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2018年2月

2018年2月25日 (日)

What The World Needs Now!/Tony Hatch & His Orchestra (1971年)

英国のソングライター、トニー・ハッチが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A2. TRAINS AND BOATS AND PLANES
A3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A4. WALK ON BY
A5. A HOUSE IS NOT A HOME
A6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. THE LOOK OF LOVE
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B5. ALFIE
B6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約37分


Tony_hatch_photo_3 トニー・ハッチ(1939-)は1960年代から英国ポップスをリードしてきたソングライターであり、数多くのアーチストを世に送り出してきた名プロデューサー。

1961年にパイ・レコードと契約。サーチャーズやデヴィッド・ボウイなどに作品を提供し、数々のヒット曲を生み出しました。ペトゥラ・クラークの 「 Downtown (恋のダウンタウン) 」 は英国人女性初の全米NO.1に輝き、 「 Call Me (コール・ミー) 」 は世界中の歌手にカヴァーされています。その活躍ぶりは “ イギリスのバカラック ” と称されるほど。

1960年代半ばからはオーケストラを率いてイージーリスニング・アルバムを数多くリリース。本アルバムはそんなイージー・リスニング・アルバムのひとつで、1971年にリリースされたバカラック作品集です。ジャケ写は女性の写真。もろイージーリスニングだぁ。

R1047189514981339584924jpeg_3同じ年に日本盤もリリースされました。邦題は 『 トニー・ハッチ<プラス>バート・バカラック 』。トニー・ハッチにバカラックを足すとは、どーゆーこと? もしかしてトニー・ハッチとバカラック、世紀の共演なのかっ!?

─  イギリス最高のサウンド・クリエーターが見事な4チャンネル・アレンジで贈るバカラック・ソング ─ (日本盤の帯コピー)

帯を読まないと誤解しますよねー。素直に 『 トニー・ハッチ<プレイズ>バート・バカラック 』 としとけばよいものを…。

プロデュース&アレンジはトニー・ハッチ自身。クレジットに記載はありませんが、オーケストラは小規模ビッグバンド+ストリングス+ハープってな感じでコーラスは一切なし。トニー・ハッチ自身は指揮してるのかな?

Img_0268eeeImg_0269fff 取り上げた12曲はバカラックの定番曲ばかり。1971年ですからB3. 「 雨にぬれても 」 やB4. 「 遥かなる影 」 も入ってます。アレンジの仕立ては “ 軽快で明るいイージーリスニング ”。どちらかというとストリングスより管楽器が目立ちますが、各楽器にまんべんなくメロディを担当させてます。特にバス・トランペットは珍しいと思います。普通ポップスには使わんでしょう。一般的なトランペットより1オクターブ低く音色はトロンボーンにそっくり。知らなかったので勉強になりました。(参考:トランペット6種類のデモ動画 ~ 最初がバス・トランペット)

─  バート・バカラックは、コードとリズム構造の複雑さとメロディのシンプルさを融合させるわざの持ち主です。ハル・デイヴィッドは、おきまりのありきたりな表現をスタイリッシュなオリジナリティーに変える技巧をモノにしました。私は何年もの間、彼らの複合的な才能に敬意を表してきました。このアルバムで彼らのグレイテスト・ヒッツ12曲を演奏することは私にとって途轍もなく大きな喜びです。 ─ (トニー・ハッチ、 裏ジャケのライナーより)

バカラックとハル・デイヴィッドの2人を同じようにリスペクトしているのは作詞と作曲の両方をこなすトニー・ハッチならでは。取ってつけたようなアレンジの曲はなく、彼の言葉が儀礼的なものではないことがわかります。ハープで始まるイントロやAメロ初め2小節の弾むハーモニーが特徴的なA1. 「 サン・ホセへの道 」 、いろんな楽器を贅沢に使ったアレンジでバス・トランペットがいいアクセントになっているB1. 「 小さな願い 」 、速いテンポ(♩≒140)のジャズワルツでブラスとストリングスがゴージャスに奏でるB6. 「 世界は愛を求めている 」 あたりがレコメンド。

