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2016年3月

2016年3月30日 (水)

PROMISES, PROMISES/Dionne Warwick (1968年)

ディオンヌ・ワーウィックの11作目のスタジオ録音アルバムです。バカラック作品を5曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ジャケット裏

全10トラック中、バカラック作品は5トラック

1. PROMISES, PROMISES
2. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
3. LITTLE GREEN APPLES
4. WHERE IS LOVE?

5. WHO IS GONNA LOVE ME?
6. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU
7. WHERE AM I GOING?
8. WANTING THINGS
9. LONELY IN MY HEART
10. YESTERDAY I HEARD THE RAIN

<BOUNUS TRACKS>
11. DREAM SWEET DREAMER
12. THE APRIL FOOLS
13. SLAVES
14. ODDS AND ENDS
15. OUR AGES OR OUR HEARTS
16. IF YOU LET ME MAKE LOVE TO YOU THEN WHY CAN'T I TOUCH YOU?

※ T-11~16. はCDリイシュー時のボーナス・トラック

収録時間約33分 (ボーナス・トラック込みで約54分)


ディオンヌ・ワーウィックの11作目のスタジオ録音アルバムです。1968年11月のリリース(1968年12月リリースという説もあり、100%の自信はありません^^;)。

アルバム・タイトルになったT-1. 「 プロミセス・プロミセス 」 は、1968年12月1日からブロードウェイで上演が始まった(その前にボストンとワシントンでプレビュー公演していますが)同名ブロードウェイ・ミュージカルのタイトル曲。T-6. 「 あなたはあなた(あなたはもういない) 」 とT-8. 「 欠けているもの(ウォンティング・シングス) 」 を含めた3曲がこのミュージカルからの曲です。ディオンヌはこのミュージカルに関わってないんですけどねー。少しでもミュージカルの宣伝になれば…というバカラック&デイヴィッドの意図がうかがえます。

全10曲中、バカラック&デイヴィッド作品は5曲。

T-1. 「 プロミセス・プロミセス 」 : 世に出たのはディオンヌ版が最初ですから普通ならオリジナルってことになるのでしょうが、ちょっと違う気がします。先に触れたように、同名ブロードウェイ・ミュージカルのラストシーンで歌われる曲です。本アルバムに先行して、1968年10月にシングルをリリース(SCE 12231、A面)。全米チャートでも19位まで上がりました。プレビュー公演をやってる頃だと思うのですが、じゅうぶんミュージカルの宣伝になったのではないでしょうか。
オリジナル・キャスト版の♩≒156より遅めの♩≒146というテンポは、余裕さえ感じさせるディオンヌの歌いっぷりと相まって、本来の軽快なこの曲に落ち着いた印象を与えています。加えて、サビの締めくくりで “ Yes, love ~~ ” とオクダーヴ上げて歌うあたりの声の張りも力強いですし。この曲、息継ぎする箇所は少なそうだし変拍子はバンバンあるし、歌いこなすのはとても難しいと思うんですけどねー。さすがはディオンヌです。

T-2. 「 ディス・ガール 」 : オリジナルはハーブ・アルパートが歌い1968年6月に全米1位となった 「 ディス・ガイ 」 。ディオンヌのこのカヴァーは、「 プロミセス・プロミセス 」 の次のシングルとして1969年1月にリリース(SCE 12241、A面)、全米7位を記録しました。ハーブ版と似た雰囲気のアレンジですが、でもこれ、アレンジはバカラックじゃないんですね。これまで自分の作品は自身でアレンジしてきたのに…。よっぽど忙しかったんでしょうね、ミュージカルの仕事が。

T-5. 「 フー・イズ・ゴナ・ラヴ・ミー(誰が私を) 」 : ディオンヌがオリジナル。本アルバムからのシングル第一弾として、1968年8月にリリース(SCE 12226、A面)。全米33位の中ヒットとなりました。のんびりした感じの3拍子の曲。転調また転調、そしてちょっぴり変拍子もあったりして、いかにもバカラック。ディオンヌ以外には、ピーター・ネロのカヴァーを知ってるだけのレア曲です。

T-6. 「 あなたはあなた(あなたはもういない) 」 : 前述のとおり、ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 からの曲です。シングル 「 プロミセス・プロミセス 」 のカップリング曲でした(SCE 12231、B面)。キーやテンポも含めて、オリジナル・キャスト版のアレンジとほぼ同じです。アレンジしたのはバカラック自身ですからね、納得です。

T-8. 「 欠けているもの(ウォンティング・シングス) 」 : これまたミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 からの曲。オリジナル・キャスト版では歌い上げて終わるのですが、このディオンヌ版は静かに終わります。もしやと思ったら、やはりアレンジはバカラックではありませんでした。

また、本アルバムは他にもミュージカルの曲を取り上げています。T-4. 「 恋はどこに 」 がミュージカル 『 オリバー! 』 の曲で、T-7. 「 わたしはどこへ 」 もミュージカル 『 スウィート・チャリティ 』 の曲。「 恋はどこに 」 はミュージカルに疎い私でも聴いたことがある曲でした。


さて、ここからはCDリイシュー時のボーナス・トラックとなっているバカラック&デイヴィッド作品をご紹介。いずれもシングルのみでオリジナル・アルバムには未収録の音源です。

T-11. 「 ドリーム・スウィート・ドリーマー 」 : ディオンヌがオリジナル。シングル 「 ディス・ガール 」 のカップリング曲でした(SCE 12241、B面)。アレンジも 「 ディス・ガール 」 と同じDon Sebeskyなる人物。これはとってもレアな曲です。

