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2020年5月10日 (日)

Your Eyes/Nancy Wilson (1983年)

ナンシー・ウィルソンが1983年に日本限定でリリースしたミニアルバムです。バカラック作品を1曲を収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全4トラック中、バカラック作品は1トラック

A1. YOUR EYES (3:51)
A2. OUR LOVELY DAYS (5:12)
  F. Audat - B. Bacharach  New Hidden Valley Music
B1. CLOUDY WINDOWS (4:01)
B2. EVERYTHING MUST CHANGE (5:47)


ナンシー・ウィルソンが1983年に日本限定でリリースしたミニアルバムです。

ナンシー・ウィルソンは1937年米オハイオ州生まれの米国女性ジャズ/ソウル・シンガー。1960年レコードデビュー以降'70年代前半にかけて多くのアルバムをリリース。TV番組にも多く出演し、'60年代後半にはTVショーの番組も持っていたとか。'70年代中盤以降もコンスタントにアルバムを発表していましたが、1982年を最後に米国でのレコーディング活動を停止しました(5年後の1987年に米国レコーディング再開)。

そんな頃、ナンシーは1983年3月27日に日本武道館で開催された第12回東京音楽祭に出場。本ミニアルバム『 Your Eyes 』はその参加曲「 YOUR EYES(ユア・アイズ)」を収録したもので、1982年12月〜1983年1月に東京のスタジオでレコーディング。12インチ45回転、A面2曲+B面2曲の計4曲入り、価格は1,500円でした。
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帯にも書かれている通り、A1.「 ユア・アイズ 」は山下達郎のカヴァー。1982年1月リリースのアルバム『 FOR YOU 』に収録されていたアラン・オデイ作詞による英語詞の曲。ナンシー版は薄くストリングスやホーンも入った大陸的なアレンジ。メロディを若干フェイクしたナンシーの歌唱はジャスっぽさを感じます。ただ、コードを結構変えていてかなり違和感あり。私がオリジナルを聴きすぎたせいかもしれませんが…。東京音楽祭では、最優秀歌唱賞(グランプリではない)、作曲賞(山下達郎)、ベストコスチューム賞を受賞しました。

んで本題。A2.「 アワ・ラヴリー・デイズ 」がバカラック作品でございます。

「 アワ・ラヴリー・デイズ 」は後述する当山ひとみ版しか知らず、ナンシー版は聴いたことありませんでした。拙ブログをご覧になったTさんからこの曲のオリジナルがナンシー・ウィルソンだと最近教わり、速攻で本ミニアルバムを購入した次第(Tさんありがとうございました!)。確かに『 バート・バカラック自伝 』のソングリストはナンシー版が初出となってますし、私が時々お世話になってるバカラック資料本『 SONG BY SONG 』もナンシーがオリジナルと書いてありました。

…ところが、今回記事を書くにあたり確認したところ、当山ひとみのシングルは1982年7月、同曲収録のアルバム『 Next Door 』も1983年2月のリリース。ナンシー版は1983年3月リリースなので、当山ひとみのシングルより半年以上も遅いリリースとなります。帯裏面を眺めると⚫︎絶賛発売中‼︎に当山ひとみのアルバムもありますし…。
この曲のオリジナルは当山ひとみ、ナンシー版はカヴァー、で間違いないかと。
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それでは聴いてみましょう。♩≒106、8ビートのミディアム・コンテンポラリー。A1.「 ユア・アイズ 」と同様、バックは佐藤允彦(key.)、土方隆之(g.)、高水健司(b.)、村上"ポンタ"秀一(dr.)、鳴島英治(per.)のコンボにストリングス、ホーンを加えた編成。1コーラス目はAメロ-Aメロ-サビ-サビ。2コーラス目もAメロ-Aメロ-サビ-サビでその後サビをフェイクしながら繰り返しフェードアウト。13小節という中途半端な小節数とニョロニョロしたメロディラインのAメロにはバカラックらしさを感じますが、サビはオーソドックスに8小節ですしそれなりにキャッチー。全体的にはやっぱり'80年代のバカラックって感じ。ナンシーの歌唱はとても品があります。前半は抑えめで、若干熱を帯びてくる2コーラス目サビ以降が一番の聴きどころでしょうか。35秒余りある長めの間奏はクール且つゴージャスで、ピアノのアドリヴもいい感じです。

この曲、'80年代にもかかわらず作詞はキャロル・ベイヤー・セイガーではありません。クレジットによれば作詞は F. Audat(Discogsは Fatz Audat、『 バート・バカラック自伝 』は Fat Audat と表記)。この方が一体誰なのか検索してもさっぱりわからず。何か理由(権利上の問題?)があって著名な作詞家が別名を使ったのかしらん。…と思って色々調べたら謎が解けました。オマケで種明かしします。


