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2015年12月13日 (日)

SING SOMETHIN' FOR EVERYONE/THE GALS & PALS (1966年)

スウェーデンのコーラス・グループ、ギャルズ&パルズが1966年にリリースしたバカラック集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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1. MY LITTLE RED BOOK
2. CROSS TOWN BUS
3. CLOSE
4. TRAINS AND BOATS AND PLANES
5. WALK ON BY
6. WISHIN' AND HOPIN'
7. WIVES AND LOVERS
8. BLUE ON BLUE
9. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
10. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
11. ANYONE WHO HAD A HEART
12. MESSAGE TO MICHAEL
13. HERE I AM
14. WHAT'S NEW PUSSYCAT?

収録時間約39分


Img114cc今週はノーベルウィーク。昨年(3人)に続いて今年も日本人として大村さんと梶田さんのおふたりが受賞されるとあって、スウェーデンの首都ストックホルムからの中継映像が連日テレビで流れていました。

そのノーベル賞授賞式(12/10)前日、スウェーデンのコーラス・グループ、ギャルズ&パルズのバカラック集が < 世界初CD化 > という謳い文句付きでリリースされました。

ワーナーミュージック・ジャパンからのリリースで、ライナーの執筆者は皆川勝さんという方。ギャルズ&パルズとバカラック両者のファンとかで、非常に充実した内容のライナーノーツを書いておられます。ギャルズ&パルズに関しては全く無知なあるでおにとって、なんとも頼りになります。

ということで、今回はライナーノーツを最大限引用して記事を構成させていただきます。(別名、手抜きともいう^^;)

─ ギャルズ&パルズの結成は62年。ダブル・シックス・オブ・パリやスウィングル・シンガーズに影響を受けたと思われる男女3人ずつの編成。50年代よりジャズ・ピアニストとして活躍してきたラッセ・バッゲをリーダーとする彼らは3枚のアルバム 『 Sing Gals And Pals' Favorites 』 『 På Nya Äfventyr 』 そして本作 『 Sing Somethin' For Everyone 』 を残し67年に一旦解散。 ─

オリジナル・メンバーには、のちにスウェーデンを代表するジャズ・シンガーとなるスヴァンテ・トゥーレソンもいました。解散後、ラッセはEBBA(ABBAじゃないですよ)というコーラス・グループを結成。さらに82年にはギャルズ&パルズを再結成したりしたそうです。

んで本作に話題は移るのですが、ライナーノーツを読んでビックリいたしました。

─ 何せこの作品、バカラック・ファンが無視できないいわく付きなのだ。星の数ほどあるバカラック作品集の中で、これこそが世界初の 『 バカラックを歌う 』 企画アルバムなのである。66年作。前年、ザ・フォーシーズンズが片面バカラック、片面ボブ・ディランという惜しい企画モノを発表しているが、全編通してというのは本作が最初だ、とバカラック研究本 「 Song By Song 」 にも記載がある。同書によると63年マレーネ・ディートリッヒのピアニストとして随行したストックホルムでラジオから流れるギャルズ&パルズの楽曲を偶然耳にして驚嘆、自分の過去の楽曲で彼らにフィットしそうな曲を見繕って貸し出したらどうか、というアイディアが浮かんだのだそうだ。つまり本人の希望でもあったのだ。それが実現したのがこのアルバムである。そんなバカラック・ファン必携のアイテムが一部の曲を除き入手不可とは言語道断。であるからして今回、新・名盤探検隊による世界初CD化は暴挙であり偉業である。 ─

