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2024年5月の4件の記事

2024年5月26日 (日)

Digits/David Benoit (1983年)

米ジャズ・フュージョンピアニスト、デヴィッド・ベノワが1983年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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Original LP front cover/back cover
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所有リイシューCDのジャケット表/ケース裏

全8トラック中、バカラック作品は1トラック

4. ARTHUR'S THEME (4:07)


米ジャズ・フュージョンピアニスト、デヴィッド・ベノワが1983年にリリースしたアルバムです。

デヴィッド・ベノワは1953年8月18日米国カリフォルニア州ベイカーズフィールド生まれ。18歳からミュージシャンとして始動。契約したAVIレコードから1977年にアルバム『 Heavier Than Yesterday 』でデビューし、以降アルバムを定期的にリリース。1987年にGRPに移籍、アルバム『 Freedom at Midnight 』を発表するとタイトル曲が大ヒット。それ以来、L.A.(西海岸)スタイル・フュージョンを代表するピアニストとして活躍しているお方だそう。私はお名前しか知らなかったのですが😅。

本作はAVIでの4枚目のアルバム。全8曲はT-6.を除いてインスト・ナンバー。曲によってテイストが違っていて、アルバム全体の印象は "AORチックなフュージョン"。'80年代前半の空気感も漂ってますねー。ドライブ中のBGMにいいんじゃないでしょうか。ただ、バカラック・カヴァー(T-4.)も含めて曲目リストには楽曲の作者情報が全く載ってなくて…。誰の曲なのかさっぱりわからん💦。
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そのくせ、ミュージシャンや楽器は各曲ちゃんとクレジットされています。演奏メンバーや編成は様々で、ピアノソロ(T-8)、4人(T-2,4,7)、5人(T-3)、6人+ホーン(T-1)、4人+オケ(T-5)、6人+オケ+男性ヴォーカル(T-6)という具合。デヴィッド・ベノワは、Fender Rhodes/Synthesizer/Pianoを弾き分けています。

んで、バカラック・カヴァーはT-4.「 ARTHUR'S THEME(ニューヨーク・シティ・セレナーデ)」。キーはクリストファー・クロスが歌うオリジナルと同じくAメロがAmで、サビがA。イントロ〜1コーラス目のサビ手前まではピアノソロでとてもリリカル。サビからベース&ドラムスが、2コーラス目からはシンセとラテン系パーカッションも加わります。主メロは基本ピアノで、オリジナルではサックスが吹く中間部8小節のアドリヴもピアノ。軽く崩して弾くメロディは都会的な香りがしますね。このあとサビをリピートしてフェードアウトするのかと思ったら、Emに転調してAメロを4小節 → 更にキーが半音下がってAメロを4小節 → その後に
イントロを4小節再現して終止形で終わる… とゆー他のカヴァーではみられないアレンジに胸がキュンとなりました。この展開はレコメンドです。曲全体としては聴き心地がよいフュージョン(今でいうスムーズジャズ)ってところでしょうか。

ここからはオマケ。私がMP3で所有している楽曲のうち、デヴィッド・ベノワと同時期にジャズ系ミュージシャンがカヴァーしたインスト物の「 ARTHUR'S THEME 」をご紹介!(イージーリスニング系のインスト物は1982年を中心に結構
リリースされていますが、ここでは対象外といたします。また、Super Guitar Duo(1983年)などジャズ系インストカヴァーは他にもありますがMP3データ無く対象外です。)
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デヴィッド・ベノワより前に、スウェーデンのジャズ・ギタリスト、Rune Gustafsson(ルネ・グスタフソン)が1982年のアルバム『 La Musique 』で「 ARTHUR'S THEME 」(3:15)をカヴァーしています。ナイロン弦のギター、ベース、ヴィブラフォンというユニークなトリオ編成。ギター、ヴィブラフォンがそれぞれ軽快なアドリヴを披露し、ベースもよく動きます。フュージョンではなくジャズの範疇だと思いますが、聴き心地良く好印象です。
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実は、それ以前にも米国のプロデューサー/編曲家/指揮者/ピアニストのAl De Lory(アル・デロリー)が1980年のアルバム『 Somebody's Knockin' 』で「 ARTHUR'S THEME 」(3:59)をカヴァー。ピアノをメインとしたバンド形式。おとなしいフュージョンというか、イージーリスニングとの境界スレスレで紹介するの躊躇しましたが、ジャケットで情けないポーズをしてるアル・デロリーに免じて紹介した次第😅。DiscogsやWikiには1980年リリースとなっていて、あれっ? オリジナルのクリストファー・クロスが1981年夏にリリースした曲を1980年にカヴァーできる訳ないやん🤔…とツッコミを入れつつ。


