スターゲイザース・バカラックを歌う/岡崎広志とスターゲイザース (1969年)
7人編成で楽器もこなすヴォーカル・グループ、岡崎広志とスターゲイザースが1969年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。
(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)

1. REACH OUT FOR ME
2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
3. I SAY A LITTLE PRAYER *
4. THE WINDOWS OF THE WORLD
5. TRAINS AND BOATS AND PLANES *
6. WALK ON BY
7. HERE I AM
8. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)
9. LISA *
10. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
11. THE LOOK OF LOVE
12. ALFIE *
* ヴォーカルなしのインスト曲
収録時間約38分
─ サックスプレーヤーにして稀代のヴォーカリスト、「 グッドバイ・マイ・ラブ 」のヒットや『 11PM 』のテーマ・スキャットなどで知られる岡崎広志が、スターゲイザースを率いて発表した1969年のアルバム。日本における最初期のバート・バカラックのカヴァー集であり、60作を超えるという岡崎のリーダーアルバムの中でも、屈指の人気盤の一枚である。 ─ (リイシュー盤のライナー冒頭より引用)
岡崎さんは、アルトサックス奏者としてキャリアをスタート。ビッグバンドを経てフリーとなり、ジャズのトッププレーヤーとなりました。同時にシンガーとしても活動し、日本初の本格的ジャズコーラスのグループ、フォー・シンガーズを1965年に結成。メンバーは岡崎さんの他、大久保計利、伊集加代子(現・伊集加代)、尾形道子。2年後にフォー・シンガーズの活動を終えた女性2人が団洋子を加えて結成したのが、あの有名なシンガーズ・スリー。その伊集さんと岡崎さんのお二人がスキャットを担当したのが『 11PM 』のテーマ だったんですねー。このあたりの歴史、初めて知りました~。
その後、岡崎さんは楽器もこなす男性コーラス・グループ、スターゲイザースを結成。米国のフォー・フレッシュマンを範にとったようだ…とLP/復刻盤両方のライナーに書いてありました。実際、全員7人が楽器を演奏し、そのうち4人がヴォーカルも兼ねています。
収録曲は12曲(A面6曲、B面6曲)。1969年の11月リリースですから、「 雨にぬれても 」 はギリギリ間に合わず、「 遥かなる影 」 は1970年のヒットですから当然ありませんが、この時点での有名曲は概ね網羅している感じです。日本でのバカラック・カヴァー集は、渡辺貞夫が1969年3月にリリースした『 SADAO PLAYS BACHARACH & BEATLES 』が最初で、本アルバムは二番目になるようです。
編曲は前田憲男。前田さんは翌1970年、前田憲男とケニー・スミス・オーケストラ★スリー・シンガーズ名義で、イージーリスニングのバカラック集『 イージー・リスニング・ジャズ★★バート・バカラックの素晴らしき世界 』をリリースするのですが、本作とアレンジが全く違います。プロの仕事ですねー。
イージーリスニングと紹介されていますが、全体的にはジャズ寄りのアレンジで、けっこうアドリヴも入ってます。ピアノ、ベース、ドラムスに、サックス、フルート、クラリネット、トランペットなどが加わった編成ですが、演奏は管楽器の方が目立ってます。これらの演奏の上に4人の男性ヴォーカルが乗っかってます。楽器だけをまず録音し、あとからヴォーカルを重ねてるんでしょうね。なお、全12曲中、4曲はヴォーカルなしのインスト曲です。
ヴォーカルアレンジも、4声のハーモニー、掛け合い、一人がメインヴォーカルで他がコーラスなど、様々なスタイルが出てきますし、弾むような歌い方からしっとりした和音まで表現力にも富んでいます。聴いていて飽きません。
T-6.「 ウォーク・オン・バイ 」は疾走感のあるアレンジ。ヴォーカルのノリも良いし、中間部のピアノのアドリヴも熱いです。T-7.「 ヒア・アイ・アム 」はボザノヴァ調のアレンジで、ヴォーカルのハーモニーがとにかく粋で素敵。バックのフルートの流麗なアンサンブルもまた素晴らしい。T-3.「 小さな願い 」~ 本アルバムでは「 あなたに祈りを 」という邦題がついてますが ~ はインスト曲で淡々と演奏しているのですが、エンディングのバロック調のアンサンブルがユニークです。
また、超レア曲がT-9.「 リーザ 」。バカラックのアルバム『 REACH OUT 』(1967年)に収録されているものがオリジナルなのですが、本アルバム以外にカヴァーされてる例を私は知りません。オリジナルは、デイヴィッドが作詞した歌詞を女性コーラスがふんわかと歌うのですが、本アルバムではピアノ、サックス、トランペットによりジャジーなインスト曲に変身。なかなか良いです。
原曲の良さを殺さない粋なアレンジ、ジャズフィーリング溢れる演奏、素晴らしいハーモニーのヴォーカル。三拍子揃った、良質なアルバムだと思います!
