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2024年2月の4件の記事

2024年2月25日 (日)

Christmas Kiss/Diana Panton (2012年)

カナダの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ダイアナ・パントンの5thアルバムです。レアなバカラック作品1曲をカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Original CD front cover/back cover
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所有日本盤CDのジャケット表/ケース裏

日本盤CD全16トラック中、バカラック作品は1トラック

11. WINTER WARM (4:47)


カナダの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ダイアナ・パントンの5thアルバムです。尚、日本盤は『 Winter Kiss 』というタイトルに改題されています。

ダイアナ・パントンは、1974年カナダのオンタリオ州ハミルトン生まれ。(ハミルトンはトロントとナイアガラの滝の中間に位置する都市。遠い昔、海外出張した際にトロントからナイアガラの滝を通って米国ニューヨーク州ロチェスターまでバスで移動したことがあるのですが、その時に通過していたことになります。どーでもいい話ですが😅) 地元のジャズ・バンドにバック・シンガーとして活動していた高校生当時、カナダの重要なジャズ・プレイヤーであるドン・トンプソンに見出されます。その後パリの大学でフランス文学を学んだのち2005年にアルバム・デビューを果たしました。ファニーで若干ハスキーな歌声が特徴的です。

本作は5作目にして彼女初のクリスマス・アルバム。とはいっても、アルバム全体にウキウキしたクリスマス感は薄く、聴いてると冬のぬくぬくした部屋の中でゆったり寛いでる情景が浮かびます。実際、私は本アルバムを聴いてる途中でうたた寝してしまいました。

─ 2曲のオリジナルと、13曲のカヴァー、そして日本盤のみに1曲のボーナス・トラックを収録した、計16曲。バックを務めるのは、前述のドン・トンプソン(ピアノ/ベース/ヴィブラフォン)と、レグ・シュワガー(ギター)、ギド・バッソ(コルネット/フリューゲルホーン/トランペット)という、いずれも彼女の音楽の精神的支柱ともいえるプレイヤーたちだ。ダイアナの歌声を引き立たせるように、抑制を効かせた演奏はリラックスした趣で共感できる。  またこの『 Winter Kiss 』は選曲がとても興味深い。というか心にくい。ジャズのクリスマス・アルバムといえば、トラディショナルで誰もが知ってる曲を最初から最後まで収録させるのが通例だが、この作品には有名曲から隠れた名曲まで違和感なく並んでいる。つまりダイアナにとってこの作品は企画盤というよりは、彼女自身の趣味を反映させた、オリジナル作品としての思いが強く込められている。  ─ (日本盤ライナーノーツより)
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同感ですねー。T-3.「 クリスマス・キッス 」は彼女とドン・トンプソンが共作した佳曲でそれをアルバム・タイトルにしているのですが、日本盤ではジャケットも含めてタイトルをわざわざ『 Winter Kiss  ウインター・キッス〜わたしのホリディ) 』に変えたのは、クリスマス・アルバムではなくオリジナル作品としてアピールしたかったからなんでしょーね。

バカラック・カヴァーは、T-11.「 ウィンター・ウォーム 」。ハル・デイヴィッドとのコンビによるホリデーシーズン向けの曲で、米女優/歌手のゲイル・ストームが1957年11月にシングルB面でリリースしたのがオリジナル。テンポ♩≒66〜70でハープ/グロッケンシュピール/フルート等を用いたドリーミーなアレンジ&歌唱のオリジナルに対して、ダイアナ・パントンのカヴァーは♩≒47〜50という極めてゆったりとしたテンポで羽毛でふんわりと包み込まれるような歌唱&演奏です。伴奏はピアノのみで、中間部のソロ演奏も美しく素敵です。刺激的な歌声&音が全くないんですよ。この曲のカヴァーの中でも最も子守唄に向いたバージョンなんじゃなかろうか…(もちろん私個人の感想です)。

