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2018年12月30日 (日)

LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS/Brian Foley (1967年)

米国男性ポップ/ロック歌手、ブライアン・フォーリーが1967年秋にリリースしたシングルです。

(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
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A. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS (2:47)
B. LOVE ME, PLEASE LOVE ME (2:51)


ブライアン・フォーリーが1967年秋にリリースしたシングルです。

ブライアン・フォーリーって誰? Discogsによればブライアンは “ ポップ・ロック・クルーナー - ソングライター ” だとか。んじゃ、クルーナー(crooner)って何? 大辞林第三版によれば “ おさえた低い声でささやくように情緒をこめて歌う流行歌手。ビング・クロスビーなどに代表される ” だそう。いやー、知りませんでした。

ブライアンは1966年2月にDotからシングル・デビューしました。当時ブライアンはこんな発言をしています。 ─ ロックンロールの歌手にはなりたくない/トニー・ベネットみたいな誠実なスタイルで歌いたい/フォークロックはやり過ぎでソニー・ボノよりもパット・ブーンの方が好きだ ─ 等々。ナルホド、クルーナーのイメージが湧いてきましたょ。その後1967年〜1969年の間にKappからシングルを数枚リリース。結局アルバムは出さなかったようです。

バカラックは、1967年にA&Mへ移る前はKappから自身名義のシングルやアルバムをリリースしていました。同じレーベルということでバカラックにオファーが来たんでしょう。てな訳でバカラックがブライアンに提供した新曲が本作。ブライアンがオリジネーターのこの曲は自身2枚目(Kappからは初)のシングルになりました。

Fullsizeoutput_1698作詞はハル・デイヴィッド。楽曲の著作権登録日は1966年11月14日ですから、ブライアンの為に書き下ろしたかどうかはタイミング的に微妙なところですね。

それにしても、こんな歌いにくい曲をまだ駆け出しの歌手に歌わせるなんて。バカラックは鬼だわ

リズムはシンプルな8ビートで、テンポ♩≒122、キーはEm。これだけだとごく普通のポップス曲に思えますが、Aメロ(12小節)− Bメロ(8小節)− サビ(4小節)という変則的な構成、変拍子チックなAメロ後半4小節のメロディ、半音が続く音程の取りにくいニョロニョロしたBメロ、短調⇆長調や3度移調したりコロコロ転調するコード進行…。

オーケストラのアレンジと指揮はゲイリー・シャーマンというお方。ストリングスや金管のオブリガートが凝っていたりベースの動きがカッコ良かったりと、この変な曲を上手く盛り上げています。ただし、イントロ 〜 1コーラス目Aメロにかけての不気味なストリングスはやりすぎでしょう。

ブライアンの歌声は甘くビブラートが効いていて、トニー・ベネットに似ています。堂々と歌いこなしていて立派! 本人はもっとシンプルな曲を歌いたかったでしょうけどねー。

シングルB面はミッシェル・ポルナレフ1966年の大ヒット「 愛の願い 」のカヴァー。こちらはオーソドックスにまとめた印象です。

数多あるバカラック物コンピ集にブライアンの「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」は入っていませんし、MP3も見当たりません。どうしても聴きたくて最近Discogsで購入。ラジオ局向けプロモ盤ですが入手できて良かったです!

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介!

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R372234315394164842864jpeg_2米国のトランペット奏者&バンドリーダーのドク・セバリンセンが1968年のアルバム『 Doc Severinsen & Strings 』(画像左)で「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」(3:20) をカヴァーしています。キーは同じEmで、テンポは少し遅目の♩≒112。ドクのトランペットはコク・キレ抜群で(じゃないですよ)甘いメロディ&派手なアドリヴ共にカッコイイです。因みに、同アルバムには「 BOND STREET 」(2:37) のカヴァーも入ってます。

そして、英国のモテ男エンゲルベルト・フンパーディンクが1969年のアルバム『 Engelbert 』(画像右)で「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」(3:11) をカヴァー。キーはこちらもEmで、テンポは更に落として♩≒108。メリハリの効いたアレンジのオケに加えて女性コーラスも加わってゴージャスな雰囲気。フンパーディンクの歌唱は流石に貫禄がありダイナミックレンジも広く素晴らしいです。

「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」はこれら3つのバージョンしか知らないのですが、ベストはどれかと訊かれたらフンパーディンクと答えます。ごめんねブライアン。


【データ】
『 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 』
Brian Foley

シングル:1967年秋リリース
レーベル:Kapp
番号:K-861

Producer − David Kapp
Conductor, Orchestrated By – Garry Sherman

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

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