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2020年6月

2020年6月21日 (日)

LONDON LIFE/Anita Harris (1965年)

英国の女性シンガー/女優、アニタ・ハリスが1965年にリリースしたバカラック書き下ろしのシングルです。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A. LONDON LIFE (2:47)
B. I RUN TO HIDE (2:54)


英国の女性シンガー/女優、アニタ・ハリスが1965年にリリースしたシングルです。

アニタ・ハリスは1942年英国イングランド生まれ。Wikiによれば、タレントとしてTVに出演しつつ、レコードも出して1960年代後半には何曲かのヒットを放っています。後年にはミュージカルにも多数出演したそうです。

アニタはバカラック作品とは結構縁がありまして。まず1965年に「 TRAINS AND BOATS AND PLANES 」をカヴァーしてシングル・リリース。それから、1968年〜1969年あたりにレコーディングしたと思われるバカラック・カヴァー18曲を収めたアルバム『 This Girl's In Love With You 』をMP3ダウンロードのみで2011年にリリース。このアルバム、独創的なアレンジで内容の濃いカヴァーが目白押し。興味がありましたら是非!

そして今回ご紹介するのが1965年10月にリリースしたシングルで、なんとA面の「 ロンドン・ライフ 」はバカラック書き下ろし! この曲は1965年に創刊された雑誌 “ London Life ” の宣伝ソングだったそうなんです。つまり雑誌の名前が曲名になってるワケ。最初はルルが歌う事になっていたようですが、予定が合わずアニタになったそう。まったりさんのブログ『 バカラックマジックでまったりと 』のロンドンとバカラックさん、ユキエさんのブログ『 昼下りのジョージィ2 』のUK 60年代の雑誌 [4]:その雑誌にバカラックは曲を贈った〜London Lifeでそれぞれ動画とエピソードを交えてこの曲が紹介されています。是非覗いてみてください。

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センターの穴が小さいので見た目は7"33回転のEP盤っぽいですが、れっきとした7"45回転のシングル盤でございます。レーベル面には作者としてバカラックしかクレジットされていませんが、作詞は勿論ハル・デイヴィッド。これがもろロンドン讃歌の歌詞なんですねー。 ─ パリが寝ている間も ロンドンはスウィングし続けている 世界が歌っている全ての曲は 英国ロンドンで生まれてるんだ ─ どんよりして雨の多い気候も前向きな内容に。 ─ 冷たい雨の中傘をさして 男の子と女の子は体を寄せて暖め合う ─ いやいや、そこまでポジティブに表現しなくてもよくない?(笑) まぁ宣伝ソングだからいいか^^;

曲調も実に陽気。テンポは♩≒120でリズムは軽いシャッフル。イントロ-A-B-A-B-サビ-A-B-アウトロという構成。高低行ったり来たりするメロディ、変なコード進行、一般的じゃない小節数(A:10小節、B:9小節、サビ:12小節)とバカラック節てんこ盛り! サビとアウトロはテンポアップしてアレンジもワチャワチャ感を演出。アニタのハスキーでブライトでビブラートの効いた歌声は曲にベストマッチ、とは言い難いですが曲の魅力が優ってます。隠れた名曲ですねー、誰もカヴァーしてないのが不思議なくらい。

プロデュースはマイク・マーゴリスで、ミュージック・ディレクター(アレンジも兼ねてる?)はデヴィッド・ウィティカー。いずれもバカラックは関わっていませんが Good Job だと思います。

因みにB面曲はマイク・マーゴリスとアニタ・ハリスの共作。実はこの2人、1973年に結婚するんですね。その後どうなったかは知りませんが。

もひとつ因みに、雑誌 “ London Life ” は1965年10月創刊の週刊誌。翌1966年クリスマスに廃刊となるまでのわずか1年3ヶ月足らずでしたが、スウィンギング'60年代の典型だったんだそう。こちらのサイトで創刊号〜最終号までの表紙を見ることができます。その中で気になったのが1966年5月28日号(下の画像)。表紙にはキルト衣装に身を包んだウルスラ・アンドレスが…。もしかしたら映画『 カジノ・ロワイヤル 』撮影がらみの記事があったんじゃないか。あ〜気になる。
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【データ】
「 LONDON LIFE 」
Anita Harris

