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2016年6月 8日 (水)

SOMETIMES LATE AT NIGHT/Carole Bayer Sager (1981年)

キャロル・ベイヤー・セイガーが1981年にリリースしたサード・アルバムです。キャロル&バカラックの共作曲を9曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります。PC以外では上手くいかないかも^^;)
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Original LP front cover/back cover

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所有CDのジャケット表/ケース裏

全13トラック中、バカラック作品は10トラック(9曲)

1. Prologue
2. I WON'T BREAK
3. JUST FRIENDS
4. TELL HER
5. SOMEBODY'S BEEN LYING
6. ON THE WAY TO THE SKY

7. YOU AND ME (WE WANTED IT ALL)
8. SOMETIMES LATE AT NIGHT
9. WILD AGAIN
10. EASY TO LOVE AGAIN
11. STRONGER THAN BEFORE
12. YOU DON'T KNOW ME
13. Reprise

収録時間約43分


キャロル・ベイヤー・セイガーが1981年にリリースしたサード・アルバムです。邦題は、真夜中にくちづけ。

キャロルは1947年生まれでニューヨーク出身。ハイスクール・オブ・ミュージック&アートに在籍中だった15歳の時にドン・カーシュナーの音楽出版社 “ スクリーン・ゲイムス ” と契約を交わし、作詞家としてのキャリアを踏み出します。「 A Groovy Kind Of Love(恋はごきげん) 」 (1966年:マインドベンダーズ/1988年:フィル・コリンズがリヴァイヴァル) を手がけ、ニール・セダカと共作したり、ブロードウェイのミュージカルを手がけたのちに退社。その後、ベット・ミドラーのバック・コーラスを務めていたメリサ・マンチェスターのデビュー・アルバム 『 Home To Myself 』(1973年) に作品を提供して注目を集め、1975年に 「 Midnight Blue 」 の大ヒットが生まれました。それからは、アルバート・ハモンドと共作したレオ・セイヤーの全米1位ヒット 「 When I Need You(はるかなる想い) 」 、マーヴィン・ハムリッシュと共作したアレサ・フランクリンの 「 Break It To Me Gently(やさしくうちあけて) 」 など、多くの歌手が彼女の曲を取り上げるようになります。

Img217aaImg216aaキャロル自身もエレクトラから歌手としてデビュー。
1977年に 『 Carole Bayer Sager(私自身) 』(画像左) 、1978年に 『 TOO 』(画像右) と2枚のアルバムをリリース。この2枚は私も所有(1990年CDリイシュー盤)していますが、主な共作者はメリサ・マンチェスター、マーヴィン・ハムリッシュ、デイヴィッド・フォスター、ピーター・アレン、ブルース・ロバーツ、ベット・ミドラーなど錚々たる面々。参加ミュージシャン&ヴォーカリストも、ジェフ・ポーカロ、ジム・ケルトナー、リー・スクラー、デイヴィッド・ハンゲイト、リー・リトナー、スティーヴ・ルカサー、ジェイ・グレイドン、デイヴィッド・フォスター、スティーヴ・ポーカロ、ブルース・ロバーツ、マーヴィン・ハムリッシュ、メリサ・マンチェスター、ベット・ミドラー、ピーター・アレン、ビル・チャンプリン、マイケル・マクドナルドなどなど。とても豪華です。2枚ともプロデューサーはブルックス・アーサー。キャロルの歌は素朴でざっくりした肌触り。アレンジもさっぱりしています。2枚ともAORと言うよりはMOR/ポップスといった感じ。地味ながらも佳曲が揃っていて、聴いていて気持ちが温かくなるアルバムです。

1979年~1980年ころ、TV番組 『 マイク・ダグラス・ショウ 』 にふたりが出演したのをきっかけに、キャロルとバカラックは一緒に仕事をするようになります。前回記事で紹介したとおり、最初の共作曲が世に出たのは、ポインタ・シスターズが1980年8月にリリースしたアルバム 『 SPECIAL THINGS 』 でした。 

Img207cc─  それから1年ほどして、わたしたちは男女関係をテーマにした 『 真夜中にくちづけ 』 というコンセプト・アルバムを、キャロルの親友だったニール(・ダイアモンド)とジョイス・ボガートが所有するレーベル、ボードウォーク・レコードからリリースした。 ─ (バカラック自伝より)

本アルバムについて、キャロルはこうコメントしています。

─  『 真夜中のくちづけ 』 はわたしたちの関係をうたっているように聞こえるけど、当時はそれに気づかなかった。あれは全部の曲が継続しているような感じで次の曲に移っていく、愛に関するコンセプトアルバムだったの。ふり返ってみると、自分でも気づいていなかった気持ちを先取りしてるようなところもあったと思うわ。 ─ (バカラック自伝より)

ゴージャスな衣装をまとい悩殺ポーズでキメてるジャケ写は、素っ気なかった過去2枚のアルバムからは想像できない変わりよう。ジャケ裏の写真に至ってはバカラックとイチャついてるし。それなのに気づかなかったって言われても、ねぇ…^^;。

過去2枚を手掛けたブルックス・アーサーとバカラックの共同プロデュース。ただし、T-3. はマイケル・ジャクソン&バカラックがプロデュース。また、T-6. のバック・トラックはニール・ダイアモンドとデニス・St.・ジョンがプロデュース。 T-1. とT-13. を除く11曲のなかで、T-2~5. とT-8~12. の計9曲がキャロルとバカラック の共作(うちT-2. とT-4. の2曲はピーター・アレンも加えた3人、T-11. はブルース・ロバーツを加えた3人による共作)。 うち6曲ではアレンジもバカラックが担当しています。コンボとバック・コーラスは、それまでのキャロルのアルバムに参加していた豪華な面々。それに、ストリングス&ホーンのオケが加わります。作者、アレンジ、ミュージシャン、バック・コーラスの詳細については、後述する【データ】の表を参照ください。