※ ただし、下線部は少々誇張があるようです。
foolishprideさんご指摘のとおり、『 SONG BY SONG 』 には 「ラジオから」 「偶然」 「驚嘆」 「本人の希望」 等の表現はありません。一方、後述するLPジャケ裏のバカラック本人ライナーによると、「ヒット曲だけじゃなく、自分が書いたことも忘れてるような曲が数曲ある」 「3年ほど前、ストックホルムでラジオ聴いて印象に残ったのが最初」 「USに戻って彼らのLPを聴いて…」 だそうですから、LPライナーと 『 SONG BY SONG 』 から皆川さんが想像を膨らませた表現と思われます。
『 SONG BY SONG 』 に書かれている内容は、「(前段で本アルバムの紹介をした後に) バカラックは63年マレーネ・ディートリッヒのツアーでストックホルムにいる時に彼らを初めて聴きました。そして、出版社が彼らに良さげな曲を提供したんだと思い至ります。」 くらいの意味合いでしょうか。そして、「A面に自身が作曲したことも忘れていた2曲が収録されていて…」 という話題に繋がっていってます。
foolishprideさん、貴重なコメントありがとうございました!

バカラック肝入りの、しかもフルヴァージョンとしては世界初のバカラック集だったとは! なお、引用文中にある ‟ 一部の曲 ” とは、2000年にリリースされたギャルズ&パルズのコンピCD 『 Guldkorn 』 に収められた4曲(本作でのT-5,7,8,9.)のことを指していると思われます。

そして、本作は更に贅沢なオマケまで付いてます。

─ 本作は、件のいきさつからか彼自身(あるでお注:バカラック自身)がライナーを書くという大サービス。彼らを知ったきっかけやメンバー構成などを綴っているが、音楽性に関しては 「 delightful to the ear 」 「 highly flattering handling of my music 」 とベタ褒めだ。 ─

音楽性のところは、「 耳に心地よい 」 「 私の音楽をとても引き立たせてくれた 」 てな意味でしょうか。ジャケット裏面の英文がそのライナーです。クリックすると大きくなりますので、是非ご覧になってください。

本作の収録曲は全14曲。ただし、それはスウェーデン盤の場合で、同年リリースされたUS盤はT-7,14.がオミットされた全12曲。本CDのジャケットには12曲しか記載されてないので、US盤のジャケットを復刻したみたいですねー。

…と曲目リストを目を凝らして眺めていると、見慣れない曲名がふたつ(゜o゜)。T-2. 「 クロス・タウン・バス 」 は本作がオリジナル。作詞は勿論ハル・デイヴィッド。 ─ 60年に出版登録されたものの、歌い手が決まらず言わばデッド・ストック状態だった楽曲 ─ なんだって。初めて聴きましたが、‟ ズンチャチャ ” リズムでコミカルな印象の曲。クロス・タウン・バスは路線バスの意味で、‟ 路線バスに乗っていると何が起こっても不思議じゃないよ ” という内容の歌詞でございます。

それと、T-3. 「 クロース 」 。こちらはカヴァーで、60年にキリー・スミスが歌ったのがオリジナル。ギャルズ&パルズのカヴァーはコーラスが美しく、オリジナルよりも良い出来だと思います。ちなみにオリジナルの方は2012年にまったりさんが取り上げてらっしゃって、その中でギャルズ&パルズのカヴァーがある…と言及されておられます。さすが! → こちら

その他はカヴァー定番曲が多く並んでいます。全曲のアレンジは、ラッセ・バッゲとA. アレキサンダーとかいうお方。オリジナルのイメージを大切にしつつ、手慣れた感じのコーラス・アレンジに加えて所々で特徴的なアレンジを施していて、なかなか侮れません。

T-7. 「 素晴らしき恋人たち 」 の最後、コーラスだけになってしっとり終わる美しいエンディング。T-8. 「 ブルー・オン・ブルー 」 のイントロや間奏で聴こえる、怪しげなピチカート・ストリングスによる分散和音。T-10. 「 愛の想い出(恋のウェイトリフティング) 」 では、いきなりサビからスタート。美しくて凝ったコーラス・ワークが聴けるのですが、のちにカヴァーするカーペンターズも参考にしたんじゃないかと思える箇所がチラホラあります。T-13. 「 ヒア・アイ・アム 」 での幻想的なコーラス・ワークもなかなかいいです。最後のT-14. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 でのちょっとドッチラケで楽しいコーラスと演奏も聴きものです。

音質的にはいいとはいえませんが、十分に個性的なバカラック集だと思います。 ─ 状況から鑑みて最初で最後のフィジカル・リリースになるであろう。 ─ と皆川さんはライナーで脅しておられます。気になった方は早めにご購入を!

