A1.「 アー・ユー・ゼア 」はディオンヌ版ベースのアレンジ。テンポ速めで男女コーラスも美味。A2.「 ロンリネス・ハッピネス 」もディオンヌ版ベースのアレンジ。薄いトランペットの代わりにオルガンがフィーチャーされてるんですがこれが良いです。A3.「 アウト・オブ・タウン 」はB.J.トーマス版がベースのインスト。金管とフルートがメロディを吹いてとぼけた感じをうまく出しています。A4.「 ウィッシン・アンド・ホーピン 」はディオンヌ版ベースのインスト。楽器がどんどん増えて賑やかになります。あとベースが凄く動きます。B4.「 フー・イズ・ゴナ・ラヴ・ミー(誰が私を)
」はオリジナルのディオンヌ版には無いシンコペーションのリズムが独特です。

<RECORD 2>
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A2.「 汽車と船と飛行機と 」はフルートが活躍するドリーミーなアレンジ。男女コーラスも良き。A4.「 ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート(私を悲しませないで)」はオーボエからトランペットに展開する8小節のイントロが素晴らしい。オケと女性コーラスもロジャニコ版に劣っていません。B1.「 ほほえみのグリーン・グラス 」はオリジナルであるディオンヌ版の明るく軽快で牧歌的な印象をさらに膨らませたアレンジだなぁと。B2.「 恋の面影 」はAメロでの独特のリズムパターンがクセになりそう。

<RECORD 3>
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A2.「 小さな願い 」はビッグバンドをバックに男女コーラスが明るく歌います。
イントロ6小節は全く独自のメロディ。間奏部では控えめながらサックスのアドリブも。A4.「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」は超レア曲。ピアノトリオ、薄いトランペット、フルート、ヴィブラフォン、ギター、ストリングスをバックに美しい女性コーラスがハモる見事なアレンジ。録音もクリア。オリジナルのディオンヌ版より魅力的かも。B2.「 ニッキ 」は本アルバムでは唯一の男性ソロヴォーカル曲。オリジナルはバカラックですが、バカラック版は1966年、リメイクの1971年、共にインスト。歌ってるバージョンは1967年のエド・エイムスくらいじゃないかなぁ。レア曲の超レアなヴォーカル・カヴァーです。B3.「 オッズ・アンド・エンズ 」はオリジナルのディオンヌ版ベースのアレンジですが、ピアノがよりジャジーで、男女コーラスのヴォーカルも素晴らしい。B4.「 涙のアドヴァイス 」はリック・ネルソンとジョニー・ソマーズの男女デュオがオリジナルですが、それを男女コーラスでカヴァー。ジャジーなピアノやサックスも素敵です。

<RECORD 4>
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A2.「 ヒア・ホエア・ゼア・イズ・ラヴ(愛の街角)」はディオンヌ版がオリジナル。っつーか、私、この曲のカヴァー初めて聴きました。インストですけど十分レアです。A3.「 永遠の誓い(あなたはあなた)」は美しい男女コーラス、控えめだけど多彩なアレンジのオケ、共にいいですねぇ。B3.「 ゴー・ウィズ・ラヴ 」はディオンヌが歌い上げるオリジナルとは対照的に、フルートや薄いトランペットが淡々とメロディを奏でているのが新鮮。また、オルガンの和音やチェンバロの音色に郷愁を感じます。素敵なアレンジかと。


【データ】
『 The Burt Bacharach Hal David Treasury 』
Terry Baxter His Orchestra and Chorus

LP:1971年リリース(と思われる)
レーベル:A Columbia Musical Treasury (US)
番号:P4S 5578
(RECORD 1〜4:DS 780〜783)

Produced by Betsy Cohen and Ron Lockhart
Executive Producer:Betsy Cohen
Arrangers:Dean Christopher, Peter Dino, Johnny Gregory, Ron Lockhart, Ed Shanaphy, Jimmy Wisner
Manufactured by Columbia House

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2023年2月19日 (日)

SOMETIMES LATE AT NIGHT/Carole Bayer Sager (1981年) - 2回目

キャロル・ベイヤー・セイガーが1981年にリリースしたサード・アルバムです。今月(2023年2月)ボーナストラック入りで再リイシューされました。バカラックさん追悼を兼ねて本アルバムを再度取り上げます。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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今回リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全18トラック中、バカラック作品は12トラック(11曲)

1. Prologue
2. I WON'T BREAK
3. JUST FRIENDS
4. TELL HER
5. SOMEBODY'S BEEN LYING
6. ON THE WAY TO THE SKY
7. YOU AND ME (WE WANTED IT ALL)
8. SOMETIMES LATE AT NIGHT
9. WILD AGAIN
10. EASY TO LOVE AGAIN  (4:14)
11. STRONGER THAN BEFORE  (3:57)
12. YOU DON'T KNOW ME
13. Reprise
<Bounus Tracks>
"THE CAROLE BAYER SAGER RADIO SPECIAL With Burt Bacharach"
14. Conversation with Carole and Burt  (3:37)
15. STRONGER THAN BEFORE (single version)  (3:36)
16. Conversation with Carole and Burt  (3:44)
17. EASY TO LOVE AGAIN (single version)  (3:49)
18. Conversation with Carole and Burt  (9:11)

収録時間約67分(うちボーナストラック約24分)


この2月8日にお亡くなりになったバート・バカラック(1928年5月12日生 − 2023年2月8日没、享年94歳)。報道では、ご自宅で自然死だったとのこと。2008年来日時のTVインタビューで「どこまで現役を続けるのか」という膳場アナの問いに「気分がいい限りどこまでも」と答えておられましたが、バカラックさんは本当にそういう人生を送られたんだなぁと…。感慨深いものがありますね。

そんな折、キャロル・ベイヤー・セイガーが1981年にリリースしたサード・アルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT 』がボーナストラック入りで再リイシューされました。アルバム本編&キャロル・ベイヤー・セイガーについては過去記事にしておりますので、今回はボーナストラックについて触れることとします。