拙ブログでは以前の記事で「 ウィンター・ウォーム 」のカヴァー・リストを作りました。その時点のカヴァーは6バージョンだったので、ダイアナ・パントン版を加えるとカヴァーは7バージョンということになります。私が知る限り…ですが。


【データ】
『 Christmas Kiss 』(邦題:Winter Kiss  ウインター・キッス〜わたしのホリディ
Diana Panton




CD:2012年リリース (所有CDは、2012年10月24日リリースの日本盤。解説は山本勇樹氏)
レーベル:Diana Panton (Canada) (所有CDは、MUZAK, INC.)
番号:DIA-CD-5605 (所有CDは、MZCF-1259)

Produced by Diana Panton
Co-Produced by Don Thompson
Arrangement by Don Thompson
  Diana Panton - vocal
  Don Thompson - piano, bass, vibraphone
  Reg Schwager - guitar
  Guido Basso - trumpet, flugel, cornet
  Harrison Kennedy - vocal on track 2
Recorded at Inception Sound Studios, Toronto, Ontario, Canada in August 2011
日本盤ボーナス・トラック:T-9.「 SNOW 」

Amazonリンク日本盤


2024年2月18日 (日)

Plays The 3B's/The Carmen Cavallaro Camp (1970年)

米国のピアニスト、カーメン・キャバレロが The Carmen Cavallaro Camp 名義で1970年にリリースした3Bカヴァー集。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. ELEANOR RIGBY (3:37)

A2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:58)
A3. LET ME GO TO HIM (2:34)
A4. PAPER MACHE (3:25)
A5. YESTERDAY (4:29)
B1. HERE, THERE AND EVERYWHERE (3:17)
B2. GAVOTTE (2:59)
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (2:08)
B4. AIR ON A G STRING (3:22)
B5. LET IT BE (3:11)

収録時間約33分


米国のピアニスト、カーメン・キャバレロが The Carmen Cavallaro Camp 名義で1970年にリリースした3Bカヴァー集です。

The 3B's とはその下に小さく括弧書きされてる通り The Beatles, Bacharach & Bach のこと。ジャケットにも左からビートルズ4人→バカラック→バッハが描かれてます。バカラックの顔は全然似とらんけど😆。

カーメン・キャバレロは、1913年NYC生まれ(1989年没、享年76歳)の🇮🇹系米国人ピアニスト。 ─ クラシックの演奏家を目指したが、ある時点から非常にポピュラー音楽に興味を持ち、転向した経緯があり、演奏基礎はクラシックにあった。クラシックからポピュラー・ミュージックまで幅広くこなした。ピアノ・タッチは豪快で、処狭しと細かい装飾音もまじえたもので、「キャバレロ・タッチ」と称される。和音と装飾音のリズムは目の前が開けるように華麗な演奏で、「煌びやかなホテルのロビーにいるよう」とも評された。  ─ (Wikipediaより)

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この画像はDiscogsからパクりました。いつの写真かわかりませんが若い頃の写真でしょう。そのDiscogsによればキャバレロのレコードデビューは1939年(勿論SP盤の時代)。キャバレロ名義だけでも1940年代に12枚、50年代に19枚、60年代に25枚、70年代に12枚、80年代に3枚のアルバムが載っています。人気あったみたいですねー。


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さて本アルバム。↑ はダブルジャケットを開いて90°回して縦向きにしたところ
。3Bについて何て書いてんだろ?と期待して英文読んだんですが、その中身はキャバレロの宣伝文句のみ。イラストのモノクロ版なんか載せるヒマがあったら何かしら3Bの解説しろやっ! と、思わずツッコミを入れてしまいました😤。

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全10曲の内訳はビートルズ4曲(A1,A5,B1,B5)、バカラック4曲(A2〜A4,B3)、バッハ2曲(B2,B4)。バッハのB2.「 GAVOTTE 」の元曲は「 French Suite No.5 」で、B4.「 AIR ON A G STRING 」はご存じ「 G線上のアリア 」です。