他にも、フリューゲルホルン2本とフルートがうまくハモるA2. 「 汽車と船と飛行機と 」 、フリューゲルホルンとトロンボーンによるメロディの掛け合いがたまらないB5. 「 アルフィー 」 あたりも捨てがたいです。トニー・ハッチは日本ではともかく英国では超有名ですからCD化されていてもよさそうなもんなんですが…。

R357085415013377633140png なお、B2. 「 恋のおもかげ 」 だけは1968年のアルバム 『 Latin Velvet And Other Warm Sensations 』 からのキャリーオーバー。
流麗なストリングスにフリューゲルホルン、サックス、ピアノがシンプルにメロディを乗せたサウンドは、確かに本アルバムの他の曲とはちょっと雰囲気が異なります。私のレコメンドではありませんねー。

このように、本アルバム以外にもトニー・ハッチは自身名義でバカラック作品をレコーディングしています。
以下まとめてみました。対象はあくまで彼自身名義のアルバムで、例えば “ ジャッキー・トレント(当時の奥様) with トニー・ハッチ ” のようなアルバムは含みません。
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R211496314665272806804jpegオマケとして、MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
上表のとおり、トニー・ハッチは1970年にリリースした Tony Hatch & The Satin Brass 名義のアルバム 『 Sounds Of The 70's 』 で 「 恋よさようなら 」(2:17) と 「 ディス・ガイ 」(3:20) を取り上げています。「 恋よさようなら 」 はマリアッチ調で、複数のトランペットによるメロディはどーみてもティファナブラスのパクリ(笑)。他にもホルンやトロンボーンがバリバリメロディを吹いてます。
「 ディス・ガイ 」 は本アルバムにも収録されていますが、イントロこそ似てるものの全くの別物。ボサノヴァ調で、後半は 「 恋よ~ 」 と同様に金管がバリバリ吹きます。本アルバム収録曲の方が私は好きですねー。


【データ】
『 What The World Needs Now! 』 (邦題:トニー・ハッチ<プラス>バート・バカラック)
Tony Hatch & His Orchestra With The Songs Of Burt Bacharach & Hal David

LP:1971年リリース
レーベル:Pye Records (UK)
番号:NSPL 41014

Produced by Tony Hatch
Arranged by Tony Hatch
Special Mentions
  Bass Trumpet - Ray Premru (A1,A6,B1)
  Flugel Horn - Tony Fisher (A2,B6), Greg Bowen (A2,A3)
  Trombone - Johnny Edwards (A2)
  Alto Sax - Ronnie Chamberlain (A5)
  Tenor Sax - Rex Morris (B5)

Recording Supervised by Ray Prickett at Pye Records Studios, London
Ⓟ1971 except B2. (Ⓟ1968)

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2018年2月18日 (日)

BACHARACH BRAVO!/Chris Hinze (1971年)

オランダの男性ジャズ・フルート奏者、クリス・ヒンゼが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

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A1. THE APRIL FOOLS
A2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A3. THE LOOK OF LOVE
A4. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B1. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B2. LET ME GO TO HIM
B3. PAPER MACHE
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

収録時間約36分


クリス・ヒンゼは1938年オランダ生まれのジャズ・フルート奏者。ハーグ王立音楽院で学び、1969年にバークリー音楽院に留学。1970年には自らのカルテットでモントルー・ジャズ祭に参加してソリスト賞を受賞しました。ジャズからバロック、1974年には尺八の山本邦山など邦楽器奏者とのセッション3部作を録音したり、後年はニューエイジに傾倒するなど幅広いジャンルで活躍した方のようです。

1969年に初リーダー作を録音。カルテットで2枚、クリス・ヒンゼ・コンビネーション名義で1枚のアルバムをリリース(ジャケ裏の3枚のLPジャケットがそれです)したあと、1971年にリリースした4枚目が本作です。

基本はフルート、ピアノ、ギター、ベース、ドラムスのクインテットで、更に一部の曲でフルート4人が参加。あまり馴染みのない編成なので新鮮ではあります。ちょっと残念なのはメンバーの写真がないこと。ジャケットにワケわからん写真使うくらいなら小さくてもいいから載せて欲しかったです…。