T-12. 「 幸せはパリで(エイプリル・フール) 」 : ディオンヌがオリジナル。1969年5月公開の同名映画の主題歌で、1969年4月にシングル・リリースされ全米37位を記録しました(SCE 12249、A面)。ただし映画のサントラ盤には未収録。ディオンヌのベスト盤なんかには入ってるんじゃないですかね。バカラック自伝によると、ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 で燃え尽きてしまい、映画 『 幸せはパリで 』 のオファーは断ったけれどもけっきょく主題歌のみ引き受けたんだとか(映画のスコアはムーヴィン・ハムリッシュが担当)。でも、とてもそんな状態で作曲したとは思えません。メジャー・セブンスやメジャー・ナインスを多用した、なんとも優美で胸がきゅんとなる曲です。男がそんなこと言っても気持ち悪いでしょうけれど^^;。アレンジもバカラックの手になるもので、ふわっとしたトランペットなんかもうバカラックしています。カヴァーはそれなりに多いですが、高橋幸宏中本マリなど日本人のカヴァーがけっこう印象に残っています。インスト物では渋いアコギ・ソロのアール・クルー版がなかなか良いです。
映画そのものはオトナのちょっとしょっぱいロマンチック・コメディ。2017年6月にようやく日本版がDVD化されました、パチパチ。(※)

T-14. 「 オッズ・アンド・エンズ 」 : ディオンヌがオリジナル。1969年7月にシングル・リリースされ、全米チャートは43位でした(SCE 12256、A面)。アレンジもちゃんとバカラック自身が手掛けています。ほんわかしたちょっとトボけたメロディに、ところどころ聴こえるチェンバロや間奏の口笛など、独特の味がある曲です。カヴァーは少ないですが、その中ではリーグモル・グスタフソンのバージョンが渋くて印象に残っています。

※ 2019年3月3日 アップデート


【データ】
『 PROMISES, PROMISES 』 (邦題:プロミセス・プロミセス)
Dionne Warwick

LP:1968年11月リリース (所有CDは、2014年リイシューのEU盤)
レーベル:SCEPTER RECORDS (所有CDは、Edsl/Rhino)
番号:SCEPTER 571 (所有CDは、EDSX 3017)

Produced by Burt Bacharach and Hal David
Arranged & Conducted by Burt Bacharach (T-1,5,6.), Don Sebesky (T-2,4,8.), Peter Matz (T-3,7,9,10.)

 

 

 

2016年3月23日 (水)

DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls/Dionne Warwick (1968年)

ディオンヌ・ワーウィック、10作目のスタジオ録音アルバムです。バカラック作品を5曲収録!

(画像はすべてクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ジャケット裏

全10トラック中、バカラック作品は5トラック

1. AS LONG AS THERE'S AN APPLE TREE
2. UP, UP AND AWAY
3. YOU'RE MY WORLD (IL MIO MONDO)
4. (THEME FROM) VALLEY OF THE DOLLS
5. SILENT VOICES (LA VOCE DEL SILENZIO)

6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
7. FOR THE REST OF MY LIFE (DEDICATO ALL' AMORE)
8. LET ME BE LONELY
9. WHERE WOULD I GO
10. WALKING BACKWARDS DOWN THE ROAD

収録時間約31分


ディオンヌ・ワーウィックの10作目のスタジオ録音アルバムです。1968年3月のリリース。

アルバム・タイトルになったT-4. 「 哀愁の花びら(のテーマ) 」 は、バカラック作品ではありません。指揮者として有名なアンドレ・プレヴィンの作曲で、1967年12月公開の米映画 『 Valley of the Dolls (哀愁の花びら) 』 の主題歌としてディオンヌが歌ったものです。ただ、映画に使われた一方で、映画のサントラ・アルバムには所属レーベルが異なるため収録されなかったんですね。しかたなく(という訳じゃないでしょうが)、再レコーディングしたものをシングル 「 小さな願い 」 のカップリングとして1967年10月リリース (SCE 12203、B面)。ご承知のように 「 小さな願い 」 はリリースした10月に全米4位となります。そして、映画が12月に公開されたあとこのシングルは両A面扱いとなり、翌1968年1月に 「 哀愁の花びら(のテーマ) 」 は全米2位を記録! 両面ヒットはこのようにして生まれたんですねー。

この影響は大きかったとみえ、本アルバムは全米アルバムチャート6位に。ディオンヌのアルバムのなかで最も高位にランクされたアルバムとなりました。

なお、本アルバム・リリースの前月、ディオンヌは 『 THE MAGIC OF BELIEVING 』 というゴスペルのアルバムをリリースしているのですが、バカラック作品未収録のため拙ブログではスルーさせていただきました。

さて本作。全10曲中、バカラック作品は5曲なんですが、全てディオンヌに書き下ろした曲ばかりでございます。

T-1. 「 アズ・ロング・アズ・ゼアズ・アン・アップル・ツリー(リンゴの木がある限り) 」 : ディオンヌがオリジナル。本アルバムから1年以上も経った1969年7月にシングル 「 ODDS AND ENDS(オッズ・アンド・エンズ) 」 のカップリング曲となりました(SCE 12256、B面)。4拍子でミディアム・テンポの小粋な曲。イントロ無しでいきなりAメロからはじまります。Bメロは、下降したと思ったら1オクターヴ以上ジャンプしてまた下降して最初の音に戻るという訳わからんメロディ。変態チックなコード進行に加えて、これでもかと転調するし…、いかにもバカラック。ディオンヌ版以外、他のバージョンは聴いたことがありません。

T-6. 「 サン・ホセへの道 」 : ディオンヌがオリジナル。本アルバムが世に出た一か月後の1968年4月にシングル・リリース(SCE 12216、A面)。全米10位となりました。イントロで女性コーラスが歌う “ ウォウ、ウォウ… ” というオクターブ下降するフレーズが、なんとも特徴的です。アップテンポの明るい曲調なのですが、スターになれず生まれ育ったサン・ホセに帰る人のことをうたっているちょっとアンハッピーな歌詞なんですね。バカラックは自伝でこう述懐しています。 ─  あのころはときどき、ハルの歌詞が持つムードに反した曲を書くというふうなこともやっていた。 ─  
いずれにせよ、ディオンヌの代表曲のひとつになりました。カヴァーもムチャクチャ多いです。