キャバレロの華麗で豪快で煌びやかなピアノが主役。ピアノのタッチはクラシック系統のソレ。ピアノを生かしつつ更に自らも活躍しているオケのアレンジがこれまた秀逸でして。オリジナリティのあるオカズやオブリガートをふんだんに盛り込み、管楽器・弦楽器・パーカッションがメリハリの効いた演奏でそれに応えています。加えて、曲により加わる男女コーラスも美味(A4.と B1.では一部歌詞も歌ってます)。アレンジャーのJim Tylerはブロードウェイ・ミュージカルの編曲家で、ヴィック・ダモンやトニー・ベネットのショーでも活躍した方だそう。Good jobです。


バカラック4曲について感想を。A2.「 恋よ、さようなら 」は可愛らしい小洒落たアレンジ。A3.「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム(恋に生きて)」はディオンヌがオリジナルでカヴァーが片手くらいしかない超レア曲。オリジナルのゆったりワルツに対しキャバレロ版はテンポの早い跳ねるジャズワルツ調が新鮮。A4.「 ペイパー・マシェ 」はディオンヌのオリジナルから遠く離れないドリーミーなアレンジ。2コーラス目だけ男女コーラスが歌詞をハモって歌います。B3.「 雨にぬれても 」は♩≒180超のむっちゃ速いテンポにのけぞります。ブラスとピアノの派手な掛け合いが聴きどころで、2分少々と尺は短いですが印象に残ります。そーですねぇ、A3.とB3.をレコメンドにしときましょうか。

因みに、A2.〜A4.の3曲はディオンヌが1970年4月にリリースしたアルバム『 I'll Never Fall In Love Again 』の収録曲で、3連続シングルA面曲でもあります(「 恋よ、さようなら 」1969年12月リリース【US#6】、「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム 」1970年3月リリース【US#32】、「 ペイパー・マシェ 」1970年7月リリース【US#43】)。B3.「 雨にぬれても 」は言わずと知れた'70年代最初の全米1位曲。「 恋よ、さようなら 」は1968年のミュージカル『 Promises, Promises 』の挿入歌ですが米国でヒットしたのはディオンヌのカヴァーでしたので、旬の曲ばかりをチョイスした感じでしょうか…。

アルバム中の白眉はA5.「 イエスタデイ 」。ピアノ協奏曲のようなイントロで始まります。1コーラス目はわりと普通にイエスタデイしてるんですが、2コーラス目のサビからからいきなり高速ラテンモードに突入! …と思ったら劇的なクライマックスを迎え、その後はしっとり陰影あるエンディング。まるで一遍のロマンス映画(ひょんなことから知り合い障害を乗り越え結ばれたが引き裂かれてしまう悲恋物語)を観たような壮大なアレンジに唸りました。

このアルバムは掘り出し物ですねー。YouTubeにフルアルバムがUPされてますが、是非CDリイシューして欲しいものです。

ここからはオマケ。キャバレロのバカラック・カヴァーを更にご紹介(MP3すら所有しておらずあくまでYouTubeを聴いての感想です
😅)。
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キャバレロは1965年リリースのアルバム『 The Magic Music Of Hollywood 』で「 WIVES AND LOVERS 」(2:06)をカヴァー。キャバレロのピアノ+ドラムス+ギターという変則ピアノトリオ編成。ドラムスは単調に刻むだけだしギターもバッキングだけなので注目はピアノなんですが、多少アドリヴはあるものの単調な演奏でう〜んという感じ、残念!
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また、1968年リリースのアルバム『 Carmen Cavallaro Plays The Hits 』では「 ALFIE 」(2:53)をピアノトリオ編成でカヴァー。ドラムスとベースはサポートに徹しています。キャバレロは華麗なアドリヴを交えて情感込めてピアノを弾いてますが、まぁ無難な演奏といったところかと。


【データ】

『 Plays The 3B's (The Beatles, Bacharach & Bach)
The Carmen Cavallaro Camp

LP:1970年リリース
レーベル:GWP Records (US)
番号:ST 2011

Produced by Andy Wiswell
Arranged by Jim Tyler
Recorded at Pye Studios, London, England

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

 

2024年2月 8日 (木)

バカラックさん初のTV特番『 The Bacharach Sound 』(1965年)

1965年4月14日に英国で放送されたバカラックさん初のTV特番をご紹介!

