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2018年10月28日 (日)

バック・トゥ・バカラック/ロック・アカデミー弦楽四重奏団 (1970年)

バカラックの曲を弦楽四重奏+αの編成で演奏したアルバム。1970年のリリースで、編曲はすぎやまこういち氏。素晴らしいです!

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
A2. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A4. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
A5. I SAY A LITTLE PRAYER
A6. REACH OUT FOR ME
B1. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
B2. THE LOOK OF LOVE
B3. PROMISES, PROMISES
B4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
B5. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL)
B6. BOND STREET

収録時間??


バカラックの曲を弦楽四重奏+αの編成で演奏したアルバムです。1970年8月にリリースされました。

全12曲のうち6曲はバカラック物コンピ集『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』(1998年)で聴くことができます。その出来の良さから全曲聴きたいと前から思っておりました。しかし、CD化はされてないし中古LPも見当たらず…。未だに所有するには至っていません。

ところが先日、本アルバムを国立国会図書館で聴くことができまして。まぁ、音源のダビングはもとよりジャケットやライナーの複写もNGでしたけれど…(ジャケットの画像はネットで拾いました、悪しからず)。拙ブログは “ 所有しているアルバム ” を紹介することを基本としておりますが、どうしても本アルバムを取り上げたかったので記事にまとめることと致しました。こういうケースもアリかな…と。

国立国会図書館での “ 録音資料の閲覧 ” 体験、なかなか新鮮でした。いずれ機会がありましたら拙ブログでご紹介したいと思います。 →  こちら(2018/11/11追記)

ついでに…。ジャケットを描いたのは及川正道(おいかわまさみち)氏。雑誌『 ぴあ 』の表紙を長年にわたり担当したお方です。バロック風の衣装を身にまとったバカラックが脚で鍵盤を弾いてます。肩にチョコンと乗ってるのはディオンヌでしょうか。ジャケット裏の2人はよくわかりませんが^^;。なんとも味がありますねー。

本題に戻ります。編曲を担当したのは、すぎやまこういち氏。歌謡曲/アニメソング/ゲーム音楽/CM音楽の作曲家として有名なお方です。1960年代後半は歌謡曲系の楽曲提供を主体に活動していたようで、ザ・ピーナッツ「 恋のフーガ 」(1967年)、ザ・タイガース「 花の首飾り 」(1968年)、ヴィレッジ・シンガーズ「 亜麻色の髪の乙女 」(1968年)などを生み出しました。1970年代に入ると特撮音楽やアニメ音楽の比重が高くなるのですが、本アルバムのようなイージー・リスニング系の編曲のお仕事もしていたんですねー。

演奏しているロック・アカデミー弦楽四重奏団は、“ クラシック界の一流ソリスト又コンサートマスター揃い ” とライナーに記載あるだけでどこの誰なのかさっぱりわかりません。覆面にする意味がわからん。11人いるゲスト・ミュージシャンが丁寧にクレジットされてるのとは大違いですょ。

『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』には6曲(A4,6 / B3,4,5,6)が入ってました。記事を見返しましたが、絶賛してますねーワタクシ。以下、引用します。(ただし、トラック番号は本アルバムのトラック番号に置き換えてます)

─ 『 バック・トゥ・バカラック 』 というバカラック作品集からセレクトされた6曲はどれもレコメンドです。弦楽クァルテット+αの編成で、αの部分は曲によってピアノトリオや木管楽器などがサポートで加わっているのですが、クラシックと多様なポップスをうまく融合させたアレンジがとっても独創的なんです。クァルテットのみの演奏で中間部に現代音楽っぽい変奏がみられるB5.「 アー・ユー・ゼア 」、疾走感とキレのある演奏が魅力のB6.「 ボンド・ストリート 」は現代でも全く古臭くないです。そして極めつけはB4.「 世界は愛を求めてる (愛を求めて) 」。重厚でクラシカルな前半はまぁ想定の範囲内なのですが、後半の4拍子+3拍子のアヴァンギャルドなリズムは想像を超えています。素晴らしい! ─

