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2024年9月22日 (日)

Burt Bacharach Re (Imagined)/The Anya Audette (2024年)

The Anya Audette(アニヤ・オーデット)が2024年9月にリリースしたバカラック・カヴァー集です。(デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. CHECK OUT TIME
3. ODDS AND ENDS
4. DON'T MAKE ME OVER
5. THE LOOK OF LOVE
6. ALFIE
7. A LIFETIME OF LONELINESS
8. WALK ON BY
9. ON MY OWN  (feat. Jarreau Williams)
10. ANYONE WHO HAD A HEART
11. ANYONE WHO HAD A HEART  (Dance Version)
12. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF
13. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
14. I SAY A LITTLE PRAYER

収録時間約46分


The Anya Audette(アニヤ・オーデット)が2024年9月にリリースしたバカラック・カヴァー集です。ただし、ネット上では theanyasudette という表記でアップされています。"the"がついているのでプロジェクトの名称みたいですが本記事では"彼女"と呼ぶことにします。

彼女は米国メリーランド州ボルチモア生まれ(生年不詳)。Anya Randall Nebel の名で40年以上にわたり演劇界で活躍(パフォーマー、監督、プロデューサー)してきた方だそう。一方で、2017年にバークレー音楽学校を卒業して Music Production and Engineering の学位を取得。2023年12月に6曲入りのEP『 Random 』をリリースします。ジャンルとしてはテクノ系のダンスミュージックでその内1曲が「 ANYONE WHO HAD A HEART 」でした。

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画像は彼女の公式サイト(1番目、2番目)とインスタ(3番目)から拾いました。インスタはごく最近の投稿から。

先行して数曲をシングル・リリースしたのち、本アルバム『 Burt Bacharach Re (Imagined) 』を2024年9月12日にリリース! リリースの2日前、彼女は自身の Linkedin で本アルバムについて次のように語っています。熱意を感じますね〜。

─ 1年前、私はコンセプトと夢を持ってBlue Room Productionsで旅に乗り出しました-自分のアルバムを制作してレコーディングします。その仕事は愛の労働であり、私は世界に与えたいと願う影響を信じられないほど誇りに思っています。私の目標はスターになることではなく、本当に素晴らしいものを共有することを目指しています。音楽は私の人生のサウンドトラックであり、ストーリーテリングの芸術をその核心にすることで存在をナビゲートすることができます。ステージでの40年以上の経験により、このプロジェクトは、常に私の中に宿っている新しいレベルの創造性と情熱のロックを解除しました。今年9月12日にすべてのプラットフォームでリリースされる予定のアルバムは、特に女性にとって再発明の力の証です。これは、私たち全員が独自の物語を進化させ、作成する権利があることを思い出させるものです。  ─ (彼女の Linkedin 2024/9/10投稿全文、Googleの機械訳で)

本アルバムの14曲全てバカラック作品のカヴァー。取り上げたのは、T-9.「 オン・マイ・オウン 」(作詞:キャロル・ベイヤー・セイガー)を除いてハル・デイヴィッドと共作した1960年代〜1970年の曲。以下、簡単に各曲に触れていきます。尚、リンク先は拙ブログ記事です。

