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2014年3月16日 (日)

Gene Pitney sings Bacharach, David and others/Gene Pitney (1971年)

米国の男性シンガー、ジーン・ピットニーが1971年にリリースしたバカラック作品集。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover

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所有CDのジャケットの表/ジャケットの裏(本アルバムは左側の12曲)

全12トラックのうち、バカラック作品は7トラック

2. IF I NEVER GET TO LOVE YOU  (2:19)
3. TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH  (2:25)
4. LITTLE BETTY FALLING STAR  (2:25)
5. 24 HOURS FROM TULSA  (3:01)
8. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  (2:59)
9. FOOL KILLER  (3:18)
10. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART  (2:50)

収録時間約34分


米国の男性シンガー(ソングライターでもありますが)、ジーン・ピットニーが1971年に英国でリリースしたバカラック作品集です。

ジーン・ピットニーは1961年にデビュー。5枚目のシングル T-8. 「 リバティ・バランスを射った男 」 が初のTOP 10 ヒット(全米4位)になり、続く T-10. 「 恋の痛手 」 も全米2位になります。しかし、1966年を最後に米国でTOP 10ヒットが出なくなり、その後は安定的にヒットしていた英国や欧州に活動の拠点を移したそうです。

1968年に米国の所属レーベルMusicor(ミュージコア)から 『 Gene Pitney sings Burt Bacharach 』 というバカラック作品集が10トラック入りでリリースされているのですが、そのアルバムは英国ではリリースされませんでした。1971年にようやく英国でもPyeレーベルから2トラックを加えた全12トラックでリリース。それが本アルバム 『 Gene Pitney sings Bacharach, David and others 』 です。

バカラック集とは言っても、1968年盤も本アルバムもバカラック作品は7トラックだけ。ジーンはキャリアの中で7曲しかバカラック作品を歌ってないので当たり前っちゃぁ当たり前なんですが、そーゆー意味からすると1968年盤のタイトルは詐欺でしょ(笑)。一方、本アルバムのタイトルにはちゃんと "and others" と入っていて英国人の律義さが伺えます。更に、ハル・デイヴィッドの名前もタイトルに入れてます。英国では米国よりも作詞家のハル・デイヴィッドをきちんと評価していたんでしょうね。

ジーンは高音で微妙にビブラートがかった声に特徴があります。ジャンル的にカントリーなのかR&Bなのかポップなのか私にはよくわからないのですが、さきほどの7曲のうち5曲もバカラック書き下ろし曲(オリジナル)だったなんて、今回の記事を書くまで知りませんでした。バカラックはけっこうジーンの事を気に入ってたのかな? バカラックは自伝でジーンの事をこう語っています。 ─ ジーンは常人離れした高音を出せる、愛すべき男だった。 ─

Img304a_2 ちなみに、これは1968年盤のアルバムジャケットです。
ジャケットはこっちの方に軍配を上げましょう(笑)。
右下が別のジャケットに覆われてますがご容赦を。

Amazon/iTunesでこの1968年盤をダウンロードできます。
(CDは未リイシュー)





○ オリジナルの5曲について、リリース順に簡単に解説します。

T-8.  (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE リバティ・バランスを射った男
   作詞:ハル・デイヴィッド
   Arranged by Chuck Sagle
   Produced by Aaron Schroeder & Friends
   Musicor single #1020 (1962年4月)、全米4位
バカラックの変な曲ランキングがあったらベスト10には入るであろう、“へなちょこ”ソングです。ジョン・フォード監督の西部劇映画の主題歌として作曲したのに、監督は気に入らなかったようで映画には使われませんでした。まぁ、初っ端のヴァイオリンのメロディからもう“へなちょこ”なんで、気持ちはわかります(笑)。バカラック自伝にも書いてありました。 ─ 会社からわたしたちに、まもなくパラマウント映画が公開するジョン・ウェインとジェイムズ・スチュアート主演、ジョン・フォード監督の 『 リバティ・バランスを射った男 』 という映画のために曲を書いてくれという依頼が来た。わたしは曲づくりに難渋し、書き上げるまでには長い時間を要した。ハルが先に詞を書いたので、歌詞に合うメロディを探し、フックを入れる位置を工夫する必要があったのだ。(略) 実際にレコードをプロデュースしたわけではないが、ジーン・ピットニーがこの曲をレコーディングした現場では、かなりいろいろ意見を言わせてもらった。その晩はたまたまジェリー・リーバーもスタジオにいて、曲の冒頭に入るヴァイオリン・ソロのアイディアを出してくれた。というのもわたしはその部分に、別の楽器のソロを入れていたのだ。(略) ポップ・チャートの4位まで上昇したが、映画には使用されず、実際に使われたのは1939年にジョン・フォードが監督した映画 『 若き日のリンカン 』 の音楽だった。 ─