ボーナストラックに収められているのは、プロモーション用LP『 THE CAROLE BAYER SAGER RADIO SPECIAL With Burt Bacharach 』より、「 Conversation With Carole And Burt/Stronger Than Before 」(→ T-14,16.)と「 Conversation With Carole And Burt/Easy To Love Again 」(→ T-18.)。それに、シングルバージョンのT-15.「 STRONGER THAN BEFORE(愛は果てしなく)」とT-17.「 EASY TO LOVE AGAIN(甘い誘惑)」の計5トラック。

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『 THE CAROLE BAYER SAGER RADIO SPECIAL With Burt Bacharach 』の内容は、Discogsによれば全編ダイアログおよびインタビュー。
A1. Conversation With Carole And Burt/Stronger Than Before  (7:35)
A2. Conversation With Carole And Burt/Easy To Love Again  (9:10)
B1. Conversation With Carole And Burt/I Won't Break  (8:45)
B2. Conversation With Carole And Burt/Sometimes Late At Night  (8:10)
B3. Carole Discusses Bacharach Arrangements  (1:00)
B4. Carole Discusses Her Songwriting  (1:35)
B5. Carole Discusses Neil Bogart And Bacharach's Confidence In Her Singing  (1:25)
このうち、シングルバージョンの2曲について語っている部分をボーナストラックとして収めたワケですね。もちろん英語なので、何言ってるか珍紛漢紛です^^;。なお、B5.の Neil Bogart は Boardwalkレーベルを立ち上げたお方です。

アルバム本編は、LP時代同様A面(CDのT-1〜7.)とB面(CDのT-8〜13.)それぞれ各曲をクロスフェードでつないでいます。シングル化するにあたり、T-15.「 愛は果てしなく 」はクロスフェードを取り除いた上にイントロを短くし、リミックスでイントロだけ派手めにお化粧しています。T-17.「 甘い誘惑 」もシングル化の手法は同様で、加えてアウトロも短くしています。

既に本アルバムをお持ちであれば、あえてこのCDに手を出さなくてもよいのでは…と思いました。もちろん、セイガーやバカラックの語りは貴重だと思いますので、それを聴きたいのであればその限りではありません。それに、24ページに及ぶブックレットの解説も充実しています。是非どなたか和訳して内容を教えていただけるとありがたいです。

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今回リイシューCDのジャケット裏/CDトレイの下

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今回リイシューCDのジャケット(24ページのブックレット)の12-13ページ


【データ】
『 SOMETIMES LATE AT NIGHT 』(邦題:真夜中のくちづけ)
Carole Bayer Sager

LP:1981年4月リリース (今回リイシューCD:2023年2月3日リイシューのUS盤、解説:Joe Marchese September, 2022)
レーベル:Boardwalk (今回リイシューCD:Boardwalk/Iconoclassic Records)
番号:FW 37069 (今回リイシューCD:ICON 1056)

Produced by Burt Bacharach and Brooks Arthur
T-3. Produced by Michael Jackson and Burt Bacharach
T-6. Track Produced by Neil Diamond and Dennis St. John

<Bounus Tracks>
T-15.「 STRONGER THAN BEFORE 」(single version)
7'':1981年4月リリース、c/w「 SOMEBODY'S BEEN LYING 」
レーベル:Boardwalk
番号:WS8 02054


T-17.「 EASY TO LOVE AGAIN 」(single version)
7'':1981年8月リリース、c/w「 WILD AGAIN 」
レーベル:Boardwalk
番号:NB7-11-118


T-14,16,18. from『 THE CAROLE BAYER SAGER RADIO SPECIAL With Burt Bacharach 』
LP:1981年 … PROMOTIONAL COPY NOT FOR SALE
レーベル:Boardwalk
番号:NBS-002

Produced by Fred Robbins

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2023年2月10日 (金)

バカラックさん、安らかにお眠りください

突然の訃報に接し、放心状態です

たくさんの名曲をありがとう

バカラックさん、安らかにお眠りください

The New York Times の追悼記事
2023/2/25リンク先変更:当初は無料で閲覧できましたが今は有料記事に…。ちたりた(chitarrita)さんがご自身のブログに全文載せておられるとのことで、リンク先をちたりたさんのブログに変更しました。

2023/2/24追記:ちたりた(chitarrita)さんからこの追悼記事を翻訳された方のブログを教えていただきました。
[Talking New York --- New Yorkで見つけた英語]
特別編:追悼、バート・バカラック。ニューヨークタイムズが尊敬の気持ちをこめて書いた記事を読む。

ちたりた(chitarrita)さん、紹介&リンクさせていただき大変ありがとうございました!

2023年1月29日 (日)

colors best of yt cover tracks vol.1/高橋幸宏 (1999年)

過去のアルバムに収めたカヴァー曲をレコード会社の枠を超えて集約したベストアルバム。2枚に分かれており、これは1集目。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

8. WALK ON BY (2:54)


過去のアルバムに収めたカヴァー曲をレコード会社の枠を超えて集約したベストアルバム。1983~1999年の間にレコーディングされたカヴァー曲の中からのセレクションで、2枚に分かれており、これは1集目。

先日(2023/1/15)の訃報に触れ、高橋幸宏さんのアルバム『 薔薇色の明日 』『 colors best of yt cover tracks vol.2 』を聴いたり拙ブログの過去記事を読み直しました。その際、本アルバムを入手しそびれてそのままだったことに気づきまして…。哀悼の意を込めてポチッっとした次第です。
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ニール・ヤング、ビートルズ、トッド・ラングレン、加山雄三などのカヴァーがあるなか、バカラック・カヴァーが1曲入ってます。(ちなみに、2集目のvol.2にはバカラック・カヴァーが3曲収録されてます)

それが T-8.「 ウォーク・オン・バイ 」で、本アルバムのための新録音。アレンジや構成はオリジナルのディオンヌ・ワーウィック版に沿ったもので、♩≒99のテンポやキーも同じ。全体的にざらっとした触感も含めてオリジナルをトリビュートしてるんだなぁと思います。とはいえコピーしてるわけではなくて、凝ったパーカッションの刻みには高橋幸宏さんらしい味を感じます。2コーラス目を歌っている和田純子さん(夫婦音楽ユニット“BE THE VOICE”の女性ヴォーカル)の歌声もちょっぴりハスキーで、幸宏さんの歌声ともよく合ってます。