※ 2016/ 1/ 2 追記


【データ】
『 SING SOMETHIN' FOR EVERYONE 』 (邦題:バカラックを歌う)
THE GALS & PALS

LP:1966年6月リリース (所有CDは、2015年12月9日リリースの日本盤。世界初CD化)
レーベル:metrpnome (所有CDは、ワーナーミュージック・ジャパン)
番号:MLP 15246 (所有CDは、WPCR-16997)

Musical director: Lasse Bagge
Arrangements by Lasse Bagge & A. Alexander
Member:
  Lasse Bagge (ラッセ・バッゲ) - M
  Kerstin Bagge (シェシュティン・バッゲ) - F
  Beppo Grasman (ベッポ・グラスマン) - M
  Ulla Hallin (ウッラ・ハリーン) - F
  Pia Lang (ピーア・ローン) - F
  Svante Thuresson (スヴァンテ・トゥーレソン) - M
  Leppe Sundewall (リップ・スンドヴァル) - M ヴォーカル兼トランペット
歌ってる ‟ 男女3人ずつ ” は、リップを除いた6人のようです

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カヴァーアルバム」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。このデータのあまりないアルバムに関して検索していてここに辿り着きました。
ライナーノーツで書かれている「Song by Song」からの引用はいささか、大げさに脚色されているように思います。
調べたところ実際には
"Bucharach first heard Gals & Pals in Stockholm while on tour with Marlene Dietrich in 1963, and one imagines that his publisher furnished them with some prospective songs."
としかありません。「ラジオから流れるギャルズ&パルズの楽曲を偶然耳にして驚嘆」とは書かれていないし(これはカバー裏のライナーノーツからの引用でしょう)、これがバカラック自身からの企画であるとも書いてありません。

いや、いいアルバムだとは思うのですが。

foolishprideさん、初めまして!
あるでおです。
貴重なコメントありがとうございます!

『 SONG BY SONG 』の167ページ、「 Cross Town Bus 」に関する記述の一文がご指摘の箇所ですね。

記事を書いた当時、『 SONG BY SONG 』の該当ページは私も目を通しました。が、なにぶん英語が苦手なもので、だいたいそんな意味なのかなー程度の認識でした。よく読むと、確かに「ラジオから」「偶然」「驚嘆」「本人の希望」という表現はありませんね^^;

一方、LPジャケ裏のバカラック本人のライナーで、関連するのは以下の箇所でしょうか。

" Particularly gratifying was the group's selection of songs for the recording. They not only refrained from doing only the so-called hits - but even dug back far enough for several numbers which I'd almost forgotten that I'd written! (And it's so nice to know somebody remembers!) "
" Looking back, I recall being first impressed with this entertaining group when in Stockholm with Marlene Dietrich about three years ago. We just happened to hear them on the radio - both on records and live. Later back in the U.S., I heared their first L.P. "Gals & Pals", and was intrigued enough, even at that stage, to seek out the identities and backgrounds of the people involved. "

「ヒット曲だけじゃなく、自分が書いたことも忘れてるような曲が数曲ある」「3年ほど前、ストックホルムでラジオ聴いて印象に残ったのが最初」「USに戻って彼らのLPを聴いて…」といた内容が読み取れます。

foolishprideさんがご指摘されたように、皆川さんの記述は、LPライナーと『 SONG BY SONG 』から想像を膨らませた表現…と言えますね。皆川さんは双方のファンということもあって、執筆するにあたり自然にポジティブなバイアスが掛かったのかもしれません(^^)。

いずれにしても、貴重な情報・ご指摘をいただき、大変ありがとうございました。私もバイアスがかかったり思い込みで書いていることが少なくありません。何かお気づきのことがございましたらお気軽にコメントをお寄せください。

今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m

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