バカラックさんがお亡くなりになって今日で1年…


バカラック自伝(110〜111ページ)にも載ってた英グラナダTVの『 The Bacharach Sound 』が3ヶ月ほど前(2023年10月17日)YouTubeにアップされてました。公式とかじゃないのでちょっと後ろめたいですが、バカラックさん初のTV特番を視聴してありし日を偲びましょう。


動画は約38分間。

0:04  Introduction - Clips of Bacharach driving a car in London
4:07  「 24 HOURS FROM TULSA 」(Bacharach) - Bacharach Talks

5:54  「 ANYONE WHO HAD A HEART 」(Dionne Warwick) - Bacharach Talks
9:17  「 MAGIC POTION 」(The Searchers) - Bacharach Talks with Hal David
12:54  「 TRAINS AND BOATS AND PLANES 」(Bacharach) - Bacharach Talks
16:09  「 I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF 」(Dusty Springfield)
19:16  Intermission
20:09  「 WIVES AND LOVERS 」(Dionne Warwick) - Bacharach Talks
23:47  「 ANY DAY NOW 」(Chuck Jackson) - Bacharach Talks
27:22  「 WISHIN' AND HOPIN' 」(The Merseybeats & Dusty Springfield) - Bacharach Talks
30:35  「 (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME 」(Bacharach) - Bacharach Talks
33:52  「 WALK ON BY 」(Dionne Warwick)
36:46  Outroduction

当時バカラックさんは36歳、若々しいですねー。放送の翌月(5月)にはKAPPからバカラックさん初のアルバム『 HIT MAKER! 』をリリース…というタイミング。アルバムからの先行シングルとして英国でリリースされた「 TRAINS AND BOATS AND PLANES(汽車と船と飛行機と)」も披露してますし(この曲は全英チャートで4位まで上昇します)、良いプロモーションになったことでしょう。

…にしても、バカラックさんの運転映像長すぎませんかぁ? アイドルじゃないんだしー。それに、当時はそれが当たり前だったとはいえ全曲映像に音源をかぶせてるのもねぇ…。「 WISHIN' AND HOPIN' 」でキーの違うマージービーツとダスティを編集で無理やり繋げてるトコなんて強引すぎ! な〜んてぶつくさ言ってたら天国のバカラックさんヘソ曲げそうなのでこの辺でやめときまーす💦。


2024年2月 4日 (日)

Rarin'/Something Big (2013年)

米国のバンド、Something Big が2013年にリリースした5曲入りEP。バカラックのレアな曲ばかりをカヴァー! (デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. AFTER THE FOX (2:23)  FM
2. IT DOESN'T MATTER ANYMORE (2:50)  F
3. COME AND GET ME (3:25)  F
4. SOMETHING BIG (3:29)  FM
5. LIVE AGAIN (3:01)  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記


収録時間約15分


米国のバンド、Something Big が2013年にリリースした5曲入りEP。バカラックのレアな曲ばかりをカヴァー!