幸宏さんは本アルバムのライナーで各曲の解説をしとられます。T-8.「 ウォーク・オン・バイ 」の解説をこっそり載せますね。 ─ 僕がカヴァーするときに思うことは、極力原曲を壊さないということ。  ─ ナルホド、そーゆーことね。納得しました。
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【データ】
『 colors  best of yt cover tracks vol.1 』
高橋幸宏

CD:1999年6月17日リリース
レーベル:アゲント・コンシピオ
番号:AGCA-10016

Produced by 高橋幸宏
All songs arranged and performed by 高橋幸宏
except T-10. arranged by THE BEATNIKS

T-1.「 THE LONER 」, T-8.「 WALK ON BY 」 recorded from March to April, 1999

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2023年1月 8日 (日)

bebe/bebe (2003年)

女性シンガーのbebeが2003年にリリースした通算3作目のアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全13トラック中、バカラック作品は2トラック

7. This girl -This Girl's is Love with You (3:55)
11. I feel free -Close to You (4:54)


女性シンガーのbebeが2003年にリリースした通算3作目のアルバムです。

─ ボーダレス&エイジレスな魅力を持つシンガー ユニバーサルジャズの名門レーベル[EMARCY]よりデビュー ─ (CDの帯より)
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帯のコピーではbebeさんがどんなシンガーなのかよくわからず、ネットで調べました。

─ チャーミングなヴォーカルが魅力の女性シンガー。高校で音楽科に進みクラシックを学ぶ。日大芸術学部声楽科に進学後ブラジル音楽に目覚め、野崎良太のプロジェクト“Jazztronik”にヴォーカリストとして参加。同氏のプロデュースでソロ・デビュー作『 Bossa Nossa 』(2000年6月)、セカンド作『 PERDITA 』(2002年1月)をリリースした。2003年4月、ジャズの名門エマーシーから『 bebe 』を発表、着物姿のジャケット写真も話題となった。“bebe”とはフランス語で“baby”の意。  ─ (CDJournal 公式サイトより)

…日本人なのは間違いないかな。bebeは本作の後、2004年にエマーシーから1枚、2005年にブーガルーから1枚アルバムをリリース。それらアルバムの紹介文では、“着物歌謡ジャズで独自の世界を打ち立てているbebe” とか “和服シンガーとして話題を呼んだbebe” と形容されています。音楽を聴く限り決して着物や和服のイメージは無いんですけどねぇ。ライヴでも和服で歌ったのか、それとも篠山紀信氏撮影のジャケット写真がインパクトあったからなのか…。

本作で、bebeはピアノトリオとストリングスをバックにスローあるいはミディアムテンポのバラードを歌っています。インストのT-1.を除いた12曲のうちオリジナル曲とカヴァー曲が半々ずつ。特徴的なのは全て日本語で歌ってる点。ショパンの英雄ポロネーズ(T-3.)に儚い恋心を桜に見立てた日本語詞を、洋楽カヴァー4曲(T-5,7,9,11.)にも全てbebeが訳詞をつけています。

んで、バカラック・カヴァーは2曲。T-7.「 This girl -This Girl's is Love with You 」はもちろん「 ディス・ガール 」のカヴァー。ピアノがエレピに代わりアコギも加わってほんわかした雰囲気を醸し出す演奏をバックにbebeがチャーミングに歌っています。日本語詞も英語詞をかなりチャーミングに意訳しています。

もう1曲はT-11.「 I feel free -Close to You 」。原曲「 (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU(遙かなる影)」の “あなたのそばにいたいの” という英語詞から離れて、日本語詞は “この唄を唄うたび私は自由を感じる” という意味に。訳詞とは言えないレベルで、実際曲名も変えています。ピアノトリオとストリングスをバックにふんわりとチャーミングに仕立てられています。

独特の日本語詞でのカヴァーは独自性がありますね。着物も含めて色物扱いされそうで、その点は微妙ですけれど。


【データ】
『 bebe 』
bebe

CD:2003年4月23日リリース
レーベル:Emarcy / ユニバーサル・ミュージック
番号:UCCJ-2024

Sound Producer:村山達哉
Co-producer:リチャード・モークス
Recording Coordinator:田井基良
Executive Producers:山中浩郎(aloh productions)、青野浩史、五野洋(Universal Jazz)
T-1. 作曲:村山達哉
T-2,4,6,8,10,13. 作詞:bebe、作曲:村山達哉
T-3.「 さくら さくら 」作詞:bebe、英雄ポロネーズ/作曲:Frederic Chopin
T-5.「 Love Letters 」訳詞:bebe、作詞:Edward Heyman、作曲:Victor Young
T-7.「 This girl -This Girl's in Love with You 」訳詞:bebe、作詞:Hal David、作曲:Burt Bacharach
T-9.「 カプチーノ -Moon River 」訳詞:bebe、作詞:Johnny Mercer、作曲:Henry Mancini
T-11.「 I feel free -Close to You 」訳詞:bebe、作詞:Hal David、作曲:Burt Bacharach
T-12.「 黄昏のビギン 」作詞:永六輔、作曲:中村八大
T-1〜13. 編曲:村山達哉
T-7.「 This girl -This Girl's in Love with You 」
  bebe (Vocal)
  島健 (rhodes)
  立花泰彦 (bass)
  芳垣安洋 (drums)
  鈴木俊介 (acoustic guitar)
  村山/桐山ストリングス (strings)
T-11.「 I feel free -Close to You 」
  bebe (Vocal)
  島健 (piano
)
  立花泰彦 (bass)
  岩瀬立飛 (drums)
  村山/桐山ストリングス (strings)
2002年12月 東京 スタジオSound Valleyにて録音
2003年  1月 東京 MITスタジオにて録音
2003年  1月 東京 MITスタジオにてミックス
Recording & Mixing Enginner:リチャード・モークス
Assistant Enginner:唐沢千文、林剛史
2003年  2月 東京 青山ビクター・スタジオにてマスタリング
Mastering Enginner:川崎洋(ビクターFLAIRマスタリング・ワークス)

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2023年1月 1日 (日)

ODDS & ENDS SCEPTER RECORDS RARITIES/Dionne Warwick(2018年)

