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2018年5月 6日 (日)

What The World Needs Now/Arthur Fiedler and the Boston Pops (1972年)

アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス・オーケストラによるバカラック集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. BOND STREET
A2. THE LOOK OF LOVE
A3. PROMISES, PROMISES
A4. ALFIE
A5. WIVES AND LOVERS
B1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
B2. THIS GUY'S IN LOVE WITH AGAIN
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B5. MAKE IT EASY ON YOURSELF
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約41分


アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス・オーケストラ(BPO)によるバカラック集です。

BPOは1885年に設立された米国ボストンを拠点とするポップ・オーケストラ。基本的にはクラシックの名門オケであるボストン交響楽団(BSO)のメンバーで構成され、BSOのオフシーズンに編成を変えて人気曲やスタンダード曲等を演奏して音楽普及を図っているんだそう。特に、アーサー・フィードラー(1894年生〜1979年没)が常任指揮者だった1930〜'79年の精力的な活動は広く知られるところ。'80〜'93年はあのジョン・ウィリアムズが、'95年以降はキース・ロックハートが常任指揮者を務めています。

本作は1972年のリリース。アーサー・フィードラー78歳の時です。収録されている全11曲はごく普通のバカラック・カヴァー定番曲ばかりですが、アレンジと演奏は他にはない本作特有の魅力があります。

Fullsizeoutput_198Fullsizeoutput_1a1その “ アレンジと演奏の魅力 ” について、ジャケ裏のライナーノーツが独特の言い回しで言及しています。少々長いですが、全文を紹介しますね。(かなり意訳しています、悪しからずcoldsweats01

─  バート・バカラックは独特の魅惑的で独創的で意外性のあるメロディーを書くだけでなく、ちょっと風変わりだがカッコいいアレンジまでこなす。だから、他の誰かがバカラックの曲を解釈しようとするとき、既にあるバカラック作品を基準としてそれに恥じないものにしなくてはならない。問われるのは、新しいバージョンはオリジナルを超えてるか? 或いは最低でも同レベルか? ということだ。
この光り輝くアルバムの場合、その答えは明らかに「イエス」である。その理由は3つ。第1は、マエストロ・フィードラーだ。彼は、お金を持った子供がお菓子屋で解き放たれた時のように嬉々として指揮棒を振っている。BPOの各セクションに向かう姿は、まるで、タフィー、チョコレート、ヌガーのカラフルな瓶を指差してるかのようだ。音楽は生き生きとしており、場面に応じて刺激的になったり穏やかになったり表現も豊かである。
このアルバムの成功の第2と第3の理由は、編曲者のリチャード・ヘイマンとエリック・ナイトにある。順番的にどちらがどうとは言えないが…。想像力に富むふたりの男性は、おなじみのバカラックの曲に新しい陰影と新しい視点を見出している。元々ジャジーな 「 WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち) 」 にナイトはシュトラウスのワルツのような雰囲気をもたらし、本来は軟弱な 「 MAKE IT EASY ON YOURSELF(涙でさようなら) 」 にヘイマンはまるでリチャード・ロジャースのような豊かな響きを吹き込んでいる。具体的にはそういうことだ。収録された曲のそれぞれには、まるでクラッカー・ジャックの新しい箱を開けた時のような驚きがある。(注)
そして、バート・バカラックと作詞家のハル・デイヴィッドにはあらためてブラボーと言いたい。デイヴィッドの言葉は熱狂するようなものではないが、音楽のそれぞれのフレーズにおいて圧倒的に心に届くのである。あなたがもし
バカラックとデイヴィッドをお好きなら、もしアーサー・フィードラーを好きなら、もし壮麗でお茶目で羽毛のような音楽を好むのなら、本作は大切なアルバムになるだろう。 デヴィッド・フィンクル ─

(注)クラッカー・ジャック:米国のお菓子。蜂蜜でコーティングしたポップコーンにピーナッツを混ぜたもの。オマケの玩具が入っていて、文中にある “ 新しい箱を開けた時のような驚き ” とはオマケのことを指しているのでは? と思われます。 →  参考動画(クラッカー・ジャックの30秒CM)

私もデヴィッド・フィンクルさんに同感です。クラシックと映画音楽が融合した様なシンフォニックでダイナミックで聴く人を楽しませるアレンジ&サウンドだと思います。

特に、エリック・ナイトがアレンジした5曲のオーケストレーションはどれも秀逸。曲想、テンポ、ダイナミクスを自在に操り、それでいて原曲の持ち味を殺していない稀有なオーケストラ・アレンジです。A2. 「 恋のおもかげ 」 での荘厳なイントロと中盤〜エンディングの異国風味の対比はなんとも絶妙です。A3. 「 プロミセス・プロミセス 」 の変奏込みのオーケストレーションは聴いていてウキウキしますし、ラスト10秒での畳み掛ける金管群はラヴェル 『 ダフニスとクロエ 』 第2組曲の第3曲を彷彿とさせます。一転、A4. 「 アルフィー 」 では弦楽器の豊かな響きと木管楽器の繊細な音色のブレンドはどこまでも美しく、
A5. 「 素晴らしき恋人たち 」 でのこんな管弦楽曲があったんじゃと錯覚してしまうほどの本格的なイントロにも感嘆しました。B1. 「 世界は愛を求めている 」 の後半、それまであまり目立ってなかったホルンがぱぉんぱぉん吹きまくる処が8小節あるのですが、ホルン奏者にストレス発散の機会を与えたかのようでニヤッとします。

それに比べるとリチャード・ヘイマンがアレンジした楽曲は幾分凡庸な感は否めませんが、A1. 「 ボンド・ストリート 」 での西部劇っぽいイントロやマーチング・バンドを思わせる間奏は楽しいですし、B3. 「 雨にぬれても 」 の中間部で突如3拍子になるアレンジなどはユニークです。

これまで拙ブログで紹介したイージーリスニング系オーケストラによるバカラック集(R・グッドウィンR・アルドリッチF・チャックスフィールド 等)は、オーケストラといってもドラムセットやE.ベース、曲によってキーボード/ピアノやギターも加わった編成でした。本作は、曲によってドラムセットが加わるものの基本的には純粋なオーケストラ編成でその意味でも貴重なバカラック集だと思います。どうしてCDリイシューしないのでしょうか……。


※ '90年代にリリースされたBPOのコンピCDの中には、数曲入ってたりしたヤツがあったんですけどねー。私も以前レンタルした
CDで聴いた記憶があります。現在、MP3では 『 From Fabulous Broadway to Hollywood's Reel Thing(レガシー・シリーズVol.4) 』 で2曲(A4,B3.)、『 Superstars and Songbooks - Pops By Arrangement(レガシー・シリーズVol.5) 』 で5曲(A1,A5,B1,B5,B6.)が入手可能です。


【データ】
『 What The World Needs Now  The Burt Bacharach - Hal David Songbook
Arthur Fiedler and the Boston Pops

LP:1972年リリース
レーベル:Polydor (US)
番号:PD 5019 

Produced by Thomas Mowrey
Arranged by Richard Hayman (A1,B2〜B6.)
Arranged by Eric Knight (A2〜A5,B1.)
Violin Solo: Max Hobart (A5.)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

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