Danny Williams/Danny Williams (1968年)
英国の男性ポップ・シンガー、ダニー・ウィリアムズが1968年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!
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全14トラック中、バカラック作品は2トラック
A5. THAT GUY'S IN LOVE (3:18)
B4. LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS (3:02)
英国の男性ポップ・シンガー、ダニー・ウィリアムズが1968年にリリースしたアルバムです。
ダニー・ウィリアムズは1942年南アフリカ生まれ(2005年没、享年63歳)。14歳の時タレントコンテストで優勝し、南アフリカ全土を巡るショーに出演。そのショーでロンドンに来た際、EMIのプロデューサーに見出されレコーディング契約を結んでHis Master's Voice(HMV)レーベルより1959年にデビュー。1961年には「 ムーン・リヴァー 」のカヴァーが全英1位になり、歌手以外にも俳優として活動したそうです。
ソフトタッチで細かいビブラートが特徴の歌声は所謂クルーナーっぽいもので、英国のジョニー・マティスと称されたのも頷けます。それ故ビートルズ等ビートグループが台頭してからはジリ貧に…。1967年にDeram(Deccaのサブレーベル)へ移籍した後にリリースしたDeramでの初アルバムが本作です。
全14曲。A1.「 LOVE ME 」, A4.「 NEVER MY LOVE 」, B2.「 WHOSE LITTLE GIRL ARE YOU 」の3曲は前年リリースした2枚のシングル収録曲。その他、スタンダードナンバーのB3.「 虹の彼方に 」とともにバカラック曲を2曲カヴァーしています。
まず、A4.「 THAT GUY'S IN LOVE 」。1968年にハーブ・アルパートが歌って全米1位になった「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU 」のカヴァーですが、曲名をよく見ると THIS が THAT になっとる!(なお、後半の WITH YOU が欠けてるのは省略してるだけで何の問題もありません) 単なる誤植かと思ったらダニーはしっかり THAT と歌っていて、歌詞の他の部分も2〜3割オリジナルとは違っています。オリジナルは “ あなたに恋してるのはこの男(=僕)” なのに、“ あなたに恋してるのはあの男 ” にしちゃったらそりゃ色々いじらないと辻褄合わなくなるワケで…。作者は Bacharach, David としか書かれてないけど、これっていいのかなぁ。
演奏自体はハーブ・アルパート版ベースのアレンジ。テンポが速く(♩≒100)オケが賑やかな他は特段コメントするようなことはありません。THAT に変えた例は他に聞かないので貴重なカヴァーだとは思いますが。
レコード・コレクターズ 2023年9月号の記事によれば、実はこのダニー版が初出とのこと。う〜ん、謎は深まるばかりなりけり。※1
…その謎が解けました。ダニー・ウィリアムスの「 THAT GUY'S IN LOVE 」がオリジナルでした。ちたりた様のブログを参照くださいませ。歌詞の違いも含めてリサーチしておられます。ちたりた様、教えてくださりありがとうございました! ちなみに、バカラック&デイヴィッドはまず「 THAT GUY'S IN LOVE 」を1967年6月15日に著作権登録。その後ハーブ・アルパート用に「 THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU 」を1968年4月15日に著作権登録していました。※2
もう1曲のバカラック・カヴァーはB4.「 LOVE WAS HERE BEFORE THE STARS 」。ブライアン・フォーリーが1967年にリリースしたシングル曲がオリジナル。超レア曲で、しかも歌いにくいヘンテコな曲なんですよ。(オリジナルやその辺りの事については拙ブログの過去記事を参照ください)
オリジナルよりもアレンジが小洒落ていて、ダニーの歌唱もこの曲にマッチしてると感じます。どうしてダニーがこの曲を取り上げたのかはよくわかりませんが、好カヴァーだと思います。
どちらもYouTubeで聴けるようです(非公式ですが)。興味がありましたら是非!
※1 2023/8/15 追記
※2 2024/3/20 追記
【データ】
『 Danny Williams 』
Danny Williams
LP:1968年リリース
レーベル:Deram
番号:DML 1017 (MONO盤)
Producers: Dick Rows
Producers' Assistant: Gil King
©️1968, The Decca Records Company Limited, London
※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し
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コメント
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あるでお様
おはようございます。
堀克巳氏が4年も前に謎を解明されていました。
これを先に読んでいたら悩まなかったものを...。
https://popups.hatenablog.com/entry/2021/05/23/070000
「ディス・ガイ(This Guy's in Love with You)」ハーブ・アルパート(Herb Alpert)(1968)
アイツ、コイツの使い分けなど本当に和訳が見事です。
投稿: ちたりた | 2024年9月 1日 (日) 10時12分
ちたりた様
あるでおです。コメントありがとうございます!
堀克巳氏のブログ『 まいにちポップス 』の記事を拝読しました。なるほどそうだったのか…とストンと腹落ちいたしました。ハル・デイヴィッドのコメントも初耳でした。
この曲、これまで拙ブログではハーブ・アルパートが初出(オリジナル)と書いてきました。ダニー・ウィリアムスが初出(オリジナルアーティスト)なのは分かったのですが、過去記事を訂正するのは結構大変なのでほったらかし状態です😅。仕事リタイヤしたら訂正しようと思いますが、いつになるやら…🤔。
投稿: あるでお | 2024年9月 1日 (日) 13時47分