T-8. 「 レット・ミー・ビー・ロンリー(ひとりにしてほしい) 」 : ディオンヌがオリジナル。T-6. 「 サン・ホセへの道 」 のカップリング曲となりました(SCE 12216、B面)。B面にも関わらず、全米71位を記録しています。3拍子の曲ですが、なんかこうあまりバカラックの匂いがしないソウルフルなバラードなんですね、これが。カヴァーは少なく、私の知る限りフィフス・ディメンションとスウィート・インスピレーションズだけです。

T-9. 「 ホエア・ウッド・アイ・ゴー 」 : ディオンヌがオリジナル。ストリングスの和音と薄いトランペットのフレーズで始まるイントロがなんとも印象的なミディアム・テンポの曲。メロディライン、曲の構成、コード進行、どれをとっても意外性があってバカラックらしいです。特に、サビで、“ タンタタ ” という4分音符と8分音符ふたつのフレーズを15回/7小節半も繰り返すメロディラインは、もうしつこ過ぎて笑っちゃいます^^;。カヴァーで私が知ってるのはバーバラ・アクリン版だけです。

T-10. 「 ウォーキング・バックワーズ・ダウン・ザ・ロード(私が歩む世界) 」 : ディオンヌがオリジナルです。さりげなく高低差のあるメロディラインにさりげない転調など、軽いタッチですがしっかりバカラックっぽさが感じられる曲です。アレンジ面では、シロフォンやグロッケンにチェンバロなど、特徴的な音色を持つ減衰系楽器をうまく使っているなぁという印象。カヴァーで私が知ってるのはリズ・ダモンズ・オリエント・エクスプレス版だけです。(※)

バカラック作品以外では、フィフス・ディメンションのヒット曲T-2. 「 ビートでジャンプ 」 を軽いボサノヴァ・アレンジで歌っています。アレンジはバカラックじゃありませんが、なかなかゴキゲンなカヴァーです。

※ 2019年3月3日 アップデート


【データ】

『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』 (邦題:哀愁の花びら)
Dionne Warwick

LP:1968年3月23日リリース (所有CDは、2014年リイシューのEU盤)
レーベル:SCEPTER RECORDS (所有CDは、Edsl/Rhino)
番号:SCEPTER 568 (所有CDは、EDSX 3017)

Produced by Burt Bacharach and Hal David
Arranged by Burt Bacharach (T-1,5~6,8~10.)、Manny Albam (T-2.)、Pat Williams (T-3,4.)、Gary Sherman (T-7.)

 

2016年3月20日 (日)

REACH OUT/Burt Bacharach (1967年)

バート・バカラックがA&Mとアーティスト契約を結んで最初にリリースしたアルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ケース裏

1. REACH OUT FOR ME
2. ALFIE
3. BOND STREET
4. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)
5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
6. THE LOOK OF LOVE
7. A HOUSE IS NOT A HOME  M (ボーカルはバカラック自身)
8. I SAY A LITTLE PRAYER
9. THE WINDOWS OF THE WORLD
10. LISA  FM
11. MESSAGE TO MICHAEL

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Famale-女性)、または M (Male-男性) と表記

所要時間約34分


バート・バカラックがA&Mとアーティスト契約を結んで最初にリリースしたアルバムです。

1965年にKAPPから出したファースト・アルバム 『 HIT MAKER! 』 に続き、バカラック名義のオリジナルアルバムとしては2作目にあたる作品。バカラック自伝によると、『 HIT MAKER! 』 の3,000枚に対して、本アルバムは9ヵ月で135,000枚も売り上げたそうです(米国内売上での比較)。

LPジャケットの裏に Derek Taylor 氏がライナーノーツを寄せていますが、そのなかでバカラックを紹介している箇所の一部を超意訳して引用します。 ─  バート・バカラックは、恥ずかしがり屋で、若くて、ハンサムで、礼儀正しく、ニューヨーカーで、ジャーナリストの息子で、女優と結婚し、そしてより適切に言うならば、エキサイティングな60年代の音楽シーンにおける燃えるような複雑な要素なのです。 ─  下手くそな訳で申し訳ありませんが、“ 熱さ ” を感じる文面です。

全11曲のうち、9曲は各アーティストへの提供曲。それぞれのオリジナル・アーティストは、ディオンヌ・ワーウィック (T-4. 「 アー・ユー・ゼア 」、T-8. 「 小さな願い 」、T-9. 「 世界の窓と窓 」 )、ルー・ジョンソン (T-1. 「リーチ・アウト」 )、シラ・ブラック (T-2. 「 アルフィー 」 )、ジャッキー・デシャノン (T-5. 「 世界は愛を求めてる 」 )、ダスティ・スプリングフィールド (T-6. 「 恋のおもかげ 」 )、ブルック・ベントン (T-7. 「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 )、ジェリー・バトラー (T-11. 「 マイケルへのメッセージ 」 )。

R746283114419787728753jpeg_4R746283114419787723423jpeg自身名義で発表した曲のセルフ・カヴァーが、T-3. 「 ボンド・ストリート 」。
映画 『 007 カジノ・ロワイヤル 』 のなかの 「 ジェームズ、我が家へ急げ 」 を再録音して、 「 ボンド・ストリート 」 という曲名で1967年4月にシングル・リリース(A&M 845)。それをそのまま本アルバムに収録しています。なお、シングルのカップリングはT-2. 「 アルフィー 」 でございました。