【データ】
『 Digits 』
David Benoit

LP:1983年リリース (所有CDは、1990年リイシューのUS盤)
レーベル:AVI Records (US) (所有CDは、Bluemoon (US))
番号:AVI-6183 (所有CDは、R2 79159)

Produced by Laurin Rinder and W. Michael Lewis
Synthesizer Programming - W. Michael Lewis
T-4.「 ARTHUR'S THEME 」
  David Benoit: Piano, Synthesizer
  Bobbye Hall: Percussion
  Wade Short: Bass
  Gary Ferguson: Drums

(R)1983 AVI Record Productions ©️1990 Mesa/Bluemoon Rcordings, Ltd.
Marketed by Mesa/Bluemoon Rcordings, Ltd.
Licensed and Distributed by Rhino Records, Inc.

AmazonリンクリイシューCD

2024年5月19日 (日)

I'll Never Fall In Love Again/Bob Dorough (1970年)

ボブ・ドローがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンものインスト・レコードです。バカラック作品を4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (3:20)
A2. THE LOOK OF LOVE (2:50)
B1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (3:30)
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (2:50)


ボブ・ドローがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンもののインスト・レコードです。

先月Discogsで入手したのですが、私はボブ・ドローを全く知らなくて…。CDジャーナルさんのサイトから以下引用させていただきます🙇。

─ 1923年12月12日アーカンソー州チェリーヒル生まれ。ヴォーカリスト、ピアニスト。ノーステキサス州のカレッジで作曲とピアノを学び、1954年から1年ほどシュガー・レイ・ロビンソンの伴奏・編曲者となりカナダやフランスに楽旅した。ニューヨークでは自己のトリオを結成し注目され多くのコンボと共演も。マイルス・デイヴィス『ソーサラー』への参加でも知られる。1956年、『デヴィル・メイ・ケア』でアルバム・デビュー。1973~85年には米の国民的子供番組『スクールハウス・ロック』で音楽を担当、「スリー・イズ・ア・マジック・ナンバー」で一世を風靡した。2013年6月、89歳にして初来日公演が決定。  ─ (CDジャーナルさんの公式サイトより、2013年5月)

その後2015年にも来日して元気な姿を見せるも、2018年4月帰らぬ人に…
。享年94歳はバカラックさんと同じですね、合掌。

本アルバムのレーベル:Music Minus One(略してMMO)は、教育目的のためにソリストパートなしで録音したレコード等(ピアノなしのピアノ協奏曲など)が付属する楽譜を制作する会社。1950年に設立されNYに本拠を置いてました。リリースしたアルバムはDiscogsに載ってるだけでも600タイトル以上。多くの録音で、有名&腕っこきのミュージシャンを起用したそうです。


ボブ・ドローは、MMOから少なくとも8タイトルをリリース(Discogsによる:あるでお調べ)。レコード番号順に『 The Medieval Jazz Quartet Plus Three 』[CE 1050]、『 The Music of Nacio Brown 』[MMO 1017]、『 The Harry Warren Songbook 』[MMO 1019]、『 Swing Or Sing Along 』[MMO 1021]、『 The Gershwin-Porter Songbook 』[MMO 1023]、『 本アルバム 』[MMO 1069]、『 A Taste Of Honey 』[MMO 1070]、『 Watch What Happens! 』[MMO 1075]、とまぁこんな具合。

んで、本アルバム。Hi-Fiレコード・ストアさんの公式サイトに載っていた紹介コメントを引用させて頂きます(Hi-Fiさんの紹介コメントが購入する引き金になったものですから…)。

─ ボブ・ドロウが手ほどきする歌のないバカラック。 ボブ・ドロウがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンものインスト・レコード(歌の教則用レコード)。レパートリーはバカラック・ナンバーを始め、60年代ソフトロックの名曲ばかり。エレピ中心で、コンガやソフトなブラスを効かせたアレンジがさすが。スチュワート・シャーフ、ビル・グッドウィンらが参加。歌メロディがないことで、逆にコード展開などがつかみやすく感じられます。もちろん、あわせて歌ったってよいでしょう! ジャケもいい! 譜面ブックレットなし。   ─ (Hi-Fiレコード・ストアさんの公式サイトより。原文ママで。ただし、今現在は在庫が無いようで表示されません…。)

ジャケもいい! …私も同感ですが、ボブ・ドローは裏ジャケ写真の人物で表ジャケの方は別人ですよね。一体誰なん?

