ダイナミック・マーチ・イン・バカラック/航空自衛隊航空音楽隊(1972年)
生きてて良かった~(個人的にですが)、吹奏楽によるバカラック・カヴァー集!
(画像は全てクリックすると大きくなります)

左:オリジナルLPのジャケット/右:所有CDのジャケットと帯
1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
3. THE APRIL FOOLS
4. ALFIE
5. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. MESSAGE TO MICHAEL
8. BOND STREET
9. TRAINS AND BOATS AND PLANES
10. WALK ON BY
11. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
12. I SAY A LITTLE PRAYER
収録時間約42分
Burt Bacharachの名曲を吹奏楽で演奏したもので、1972年2月リリース。演奏は航空自衛隊航空音楽隊(現:航空自衛隊航空中央音楽隊)で、一般的な吹奏楽編成。だけど、日本の”吹奏楽ポップスの父”と呼ばれている岩井直溥さんのアレンジはかなり大胆且つ魅力的。タイトルに”マーチ”とありますが、関係ないです。
とにかくこれまでのBacharachカバー曲では聴いたこともないアレンジがてんこ盛り。40年以上前なので演奏レベルとか音質に関しては目をつむりましょう。でも、元気の良い演奏がGoodです!
このアルバム、吹奏楽の歴史上も重要な価値があり、吹奏楽経験者ならだれでもご存じの『ニュー・サウンズ・イン・ブラス』の第1集(1972年8月リリース)より半年前にリリースされてるんです。つまり、吹奏楽ポップスのまさしく先駆けということ。
本アルバムが誕生した経緯とかは、岩井さんのインタビュー記事に詳しいです。※
岩井直溥自伝 第18回 … 記事の後半に本アルバムのことが出ています
個人的には、今から30年以上前、中学校の掃除時間に毎日校内放送で流れていた超思い出のLPでして。1995年リリースのコンピ盤 『バカラック スタイル 』 で3曲だけはCD化されていたのですが、完全復刻化をずーっと待ち望んでおりました。だから2009年に完全CD化されたときは「生きてて良かったー」・・と。うるうる
その思い出については、ウェブページに詳しく記しました~(^.^)
なお、追悼 岩井直溥さん ~ 想い出の吹奏楽版 「 小さな願い 」 も参照ください。※
2025年5月、国立国会図書館に行って1972年リリースのLP盤を聴いてきました。ライナーノーツも読みましたが、バカラック&航空自衛隊音楽隊の解説、各曲の解説、ともに興味深い内容でした。ノートに書き写してきましたので以下そのまま転載します(各曲の解説は3曲だけですが…)。
─ 日本全国にブラスバンドが一万以上あるという。そしてブラスの楽しさと美しさを求める人達は数限りなく存在すると思う。そこでこのLPが出来たのである。
バート・バカラック 世界中で感動させたサウンドクリエーター。彼は独自のテクニックでオーケストレーションの存在とサウンドの存在を世界中の人々の耳にはっきり位置付けたのである。そしてこのバート・バカラックの音楽は全てブラスに向いている。
こうした考えのもとに岩井直溥氏が編曲を始め、見事にバカラックをブラスに書き変えたのである。
演奏は現在日本に数あるブラスバンドの中でも特に新しいサウンドの追求に意欲的な航空自衛隊音楽隊が担当した。
アメリカでもグレン・ミラー以後空軍のバンドが特にポップ音楽の分野に強く数々のニューサウンドを残した様に。在日の米国第五空軍のバンドとも特に親しい航空自衛隊のバンドはこのバート・バカラックという世紀の天才の音楽を全て正しく解釈し、そのビート・サウンドともにまったくパーフェクトな形にしている。隊員の一人一人の持つポップ音楽に対する理解力と表現力がバカラックをブラスでというかなり高度のテクニックを必要とする試みを完成させたのである。
Side 1
1)サンホセへの道
バート・バカラックの代表作。ディオンヌ・ワーウィックやボサ・リオによって大ヒットした軽快なナンバーだが、数多くのパターンによって構成された曲であり、リズム・サウンドと共に大変デリケートに出来上っているが、航空自衛隊音楽隊はバカラックそのものの演奏の様に見事カラーフルな演奏を行なっている。特にトランペット群のメロディーのみごとなスイング感と中音楽器のコンビネーションの良さが我々を感動させる。
テュティの迫力とソリの部分の軽快さのバランスの良さは特筆すべきものがある。
2)雨にぬれても
映画 "明日に向って撃て" のテーマソングとして大ヒットしたナンバー。
この非常にポップ的なナンバーはメロディーラインの唄い方に非常に微妙な難かしさがあるが木管群の音色の美しさとリズムの良さがインストルメンタル物の魅力を十分に発揮している。ジャズのスタンダードに良くある大変に魅力的なテンポの曲だが思わず聞きながら踊りたく成る様な演奏に仕上げてある。
尚この曲のブラスバンド用スコアーを特にこのアルバムに付けているので、その分も楽しんでいただきたい。
Side 2
6)小さな願い
この美しいメロディーでアルバムは終ろうとしている。バカラックの音楽の美しさをたんのうしていただいたと思う。そして又ブラス・オーケストラの美しいサウンドと楽しいムードも十分理解されたと思う。
そしてこれからもこうした素晴しい演奏を航空自衛隊音楽隊の皆さんによって次々と聞かせていただきたい。 ─
ワタクシ実はT-2.「 雨にぬれても 」のこのアレンジの演奏を生で聴いたことがありまして…。1976年6月26日、地元の吹奏楽祭で市内の他中学校が演奏していたんです。楽譜は市販されなかったようで、どうやって楽譜を手に入れたのかずーっと不思議に思っていて…。でも、太字箇所を読んでようやく謎が解けました。国立国会図書館でライナーノーツの他にそのスコアー譜(なんと手書き!)も見ることが出来たのですが、LPの付録だったそのスコアー譜からパート譜を書き起こして演奏したんですねー。自分も吹きたかったなぁ…。※※
※ 2015年9月9日 追記
※※ 2025年5月25日 追記
ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
2018年にリリースされたアルバム『 岩井直溥 NEW RECORDING collections No.4 THE POPS ~絶対!盛り上がる定期演奏会~ 』で、岩井さん編曲の12曲を天野正道指揮/東京佼成ウインドオーケストラが新たにレコーディングしています。その中に本作T-2.「 雨にぬれても 」の新録音版がありました。新版はさすがに演奏レベルが高くアーティキュレーションや縦の線もキッチリ揃ってます。一方で、演奏は荒っぽいけど聴いててウキウキするのは旧版なんですよねー。聴き慣れてるからかもですが。
2020年1月26日追記
【データ】
『ダイナミック・マーチ・イン・バカラック』
航空自衛隊航空音楽隊
LP:1972年2月5日 (所有CDは、2009年8月26日発売『岩井直溥 初期作品集』 … このCDは、『ブラス・バンド・プレイ・ブラス・ロック』(1973年10月リリース)とのカップリングです)
レーベル:東芝EMI (所有CDは、EMIミュージックジャパン)
番号:TP9519Z (所有CDは、TOCF-90009~90010)
演奏:航空自衛隊航空音楽隊
指揮:(クレジットは無いがライナー執筆者によると当時の隊長の)塚原国男では?
1971年暮れ近くの録音であろう…
リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/2/23)
Amazonリンク(リイシュー 2 in 1 CD)
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