そして、まっさらの新曲がT-10. 「 リーザ 」。バカラックの作品らしくない、オールド・ファッションな3拍子の曲。“ あなたは愛されずにどうしてそんなに美しくなれるの?  リーザ ” と男女コーラスがしんみりと歌います。実は、1967年にバカラックとアンジー・ディキンソンとの間に生まれた “ Nikki (ニッキー) ” のために書いた曲なんですね。ニッキーのための曲といえば、そのものズバリ 「 NIKKI 」 という曲が有名です。じゃあ、どうして 「 LISA 」 なんでしょうか?   ニッキーの名前は正式には “ Leah Nikki (リー・ニッキー、Lea Nikki という説もある) ” というそうで、最初は素直に 「 LEAH 」 という曲名にしようとしたんですが、ロイ・オービソンの同名曲がすでにあったため 「 LISA 」 という曲名にしたんだとか。

インストルメンタル曲が多くしかも全体的にアレンジが軽いので、イージーリスニング的な雰囲気を感じるのは否めません。そんななかで、印象に残る曲をいくつか。

本アルバムで一番印象に残る曲は、やはりT-2. 「 アルフィー 」 でしょう。イントロからエンディングまでの約8割程度で聴こえる細かい刻みのハイハットがたまりません。トランペットやストリングスが奏でる旋律は軽やかで、オリジナルのシラ・ブラックとはかなり曲調が異なる、独創的なアレンジです。最近のバカラック爺のライブではこのアレンジは聴かれずもっぱら爺のピアノ弾き語りですが、1971年の日本公演でのライブ録音盤では本アルバムのアレンジをステージ上で再現していて、唸っちゃいます。

それから、なんとT-7. 「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 ではピアノ弾き語りでバカラックが歌っています。歌う作曲家、ここに誕生!  なかなか演出の効いた歌いっぷりです、パチパチ。途中からオケが入ってドラマチックになり、最後はトランペットのメロディで静かに終わる…。現在でもライブではこのアレンジですからねー。そういう意味では、T-6. 「 恋のおもかげ 」 なんかもそうだったりします。

あと、個人的にちょっと疑問なのが、T-8. 「 小さな願い 」。いえ、別にここが嫌だとかあそこが変だとか、そういうことではありません。“ テンポ ” です。オリジナルであるディオンヌ版のテンポは♩≒146。対して、バカラック版のテンポはというと、これまた♩≒146。同じでいいじゃないかって? いえいえ、同じでは辻褄が合わないんです。ディオンヌの 「 小さな願い 」 が収録されたアルバム 『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』 で触れたように、バカラックはディオンヌ版のテンポが速すぎたと後悔していたんですから…。それがディオンヌ版と同じテンポじゃ変でしょ? ぶつぶつ…

最後はバカラックにいちゃもん付けちゃいましたが、先行した英国に続き米国でもバカラック人気が高まってきた頃にリリースされた本アルバム、勢いを感じます。


【データ】
『 REACH OUT 』 (邦題:リーチ・アウト)
Burt Bacharach

LP:1967年10月リリース (所有CDは、1995年5月25日リイシューの日本盤。ライナーノーツは渚十吾氏)
レーベル:A&M (所有CDは、ポリドール)
番号:SP 4131 (所有CDは、POCM-2011)

Composed and Produced by Burt Bacharach
Arranged & Conducted by Burt Bacarach
Engineered by Phil Pamone (T-1,2,3,6,7,10,11),  Henry Lewy (T-4,5,8,9)

 

2016年3月13日 (日)

THE WINDOWS OF THE WORLD/Dionne Warwick (1967年)

ディオンヌ・ワーウィックの8作目のスタジオ録音アルバムです。バカラック作品を6曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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Original LP front cover/back cover

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所有CD① ジャケット表/ケース裏

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所有CD② ジャケット表/ジャケット裏

全10トラック中、バカラック作品は6トラック

1. I SAY A LITTLE PRAYER
2. WALK LITTLE DOLLY
3. THE BEGINNING OF LONELINESS
4. ANOTHER NIGHT
5. THE WINDOWS OF THE WORLD
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
7. SOMEWHERE
8. YOU'RE GONNA HEAR FROM ME
9. L.O.V.E (LOVE)
10. WHAT'S GOOD ABOUT GOODBYE

所要時間約33分


ディオンヌ・ワーウィックの8作目のスタジオ録音アルバムです。1967年8月リリース。全米22位と、そこそこヒットしたようです。

本作に先立ち、1967年5月に7作目 『 ON STAGE AND IN THE MOVIES 』 をリリース。バカラック&ハル・デイヴィッドによるプロデュースで、アレンジもバカラックが手がけているのですが、バカラック作品は未収録ですので拙ブログではスルーしました。

さて本作。鮮やかな衣装を身に纏ったディオンヌが印象的なジャケットは、これまでの彼女のアルバムにはないセンスを感じます。ってゆーか、写真がいいですよね。Discogs というレコード検索サイトで本作を調べたら、Photography By Stan Papich と載っていました。ディオンヌの他のアルバムを調べてもジャケット写真を誰が撮ったかなんて載ってないのに…。有名な写真家なのかしらん?