キャロルのコメントにもあったように、LP時代のA面(CDのT-1~7.)とB面(CDのT-8~13.)それぞれの各曲をクロスフェードでつないでいます。この演出のせいだと思うのですが、アルバム全体になんともいえない芳香が漂っています。ちなみに、T-1. 「 プロローグ 」 は、A面最後のT-7.「 あなたと私」 のサビの部分。T-13. 「 リプライズ 」 は、B面最初のアルバム・タイトル曲T-8. 「 真夜中にくちづけ 」 のリプライズ。A面、B面それぞれをひとつの物語にしようという意図がうかがえます。

個々の曲は、ミディアム・テンポの落ち着いたポップス又はスロー・バラードのいずれか。
以下、バカラックが提供した曲達について少し考察してみます。こんなスウィートなアルバムでも、バカラックは変拍子をやめません(笑)。さすがに乱用することはありませんが…。また、普通のポップス曲は一般的に8小節単位で構成されているのですが、そんな普通の曲は1曲もありません。例えばT-2.  「 愛のアレンジメント 」 の場合、1コーラスの構成はA-B-A’という形式なのですが、小節数は各々Aが10小節、Bが9小節、A'が12小節。ポップス向けに作曲しつつも、こういった “ バカラック印 ” ともいえる特徴をねじ込んでくるとは(゜゜)。ここで一句。

 転んでも タダでは起きない バカラック (字余り^^;)

T-3. 「 ジャスト・フレンズ 」 はマイケル・ジャクソンがバック・コーラスで参加し、前述したようにバカラックと共同でプロデュースも手がけました。2枚目のアルバム 『 TOO 』 に入っていたデイヴィッド・フォスターとの共作曲 「 IT'S THE FALLING IN LOVE(恋をしましょう) 」 をマイケルが1979年のアルバム 『 OFF THE WALL 』 でカヴァーしたご縁によるものと思われます。バカラック自伝にこの曲の裏話がありましたので、引用します。 ─  「 ジャスト・フレンズ 」 というデュエット・ナンバーでは、マイケル・ジャクソンがスタジオにやって来て、キャロルといっしょにうたってくれた。アレンジはわたしが書き、ストリング・セクションとリズム・セクションを勢ぞろいさせて待っていると、マイケルが 「 何分かもらえませんか? ちょっと、ためしてみたいことがあるんです 」 と言いだした。彼はその日のギタリストだったポール・ジャクソン・ジュニアを連れてトイレに入り、この曲のために、わたしが考えていたものより5倍はすばらしい、まったく別種の流れとコンセプトを考え出した。あの曲でいっしょにうたうキャロルとマイケルを聞いていると、「 どっちがマイケルで、どっちがキャロルなんだろう? 」 と不思議になってくるはずだ。それくらい、ふたりの声はうまくフィットしていた。 ─ (バカラック自伝より)

このマイケルの例からもわかるように、バカラックのアレンジはイマイチ時代についていってない感じを受けます。はっきり言うと、80年代っぽくないんですね。デイヴィッド・フォスターがアレンジを担当したT-11. 「 愛は果てしなく 」 が、あちこち(特にシンセの音色&フレージングやパーカッションの使い方など)に80年代を感じるのとは対照的です。この 「 愛は果てしなく 」 は、本アルバムからシングル・カットされて全米30位を記録(WS8 02054、A面)。キャロルにとって歌手として唯一のTOP30入りを果たし、バカラックにとっても久々のTOP30入りとなりました。1984年チャカ・カーン、1985年ディオンヌ・ワーウィック2006年Lyrico2007年トレインチャなどのカヴァーがあります。

また、T-5. 「 愛にゆれる 」 は、カーペンターズが同年(1981年)のアルバム 『 Made In America 』 でカヴァーしています。ドリーミーでドラマチックなカーペンターズ版の方が出来としては上だと思います。

─  『 真夜中にくちづけ 』 をつくったあとで、キャロルとわたしはツアーに出た。アルバムの売れ行きは決してよくなかったが、世間の人たちはそう思っていなかった。シングルの 「 愛は果てしなく 」 が、チャートでそこそこ健闘していたからだ。おかげでキャロルとわたしがLAのサンセット・ストリップにあるロキシーでやった5夜の公演は、全回がソールドアウトになった。 ─ (バカラック自伝より)

何はともあれ、バカラックはキャロルのおかげで息を吹き返すことができました。キャロルとバカラックが結婚するのは翌1982年のことです。


【データ】
『 SOMETIMES LATE AT NIGHT 』 (邦題:真夜中のくちづけ)
Carole Bayer Sager

LP:1981年4月リリース (所有CD:2002年5月2日リイシューの日本盤)
レーベル:Boardwalk (所有CD:ビクター・エンタテインメント)
番号:FW 37069 (所有CD:VICP-61840)

Produced by Burt Bacharach and Brooks Arthur
T-3. Produced by Micheal Jackson and Burt Bacharach
T-6. Track Produced by Neil Diamond and Dennis St. John
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Recording at Studio 55, Los Angels and Record Plant, Los Angels
Additional Recording at The Hit Factory, New York

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