I'll Never Fall In Love Again/Bob Dorough (1970年)
ボブ・ドローがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンものインスト・レコードです。バカラック作品を4曲収録!
(画像は全てクリックすると大きくなります)
全10トラック中、バカラック作品は4トラック
A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (3:20)
A2. THE LOOK OF LOVE (2:50)
B1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (3:30)
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU (2:50)
ボブ・ドローがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンもののインスト・レコードです。
先月Discogsで入手したのですが、私はボブ・ドローを全く知らなくて…。CDジャーナルさんのサイトから以下引用させていただきます🙇。
─ 1923年12月12日アーカンソー州チェリーヒル生まれ。ヴォーカリスト、ピアニスト。ノーステキサス州のカレッジで作曲とピアノを学び、1954年から1年ほどシュガー・レイ・ロビンソンの伴奏・編曲者となりカナダやフランスに楽旅した。ニューヨークでは自己のトリオを結成し注目され多くのコンボと共演も。マイルス・デイヴィス『ソーサラー』への参加でも知られる。1956年、『デヴィル・メイ・ケア』でアルバム・デビュー。1973~85年には米の国民的子供番組『スクールハウス・ロック』で音楽を担当、「スリー・イズ・ア・マジック・ナンバー」で一世を風靡した。2013年6月、89歳にして初来日公演が決定。 ─ (CDジャーナルさんの公式サイトより、2013年5月)
その後2015年にも来日して元気な姿を見せるも、2018年4月帰らぬ人に…。享年94歳はバカラックさんと同じですね、合掌。
本アルバムのレーベル:Music Minus One(略してMMO)は、教育目的のためにソリストパートなしで録音したレコード等(ピアノなしのピアノ協奏曲など)が付属する楽譜を制作する会社。1950年に設立されNYに本拠を置いてました。リリースしたアルバムはDiscogsに載ってるだけでも600タイトル以上。多くの録音で、有名&腕っこきのミュージシャンを起用したそうです。
ボブ・ドローは、MMOから少なくとも8タイトルをリリース(Discogsによる:あるでお調べ)。レコード番号順に『 The Medieval Jazz Quartet Plus Three 』[CE 1050]、『 The Music of Nacio Brown 』[MMO 1017]、『 The Harry Warren Songbook 』[MMO 1019]、『 Swing Or Sing Along 』[MMO 1021]、『 The Gershwin-Porter Songbook 』[MMO 1023]、『 本アルバム 』[MMO 1069]、『 A Taste Of Honey 』[MMO 1070]、『 Watch What Happens! 』[MMO 1075]、とまぁこんな具合。
んで、本アルバム。Hi-Fiレコード・ストアさんの公式サイトに載っていた紹介コメントを引用させて頂きます(Hi-Fiさんの紹介コメントが購入する引き金になったものですから…)。
─ ボブ・ドロウが手ほどきする歌のないバカラック。 ボブ・ドロウがピアノ、アレンジ、指揮を手掛けたマイナス・ワンものインスト・レコード(歌の教則用レコード)。レパートリーはバカラック・ナンバーを始め、60年代ソフトロックの名曲ばかり。エレピ中心で、コンガやソフトなブラスを効かせたアレンジがさすが。スチュワート・シャーフ、ビル・グッドウィンらが参加。歌メロディがないことで、逆にコード展開などがつかみやすく感じられます。もちろん、あわせて歌ったってよいでしょう! ジャケもいい! 譜面ブックレットなし。 ─ (Hi-Fiレコード・ストアさんの公式サイトより。原文ママで。ただし、今現在は在庫が無いようで表示されません…。)
ジャケもいい! …私も同感ですが、ボブ・ドローは裏ジャケ写真の人物で表ジャケの方は別人ですよね。一体誰なん?