─ Something Big, interpreters of great pop jazz. Constantly curating our collection to reflect our style. Listen, enjoy tunes Chamber Pop style Bacharach, Beatles, Cole Porter, Tears for Fears, Dusty Springfield, Rolling Stones, Carole King.
サムシング・ビッグ、偉大なポップ ジャズの解釈者。 私たちのスタイルを反映するためにコレクションを常に厳選しています。 チェンバー・ポップ・スタイルのバカラック、ビートルズ、コール・ポーター、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ダスティ・スプリングフィールド、ローリング・ストーンズ、キャロル・キングなどの曲を聴いて楽しみましょう。  ─ (Facebook の Something Big ページの自己紹介より 原文ママ+Google翻訳)

更に詳しい自己紹介がバンド公式サイトにありました。

─ From San Francisco's avenues by ocean beach Eva Jay Fortune first hatched Something Big. Kevin Bertness often jammed with Eva Jay and in 1997 began meeting regularly to play the music of Burt Bacharach & Hal David. Kevin played piano and soon they brought in bass player Steve Fowler. Until 1999 Nicky Garratt, dispite living only a couple of blocks away, had not met Eva Jay. Nicky, a long time champion of the Music of Bacharach and David, then joined the sessions. Now dubbed "Something Big" after a late uplifting yet rather rare Bacharach/David song, the group played their first show at a party on 23rd of September 1999.The set expanded over the years to include songs they simply liked. Now jazz standards, pop, Beatles and even Kraut rock have been brought into the Something Big sound.
サンフランシスコのオーシャンビーチ沿いの大通りから、エヴァ・ジェイ・フォーチュンは初めてサムシング・ビッグを孵化させました。 ケビン・バートネスはエヴァ・ジェイと頻繁にジャムセッションをしており、1997年にはバート・バカラックとハル・デイヴィッドの音楽を演奏するために定期的に集まり始めました。 ケビンはピアノを演奏し、すぐにベーシストのスティーブ・ファウラーを迎え入れました。 ニッキー・ガラットは、ほんの数ブロック離れたところに住んでいたにもかかわらず、1999年までエヴァ・ジェイに会ったことはありませんでした。 その後、ミュージック・オブ・バカラックとデヴィッドの長年のチャンピオンであるニッキーがセッションに参加しました。 後期の高揚感のある、しかしかなり珍しいバカラック/デヴィッドの曲にちなんで「サムシング・ビッグ」と呼ばれるようになったこのグループは、1999年9月23日にパーティーで初めてショーを行いました。セットは長年にわたって拡張され、単に彼らが気に入った曲も含まれるようになりました。 現在では、ジャズ・スタンダード、ポップス、ビートルズ、さらにはクラウト・ロックさえもサムシング・ビッグ・サウンドに取り入れられています。  ─ (Something Big 公式サイトより 原文ママ+Google翻訳)

バンド名の由来はやっぱりバカラック曲だったんだっ❗️

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左の写真は Something Big の公式サイトからパクったもので2011年8月撮影。左から Steve Fowler (Bass), Eva Jay Fortune (Vo.), Bruce Greenstein (Perc.), Kevin Bertness (Piano), Nicky Garratt (Guitar) の面々で、本作アートワークに書かれている5名の皆さんです。
一方、右の写真は Facebook Something Big ページの2023年2月10日投稿より(ただし写真自体は2021年頃撮影されたもの)。ケビンはギターも弾くんですね。今はこの3名で活動しているようです。

んで、その2023年2月10日投稿をスクショしたのがこちら ↓ 。亡くなったバカラックさんへの思い&感謝がひしひしと伝わってきます。
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前置きが長くなりました💦。本題に入ります。収録曲の5曲はいずれもレア曲ですので、1曲ずつオリジナルにも触れながら紹介していきます。

T-1.「 アフター・ザ・フォックス 」は1966年の🇬🇧🇮🇹映画『 After The Fox(紳士泥棒/大ゴールデン作戦)』の主題歌。英国のロック・バンド、ザ・ホリーズが歌い、ゲスト・ヴォーカルとして映画主演のフォックス自身(ビーター・セラーズ)をフィーチャーしていました。それをほぼ完コピ❗️ テンポ(♩≒120)、キーも同じです。メインヴォーカルはエヴァ・ジェイ・フォーチュンが男性っぽい声色で歌い、ゲスト・ヴォーカル役はスティーヴ・ファウラーが務めています。公式サイトによればスティーヴはこれがヴォーカル・デビューだったとか👏。

