Love is Forever/Cliff Richard (1965年)
英国の男性歌手、クリフ・リチャードが1965年にリリースしたアルバムです。バカラックの書き下ろし曲を2曲収録!
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全14トラック中、バカラック作品は2トラック
A1. EVERYONE NEEDS SOMEONE TO LOVE (2:15)
B2. THROUGH THE EYE OF A NEEDLE (2:42)
英国の男性歌手、クリフ・リチャードが1965年にリリースしたアルバムです。
─ 彼はイギリス人ですが、生まれたのはインドです。1940年10月14日、インドのラックノウに生まれました。小さい頃から大の音楽好きで、もう3つの頃から、蓄音機(今でいうステレオ装置)につきっきりで、熱心に音楽にきき入っていたそうです。イギリスに帰ったのは8才の時で、彼の両親と共にです。学校に通い出した彼の音楽好きは、相変わらずでしたが、小学校から中学校、そして高校へと進むにつれ、スポーツと演劇に熱中しはじめました。しかし彼の本命はやはり音楽でありました。ふとしたチャンスに歌ったのが大変に受けたのです。そこで気の合った仲間とバンドを結成して本格的に歌稼業に乗り出したのです。このバンドはドリフターズと命名されましたが、今日皆さんが良くご存じの通り、クリフと絶妙のティームワークぶりを発揮するシャドウズと後に名前が変わっています。このバンドはやがてEMI(オデオン)レコードの優れたA&Rマン、ノリー・パラマー(彼自身オーケストラ・リーダーとして著名)の目にとまるところとなったのです。こうして彼はレコードを通じて、世界のファンを相手にする、まったくめざましい活躍が開始されたのです。彼のデビューから、爆発的な人気を博すまでは、今日のビートルズにも似て、実に見事なものでありました。早速1958年からはTVシリーズ『 オー・ボーイ 』そして有名な『 土曜の夜のパラディアム 』に出演し、間もなくして彼をホストとしたTVシリーズ『 サタディ・スペクタクラー 』が組まれるほどの人気をあげたのです。こうして彼はイギリスのナンバー・ワン・スターから、世界のナンバー・ワン・スターにとバク進しました。ちなみに米ビルボード誌による1965年度のインターナショナル・アーティストのランキングを見てみますと、クリフはエルヴィス・プレスリーをぬいて、ソロ・シンガーとして第1位にあります。 ─ (1965年日本盤のライナーノーツより、原文ママ)
─ この最新アルバムは、彼のその好調ぶりを示したものです。また曲目もラヴ・バラッドを中心としたものだけに、このレコードを通して、彼の人気がまたグーンと高まることでしょう。クリフの歌を1度でも耳にした人は、誰もが口をそろえて、彼の歌のうまさ、きき手のハートをしっかりつかんでしまう、そんな彼の歌の魅力を、たたえています。まったく彼の歌は素晴らしいものです。男性歌手として、世界のトップにある彼ならではの、キュートな魅力があるのです。わが国においても、クリフ・リチャードのファンが日増しに増えているのも、彼の実力、チャームを雄弁に物語っています。そしてそのカーヴが着々と上昇しているということは、何とも力強い限りです。ともかくこのアルバムは、クリフのファンはいわずもがな、まだクリフの歌をおききになっていない方々に、まずきいていただきたいと思います。そんなあなたはキット彼の素晴らしい魅力の虜になってしまうことでしょう。 ─ (1965年日本盤のライナーノーツより、原文ママ)
私が所有してるのはUK盤なのですが、Discogsで日本盤ジャケットを見つけてライナーノーツをパクっちゃいました。いささか冗長のきらいはあるものの当時のクリフ・リチャードの人気ぶりがリアルに伝わるんじゃないかな…と。
全14曲。バラード、ポップからロックンロール調まで、幅広いジャンルの曲が入ってます。A5.「 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 」、A6.「 夏の日の恋 」、B1.「 愚かなりわが心 」といった有名曲のカヴァー以外は知らない曲ですけどね。
バカラック作品は2曲。作詞は勿論ハル・デイヴィッド。2曲ともクリフへの書き下ろし曲なんですが、いずれも超のつくレア曲! 私もこのアルバムで初めて聴くことができました。
A1.「EVERYONE NEEDS SOMEONE TO LOVE(愛する人を)」は、ミディアムテンポ(♩≒104)で跳ねるようなリズム(シャッフル)の曲。高低行ったり来たりのメロディ、半音ずつ上がったり下がったりする転調、4小節/8小節という単位に収まらない変則的な小節数…。変拍子こそありませんが、バカラックらしさ満載の曲です。クリフも音程バッチリで難なく歌っています。
もう1曲、B2.「 THROUGH THE EYE OF A NEEDLE(針の目を通して見れば)」は♩≒90のバラード。イントロなしでいきなり歌い始めるこの曲、変則的な小節数だったり風変わりなコード進行はあるものの、A1.と較べたらバカラック色は薄めだと思います。若干憂いを帯びたクリフの歌声はバラードに合いますね。米国では「 WIND ME UP (AND LET ME GO) 」のカップリングでシングル・リリースされたようですが鳴かず飛ばずだったみたいです。
尚、邦題は1965年日本盤に書かれていたものです。その日本盤には全曲目解説が載ってました。バカラック作品2曲だけ紹介しますと…。
─ 「 愛する人を 」: まずミディアム・スローのテンポにのって、美しいラヴ・バラードが歌われます。誰だって愛し、愛されたいものです。そんなところうまく歌い恋人にささげています。「 針の目を通して見れば 」: 針の目を通して見れば、大きな家は小さく、高い山も低く見えるもの。だからボクたちの大ゲンカなんてとるにたりないもの。さあボクの恋人、早く帰ってきて……というチャーミングな歌です。しかしこれを歌うとなるとなかなかムツカシイと思われますが、そこはクリフのこと、実にスマートに歌っています。 ─ (1965年日本盤の曲目解説より、原文ママ)
1965年の日本じゃ流石にバカラックのバの字も出てきませんね〜。歌詞中心に説明してるのはまぁ良しとして、「 愛する人を 」が美しいラヴ・バラードってぇのはちょっと違うんでないかい?
*追記:2021年12月5日、JFN(TOKYO-FM系 全国38局ネット)『 山下達郎サンデー・ソングブック 』でクリフ・リチャードの「 EVERYONE NEEDS SOMEONE TO LOVE(愛する人)」がかかりましたっ! → こちら
【データ】
『 Love is Forever 』
Cliff Richard
LP:1965年11月リリース
レーベル:Columbia (UK)
番号:33SX 1769 (MONO)
Produced by Bob Morgan (A1,B2)
Produced by Billy Sherrill and Bob Morgan (B6)
Artist credit
Criff Richard (Recorded in Nashville) (B6)
Criff Richard Arr. & Conducted by Gary Sherman (Recorded in New York) (A1,B2)
Criff Richard Arr. & Conducted by Ken Woodman (A2,A6,B1,B4)
Criff Richard with The Norrie Palamor Orchestra (A5)
Criff Richard with The Norrie Palamor Orchestra and The Mike Sammes Singers (A3,A7,B3,B7)
Criff Richard with The Shadows (B5)
Criff Richard with The Shadows, The Norrie Palamor Strings and The Mike Sammes Singers (A4)
リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/20)
カップリングの異なる2種類の 2 in 1リイシューCDが出ています。
Amazonリンク(2 in 1 CD cw/Good News)(2 in 1 CD cw/Kinda Latin)
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