Imgp5321ccc_2Imgp5322ccc_2 収録された8曲は全てバカラック&デイヴィッド作品。

そのうちB2.. 「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム(恋に生きて) 」 とB3. 「 ペイパー・マシェ 」 はディオンヌがオリジナル。1970年のアルバム 『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』 収録曲で、どちらもシングルA面曲になったのですが、あまりカヴァーされていない曲です。超レアな 「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム 」 は私にとって初めて聴くカヴァー・バージョンとなりました。

全体にゆったりめで落ち着いたアレンジが多いです。各曲のテンポをその曲のオリジナル・バージョンと比較してみました。レーダーチャートをご覧ください。オリジナルより遅い曲が殆どです。特にA4. 「 汽車と船と飛行機と 」(♩≒72) とB3. 「 ペイパー・マシェ 」(♩≒70) はオリジナルよりグッと遅くて、受ける印象がかなり変わるのが面白い!
尚、B4. 「 遥かなる影 」 のオリジナルはリチャード・チェンバレンですが、ここではカーペンターズと比較しました。
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A面最初のA1. 「 エイプリス・フール 」 やB面最初のB1. 「 ディス・ガイ 」 は、他のどのカヴァーとも違うシンプル且つ幻想的なイントロから始まり、コイツは只者ではないな…と思わせます。全編を通して、クリスはフラッター・タングング(巻き舌)や尺八のような奏法など、派手ではないけれど様々な技を駆使してメロディを奏でています。このアルバムはイージー・リスニングなんかじゃなくてやっぱりジャズなんですね。

落ち着いたアレンジが多いと書きましたが、A2. 「 世界は愛を求めている 」 やA3. 「 恋のおもかげ 」 はクリスやピアノのアドリヴがけっこう多くてハードな仕上がり。特に 「 恋のおもかげ 」 はアヴァンギャルドなアドリヴで、 『 ルパン三世 』 TV第1シリーズの世界観と近しい印象を持ちました(あくまで個人的な感想ですが)。本アルバム中、私のイチオシです。

アドリヴもなく単調なB4. 「 遥かなる影 」 のようにちょっと残念な曲もありますが、どうしてこれまでCD化されてなかったんだろう?と訝しく思ってしまう、掘り出し物のアルバムでございました。地味ですけどねcoldsweats01

R105858615133448519141pngSankyoalto ちなみに、ワケわからんジャケ写は1973年の再発時にクリスの写真に差し替えられ、アルバム名もわかりやすく 『 Hinze Plays Bacharach 』 に変更されました。(画像左です)

再発時のジャケ写でクリスが吹いてるフルート、よく見ると管が平行に2本あります。クリスは曲によって普通のフルートとアルトフルートを吹き分けていますが、どうもU字管のアルトフルートみたいですね。アルトフルートは普通のフルートの1.5倍くらいの長さがあり手が届きにくくなることから、ストレートと一回曲げたU字管の2種類の形状(画像右参照)があるんですって。今回初めて知りましたflair

そのアルトフルートがそうなのかはわかりませんが、クレジットによればクリスのフルートはムラマツ製。日本製フルートが欧米で高い評価を得た最初の製品がムラマツフルートだった…と何かの本で読んだことがありますが、1970年頃すでにそうだっんだっ!?と認識しました。


【データ】
『 BACHARACH BRAVO! 』
Chris Hinze

LP:1971年リリース
レーベル:CBS (Netherlands)
番号:S 64312

Produced by Ruud Jacobs
Arranged by Chris Hinze
Personnel
  Chris Hinze - flute & alto flute
  Henk Alkema - piano & organ
  Wim Overgaauw - guitar
  Roger Cook - bass
  Frank Bennett - drums
  David Porcelijn - flute (A2,B2,B4)
  Rien de Reede - alto flute (〃)
  Govert Jurriaanse - flute (〃)
  Margriet De Wijs - flute (〃)

Chris Hinze plays a silver Muramatsu flute

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2018年2月11日 (日)

Promises, Promises/Aimi Macdonald and Ronnie Carroll (1969年)

UKアーティストによるミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のスタジオ・キャスト・アルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. OVERTURE  ~ Orchestra ~
A2. HALF AS BIG AS LIFE  ~ Ronnie Carroll
A3. UPSTAIRS  ~ Ronnie Carroll
A4. YOU'LL THINK OF SOMEONE  ~ Aimi Macdonald and Ronnie Carroll
A5. SHE LIKES BASKETBALL  ~ Ronnie Carroll
A6. KNOWING WHEN TO LEAVE  ~ Aimi Macdonald
B1. TURKEY LURKEY TIME  ~ Daphne Bonnet, Lissa Gray and Christine Parker
B2. A FACT CAN BE A BEAUTIFUL THING  ~ Ronnie Carroll and Patricia Whitmore
B3. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU  ~ Aimi Macdonald
B4. WHERE CAN YOU TAKE A GIRL?  ~ Frank Holmes, Fergus O'Kelly, Eddie Lester and Charles Young
B5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Aimi Macdonald and Ronnie Carroll
B6. PROMISES, PROMISES  ~ Ronnie Carroll

収録時間約35分


─  ブロードウェイでの大ヒットを受け、『 プロミセス・プロミセス 』 ロンドン公演が10月2日プリンス・オブ・ウェールズ・シアターで始まった。「 THE STORY OF MY LIFE(ストーリー・オブ・マイ・ライフ) 」 「 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(世界は愛を求めている) 」 「 ANYONE WHO HAD A HEART(恋するハート) 」 などこの10年の間に数多くのヒット曲を生んだバート・バカラックとハル・デイヴィッドによる最初のミュージカルである。一番の人気曲 「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN(恋よさようなら) 」 は公演開始一週間以内にUKチャート1位となり、ショーの成功を改めて裏付けることとなった。そのほか注目すべき曲は、「 WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU(あなたはあなた) 」 「 WANTING THINGS(ウォンティング・シングス) 」 そして、とても楽しいタイトル曲である。 ─ (ジャケ裏のライナーノーツより)

1969年、『 プロミセス・プロミセス 』 のロンドン公演が始まって一週間経った頃の描写からライナーノーツは始まっています。前回記事で紹介したロンドン・オリジナル・キャスト・アルバムと同じく1969年にリリースされた本アルバム、ロンドン公演のキャストは一人も参加していません。

アルバムの名義はアイミ・マクドナルドとロニー・キャロル。ジャケットの2人です。略歴がライナーに書いてありましたので引用して紹介します。(邦題やUKチャートなど参考情報を追記しました)

─  フランスとアメリカでバレエのキャリアをスタートさせた後、アイミはイングランド戻ってミュージカル 『 On the Town(オン・ザ・タウン) 』 『 Boys from Syracuse 』 に出演。そのあと彼女はTVコメディ・シリーズ 『 At Last The 1948 Show 』 で大ブレーク、“ the lovely Aimi Macdonald ” のキャッチフレーズが付いた。シリーズ終了後すぐに彼女はガーシュインの 『 Lady, be good(レディー、ビー・グッド) 』 でLionel Blairと共演した。 ─

─  ロニー・キャロルは約12年間歌手として活動しており、「 Say wonderful things 」(1963年、UK6位)、「 Roses are red 」(1962年、UK3位)、「 Dear heart 」 などのヒット曲がある。リラックスした歌唱スタイルを持ち、長年にわたり多くのラジオやTV番組に出演してきた。このところ録音が減っていたが以前と同様に彼が歌うのを聴けて非常に喜ばしい。 ─

作品や曲がわからないので読んでもピンときませんがcoldsweats01

Pp_uk_studio_cast_5この2人以外に、一部の曲では他のアーティストも参加しています。左の表はミュージカルの役と本アルバム参加アーティストの関係をまとめたものですが、その曲を歌う役に合わせて歌手をあてがってるワケですね。

Wikiで調べて知ったのですが、公演キャストとは別にレコーディングしたアルバムをスタジオ・キャスト・アルバムって言うんですね。?マークの方は出身&生年等調べてもわからなかったのですが、UKの色々なスタジオ・キャスト・アルバムに名前が出てくる…そんな方々ばかりでございます。