T-2.「 気にしないさ 」は1966年の🇺🇸
TVミュージカル『 ON THE FLIP SIDE(オン・ザ・フリップ・サイド)』でリック・ネルソンが歌ったのがオリジナル。本作は、そのオリジナルよりも1967年に The Cyrkle がカヴァーしたロック寄りのテイストに近いです。が、アンプラグドなウッドベースやコンガの響きだったり最初の1コーラス6小節までのスローテンポ(♩≒65)から倍速(♩≒130)になる展開にはハッとさせられます。

T-3.「 カム・アンド・ゲット・ミー 」は1966年4月にジャッキー・デシャノンがリリースしたシングルがオリジナル(こちらでちょろっとご紹介)。この曲をチョイスするなんてシブいなぁ。ジャッキー版とキーは同じですがテンポはジャッキー(♩≒98)より速い♩≒110。高低差が大きく難しいメロディをアンプラグドな演奏をバックにエヴァ・ジェイはエネルギッシュに歌っています。

T-4.「 サムシング・ビッグ 」は1971年の🇺🇸映画『 Something Big(テキサス大強盗団)』の主題歌で、歌ってたのはマーク・リンゼイ(こちらでちょろっとご紹介)。本作のバンド名の由来でもあります。この曲のカヴァーはマーク・リンゼイ版かバカラックのセルフ・カヴァー版、どちらかのイントロをコピーするケースが大半ですが、このカヴァーのイントロ30秒間はフリージャズのようにいろんな楽器が好き勝手に音を鳴らすというもの。いやー、流石はバンド名にしただけのことはあって独自のアイディアをぶつけてきます。本編はマーク・リンゼイ版(♩≒166)やバカラック版(♩≒164)よりやや遅い♩≒154で、アコースティックな響きもあって落ち着いた印象を受けます。私的にはレコメンド。

T-5.「 リヴ・アゲイン 」は🇺🇸ソウル・シンガーのアーマ・トーマスがオリジナル。1965年にレコーディングしたものの当時はリリースされず1992年に初めて世に出ました(こちらでちょろっとご紹介)。オリジナルとほぼ同じテンポ&キーでアーマ・トーマスに負けず劣らずエヴァ・ジェイがパワフルに歌っています。

なお、YouTube に本作が自動生成されていましたのでリンクを貼ってきます(こちら)。また、2006年頃の「 カム・アンド・ゲット・ミー 」ライヴ動画がYoutubeに上がってましたので併せてリンクを貼っておきます(こちら)。本作はEPですが、ミニアルバム相当として “カヴァーアルバム” カテゴリに分類しました。

