OUR LOVELY DAYS/清野由美 (1982年)
1981年にデビューした女性シンガー、清野由美(せいの ゆみ)が1982年7月にリリースしたシングルです。当山ひとみのバカラック・ナンバー「 OUR LOVELY DAYS 」をカヴァー!
(画像は全てクリックすると大きくなります)
Original 7"single front cover
所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏
全2トラック中、バカラック作品は1トラック
1. OUR LOVELY DAYS (3:48)
2. サマーホテル (3:57)
1981年にデビューした女性シンガー、清野由美(せいの ゆみ)が1982年7月にリリースした4thシングルです。
清野由美さんについて詳しいことはわかりません。 ─ 音性多彩‼︎ ポップス、フュージョン、ジャズ……ジャンルを超えた多彩な個性が……いま、TAKE OFF! ─ これは1981年の1stアルバム『 U・TA・GE 』ジャケット帯のコピーですが、少なくともアイドルじゃなさそうですね。今で言ったらシティポップ? 今月シングルやアルバムが日本コロムビアから配信開始されましたし、来月には一部LPが復刻されたり動きが活発な様子。これからもっと彼女の情報が出てくるかもしれません。
さて、本シングルのA面「 アワ・ラヴリー・デイズ 」は当山ひとみが歌ったバカラック楽曲のカヴァー。2人とも日本コロムビア所属で、しかも同じ1982年7月にシングルをリリースしてるんですねー。カヴァーというよりは競作になるのかな? ただし、当山版が英語詞なのに対して清野版は日本語詞。当山版は日立製作所のイメージ・ソングとしてTV-CMに使われました(個々の製品ではなく、企業イメージCMに使われたようですね。例えばこちら)。清野版のシングル・ジャケットの曲名の下にも小さく“日立イメージ・ソング”と書いてありますが、YouTubeを検索しても使われたCMは見当たらず…。当山版とも清野版とも異なるアレンジのインスト版「 アワ・ラヴリー・デイズ 」がFM番組『 日立ミュージック・イン 』のオープニングで使われた(例えばこちら)ことも併せて想像するに、日立イメージ・ソングを清野由美も歌ってみました…ということなんでしょうか…。
尚、当山版については拙ブログ記事のオマケで詳しく触れています。ご参考ください。
さて、清野由美の「 アワ・ラヴリー・デイズ 」は、当山版のアレンジに似たシティ・ポップス。明確に違うのはイントロで、当山版の18小節に対して清野版は後半10小節をカットした8小節。それを除くと構成は一緒で、1コーラス目はAメロ-Aメロ-サビ-サビ、2コーラス目はAメロ-サビ-サビで、その後サビを繰り返しながらフェードアウト。テンポは♩≒120で当山版(♩≒112)より速めな一方、キーは当山版(Aメロ最初の音=G)より二度低く(同音=F)、全体的な軽快さは同等といったところ。本シングルB面の「 サマーホテル 」を聴く限り彼女の歌声はしっとり&透明感があって魅力的なんですが、この「 アワ・ラヴリー・デイズ 」では歌声にリバーブや音を揺らせるエフェクトを強く効かせてて…。エフェクト無しの歌声を聴きたかったです。
竜真知子さんの日本語詞は英語詞の訳ではないけれど大意は同じで、あなたと過ごした素敵な日々を思い出す…てな感じ。聴いてて全く違和感ありません。
林哲司さんのアレンジは80年代前半らしいエレピの音がいい感じ。因みに、林哲司さんは駆け出しの頃、アメリカに行ってバカラックさんが作曲した曲を現地でアレンジ、レコーディングしてくるという仕事をしたそうですが、それがこの曲だったと語っておられます。(日刊ゲンダイ 2023年5月29日の記事『 林哲司さん語る 今年2月に死去した音楽家バート・バカラックとの不思議な縁 』を参照方) ─ 本人に会うことはできなかったけど、バカラックの誰も聴いていない曲のアレンジを任された ─ とも書いとられます。レコーディングは当山版と清野版どちらが早かったんでしょうね。レコード番号は当山版の方が若いのでオリジナルは当山版になるんでしょうけど…。
