NIGHT SHIFT/O.S.T. (1982年) - 2回目
バカラックが音楽を担当した米映画 『 ラブ IN ニューヨーク 』 のサントラ盤です。やっとLPを入手しましたので再度記事にします。
(画像は全てクリックすると大きくなります)
全10トラック中、バカラック作品は6トラック
A1. NIGHT SHIFT ~ Quarterflash ~ F
A2. STREET TALK ~ Burt Bacharach ~
A3. GIRLS KNOW HOW ~ Al Jarreau ~ M
A4. THE LOVE TOO GOOD TO LAST ~ Pointer Sisters ~ F
A5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR ~ Rod Stewart ~ M
B1. SOMEDAY, SOMEWAY ~ Marshall Crenshaw ~
B2. PENTHOUSE AND PAVEMENT ~ Heaven 17 ~
B3. TALK TALK ~ Talk Talk ~
B4. EVERLASTING LOVE ~ Rufus & Chaka Khan ~
B5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR ~ Burt Bacharach ~
(Night Shift Love Theme) (instrumental)
※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Famale-女性)、または M (Male-男性) と表記
収録時間約39分
今年(2018年)のブログ “ 書初め ” はこのアルバム! バカラックが音楽を担当した米映画 『 ラブ IN ニューヨーク 』 のサントラ盤です。
過去に一度(2016年6月)本アルバムを取り上げた時点では本アルバムを所有しておらず記事にするだけのネタがありませんでした。中古アナログ盤を入手したらあらためて取り上げると書いて一年半、念願の中古アナログ盤(LP)を Discogs のマーケットプレイスでゲット。ドイツのお店に注文したのでUS盤ではなくドイツ盤でしたけれど、ちゃんと手元に届いてホッとしました。…ということで、再度記事にする次第です。
1981年の映画 『 ミスター・アーサー 』 から1年後、バート・バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガーのチーム(1982年3月に二人は結婚しました)はまたもや映画の音楽を担当します。
─ ロン・ハワード監督が贈るラブ・コメディ。 ニューヨークの死体置き場の夜勤として働くチャック(ヘンリー・ウィンクラー)と助手のビル(マイケル・キートン)は、ベリンダ(シェリー・ロング)たちコールガールにヒモがいないため商売がうまくいかないのを知って、彼らの事務所と車を提供することでヒモになることを考えた。取り引きは成立、商売は順調に進んだが、チャックがベリンダにほれてしまったり、暗黒街の連中にばれたりで大騒ぎに! ─ (映画DVDパッケージのあらすじより)
あらすじのとおり、今度の映画 『 NIGHT SHIFT 』 もコメディ。1982年7月にアメリカで封切られ、日本では1年以上経った1983年11月に 『 ラブ IN ニューヨーク 』 というタイトルで公開されました。気弱なチャックの言動には感情移入したり応援したりで(私も気弱な性格なんですぅ)…、映画の中身について語りたいことは色々ありますがここまでにしておきます。
映画のエンドクレジットに表示されてる曲は13曲。それらの曲が使われた場面とサントラ盤のトラックを表にまとめました。
①~③はそれぞれオープニングクレジット/劇中/エンドクレジットのBGM(いわゆる挿入歌)として使われています。いずれもこの映画のために用意された曲です。レコード・ジャケットでも ORIGINAL SONGS PERFORMED BY ~ とアピールしています。
一方、④~⑬はそれぞれの場面(お店や会場など)で流れていた音楽。既成曲を使ったものと思われます。
サントラ盤収録曲は全10曲。作者やプロデュースも含め表にしてみました。バカラック作品以外は割愛してます、悪しからず。
A1. 「 ナイト・シフト 」 はロック調の曲。歌ってるのは米ロック・グループのクォーターフラッシュ。1980年の結成で、紅一点のRindy Ross(リード・ヴォーカル、サックス)とMarv Ross(ギター)の夫婦を中心とした6人組。Marvはソングライティングでも参加しています。作詞はよくわかりませんが、作曲は明らかにバカラック以外の血が入ってますよね。プロデュースしたJohn Baylanについては全くわからず。途中一部編集されていますがサントラのバージョンがオープニングクレジットのBGMに使われています。本アルバムからの唯一のシングルとしてリリースされ、全米60位の小ヒットになりました。
また、この曲のメロディがチャックが出勤や帰宅するシーンのBGM(いわゆるスコア)で3度流れます。全て異なるアレンジのインストで、ロック調ではなくフュージョンタッチ。風采の上がらないチャックをどこかイジってるようにも聴こえます。これらインスト版はサントラ未収録です。
