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2016年1月 3日 (日)

COMPLETELY CILLA: 1963-1973/Cilla Black (2012年)

英女性ポップ・シンガー、シラ・ブラックの1963年~1973年のコンプリート集です。バカラック作品を9曲収録するとともに、映像でも3曲を収録。

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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CD  5枚全139トラック中、バカラック作品は9トラック
DVD  1枚全25トラック中、バカラック作品は3トラック

CD1-4. ANYONE WHO HAD A HEART (2:47)
CD1-7. THIS EMPTY PLACE (2:42)
CD1-18. BABY IT'S YOU (2:44)
CD2-10. MAKE IT EASY ON YOURSELF (3:04)
CD2-14. ALFIE (2:37)
CD3-1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (3:09)
CD3-28. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART) (3:24)
CD4-13. THE APRIL FOOLS (2:42)
CD5-1. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (3:38)
DVD-7. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART) (3:27)
DVD-10. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (4:00)
DVD-12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (3:10)


英女性ポップ・シンガー、シラ・ブラックの1963年~1973年(デビュー時から在籍したパーロフォン・レーベル時代)のコンプリート集です。6枚組(CD 5枚+DVD 1枚)で、2012年にリリースされました。

Wiki他によると、シラ・ブラックは1943年生まれ。本名をプリシラ・マリア・ベロニカ・ホワイトというそう。かつてビートルズがレギュラーで出演していたリヴァプールのキャヴァーン・クラブのスタッフとして働いていたところ、ビートルズに才能を見出され、ビートルズのマネージャーのブライアン・エプスタインに紹介されました。その後エプスタインのつてでジョージ・マーティンに引き合わされ、ビートルズと同じレーベルのパーロフォンと契約します。

1963年9月にレノン=マッカートニー作の 「 Love of the Loved 」 でデビューを果たし、セカンド・シングルではディオンヌ・ワーウィックの 「 恋するハート 」 をカヴァーするとこれが60年代のイギリスの女性アーティストでは最大のヒットとなり、以後もヒット・シングルを量産しました。その後もテレビのパーソナリティとしても幅広く活躍していましたが、昨年(2015年)8月に他界。享年72歳でした、合掌。

シラのアルバムは一部しかCD化されていません。ですので、ひとつのレーベルだけとはいえ、シングルやオリジナル・アルバムのみならず後に発掘された音源までコンプリートで収録された本作は、実に貴重です。しかもべらぼうに安いし(私は3,829円で新品を購入)。

R86573914156243826819jpegR86573914156243847610jpeg前述したとおり、CD1-4. 「 恋するハート 」 はシラのセカンド・シングル。(R5101 on 31 Jan 1964)
自伝でバカラック爺はこう語っています。 ─ 当時は経緯をまったく知らなかったのだが、ビートルズのマネージャーを務めるブライアン・エプスタインがニューヨーク滞在中にディオンヌの 「 恋するハート 」 を買い、ロンドンに持ち帰った。彼からレコードをもらったジョージ・マーチンは、シャーリー・バッシーにうたわせたらぴったりだと考えたが、けっきょくはシラ・ブラックとアビイ・ロード・スタジオでレコーディングした。そのヴァージョンはイギリスでヒットを記録し、おかげでディオンヌはすっかりつむじを曲げてしまった。 ─
時系列で並べてみると以下のようになります。
  1963年11月  ディオンヌ: シングル 「 恋するハート 」 をリリース
  1964年 1月  ディオンヌ: 「 恋するハート 」 全米8位
  1964年 1月10&15日 シラ: 「 恋するハート 」 をレコーディング
  1964年 1月31日  シラ: シングル 「 恋するハート 」 をリリース
  1964年 2月  ディオンヌ: シングル 「 恋するハート 」 を英国でリリース
シラの曲は全英28位からどんどん上昇。2月29日に1位となり三週間その座をキープします。一方、ディオンヌのシングルは初登場時全英42位だったものの、シラに頭を抑えられた形でそれ以上にはならず…。件の自伝では、エルビス・コステロが当時の事情(アメリカとイギリスでは発売日にタイムラグがあり、アメリカでヒットした曲をピックアップしてイギリスでリリースすることがよくあった)を語り、シラを庇っていますね。
シラのヴァージョンは確かにディオンヌ版をコピーしたアレンジですが、サビでのパワフルな歌唱、ちょっと怪しげな女性バックコーラス、間奏のメロディをサックスではなくオーボエ&ファゴットが吹くそのクラシカルなムード…など、真似しただけとは言わせない仕上がりだと思います。