なお、リイシュー盤は紙のダブルジャケット・タイプ。ジャケットを開けるとLP当時のライナーがそのまま復刻されています。バカラックについて、前田さんの編曲について、スターゲイザースの表現についてなど、興味深い記述が見られます。クリックして(拡大して)ご覧ください。
過去の記事を振り返って気が付いたので追記します。岡崎広志は、伊東ゆかりの1971年のアルバム『 ラヴ 』にバック・コーラスとして参加しています。詳しくは こちら を参照ください。 <2015/8/8 追記>
【データ】
『 スターゲイザース・バカラックを歌う 』 GAZING BACHARACH
岡崎広志とスターゲイザース H.OKAZAKI & HIS STAR GAZERS
LP:1969年11月25日リリース (所有CDは、2014年7月23日リリースの初CD化リイシュー盤)
レーベル:コロムビア (所有CDは、ディスクユニオン/日本コロムビア)
番号:YS-10072-J (所有CDは、DSKA012)
編曲:前田憲男
岡崎広志とスターゲイザース
岡崎広志 (as, fl, afl, vo)
大久保計利 (tp, vo)
根本博史 (afl, bsfl, vo)
佐野博美 (cl, as, fl, vo)
藤井卓泰 (p)
柴田恒雄 (b)
西川欣司 (ds)
ただし、 T-10.「 ディス・ガイ 」は、旧メンバーによる録音で、メンバー/編曲者ともにクレジットなし
リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/2/4)
Amazonリンク(リイシューCD)
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コメント
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<なお、リイシュー盤は紙のダブルジャケット・タイプ。ジャケットを開けるとLP当時のライナーがそのまま復刻されています。バカラックについて、前田さんの編曲について、スターゲイザースの表現についてなど、興味深い記述が見られます。クリックして(拡大して)ご覧ください。>のお言葉に従って 拡大して拝読いたしました。
そこにはアンソニー・ニューリーさんのことが書かれております。バカラックさんの自伝にも登場されている、バカラックさんとは親しいミュージシャンです。バカラックさんはご自身のTVショーにも彼を登場させておられます。残念ながらバカラックさんの作品を歌っておられないので ストックしてはいたものの拙ブログに登場させることができず 長い間温存していた動画です。ここにご紹介させていただきますねぇ。(お邪魔様ですぅ)
https://www.youtube.com/watch?v=cYidEbwudQY
でも、これってたぶん バカラックさんの編曲なのだと思うのですが・・・。一見(一聴)の価値はあると思います。
投稿: | 2015年7月11日 (土) 16時31分
えっと…… たぶん まったりさん ですよね、コメントの内容からすると…(^^)
まったりさん、こんばんは!
アンソニー・ニューリーさん、てっきり作曲家なのかと思ってましたら歌手の方だったんですねー。
バカラック自伝にも登場してるんですか?? 全く記憶にないのですが…^^;
相変わらず無知なあるでおです~。無知にはムチでオイタしないと駄目かしらん?
