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2017年1月25日 (水)

PLAY BACHARACH/The Feather Tunes (1971年)

電子オルガンによるバカラック・カヴァー集です。1971年の作品です。(CD無し/デジタル配信のみ)

The_feather_tunes

1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
4. I SAY A LITTLE PRAYER
5. PACIFIC COAST HIGHWAY
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
7. THE LOOK OF LOVE
8. PROMISES, PROMISES
9. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
10. ALFIE
11. SOUTH AMERICAN GETAWAY
12. THE APRIL FOOLS
13. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
14. THE WINDOWS OF THE WORLD

収録時間約43分


ある音源をアーティスト名を変えてリリースする…。イージーリスニングの世界ではよくある話です。今回ご紹介するアルバムも正にそのケースで、The Feather Tunes は実態のない架空のグループ名。アルバム・アートワークで体育座りしてる女性も単なるイメージ。

じゃあ、いったい何なのか? このアルバムの中身は、電子オルガン奏者の斎藤英美が1971年にリリースしたLP 『 プレイ・バカラック 』 そのもの。収録曲数・曲順も全く同じです。そのLPジャケットがこちら↓
Md12201001 Md12201002

LPのA面7曲 : T-1~7.
LPのB面7曲 : T-8~14.

…ということで、ここからは 斎藤英美の 『 プレイ・バカラック 』 として記事を書きすすめます。

斎藤英美(さいとう ひでみ、生年不明、2008年没)は、日本を代表する電子オルガン奏者のひとり。女性じゃなくて男性です。このLPの少し前にリリースされた 『 インクレディブル・サウンド 』 というLPのジャケットにはそのお姿が(↓画像左)。真面目そうな紳士といった感じですね。ところが、1980年前後になると髪を伸ばしてイメージが変わります(↓画像右)。私の記憶にある彼の姿はこの長髪のほうです。何が彼を変えたのか!? (ま、どーでもいいことですがcoldsweats01
1 2_3

斎藤英美が本アルバムで弾いている電子オルガンは、ヤマハのエレクトーン(エレクトーンはヤマハ製電子オルガンの商品名)。日本で初めての電子オルガンは日本ビクターが1958年に発売したEO-4420で、ヤマハ初のエレクトーンD-1は翌1959年に誕生しました。1960年代から1970年代にかけて普及したエレクトーンは、レコードの世界でも活躍します。斎藤英美をはじめ、道志郎、沖浩一、桐野義文ほか多くのエレクトーン奏者のレコードがリリースされ、喫茶店のBGMなど巷に流れました。その後、エレクトーンが日本の電子オルガンの代名詞になったのは皆さんご存知のとおり。かくいう私も小学生の頃にエレクトーンを習ってまして、斎藤英美編曲のエレクトーン曲集も1冊購入したことがあります。私には難しすぎてサッパリ弾けませんでしたが(>_<)。

収録曲は全14曲。今でもよくカヴァーされる有名曲以外に、バカラック1969年のアルバム 『 MAKE IT EASY ON YOURSELF 』 収録のインスト曲T-5. 「 パシフィック・コースト・ハイウェイ 」 や、映画 『 明日に向って撃て! 』 のスキャット曲T-11. 「 自由への道 」 のようなマニアックな曲もチョイスされてます。そんな地味な曲が入ってても大丈夫なくらい、当時日本でバカラックがよく聴かれてたってことですね。

LPのA面に相当するT-1~7. はエレクトーンにギターとドラムスが加わった編成による演奏。各曲ともイントロは工夫していて面白いのですが、メロディが始まるとまぁ想定内というかちょっとチープなイージーリスニングってな感じ。そんななか、T-5. 「 パシフィック・コースト・ハイウェイ 」 は、原曲を再現しつつもアドリブで独自性を付与しようという明確な意図を感じました。ただ、残念ながらこの曲だけ音飛びがひどくてcrying。(本アルバムのMP3データはマスターテープからではなくLPから起こしてデジジタル化した海賊盤のようです)

一方、LPのB面に相当するT-8~14. はエレクトーンだけの演奏。エレクトーン経験者の私としては、こちらのほうを興味深く聴きました。シンセのような音源やサンプリング音源を持ちリズムも打ち込みできる現代のエレクトーンと較べると、当時のエレクトーンは音色や効果のバリエーションが少なくリズムも付いていませんでした。特にポップス曲を演奏する場合には、下鍵盤(左手で弾く)や足鍵盤(左足で弾く)で伴奏しつつリズムを刻まなければなりません。編曲も演奏も大変だったと思います。テンポが速く和音でリズムを刻み続けるT-8. 「 プロミセス・プロミセス 」 の演奏はその最たるもの。サスティンやマンドリンなどの効果を駆使してドリーミーな世界を表現したT-12. 「 エイプリル・フール 」 も印象的です。エレクトーンによる忠実な原曲の再現に挑戦したT-11. 「 自由への道 」 は、本アルバム最大の力作! 熱の入った演奏で、その意気込みは十分伝わってきました。

ギターとドラムスと一緒に演奏した前半7曲ではそうでもないのですが、エレクトーンだけの後半7曲は全体的にミスタッチ(鍵盤の押し間違い)が目立ちます。他の楽器にマスキングされないぶん、どうしてもアラが見えるんですねー。事情を知らない一般リスナーの中には不満に思う人がいてもおかしくありません。LPの帯に書かれた “ 楽譜付き!” が示すように、本アルバムは一般向けというよりはエレクトーン愛好家向けに制作されたのかも。

※エレクトーンにオートリズム(リズムボックスのこと)が備わるようになったのは1972年から。ただし、1970年発売のステージモデルEX-42(当時280万円!)にはオートリズム機能がありました。


【データ】
─ MP3 ─
『 PLAY BACHARACH GREATEST HITS
The Feather Tunes

─ オリジナル盤(LP) ─
『 プレイ・バカラック 』
斎藤英美

LP:1971年5月20日リリース (所有MP3は、℗2009年)
レーベル:キング・レコード (所有MP3は、Tam-Tam Media)
番号:SKK-679 (所有MP3は、不明)

クレジットなく詳細は不明

★ Amazonでの取り扱いは無し。iTunesで購入。

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