A2. 「 ストリート・トーク 」 はクールなフュージョン・タッチのインスト曲。バカラック&キャロルの作品ですが、歌詞はありません。もしかしたら歌詞も一緒に考えたのかもしれませんが…。プロデュースはバカラックとBruce Swedien。このお方、エンドクレジットに Music Score Engineer という肩書で出ているのですが、グラミーを5回受賞したエンジニアだそうです。映画ではサントラのバージョンは使われていません。しかし、映画冒頭でヒモが暗黒街の連中に追われるシークエンスでスローなテンポ&タイトなリズムのバージョンが流れます(いわゆるスコア)。サントラのバージョンはアルバム用にあとで録音したのでしょう。
A3. 「 ガールズ・ノウ・ハウ 」 は軽快なAOR。歌ってるのは皆さんご存知アル・ジャロウ。昨年(2017年)亡くなったのは記憶に新しいところです。バカラック夫妻とデヴィッド・フォスターによる共作なんですが、バカラック風味は殆ど感じらずメロディ・ラインにせよコード進行(特にサビ最後の1小節のコード展開)にせよデヴィッド・フォスターの色が濃い曲だと思います。加えてプロデュースはデヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンのコンビ。アル・ジャロウはジェイ・グレイドンのプロデュースで1981年に 『 BBREAKIN' AWAY 』 、1983年に 『 JARREAU 』 という傑作アルバムをリリースしています。この2枚は私も大好きなのですが、「 ガールズ・ノウ・ハウ 」 はよりポップな 『 JARREAU 』 との近似性を感じます。映画ではチャック&ビル社の商売が順調に進んでいるシークエンスのBGMとして、1コーラス目Aメロ2回目の頭から使われています。
A4. 「 幸せすぎて 」 は書下ろしではなく、ポインター・シスターズの1980年のアルバム 『 SPECIAL THINGS 』に収録されている曲そのものです。曲についてはそのアルバムの記事を参照ください。映画の中ではナイトクラブの店内で流れていました。既成曲ですがバカラック作品だったためLPのA面に持ってきたのでは?と思われます。
A5. 「 愛のハーモニー 」 はロッド・スチュアートが歌うバラード。のちにディオンヌ&フレンズが歌って全米1位となったのは皆さんご承知の通り(ただし2番の歌詞が幾分異なるようです)。Aメロの出だし、小節の頭からではなくアウフタクト(弱起)で始めたいとバカラックが主張してキャロルが歌詞をつけ足した話はバカラック自伝にも書いてあって有名ですね。
個人的には、Aメロのコード進行にバカラックらしさを感じます。以下はキーをCとした場合のAメロのコードです。
(in C) C - Em7 - Am7│Dm7│Bm7(♭5) - E7sus4 - E7│Am7│F - Dm7onG
1小節目のEm7やAm7(Ⅰの代理コード)、2小節目のDm7(Ⅳの代理コード)がメロディと絡み合ってなんともいえないロマンチックなムードになり、3小節目頭のBm7(♭5)から4小節目にかけて響きが変わって(短調になってる?)心がざわつき、5小節目のFで正気に戻る。そんな印象を受けます。4小節目が変拍子(2拍子)になってるのもいかにもバカラックって感じですよね。
プロデュースはロッド・スチュアートなんですが、バカラック夫妻は曲の仕上がりに不満だったそうです。何に不満だったのかはよくわかりませんが、全体にくぐもった音質とロッドの気持ちが入ってないような歌い方は私が聴いてもイマイチですねー。映画ではエンドクレジットのBGMとして使われました。
インスト版の B5. 「 愛のハーモニー 」 はバカラック名義。愛のテーマという副題が付いているように、映画の中でチャックとベリンダが2人きり(チャック1人だったりビルも含めた3人の場面もありますが)のシーンで計7度流れます。いわゆるスコアで、場面に応じて様々な楽器(ギターだったりシンセだったりオーボエだったりピアノだったり)がメロディを奏でます。ただし、A2. と同様サントラのバージョンはアルバム用にあとで録音したもののようでアレンジが異なります。プロデュースもA2. と同様にバカラックとBruce Swedienです。
ここからはオマケ。
拙ブログにお越しの方ならすでにご存じかとは思いますが、本アルバム全10曲を聴けるサイトがあります。 リンクは → こちら
【データ】
『 NIGHT SHIFT 』 (邦題:ラブ IN ニューヨーク)
O.S.T.
LP:1982年7月リリース (所有LPは、1982年リリースのドイツ盤)
レーベル:Warner Bros. Records (所有LPも同じ)
番号:23702-1 (所有LPは、WB K 57 024)
Executive Producers: Carole Bayer Sager and Stephen Paley
Music and Lyrics by Burt Bacharach and Carole Bayer Sager*
* With additional music & lyrics by Marv Ross and David Foster
各曲の作者及びプロデューサーは前述の表を参照方。
リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/21)
↓AmazonにLPはありますが、CDとMP3は同名異盤です😢。ついでに映画DVDも載せておきます。
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