ディオンヌ・ワーウィックの黄金期、セプター時代のレア音源を集めたコンピ集! バカラック作品を15曲(バージョン)収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全26トラック中、バカラック作品は15トラック

1. I SAY A LITTLE PRAYER (Alternate version) *
2. MONDAY, MONDAY

3. A HOUSE IS NOT A HOME (Italian version - Apro gli occhi per non vederti)
4. HE'S MOVING ON (Theme from The Love Machine)
5. AMANDA

6. WALK ON BY (German version - Geh' vorbei)

7. DON'T MAKE ME OVER (Alternate version) *

8. REACH OUT FOR ME (French version - Amour sublime) *
9. THE GOOD LIFE (Studio mix) *

10. LONELINESS REMEMBERS (WHAT HAPPINESS FORGETS)
(Alternate version)

11. WALK LITTLE DOLLY (Italian version - Ogni donna che amerai)
12. IF YOU LET ME MAKE LOVE TO YOU, THEN WHY CAN'T I TOUCH YOU?
13. LA VIE EN ROSE (English version - studio mix)

14. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART) (German version - Ich warte jeden Tag)

15. AS LONG AS THERE'S AN APPLE TREE (Extended version) *
16. OUR AGES OR OUR HEARTS

17. HOW MANY DAYS OF SANDNESS (French version - Combien de jours malheureux) *
18. I LOVE PARIS (Studio mix) *
19. SILENT VOICES (Stereo version)

20. THE WINDOWS OF THE WORLD (Italian version - La vita come va)
21. C'EST SI BON (Studio mix) *

22. ODDS AND ENDS (Alternate version) *

23. A HOUSE IS NOT A HOME (French version - Un toit ne suffit pas)

24. WALK ON BY (Italian version - Non mi pentiro)

25. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE (Alternate version) *
26. PROMOTIONAL COMMERCIAKS & PUBLIC SERVICE ANNOUNCEMENTS (Various radio spots)

* 印:previously unreleased

収録時間約79分


ディオンヌ・ワーウィックの黄金期、セプター時代のレア音源を集めたコンピ集です!


2018年にReal Gone Music/Rhinoからリリースされました。ラジオのコメント(T-26.)を除く25トラックのうち "previously unreleased" が10トラックもあります。そのうちバカラック作品は15トラック("previously unreleased" は7トラック)を占めているのですが、2013年に同じくReal Gone Music/Rhinoよりリリースされたワーナー時代の未発表曲集『 WE NEED TO GO BACK 』とは異なり、未発表のバカラック作品は含まれていません。収録されていたのは既発表曲のバージョン違い 〜 別バージョン(Alternate version)、拡張バージョン(Extended version)、或いは英語以外の言語(イタリア語🇮🇹、フランス語🇫🇷、ドイツ語🇩🇪)で歌ったバージョン 〜 の数々でございます。

以下、バカラック作品15トラックについて簡単に説明してまいります。

◯ 別バージョン:5トラック(T-1,7,10,22,25.)
T-1.「 小さな願い 」:アレンジの骨格こそオリジナルと変わらないものの、トランペットが吹く “ パッパパッパパッ ” というフレーズが “ パーパパーパパー ” とのっぺりした表現だったり、曲中のピアノやストリングスのメロディが所々違っていたり、アウトロでのディオンヌのフェイクが異なっていたり、アレンジ&プロデュースの面で明らかに別物です。Original version from Scepter single SCE-12203 (1967), album『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』(1967)
T-7.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」:イントロでストリングスのメロディがごく一部異なり歌い出し前にストリングスを1小節追加してる他はオリジナルと目立った違いは無さそう。Original version from Scepter single 1239 (1962), album『 PRESENTING DIONNE WARWICK 』(1962)
T-10.「 ロンリネス・ハッピネス 」:アウトロが明確にオリジナルと違います。オリジナルでは静かにロングトーンで終わるのにリズム伴奏のままフェードアウトするんです。逆にアウトロ以外は同じですかね。なお、1980年に英国リーダースダイジェストから出たコンピ集に収録されたことがあるため "previously unreleased" じゃないんだそう。Original version from Scepter single SCE-12276 (1970), album『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』(1970)
T-22.「 オッズ・アンド・エンズ 」:同じテイクのミックス違いと思われます。Original version from Scepter single SCE-12256 (1969)
T-25.「 サン・ホセへの道 」:バックトラックは同じみたいですがディオンヌのヴォーカルが違います。オリジナルと較べて軽やかさが不足してるのと微妙にテンポに乗り切れてないんですね。こうして聴くとやっぱりオリジナルの方がいいなと思います。Original version from Scepter single SCE-12226 (1968), album『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』(1970)

◯ 拡張バージョン:1トラック(T-15.)
T-15.「 アズ・ロング・アズ・ゼアズ・アン・アップル・ツリー(リンゴの木がある限り)」:オリジナル(2分5秒)と較べて尺が長い(2分49秒)ことが拡張バージョンと表記される理由です。曲の構造を簡単に表現すると、拡張バージョンが A-B-A-B-A(唄なし)-B-A-転調A…F.O. となってるのに対し、オリジナルは A-B-A-B-A(唄なし)-転調A…F.O. で赤字部分がカットされてるんですね。拡張バージョンのまま世に出して欲しかった…。Original version from Scepter album『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』(1970)

◯ イタリア語🇮🇹バージョン:4トラック(T-3,11,20,24.)
T-3.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」、T-24.「 ウォーク・オン・バイ 」:バックトラックはオリジナルと同じ。ヴォーカル(T-24.はバックコーラスも)がイタリア語。From Scepter single SC 713 (1967) Italy, Original version from Scepter album『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』(1964)
T-11.「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」、T-20.「 世界の窓と窓(世界の窓に光を)」:バックトラックはオリジナルと同じ。ヴォーカルがイタリア語ですが、T-11.はオリジナルにあるバックコーラスが省略されています。From Scepter single SC 715 (1967) Italy, Original version from Scepter album『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』(1967)
…これらイタリアでの2枚のシングルは、1967年にイタリアのサンレモ音楽祭にディオンヌが出演するにあたってリリースされたんだそう。