バカラック作品は6曲。カヴァーは1曲だけで、5曲がディオンヌへの書き下ろし曲でございます。6作目とは逆ですね。

T-1. 「 小さな願い(あなたに祈りをこめて) 」 : ディオンヌがオリジナル。本アルバムが世に出た後の1967年10月にシングルリリースされました(SCE 12203、A面)。この曲は全米4位になるのですが、シングルB面の 「 (THEME FROM) THE VALLEY OF THE DOLLS (哀愁の花びらのテーマ) 」 がチャート上では上回って全米2位となりました。いわゆる両面ヒットってヤツです。ディオンヌやセプターレコードは喜んだでしょうが、哀愁の~は自分の作曲じゃないので(プロデュースはハルとともに担当)バカラックは複雑な気分だったのではないかと推察します。
この曲のイントロ、♩≒146というアップテンポのズンチャチャリズムに乗って明るい女性コーラスと軽い音色のトランペットが聴こえてくると、いつも私はウキウキした気分になります。日常のいろんな場面でささやかに祈るの…という歌詞のAメロでは感情を内に秘め、いつまでもあなたを愛しているの…と歌うサビでは聴く人の心に訴えかけてきます。Aメロにせよサビにせよ、変拍子を入れているにもかかわらずそれとあまり感じさせない巧みなメロディ。ハル・デイヴィッドの歌詞、バカラックの高度な曲作り&アレンジ、ディオンヌの起伏に富んだ歌唱が見事に融合していて、実に素晴らしいっ! 「 小さな願い 」 はバカラック作品のなかで個人的に一番好きな曲なのですが、あまたあるこの曲のバージョンのなかでもディオンヌ版は私的ベスト3に入ります。
─  「 小さな願い 」 を録り終えたときも、わたしはやはりテンポを速くしすぎたせいでこの曲を台無しにしたと思いこみ、全力でシングル化を阻止しようとした。だがレコード・ビジネスの素晴らしさは、わたしの判断がまるでまちがっていたりすることだ。国中のDJがかけはじめたおかげで、この曲はチャートの4位まで上昇し、最終的にはハルとわたしがディオンヌのために書いた曲の中で、最大のヒットを記録した。 ─  (バカラック自伝より)
─  僕は出したくなかったんだ。アレンジも僕が手掛けたんだけど、まだリリースする段階じゃないと思っていた。テンポも速すぎたしね。でもレコード会社が出しちゃった。それがヒットしたんだ。それをアレサがカヴァーした。アレサ・フランクリンのはすごくよかった。僕のよりずっとね。今や僕のお気に入りのひとつだ。 ─  (2015年ロンドンでのライブで)
同じ趣旨のことをバカラックはこれまで幾度となくコメントしています。調べてみますと、レコーディング日は1966年4月9日。てことは、1年4か月はリリースを阻止出来ていたんですね。もともと、ハルの歌詞はヴェトナム戦争に赴いた彼のことを想う女性の心情を描いたもの。いくぶん政治的な匂いも感じます。バカラックは、ヴェトナム戦争に対する合衆国内の雰囲気を考慮して、まだ時期じゃない…テンポが速すぎた…などと思ったのでしょうか。
確かにリズムはもう少し落としてもいいと思います。でも、全然 “ 小さな ” 願いに聴こえないアレサ版よりも、私はディオンヌ版に軍配を上げますねー。

T-2. 「 ウォーク・リトル・ドゥリー 」 : ディオンヌがオリジナル。T-5. 「 世界の窓と窓 」 のカップリング曲でした(SCE 12196、B面)。サビで始まる3拍子の変な曲。サビで始まる…と書きましたが、ホントにそれがサビなのかよくわからないどんどん展開していくメロディ。コード進行も極めてアンユージュアル。間奏にはところどころ4拍子が挟まっているし。ホントに変な曲だこと…。この曲のカヴァー、私は聴いたことありません。

T-3. 「 ザ・ビギニング・オブ・ロンリネス(孤独を知って) 」 : ディオンヌがオリジナル。1967年3月にシングルリリースされ(SCE 12187、A面)、全米79位の小ヒットを記録しました。スローミディアムの4拍子の曲です。音域が広いディオンヌだからあっさりと歌っているように聴こえますが、なかなか高低差のある小難しいメロディ。『 HERE WHERE THERE IS LOVE 』 の記事でも触れたように、シングルB面の 「 アルフィー 」 の方がヒットしました。まぁ、私がDJだったとしてもやっぱりB面を掛けますね~^^; この曲のカヴァーも、私は聴いたことございません。

T-4. 「 アナザー・ナイト 」 : ディオンヌがオリジナル。1966年12月にシングルリリースされ(SCE 12181、A面)、全米49位を記録しました。アップテンポの4拍子で、ラテンなズンチャチャリズムの軽い楽しい曲。なんですが、こんな曲でもチョロッと変拍子(2拍子)を挟んでくるんです、バカラックという人は! カヴァーで聴いたことがあるのはダスティ・スプリングフィールド版だけですが、ディオンヌ版のほぼコピーでした。

T-5. 「 世界の窓と窓(世界の窓に光を) 」 : ディオンヌがオリジナル。1967年7月にシングルリリースされ(SCE 12196、A面)、全米32位の中ヒット?となりました。♩≒94 のミディアムテンポで、変拍子もなくしっとりしたメロディがとても美しい曲です。この曲は詞先で作られたのですが、バカラックは自伝で次のように後悔しておいでです。 ─  この曲はディオンヌがシングル用にレコーディングしたのだが、わたしのせいで台無しになってしまう。ひどいアレンジを書き、テンポも速くしすぎたのだ。せっかくのいい曲をあんなふうにしてしまったことを、わたしは心から悔やんでいる。 ─  えーっ(@_@)、「 小さな願い 」 と同じこと言ってる。私は全然速いと思わないんですけどね。この曲のカヴァーはけっこうあって、しかも個性的な解釈が多いので楽しめます。

T-6. 「 愛の思い出(オールウェイズ・サムシング・ゼア・トゥ・リマインド・ミー) 」 : カヴァーです。オリジナルはルー・ジョンソン(1964年8月にシングルA面でリリース、全米49位)ですが、サンディ・ショウのカヴァー(全英1位)の方が有名です。ディオンヌ版は、1年後の1968年8月に、シングル 「 WHO IS GONNA LOVE ME 」 のカップリング曲となり(SCE12226、B面)、チャートイン(全米65位)しました。ディオンヌ版は、ルー・ジョンソン版やサンディ・ショウ版に似たアレンジ&曲調。この曲もカヴァー多いですねー。