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 ↑ は裏ジャケの曲目リストを拡大したもの。普通のレコードには記載が無い Key と Tempo が新鮮です 。

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演奏しているのは弦楽器入り小規模ビッグバンドといった感じ。ピッチ合わせのためか、A面/B面とも最外周にA=440Hz(ラの音)のテストトーンが入っているのが面白いです。メロディは殆どありません(うっすら流れる箇所もありますが)。でも、所謂カラオケとはちょっと違います。カラオケの演奏は通常原曲を完コピしているのに対し、本作では独自のアレンジを施しているんですねー。

全10曲中4曲あるバカラック作品について簡単に触れます。A1.「 恋よさようなら 」は、全編でコンガをフィーチャーしたラテン調の軽いアレンジ。A2.「 恋の面影 」は、他では聴いたことが無いEベースの16分音符のリフが斬新で、サビでのストリングスのオブリガートも印象的。B1.「 雨にぬれても 」は、可愛らしいアレンジでフルートのオブリガートが心地良い。B4.「 遥かなる影 」が4曲の中では最も意表をつくアレンジ。ブラスによるムード歌謡っぽい9小節のイントロ、全編に流れるアコギとエレピによる8ビートの刻み(そう、シャッフルのリズムじゃないんです!)。一方でカーペンターズ版にあるサビ後の5連符はありません。テンポこそカーペンターズ版とほぼ同じですが、全米1位になったばかりの大ヒット曲をけっこういじってるなぁ…と。

ボブ・ドローによる裏ジャケの各曲解説は、アレンジの説明&歌う方へのアドバイス。一例としてB4.「 遥かなる影 」の解説を載せますね。 

─ 4.「 遥かなる影 」…イントロは長いですが、非常に明快です。 2つのスタッカートの和音は、"Why do"というワード(あるでお注:歌い出しの歌詞)を導くためのクリーンな間です。ワンコーラスの後、繰り返してフェードアウトします。冒険好きな人は、ただ1つのセリフを何度も歌うのではなく、繰り返し中に新しいセリフやワードを創作してもよいでしょう。  ─ (ボブ・ドローによる解説文。拙意訳で)

アレンジに光るところは多々見られるものの、やはり主メロが聴こえないのは(カラオケ🎤するなら別ですが)ツマンナイ。わざわざ買うほどじゃないか…というのが率直な感想。Hi-Fiレコード・ストアさんには申し訳ないですが…。

さて、ここからは参考情報です。
私は所有していないのですがMMOシリーズにはバカラック集が5タイトルもあります。
『 Bacharach Revisited - 10 Backgrounds For Male Singers 』[MMO 1056]、『 Bacharach For The Ladies 』[MMO 1057]、『 Bacharach Revisited: Bacharach For Instrumentalists 』[MMO 1058]、『 Bacharach For Pianists (Music Minus One Piano) 』[MMO 1059]、『 Bacharach Organized (Music Minus One ORGAN) 』[MMO 1060]

これら5タイトルは全て1969年のリリース。収録曲(全10曲、曲目&曲順も)に加えて、Orchestra Arranged & Conducted by Jack Six、Personnelなど裏ジャケットの記載が全く同じなので音源も同一と思われます。以前から存在は知っていたのですが、どうせカラオケ音源だろうと高を括って無視してきました。本アルバムが単なるカラオケ音源じゃないとわかった今、どうしたものかと思案中…。


【データ】
『 I'll Never Fall In Love Again 』
Orchestra arranged and conducted by Bob Dorough
Music Minus One Singer or Instrumentalist

