THE SENSITIVE SOUND OF DIONNE WARWICK/Dionne Warwick (1965年)
ディオンヌ・ワーウィックの4作目のアルバムです。バカラック作品を7曲収録!
(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
Original LP front cover/back cover
所有CD (2 in 1)のジャケットの表/ライナーの裏表紙
全11トラック中、バカラック作品は7トラック
1. UNCHAINED MELODY (Unedited)
2. WHO CAN I TURN TO
3. HOW MANY DAYS OF SADNESS
4. IS THERE ANOTHER WAY TO LOVE YOU
5. WHERE CAN I GO WITHOUT YOU
6. YOU CAN HAVE HIM
7. WIVES AND LOVERS
8. DON'T SAY I DIDN'T TELL YOU SO
9. ONLY THE STRONG, ONLY THE BRAVE
10. FOREVER MY LOVE
11. THAT'S NOT THE ANWSER
所要時間約33分
ディオンヌ・ワーウィックの4作目のアルバムです。1965年2月リリース。
収録全11曲のなかで、バカラック作品は7曲。勿論、すべてバカラック&デイヴィッドのコンビによるものです。セカンド・アルバムやサード・アルバムのように、既発売アルバムからの再収録曲は皆無です。パチパチ。やっと普通になっただけですが^^;。
所有CDは輸入盤なので日本語ライナーなんてありません。何か面白いこと書いてないかなぁ…と英語のライナーを眺めていましたら、リリース当時のビルボード誌のレビューが載ってました(左)。どんなことが書いてあるんでしょうか。
─ 情緒豊かなワーウィックのスタイルにフィットするスタンダード曲をうまくまとめあげた作品。 「 アンチェインド・メロディ 」 は、彼女の歌詞に対する感覚が最もわかる1曲。“ ボレロ ” スタイルのアレンジが全面的にそれを支えている。 「 フー・キャン・アイ・ターン・トゥ 」 は、歌詞の暖かさ、優しさが堪らない。バカラックのアレンジは格別だ。 ─
意訳の細かいところは脇に置いといて、私が気になったのは取り上げられた2曲。T-1. とT-2.なんですが、どちらもバカラック作品ではありません。バカラック作品には注目すべき曲が無いってことですょ、これは。バカラックのアレンジについては言及あるんですけどねー。
ちなみにこの2曲はカヴァー。T-1. 「 アンチェインド・メロディ 」 は1955年の曲。ライチャス・ブラザーズ版が有名ですが、ライチャスが録音したのは1965年6月だそうですから、ディオンヌ版はそれよりも前。確かにボレロのリズムを取り入れたバカラックのアレンジはユニークです。それと、T-2.「 フー・キャン・アイ・ターン・トゥ 」 は、1964年のミュージカル 『 The Roar Of The Greasepaint, The Smell Of The Crowd 』 (邦題:ドーランの叫び、観客の匂い) の曲で、それをカヴァーしたものだそう。
…てなことを頭に入れながら、バカラック作品の7曲を紹介してまいります。
T-3. 「 悲しみの日々 」 : ディオンヌがオリジナル。1964年10月にリリースしたシングル 「 リーチ・アウト 」 のカップリング曲でした (SCEPTER 1285、B面)。4拍子のミディアム・テンポの曲。美しいけれど高低差の激しいメロディで、ディオンヌもサビの高音域をシャウト気味に歌っています。この曲のカヴァーは聴いたことがありません。非常にレアな曲です。
T-4. 「 イズ・ゼア・アナザー・ウェイ・トゥ・ラヴ・ユー 」 : これもディオンヌがオリジナル。1965年3月にリリースしたシングルT-6. 「 ユー・キャン・ハヴ・ヒム 」 のカップリング曲となります(SR 1294、B面)。4拍子のミディアム・テンポの曲ですが、Aメロは3連符の4拍子、Bメロは8ビート、サビは不思議なコード展開と音程の取りにくそうなメロディ。かなり難解な曲です。この曲も、ディオンヌ版以外聴いたことありません。これまた非常にレアな曲です。 …と思っていたら意外なところからカヴァーが見つかりました。後述します。※
ちなみに、T-6. 「 ユー・キャン・ハヴ・ヒム 」 はロイ・ハミルトンの1961年のヒット曲のカヴァー(バカラック作品ではありません)。所有CDのライナーによると、ディオンヌが1964年の終わりころツアー&TV出演のため英国を訪れた際、ロンドンにあるPyeレコードのスタジオでバカラックと録音したうちの1曲なんだとか。女性バック・コーラスは、シラ・ブラックのレコーディングでも常連だったBreakaways。ナルホド、このことがバカラック自身のレコーディングに繋がるんですね!
