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2017年8月 2日 (水)

Easy Listening BACHARACH/V.A. (1996年)

ソニー・レコードのカタログの中から選曲した英国編集のバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. PROMISES, PROMISES  ~ Percy Faith ~  F
2. SEND ME NO FLOWERS  ~ Doris Day ~  F
3. ALFIE  ~ Tony Bennett ~  M
4. WIVES AND LOVERS  ~ Andy Williams ~  M
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Patti Page ~  F
6. WALK ON BY  ~ Mel Torme ~  M
7. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ Johnny Mathis ~  M
8. TRAINS AND BOATS AND PLANES  ~ Anita Harris ~  F
9. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Robert Goulet ~  M
10. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Georgie Fame ~  M
11. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU  ~ Salena Jones ~  F
12. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ Tony Bennett ~  M
13. BLUE ON BLUE  ~ Bobby Vinton ~  M
14. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ Peter Nero ~
15. MY LITTLE RED BOOK  ~ Mel Torme ~  M
16. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ Anita Harris ~  F
17. THE LOOK OF LOVE  ~ Johnny Mathis ~  M
18. THE STORY OF MY LIFE  ~ Marty Robbins ~  M
19. IF I COULD GO BACK  ~ Andy Williams ~  M
20. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  ~ Tony Bennett ~  M

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約60分


ソニー・レコード(昔のColumbia)のカタログの中から選曲した英国編集のバカラック物コンピ集です。

ソニー・レコードといえば、1994年リリースの日本編集コンピ集 『 レディメイド、バカラックを讃える 』 も同じコンセプトでした。『 レディメイド~ 』 の全体的な印象は “ 上品でお洒落で白っぽい ” 感じ…とその記事で書きましたが、本アルバムも全体的な印象は全く同じです。やっぱりレーベルのカラーなんだなと。二つのアルバムで重複してるのはボビー・ヴィントンのT-13. 「 ブルー・オン・ブルー 」 とメル・トーメのT-15. 「 マイ・リトル・レッド・ブック 」 の2曲だけなんですけどね。

Photo

初っ端にパーシー・フェイスのT-1. 「 プロミセス・プロミセス 」 を持ってきたそのセンスにまず脱帽です。正確には Percy Faith His Orchestra And Chorus 名義で、オケ+女性コーラスという編成。華麗でキレがあるオケと柔らかい女性コーラスの組み合わせは  “ 上品でお洒落で白っぽい ” テイストそのもの! 気分が高揚します。

オリジナル・アーティストによる曲は3曲しかありませんが、その中でドリス・デイのT-2. 「 センド・ミー・ノー・フラワーズ 」 は超レア曲。米ユニバーサルの同名映画の主題歌だったそうで、1964年にシングルのみリリースされています。とても可愛らしいチャーミングな曲なのですが、1922年生まれのドリス・デイは当時42歳。もっと若い人が歌ってるようにしか聴こえません。流石です。

本アルバムのレコメンドは大御所男性シンガー3人。1928年生まれのバカラックとこの3人はほぼ同世代なんですねー。

〇 トニー・ベネット (1926年生)
〇 アンディ・ウィリアムス (1927年生、2012年没)
〇 メル・トーメ (1925年生、1999年没)

トニー・ベネットは3曲収録。そのいずれもが、アレンジ・演奏・歌唱の三拍子揃った素晴らしいカヴァーです。T-3. 「 アルフィー 」 は、ストリング主体のゆったりした演奏をバックに相手を諭すような丁寧な歌唱が心に響きます。T-12. 「 涙でさようなら 」 も、ゴージャスなオケに負けない堂々とした歌いっぷり。エンディングで 「 アルフィー 」 の一節を歌うのも粋ですネ。一転、T-20. 「 世界は愛を求めてる 」 では派手なビッグバンドによるスウィング調の演奏に乗っかってパワフルに歌ってます。因みに、このアレンジはのちに石川晶とカウント・バッファロー・ビッグ・バンドがパクるのですが、それも納得のカッコよさです。 → こちら

アンディ・ウィリアムスは2曲収録。T-4. 「 素晴らしき恋人たち 」 はオリジナルのジャック・ジョーンズのコピーで特に印象に残りません。目玉は映画 『 失われた地平線 』 の挿入歌のカヴァーであるT-19. 「 イフ・アイ・クッド・ゴー・バック 」 。サントラよりも分厚くメリハリあるアレンジのオケとバック・コーラスも素敵ですが、何よりアンディ・ウィリアムスの説得力ある歌唱が素晴らしいです! この曲は1972年7月にレコーディング、アルバム 『 Alone Again (Naturally) 』 に収められて1972年9月にリリースされました。一方、映画のほうは1973年1月に先行してサントラをリリース後、1973年2月に劇場公開。なんと、アンディ版の方が早く世に出ています。どうやら、映画の吹き替えシンガーとしてアンディ・ウィリアムスがレコーディングしたものの不採用になったみたいですね。映画はコロンビアの製作でしたから…。こんなこともあるんですねー。

メル・トーメは2曲収録。T-6. 「 ウォーク・オン・バイ 」 はオリジナルのディオンヌ版を下敷きにしたものですが、ねっとりしたメル・トーメの歌唱は評価の分かれるところかと。T-15. 「 マイ・リトル・レッド・ブック 」 は演奏も歌唱もちゃんとしていて、マンフレッド・マンやラヴよりも安心して聴けます(笑)。

この3人と較べると、1935年生まれのジョニー・マティスは少し軽い感じ。T-7. 「 遥かなる影 」 はカーペンターズ版がベースで可もなく不可もなく…。ただ、前回記事で紹介したカヴァー・アルバム 『 Johnny Mathis sings the music of Bacharach & Kaempfert 』 には未収録なので貴重な音源ではあります。T-17. 「 恋のおもかげ 」 はそのカヴァー・アルバムに収録。コメントはそちらを参照ください。

私のレコメンドをもうひとつ。英女性シンガーのアニタ・ハリスです。収録されてる2曲いずれも独創的なアレンジと微妙なヴィブラートで歌うアニタの歌唱が見事に融合して、独特の魅力を醸し出しています。T-16. 「 小さな願い 」 は彼女の素晴らしいバカラック・カヴァー集 『 This Girl's In Love With You 』 に入ってるのですが、T-8. 「 汽車と船と飛行機と 」 はそのカヴァー集にも未収録。こちらも貴重な音源かと。まさしく英国ならではのセレクションですねー。

シンプルなデザインと黒を基調とした渋い色使いのジャケットが表現しているとおり、チャラチャラしたところのない大人のバカラック物コンピ集でした。


【データ】
『 Easy Listening BACHARACH 』
V.A.

CD:1996年8月9日リリース
レーベル:COLUMBIA / Sony Music Entertainment (UK)
番号:485125 2

Compilation and notes by Gerald Mahlowe, 1996
Ⓟ1996 Sony Music Entertainment (UK) Ltd.

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