しかし、Burt Bacharach TV special ってスゴイ番組ですね~。
動画を紹介して下さり、ありがとうございました!!
投稿: あるでお | 2015年7月12日 (日) 23時09分
ごめん。ごめん。名前記入を忘れてました。すっかり私のブログと勘違いしておりました。
間違いなくまったりでございます。
自伝のP.210あたりにこのお二人の親密さが書かれています。そういや、バカラックさんのアルバム「WOMAN 」で共作品もあったのでした。
今、資料を読み直して(いえ、決して原文は読めませんが)かつて私のブログでヴィッキー・カーさんのソロ重唱(って表現でいいのかしらん)でMake It Easy On Yourself / Knowing When To Leaveの作品を取り上げたのを覚えておられるかしらん。この時の他のゲストが アンソニー・ニューりーさんとサミーさんだったのでした。
https://www.youtube.com/watch?v=EQOP1CgJg0M(VIKKI CARR (Live) ( Make It Easy On Yourself / Knowing When To Leave)
このTVショー1972年の作品なんですって・・・。当時のバカラックさんって 超売れっ子でお忙しいときであったろうに こんな完成度の高い番組も作っておられたんですねぇ・・・・。
投稿: まったり | 2015年7月14日 (火) 22時43分
まったりさん、こんばんは~~
自伝の登場場所を教えていただきありがとうございますっ(^O^)
バカラックさんがTV番組のホストやらコンサート・ツアーやらテニスやらをしているこの頃って、読みはしたけれどあまり頭に残っていません。まして、アンソニー・ニューリーとかいうそれまで聞いたこともないお方(スミマセン)のことなんて、たぶん目から鼻に抜けていったんでしょうねー(笑)
ヴィッキー・カーさんの「ひとりデュエット」、動画観て思い出しましたっ(^_^)v とっても凝ったアレンジのマッシュアップですよね。こんなこと、普通思いつかんでしょ。バカラックさんはホントは宇宙人なんじゃないですかね。
投稿: あるでお | 2015年7月15日 (水) 23時30分
T-9. 「 リーザ 」についてですが・・・・。最近資料を読んで(いあ、いつもながら英語が全く読めないので眺めて)いましたらこの曲についての記述がございました。
何と!この曲の元々のタイトルは「Leah」と言うタイトルであったそうで バカラックさんの愛嬢Nikkiさんのついての曲なんだそうです。
彼女のお名前がLeah Nikki Bacharahだそうでして 当初はこの「Leah」がタイトルにされていたんだそうですが 同時期にRoy Orbisonさんが1962年に同じタイトルの「Leah」を発表されていてタイトルを替えたと資料には書かれておりました。もちろん資料にはこのNikkiさんについてのバカラック作品はこの「Lisa 」を含めて二曲作られたと書かれておりました。
一応念のためRoy Orbisonさんの「Leah」も聴いてみましたがもちろん全く曲調の違う作品でございました。
地味な作品をチョイスなさっている岡崎広志とスターゲイザースさん達はすごいっ!!
投稿: まったり(しつこくお邪魔さまぁ | 2015年8月13日 (木) 01時12分
まったりさんへ
こんばんは~、しつこい(笑)コメントありがとうございます!
── いやいや、全然しつこくないですからね、ご安心を(^^)
それにしても、「 リーザ 」 に関する貴重で重要な情報を教えてくださり、ありがとうございます!
バカラックさん自伝でもそんな情報出てこなかったですもんねー。
手持ちのCD 『 REACH OUT 』 を棚から取り出して、日本語ライナーノーツの裏面に載っていた 「 リーザ 」 の英語詞と訳詞を読んでみました。‟ 愛されずにどうしてそんなに美しくなれるの ” とか ‟ 誰にも愛されずにそんなに美しくなれるなんて ” というあたりになんとなくニュアンスは感じられますが、まさか Nikkiさん のことを歌っていたなんてっ!!
こんな渋い作品を選ぶなんて、ホントに岡崎さん達はすごいです!
投稿: あるでお | 2015年8月15日 (土) 21時59分