LP:1970年リリース
レーベル:Music Minus One (US)
番号:1069

Producer: Bob Dorough
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Recorded at Lincoln Sound Center
Complete Music and Lyrics for C, Bb, Eb and Bass Clef Instruments Included. … 入手した中古レコードに楽譜は入ってませんでした。まぁ仕方ないですねー、そもそも楽譜がメインでレコードはオマケですから。

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年5月12日 (日)

バカラック・ベスト~バート・バカラック・ソングブック/V.A. (2012年)

バカラック5度目の来日公演を記念して2012年にユニバーサルからリリースされた、日本編集のCD2枚組バカラック・コンピ集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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Disc 1
1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Jack Jones 〜  M
2. DON'T MAKE ME OVER  〜 Patti LaBelle 〜  F
3. WALK ON BY  〜 Smokey Robinson & The Miracles 〜  M
4. THIS G'S IN LOVE WITH YOU  〜 Frankie Valli 〜  M
5. I SAY A LITTLE PRAYER  〜 Martha Reeves & The Vandellas 〜  F
6. WISHIN' AND HOPIN'  〜 The Merseybeats 〜  M
7. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  〜 Julius Wechter & The Baja Marimba Band 〜  M
8. ONE LESS BELL TO ANSWER  〜 McCoy Tyner 〜
9. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Jimmie Rodgers 〜
10. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE  〜 Bossa Rio 〜  FM
11. ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Dusty Springfield 〜  F
12. MAGIC MOMENTS  〜 Ronnie Aldrich 〜
13. THE STORY OF MY LIFE  〜 Connie Francis 〜  F
14. TOWER OF STRENGTH  〜 Frankie Vaughan 〜  M
15. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU  〜 Richard Chamberlain 〜  M
16. FOR THE CHILDREN  〜 Burt Bacharach 〜  M
17. FALLING OUT OF LOVE  〜 Burt Bacharach 〜  F
18. WHO'LL SPEAK FOR LOVE  〜 Burt Bacharach 〜  F
19. THE LOOK OF LOVE  〜 Chris Montez 〜  F
20. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)  〜 Michael Ball 〜  M
21. Hallo, Pussycat (WHAT'S NEW PUSSYCAT?)  〜 Gus Backus 〜  M

Disc 2
1. THE APRIL FOOLS  〜 Vanessa Williams 〜  F
2. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  〜 The Dells 〜  M
3. WIVES AND LOVERS  〜 Rita Reys 〜  F
4. ALFIE  〜 Dee Dee Warwick 〜  F
5. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Julie Rogers 〜  F
6. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  〜 Paul Mauriat 〜
7. ANY DAY NOW  〜 Bill Medley 〜  M
8. US  〜 Tom Jones 〜  M
9. HE WHO LOVES  〜 Lenny Welch 〜  M
10. WAITING FOR CHARLIE (TO COME HOME)  〜 Marlena Shaw 〜  F
11. PROMISE HER ANYTHING  〜 Tom Jones 〜  M
12. WHO'S GOT THE ACTION?  〜 Phil Colbert 〜  M
13. SAY GOODBYE  〜 Pat Boone 〜  M
14. ROME WILL NEVER LEAVE YOU  〜 Richard Chamberlain 〜  M
15. BLUE GUITAR  〜 Richard Chamberlain 〜  M
16. THAT'S THE WAY I'LL COME TO YOU  〜 Jack Jones 〜  M
17. DREAMIN' ALL THE TIME  〜 Jack Jones 〜  M
18. FORGIVE ME  〜 Babs Tino 〜  F
19. PICK UP THE PIECES  〜 Jack Jones 〜  M
20. TEN THOUSAND YEARS AGO  〜 Rusty Draper 〜  M
21. WITH OPEN ARMS  〜 Jane Morgan 〜  F
22. PARADISE ISLAND  〜 The Four Aces 〜  M
23. LOVING IS A WAY OF LIVING  〜 Steve Lawrence 〜  M
24. HOT SPELL  〜 Margaret Whiting 〜  F
25. THESE DESPERATE HOURS  〜 Mel Tormé 〜  M
26. KEEP ME IN MIND  〜 Patti Page 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記

収録時間(Disc1/2)約75分/約75分


❗️バカラックさん生誕96年🎊 今日(5月12日)はバカラックさんの誕生日ということで、お祝いムードが何処となく感じられるアルバムを取り上げます。5度目の来日公演を記念して2012年にユニバーサルからリリースされた、日本編集のCD2枚組バカラック・コンピ集です!