ここからはオマケ。MP3で所有している「 SOMETHING BIG 」(バンドじゃなくて曲の方)のカヴァーをご紹介!
バカラックのセルフカヴァー(『 LIVING TOGETHER 』収録)、ジム・オルーク(『 Eureka 』収録)、ローナン・キーティング(『 WHEN RONAN MET BURT 』収録)は拙ブログで収録アルバムを紹介してますので省略します。
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🇨🇦の The Johnny Burt Society が1972年にリリースしたアルバム『 Come Summer 』で「 SOMETHING BIG 」(2:03)をカヴァー。このアルバムはカナダ産ソフトロックの最高峰なんだそう。男女コーラスがなんとも爽やかだこと。対照的にブラスのオカズは派手ですけど。
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🇫🇮フィンランドの女性シンガー、Katri Helena が1972年にリリースしたアルバム『 Lauluja Meille Kaikille 』で「 SOMETHING BIG 」(2:30)をカヴァー。フィンランド語詞で歌っていて曲名は「 Jotain Suurta Tapahtuu 」。彼女は1945年生まれでこの時27歳。ヴィブラートが効いて大人っぽいのに可愛らしい、そんな歌唱です。
ここまでの2曲、イントロはいずれもマーク・リンゼイ版。ってゆーか、バカラックがセルフ・カヴァーするのは1973年なのでまだマーク・リンゼイ版しか存在しなかったワケです。
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🇮🇸アイスランドの男性歌手/ソングライター/DJ、Páll Óskar が Páll Óskar & Casino 名義で1998年にリリースしたアルバム『 Stereo 』で「 SOMETHING BIG 」(3:23)をカヴァー。イントロはバカラック版。全体的にもバカラック版のほぼコピーでしょうか。
このアルバムでは他にもバカラック・カヴァーを収録。「 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道)」(2:20)、「 KNOWING WHEN TO LEAVE(去りし時を知って)」(2:39)、「 I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)」(3:16) の3曲なんですが、バックの演奏がチープでイマイチかなー。

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🇺🇸ニューヨークのテナー・サックス奏者、Charles Owens が Charles Owens Quartet 名義で2022年にリリースしたアルバム『 Golden Moments 』で「 SOMETHING BIG 」(6:14)をカヴァー。イントロはバカラック版ですが、冒頭のサックスからピアノやベースに拡大して約50秒間にも及ぶ壮大なイントロを展開。コンテンポラリージャズのフィーリング溢れる独創的なイントロです。バカラック版の♩≒160より若干ゆったりした♩≒150のテンポ感がまた絶妙で、サックスやピアノのグルーヴィーなアドリヴも聴いてて気持ちいいっす。レコメンドですね👍。ちなみに、途中でベースとピアノのアドリヴが入る「 SOMETHING BIG (Extended Version) 」(9:19)もイイですよー。
なお、彼は1972年生まれ。米国には1939年生まれの同姓同名ジャズ・サックス奏者がいます。混同しませんように。

ご紹介したオマケは全てYouTubeで聴くことができます
✌️


【データ】
『 Rarin' 』
Something Big


MP3:2013年2月12日リリース
レーベル:CHAMBER POP RECORDS (US)
番号:-

Producer - unknown

Arrangement - unknown
Musicians
  Eva Jay Fortune - Vocals
  Kevin Bertness - Piano
  Bruce Greenstein - Percussion
  Nicky Garratt - Guitar
  Steve Fowler - Bass

Amazonリンク


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カテゴリー

  • カヴァーアルバム
    ★バカラック・カヴァー曲が主体でBacharach をアルバムのタイトルやサブタイトルに入れているアルバム ★収録曲のうち半分以上がバカラック・カヴァーのアルバム ★複数アーティストによって新たにカヴァーしたアルバム ★複数アーティストによるトリビュートコンサートのライブアルバム
  • コンピレーションアルバム
    ★複数アーティストのバカラック作品を集めたいわゆる編集盤
  • シングル
    ★シングル
  • ディオンヌ・ワーウィックのアルバム
    ★新作主体/カヴァーアルバム/コンピ集を問わず、ディオンヌ名義のアルバム
  • バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
    ★バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
  • バカラック関連ネタ
    ★バカラック作品は入っていないがバカラックと何らかの関連があるアルバム ★アルバムやシングル以外のこと。本、コンサート、ライヴ、TV、Radio、告知、独り言、イベントなどなど
  • バート・バカラックのアルバム
    ★メインのアーティストがバカラックとなっているもの ★バカラックが音楽を担当した映画等のオリジナル・サウンドトラック ★ ○○ with Bacharach のようなアルバムは含めない
  • 新作主体のアルバム
    ★『 バート・バカラックのアルバム 』と『 ディオンヌ・ワーウィックのアルバム 』以外で、バカラックが新作を多数(およそ半数以上)提供したアルバム

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