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2018年3月

2018年3月26日 (月)

ガーデン・オブ・ザ・ペンフレンドクラブ/ザ・ペンフレンドクラブ (2018年)

2012年に結成された日本のバンド、ザ・ペンフレンドクラブの5thアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

6. MY LITTLE RED BOOK (2:30)


2012年に平川雄一により結成された日本のバンド、ザ・ペンフレンドクラブの5thアルバムです。今月21日にリリースされたばかりのホヤホヤっす。

Img050sss_2バンドの公式サイトによると、─ 音楽性は主に The Beach Boys, Phil Spector 周辺の60年代中期ウェストコーストロック ─  とのこと。バンド・メンバーは裏ジャケの左から、ドラムスギター/ヴォーカルサックスメイン・ヴォーカルベースグロッケンオルガンという7人。ファッション/サウンド共に60年代ポップスの雰囲気を感じます。また、本作では生ストリングス(夜長オーケストラ)も参加しています。

リプライズのT-11. を除いた10曲はオリジナル/カヴァーが半々。オリジナルはT-1,2,5,7,10. の5曲で、その中ではT-2. 「 飛翔する日常 」 がフィフス・ディメンションの 「 ビートでジャンプ 」 や平山三紀の 「 いつか何処かで 」 を彷彿とさせる佳曲ですし(コード進行的には赤い鳥の 「 ラブリー・チェリー 」 にも近似性を感じます)、フォーキーなT-10. 「 僕と君のメロディ 」 も好印象です。

カヴァーは、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ(T-3.)、ブライアン・ウィルソン(T-4.)、大瀧詠一(T-8.)、ザ・ヤング・ラスカルズ(T-9.)という具合。それぞれ原曲を知らないのでコメントは避けますが、良質なポップスであることはわかります。

さて、本題のバカラック・カヴァーはT-6. 「 マイ・リトル・レッド・ブック 」 。この曲をチョイスした時点でセンス良すぎっ! 日本のアーティストがこの曲を取り上げたのはザ・ペンフレンドクラブが初めてでしょう。んで、聴いてみたら何だか雰囲気が違うんです。そのうちピンっときました。ヴォーカルが女性だからだっ!

─ 君と別れてすぐ、僕は小さな赤い手帳を取り出して街の女の子とデートした。でも君のことを話してしまうんだ。誰一人君の代わりにならなかった。女の子たちはみな僕が君のことを好きだって知ってるんだ。どうか僕の処へ帰ってきて。君が必要なんだ ─  …要約するとこんな歌詞ですからねー、オリジナルのマンフレッド・マンやカヴァーの殆どは男性ヴォーカル。メイン・ヴォーカルが女性なのは 『 THE BURT BACHARACH ALBUM “BROADWAY SINGS THE BEST OF BACHARACH” 』 の Melba Joyce ぐらいでしょう。そういう意味でも貴重なカヴァーと言えます。

サビではもう一人女声が加わり最初はユニゾンで…最後は6度高い音でハモリます。これが爽快なんですょ。また、キーが低いのも雰囲気が違う一因かと。マンフレッド・マンやバカラックのセルフ・カヴァーはメロディの最初の音がB♭。ラブのカヴァーはB。それに対してザ・ペンフレンドクラブはA♭。なんとなくサウンドが骨太なのはそのせいでは? 細かいところのアレンジにもニヤリとさせられます。サビ部のストリングスによるオブリガートは新鮮で素敵だし、3コーラス目のAメロでオルガンとグロッケンが奏でるメロディは3度高くてハッとさせられるし、無伴奏になって女声ヴォーカルだけになるエンディングもこの歌の切なさを上手く表現していて唸っちゃいました。

今後もバカラックをカヴァーして欲しいですね。


【データ】
『 ガーデン・オブ・ザ・ペンフレンドクラブ 』 (英題: Garden Of The PenFriend Club)
ザ・ペンフレンドクラブ (英名: The PenFriend Club)