7"Single:1965年10月15日リリース
レーベル:Pye Records (UK)
番号:7N.15971

Produced by Mike Margolis
Musical Direction by David Whittaker (A.), Kenny Salmon (B.)
A.「 LONDON LIFE 」written by Burt Bacharach & Hal David
B.「 I RUN TO HIDE 」written by Mike Margolis & Anita Harris

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年6月14日 (日)

Raindrops Keep Fallin' On My Head/Mel Tormé (1970年)

米男性ジャズシンガーのメル・トーメが1970年にリリースしたアルバムです。アルバムタイトルのバカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

B4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (2:19)

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6月12日、バカラックがダニエル・タシアンとコラボしてシングルをリリースしました。
「 BELLS OF ST. AUGUSTINE 」/Burt Bacharach & Daniel Tashian


2人は7月31日に5曲入りEP(ミニアルバム)『 Blue Umbrella 』をリリースする予定で、その先行シングルとのこと。
LAタイムズの記事(2020/6/11)
MusicRow Magazineの記事(2020/6/13)

EPリリース時に改めて取り上げます〜。
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さて、今回ご紹介するのは…
米男性ジャズシンガーのメル・トーメが1970年にリリースしたアルバムです。

メル・トーメは1925年シカゴ生まれのロシア系ユダヤ人(1999年没/享年73歳)。バカラックの3歳上ですね。今回記事を書くにあたりネットで調べて初めてジャズシンガーだと知りました。大御所歌手だとは知ってましたが
アンディ・ウィリアムス、トニー・ベネット、ペリー・コモ等とはちょっとジャンルが違うんですねー、思いっきり認識違ってました…--;。

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1969年にヒットした曲を中心にポップ/R&B/ロックの曲をチョイス。所謂ジャズ・スタンダードの曲はありません。バックの演奏は基本ビッグバンドですが、エレキギター、エレピ、オルガン、フルートなども駆使して曲に合わせてうまくアレンジ。メル・トーメは甘いソフトな歌声で余裕の歌唱を聴かせます。

バカラック・カヴァーはアルバムタイトルにもなっているB4.「 雨にぬれても 」。まだB.J.トーマス版がヒットチャートを駆け上がってる1969年12月にレコーディング。キャピトル仕事早っ!

─ メル・トーメは、20世紀半ばの最高の作家が生み出した曲に身を包み、ポップでフレッシュなサウンドを取り入れている。例えばバート・バカラックとハル・デイヴィッドが作った「 雨にぬれても 」に、メル・トーメは甘い歌唱スタイルと、クールでいて「 雨なんかへっちゃらさ。心配ないよ 」とゆー呑気なイメージをもたらせた。 ─
 (ライナーノーツより抜粋。あるでおによる超意訳で)

B.J.トーマスのオリジナルとは明らかにテイストが異なります。まずリズム。オリジナルの跳ねるようなシャッフルのリズムじゃなくて8ビートなんですね、これが。ライナーノーツにあった“クールで呑気なイメージ”はこのリズムのおかげかと。テンポがオリジナル(♩≒108)より遅く(♩≒96)、キーが二度低いことも要因でしょうが。独自フレーズのイントロ、洒脱なオブリガート、控えめだけど分厚いブラス、独自のアウトロ、そしてフェードアウトせず終止形で気持ちよく終わります。やっぱり大御所には有能なアレンジャーがつくんだなぁと改めて思いました。