─ ユニバーサル ミュージックの著名なアーティスト陣によるバカラック・カヴァーで2008来日公演を再現! スペシャル・トラックとしてバカラック本人演奏の最新曲「 FOR THE CHILDREN 」収録!! さらに、知られざるレアなユニバーサル オリジナル音源を集大成!!! ─ (CDの帯より)

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裏ジャケやCDの帯を見て何かデジャヴ(既視感)を感じませんか?
本コンピ集の英題は The Universal Sound Of Burt Bacharach Vol.2 。そうです、本作は2008年リリースのバカラック・コンピ集『 バカラック・ベスト〜生誕80年記念スペシャル(英題:The Universal Sound Of Burt Bacharach)』の第2弾でございます。デザインそっくりですもんね🤗。

…てことは、選曲&監修は日本におけるバカラック研究の第一人者である坂口修さん。なかなか他のコンピ集では見られないバージョンを丁寧に選んでコンパイルしとられます。坂口さん自身による解説はもとより、歌詞と対訳が載ってるのも嬉しいですね(Disc2-9 と Disc2-13 の2曲を除く)。


─ 彼のソロとオリジナル・アーティストによるヒット曲を1971年初来日公演の曲順で並べ、小倉智昭氏がCX「とくダネ!」で紹介して下さり好評だった前作(あるでお注:前述した2008年リリースのバカラック・コンピ集)に引き続き、今回は著名なユニバーサル アーティスト陣の華麗なるカヴァー・ヴァージョンで前回2008年のステージをダイジェスト的に再現してみた。 さらにボーナスとして、知らざれるBacharachのレアなユニバーサル オリジナル音源を集大成。 豊富な音源を誇るユニバーサル ミュージックだからこそ実現したBurt Bacharach究極の作品集Part 2である。  ─ (解説より、坂口修氏)

収録全47曲の構成は以下の通りです。
Disc 1  1〜21. A Tribute to Burt Bacharach Japan Tour 2008 [Part 1]

Disc 2  1〜7.   A Tribute to Burt Bacharach Japan Tour 2008 [Part 2]
           8〜26. Rare Tracks

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─ 本CDの目玉は、なんと言ってもBurt Bacharachの最新曲「 FOR THE CHILDREN 」を収録できたこと。日本公演直前の2008年1月31日にシドニー・オペラハウスで行われたオーストラリア公演で録音された物だが、「 FALLING OUT OF LOVE 」と「 WHO'LL SPEAK FOR LOVE 」の3曲はアルバム『 Live At The ydney Opera House 』(UCCV-1119)には収録されていない。オーストラリア&ニュージーランドのみでリリースされた2枚組デラックス・エディションでやっと日の目を見たが、そこに収録された「 FOR THE CHILDREN 」は3分21秒に編集されたショート・ヴァージョンだった。10分56秒にも及ぶフル・サイズを堪能できるのはこれしかない!  ─ と坂口さんも興奮気味に解説しとられます。

その2枚組デラックス・エディションですが、拙ブログの紹介記事でも書いたように ─  「 FOR THE CHILDREN 」は、<CD2> のT-11.「 ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム  」の後半 ~ T-12.に跨って収録されています。CD編集時にチャプターマークをつけ間違えたようです。惜しいです。まぁ、続けて聴く分には支障ないですけれど。  ─ でして、編集したショート・ヴァージョンではありません。そのことだけ申し添えておきます。

あと、フランキー・ヴァリのDisc 1-4.「 ディス・ガイ 」マッコイ・タイナーのDisc 1-8.「 悲しみは鐘の音とともに 」マイケル・ボールのDisc 1-20.「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」は、それぞれ収録アルバムの拙ブログ紹介記事にリンクしておきます。


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Disc 2 の8トラック目からのRare Tracksは、Disc 2-10.を除いて全てオリジナル・アーティスト。曲順が進むごとに時代が遡るっていうところにも坂口さんの拘りを感じます。