R29588011309180961jpegR29588011309180971jpegCD1-7. 「 ディス・エンプティ・プレイス 」 と、CD1-18. 「 ベイビー・イッツ・ユー 」 は、1965年リリースのアルバム 『 Cilla 』 に収録。(STEREO:PCS 3063/MONO:PMC 1243)
「 ディス・エンプティ・プレイス 」 はディオンヌがオリジナル(1963年2月)。シラのカヴァーは、これこそディオンヌ版の完コピカヴァーといった感じです。「 ベイビー・イッツ・ユー 」 はシレルズがオリジナル(1961年12月)ですが、ギターのリフやベースの動きを聴くとシラのカヴァーはビートルズ版(1963年)の方に近いです。やはり、ビートルズゆかりのアビイ・ロード・スタジオでレコーディングしてるだけのことはありますね(^^)

R200068714349986364444jpegR200068714349986437945jpegCD2-10. 「 メイク・イット・イージー・オン・ユアセルフ 」 は、1966年4月リリースのアルバム 『 Cilla sings a Rainbow 』
に収録。(STEREO:PCS 7004/MONO:PMC 7004)
この曲はジェリー・バトラーがオリジナル(1962年7月)。シラのカヴァーは、伴奏のオブリガートが違っていたりエンディングで更にサビを繰り返すなど独自の工夫を施してはいますが、オリジナルやディオンヌ版と同じリズム/テンポ/雰囲気のアレンジです。


R6328471315244738jpegImg109ddCD2-14. 「 アルフィー 」 は、英映画 『 アルフィー 』 の主題歌(スコアはソニー・ロリンズが担当)。映画では、エンディングで流れます。シングルは1966年3月25日に英国でリリース(R5427)され全英9位を記録。この曲、ベスト盤には入っていても、シラのオリジナル・アルバムには未収録のようですね。なお、シラがこの曲のオリジネーターなんですが、映画の米公開時にはシェールのヴァージョンに差し替えられました。
1966年2月22日、アビイ・ロード・スタジオでのレコーディングはもはや伝説となっていますね。バカラックがピアノを弾きオーケストラを指揮しているレコーディング風景はYouTubeで観ることができますし、バカラック自伝でもバカラックはオファーを受けてからレコーディングの様子までを語っています。
本アルバムのライナーには、レコーディングのリハーサル風景の写真が載っていました。シングル盤の右の写真がそれで、バカラック/プロデューサーのジョージ・マーチン/シラの3人が写ってます。

R166449114388561443720jpegR166449114388561494977jpegCD3-1. 「 世界は愛を求めてる 」 は、1968年リリースのアルバム 『 Sher-oo! 』 に収録。(PCS 7041)
この曲はジャッキー・デシャノンがオリジナル(1965年4月)。シラのカヴァーは、ジャッキー版と同様軽いジャズ・ワルツでテンポも同じ♩≒108なんですが、イントロやエンディングでトランペットが吹く三連符のオブリガートがとても独創的で強く印象に残ります(曲の途中、サビでストリングスも弾いてます)。
編曲は Mike Vickers という方。マンフレッド・マンのギタリスト(フルート、サックス奏者でもある)だった方で、1967年~1971年の間、シラの曲の多くをアレンジしています。彼は本アルバムのライナーにコメントを寄せていまして、この曲についても言及しています。その一部をご紹介します。 ─ シラの 「 世界は愛を求めてる 」 は私のお気に入りのひとつと言っていいでしょう。リファレンスはジャッキーのヴァージョン。形式的には非常に似ていますが、それは曲の構成面でのことで、私はあちこちでフレーズを変えました。少し違った何かをやってみたかったんですね。それはつまりカウンターメロディ(訳者注:対旋律のことでオブリガートと同義)のことで、冒頭いきなり金管楽器により登場します。私が編み出したこの小さなモチーフは、再びストリングスの高音で奏でられます。確かに私はオリジナルのパーツを交換しましたが、この程度のことでオリジナルの存在が揺らぐものではありません。特にバカラックのカヴァーであれば。 ─ 超意訳ですが大意は合ってると思います。アレンジャーにとっても印象に残っている曲なんですねー。
その反面、シラの歌唱は無難な感じでジャッキーほどは琴線に響きません。ジャッキー版に慣れたせいかもしれませんが…。