このメル・トーメ版「 雨にぬれても 」の個人的なツボはイントロ。いろんなバージョンの「 雨にぬれても 」約200曲をチェックしたところ、イントロは約3割がオリジナルのイントロを引用(A)、約1割がサビ後のフレーズを引用(B)、約1割が曲中のその他のフレーズを引用し、残り約5割が独自のフレーズでした。メル・トーメ版イントロは独自フレーズ物で、スネアが2拍叩いたあとエレピによる2小節の独自フレーズ2回繰り返し。コードは全てオリジナル・キー(in F)に揃えました。
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このイントロの何が
ツボなのかというと、私がバカラックを知ったきっかけのアルバム:航空自衛隊航空音楽隊の『 ダイナミック・マーチ・イン・バカラック 』(1972年リリース)に収録されてる「 雨にぬれても 」のイントロにそっくりなんです。偶然とは思えません。『 ダイナミック〜 』の編曲者:故岩井直溥さんは当時本アルバムを聴いたに違いない! あの世で岩井さんに会ったら訊いてみようっと。

他の曲では、リリカルで心地よいClassics IVのカヴァーA2.「 TRACES 」、Blood, Sweat & TearsのオリジナルよりスローでブルージーなA5.「 スピニング・ホイール 」あたりがレコメンドです。


【データ】
『 Raindrops Keep Fallin' On My Head 』
Mel Tormé

LP:1970年リリース
レーベル:Capitol
番号:ST-80430 (所有LPは、同年リイシュー盤のST-430)

Produced by David Cavanaugh
Arranged and Conducted by Jimmy Jones
Recorded:December 1-23, 1969

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年6月 7日 (日)

Warm & Wild/Sandra Alexandra (1968年)

米女性R&Bシンガー、サンドラ・アレキサンドラの1stアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

A3. I SAY A LITTLE PRAYER (3:09)

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先週の日曜5/31深夜(6/1早朝)のTBSラジオ『 オーディナリーミュージック 』がオール・バカラック・プログラムでして。しかも…

─ '80年代以降の曲を中心に、バカラックAOR時代と言いますか、なんとなくクリスタルな世界観と言いますか、いわゆるベスト盤にはなかなか入ってこない曲も多いかと思いますがそれでもすごくいい曲ばかりだぞ、というのをお送りしたいと思います。(略)最後の「 アルフィー 」は、なんだかんだで僕すごく一番好きな曲なので入れさせていただきました。 ─ (ナビゲーター&選曲:ヨシザワ"MAURICE"マサトモ 〜 YOUR SONG IS GOOD)

というセレクション。こんな切り口のプログラムはそうそう聴けるもんじゃありません。折角なのでオンエア曲一覧を記しておきます。大ヒットしたM5〜7.以外はなんともマニアック。リンクは収録アルバムの過去紹介記事に繋がってますんでよろしかったら是非! あっ、今日いっぱいはradikoで聴けまっせ!

M1. STRONGER THAN BEFORE  〜 Carole Bayer Sager 〜 (1981)
M2. LOVE ALWAYS  〜 El DeBarge 〜 (1986)
M3. ME BESIDE YOU  〜 Neil Diamond  〜 (1986)
M4. IN MY REALITY  〜 Natalie Cole 〜 (1987)
M5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  〜 Dionne Warwick & Friends 〜 (1985)
M6. ON MY OWN  〜 Patti LaBelle & Michael McDonald 〜 (1986)
M7. ARTHUR'S THEME  〜 Christopher Cross 〜 (1981)
M8. THE LOVE TOO GOOD TO LAST  〜 Pointer Sisters 〜 (1980)
M9. DON'T SAY GOODBYE GIRL  〜 Tevin Campbell 〜 (1993)
M10. TWO HEART  〜 Earth Wind & Fire 〜 (1993)
M11. ALFIE  〜 Rumer 〜 (2010)
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さて、今回ご紹介するのは…
米女性R&Bシンガー、サンドラ・アレキサンドラが1968年にリリースした1stアルバムです。