ヴァネッサ・ウィリアムスのDisc 2-1.「 エイプリル・フール 」ザ・デルズのDisc 2-2.「 雨にぬれても 」リタ・ライスのDisc 2-3.「 素晴らしき恋人たち 」は、それぞれ収録シングル/アルバムの拙ブログ紹介記事にリンクしておきます。

当初本コンピ集は2012年9月の来日公演に合わせてリリースする予定が、諸事情により発売が大幅に遅れてしまたそうです。そこで追記として『 Billboard Live news 』2012年11月号に掲載したLive Reportを2ページ強にわたって再録くださっています。引用は差し控えますが、バカラックファンに寄り添う坂口さんには本当に感謝の念しかありません。こんなに手の込んだ本コンピ集が税抜き価格¥3,048だなんて、安すぎる! 坂口さんありがとうございますです。


【データ】
『 バカラック・ベスト~バート・バカラック・ソングブック 』(英題:The Universal Sound Of Burt Bacharach Vol.2)
V.A.

CD:2012年12月26日リリース
レーベル:USM JAPAN (JP)/Universal Music (JP)
番号:UICZ-1454~5

This Compilation (P)&©️ 2012 USM JAPAN, a division of UNIVERSAL MUSIC LLC
Marketed & Distributed UNIVERSAL MUSIC LLC
Supervised & Compiled by Osamu Sakaguchi 坂口 修 (O.S.T. INC.)
ライナーノーツ:坂口 修
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Amazonリンク



2024年5月 5日 (日)

Papier Mâché/Pilar Tomas (1970年)

フランスの女性歌手、ピラール・トーマスが1970年にリリースしたシングルです。A面でバカラックの「 ペイパー・マシェ 」をカヴァー!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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しっかりした紙製ジャケットの表/裏

A. Papier Mâché (PAPER MACHE) (2:52)
B. La Golondrina (3:07)


フランスの女性歌手、ピラール・トーマスが1970年にリリースしたシングルです。
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ピラール・トーマスについては前回記事『 Pilar Tomas 』(1969年)をご覧ください。…と言っても、詳しい情報ではありませんが…😅。

彼女がカヴァーしたバカラック曲はA面の「 Papier Mâché 」。オリジナルはディオンヌ・ワーウィックの「 PAPER MACHE(ペイパー・マシェ)」で、1970年の4月リリースのアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』に収録、同年7月にシングルカット(全米43位)されました。ピラール・トーマスはこの曲をフランス語詞で歌っています。

paper mache を英和辞典で引いてみたのですが、見出し語にズバリそのものは載っておらず…

papier-mâché n. [U] 混凝紙[張り子細工用]; 張り子   ─adj. 1 混凝紙で作った 2 模造の; 欺まん的な [<F  chewed paper  <paiper paper +mâché chewed] (出典:旺文社英和中辞典©️1975、発音記号は省略)

語感から薄々感じてはいましたが、元々フランス語なんですねー。混凝紙とはパルプ、紙片、布片などと糊を混ぜたもの。“こんくりがみ”と読み、混凝はコンクリートを意味するんだそう。知らんかったー。Hal David が作詞した原曲の歌詞を読んでみましたが、張り子で作られた世界を歌っていて消費文明をチクリと皮肉ってる感じも受けます。

さて本題。ピラール・トーマスのカヴァーは、キー(歌い出しの音:F)とテンポ(♩≒130)いずれもディオンヌ版と同じ。曲全体の構成も同じだし、イントロのマリンバのリフ、アコギのリフ、サビ部分の歌唱ハモリ、トランペットのオブリガートなど主要なアレンジも同じ。所謂完コピってヤツですね(原曲にあるオカリナのオブリガートなど一部のオカズは省略されてますが)。ピラール・トーマスの歌唱はその特徴である細かいビブラートが曲にマッチしているようで、軽く歌っているディオンヌとどっこいどっこいと言ったところ。ただ、こうなると本家に勝るものはないんですよねー。

