Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra/Carpenters (2018年)
カーペンターズとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、奇跡の共演!! バカラック作品を2曲収録!
(画像は全てクリックすると別ウィンドウで大きくなります)
全18トラック中、バカラック作品は2トラック
10. BABY IT'S YOU (3:12)
11. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (3:41)
リチャード・カーペンターがオーケストラアレンジを書き直し、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を自ら指揮、ロンドンのアビーロード・スタジオで録音したアルバムです。
発売元のユニバーサルミュージックは、これまでにロイ・オービソン、エルビス・プレスリー、アレサ・フランクリン、ビーチ・ボーイズ…といったアーティスト達のヒット曲から歌声部分を取り出し、ロイヤル・フィルよる新たな伴奏と組み合わせる企画アルバムを手がけています(アレサ版はこちらで紹介済み)。
しかし、本作はそれらと大きな違いがあります。それは製作の主導権をリチャード自身が握ったこと。ストリングスとの相性を考慮した選曲、カレンの歌声の魅力を最大限に活かしたリアレンジ、オリジナル録音時のノイズや微妙なピッチのズレ等の修復など、リチャードが自分で納得いくまでやりたかったんだと思います。
2018年12月、リリースに合わせて来日したリチャードは多くのメディアから取材を受けました(以下主だった記事をリンク)。読むとリチャードのこだわりがよく伝わってきます。
・発売記念イベント@山野楽器銀座本店/BARKS
・カーペンターズのリチャードに聞く(上)新作を作った理由/産経ニュース
・カーペンターズのリチャードに聞く(下)人生はこれから/産経ニュース
・リチャード・カーペンター、オーケストラ・サウンドを加えヒット曲に新しい息吹/BARKS
・カーペンターズ、今も色褪せぬ名曲 リチャード「カレンは天才だった」/ミュージックヴォイス
T-1.「 OVERTURE(オーヴァーチュア) 」〜 T-2.「 YESTERDAY ONCE MORE(イエスタデイ・ワンス・モア) 」〜 T-3.「 HURTING EACH OTHER(ハーティング・イーチ・アザー) 」は曲間をつないで各曲のオケ・アレンジにもちょっぴりスパイスがかかっています。元の曲の雰囲気は変えずにうまくお化粧し直した印象なのですが、それは本アルバム全体の印象でもあります。
バカラック作品は2曲。T-11.「遥かなる影」があるのは当然として、嬉しいことにT-10.「ベイビー・イッツ・ユー」も入ってました。 ─ シングル盤にはならなかったけれど、私のお気に入りの曲にも光を当てました。「ベイビー・イッツ・ユー」「マスカレード」など。 ─ (リチャード談) へぇ〜、そうだったんだ! いずれもセカンドアルバム『 CLOSE TO YOU(遥かなる影)』からのチョイスです。
「 ベイビー・イッツ・ユー 」のイントロは元々のピアノ2小節からオケ8小節に変わっていますが違和感はありません。本編ではオケのアレンジにちょっと手を加えていて、所々に追加されたオブリガートが新鮮に聴こえます。
一方の「 遥かなる影 」は、音の “ ざらつき ” が取れてクリアになりヴォーカルが前に出てきた以外は変わってないんじゃない?って感じ。何もいじる必要がないくらい元の「 遥かなる影 」の完成度が高かったってことなんでしょう。本アルバムの他の曲とは違ってオケのアレンジは変わってないようですが、ハープやストリングスの表現は抑えめでカレンの歌声を最大限活かそうというリチャードのこだわりが伝わってきます。
リチャードがインタビューで語っていた様に、本アルバムはシャッフルせずに曲順どおりにゆったり聴くのが良いと思いました。曲間繋がってる所が多いですから。
【データ】
『 Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra 』
Carpenters
CD:2018年12月7日リリース
レーベル:A&M
番号:B0029419-02 (所有CDはCanada盤 B002914002)
Produced by Richard Carpenter
Associate Producer:Nick Patrick
Arranger:Richard Carpenter (Except T-7.), Paul Riser (T-7.)
Vocal Arranger:Richard Carpenter (T-7.)
Orchestra performed by The Royal Philharmonic Orchestra
Conducted by Richard Carpenter
The Royal Philharmonic Orchestra recorded by Haydn Bendall at Abbey Road Studio 2, London, U.K.
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コメント
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私も購入しました。なんてクリアな歌声!張りのあるサウンド!新作と言ってもいいぐらい。
得てしてオーケストラバージョンはドラマチック過ぎて大げさに聞こえることもあるのに、このアルバムは出しゃばらずカレンの美しいクイーンイングリッシュの歌声を引き立て、しばらく遠ざかっていたカーペンターズを再認識いたしました。
カーペンターズがデビューした時は「バカラックの秘蔵っ子」というキャッチフレーズでした。私のバカラック開眼はこの「遥かなる影」でした。(もうひとつはディオンヌの「小さな願い」)
ディオンヌ=バカラックと思っていた私はカーペンターズ=バカラックと思い、その次はカーペンターズのLPを買いバカラック作品を探したけれども、その割に「ベイビー・イッツ・ユー」「恋よさようなら」「バカラックメドレー」ぐらいしかなく少し残念な気持ちになりました。
もちろんしばらくしてその他の曲も大好きになりましたが。
今改めて新盤?「遥かなる影」に浸っております。
投稿: ズズ | 2019年3月 6日 (水) 14時44分
ズズさん、ご無沙汰しています。
コメントありがとうございます!
私もそう思います。カレンの素晴らしい歌声を堪能できるエヴァーグリーンな良盤ですよね。
ズズさんはリアルタイムでカーペンターズのデビューをご存知なんですねー。私がリアルタイムでカーペンターズを聴いたのは1976年の「Breaking Up Is Hard To Do(悲しき慕情)」が初めて。中1の時にラジオで流れていて興味を持ったんですね(それまではそもそも洋楽なんて聴いてませんでしたから)。んで、家にやってきたばかりのステレオでNHK-FMのカーペンターズ特集をエアチェックして「遥かなる影」や「ベイビー・イッツ・ユー」を知りました。一方、LP『バカラック・イン・マーチ』を聴いてバカラックを知るのはその翌年。ただ、そのLPに「遥かなる影」や「ベイビー・イッツ・ユー」は入ってなくて…。カーペンターズとバカラックの結びつきを知ったのは結局大人になってからでした。なんともお恥ずかしい限りです
投稿: あるでお | 2019年3月 9日 (土) 10時26分