CD:2018年3月21日リリース  (解説:ウチタカヒデ)
レーベル:Penpal Records (JP)
番号:PPRD-0003

Producer, Mixing Engineer, Mastering Engineer, Art Designer: 平川雄一
Recording Engineer: 平川雄一、DEW Makino、中村康隆(夜長オーケストラ)
Strings Arranger: 中村康隆(夜長オーケストラ)
Sax Solo Arranger: カンケ
ザ・ペンフレンドクラブ
  平川雄一 (HIRAKAWA, Yuichi) - Vocal, Chorus, Guitars, Bass, Percussions
  藤本有華 (FUJIMOTO, Yuka) - Vocal, Chorus
  西岡利恵 (NISHIOKA, Rie) - Bass, Chorus
  ヨーコ (Yoko) - Organ, Piano, Flute, Soprano Recorder, Chorus
  祥雲貴行 (SAKUMO, Takayuki) - Drims, Bongo
  中川ユミ (NAKAGAWA, Yumi) - Glockenspiel, Windchimes
  大谷英紗子 (OTANI, Asako) - Saxophone (Soprano, Alto, Tenor, Baritone), Chorus
夜長オーケストラ (Yonaga Orchestra) - Strings

 

2018年3月23日 (金)

Plays Bacharach Vol.1 (Paper Maché)/Noël Akchoté (2016年)

フランスのギタリストによる、何を弾いてんだかよくわからないバカラック・カヴァー集です。 (CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THE LOOK OF LOVE
2. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
5. WALK ON BY
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
7. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
8. PROMISES, PROMISES
9. PAPER MACHE
10. ODDS AND ENDS
11. LONELINESS REMEMBERS WHAT HAPPINESS FORGETS
12. I SAY A LITTLE PRAYER
13. EVERYBODY'S OUT OF TOWN
14. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
15. MESSAGE TO MICHAEL
16. ALFIE
17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?

収録時間約31分


フランスのギタリスト、ノエル・アクショテによるバカラック・カヴァー集です。Amazon/iTunes 等のデジタル配信のみです。

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ノエル・アクショテは1968年パリ生まれ。8歳からギターを手に取り、最初はジャズを弾いていたそう。90年代初頭から前衛的/実験的なスタイルになっていき、現在はロック、ジャズ、現代音楽などの分野で活躍中とのこと。自身のレーベル Noël Akchoté Downloads から多数のアルバムをリリースしています。実際、Discogs には Album だけで494タイトル※も出てきてビックリしました。(※ 2018年3月時点)

画像は彼の公式サイトと Discogs から拾ったものですが、なんとなく小難しそうな人ですねー(^^;。

演奏はアコースティック・ギター1本のみ。カヴァー定番曲が殆どですが、T-9. からの3曲とT-13. はあまりカヴァーされないマイナーな曲。なかでもT-11. 「 ロンリネス・ハッピネス 」 とT-13. 「 アウト・オブ・タウン 」 は超レア曲です。

全17曲と曲数は多いですが、収録時間トータル約31分なので1曲あたりの演奏時間は2分以下。じっくり聴くというよりはBGM的にリラックスして聴いてもらうコンセプトなのかと思ったら、これが何弾いてんだかよくわからない演奏でして…。リラックスするどころか 「 この曲、何だっけ? わからん~~~ 」 となる代物なのです。

①. メロディを崩している
②. 伴奏パートの音量がメロディパートと同じくらい大きい
③. 左手がスライドする際の “ キュッキュッ音 ” が大きくて耳障り

何弾いてんだかよくわからない理由はこの3つ。アコギのソロといえば拙ブログでも紹介したことがあるアール・クルー( こちら でオマケとして紹介)。アール・クルーの演奏は、①. 2コーラス目でメロディを崩すことはあっても1コーラス目はメロディを崩すことはなく、②. メロディがしっかり浮き出るよう伴奏パートの音量は控えめで、③. 左手のキュッキュッ音は殆ど聴こえないレベル。何を弾いてるかちゃんとわかりますし、なにより聴いていてまったりした気分になります。