ここからはオマケ。MP3で所有しているバカラック作品をご紹介。
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こちらは当山ひとみの4thアルバム『 Next Door(ネクスト・ドア) 』。前述の通りオリジナルの「 アワ・ラヴリー・デイズ 」(4:17)を収録しています。ナンシー版がジャズ寄りなのに対し、こちらは良質なシティ・ポップスといった感じ。テンポは♩≒112。彼女の歌声にはハリとソウルフィーリングがあり、バックの演奏もタイトで女性のバックコーラスもそれらしい。ナンシー版よりもこの曲の良さが出ていると思います。
私は全く記憶にないのですが、彼女のこの曲は日立製作所TV-CMイメージソングとして採用され(YouTubeで聴くことができます)、FM番組『 日立ミュージック・イン 』のオープニングでは違うアレンジのインスト版が使われたそう(これもYouTubeで聴けます)。当時にタイムスリップしたいですねー。
そしてお待ちかね、謎の作詞家 F. Audat の正体は?… ─ ── そのあとが『 NEXT DOOR 』(1983年)ですね。 ペニー:これもほんとは『 GIRL NEXT DOOR 』だったの。実は前のアルバムがそんなに話題にならなかったみたいで、やっぱり自分たちの路線に戻しましょってことで。ここから少しずつ話題になっていったの。「 Our Lovely Days 」が大きかったかもしれない。 ──バート・バカラックが書いてる曲ですね。 ペニー:そう。私もよくわからないんだけど、コロンビアから日立のCMが決まったから、曲はまだ決まってないけども、って。英語の曲だからってのもあったみたい。歌詞を書かせてほしいなって思ったんだけど、それは日本に住んでる別の方が書いたみたい。 ─(引用元:BARKS 2019年2月21日記事〜【インタビュー】当山ひとみ、これまでのキャリアを振り返る
なるほど、覆面作詞家かぁ。検索しても出てこないわけだ^^;。
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1993年に当山ひとみはPenny名義でアルバム『 Lovers In New York 』をリリース。その中で「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」(4:33)と「 愛のハーモニー 」(4:54)をカヴァーしています。「 ニューヨーク… 」はアレンジの構成はオリジナルに近く、バックはピアノ中心にピコピコ打ち込みリズム+シンセストリングス+女性バックコーラス。「愛のハーモニー」もアレンジの基本構成はオリジナルに近いです。バックはピコピコ打ち込みリズムを中心にエレピ+シンセベース+シンセストリングス+女性バックコーラス。両曲とも彼女はハリのある声でしっかり歌っていますが、どこか淡々としていてあまり気持ちが入ってないよう。歌は上手なんですが、イマイチかなと。

もいっちょオマケ。
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ナンシー・ウィルソンは1968年のアルバム『 Easy 』(画像左)で「 恋のおもかげ 」(2:24)をカヴァー。軽いボサノヴァ調のアレンジ。流麗なストリングスやクールなフルートのオブリガートに惹かれます。ナンシーのメリハリのある歌唱もいい感じ。ラストはテンポを落としてアンニュイな雰囲気で終わるのがミソ。
また、1970年のアルバム『 Can't Take My Eyes Off You 』(画像右)では「 雨にぬれても 」(2:58)をカヴァー。この曲としては珍しくスローなジャズ・バラードに料理していてとてもユニーク。アレンジに合わせてナンシーも気怠く歌っています。イントロのリリカルなピアノがレコメンドです。 
なお、ナンシー・ウィルソンは他にも1964年の『 Today, Tomorrow, Forever 』で「 素晴らしき恋人たち」、1965年の『 Today - My Way 』で「 リーチ・アウト・フォー・ミー 」、1967年の『 Just For Now 』で「 アルフィー 」をカヴァーしています。これらは各バカラック物コンピ集で紹介済みですのでここでは割愛します。


【データ】
『 Your Eyes 』(ユア・アイズ)
Nancy Wilson

12" Mini Album:1983年3月リリース
レーベル:Shan-Shan/日本コロムビア Nippon Columbia (JP)
番号:YW-7414

Produced by Kiyoshi Ito
Arranged and Conducted by Masahiko Sato 佐藤允彦
Musicians
  Masahiko Sato 佐藤允彦:Steinway Piano, Rhodes Piano, Mini-Moog
  Takayuki Hijikata 土方隆行:Guitars
  Kenji Takamizu 高水健司:Bass
  Shuichi "Ponta" Murakami 村上"ポンタ"秀一:Drums
  Eiji Narusima 鳴島英治:Congas, Percussion
Strings 〜割愛〜
Horns 〜割愛〜
Recorded and Mixed at Nippon Columbia Studios, Tokyo in December, 1982  and in January, 1983
(P) 1983.3 NIPPON COLUMBIA CO, LTD.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

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