R236305913634026219673jpegR236305913634026373211jpegCD3-28. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」 は、1969年リリースのアルバム 『 Surround Yourself With Cilla 』 に収録。(STEREO:PCS 7079/MONO:PMC 7079)
この曲はディオンヌがオリジナル(1964年7月)。シラのカヴァーは、ディオンヌ版に似た雰囲気ではあるんですが若干ゆったり目のテンポで意外にもドリーミーな仕上がり。編曲はこれまた Mike Vickers の手によるもので、特に金管のソフトな和音が私的には好みです。また、シラも持ち前のパワフルさを封印してうま~く肩の力を抜いて歌っています。裏声を有効に使うなどドリーミーなシラを聴くことができます。

R29575451309127213jpegR29575451309127222jpegCD4-13. 「 幸せはパリで 」 は、1970年リリースのアルバム 『 Sweet Inspiration 』 に収録。(PCS 7103)
この曲もディオンヌがオリジナル(1969年5月)。シラのカヴァーは、オリジナルと同じリズム/テンポ/雰囲気のアレンジですが、管楽器の活躍が目立ち、サビの部分のオーケストラも分厚い感じです。クレジットを確認しましたら、編曲はなんとプロデューサーのジョージ・マーチン御大ではありませんか。『 Sweet Inspiration 』 の13曲中、御大がアレンジしたのはこの曲だけ。シラの歌唱はディオンヌほどではありませんが、表現力もありこの曲に十分マッチしていると思います。

R20651031285363003jpegCD5-1. 「 遥かなる影 」 は、1971年リリースのアルバム 『 Images 』 に収録。(PCS 7128)
カーペンターズがヒットさせた後ということで、カーペンターズ版をベースとしたカヴァーです。編曲は Mike Vickers。コピーというわけではなく、ギターやキーボードのオブリガートだったり弦(特にコントラバス)の動きなどには独自の色を出していますし、サビの後の特徴的な5連符も外してます。シラも曲の雰囲気に合わせてソフトに落ち着いて(地味に?)歌っています。



DVDの1枚は、“ LIVE AT THE BBC ” というタイトルが付いたもので、1968年~1977年にBBCで放送されたTV番組の中からチョイスした映像が収録されています。リージョン0でNTSC仕様ですから、日本のDVDプレーヤーで問題なく再生できます。バカラック・カヴァー3作品のみ、キャプチャー画像2枚ずつを添えて簡単に紹介します。

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DVD-7. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」 は、『 the BBC TV Show 'Cilla' - Series 2 』 からで、1969年2月19日に放送されたもの。見ての通りモノクロです。バックはアルバムと全く同じアレンジ。てっきり口パクかと思ったら、そうではありませんでした。だってシラ姐さん、イントロで “ラララ… ” と歌ったところまでは良かったんですが、Aメロを1小節早く歌い出してしまったんですもんcoldsweats02。でも、何事もなかったように復帰しました。サスガですcoldsweats01

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DVD-10. 「 遥かなる影 」 は、『 the BBC TV Show 'Cilla' - Series 5 』 からで、1971年11月20日に放送されたもの。カラー番組にステップアップしています。シラはマイク持ってませんから、口パクです。でも、バックの演奏はアルバムとは微妙に違うので、それ用に録ったんでしょうか。それよりも、赤白のボーダーを着て無言で変な動きをする10人のお姉さん&お兄さん達が気になって仕方ありません(笑)。

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DVD-12. 「 世界は愛を求めてる 」 は、「 遥かなる影 」 と同じく 『 the BBC TV Show 'Cilla' - Series 5 』 からで、1971年11月27日に放送されたもの。これはアルバム音源の口パクと思われます。映像は、スタジオで歌ってる場面と湖畔みたいなところで若者とシラがキャンプしている場面が交互に出てきます。キャンプの映像、要るんでしょーか?

以上3曲の映像は、すべてYouTubeにもアップされていました。興味がお有りの方は検索してご覧になってください。


【データ】
『 COMPLETELY CILLA: 1963-1973 』
Cilla Black

CD:2012年4月22日リリース
レーベル:Parlophone (UK)
番号:50999 6 02832 2 1

Executive Producer: Robert Willis for Cilla Black Ltd

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