それに比べてノエル・アクショテは…。すぐに曲名がわかるものも一部ありますが、フレーズの断片からおぼろげながら曲名が浮かぶものが殆どです。中には、最後まで曲名がわからなかったものも…。なかなかオススメしづらいバカラック・カヴァー集でございます。Vol.2 がリリースされるとしたら何とかして欲しいところです。

まぁ、『 バカラック愛好家による曲名当てクイズ 』 みたいな企画があったらこの音源を出題すると面白いかもしれませんねー。それ以外の使い道はちょっと思い付きません…。


【データ】
『 Plays Bacharach Vol.1 (Paper Maché) 』
Noël Akchoté

MP3:2016年4月29日リリース
レーベル:Noël Akchoté Downloads (FR)
番号:BUB-1

Acoustic Guitar, Producer, Arranged by Noël Akchoté
Recorded in Paris (France), 14 April 2016

2018年3月18日 (日)

The Reel Burt Bacharach/V.A. (1999年)

映像作品の関連曲をコンパイルしたバカラック物コンピ集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ Burt Bacharach ~

2. THE LOOK OF LOVE  ~ Dusty Springfield ~ 
F
3. LOST HORIZON  ~ Shawn Phillips ~ 
M
4. SOMETHING BIG  ~ Mark Lindsay ~ 
M
5. THE APRIL FOOLS  ~ Marvin Hamlisch ~
6. FINDER OF LOST LOVES  ~ Dionne Warwick with Glenn Jones ~ 
FM
7. WHAT'S NEW PUSSYCAT?  ~ Tom Jones ~ 
M
8. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Burt Bacharach ~
9. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  ~ Richard Chamberlain ~ 
M
10. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE  ~ Gene Pitney ~ 
M
11. CASINO ROYALE  ~ Herb Alpert & The Tijuana Brass ~
12. MADE IN PARIS  ~ Trini Lopez ~ 
M
13. LONG AGO TOMORROW  ~ B. J. Thomas ~ 
M
14. SECONDS  ~ Gladys Knight & The Pips ~ 
F
15. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  ~ Christopher Cross ~ 
M
16. LOVE IS MY DECISION  ~ Chris DeBurgh ~ 
M
17. THE BEST OF TIMES  ~ Burt Bacharach ~

収録時間約57分


映像作品の関連曲をレーベルを超えてコンパイルした、米国の再発レーベルによるバカラック物コンピ集です。1999年にリリースされました。

それまでにリリースされたバカラック物コンピ集 (レーベル縛り/英国ヒット主体/オリジナルヒット主体/レア曲主体) とはちょっと毛色が違う内容だと思います。各曲と映像作品の関連を以下表にまとめました。クリックしてご覧ください。

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有名な映画からナニコレ?ってゆうマイナーなTVドラマまで、映像作品は多種多様。サントラ収録のインスト版(表では準オリジナルと分類)2曲とバカラックによるセルフ・カヴァー1曲が含まれているものの、極力その曲のオリジナルを集めようとした意図は十分感じられます。

全17曲のうち11曲については関連映像作品ともども拙ブログで紹介していますので、ここでは説明を省きます。気になる曲があればアルバム名をクリックして当該記事を参照ください。

<サントラ>
  T-1. 「 雨にぬれても 」 → 『 Butch Cassidy And The Sundance Kid 』
  T-2. 「 恋のおもかげ 」、T-11. 「 カジノ・ロワイヤル 」 → 『 Casino Royale 』
  T-3. 「 失われた地平線 」 → 『 Lost Horizon 』
  T-5. 「 エイプリル・フール 」 → 『 The April Fools 』
  T-7. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 → 『 What's New Pussycat? 』
  T-15. 「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」 → 『 Arthur 』
  T-16. 「 ラヴ・イズ・マイ・ディシジョン 」、T-17. 「 ベスト・オブ・タイム 」 → 『 Arthur 2: On the Rocks 』

<サントラ以外のアルバム>
  T-6. 「 ファインダー・オブ・ロスト・ラヴズ 」 → 『 Finder of Lost Loves 』/Dionne Warwick
  T-10. 「 リバティ・バランスを射った男 」 → 『 Gene Pitney sings Bacharach, David and others 』