◯ フランス語🇫🇷バージョン:3トラック(T-8,17,23.)
T-8.「 リーチ・アウト 」:バックトラックはオリジナルと同じ。ヴォーカルとバックコーラスがフランス語。Original version from Scepter album『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』(1964)
T-17.「 悲しみの日々 」:バックトラックはオリジナルと同じ。ヴォーカルとバックコーラスがフランス語。Original version from Scepter album『 THE SENSITIVE SOUND OF DIONNE WARWICK 』(1965)
T-23.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」:バックトラックはオリジナルと同じ。From Vogue EPL. 8313 (1964) France, Original version from Scepter album『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』(1964)
…フランスでは1964年にT-23.のシングルをリリース。その後もT-8.やT-17.をフランス語でもレコーディングしてたようです。1966年初頭、ディオンヌはフランスのサッシャ・ディステルの共演者としてパリのオランピア劇場に5週間出演するのですが、その際「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」をフランス語で歌っています。そのライヴ盤『 Dionne Warwick in Paris 』(1966) に収録されているバージョンはスタジオ録音のT-23.に拍手をかぶせた疑いが濃厚ですが…。

◯ ドイツ語🇩🇪バージョン:2トラック(T-6,14.)
T-6.「 ウォーク・オン・バイ 」、T-14.「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」:バックトラックはオリジナルと同じ。ヴォーカルとバックコーラスがドイツ語。T-14.はオリジナルよりもバックコーラスが厚いです。From Vogue Schallplatten single DV 14298 (1964) Germany, Original version from Scepter album『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』(1964)

個人的なレコメンドはT-1.とT-15.ですね。他もレアなことはレアなんでしょうけど…。


【データ】
『 ODDS & ENDS SCEPTER RECORDS RARITIES OVER TWO-DOZEN LOST RECORDINGS SPANNING 1962-1971 
Dionne Warwick

CD:2018年リリース
レーベル:Real Gone Music / Rhino
番号:OPCD-9003

Original recordings produced by Burt Bacharach & Hal David
Compilation Producer:Jim Pierson
Executive Producer:Gordon Anderson
Associate Producer:Pail Howes
©️2018 Rhino Entertainment Campany, a Warner Music Company.
©️2018 Real Gone Music, L.L.C. Manufactured for Rhino Custom Products, a Division of Rhino Entertainment Company, All Rights Reserved.

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2022年11月20日 (日)

This is Juke Box はじめましてジューク・ボックスです/ジューク・ボックス (1970年)

1970年代の男性アイドルグループ、ジューク・ボックスが1970年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全9トラック中、バカラック作品は1トラック

A2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:59※)

※ MC部分を除いた楽曲のみの時間


1970年代の男性アイドルグループ、ジューク・ボックスが1970年にリリースしたファースト・アルバムです。

ジューク・ボックスは、ジャニーズ事務所に所属していた1970年代の男性アイドルグループ。1969年末結成、1974年消滅。“ ジューク・ボックス ” の名前は元々、1969年初頭頃からジャニーズJr.全体に対する別称として使われていましたが、同年末に選抜メンバーによって正式にグループ化されました。メンバーの脱退・加入が非常に激しく、メンバー構成は13期に及んだとか。結成当初は事務所先輩であるフォーリーブスのバックで踊ったりしたそうです。フォーリーブスはリアルタイムでTV観てましたが、ジュース・ボックスは今回アルバムを手に入れて初めて知りました。

ジューク・ボックスは、第5期メンバー(円谷弘之、小谷純、吉本暁弘、やなせかおる の4名)の時、1970年10月に両A面シングル「 さよならの祈り c/w 海に沈めて 」でレコードデビュー。そして、同じメンバーでジューク・ボックス初のアルバムを同年12月にリリース。それが本作でございます。

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収録されているのは、洋楽カヴァー4曲(A1,A2,A3,B4)、デビューシングルの2曲(B1,B2)、そのデビューシングルと同じ作家〜山上路夫作詞/鈴木邦彦作曲〜の2曲(A4,B5)、ビートルズ「 イエスタデイ 」の弦楽四重奏をバックに詩を朗読したもの(B3)という計9トラック。70年代のアイドルはライヴやアルバムで洋楽カヴァーを取り上げることが多かったそうですが、4曲も入ってるとは!

LPの帯に “ ジュークの歌とおしゃべりでつづる ” と書かれていた通り、曲間には自己紹介を兼ねてメンバーのMCが挿入されています。こんなこと書くとファンの方には怒られちゃいますが、中身はガキのしょーもない会話。でも、ビデオすら無い時代、声とジャケ写から色々妄想して楽しんでいたんだろうなぁと。アルバムジャケットの曲目表記では、MCが青字詩の朗読が赤字で書かれています。A2.のヒロのことは円谷弘之、A3.のカオルのことはやなせかおる、A4.のアッキとピピのことは吉本暁弘と小谷純と思われます。MCを聴いてると、誰かが「 ヒロはリーダーだからな 」と言ってるので円谷さんがリーダーだったんでしょう。
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それでは本題、バカラック・カヴァーはA2.「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら)」。歌ってるのは1人だけで、MCの流れからヒロ(円谷弘之)だろうと思うんですが、最初女性が歌ってるのかと思ったほど高くハリのある美声にびっくりしました。ボーイソプラノが声変わりしたけどまだ声質が女声っぽい、そんな感じの中性的な歌声です。しかも歌も上手い! 伴奏はほぼ原曲コピーで新味はありませんが、処々聴こえる金管&木管のちょっとしたオカズが印象的でした。

他の曲についても少し触れます。MCの流れから、A3.はカオル(やなせかおる)が、A4.はアッキ(吉本暁弘)とピピ(小谷純)が歌ってるようですが、いずれもシロウトががなって歌ってる感ありあり。…初期のマッチのような歌声です。まぁアイドルらしいですが…。それにしても、デビューシングルの2曲(B1,B2)が演歌・歌謡曲・GSの混ざったような残念な楽曲なんですょ。これじゃ売れんわぁ…となりました。


【データ】
『 This is Juke Box はじめましてジューク・ボックスです 』
ジューク・ボックス

LP:1970年12月25日リリース
レーベル:キャニオン・レコード
番号:CAL-3001 (¥1,800)