残る6曲(A1,2,3,5 / B1,2)も皆レコメンドです。何故かイントロにビートルズの「 ガール 」を引用したB1.「 ディス・ガイ 」はご愛嬌。白眉なのはクヮルテットのみで演奏されるA3.「 雨にぬれても 」とB2.「 恋の面影 」の2曲です。ヴィオラがウクレレっぽい奏法でメロディを奏で、中間部ではヴァイオリンとヴィオラがピチカートで雨をイメージさせる「 雨にぬれても 」はとても軽やか。一方、怪しげなイントロで始まり、ヴァイオリンとヴィオラによるメロディとチェロの分散和音とが見事に調和して、エンディングでまた怪しげに終わる「 恋の面影 」はバロックの感じが全くしない仕上がり。なんとも独創的なアレンジ! 素晴らしい!

ジャケットも含めてこんなに素晴らしい本アルバム、なんとかCDリイシューしてもらえないですかねー。

本アルバムのライナーノーツ、なかなか充実した内容でしたので一部を持参したノートに書き写しました。ちょっと長いですが折角なのでご紹介します。

◎ バカラックと曲について
:その魅力を無茶苦茶具体的に説明しています。

─  必ずや、後世に「 ポピュラー音楽の革命児 」と呼ばれるに相違ない。
(中略)
「 均衡のとれない音楽 」と云ったが、その例をこのアルバムに収められた曲から検討してみよう。先づ、従来のポピュラー歌曲の16又は32小節のフォーマットを踏んでいないこと、又、ブルース的フィーリングを取り上げても、12小節形式にとらわれないこと、曲想の表現に重点をおいていること。又、一つの曲の中で、拍子表示記号に変化をもたせていること、例えば「 プロミセス・プロミセス 」において、4分の3拍子、4分の4拍子、4分の3拍子、4分の5拍子と変化させる手法、又、「 恋よさようなら 」の旋律の最後の部分で4分の4拍子の中に4分の2拍子を一小節加える効果など 〜   これらは現代音楽でも良く見られる変拍子、又多拍子の応用であるが 〜   これらをリズミカルに処理している点、又ユニークなコード進行の面白さなどがあげられよう。曲の構成をみれば、

 A1. 恋よさようなら <50小節> イントロを除く、以下同じ

 A2. サン・ホセへの道 <20小節>

 A3. 雨にぬれても <40小節>

 A4. 何かいいことないか仔猫チャン <50小節>

 A5. 小さな祈り <70小節>

 A6. リーチ・アウト・フォー・ミー <63小節>

 B1. ジス・ガイ(ジス・ガール) <42小節>
 B2. 恋の面影 <55小節>
 
 B3. プロミセス・プロミセス <66小節>

 B4. 愛を求めて <54小節>

…と云った具合。これが、アンバランス音楽の魅力なのだ。
バカラックの生い立ち、マレーネ・ディートリヒとの友情、ハル・デビッドとの名コンビ、ディオンヌ・ワーウィックをスターにまで育て上げた苦心談、愛妻アンジィ・ディキンソン、一粒種の可愛い娘ニッキーとの平和な家庭、競馬への興味、アカデミー受賞、その他のエピソードについては、前記ニュースウィーク誌(あるでお注)を読んで頂きたい。「 万人の為の作曲家 」バート・バカラックに栄光あれ! ─


(注)1970年6月22日のニューズウィーク誌で “ THE MUSIC MAN 1970 ” と銘打ったバカラックの特集が組まれました。そのことを指しています。

◎ 本アルバムについて:本アルバムの位置付けと当時の音楽界の雰囲気がわかります。

─  さて、このアルバムは、フィリップスが新たに企画した、フィリップス・ニュー・ミュージック・シリーズの第4作にあたり、演奏も、さきに『 バック・イン・ザ・ビートルズ 』で好評を博した、ロック・アカデミー弦楽四重奏団を中心とし、これに木管、ホルン、ピアノ、リズム・セクションが適宜に加えられている。弦楽奏者はクラシック界の一流ソリスト又コンサートマスター揃い、編曲は、目下売出し中の人気作曲家、すぎやまこういち氏が担当しているのも興味深い。
最近、外国ではニュー・ロック・グループと交響楽団の協演も盛んに行われているように、クラシック音楽とポピュラー・ミュージックの関係は益々緊密度を加え、土台、両者を区別して扱うこと自体、不合理なのだから、クラシック・ファンに、バカラック・サウンドの面白さを、又、ポップス・ファンに、弦楽四重奏の楽しさを味わってもらうに、絶好の、洒落たイージー・リスニング・アルバムとして、ひろく海外にもプロモートして頂きたいものである。 [ 藤井 肇 ]  ─