バカラック作品以外では、ピンク・パンサー風アレンジのT-7. 「 サムホエア 」 が面白いです。アレンジはピーター・マッツ。『 ON THE FLIP SIDE 』 でもアレンジを担当してた方です。

好印象のジャケットとともに記憶に残るアルバムです。


【データ】
『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』 (邦題:ザ・ウィンドウズ・オブ・ザ・ワールド)
Dionne Warwick

LP:1967年8月31日リリース (所有CD①:1994年リイシューのベネルクス盤、所有CD②:2014年リイシューのEU盤)
レーベル:SCEPTER RECORDS (所有CD①:DISKY、所有CD②:Edsl/Rhino)
番号:SCEPTER 563 (所有CD①:DCD 5400、所有CD②:EDSX 3017)

Produced by Burt Bacharach and Hal David
Arranged by Burt Bacarach (T-1~6.)、Peter Matz (T-7,8,10.)、O.B. Masingill (T-9.)
Art Direction, Design [Cover] : Burt Goldblatt
Photography By : Stan Papich

 

2016年3月 6日 (日)

BURT BACHARACH A LIFE IN SONG バート・バカラック ライブ・イン・ロンドン 2015/V.A. (2016年)

2015年にロンドンで行われたライブの模様を収めたブルーレイです。2016年2月にWOWOWで放送された番組と同じ内容でございました。

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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1. WALK ON BY  ~ Rebecca Ferguson ~
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Laura Mvula ~
3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ Justin Hayward ~
4. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ Rebecca Ferguson ~
5. THE WINDOWS OF THE WORLD  ~ Michael Kiwanuka ~
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Sophie Ellis-Bextor ~
7. IN BETWEEN THE HEARTACHES  ~ Joss Stone ~
8. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Sophie Ellis-Bextor ~
9. ANYONE WHO HAD A HEART  ~ Josie James ~
10. IF I COULD GO BACK  ~ Alfie Boe ~
11. MOVIE MEDLEY  ~ Burt Bacharach and Burt Bacharach Band ~
     THE LOOK OF LOVE 
     ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
     WHAT'S NEW PUSSYCAT?
     THE WORLD IS A CIRCLE
     THE APRIL FOOLS
     RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
     (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE
     MAKING LOVE
     WIVES AND LOVERS
     ALFIE
12. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Shaun Escoffery ~
13. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  ~ ENSEMBLE ~

<BONUS SONGS>
14. BE AWARE  ~ Josie James ~
15. WAITING FOR CHARLIE (TO COME HOME)  ~ Donna Taylor ~
16. GOD GIVE ME STRENGTH  ~ John Pagano ~

収録時間約111分 (ボーナス・ソングを除くと約89分)


2015年にロンドンで行われたライブの模様を収めたブルーレイです。2016年2月26日発売予定ということでAmazonに事前予約していましたが、若干遅れて3月1日に届きました。

予想通り、2016年2月にWOWOWで放送された番組と同じでございました。違いは2点。
・ 日本語字幕 : WOWOW放送には有ったが、ブルーレイは輸入盤なので無し
・ ボーナスソング : ブルーレイのみ3曲収録

バックの編成は、バート・バカラック・バンド&バカラック・シンガーズに、ストリングス中心のオーケストラを加えたスタイル。2014年4月の日本公演時と同様の編成です。ホスト役の Michael Grade さんがステージ上の特設ソファでバカラック爺に話を伺いながら、合間にゲスト・シンガーがバカラックの曲を歌う…というスタイル。BBCがTV番組用に制作したコンサートのようですね。
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ゲスト・シンガーは以下の面々です。ジャケットと同様に、ファミリー・ネームのアルファベット順でご紹介。ジョス・ストーン以外は知らないなぁ…^^;。なお、< >はシンガーを紹介する際にホスト役が添えた言葉です。
 Alfie Boe アルフィー・ボー <この楽曲にぴったりの美声(テナー)>
 Sophie Ellis-Bextor ソフィー・エリス・ベクスター <魅惑の歌声を持つ>
 Shaun Escoffery ショウン・エスコフェリー
 Rebecca Ferguson レベッカ・ファーガソン
 Justin Hayward ジャスティン・ヘイワード <ムーディー・ブルース・シンガー>
 Michael Kiwanuka マイケル・キワヌカ
 Laura Mvula ローラ・ムビュラ <ビリー・ホリディ&ビーチ・ボーイズ>
 Joss Stone ジョス・ストーン

ちなみに、バカラック・シンガーズはいつもの3人。
 Josie James ジョシー・ジェームズ
 Donna Taylor  ドナ・テイラー
 John Pagano ジョン・パガーノ

↓全員でアンサンブル M-13. 「 愛のハーモニー 」
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特に印象に残ったのは、まずジョス・ストーンが歌ったM-7. 「 イン・ビトウィーン・ザ・ハートエイクス 」 。バカラックのこれまでの日本公演やライブ・アルバムでは聴けなかった曲です。ジョス・ストーンは、感情を込めて繊細に歌っています。特に、消え入るようなエンディングは素晴らしい。感動しました。ちなみに、ホスト役にこの曲のことを訊かれてバカラック爺は次のように話しています。 ─ 実は、多調性の楽曲なんだ。つまり、2つのコードが存在しているんだ。2つが同時に進行してるってこと。低音域と高音域に1つずつね。言うなれば魔法みたいな手法なんだ。うん、実はすごくフランスの影響を受けていてね。お気に入りの1曲さ。 ─  う~ん、爺の言ってることが理解できましぇ~ん(T_T)

それから、M-9. 「 恋するハート 」 。最近のバカラックのコンサートではこの曲はいつもバカラック・シンガーズのジョシー・ジェームズが歌っていて、今回も同様。2014年4月の日本公演でもそうでしたね。ジョシーは自身のアルバムでも歌っていますし。が、感情がほとばしるジョシーの熱唱は、それまでの(ジョス・ストーンを除いて)シンガーとは一線を画す出来。この曲は爺がピアノを弾いたから…というのもあったのでしょうが、歌い終わったらスタンディング・オベーション。観客もわかっていらっしゃる。お見事でした。