Imgp5319cccImgp5320ccc 収録されているのは、オリジナル・キャスト・アルバム(以降、OC盤)の17曲からシェルドレイク役やドレイファス医師役が歌う曲などをカットした12曲。オケのアレンジはOC盤に似ているけど全くの別物。レコードを耳コピしてOC盤を再現しようとしたけど力及ばず…だったのかなぁと推察。唯一みられる独自の工夫は、A1. 「 序曲 」 の途中に 「 恋よさようなら 」 を挿入したこと。時間にして20秒間、アイディアは良いのですが惜しむらくはここのアレンジが安直で…。時間に余裕がなかったのかしらん。

チャック役ロニーの歌唱は安定していて、とびぬけたところはないけれど安心して聴くことが出来ます。一方、フラン役のアイミはちょっとツラい。ネコ声なのはいいのですが、若い(当時27歳)わりに声の張りは無く音程は不安定。特にバラードのB3. 「 あなたはあなた 」 はそれが顕著。他のアーティストが頑張ってるだけに余計アイミの不安定さが目立ちます。

全体的なクオリティは明らかにOC盤より低く、本アルバムはオススメ致しかねます。これだったらOC盤を買えばいいワケで…。企画意図がよくわかりません。イージーリスニングのように原曲とは一味違ったアレンジで特徴を出すのならまだ存在意義があるんでしょうけどね。

そういう意味では、超一流アーティストが歌うスタジオ・キャスト・アルバムを作ったら面白いと思うんですけどね。OC盤を上回る圧倒的なクオリティで! 英国だったら、ちょうど今 『 トゥギャザー・ジャパン・ツアー 2018 』 (2018年2月10~12日、@東急シアターオーブ)で来日しているマイケル・ボールとアルフィー・ボーでアルバム制作したらスゴイことになるだろうなぁ。チャック役はどちらもキャラ合わないけど、ふたりともバカラック作品をカヴァーしているのでオファーしたらOKしてくれそうだし…などと夢想するあるでおでした。
マイケル・ボール 『 BACK TO BACHARACH 』
アルフィー・ボー 『 TRUST 』


【データ】
『 Promises, Promises 』
Aimi Macdonald and Ronnie Carroll

LP:1969年リリース
レーベル:fontana (UK)
番号:SFL 13192

プロデュース、アレンジ等は不明。
Orchestra directed by Keith Roberts
その他クレジットは前述の表を参照ください。
Ⓟ1969

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年2月 5日 (月)

PROMISES, PROMISES/Original London Cast Recording (1969年)

ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のオリジナル・ロンドン・キャスト・アルバムです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. OVERTURE  ~ Orchestra ~
A2. HALF AS BIG AS LIFE  ~ Anthony Roberts
A3. UPSTAIRS  ~ Anthony Roberts
A4. YOU'LL THINK OF SOMEONE  ~ Betty Buckley, Anthony Roberts
A5. OUR LITTLE SECRET  ~ Anthony Roberts, James Congdon
A6. SHE LIKES BASKETBALL  ~ Anthony Roberts
A7. KNOWING WHEN TO LEAVE  ~ Betty Buckley
A8. WANTING THINGS  ~ James Congdon
A9. TURKEY LURKEY TIME  ~ Donna McKechnie, Miranda Willis, Susi Pink
B1. A FACT CAN BE A BEAUTIFUL THING  ~ Anthony Roberts, Kelly Britt
B2. GRAPES OF ROTH  ~ Orchestra ~
B3. WHOEVER YOU ARE, I LOVE YOU  ~ Betty Buckley
B4. WHERE CAN YOU TAKE A GIRL?  ~ Ronn Carroll, Jay Denyer, Ivor Dean, Don Fellows
B5. CHRISTMAS DAY  ~ Toni Eden, Eula Parker, Jackie Lee, Barbara Moore
B6. A YOUNG PRETTY GIRL LIKE YOU  ~ Anthony Roberts, Jack Kruschen
B7. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Betty Buckley, Anthony Roberts
B8. PROMISES, PROMISES  ~ Anthony Roberts

