Thank You Mr. Bacharach/Grant Green Jr. (2022年)
ジャズ・ギタリストのグラント・グリーンJr.によるバカラック集です。(デジタル配信のみ)
(画像は全てクリックすると大きくなります)
1. WIVES AND LOVERS (5:54)
2. ANYONE WHO HAD A HEART (6:19)
3. WALK ON BY (4:26)
4. THE LOOK OF LOVE (4:29)
5. HERE I GO AGAIN (4:41)
6. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (5:23)
収録時間約31分
米男性ジャズ・ギタリスト、グラント・グリーンJr.によるバカラック集です。一昨日(2022年7月22日)リリースされたばかり!
彼は “キング・オブ・ファンク” として君臨していたギターのグラント・グリーンの息子。簡単なプロフィール等は前々回ご紹介した2作目のアルバム『 Jungle Strut 』(1998)の記事を参照ください。3作目のアルバム『 Introducing G.G. 』(2002) 以降、本作は20年ぶりのリーダー・アルバムになるようです。
─ Guitarist and singer Grant Green Jr. has kept it funky with his Masters of Groove music project (with Bernard Purdie and Rueben Wilson) and his own jazz and original funk band. His newest project, a tribute album to Burt Bacharach, was born from hearing his late father’s (jazz great Grant Green) homage to him in his Blue Note Records days. “He is one of my favorite American composers,” Grant says. “His sense of melody in a song like ‘Alfie’ is beautiful and timeless." ─ (2022/10/8 "Thank you Mr. Bacharach; Grant Green Jr plays Burt Bacharach" と銘打った Live の Introduction より)
本作は、亡き父のブルーノート時代の演奏へのオマージュだとか。実際、お父さんはブルーノートに「 WIVES AND LOVERS 」「 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 」を吹き込んでます。拙ブログではコンピ盤『 BLUE BACHARACH 』の記事でちょこっと紹介しています。また、Blue Noteではありませんが「 WALK ON BY 」も1971年のライヴ録音が残っています(こちらの記事のオマケ参照方)。
それに、バカラックはJr.お気に入りの作曲家の1人なんですねぇ。
さて本作。詳細クレジットが不明なため正確にはわかりませんが、聴いた限りでは、ギター+ピアノトリオ、トランペット、トロンボーン、サックス、ヴィブラフォン、パーカッション(数人?)、バックコーラス(男1、女1)という編成。取り上げたバカラック・ソングは6曲で、そのうち1曲は超レア曲です。
T-1.「 素晴らしき恋人たち 」は、オリジナルの3拍子を2拍子にしてカリプソっぽいラテンのリズムで疾走感ある演奏。ギター、ピアノ、サックスのアドリヴもノってます。T-2.「 恋するハート 」は、ルーサー・ヴァンドロス版に近いクールな演奏。T-3.「 ウォーク・オン・バイ 」では、なんとJr.歌ってます。ファンキー&ノリノリで! T-4.「 恋のおもかげ 」は、軽いボサノヴァでホーン入りのリッチな演奏。
T-5.「 HERE I GO AGAIN 」はディオンヌ・ワーウィックがオリジナルで、初出時の曲名は「 LOOKING WITH MY EYES 」※ 。1965年10月にシングルA面でリリースし(US#64)同年12月リリースのアルバム『 HERE I AM 』に収録されました。邦題は「 みつめてごらん私の瞳 」。この曲のカヴァーを聴いたのはワタクシこのJr.版が初めてでございます。Jr.はこの曲に強い思い入れでもあったんでしょうか…。演奏自体は割とオリジナルに近い感じです。T-6.「 恋よさようなら 」は、ゆったり目の涼しげなイージーリスニングっぽいものです。
※ Kellysdadさんからのコメントを反映し、初出の曲名を訂正しました。
個人的なレコメンドはT-1,2,5.あたり。特にT-5.はレア曲ですから!
… ちなみに、グラントJr.が2021年12月に行ったバカラック・トリビュートライヴの模様がフルでYouTubeに上がっています。自身のギター+ピアノトリオによるカルテットで、休憩後のStage2ではアルト・サックスも加わったクインテット編成で演奏しています。動画のリンク先とセットリストは次の通り。本アルバムのプレ・リリース的なライヴだったようです。
Grant Green Jr. Celebrates The Music of Burt Bacharach, December 11th 2021
@ The Velvet Note - Alpharetta, GA, United States
<Stage 1>
M1. THE LOOK OF LOVE
M2. WIVES AND LOVERS
M3. ANYONE WHO HAD A HEART
M4. WALK ON BY (Vo. - Grant Green Jr.)
M5. ALFIE
<Stage 2>
M6. I SAY A LITTLE PRAYER
M7. WALK ON BY (Vo. - Grant Green Jr.)