【データ】
『 バック・トゥ・バカラック 』 (Back To Bacharach)
ロック・アカデミー弦楽四重奏団 (Rock Academy String Quartet)

LP:1970年8月リリース
レーベル:フィリップス / 発売元:日本フォノグラム
番号:FX 8504(¥1,900)

Producer:Masaharu Honjo
編曲:すぎやま こういち
ロック・アカデミー弦楽四重奏団
(この4人の名前はクレジットなし)
ピアノ、チェンバロ、オルガン:大原 繁仁(A1,2,4,5,6 / B1,3,4,6)
ドラムス:猪俣 猛(A1,2,4 / B1,3,6)
ベース:江藤 勲(A2,4 / B6)
    小泉 僖美雄(A1 / B1,3)
ギター:野中 宗光(A1,2,4 / B1,3,6)
ラテン・パーカッション:川原 正美(A2 / B6)
フルート:衛藤 幸雄(A1,6 / B1,3)
     旭 孝(B1,3)
コーラングレ:吉水 洋(A4)
コントラ・ファゴット:桐生 吉秀(A4)
ホルン:山口 弘治(A1,6)

Recording Date:May 26th, June 9th,10th 1970
Engineer:Norio Yoshizawa
Cover Design:Masamichi Oikawa

※ Amazon での取り扱いは無し

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コメント

あるでおさんの解説を読んでいるうちに俄然聴いてみたくなりました!
すぎやまこういち氏の熱い音楽への情熱は、1970年ごろ「FM東京」で土曜日の午後に放送していたラジオ番組(番組名は失念)で感じていました。
(「カラオケ」の紹介もしており、南沙織の「潮風のメモリー」や渚ゆう子「雨の日のブルース」など新鮮に聴いた記憶があります。もしかしたら「カラオケ」という言葉の発案者なのでは?)
すぎやまこういち氏がレコードを作るほどバカラックとの関係が深かったとは知りませんでした。
国会図書館で聴けるのですか。教えていただきありがとうございました。
出版社の献本と同じように音楽もほとんどの国内で発売されたソフトが聴けるのでしょうか。そうでなくてもあるでおさん絶賛のすぎやまこういち的バカラックアルバムをいつか聴きに行きたいものです。

(追伸)
1970年頃、FMラジオ番組で流麗な女性コーラスが流れ、聞きほれてしまったのがパーシー・フェイスの「幸せはパリで」。ディオンヌ以外でバカラックの名前を意識した初めての曲だったと思います。多分もしかしたらこの番組はすぎやまこういち氏の番組だったかと思います。

ズズさん、こんにちは!
コメントありがとうございます!

拙ブログでは、いいと思った点は褒めますがそうでない点はほぼスルーしてます。評価は “ 7掛け ” してちょうどいいくらいかと思いますので、そのように認識くださいませ(笑)

それにしても、1970年頃すぎやまこういち氏がラジオ番組を持っていたなんて! 本当に売れっ子作曲家だったんですねー。

国会図書館、スタッフの方にお訊きしたところLPだけで10万枚以上所蔵しているとの返答でした。国内で発売されたソフトのうちかなりの部分が所蔵されてるんじゃないでしょうか。試しに公式サイトでちょろっと検索しただけで、1970年前後にリリースされた “ 日本人演奏者によるバート・バカラック作品集的なアルバム ” が約20タイトル見つかりました。そのうちCD化 or MP3データ化されているのは8タイトルだけですから…。時間があれば国会図書館に入り浸りたいですっ!

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