サンドラはカリフォルニア州オークランド生まれ(生年不詳)。翌1969年に2ndアルバムを出した後、1970年にはなんと日本で『 サンドラと12人の侍たち 』をリリース。これは川口真、浜口庫之助、筒美京平、中村八大といった当時の歌謡界を代表するヒットメイカー12人の楽曲を歌った日本独自企画盤だそう。1974年には映画『 Street Sister 』にも女優として出演しているみたい。21世紀になり本名のCissandra Durkin名義で2002年、2014年にアルバムをリリース。ジャズシンガー/ピアニストとして現在でも活動中のようです。

─ サンドラ・アレキサンドラの感動的なスタイルは、ブルース、ポップ、クラシックのブレンドにあります。彼女の驚くべき声質は、彼女が豊富に持っている音楽的特質の1つにすぎません。彼女は素晴らしいミュージシャンであり、ソングライターでもあります。彼女の音楽性は17年間弾いたクラシックピアノに基づいています。しかし彼女はクラシック縛りから脱却し、R&B、ポップ、ジャズまで音楽の範囲を広げました。本作ではローラ・ニーロの「 ウェディング・ベル・ブルース 」、アレサ・フランクリンの「 小さな願い 」、グレン・キャンベルの「 恋はフェニックス 」等をドラマティックでパーソナライズしたスタイルでカヴァー。すべて自分のものにしています。 ─ (ライナーノーツを要約、あるでおの超意訳で)

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前述の他にもサム&デイヴのA4.「 ホールド・オン 」、ダスティ・スプリングフィールドのB4.「 ジャスト・ア・リトル・ラヴィン 」などソウル〜ポップの有名曲をチョイス。アレンジとバックの演奏もチャレンジングで、サンドラの鼻にかかった歌声と相まって独特の雰囲気が漂います。

んで、バカラック・カヴァーのA3.「 小さな願い 」なんですが、これが超ユニーク。ピアノソロによるゆったりめのイントロ(元ネタはディオンヌ版)の後、Aメロは♩≒62という超スローテンポになりドラムスのブラシワーク、ギター、フルートと吐息まじりの歌声に悩殺されます。サビは一転、♩≒134でバックの演奏も含めてアレサ版の雰囲気に。ただし、このサビ部分は女性バックコーラスに任せきりでアレサのようにサンドラがシャウトすることはありません。2コーラスめも1コーラス目と同様の展開。エンディングのAメロはまたスローテンポになり、フェードアウトせずスッと終止形で終わります。私もこれまで「 小さな願い 」の様々なカヴァーを聴いてきましたが、こんなアレンジは他にないんじゃないですかねぇ。

YouTubeに本アルバムがFullでアップされています。A3.「 小さな願い 」は4:34〜です。
興味がありましたら是非!


さて、ここからはオマケ。スローテンポな「 小さな願い 」ってどんなのがあったっけ?
①歌モノ、②テンポ♩<90、を条件に所有音源をチェックしたところ、
全編スローなもの、1コーラス目だけスローで2コーラス目からテンポアップするもの、2種類見つかりました。
前者で見つかったのがValerie Joyce。2007年にカヴァー。テンポは♩≒82ですから超スローってところまではいかないですが、全編ずっとこのテンポは聴いてて結構ダレる(笑)。
後者は2曲見つけました。まずSilvana Stievano。2008年のカヴァーで、1コーラス目がスロー(♩≒74)で2コーラス目以降少しテンポアップ(♩≒92)。軽いボサノヴァで涼しげなカヴァーです。
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Kirk Detweilerという男性シンガーが2000年(MP3のみリリース)のアルバム『 Random White Boy 』で「 小さな願い 」(3:59)をカヴァーしていますが、これも
後者の仲間。1コーラス目とエンディングが超スロー(♩≒68)で2コーラス目が倍テンポ(♩≒138)というもの。
…というわけで、“Aメロがスローでサビがテンポアップする”サンドラのアレンジは唯一無二のようですねぇ〜。


【データ】
『 Warm & Wild 』
Sandra Alexandra

LP:1968年リリース
レーベル:UNI Records (US)
番号:73039

Produced by Calvin Carter
Arranged by Arthur Wright

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

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