そして、アルフィー・ボーのM-10. 「 イフ・アイ・クッド・ゴー・バック 」 。映画 『 失われた地平線 』 の挿入歌のひとつですが、私の知る限りアンディ・ウィリアムスくらいしかカヴァーしていない超レア曲。それをまさかライブで聴けるとは、びっくりぽんです(©あさが来た)。アルフィー・ボーは、オペラやミュージカルなどで活躍するテナー歌手だそう。さすがの歌唱力でこの難しい曲を歌い切りました。こちらもお見事!
アルフィー・ボーさんについては、akkoさんの 『 アルフィー・ボー 日本私設ファンサイト 』 を是非ご覧になってください。とても詳しく紹介されています。akkoさん、情報提供ありがとうございました! ※

また、ボーナス・ソング(バカラック・シンガーズの3人がひとりずつソロで歌っている)の中にジョシー・ジェームズが歌うM-14. 「 ビー・アウェア 」 が収録されてるのが嬉しいですね~。2014年4月10日のNHKホールでの公演で同じくジョシーがこの超レア曲歌い、感激したのを思い出しました。M-10. と並び、貴重な音源と思います。

他に、M-5. 「 世界の窓と窓 」 で伴奏のアコースティック・ギターをジョン・パガーノ(バカラック・シンガーズのひとり)が弾いてたことと、ショウン・エスコフェリーのM-12. 「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 がルーサー・ヴァンドロスを彷彿とさせたことも、印象に残りました。

M-11. 「 MOVIE MEDLEY 」 のあと、お気に入りを1曲だけ選ぶとすれば?とホスト役に訊かれ、バカラック爺はこう答えています。 ─  曲単位で選ぶのは難しいと言わざるを得ない。でも強いて言うなれば、ハルが書いた歌詞のこの部分だ。“ ねえアルフィー 正直者が馬鹿をみるのなら 冷酷に生きるほうが賢明だ ” 深淵でかつ力強い言葉だよね。 ─  歌詞の一部とは、意外でした。これまでバカラック爺は、同様の問いに 「 アルフィー 」 や 「 ディス・ガイ 」 など曲名を答えてきましたからね。心境の変化なんでしょうか…。

それにしても、(収録時)87歳とは思えないほど元気でした。うれしい限り。2008年、2012年、2014年の来日コンサートで見たお姿とほとんど変わりません。歳とってないんじゃ?と思っちゃうくらい。また日本に来てくださいねー。

※ akkoさんよりコメントをいただき追記 <2016/4/2>


【データ】
『 BURT BACHARACH A LIFE IN SONG 』 (邦題:バート・バカラック ライブ・イン・ロンドン 2015)
V.A.

Blu-rey:2016/2/26リリース
レーベル:eagle vision (たぶんUK)
番号:EVB335299

Musical Directors: Bill Cantos, Elliot Davis
Live Event Producers: Ollie Rosenblatt, Sue Main
Commissioning Editor: Jan Younghusband
Directed by Richard Valentine
Produced by Cerrie Frost
Exective producers: Guy Freeman & Anita Land

Hosted by Michael Grade
Performers: Alfie Boe, Sophie Ellis-Bextor, Shaun Escoffery, Rebecca Ferguson, Justin Hayward, Michael Kiwanuka, Laura Mvula, Joss Stone, Josie James, Donna Taylor, John Pagno, The Burt Bacharach Band, Senbla Concert Orchestra
Filmed at London's Royal Festival Hall
収録日: 2015年6月26日 (ブルーレイには特にクレジットありませんが、ネットで確認しました)

 

 

2016年3月 2日 (水)

CASINO ROYALE/O.S.T. (1967年)

引退した元007がカムバックするパロディ映画 『 007 カジノ・ロワイヤル 』 のサウンド・トラックです。バカラックが全編書き下ろし!

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいきませんが^^;)
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Original LP front cover/back cover

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所有CD① ジャケット表/ケース裏

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所有CD② ジャケット表/ケース裏

1. CASINO ROYALE THEME (Main Title) ~ Herb Alpert & The Tijuana Brass ~
2. THE LOOK OF LOVE (Vocal) ~ Dusty Springfield ~
3. MONEY PENNY GOES FOR BROKE
   (Money Penny's Bedroom)
4. LE CHIFFRE'S TORTURE OF THE MIND
   (Peter's Torture Sequence)
5. HOME JAMES, DON'T SPARE THE HORSES
   (Berlin House Fight)
6. SIR JAMES' TRIP TO FIND MATA
   (Grouse Hunt into Temple)
7. THE LOOK OF LOVE (Instrumental)
   (Ursula Entrace into Buckingham Club)
8. HI THERE MISS GOODTHIGHS
9. LITTLE FRENCH BOY
10. FLYING SAUCER-FIRST STOP BERLIN
11. THE VENERABLE SIR JAMES BOND
    (Converging Cars)
12. DREAM ON JAMES, YOU'RE WINNING
    (Peter's Dream Sequence)
13. THE BIG COWBOYS AND INDIANS FIGHT AT CASINO ROYALE / CASINO ROYALE THEME ~ Herb Alpert & The Tijuana Brass ~

収録時間約34分


引退した元007がカムバックするパロディ映画 『 007 カジノ・ロワイヤル 』 (1967年4月公開、英国) のサウンド・トラックです。

─ ジェイムズ・ボンド・シリーズのうち、長編第一作の映画化権だけはチャーリー・フェルドマンが所有していたが、それ以外のボンド映画を作っていたプロデューサーたちと話がまとまらなかったため、彼は 『 カジノ・ロワイヤル 』 をパロディ的なコメディにしてしまうことにした。わたしは彼に映画のスコアを受け持ち、ハルと新曲を何曲か書いてほしいと頼まれた。 ─ (バカラック自伝より)