そういえば、歌詞カードの下の方に(Los Angeles 録音)と書いてありました。
YuTubeに自動生成でUpされてましたので動画を置いておきます。
ついでに、リリース当時のものと思われるプロモーション動画?も。温泉宿の玄関にいる人たちは何なんだ?(笑)
【データ】
「 OUR LOVELY DAYS/サマーホテル 」
清野由美
7"Single:1982年7月21日リリース (所有リイシューCDは、2023年4月1日リリースのオンデマンドCD:MEG-CD)
レーベル:Blow Up / 日本コロムビア(JP) (所有リイシューCDは、JVCKENWOOD Victor Entertainment (JP))
番号:AH-236-A (所有リイシューCDは、VODL-37071)
T-1.「 OUR LOVELY DAYS 」
作詞:竜 真知子
作曲:Burt Bacharach
編曲:林 哲司
(Los Angeles 録音)
リンク先消滅したためリンク貼り直し(2024/1/13)
Amazonリンク(リイシューCD)
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コメント
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あるでおさん、
大変、大変、ごぶさたしております。
3年前、メールにて一方的に「バカラック好き」をぶちまけた
自己満大将のミスター「T」です(笑)
その節は大変お世話になりまして、ありがとうございます。
B爺が旅立った後もこうして彼の音財産を愛聴者に伝導する
あるでおさんの姿勢に真摯に深い敬愛を抱いております。
さて、本日こちらにめずらしく初の投稿をいたしましたのは
あるでおさんとの記念すべき「Our Lovery Days」問題(笑)に
続報が届けられたからです。
私も最近話題の林哲司アレンジによる清野由美版のお話を耳にしていただけに
今回上げていただいた情報・楽曲に興味津々でした。
しかして結果…
も〜〜、全然当山ひとみのほうがイイじゃ〜〜んです(爆)
日本語歌いは無理あるし、アレンジはデモレベルですよ〜(暴言)
それで、
あの時はアレンジやミュージシャンまで話が及んでなかった気がするのですが
当山版のアレンジャー・ミュージシャンおわかりでしょうか?
バカラックサウンドに必須なあのフリューゲルホーンを入れた当山版は
爺も納得の素晴らしい仕上がりだと感じるのですがいかがでしょう。
P.S.
余談ですが
現在の私の「バカラック愛」は
ペンネーム「馬鹿楽」でラジオ等に投稿していることです。
(ただし、バカラック曲に限ってはいません)
「向谷実の音楽遊覧飛行」
リクエスト10曲叶ったので卒業。最後は「Wives & Lovers」で締めた。
「松尾潔のメロウな夜」
バカラック特集でリクエスト叶わずも「馬鹿楽」名に笑ってくれた。
「澤部渡のシティポップレディオ」
グッドイヤー賞に二度輝き、今も挑戦し続けています。
投稿: ミスター「T」 | 2023年8月 2日 (水) 14時38分
ミスター「T」さん
こんばんは!
こちらこそ大変ご無沙汰しております、あるでおです。
ネタがつきそうでいつまでブログを続けられるか…という状態は今も変わらず。少しずつネタをゲットしてはすぐに吐き出す、息も絶え絶えのそんな自転車操業を3年間続けています(汗)。
3年前は私が知らないエピソードや曲を教えていただき大変ありがとうございました。その中の1曲がナンシー・ウィルソンの「 OUR LOVELY DAYS 」。当時ちゃっかり記事にさせていただきました、本当に感謝です。今回、その「 OUR LOVELY DAYS 」問題(笑)の続きと意気込んだものの、力不足で中途半端な内容になってしまいました…。まぁ広く浅くが拙ブログのモットーでありますから何卒ご容赦くださいませm(__)m。
間奏のフリューゲルホルン、ハネるベース、ギターのカッティング等がカッコイイ当山版と比べると、清野版はシンプルですね。アルバム曲ならともかくシングルA面曲ならもう少し派手目な方がいいかなぁ。日本語詞は、私は無理があるとまでは感じませんでした。
> 当山版のアレンジャー・ミュージシャンおわかりでしょうか?