T-10. ONLY LOVE CAN BREAK A HEART 愛の痛手
   作詞:ハル・デイヴィッド
   Arranged and conducted by Burt Bacharach
   Produced by Aaron Schroeder & Wally Gold
   Mucicor single #1022 (1962年8月)、全米2位、R&B16位
「 リバティ・バランスを射った男 」 よりはるかにまともなこの曲、ジーンの最大のヒット曲になるのですが、1位を阻んだのがジーンがクリスタルズに提供した 「 He's a Rebel (ヒーズ・ア・レベル) 」 だったのは、まことに皮肉でした。「 ヒーズ・ア・レベル 」 をプロデュースしたフィル・スペクターは、以前ジーンの 「 Every Breath I Take 」 をプロデュースしてるのでジーンも文句言えないっす。バカラック自伝にはこの曲の事も書いてありました。 ─ ハルとわたしは 「 愛の痛手 」 を、特にジーンを意識して書いた。最初に歌詞を見なかったら、メロディはわたしが書くようなタイプとは思えないかもしれないし、曲そのものの構成もかなり変わっている。(略) デモをつくる代わりに、ハルとわたしはブロードウェイ1650番地に向かい、ピアノでジーンに曲を聞かせた。その後、アレンジを書いたのだが、オープニングのセクションでは、ジーンの口笛を聞くことができる。 ジーンの特筆すべき点は、いつも完全に準備をしてスタジオにやって来たことで、だからわたしの場合にありがちな「シンガーをしごく」セッションにはならなかった。レコーディングは早々に完了し、わたしは「こいつはヒットしそうだぞ」と考えながら、いい気分でスタジオを出た。(略) わたしはつねづね、どうしてだれも 「 愛の痛手 」 をカヴァーしないのだろうと不思議に思ってきた~特にカントリー系のアーティストが。 ─  確かに、この曲をカヴァーして歌っているのは、私が知っている限りディオンヌ・ワーウィック(1971年)、ソニー・ジェイムス(1971年)、ティミ・ユーロ(1975年)ぐらいです…。

T-4. LITTLE BETTY FALLING STAR 星影のベティ
   作詞:ボブ・ヒリアード
   Musicor album 『 Only Love Can Break a Heart 』 (1962年12月)
“シャララ、シャラーララー”というコーラスが可愛らしいバカラックにしてはあっさり風味の小品。カスケーズ(1964年)とジョージ・ハミルトン四世(?年)のカヴァーがあります。

T-5. 24 HOURS FROM TULSA タルサからの24時間
   作詞:ハル・デイヴィッド
   Arranged and conducted by Burt Bacharach
   Produced by Aaron Schroeder & Wally Gold
   Mucicor single #66067 (1963年10月)、全米17位
私はジーン・ピットニーのバカラック作品の中でこの曲が最も好きです。他のアーティストによるカヴァーもこの曲が一番多いようです。バカラック自身この曲は気合が入ったようで、自伝にこう書いています。 ─ 1963年の10月には、ジーン・ピットニーが 「 タルサからの24時間 」 をヒットさせた。わたしも大いに気に入っていた曲だが、それはこの曲が生まれ、かたちになっていくうちに、いつしかミニチュア版の映画と化していたからだ。ハルとわたしの作品に、物語的な内容を持つものはあまり多くない。だがそうした曲を書く場合には、いつも冒険心をかき立てられていた。(略) 最初の音はGをベースにしたAだが、この音を使ったのは、オープニングに不協和感、切迫感、痛み、そして苦悩の感覚をもたらすためだった。なにしろこれは家に帰る途中でひとりの女性と出会い、二度と帰ってこなかった男の物語なのだ。「 タルサからの24時間 」 はまず、かすかに不協和音的なトランペットではじまり、そこにバイヨンのビートに乗ったドブロ・ギターが入ってくる。2年後にはビリー・ジョー・ロイヤルが、「 Down in the Boondocks (ダウン・イン・ザ・ブーンドッグス) 」 でほぼ1音のちがいもないオープニングを用いているが、これは最大級の賛辞と言っていいと思う。(略) アレンジするのも楽しかった。とにかく物語がドラマティックだったので、編曲でそれを、前へ前へと推し進めていったのだ。 ─

T-9. FOOL KILLER フール・キラー
   作詞:ハル・デイヴィッド
   Arranged and conducted by Burt Bacharach
   Produced by Aaron Schroeder & Wally Gold
   Mucicor album #3043 『 Gene Pitney Big Sixteen Volume Two 』 (1965年2月)
イントロのフルート・ソロが印象的で耽美な味わいがあるこの曲、後日ジーン・ピットニーはお気に入りのバカラック&デイヴィッド・ソングだったと語っています。しかし、この曲を最後に、二度とジーンが彼ら二人の曲を歌うことはありませんでした…。この曲は映画 『 フール・キラー 』 という映画のために書かれました。しかし、映画会社はバカラック&デイヴィッドと契約を結び、当時ジーンが影響下にあったプロデューサーのシュローダーはカヤの外。シュローダーのご機嫌を損ねてしまい、この曲はシングルカットされず映画にも使われなかったようです。この時の確執から、シュローダーとバカラック&デイヴィッドの関係は壊れてしまいました。私の知る限りこの曲は誰にもカヴァーされていないのですが、ジーンの怨念なのかも^^;。
   
○ カヴァーの2曲もリリース順に解説。

T-3. TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH  恋は異なもの(苦しい恋こそ真の恋)
   作詞:ハル・デイヴィッド
   Arranged and conducted by Burt Bacharach
   Produced by Aaron Schroeder & Wally Gold
   Mucicor single #66063 (1963年6月)、全米21位
オリジナルはDon & Juan(ドン・ファン)で、ジーンのヴァージョンより数か月前に録音。実は私、この曲はジーンがオリジナルだと思ってました。

T-2. IF I NEVER GET TO LOVE YOU イフ・アイ・ネヴァー・ゲット・トゥ・ラヴ・ユー
   作詞:ハル・デイヴィッド
   Musicor album 『 Looking Through The Eyes of Love 』 (1965年英国のみリリース)
オリジナルはルー・ジョンソン(1962年)。


【データ】
『 Gene Pitney sings Bacharach, David and others 』
Gene Pitney

LP:1971年リリース (所有CDは、1997/7/8にリイシューされた2 in 1の輸入盤)
レーベル:Pye Records (所有CDは、英国Sequel Records)
番号:? (所有CDは、NEM CD 896)

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