ジューク・ボックス … メンバーの紹介は一切なし。ジャケ写見ても誰が誰だかわかりません^^;
キャニオン・オーケストラ
編曲:川口 真(A1,A2,A3,A4,B3,B4,B5)、鈴木邦彦(B1,B2)
レコーディング・ディレクター:鈴木亮一
レコーディング・ミキサー:佐藤広行

制作協力:山上路夫、ジャニー喜多川、片桐和子、笠井幹男、週刊セブンティーン、小菅 広(週刊セブンティーン)、渡辺道雄(週刊セブンティーン)、池 利文、萩原自動車店 *
* 自動車店ってゆーのが時代を感じます。ジャケ写のBMWイセッタ関連でしょうね。

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2022年11月 6日 (日)

ライブの感想 Yammy* sings Burt Bacharach Nov. 5, 2022

3年ぶりの Yammy* sings Burt Bacharach!(以降 YsBB)

2022年11月5日(土) 18:00開場 19:00開演
Restaurant Bar & New York Sound Live ROYAL HORSE
Yammy*(Vo)、Sasapong(P)、堂地誠人(Soprano Sax)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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色々あったこの3年間。
“ お待たせしました。三年ぶりに YSBB がやっとロイヤルホースに帰ってきます。” …フライヤーにはこんな短いコピーが。本当は何行にもわたるさまざまな想いがあるのだろうけれど。お店エントランスの『 感染症対策認証飲食店/ワクチン・検査パッケージ制度登録店 』認定証、こんなもん3年前には無かったもんなぁ…。


<1st stage> 19:06〜19:54
1. ALFIE アルフィー … w/Sasapong 【T-1.】
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 遥かなる影 【T-2.】
3. ONE LESS BELL TO ANSWER 悲しみは鐘の音とともに 【T-3.】
4. THE LOOK OF LOVE 恋のおもかげ 【T-4.】
5. THE APRIL FOOLS エイプリル・フール
6. BELLS OF ST. AUGUSTINE ベルズ・オブ・セント・オーガスティン
7. A HOUSE IS NOT A HOME ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム … w/Sasapong 【T-10.】

<2nd stage> 20:23〜21:15
1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 恋よさようなら 【T-5.】
2. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO) ニューヨーク・シティ・セレナーデ
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU ディス・ガイ 【T-6.】
4. GOD GIVE ME STRENGTH ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 【T-7.】
5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 世界は愛を求めている(愛をもとめて) 【T-8.】
6. WALK ON BY ウォーク・オン・バイ 【T-9.】
7. WIVES AND LOVERS 素晴らしき恋人たち

<Encore> 21:17〜21:30
1. I SAY A LITTLE PRAYER 小さな願い
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD 雨にぬれても

YsBBはバート・バカラックが作曲した曲だけを歌うライヴ。年末にロイヤルホースで行うのが恒例となっていて、2010年のスタートから10周年となる2020年には同名タイトルのバカラック・カヴァー・アルバムをリリース。リリース前夜の10月31日にはリリース記念ライヴがYouTubeで配信されました。そしてその年の12月、ロイヤルホースでライヴ!…の予定がコロナ禍で中止に。残念ながら翌2021年の12月も…。前回ライヴ(2019/12/16)から約3年たった今年2022年、ようやくのYsBB@ロイヤルホースです!

セットリストはオール・バカラック・プログラム。アンコールも含めてというのは(私が聴いた限り)今回が初めてでは? アルバムに収録された全10曲ももちろん歌ってくださいました。セットリストの最後に添えた【T- .】はアルバムのトラック番号なんですが、演奏順はほぼトラック順。特にアルバム後半の5曲は個人的にレコメンドでして、それが今回のライヴで(T-10.を除き)曲順通り再現されたのは胸熱です。基本、アルバム収録曲はレコーディング時のアレンジでのパフォーマンスでした。
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前回ライヴに引き続き、この度もプロデューサーの廣瀬さんよりYammy*さん直筆のセットリストを頂きました。大変貴重なものをありがとうございました。

1st stageは、まず1-1.「 アルフィー 」をSasapongさんとのデュオで歌唱し、1-2.「 遙かなる影 」から堂地さん登場。MCでアルバムのことに触れ、アルバムのアレンジでお届けしているとのこと。1-3.「 悲しみは鐘の音とともに 」はYammy*さんの歌声とソプラノサックスの音色が同化して心地よかった! 1-4.「 恋のおもかげ 」、1-5.「 エイプリル・フール 」ときて、Sasapongさん愛用のクッピーラムネ柄タオルをご紹介。そして2020年にバカラックがダニエル・タシアンと共作したアルバムの中の1曲、1-6.「 ベルズ・オブ・セント・オーガスティン 」をカヴァー。素晴らしかったです。セント・オーガスティンがフロリダにあること、知りませんでした。郷ひろみさんもこの曲を昨年カヴァーされましたね。Sasapongさんとのデュオで1-7.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」をしっとり歌い1st stageは終了。

2nd stageは、軽快な2-1.「 恋よさようなら 」でスタート。客席も手拍子で盛り上げます。カーリーガールメソッドの話も面白かった。2-2.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」を歌った後、アルバムレコーディング前の発音レッスンで色々気づきがあり成長できた話を披露。2-3.「 ディス・ガイ 」はYammy*さんがバカラックを歌うきっかけとなった曲だとか。2-4.「 ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 」のYammy*さんの歌声には魂がこもってました。2-5.「 世界は愛を求めている 」でのSasapongさんの長いピアノ・イントロ、2-6.「 ウォーク・オン・バイ 」での堂地さんのアドリヴ、そして本編ラストとなる2-7.「 素晴らしき恋人たち 」ではまさしく三位一体となってのノリの良さ。勢いがつくと言うか、これぞライヴの醍醐味!