T-8. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 は有名なバカラック・ナンバーのひとつですが、元々は1964年の米映画 『 禁じられた家 』 の主題歌。1920年代のミューヨークで名を馳せた高級売春宿の女主人ポリー・アドラー(シェリー・ウィンタース)の生涯を描いた映画なんだとか。バカラックは主題歌のみを提供(バカラック自伝によると5,000ドルで書いたそう)し、ブルック・ベントンが歌いました。サントラにブルック・ベントン版は入っておらず、映画の音楽を担当したジョセフ・ワイズによるインスト版のみアレンジを変えて2種類収録。私はサントラ持ってないので紹介できません…(YouTubeではサントラをフルサイズで聴けますが)。一方、本コンピ盤にコンパイルされているのはバカラックのセルフ・カヴァー版。1965年にKAPPからリリースしたバカラックのファースト・アルバム 『 Hit Maker! 』 に収められてるバージョンです。

残り5曲はマニアックな曲ばかり。それぞれ簡単にご紹介します。

T-4. 「 サムシング・ビッグ 」 は 1971年の米映画 『 テキサス大強盗団 』 の主題歌。映画はコメディー・タッチの西部劇だそう。歌ったのはポール・リヴィア&レイダーズのリード・ヴォーカルだったマーク・リンゼイ。リズムは軽快でメロディもわりと親しみ易いのですが、意表を突くコード展開はやはりバカラックらしいです。バカラックのセルフ・カヴァー( 『 LIVING TOGETHER 』 収録 )以外に、ジム・オルーク( 『 Eureka 』 収録 )とローナン・キーティング( 『 WHEN RONAN MET BURT 』 収録 )のカヴァーがあります。

T-9. 「 想い出のローマ 」 を歌ってるのはリチャード・チェンバレン。彼が主役のTVドラマ 『 ドクター・キルディア 』 において、1964年11月(日本では1965年)に放映された3週間連続のスペシャル・プログラムのテーマ・ソングでした。トロトロしたメロディにリチャード・チェンバレンのビブラート・ヴォイスが妙にマッチしてます。この曲のカヴァーは聴いたことありません。

T-12. 「 メイド・イン・パリ 」 は1966年の米同名映画の主題歌。ロマンティック・コメディらしいです。バカラックお得意のズンチャチャ・リズム、高低差のあるメロディ・ライン、不規則な小節数などバカラック風味は強め。トリニ・ロペスは米テキサス州ダラス生まれのフォーク歌手/ギタリストで、張りのある声でこの曲を楽しく歌っています。この曲もカヴァーを聴いたことがありません。

T-13. 「 ロング・アゴー・トゥモロー 」 は今回記事を書くまで映画の主題歌だと認識していませんでした(^^;。1971年の英映画で、お互い車椅子に乗る若い男女のお話。この映画を米国公開するに際し、タイトルが 『 Long Ago Tomorrow 』 に変更されてバカラックがこの曲を提供したんだそう。変拍子の挿入、不規則な小節数、高低飛び跳ねる上に音程が取りづらそうなメロディ、どこからみてもまごうことなきバカラック作品! B.J.トーマスはこの難しい曲を見事に歌いこなしています。バカラックのセルフ・カヴァー( 『 LIVING TOGETHER 』 収録 )とSiobhan Pettitのカヴァー( 『 Long Ago Tomorrow 』 収録 )があります。

T-14. 「 セコンズ 」 も新たな発見があった曲。今回記事を書くまでその由来を知りませんでした。ブロードウェイ・ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 の映画化が企画され、その映画のためにバカラックがニール・サイモンと作った曲なんだそうです。しかし映画は幻となり、バカラックがプロデュースしてグラディス・ナイト&ピップスが歌ったこの曲は、彼らの1974年のアルバム 『 I Feel A Song 』 に収録されました。変拍子の挿入、不規則な小節数、はっきりとはわからないけど転調してるような感覚、複雑な曲の構成、約1分もハミングが続くアウトロ…。ここまでくるともう変態的です。それにしても、グラディス・ナイトのメリハリの利いた歌唱は素晴らしい、流石です。バカラックによるセルフ・カヴァー( 『 FUTURES 』 収録 )があります。

なかなかシブい曲を揃えたアルバムでした。


【データ】
『 The Reel Burt Bacharach 』
V.A.