M8. HERE I GO AGAIN
M9. A HOUSE IS NOT A HOME
M10. WIVES AND LOVERS
本作とは異なり、全ての曲が10分以上の長尺、特にM4、M7の「 ウォーク・オン・バイ 」は20分超え。んで、出来は本作よりかなり劣ります…。各曲中間部のアドリヴは冗長だし、演奏にキレ無く聴いててダレます(全てとは言いませんが…)。特に、M8.「 HERE I GO AGAIN(みつめてごらん私の瞳)」はピアノとベースがギターについていけてません。また、本作には未収録の曲が3曲あります。M5.「 アルフィー 」はギターソロで始まりギターソロで終わるのですが、途中のアドリヴ合戦は対照的に熱くてハード。M6.「 小さな願い 」はまぁ可もなく不可もなく。M9.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」はルーサー・ヴァンドロス版ベースの演奏です。…以上、ご参考まで。
【データ】
『 Thank You Mr. Bacharach 』
Grant Green Jr.
MP3:2022/7/22リリース
レーベル:ZMI Records (US)
番号: -
Produced by Martin Kearns & Khari Cabral Simmons
Grant Green Jr. - guitar, vocal (only T-3.)
詳しいクレジットは不明ですが、レーベルの Twitter でフィーチャーされてる方の名前だけ告知されてました。ネットで調べたプロフィールを添えて以下記します。
Landon Anderson - Drummer, based in Atlanta, GA
Guarav Malhotra - Congas
Tyrone Jackson - Keyboardist
Hardin Butcher - Trumpet
Ayodeji Coker - Saxophonist.
Kevin Leahy - Drums, percussion
Jamie Portee - Producer, engineer, songwriter
Rafael Pereria - ?
Richard Sherrington - British trombonist, keyboardist, moved to the US.
Luke Weathington - Saxophone
Nick Rosen - Freelance bass musician and composer from Sherman Oaks, CA.
Larry Newson - ?
Cleveland P. Jones - American singer, songwriter, producer in R&B, gospel
Brenda Nicole Moorer - American singer, songwriter, actress
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コメント
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Looking with My Eyesは以下でもカバーされてます。
Mike Melvoin ["Keys to Your Mind" Liberty LP: LRP-3485 / LST-7485] 1966
Wrecking Crewの一員の鍵盤弾きですね。
なお、もう一曲Are You There (With Another Girl) (タイトル表記は"Are You There")もやってます。
Dionne盤はシングル、LP "Here I Am"ともにタイトル表記は"Looking with My Eyes"です。
(LPはレーベルは"Lookin'"で、ジャケは"Looking"です。まあよくあることですが特にScepterはテキトーな会社ですから。)
1989と1991のRhinoのコンピも、"Here I Am"のCollectors' Choice MusicからのCD再発時(2007)も同様でした。
ところが、英Sequelから出た2 in 1 CD "Here I Am / Here Where There is Love" (1996)では
"(Here I Go Again) Looking with My Eyes"でした。
さきほどSongview (ASCAP)を確認したら、見出しは
Lookin' with My Eyes Seein' with My Heart
なんですね!!知らなかった。
そしてalternate titlesとして以下がズラッと並んでます。
(Here I Go Again) Looking with My Eyes, Seein with My Heart
Here I Go Again
Here I Go Again Looking with My Eyes Seein with My Heart
Lookin' with My Eyes, Seein' with My Heart
Looking with My Eyes Seeing with My Heart
Looking with My Eyes, Seeing with My Heart
実にややこしいですね。でもDionneに関しては前述のとおり初出は"Looking with My Eyes"のようです。
投稿: kellysdad | 2022年7月24日 (日) 16時44分
Kellysdadさん、お久しぶりです。
Looking with My Eyes についての詳しく丁寧なコメントありがとうございます! とても勉強になりました。
私が所有してるディオンヌのアルバム『 Here I Am 』は英Sequelの2 in 1 CDのみ。ご指摘の通りこのCDには「 (HERE I GO AGAIN) LOOKIN’ WITH MY EYES 」と書かれてまして、それが正式名称だと思ってました。Dionneに関しては「 LOOKING WITH MY EYES 」が正しいワケですね。記事に反映させていただきました。
改めて所有のSerene Dominic著『 SONG BY SONG 』を確認したところ「 (Here I Go Again) Looking with My Eyes, Seeing with My Heart 」と紹介されてました。そして巻末のLibrary of Congress Listには ” Lookin’ with My Eyes, Seein’ with My Heart “ Original registration date: 25 June 65 と書かれていました。Kellysdadさんが確認されたASCAPのデータと一致します(カンマは無いけど^^;)。その他のalternate titlesも含めてややこしいですねー、ホントに。
また何かありましたらコメントよろしくお願いいたします。(ネタ切れ寸前でアップアップの状態ですが…)
投稿: あるでお | 2022年7月24日 (日) 18時56分