所要時間約44分


ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のオリジナル・ロンドン・キャスト・アルバムです。

本家ブロードウェイ版 『 プロミセス・プロミセス 』 の好評を受け、ロンドンのウエスト・エンドで1969年10月にオープン。560回上演してこちらも好評だったそうです。ジャケットにクレジットされていた主なスタッフ及び主要キャストは以下表のとおり。ブロードウェイ版も併記しました。
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照明と演出を除いてブロードウェイ版(以降、BW版)のスタッフが名を連ねています。Original production directed by とわざわざBW版の演出家までクレジットされていますし、アルバムのジャケットもそっくり。BW版と同じクオリティを目指したものと推察します。

チャック役のトニー・ロバーツについては 『 バカラック自伝 』 にエピソードが載っています。BW版のリハーサル中のこと。脚本のニール・サイモンがチャック役のジェリー・オーバックを嫌ってトニー・ロバーツの起用をプロデューサーに進言。香港からトニー・ロバーツをニューヨークに呼び戻したのですが、急にニール・サイモンがジェリー・オーバックを代えないと言い出して結局この話はおじゃんに。ウエスト・エンド版(以降、WE版)のチャック役は彼以外あり得なかったのかも…。トニー・ロバーツはその後、ブロードウェイで2代目チャックとなったそうです。良かったね、トニー。

フラン役のベティ・バックリーは1947年生まれで1969年当時22歳。出身地のテキサス州で一度は会社勤めをしたものの同年ニューヨークにやってきてブロードウェイ・デビューしたばかりでした。BW版のフラン役ジル・オハラがその後鳴かず飛ばずだったのに対して、ベティ・バックリーは映画/TV/ミュージカルなど幅広く活躍。ミュージカル 『 キャッツ 』 のブロードウェイ初演でグリザベラ役を演じて1983年トニー賞助演女優賞を受賞しています。尚、Wikiによればブロードウェイ何度目かの米国内ツアーの時にもフラン役を演じたそうです。

BW版が上演中ですから当然別の役者がキャスティングされているのですが、唯一の例外はミス・デラ=ホヤ役のドナ・マッケニー。のちにミュージカル 『 コーラスライン 』 で1976年のトニー賞主演女優賞を獲得しています。ブロードウェイは代役に交代したのかな。

表の主要キャストのうち英国の役者はカークビー役とアイケルバーガー役の2人のみ。ただ、役名は載ってないけれどB5. 「 クリスマス・デイ 」 を歌う女性4人組のうちアイルランド生まれの歌手Jackie Lee(ジャッキー・リー)と英国生まれでスキャットの女王として知られるBarbara Moore(バーバラ・ムーア)はWE版ならでは…なんだそう(某サイトの受け売りです^^;)。

Imgp5329cccImgp5332ccc 曲目はBW版と同じなのですが、構成面では細かいところでいくつか違いがあります。A3. 「 二階の僕の部屋 」 はBW版が2コーラス歌うのに対して1コーラスのみ、A9. 「 ターキー・ラーキー・タイム 」 では中盤にある間奏部に1小節挿入してドラムスのアドリブを強調、B3. 「 あなたはあなた 」 は終止形で終わるBW版に対しフェードアウトで終わる、B5. 「 クリスマス・デイ 」 の冒頭にフルートのソロを4小節追加する代わりにBW版にあるアウトロを省略、B8. 「 プロミセス・プロミセス 」 でBW版はフェードアウトですが終止形で終わっている、といったところです。

アレンジは基本同じなのですが、オケのメンバーや指揮者は現地調達でしょうから表現上の違いがみられます。例えばA1. 「 序曲 」 の前半、「 去りし時を知って(もうさようならの時) 」 のサビをトランペットが吹くところ。2小節だけ音型を比較してみたのがコレ。
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1969年のアルバム 『 MAKE IT EASY ON YOURSELF 』 でバカラックがセルフ・カヴァーした 「 去りし時を知って 」 のサビの音型はBW版と瓜二つ。─  わたしの書いたパートを、わたしが希望する通りのかたちでプレイさせることに強くこだわっていた ─ とBW版リハーサルの模様をバカラックが自伝で触れていますが、ナルホド納得です。片やWE版にバカラックが関与することはなかったのでしょう。自伝にもそんな記述ありませんし。
それと、B6. 「 可愛い女の子(若くてかわいい女の子) 」 だけキーが2度高いです。ドレイファス医師役の声域に合わせて移調したのでしょう。