アンコール1曲目の「小さな願い」も特に堂地さんのアドリヴが熱い! アンコール2曲目「 雨にぬれても 」でクールダウン、ほっこりしてライヴはお開きとなりました。

“ YsBBは皆様に育てていただいた。年1回でもこの先ずっとYsBBのライヴを続けていきたい。” とおっしゃったYammy*さん。聴いてる我々もYammy*さんからパワーを貰ってることを改めて実感したライヴでした。

ちなみに、Yammy*さんは年末にかけて様々なライヴを予定しておいでです。興味ある方は是非Yammy*さん公式サイトの[LIVE]をご覧ください! 今回
ライヴでは『 Yammy*が唄うユーミンの歌の世界(2022/12/18)』のフライヤーが配られました。ユーミンのカヴァーもサブスクで少しずつ解禁しておられるそうです。
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2022年10月30日 (日)

Sings Tom Jones & Burt Bacharach/Kim Sang Hee (1971年)

韓国のジャズ〜ポップス・シンガー、キム・サン・ヒーが1971年3月に日本のキャニオン・レコードからリリースしたアルバム。バカラック・カヴァーを6曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全12トラック中、バカラック作品は6トラック


1. GREEN GREEN GLASS OF HOME
2. LITTLE GREEN APPLE
3. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
4. DELILAH
5. IT'S NOT UNUSUAL
6. LOVE ME TONIGHT
7. RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD
8. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
9. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
10. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
11. THE APRIL FOOLS
12. I SAY A LITTLE PRAYER

収録時間約36分


韓国のジャズ〜ポップス・シンガー、キム・サン・ヒーが1971年3月に日本のキャニオン・レコードからリリースしたアルバムです。

以前からその存在は知っていたのですが、CD化されておらず聴く機会がありませんでした。この度、オールアート・コレクション!⑨として世界初CD化され2022年10月26日にリリース。早速手にしたワケです。
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─ 韓国を代表するジャズ~ポップス・シンガーが、英国の人気歌手トム・ジョーンズ、米国の作曲家バート・バカラック関連の楽曲に臨んだコレクターズ・アイテムが遂に復活。伴奏陣のプレイも極めて充実! ─
 (CDの帯より)

彼女は1943年3月(生年は諸説あるようですが)ソウル生まれ。大学(法律学専攻)卒業後、1965年頃よりプロの歌手として活動を開始。1969年には、ソウル新聞から “グレート・シンガー賞”、中央日報から “最優秀女性シンガー賞” を得ており、冠TV番組やラジオ番組も評判を呼んだそう。↓ の画像はDiscogsの彼女のサムネイルから拾ったものです。
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1970年には、大阪万博の関連企画として東京で行われた “アリラン・フェスティバル” 出演のため(おそらく初めての)来日。1970年に設立したばかりのキャニオン・レコード(現ポニーキャニオン)が、数々の海外の超一流ジャズ・ミュージシャンを日本に招聘しコンサートを多数企画制作していた音楽事務所 “オールアート・プロモーション” と組んで彼女の売り出しにかかった、その成果の一つが本作。アナログA面(CDのT-1〜6.)はトム・ジョーンズの当たり曲を宮間智之とニューハードと、アナログB面(CDのT-7〜12.)はバカラック・カヴァーを佐藤允彦トリオと組んでレコーディングしたものです。

以下、バカラック・カヴァー6曲についてコメントします。キム・サン・ヒーは1970年当時27歳。それにしては大人で落ち着いた歌声。英語詞の発音もそれほど違和感なく、ごく自然な歌唱です。T-12.「 小さな願い 」のサビではパワフルな声を出してます。佐藤允彦トリオによる演奏は歌の伴奏としてはちょっと賑やかすぎかな…と思いますが、T-9.「 ディス・ガール 」の厳かなイントロ、T-10.「 サン・ホセへの道 」でのコロコロと転調していくイントロ/間奏など、独特な味があります。CDとなって聴けてよかったと思える、そんな出来ではないかと。

なお、T-3.「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 」は L. Donegan - J. Currie による楽曲で、邦題「 最後の恋 」。バカラック作品ではありません、念の為。

ここからはオマケ。MP3で所有するキム・サン・ヒーのバカラック・カヴァーをご紹介。
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キム・サン・ヒーは、1971年11月にキャニオン・レコードからもう1枚『 Love Story(ある愛の歌)』というアルバムをリリース。その中でバカラック作品を2曲カヴァーしています。「 CLOSE TO YOU(遙かなる影)」と「 THE LOOK OF LOVE(ルック・オブ・ラヴ/恋のおもかげ)」、いずれもフリーダム・ユニティ(よくわかりませんが
スタジオミュージシャン達によるスタジオ録音用オケではないかと)の演奏をバックに歌っています。この演奏がなかなか独創的でカッコいいんです。編曲は前田憲男さん。ナルホドね…です。キム・サン・ヒーの歌唱は派手ではないけど安定感あるもの。個人的には『 Sings Tom Jones & Burt Bacharach 』よりもこちらの2曲の方がレコメンドです。


【データ】
『 Sings Tom Jones & Burt Bacharach 』 (邦題:トム・ジョーンズ&バート・バカラックを歌う)
Kim Sang Hee  キム・サン・ヒー(金相姫)




LP:1971年3月25日リリース (所有CDは、2022年10月26日リリースのリイシュー盤。解説:原田和典さん)
レーベル:Canyon (Japan) (所有CDは、Solid Records/ウルトラ・ヴァイヴ)
番号:CAL-5003 (所有CDは、CDSOL-6247)

SIDE-A(Tom Jones Side)/T-1〜6. 宮間利之とニューハード(演奏)、前田憲男(編曲)
SIDE-B(Burt Bacharach Side)/T-7〜12. 佐藤允彦トリオ(演奏・編曲)

リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/14)
Amazonリンク(限定版リマスターLP)(リイシューCD


2022年10月 2日 (日)

Songwriter/Richard Marx (2022年)

米国のシンガーソングライター、リチャード・マークスが2022年9月にリリースしたアルバム。バカラックと共作した新曲を収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全20トラック中、バカラック作品は1トラック

16. ALWAYS (3:40)


米国のシンガーソングライター、リチャード・マークスが2022年9月にリリースしたアルバムです。

1963年9月米国イリノイ州生まれ(私と同世代!)。1987年ソロ・アーティストとしてのデビュー・アルバム『 RICHARD MARX 』からシングル「 DON'T MEAN NOTHING 」が全米3位のヒットに。その後セカンド・アルバム『 REPEAT OFFENDER 』から、「 SATISFIED 」「 RIGHT HERE WAITING 」が全米No.1。1990年代以降はプロデューサーやソングライターとしての活動に重点を置く傍ら、コンスタントにアルバムをリリースしてきました。


