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2014年12月14日 (日)

FOR THE FIRST TIME/Stephanie Mills (1975年)

米女性R&Bシンガーのステファニー・ミルズが1975年にリリースした、全篇バカラック&デイヴィッド作品のアルバムです!

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外ではうまくいきませんが^^;)
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1. TOOK MY STRENGTH FROM YOU
2. LIVING ON PLASTIC
3. NO ONE REMEMBERS MY NAME
4. IF YOU CAN LEARN HOW TO CRY
5. LONELINESS REMEMBERS WHAT HAPPINESS FORGETS
6. THIS EMPTY PLACE
7. THE WAY I FEEL ABOUT YOU
8. I SEE YOU FOR THE FIRST TIME
9. ALL THE WAY TO PARADISE
10. PLEASE LET GO

収録時間約33分


米女性シンガーのステファニー・ミルズが1975年にリリースした、全篇バート・バカラック&ハル・デイヴィッド作品のアルバムです。

ステファニー・ミルズは、1957年ブルックリン生まれ。1975年にブロードウェイのミュージカル 『 The Wiz(ウィズ) 』 のドロシー役に抜擢され、トニー賞も獲得。1979年以降80年代は20世紀FOX他でソウル/R&B歌手としてヒットを飛ばします。

ミュージカルと並行して1974年にABCからファースト・アルバム 『 MOVIN' IN THE RIGHT DIRECTION 』 をリリースしますがヒットせず、MOTOWNに移籍してリリースしたセカンド・アルバムが本アルバムでございます。前述したとおり、全10曲バート・バカラック&ハル・デイヴィッド作品です。プロデュースもこのコンビ。しかも、8曲が書き下ろし曲! (残り2曲はディオンヌ・ワーウィックのカヴァー)

一度1991年にMOTOWNからCD化されたようなのですが、とっくに廃盤で中古もみつからず。CD再発されないかとず~っと願ってきましたが、半ば諦めて最近はAmazonチェックもサボってました。ところが、レコード・コレクターズ(2014年12月号)を立ち読みしてたら…、リイシューの海外盤紹介コーナーにこのCDが載ってるじゃないですかlovely。速攻ゲットした次第です。まぁ、私の師匠であるまったりさんは 「 それやったらLPで持ってまっせ 」 と仰りそうですが。

Steven E. Flemming, Jr. という方がライナー・ノーツで全曲にコメントを寄せています(モチロン英語)。分かる範囲で参考にしつつ、簡単ではありますが全曲をご紹介します。編曲は特記ない限りバカラックです。

─ ♪ ─ ♪ ─

T-1. 「 TOOK MY STRENGTH FROM YOU 」  ミディアムスローなテンポで、ソフト・ソウル&ブルースっぽいナンバー。メロディも書き下ろし曲の中では最も取っつき易く、個人的には好きな曲。

T-2. 「 LIVING ON PLASTIC 」  ミディアムテンポで、ポップ/ロック調のナンバー。イントロ/間奏でのブラスやサックスもところどころアクセントになっています。

T-3. 「 NO ONE REMEMBERS MY NAME 」  ちょっとセンチメンタルなスロー・ナンバー。山谷がある展開でミュージカルの趣もありますね。ちょこっと変拍子もあります。バカラック自身、1977年のアルバム 『 FUTURES 』 でセルフ・カヴァーしています。

T-4. 「 IF YOU CAN LEARN HOW TO CRY 」  ミディアムテンポのポップナンバー。意表を突いたメロディとコード進行がいかにもバカラック。転調に変拍子もセットでもれなくついてます。編曲は Bill Eaton 。

T-5. 「 ロンリネス・ハッピネス 」  オリジナルはディオンヌで、1970年のアルバム 『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』 に収録。カヴァーしているのは私の知る限りステファニー・ミルズだけ。アップテンポのライトな小品で、アレンジはオリジナルのほぼコピーでキーも同じ(編曲は Dave Mathews )。軽やかに歌うディオンヌに対して、ステファニー・ミルズは若干テンポを落として柔らかにねばっこく歌っています。