トニー・ロバーツはジェリー・オーバックより4歳若いのですが、このアルバムを聴く限り逆なんじゃ?と思えます。声質は似ていますが声量が少し負けてるのかなと。A3. 「 二階の僕の部屋 」 やA4. 「 誰かいるさ 」 のようなアップテンポの曲では所々リズムに乗れない部分もあったりして。私はジェリー・オーバックに軍配を上げます。

ベティ・バックリーとジル・オハラは同い年。お互いブライトな声質で声量もあり甲乙つけがたいです。幾分ネコ声気味のベティ・バックリーの方が茶目っ気ある印象を受けますが、フラン役をどう演じるかに関わる話でありどちらがいいとは言えません。軍配は引き分けです。個人的な好みを言うとベティ・バックリーかな。

このミュージカルで最もお客さんに受ける場面でチャック役とB1. 「 事実は美しいはずなのに 」 を歌うマージ役。これはWE版のケリー・ブリットがもう抜群です。酔ってチャックをおちょくる女性を表情豊かに演じていて、チャック役のトニー・ロバーツをうまくリードしています。フラン役との絡みがイマイチなトニー・ロバーツもこの曲では生き生きとして息の合った絡みをみせます。

BW版とWE版を比較して雰囲気がちょっと違うと思ったのはコーラス形式で歌うB5. 「 クリスマス・デイ 」 。テンポが速めでゴージャスなBW版に対し、WE版はゆったりしたテンポで情感豊か。雰囲気が好きなのはWE版の方です。

このWE版の中古LPを私はDiscogsのマーケットプレイスでゲットしたのですが、2010年に米国 Kritzerland レーベルから1,000枚限定でCD化されていることをごく最近知りました。日本のAmazonでは扱ってませんが、UKとドイツの Amazon では扱ってるようです。とはいっても新品は売り切れてて中古だけ、しかもお値段かなりするようですが。内容的にはBW版と大きな違いはありませんから、興味ある方は中古LPをリーズナブルな価格で購入するのがよろしいかと。


【データ】
『 PROMISES, PROMISES 』
Original London Cast Recording

LP:1969年リリース
レーベル:United Artists (UK)
番号:UAS 29075

クレジットは前述の表を参照ください。

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2018年2月 3日 (土)

the Lost BBC sessions 1967/Jeff Beck Group (2018年)

ジェフ・ベック・グループ、結成直後の1967年の3回のBBC出演ライヴを収めたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録! …なのですが

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全18トラック中、バカラック作品は1トラック

12. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)  (2:48)


Img044ccc ジェフ・ベック・グループ、結成直後の1967年の3回のBBC出演ライヴを収めたアルバムです。どんなアルバムなのか、CD帯の紹介文がコンパクトに纏まってましたので引用させていただきます。

─  孤高のギタリスト/ジェフ・ベックがロッド・スチュワートをヴォーカル、ロン・ウッドをベースに迎え結成した “ ジェフ・ベック・グループ ” の貴重な初期ライヴ解禁! ジェフが歌う 「 Hi Ho Silver Lining 」 などでは鋭角的なギター・ソロで公式発表テイクと較べ圧倒的にロックなパフォーマンスを聞かせます。BBCマスター消失により音質にバラつきもありますが 「 ロック・マイ・プリムソウル 」 、「 迷信嫌い 」 など全テイクが元祖ハードロックと呼ばれる迫力ある演奏です。B・バカラック曲の独創的カヴァーは必聴。ボーナスとしてマーキー・クラブでの 「 ジェフス・ブギー 」 などライヴ4曲を追加収録。 ─ (CD帯より)

キッカケは何かのニュース記事。ちょうど本アルバム発売日にその記事を目にしてバカラック・カヴァーが入ってることを知ったのです。そこでAmazonを見たら次の様な記述が目に留まりました…。