B面はドリーミーな曲ですが、彼女の細かいビブラートの歌声は曲にあまりマッチしてない気がします。

ここからはオマケ。MP3で所有している「 ペイパー・マシェ」のうち1970年にリリースされたカヴァーをご紹介!
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ピラール・トーマスと同じ1970年、Sylvia Vrethammar(シルヴィア・ヴレタマー)というスウェーデンの女性ポップ/ジャズ・シンガーが「 PAPER MACHE 」をスウェーデン語詞でカヴァーしています。2ndアルバム『 Sylvia 』に収録されていて、曲名は「 På En Öde Ö 」(2:54) 。どういう風に読むんでしょうか🤔。キーは同じでテンポは♩≒132とほんの少し速いだけ。オカリナのオブリガートもきっちり入ってて、アレンジはピラール・トーマス版以上に完コピです。シルヴィアの歌唱はディオンヌよりも骨太な印象を受けます。
他に1970年にリリースされた「 ペイパー・マシェ 」のカヴァーは、Peter Nieuwerf 版Sir Christopher Scott 版The Carmen Cavallaro Camp 版Floyd Cramer 版がありますが、いずれもインスト物でそれぞれ紹介ずみでございます。
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えぇい、ついでだ! シルヴィア・ヴレタマーの他のバカラック・カヴァーも紹介しちゃえ!
彼女は1969年にリリースした1stアルバム『 Tycker Om Dej 』で「 世界は愛を求めている 」と「 アルフィー 」の2曲をカヴァー。やはりスウェーデン語詞で歌っていて、曲名は「 Vad Världen Behöver Är Kärleken 」(3:36) と「 Alfie 」(2:53) 。どちらの曲も、豊穣なストリングスを軸にしたゆったりアレンジ。彼女の歌声はメリハリがあって上手いなぁと思います。
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もぅ一丁ついで!
シルヴィア・ヴレタマーは2019年にリリースしたジャズのアルバム『 Vortex 』で「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(3:28) をカヴァー。アルバムジャケットのお姿はとても50年経ったようには見えません。テンポの速いウォーキングベース&キレのあるピアノをバックに英語詞のまま歌っています。メリハリのある歌唱も変わっておらず素敵です。


【データ】
「 Papier Mâché 」/「 La Golondrina 」
Pilar Tomas

7"single:1970年リリース
レーベル:CBS (FR)
番号:5257

Orchestre, direction:Jean Claudric
A.「 Papier Mâché 」(French version of PAPER MACHE)

      B.Bacharach - E. Marnay - Hal David
B.「 La Golondrina 」
      Arranged By Jean Claudric - E. Marnay

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

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カテゴリー

  • カヴァーアルバム
    ★バカラック・カヴァー曲が主体でBacharach をアルバムのタイトルやサブタイトルに入れているアルバム ★収録曲のうち半分以上がバカラック・カヴァーのアルバム ★複数アーティストによって新たにカヴァーしたアルバム ★複数アーティストによるトリビュートコンサートのライブアルバム
  • コンピレーションアルバム
    ★複数アーティストのバカラック作品を集めたいわゆる編集盤
  • シングル
    ★シングル
  • ディオンヌ・ワーウィックのアルバム
    ★新作主体/カヴァーアルバム/コンピ集を問わず、ディオンヌ名義のアルバム
  • バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
    ★バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
  • バカラック関連ネタ
    ★バカラック作品は入っていないがバカラックと何らかの関連があるアルバム ★アルバムやシングル以外のこと。本、コンサート、ライヴ、TV、Radio、告知、独り言、イベントなどなど
  • バート・バカラックのアルバム
    ★メインのアーティストがバカラックとなっているもの ★バカラックが音楽を担当した映画等のオリジナル・サウンドトラック ★ ○○ with Bacharach のようなアルバムは含めない
  • 新作主体のアルバム
    ★『 バート・バカラックのアルバム 』と『 ディオンヌ・ワーウィックのアルバム 』以外で、バカラックが新作を多数(およそ半数以上)提供したアルバム

★ リンク ★

  • Yammy* Official Web Site
    京都在住のオーガニックシンガーソングライター、Yammy*(ヤミー)さんの公式サイトです。
  • くう・ねる・時々・じゃず
    とても凛としていて、でも柔らかい歌声が魅力のジャズ・シンガー、三善香里さんの公式ブログです。
  • My Willful Diary
    shoppgirlさんが、「心に留めておきたい音楽とあれこれ」をたおやかな言葉で綴っていらっしゃる、素敵なブログです
  • バカラックマジックでまったりと
    バカラックさんをこよなく愛するまったりさんのブログです。バカラックファンとして大先輩でブログの師匠さんでもあります。
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