CD:1999年6月22日リリース
レーベル:Hip-O Records (US)
番号:HIPD-64566

Compilation Produced by Jim Pierson
Co-Produced by Dana G. Smart

ⓅⒸ 1999 Universal Music Special Markets, Inc. (US)

 

2018年3月11日 (日)

THE ROYAL MARINES Play BURT BACHARACH/Band of H.M. Royal Marines (Royal Marines School of Music) (1974年)

英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊が1974年にリリースしたバカラック作品集です。

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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD / MAGIC MOMENTS
A2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A3. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
A4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
A5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A6. TO WAIT FOR LOVE / (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B1. THE WORLD IS A CIRCLE
B2. ALFIE
B3. WIVES AND LOVERS
B4. TRAINS AND BOATS AND PLANES / I SAY A LITTLE PRAYER
B5. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約41分


英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊によるバカラック作品集です。1974年にEMIからリリースされました。

軍楽隊の前身となるドラム隊が創設されたのは1664年のこと。350年以上も前ですょ、スゲェ! 現在、英国海兵隊軍楽隊部門には基地/部隊付きの5バンドと音楽学校1バンドの計6バンドが所属。各軍楽隊はそれぞれ多数のLP/CDをリリースしているみたいです。なお、H.M.は Her (His) Majesty の略で 陛下 という意味。 the Royal Marines は 英国海兵隊 のこと。 ⇒ H.M. Royal Marins を 英国王立海兵隊 と訳すんだそうです。

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本アルバムはこのうち 音楽学校軍楽隊 によるもの。1966年公開の劇場版 『 THUNDERBIRDS ARE GO (邦題:サンダーバード) 』 に出演したのはあまりにも有名ですネ。映画のエンド・クレジットに同期して、当時のヴィヴィアン・ダン中佐指揮のもと当時ケント州ディ-ルにあった海兵隊音楽学校構内広場で 「 サンダーバードのテーマ 」 を演奏・行進した模様がフィルムに収められています。演奏自体はスタジオ録音したものみたいですが、素晴らしいです。 → 演奏はこちら

この音楽学校には悲しい歴史が…。1989年9月22日、IRAがディールの音楽学校を爆破して11人が死亡し22人が負傷するという痛ましい事件が起きました。その後1996年に音楽学校は現在のハンプシャー州ポーツマスに移り、ディールは閉校に…。跡地には記念の庭が作られ、毎年7月には軍楽隊が野外コンサートを開いてるそうです。

ちょっと横道にそれました。本題に移ります。本アルバムは吹奏楽編成38名による演奏で、指揮者はポール・ネヴィル中佐 (1970年にヴィヴィアン・ダン中佐から交代)。編成上の特徴はトランペットではなくコルネットを吹いている点。英国の吹奏楽ではトランペットよりも音がまろやかなコルネットを用いるのが伝統なんです。 (トランペット/コルネット/フリューゲルホルン聴き較べ → ヤマハサイト)。

バカラック作品15曲、計12トラックをレコーディング。カヴァー定番曲ばかりかと思ったら、B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい) 」 が入っててビックリ! 映画 『 失われた地平線 』 の挿入歌ですが、滅多にカヴァーされないレア曲ですからねー。

とてもやわらかい響きのサウンドは素晴らしいのひとこと。演奏レベルは高いです。音質もクリアで録音技術も優秀なんじゃないでしょうか。基本的にはコンサートマーチ(行進用ではなくステージ演奏用のマーチ)のスタイルにアレンジされていますが、聴く人を楽しませる工夫もあって決して退屈ではありません。編曲したレイ・ウッドフィールドは海兵隊軍楽隊の作曲家/編曲家で、音楽学校で教鞭も取っていたそうです。