─  そして最大のサプライズはバート・バカラック・ソングのカバー 「 You'll Never Get to Heaven 」 。ジェフの爆音コードが鳴らされると、主旋律は何とロン・ウッドのベース・ソロが受け継ぎロッドを中心にメンバーによるアカペラ・コーラスへと進行し、ほとんどソフト・ロックな雰囲気で仰天必至です。 ─ (Amazon 商品の紹介 “ 内容説明 ” より)

サプライズに仰天必至だと? ロックはワタクシど素人で、ジェフ・ベックは名前を知ってるだけ。でも、これは聴かねば! 試聴/ダウンロードはできないのか…。 ほんじゃ買うしかねーじゃん!!

─  ご存知の様にBBC放送には既にマスターが残されていないため、ここでも音質的にやや問題のある音源(track.5,11,12,13,14)も含まれていますがそれでも近年発見されたマスターからの収録に努めました。 ─ (同上)

そりゃー読みましたょ、一応。 音質的にやや問題のある音源? よござんしょ、“ やや ” ぐらいならOKだぜ! ポチッ!!

CDは翌日届きました。他のトラックには目もくれずT-12. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」 を再生! ………なんだ? このヒドイ音質は…。まるで短波放送で遠い海外放送局を聴いてるかのような感覚。ノイズレベルが高くて音が遠くなったり近くなったり。そういえば小学生~中学生のころBCL流行ったよなぁ、懐かしいconfident いや、そんなこたぁどーだっていい! ライナーによれば、BBCはマスターテープを破棄。一部はローカル局の放送用にLPレコードにプレスして残したそうですが(T-3,7,9.など)、その他は一般視聴者によるラジオ放送の録音だそう。ナルホドそれで疑問が解けました。それにしてもヒド過ぎます。こんなもの売り物にすんじゃねーっつーのっannoy

Img045fffCD帯をひっくり返すとこんなことが書いてありました。

─ (略) 20世紀の音楽遺産を未来へ伝承すべく企画されたシリーズです。マスターに起因するノイズ、音トビ、録音ムラ等のお聴き苦しい点が含まれている場合が御座いますが、50年以上前の当時の録音機材、録音環境、録音状況、また録音テープの経年劣化によるものであり、制作・製造上の瑕疵やディスク不良では御座いません。何卒ご理解の上、アーティスト達の今尚色褪せぬ素晴らしい演奏をお楽しみくださいますようお願い申し上げます。 ─ (CD帯のウラ側より)

つまり我々(制作サイド)に責任はありませんと。アーティストのマニア/ファン向けの企画なのですね。あんたら好きで買ったんでしょ?と。

仕方がない。気を取り直して 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」 ですが、曲の後半にある20秒弱ほどのアカペラ・コーラスを除く全編でベースがメロディを弾いています。珍しいですし独創的と言えると思います。が、このベースによるメロディライン、お世辞にも素晴らしい演奏とは言えません。音質が悪すぎてそれすら判断できないとゆーか。クリアな音質で聴きたかったなー。トホホcrying

尚、番組DJによる曲紹介MCがトラックの冒頭と最後に入ってます。曲とかぶってないのでカットできると思うんですけどね。ま、どーでもいいですcoldsweats01

他の曲については特に感想もないしノーコメントです。悪しからず。


【データ】
『 the Lost BBC sessions 1967 』 (邦題:ザ・ロスト・BBCセッションズ 1967)
Jeff Beck Group

CD:2018年1月31日リリース
レーベル:Eternal Grooves (JP)
番号:EGRO-0004

Jeff Beck (Guitar) Vocal on T-1,9.
Rod Stewart (Vocal)
Ron Wood (Bass)
Rod Coombes (Drums) on T-1~5.
Aynsley Dunbar (Drums) on T-7~9.
Mickey Waller (Drums) on T-10~14.

T-1~6.: Saturday Club, rec. date: March 7, 1967
T-7~9.: Saturday Club, rec. date: July 4, 1967
T-10~14.: Top Gear, rec. date: Nov. 1, 1967
T-15~18.: <BONUS TRACK> Marquee Club, London Sept. 26, 1967

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