いえ、全く知りません(涙)。3rdアルバム『 Next Door 』の歌詞カードには曲毎のクレジットが載ってるようなので、機会があればアルバムゲットしたいですね〜。ネットで拾ったアルバムの情報は…
Producer – Hikaru "Flash" Kanematsu(兼松 ”Flash” 光)
Arranged By – Ichiroh Nagata, Masashi Yamashita, Mitsuhiro Sonoyama, Yoshihiro Yonekura
「 OUR LOVELY DAYS 」のアレンジャーが誰かはわからず…
芳野藤丸(AB'S)や土方隆行(ex.マライア)などの名プレイヤー達をバックに、PENNY(※当山ひとみの愛称)のタイトなボーカルワークが奇跡的に邂逅した、日本のポップスシーンでも非常に稀有な作品です。
…とここまでです。
3rdアルバムに先行して、シングルリリースの1ヶ月後〜1982年8月リリースのコンピ盤『 On The Radio 』にも収録されてます。どちらかアルバム買おうかなぁ…
それにしても、ミスター「T」さんの馬鹿楽愛、ますます深く&パワーUPしとられますね! 私は到底及びません。広く浅くでもうしばらく足掻いてみようと思います。
投稿: あるでお1964 | 2023年8月 2日 (水) 23時09分
あるでおさん、
早速あたたかいお返事をいただけまして大変嬉しいです。
それでは私もちょっと調べてみようかと、当山ひとみのWIKIを見たら
意外にあっさり、シングル盤の表示でアレンジ「山下正」と出ました。
それではと「アレンジャー山下正」でググったところ興味深い文章が...。
ー作曲家の林哲司氏主宰の「サムライ・ミュージック」において彼の作品を中心にレコーディング・アレンジャーとして活躍ー
....ということは(私の暴言に言わせれば)
弟子が師匠のアレンジを(軽く)超えた!(爆)
また、
ミュージシャンクレジットがアルバム「NEXT DOOR」において
ほぼ同一のミュージシャンたちだとしたら
https://tower.jp/article/feature_item/2013/04/18/0703
私も大好きで尊敬するメンツとなり、
こうなったら、
フリューゲル(トランペットかも)ソロは数原晋さんということにしておきます!
コーラスもEVEっぽい!
とまあ、憶測で楽しめるだけでもとても満足です(笑)
投稿: 馬鹿楽 | 2023年8月 3日 (木) 18時20分
あるでおさん、
奇しくも高校時代の音楽の趣味が合う友人からメールが来て、
グッドタイミングでたずねてみたら
「NEXT DOOR」を持っており、早速ライナーを写真にとって送ってもらいました!
名前がわかる範囲では
ベースは高水健二(大仏さんですよね)
ギターは芳野藤丸(この間、ライブに行って握手しました)
あるでおさんの琴線に触れるはずですね!
そして、フリューゲルホーンソロは....
岸義和というベテランの人でした。納得。
コーラスは、やはりEVE。
てなわけで、とてもスッキリしました。
お騒がせいたしました(笑)
投稿: 馬鹿楽 | 2023年8月 3日 (木) 21時47分
おはようございます、あるでおです。
さすがは馬鹿楽さん、アレンジャーの情報ありがとうございます。山下正さんのお名前、初耳でした。林哲司さんの弟子なんですね。勉強になります。アルバムのミュージシャンクレジットも色々見たつもりだったんですがタワーレコードのサイトに載ってたんですね。チェック漏れでしたぁ。
そして「 OUR LOVELY DAYS 」のクレジットまで! ありがとうございます。アルバム、取り敢えず買わずにすみそうです。(笑) ギターは芳野藤丸さんでしたかぁ。道理でカッコイイわけですね、納得! 持つべきは友だちですね。私も高校時代の友人との繋がりが最も強いです。大切にしないと…と改めて思いました。
投稿: あるでお1964 | 2023年8月 4日 (金) 06時59分