では、簡単に1トラックずつコメントしていきます。

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A1. 前半の 「 雨にぬれても 」 、格調高くなったり剽軽になったり目まぐるしく変わるイントロを聴いてるだけでもアレンジャーのサービス精神がわかろうというもの。♩≒120のマーチ・テンポのまま迎えた後半の 「 マジック・モーメンツ 」 は、木管の可愛らしいフレーズや吠えるホルンなど、アレンジも演奏も楽しいです。

A2. 「 ディス・ガイ 」 : トランペット・ソロがフィーチャーされた曲で、アレンジは大人しめ。ソロ吹いてる方、ホント上手です。

A3. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 : 最初は子猫チャンと遊んでたけど、途中でボス猫が出てきて怒鳴られシュンとなり…。そんな情景が浮かんでくるとってもユニークなアレンジ。本アルバムで1,2を争う楽しさです。

A4. 「 恋よさようなら 」 : イントロ冒頭とエンディングはスローですが、真ん中は♩≒120のマーチ・アレンジ。イントロと間奏で聴こえるピッコロ・フルートによる可愛らしいオブリガートは私のお気に入りとなりました。

A5. 「 サン・ホセへの道 」 : イントロは金管によるファンファーレ風。本編は軽快なマーチです。

A6. 前半の 「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ(愛のおとずれ) 」 、後半の 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」 ともにわりと素直なアレンジです。

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B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい) 」 : ティンパニ、スネア・ドラム、テューバ、サックス/トロンボーン、コルネットと少しずつ楽器が音を積み重ねていくイントロはまるで映画のオープニングのよう。本編からのシンフォニックでいて軽快なサウンドはミュージカルの雰囲気。素敵なアレンジと演奏で、この曲を聴けただけでも本アルバムを入手した甲斐がありました。

B2. 「 アルフィー 」 : トロンボーン・ソロをフィーチャーした、リズム無しのスローな演奏。トロンボーンの裏でフルートやクラリネットが吹くオブリガートの細やかさにうっとりします。

B3. 「 素晴らしき恋人たち 」 : ちゃんとジャズ・ワルツの雰囲気になってます。Aメロでメロディを吹くコルネットに相槌を入れるフルートとシロフォンのオカズが個人的にはレコメンド。残り40秒となったところでスローダウンするのですが、そこでのクラリネット・ソロも素敵です。

B4. 「 汽車と船と飛行機と 」 と 「 小さな願い 」 を♩≒116の8ビート風マーチのリズムでメドレー。「 汽車と船と飛行機と 」 のAメロと 「 小さな願い 」 のAメロがマッシュ・アップできることに初めて気づきました。

B5. 「 遥かなる影 」 : シャッフルのリズムですから一応カーペンターズ版を下敷きにしてるのですが、サビの後も例の5連符は使ってないし多種多様なオブリガートも独自のものばかり。テンポも速くなったり遅くなったりします。ここまでシンフォニックな 「 遥かなる影 」 はなかなかありません。

B6. 「 世界は愛を求めてる 」 : スローで徐々にクレシェンドしていく45秒間のイントロ。4分の3拍子と8分の6拍子を重ねて演奏するユニークなAメロ。普通のジャズ・ワルツのBメロ。なんともユニークなアレンジです。

吹奏楽によるバカラック集といえば、1972年の航空自衛隊航空音楽隊 『 ダイナミック・マーチ・イン・バカラック 』 があります。本アルバムとはかなり趣が異なりますが、どちらも内容の濃いバカラック集だと思います。


【データ】
『 THE ROYAL MARINES Play BURT BACHARACH 』
Band of H.M.Royal Marines (Royal Marines School of Music)

LP:1974年リリース
レーベル:EMI (UK)
番号:TWOX 1013

Produced by Bob Barratt
Arranged by Ray Woodfield
Conductor:Lieutenant-Colonel Paul Neville, MVO, FRAM, RM.
(Principal Director of Music, Royal Marines)

The instrumentation of the Band for this album comprised
  3 flutes
  1 oboe
  8 clarinets
  1 bass clarinet
  1 bassoon
  2 alto saxophones
  1 tenor saxophone
  4 French horns
  6 cornets
  3 trombones
  1 euphonium
  3 tubas
  1 double bass
  3 percussion
a total of 38 first-class musicians.