↑ は裏ジャケの曲目リストを拡大したもの。普通のレコードには記載が無い Key と Tempo が新鮮です 。
演奏しているのは弦楽器入り小規模ビッグバンドといった感じ。ピッチ合わせのためか、A面/B面とも最外周にA=440Hz(ラの音)のテストトーンが入っているのが面白いです。メロディは殆どありません(うっすら流れる箇所もありますが)。でも、所謂カラオケとはちょっと違います。カラオケの演奏は通常原曲を完コピしているのに対し、本作では独自のアレンジを施しているんですねー。
全10曲中4曲あるバカラック作品について簡単に触れます。A1.「 恋よさようなら 」は、全編でコンガをフィーチャーしたラテン調の軽いアレンジ。A2.「 恋の面影 」は、他では聴いたことが無いEベースの16分音符のリフが斬新で、サビでのストリングスのオブリガートも印象的。B1.「 雨にぬれても 」は、可愛らしいアレンジでフルートのオブリガートが心地良い。B4.「 遥かなる影 」が4曲の中では最も意表をつくアレンジ。ブラスによるムード歌謡っぽい9小節のイントロ、全編に流れるアコギとエレピによる8ビートの刻み(そう、シャッフルのリズムじゃないんです!)。一方でカーペンターズ版にあるサビ後の5連符はありません。テンポこそカーペンターズ版とほぼ同じですが、全米1位になったばかりの大ヒット曲をけっこういじってるなぁ…と。
ボブ・ドローによる裏ジャケの各曲解説は、アレンジの説明&歌う方へのアドバイス。一例としてB4.「 遥かなる影 」の解説を載せますね。
─ 4.「 遥かなる影 」…イントロは長いですが、非常に明快です。 2つのスタッカートの和音は、"Why do"というワード(あるでお注:歌い出しの歌詞)を導くためのクリーンな間です。ワンコーラスの後、繰り返してフェードアウトします。冒険好きな人は、ただ1つのセリフを何度も歌うのではなく、繰り返し中に新しいセリフやワードを創作してもよいでしょう。 ─ (ボブ・ドローによる解説文。拙意訳で)
アレンジに光るところは多々見られるものの、やはり主メロが聴こえないのは(カラオケ🎤するなら別ですが)ツマンナイ。わざわざ買うほどじゃないか…というのが率直な感想。Hi-Fiレコード・ストアさんには申し訳ないですが…。
さて、ここからは参考情報です。
私は所有していないのですがMMOシリーズにはバカラック集が5タイトルもあります。
『 Bacharach Revisited - 10 Backgrounds For Male Singers 』[MMO 1056]、『 Bacharach For The Ladies 』[MMO 1057]、『 Bacharach Revisited: Bacharach For Instrumentalists 』[MMO 1058]、『 Bacharach For Pianists (Music Minus One Piano) 』[MMO 1059]、『 Bacharach Organized (Music Minus One ORGAN) 』[MMO 1060]
これら5タイトルは全て1969年のリリース。収録曲(全10曲、曲目&曲順も)に加えて、Orchestra Arranged & Conducted by Jack Six、Personnelなど裏ジャケットの記載が全く同じなので音源も同一と思われます。以前から存在は知っていたのですが、どうせカラオケ音源だろうと高を括って無視してきました。本アルバムが単なるカラオケ音源じゃないとわかった今、どうしたものかと思案中…。
【データ】
『 I'll Never Fall In Love Again 』
Orchestra arranged and conducted by Bob Dorough
Music Minus One Singer or Instrumentalist
LP:1970年リリース
レーベル:Music Minus One (US)
番号:1069
Producer: Bob Dorough
Recorded at Lincoln Sound Center
Complete Music and Lyrics for C, Bb, Eb and Bass Clef Instruments Included. … 入手した中古レコードに楽譜は入ってませんでした。まぁ仕方ないですねー、そもそも楽譜がメインでレコードはオマケですから。
※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し
« バカラック・ベスト~バート・バカラック・ソングブック/V.A. (2012年) | トップページ | Digits/David Benoit (1983年) »
「バカラックの曲がちょっと入ったアルバム」カテゴリの記事
- LOUNGE-A-PALOOZA/V.A. (1997年)(2024.10.27)
- SOUL/Lena Horne (1966年)(2024.09.29)
- I Who Have Nothing/Tom Jones (1970年)(2024.09.15)
- Marrakesh Express/Stan Getz (1970年)(2024.07.28)
« バカラック・ベスト~バート・バカラック・ソングブック/V.A. (2012年) | トップページ | Digits/David Benoit (1983年) »
コメント