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2019年4月28日 (日)

田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦/田畑貞一とオーケストラ (1971年)

ドラマー、田畑貞一が1971年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original LP front cover/back cover

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所有LP(イタリア盤)のジャケット表/裏

A1. THE APRIL FOOLS
A2. THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU
A3. I SAY A LITTLE PRAYER
A4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A6. PROMISES, PROMISES
B1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B2. REACH OUT FOR ME
B3. BOND STREET
B4. I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B5. THE LOOK OF LOVE
B6. ALFIE

収録時間約36分


ドラマー、田畑貞一が1971年にリリースしたインスト物のバカラック・カヴァー集です。

田畑貞一は、1936年東京生まれ。大学在学中の1953年に森亨&シックス・ポインツに加入してプロデビュー。様々なバンドで経験を積んだ後、1966年に石川晶に代わって宮間利之とニューハードに参加。1971年にニューハードから独立、スタジオ・ミュージシャンとしての活動と並行し、ポリドール、テイチク、コロムビア等で自身のリーダーアルバムを数々リリース。現在もリーダー&ドラマーとして演奏活動を続けながら後進の育成に取り組んでいるそうです。

本作は、『 田畑貞一ドラムの世界/歌謡ポップスに挑戦 』(JRS-7051)、『 田畑貞一ドラムの世界Vol.2/ワールド・トップ・ヒットに挑戦 』(JRS-7052)に続く『 ドラムの世界 』シリーズ3作目として、1970年9月に録音、1971年2月に日本ビクターからリリースされました。当時のお値段は¥1,800でしたが、国内の某中古レコード屋さんのサイトを見ると¥7,800の値札がついています。しかも売り切れ。人気盤なんですね。

うむむ、買えないと欲しくなるのが人の性。Discogsを見たらイタリア盤が見つかりまして。商品状態Near Mintでお値段は€25。イタリアからの送料€17込みで€42(購入時レートで¥5,528)はちと高いけど、気づいたらポチッとしてました。ということで所有LPはイタリアの RCA Victor から STEREO SOUNDS FROM JAPAN シリーズの第4弾として1971年9月にリリースされたもの。ゴルフのアドレスしてるみたいなジャケ写は何故か鉄橋の写真に差し替えられ、タイトルも『 SADAKAZU TABATA plays BACHARACH 』に。もしかして中身も違うんじゃ…と思い、念のため国立国会図書館に行ってオリジナルの国内盤LPを聴いて確認。曲数・曲順含めて全く同じだったのでホッとしました。

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名義は田畑貞一とオーケストラとなっていて、編成はバンドに金管/木管/ストリングス/パーカッションを加えたもの(所有LPの裏ジャケ左側に載ってる録音時のレイアウト図を参照ください)。super 50-16 sound(※)という録音技術のせいでしょうか、音がクリアで音圧レベルも高くこの時代としては優秀な録音と思います。(※ テープ巾50mm 16トラックのマスターレコーダーで録音)

全12曲はバカラック・カヴァーの定番曲ばかり。独自アレンジの曲はB5.「 恋のおもかげ 」くらいでしょうか。他はバカラック版(A3,4,6,  B1,2,3,4,6)、ディオンヌ版(A1)、ハーブ・アルパート版(A2)、セルジオ・メンデス版(A5)をベースとしたアレンジで、特にA2,4,6やB4,6はほぼコピー。インスト物はアレンジが肝心なのに、工夫が足りない感じ。演奏そのものはノリが良くていいんですけどねー。そんな中で印象に残ったのは、フルートとピアノのアドリブが熱いA5.「 世界は愛を求めている(愛を求めて)」、ドラムスのアドリブが聴けるB1.「 サン・ホセへの道 」とB3.「 ボンド・ストリート 」あたり。ドラムスがリーダーなんだからもっとドラムスを強調したアレンジがあっても良かったと思うんですよね。田畑貞一はジャズもバリバリ演れるドラマーなのに…。イージーリスニング全盛時代ということもあって控えめにしたのかなぁ。

オリジナルの国内盤には解説が載ってました。当時バカラックをどう評価していたかがわかるのでちょっと長いですが以下紹介します。ライターは吉浜節子氏。バカラックの音楽については疑問符が付くところもありますが、蛇足以降の女性ならではの視点が面白いです。田畑貞一についても書いてありましたので併せて紹介します。