─  自分のソングライティング・キャリアにおいて、実に様々なアーティストの為に実に様々な曲を作る素晴らしい機会に恵まれた。だから、自分の大好きなジャンルを色々取り上げたアルバムを作らない理由はないと思ったんだ。  ─ という本作は、タイトル通りソングライターとしての自身に焦点を当てたアルバムなんだとか。

4つのジャンルに5曲ずつ。具体的には、Pops(T-1〜5.)、Rock(T-6〜10.)、Country(T-11〜15.)、Ballads(T-16〜20.)の全20曲を収録。んで、バラードの1曲がバート・バカラックと共作した新曲…T-16.「 ALWAYS 」でございます。

2016年頃よりリチャード・マークスはバカラック爺と曲作りしてきました(ご参考:過去記事1過去記事2)。こんなに待たされるとは思ってなかったけど、何はともあれ1曲でも聴くこと出来て良かった良かった😌

さてそのT-16.「 ALWAYS 」は♩≒80のスローバラード。バックはグレッグ・フィリンゲインズのピアノとストリングスだけ。(そうかっ、やっとわかった! だから、バカラック爺&グレッグ・フィリンゲインズと一緒の写真をインスタに上げてたのかっ! ← 先ほどご参考でリンクした "過去記事1" をご覧ください) 4小節のピアノのイントロは普通ですが、Aメロの3〜4小節目、7〜8小節目あたりのちょと道を外れたようなメロディとコードの響きですぐバカラックの曲とわかります。大雑把にAメロを18小節とカウントすると(本当はその中でAとBに分かれるんでしょうがよくわかんなくて…)、A-A-サビ-Aという構成。サビは7小節と短く特に盛り上げるつもりもないみたい。その辺りバカラックらしいです(笑)。柔らかいリチャード・マークスの歌声はメロディに馴染んでますねぇ。リチャード・マークスがどの程度作曲に絡んだのかはわかりませんが、かなりバカラックの比重が高いように思います。

そう言えば、リチャード・マークスは30年以上前にバカラックがプロデュースしたあるレコーディングでバッキング・シンガーとして仕事したこともあるんだそう。誰のどの曲なんでしょうかねぇ。


【データ】
『 Songwriter 』
Richard Marx

CD:2022年9月30日リリース
レーベル:BMG (US)
番号:538835962

プロデュースは各曲ごとに異なっていますが、面倒臭いんで省略。
T-16.「 ALWAYS 」
  (Burt Bacharach and Richard Marx)
  Produced by Burt Bacharach and Richard Marx
  Mixed by Chip Matthews
  Piano:Greg Phillinganes
  String Arrangement my Michael Omartian 

以下、各曲のSongwriterをクレジットのまま記しておきます。
SIDE A - POP
  1. Richard Marx, Lucas Marx and Michael Jade
  2. Richard Marx and Adam Messinger
  3. Richard Marx and Bruce Wiegner
  4. Ricahrd Marx
  5. Richard Marx and Lucas Marx
SIDE B - ROCK
  6. Richard Marx and Jesse Marx
  7. Richard Marx and Matt Scannell
  8. Ricahrd Marx
  9. Ricahrd Marx, Chris Daughtry and Jason Wade
  10. Richard Marx and Jesse Marx
SIDE C - COUNTRY
  11. Richard Marx
  12. Richard Marx, Lucas Marx and Bruce Wiegner
  13. Richard Marx and Keith Urban
  14. Richard Marx, David Hodges and Darius Rucker
  15. Richard Marx, Randy Hauser and Brice Long
SIDE D - BALLADS
  16. Burt Bacharach and Richard Marx
  17. Richard Marx and Richard Page
  18. Richard Marx
  19. Richard Marx and Gary Burr
  20. Richard Marx and Tofer Brown

こうして並べてみると、コライト者を自分より先に記してるのはT-16.「 ALWAYS 」だけ…。バカラック爺だけ特別なんですね!

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Amazonリンク(CD

«The Complete Ode Recordings/Peggy Lipton (2014年)

カテゴリー

  • カヴァーアルバム
    ★バカラック・カヴァー曲が主体でBacharach をアルバムのタイトルやサブタイトルに入れているアルバム ★収録曲のうち半分以上がバカラック・カヴァーのアルバム ★複数アーティストによって新たにカヴァーしたアルバム ★複数アーティストによるトリビュートコンサートのライブアルバム
  • コンピレーションアルバム
    ★複数アーティストのバカラック作品を集めたいわゆる編集盤
  • シングル
    ★シングル
  • ディオンヌ・ワーウィックのアルバム
    ★新作主体/カヴァーアルバム/コンピ集を問わず、ディオンヌ名義のアルバム
  • バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
    ★バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
  • バカラック関連ネタ
    ★バカラック作品は入っていないがバカラックと何らかの関連があるアルバム ★アルバムやシングル以外のこと。本、コンサート、ライヴ、TV、Radio、告知、独り言、イベントなどなど
  • バート・バカラックのアルバム
    ★メインのアーティストがバカラックとなっているもの ★バカラックが音楽を担当した映画等のオリジナル・サウンドトラック ★ ○○ with Bacharach のようなアルバムは含めない
  • 新作主体のアルバム
    ★『 バート・バカラックのアルバム 』と『 ディオンヌ・ワーウィックのアルバム 』以外で、バカラックが新作を多数(およそ半数以上)提供したアルバム

★ リンク ★

  • Yammy* Official Web Site
    京都在住のオーガニックシンガーソングライター、Yammy*(ヤミー)さんの公式サイトです。
  • くう・ねる・時々・じゃず
    とても凛としていて、でも柔らかい歌声が魅力のジャズ・シンガー、三善香里さんの公式ブログです。
  • My Willful Diary
    shoppgirlさんが、「心に留めておきたい音楽とあれこれ」をたおやかな言葉で綴っていらっしゃる、素敵なブログです
  • バカラックマジックでまったりと
    バカラックさんをこよなく愛するまったりさんのブログです。バカラックファンとして大先輩でブログの師匠さんでもあります。
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