Trumpet solo : Band Corporal Jonathan Yates (A2.)
Trombone solo : Musician Michael Eastbrook (B2.)

Recorded at EMI's Abbey Road, London, Studios
Ⓟ 1974 EMI Records Ltd

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

 

2018年3月 4日 (日)

Trains & Boats & Covers The Songs of Burt Bacharach/V.A. (1999年)

英国Pyeレコードの音源から選曲された英国編集のバカラック物コンピ集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THIS G'S IN LOVE WITH YOU  ~ Petula Clark ~  F
2. I SAY A LITTLE PRAYER  ~ City Of Westminster String Band ~
3. COME AND GET ME  ~ Lisa Shane ~  F
4. THE LAST ONE TO BE LOVED  ~ Billie Davis ~  F
5. WALK ON BY  ~ Tony Cody ~  M
6. SATURDAY SUNSHINE  ~ Bruce Forsyth ~  M
7. WIVES AND LOVERS  ~ Tony Hatch Sound ~  M
8. LOST HORIZON  ~ Dennis Lopez Liquid Latin Sound ~
9. TRAINS AND BOATS AND PLANES  ~ Anita Harris ~  F
10. Ceux Qui Ont Un Cœur (ANYONE WHO HAD A HEART)  ~ Petula Clark ~  F
11. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  ~ Sounds Orchestral ~
12. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  ~ Craig Douglas ~  M
13. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ~ Sandie Shaw ~  F
14. A HOUSE IS NOT A HOME  ~ Rex Harrison ~  M
15. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  ~ David Snell ~
16. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  ~ Paper Dolls ~  F
17. I WAKE UP CRYING  ~ Jimmy Justice ~  M
18. THE STORY OF MY LIFE  ~ Gary Miller ~  M
19. MY LITTLE RED BOOK  ~ Rockin' Berries ~  M
20. LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER  ~ Julie Rogers ~  F
21. ALFIE  ~ Tony Hatch Orchestra ~
22. MAGIC POTION  ~ Jonny Sandon & The Remo Four ~  M
23. THIS EMPTY PLACE  ~ The Searchers ~  M
24. MAKE IT EASY ON YOURSELF  ~ Jackie Trent ~  F
25. ANOTHER TEAR FALLS  ~ Mark Wynter ~  M
26. WISHIN' AND HOPIN'  ~ The Eagles ~  M
27. DON'T MAKE ME OVER  ~ Barbara Jean English ~  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F (Female-女性)、または M (Male-男性) と表記

収録時間約77分


英国Pyeレコードの音源から選曲された英国編集のバカラック物コンピ集です!

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Pye、姉妹レーベルPiccadilly、傘下の廉価盤レーベルMarble Archなどの1960年代中盤から1970年代前半の音源を中心に、同じ曲がダブらないようチョイスされています。ただし、何故か1曲だけ(T-27.)米国Alithiaレーベルの音源が…。なんででしょう? また、曲名欄にオリジナル・バージョンを示す◆マークがひとつもないようにオリジナル・バージョンは1曲もありません。アルバムのタイトル通り、27曲全てカヴァーでございます。

サンディ・ショウ、ペトゥラ・クラーク、トニー・ハッチ、アニタ・ハリスあたりはわかりますが、英国ポップスに疎い私にはピンとこないアーティストばかり。他のバカラック物コンピ盤で紹介されてないバージョンが多いのでそれらとの重複曲は少なく、お得ではあります。ブックレットのライナーには各曲の簡単な解説とともにアーティストの写真が載っていて(全員じゃないけど)、私のような人間にはありがたいっすね。せっかくなので写真だけピックアップしてご紹介します。
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まず私のレコメンドから。デニス・ロペス・リキッド・ラテン・サウンドのT-8. 「 失われた地平線 (ロスト・ホライズン) 」 は映画 『 失われた地平線 』 の主題歌。殆どカヴァーされてない超レア曲ですが、これを歌なしのインストでカヴァーしたのは彼らだけでしょう。バカラックもアルバム 『 LIVING TOGETHER 』 でセルフ・カヴァーした時は自身で歌ったくらいですからね。ちょいと遅め(♩≒100)の8ビート風ボサノヴァのリズムと弾むベースがなんともクール。フルートやトランペットが吹くメロディもいいですが、途中のオルガンやエレピもシブいです。