T-7. 「 素晴らしき恋人たち 」 : カヴァーです。オリジナルはジャック・ジョーンズ (1963年10月にシングルA面でリリース、全米14位)。自伝では ─ わたしの思い描くアレンジとはちがっていたので、ジャックのバージョンは決して気に入っていない ─ と書いてるバカラック御大。曲調は同じですが、イントロのメロディ、ウッド・ベースの動き、金管の合いの手、ストリングスのオブリガート、間奏に入る金管のオカズなど、隅々まで細かな工夫が散りばめられていて、ジャズ・ワルツのこの曲をよりジャズっぽくアレンジしています。ディオンヌの歌いっぷりはポップス寄りですが。
本アルバムのバカラック作品の中では唯一といえるカヴァー定番曲。やはりジャズ・シンガーをはじめジャズ系のカヴァーが多いです。
T-8. 「 それは言わないで 」 : ディオンヌがオリジナル。前述したT-2. 「 フー・キャン・アイ・ターン・トゥ 」 は1965年2月にシングル・リリースされるのですが、そのカップリング曲でした (SR 1298、B面)。ゆったりしたミディアム・テンポの4拍子の曲です。イントロからテンション・コードを弾くピアノやベースの動きがクールで渋い! メロディもとても変わってます。変拍子も入ってるし。決して盛り上がらないサビでのピアノとスネアの爪弾きもや、2コーラスめのAメロで一部ディオンヌの代わりにメロディを奏でるミュート・トランペット&バック・コーラスのスキャットなど、印象に残るアレンジ。ジャズ・フルート奏者のハービー・マン(1966年)のカヴァーしか聴いたことないレア曲ですが、他にもっとカヴァー聴いてみたいですね。
T-9. 「 強く雄々しく 」 : ディオンヌがオリジナル。1965年10月リリースのシングル 「 LOOKING WITH MY EYES (みつめてごらん私の瞳) 」 のカップリング曲となります(SR 12111、B面)。軽快なミディアム・テンポの基本4拍子の曲ですが、ところどころ3拍子や2拍子が挟まる変な曲です。これまたディオンヌ版以外聴いたことがない超レア曲です。
T-10. 「 フォエヴァー・マイ・ラヴ 」 : カヴァーです。オリジナルはジェーン・モーガン (1962年4月にシングルB面でリリース、KAPP K-450X)。同名映画(パラマウント)の主題歌だそうです。バカラックらしさが感じられない、何の変哲もないバラード曲。いいのか悪いのか(笑)。これも超レアな曲です。
T-11. 「 ザッツ・ノット・ジ・アンサー 」 : ディオンヌがオリジナル。ズンチャチャ・リズムが特徴的なミディアム・テンポの小品。ディオンヌも軽く歌っています。Vi Velascoという女性シンガーが同年カヴァーしていますが、イントロの女性コーラスが可愛らしいVi Velasco版に軍配を上げます。
「 素晴らしき恋人たち 」 を除くバカラック作品6曲は、レア曲ばかり。しかも、これらの曲のディオンヌ版を収録してるコンピCDの類は見当たりません。一般受けはしないでしょうが(そういう意味でビルボード誌のレビューはサスガですね^^:)、バカラック・マニアにとっては必携のアルバムかと。
※ 2022年9月25日追記 ここからはMP3で持ってるバカラック・カヴァーをご紹介。
T-4. 「 イズ・ゼア・アナザー・ウェイ・トゥ・ラヴ・ユー 」 のカヴァーを最近2例発見しました。
フィンランドの女性歌手、Anki(当初のアーティスト名はAnki Lindqvist)が1968年にリリースしたアルバム『 Vielä Pois 』でカヴァーしておりまして、フィンランド語詞で曲名もフィンランド語の「 Tien Sydämeesi Löytää Tahdon 」(3:01) 。なんと読むかさっぱりわかりませんけども🤷。アレンジの基本的な構成はオリジナルのディオンヌ版を踏襲しているのですが、ディオンヌ<♩≒100>に対してゆったりしたテンポ<♩≒84>でキーも短三度低く、情感を込めて切々と歌っていいるのが印象的です。好カヴァーかと。
ちなみに、本アルバムでは「 MESSAGE TO MICHAEL 」もフィンランド語詞でカヴァー。タイトルは「 Murheista Kerron 」(3:03) 。ディオンヌ版とアレンジ・テンポほぼ同じでキーが半音低いくらい。こちらはディオンヌのコピーといった感じです。
また、英国でも1965年に男性DJのTony BlackburnがシングルA面で「 IS THERE ANOTHER WAY TO LOVE YOU 」(2:43) をカヴァーしています。バックのオケは独自のアレンジでイントロは分かりやすく派手なしつらえ。本編に入るとクルーナーのような歌い方に合わせてシンプルな仕上がり。一方エンディングは、盛り上げて終止形で終わるディオンヌ版やAnki Lindqvist版とは異なりフェードアウトして終わります。
【データ】
『 THE SENSITIVE SOUND OF DIONNE WARWICK 』 (邦題:ザ・センシティヴ・サウンド・オブ・ディオンヌ・ワーウィック)
Dionne Warwick
LP:1965年2月15日リリース (所有CDは、1995年リイシューの2 in 1)
レーベル:SCEPTER RECORDS (所有CDは、SEQUEL RECORDS (UK))
番号:SCEPTER 528 (所有CDは、NEM CD 761)
Produced by Bacharach & David
Arranged & Conducted by Burt Bachrach
リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/2/4)
Amazonリンク(リイシューCD)(リイシュー2 in 1 CD)(リイシュー 4 in 1 CD)
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