T-6. 「 ディス・エンプティ・プレイス 」  こちらもオリジナルはディオンヌ。1963年3月23日に全米83位にランクされた3枚目のシングルで、デビュー・アルバム 『 PRESENTING DIONNE WARWICK 』 に収録されています。ステファニー版のR&B色の強いベースラインは、オリジナルや他のカヴァーでは聴かれない特徴的なアレンジ。この曲の黒い部分をよく引き出してると思います。編曲は Kenny Asher 。本アルバムからの唯一のシングルとして、T-8. 「 I SEE YOU FOR THE FIRST TIME 」 とのカップリングで1975年12月にリリース (M-1382F)。残念ながらチャート・アクションはなし。

T-7. 「 THE WAY I FEEL ABOUT YOU 」 ミディアム・テンポのミュージカルチックな小品。これまたメロディとコード進行が独特なバカラック節。変拍子に加えて転調もあります。

T-8. 「 I SEE YOU FOR THE FIRST TIME 」 バロック的な香りのイントロが印象的な、バウンス・シャッフルのナンバー。リズム隊とブラスの刻みもなかなか特徴的。同じモチーフの繰り返しが多いメロディも独特です。編曲はT-6. と同じ Kenny Asher 。

T-9. 「 ALL THE WAY TO PARADISE 」  R&B調のスロー・バラード。この曲もコード進行とメロディはバカラック節。転調も多く歌いにくいだろうに、彼女は難なく歌っています。

T-10. 「 PLEASE LET GO 」  イントロのチェンバロっぽいキーボードの和音の刻みだけ聴くと、サントラ 『 失われた地平線 』 の 「 THE THINGS I WILL NOT MISS 」 かと思ってしまいます。でも全然違う曲です。ミュージカル調のシンフォニックなナンバーです。

─ ♪ ─ ♪ ─

ステファニー・ミルズの歌は、パワフル且つダイナミックの上に繊細な表現力もあり、上手いです。バックもバンド+オケで、ミュージカル歌手としての彼女を引き立たせたかったんだろうと思いますが、バカラック&デイヴィッドの試みは成功しているとは言えません。歌唱力を前面に出すには曲が凝り過ぎてますし、何よりメロディにあまり魅力がありません。まぁ、バカラック節はたっぷり聴けるので私的には満足ですが。結局このアルバム、ヒットしませんでした。

Img825尚、CDにはボーナス・トラックを7曲収録。これは、1982年にMOTOWNから未発表曲集としてリリースされたアルバム 『 LOVE HAS LIFTED ME 』 から、本アルバムと重複する 「 THIS EMPTY PLACE 」 を除いた全曲でございます。先に紹介したレコード・コレクターズには、こんな風に書かれていました。 ─ このCDの目玉は、未発表曲集の 『 LOVE HAS LIFTED ME 』 と言ってよいであろう ─  可哀想な 『 FOR THE FIRST TIME 』 。でもでも、聴いていて一般受けするなぁと思うのは 『 LOVE HAS LIFTED ME 』 なんですよね。

本アルバムのジャケット裏面を見ると、上の方に SONGS BY BURT BACHARACH and HAL DAVID とあり、下の方は PRODUCED BY HAL DAVID & BURT BACHARACH となっています。二人の名前の順番が逆です。映画 『 失われた地平線 』 で仲違いしたけれど、事情があって二人は本アルバムを手掛けなくてはならなかったのでしょう。お互いのメンツを立てるために名前の順番にもいちいち気を配らなくてはならなかった…。そりゃ、協力していい曲を作ろうっていう雰囲気じゃないよなー。

因みに、単行本 『 バートバカラック自伝 』 に本アルバムのことは一切出てきません(>_<)。


【データ】
『 FOR THE FIRST TIME 』
Stephanie Mills

LP:1975年10月リリース (所有CDは、2014年8月4日リイシューのUK盤)
レーベル:MOTOWN (所有CDは、Big Break Records, UK)
番号:M5-227V1 (所有CDは、CDBBRX0301)

Produced by Hal David & Burt Bacharach
Directed by Phil Ramone
Songs by Burt Bacharach & Hal David
Arranged by Burt Bacharach
except Bill Eaton (T-4.), Dave Mathews (T-5.), Kenny Asher (T-6,8.)

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