ジュリー・ロジャースが歌うT-20. 「 ロング・アフター・トゥナイト 」 は、元々ジミ-・ラドクリフという米男性ソウルシンガーがオリジナル(1964年)。これもあまりカヴァーされてない超レア曲です。彼女のカヴァーはカントリー調ソフト・ロックといった印象のアレンジが新鮮で素敵なのですが、特にイントロや間奏でホルンが奏でるオブリガードが堪りません。彼女の歌唱もアレンジにマッチしたブライトなものです。

アニタ・ハリスのT-9. 「 汽車と船と飛行機と 」 もレコメンドですが、以前取り上げた 『 Easy Listening BACHARACH 』 というバカラック物コンピ集で触れていますのでここでは割愛します。

このコンピ集、さきほどの2曲以外にも超レア曲が多いのが特徴。T-3. 「 カム・アンド・ゲット・ミー 」 はジャッキー・デシャノンがオリジナルですが、私が知ってるカヴァーはこのリサ・シェーンのみ。バカラックご本人がオリジネーターのT-6. 「 サタディ・サンシャイン 」 も、このブルース・フォーサイス版しかカヴァーを知りません。T-17. 「 アイ・ウェイク・アップ・クライング 」 、T-22. 「 マジック・ポーション 」 、T-25. 「 アナザー・ティア・フォールズ 」 あたりも超レア曲ですねー。

レコメンドじゃないけどユニークなカヴァーもいくつかあります。トニー・ゴーディのT-5. 「 ウォーク・オン・バイ 」 はアイザック・ヘイズ版のほぼ完コピ。バックの演奏含めてモノマネレベルです(笑)。半分セリフのように歌ってるレックス・ハリソンのT-14. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 は、彼は舞台/映画俳優だと知って納得。デイヴィッド・スネルのT-15. 「 遥かなる影 」 は珍しいハープによるカヴァー。ドラムス、ダブルベース、アコースティック・ギターとのジャズ・カルテット編成なのですが、ハープのアドリヴは新鮮でした。

T-21. 「 アルフィー 」 は前回ご紹介したトニー・ハッチのバカラック・カヴァー集 『 What The World Needs Now! 』 収録曲。T-7. 「 素晴らしき恋人たち 」 もトニー・ハッチですが、こちらはThe Tony Hatch Singers And Swingers 名義で男性コーラスが歌うイージー・リスニング。Pyeレコードのソングライター/アレンジャー/プロデューサーだったトニー・ハッチは、当時の奥様だったジャッキー・トレント、ペトゥラ・クラークの2曲、クレイグ・ダグラス、マーク・ウィンターの曲にもプロデュースやアレンジまたは伴奏で関与しています。

お得な反面、本コンピ盤は安直なコピー・アレンジの曲が多いのも事実。評価が分かれるところですが、リーズナブルなお値段であれば入手をお勧めいたします。


【データ】
『 Trains & Boats & Covers The Songs of Burt Bacharach 』
V.A.

CD:1999年6月1日リリース
レーベル:Sequel Records, Castle Music Ltd.(UK)
番号:NEMCD 409

T-1-26. original Pye Recordings
T-27. original Alithia Recording acquired by Sugar Hill Records
(Alithia ecords は米国ニュージャージー州のレーベル)

Compiled by Antony Amos
This compilation
Ⓟ 1999 Catsle Music Ltd.
Ⓒ 1999 Catsle Music Ltd.
Made in England

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