─ バート・バカラック、この名前、ポップスファンならずとも、よくご存知のことと思います。彼が精力的に生み出す作品の数々はどれもがヒット性を持ち、したがって、沢山のアーティストが取り上げることになり、文字通り巷にあふれている状態ですから。では何故このようにバカラックの作品が受けるのか。それには様々な要素があるのですが、最大のポイントは、非常に耳ざわりの良い音楽であるからです。これは逆の見方をしますと、強烈な印象がないということになるかと思いますが、あまりに強烈なサウンドが氾らんする中では、それがかえって、人々の心に新鮮で心地良い印象を覚えさせるのでしょう。そうですね、たとえば原色の中に混った淡い色のようなもの。それ自体独立すると人々にはさほど強い印象を与えないけれど、まわりの原色にひきたてられて、ひときは光りを放つ。そういう効果をバカラックの音楽は持っているような気が致します。バカラックの曲が、たとえば20年、30年前に出たとします。さて、今ほど受けたでしょうか? 一寸疑問ですね。何故なら、彼の持つやさしさ、あたたかさ、といったものが当時の音楽には非常に多かったからです。つまりバカラックは、失われつつある人間性といったものを現代に持ち込んだのです。勿論だからといって、バカラックの音楽が単に人間味だけで成り立っているというのではありません。メロディ・ラインの作り方も、また処理の仕方にも、すぐれた才能がうかがえます。沢山のアーティストが彼の曲を競って取り上げているのがその良い証拠ですね。しかし、そうした技術的なもの以上に、人間的な魅力が大きいということなのです。少なくとも私はそう思います。そして、そんなバカラックの豊かな人間味が大好きなのです。
 さて、これは蛇足になるかも知れませんが、バカラックって、とてもハンサムなんですよ。年令は今年(1970年)で、ちょうど42才になりますが、とてもそんな年には見えない程若々しくて、明るい人です。機会があれば会って、ゆっくりおしゃべりをしたい、そんな気持を誰にも起こさせるナイス・ガイなのです。やはり蛇足だったでしょうか……。 ─

─ “バート・バカラックはナイス・ガイです”と書きました。そして、ここでそのバカラック・ナンバーを演奏するグループのリーダー田畑貞一さんが、これまたナイス・ガイなんです。粋なセンスを感じさせる彼のおしゃれ、当りの柔らかな物腰し、そして、控え目な人間性。そうしたものが、彼のドラミングには良くあらわれています。
 日本の場合、ドラムとその演奏法に関して、誤った考え方をしている人が多いように思います。たしかにドラムという楽器は、大きい音が出るせいでしょう、華やかな雰囲気があります。ただし、それはあくまで楽器の持つ特性であり、リズム体としての役目を持つものであるという現実を忘れてしまう人が多いのでしょう。ともすると前面に出たがる傾向があるように思います。ドラムはあくまでもリード楽器が歌いやすいようにサポートしなければならないのです。決して耳ざわりであってはいけないのですね。この辺が、彼我のつまり外国と日本のドラマーの大きな差になっているのではないかと思うのです。あくまでも、これは私見ですが……。
 その点、田畑貞一さんのドラミングは役目に忠実です。時には力強くそして時には繊細な感覚で音楽を作り出して行きます。日本において、これだけの感覚を持ったドラマーは少ないといわれる所以でしょう。それも一にかかって、彼の人間性からくるものでしょう。但し、本アルバムは、あくまでもフィーチャリング・ドラムということでありますから多分にドラムを前面に押し出して居るようではありますが……。
 最後に田畑貞一の略歴を記しておきましょう。
昭和11年、東京に生まれ、二松学舎大学を卒業後、竹内均氏に師事。そしてフルバンドでスタートを切り、モダン・ジャズのグループからスイング系のコンボに入りました。現在、年令的にも乗りにのってる所です。
 さて、ナイス・ガイ同志、バカラックと田畑貞一の組合わせ。どうなりますか、早速レコードに針を落としてみて下さい。きっと御満足いただけると思います。 ─


【データ】
『 田畑貞一ドラムの世界Vol.3/バート・バカラックに挑戦 』 (所有LPは『 SADAKAZU TABATA plays BACHARACH 』)
田畑貞一とオーケストラ

LP:1971年2月リリース (所有LPは、1971年9月リリースのイタリア盤)
レーベル:日本ビクター (所有LPは、RCA Victor)
番号:JRS-7054  ¥1,800 (所有LPは、LSP 34138)

ディレクター:ロビー和田
編曲:藤崎 邦男(A1,3, B2,5)、山屋 清(A2,5, B3,4)、山木 幸三郎(A4,6, B1,6)
エンジニア:内沼映二
録音日:1970年9月3,4,30日
録音スタジオ:ビクター新スタジオ No.1

※ 日本のAmazonでは取り扱い無し

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