バカラックは1967年1月15日にロンドンへ飛び、編集が終わったフィルムを観ながら作業開始。しかし、映画の監督たちは5人全員すでに現場を後にしていて、どこに音楽を入れたらいいか指示してくれる人なんて居ません。バカラックはこの映画が何を言いたいかさっぱりわからず作業は難航。昼と夜もわからなくなり大量の睡眠薬のお世話になりつつなんとかスコアを書き上げレコーディングしたんだそうです。

でも、このサントラを聴いてもそんな苦労したなんて微塵も感じられません。プロですねぇ、さすがです。

T-1. 「 メインタイトル 」 は、本家の007シリーズでは有名な 「 ジェームズ・ボンドのテーマ 」 に相当する訳ですが、それとは対極にあるオトボケでコミカルな曲。この映画のトーンを見事に表現していると思います。自伝によると、ハル・デイヴィッドとバカラックはこの曲を当初 Johnny Rivers(ジョニー・リヴァース)に歌って欲しかったそうです。しかし、ジョニーはこの曲を気に入らず白紙に。そこに現れたのがハーブ・アルパート。バカラックがジョニー用につくったオケに、ハーブは自分のトランペットとティファナ・ブラスの演奏を乗せてレコーディング。そんな裏話があったとは!? 怪我の功名の良い例ですね~。

T-2. 「 恋のおもかげ 」 は、ダスティ・スプリングフィールドのちょっとハスキーで脱力した感じの歌声が印象的な、この映画の愛のテーマ。映画では、ウルスラ・アンドレスが登場するシーンで流れます。自伝によれば、もともとバカラックはこの曲をインストゥルメンタルのつもりで書いたそう。ハルがそのメロディに歌詞をつけたので、ダスティ・スプリングフィールドをスタジオに呼んでレコーディングしたんだとか。

2016年2月7日のサンデー・ソングブックで、007の主題歌で好きな曲があればお願いします…というリクエストに山下達郎さんはこう答えておられます。 ─ 007の主題歌はいいものが沢山ありますが、一番いいのはやっぱり 『 カジノ・ロワイヤル 』 の 「 THE LOOK OF LOVE 」 です。が、それじゃ面白くないんで、今日は、『 二度死ぬ 』 の NANCY SINATRA 「 YOU ONLY LIVE TWICE 」。 ─  達郎さん素直じゃないなぁ(笑)。いずれにせよ、ハルが歌詞を書かなかったら達郎さんのこんなコメントも無かったワケですね。

T-7. 「 恋のおもかげ 」 はインスト版。キーはCmで、サックスがメロディを奏でます。アウトロに入るところで転調してキーは半音UPのC#mになるのですが、このC#mはT-2. のダスティ版と同じキーなんですね。ダスティ版はアウトロで転調せず最後までC#mのまま。こうやってインスト版とダスティ版を聴き比べてましたら、妙なことに気が付きました。ダスティ版は、アウトロに入るとそれまで左で聴こえてたギロが中央から聴こえるんです(ベースやドラムスも同様)。また、ギロの刻み方も、アウトロに入る前と後で違っています。なぁんか不自然じゃありませんか? 確認した内容をまとめたのが以下の表です。

Photo_5 Photo_6
何回も繰り返し聴いて、「 ダスティ版のアウトロはインスト版のアウトロと全く同一の演奏である 」 との結論に達しました。インスト版ではアウトロに入る前後での不自然さはありませんから、インスト版のアウトロをダスティ版にひっつけたのではないかと。ファンの方はとっくの昔に気づいておられて、私が気付くのが遅すぎたのでしょうけれど…^^;。

その他の曲(いわゆる劇伴曲)も、映画の場面に合わせてクラシカル、マーチ風、バグ・パイプを用いたスコットランド音楽風、インディアン風、スウィンギーなもの…などなど、まるで音楽の見本市のよう。しかもコミカルでとぼけた味わい。聴いてて楽しい! T-5. 「 ジェームズ、我が家へ急げ 」 の途中から流れるアップテンポのズッコケ調メロディは、のちに 「 ボンド・ストリート 」 という名前が付けられてバカラック自身がセルフ・カヴァーするとともに、特に日本のミュージシャンたちにカヴァーされました。

ちなみに、私はこのアルバムのCDを2種類所有しています。
CD①は、初めてCD化されたVARESE SARABANDE盤の日本盤です。日本語ライナーは関光夫さん。
CD②は、2011年にリイシューされた完全盤と称する盤で、Film Presentation 全17曲と、Original LP Presentation 全13曲が1枚に収められています。Film Presentation は、「 AGENT MIMI 」 と 「 THE INDIAN TEMPLE 」 を加え、エンドタイトルを映画(DVD)から収録した歌入りのものに置き換え、リマスタリングしたもの。でも、ノーマルの盤で十分楽しめます。

ついでに、日本公開当時の映画パンフとみられる画像を置いておきます。
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【データ】
『 CASINO ROYALE 』 (邦題:007 カジノ・ロワイヤル)
O.S.T.

LP:1967年4月リリース (所有CD①:1990年10月21日リリースの日本盤、CD②:2011年1月29日リリースのUS盤)
レーベル:Colgems (所有CD①:SLC、CD②:KRITZERLAND)
番号:COSO-5005 (所有CD①:SLCS-7016、CD②:KR 20017-6)

Music composed & conducted by Burt Bacharach
T-2. Lyric: Hal David
Recording Produced by Phil Ramone
Recording Engineer: Jack Clegg
Recording in London, England

↓ 左:所有CD①のUS盤、 右:所有CD②

 

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