T-1.「 サン・ホセへの道 」はディオンヌ・ワーウィックが歌って全米10位になったお馴染みの曲(1968年のアルバム『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』収録)。ディオンヌ版をベースにポップでふんわりしたアレンジにしたは良いのですが、彼女の歌声はちょいと高い音域で苦しげ。オリジナルと同じキーにはせず、キーを下げても良かったかも。
T-2.「 チェック・アウト・タイム 」のオリジナルもディオンヌ(1970年のアルバム『 VERY DIONNE 』収録曲)。この曲のカヴァーに初めて出会えて、ムチャクチャ嬉しいっす。キーは原曲と同じでテンポもほぼ同じ。アレンジはオリジナルをリスペクトしたもので雰囲気は出ていますし、言葉を噛み締めるように丁寧に歌う彼女の真摯な姿勢もいいですね。トランペットの特徴的なオブリガートを
シンセで演奏しているのですが、このトランペット音色がかなりチープなのが惜しいところ。でも、こんな超レア曲をチョイスした彼女のバカラック愛に敬意を表します。
T-3.「 オッズ・アンド・エンズ 」もディオンヌがオリジナル(1969年のシングル曲で全米43位。拙ブログではこちらで紹介)。キー、テンポ共に原曲と同じ。アレンジはオリジナルをリスペクトしたもので、コピーと言ってもいいくらい。歌声も味わいがあります。
T-4.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」はディオンヌのデビュー曲(1963年のアルバム『 PRESENTING DIONNE WARWICK 』収録)。この曲を彼女はダンス・チューンとしてカヴァー。メロディを適度にフェイクして歌っていてカッコイイです。
T-5.「 恋のおもかげ 」はダスティ・スプリングフィールドがオリジナル(1967年のサントラ『 CASINO ROYALE 』収録)。サントラ版ではなくダスティ自身のアルバム収録版(短縮バージョン)をベースとしたアレンジ。彼女の歌声は若干ハスキーでダスティと似ていることもあって違和感なく馴染んで聴こえます。
T-6.「 アルフィー 」はシラ・ブラックがオリジナル(1966年の英映画『 アルフィー 』宣伝用イメージソングで全英9位。拙ブログではこちらで紹介)。シラ版と同じキー、同じテンポで、アレンジもシラ版をリスペクトしたものです。
T-7.「 ア・ライフタイム・オブ・ロンリネス 」はスティーヴ・アライモがオリジナル(1963年)ですが、有名なのはジャッキー・デシャノンのカヴァー(拙ブログではこちらでちょろっと紹介)。ジャッキー版をリスペクトしたアレンジで、キーもテンポも同じ。歌声もジャッキーに寄せて歌っています。

T-8.「 ウォーク・オン・バイ 」はディオンヌがオリジナル(全米6位。1964年のアルバム『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』収録)。彼女はコンテンポラリーでクールなダンスチューンにアレンジ。そういうアレンジなら声にもう少し勢いがあるといいなぁと思います。
T-9.「 オン・マイ・オウン 」はパティ・ラベル&マイケル・マクドナルドの全米1位曲(1986年のアルバム『 WINNER IN YOU 』収録)。キー&テンポ含めてオリジナルに忠実なアレンジで、R&B系の男性シンガー Jarreau Williams とデュエット。でもなんかコピー感が強いです。
T-10.「 恋するハート 」はディオンヌがオリジナル(全米8位。1964年のアルバム『 ANYONE WHO HAD A HEART 』収録)。ディオンヌ版の世界観をキーやテンポは同じままコンテンポラリーなアレンジで表現。後半ではラップも加わります。彼女の声ではなさそうですが。
T-11.「 恋するハート 」は同じ曲のダンス・ヴァージョンで、前述したEP『 Random 』に収録されていたもの。思いっきりユーロビート系?のダンスチューンに仕上げていてメロディもぶっとんでます。原曲の面影は薄いですがこれはこれでカッコイイですねー。
T-12.「 恋のとまどい 」はトミー・ハントがオリジナル(1962年)ですが、有名なのはダスティ・スプリングフィールドのカヴァー(1964年に全英3位。こちらで少し触れてます)。しかし、彼女のカヴァーはディオンヌ版(1966年のアルバム『 HERE WHERE THERE IS LOVE 』収録)を忠実に再現したもの。当時の若いディオンヌと比べて高音域の歌声のハリがイマイチかなぁ。
T-13.「 愛の思い出 」はトミー・ハントがオリジナル(1964年)ですが、なんと言っても同年全英1位になったサンディ
・ショウのカヴァーが有名で、ディオンヌもカヴァー(1967年のアルバム『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』収録)。彼女はダンスミュージックにアレンジしていますね〜。この曲がこんなにカッコ良くなるとは!
T-14.「 小さな願い 」はディオンヌがオリジナル(全米4位。これも1967年のアルバム『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』収録)。世間的にはアレサ・フランクリンのカヴァーの方が人気ありますが(こちら参照)。彼女はアレサ版をベースとしてダンス・チューンにカヴァーしています。

半数の7曲(T-2,3,5,6,7,9,12)がオリジナル或いは有名なカヴァーをリスペクトしたもの、5曲(T-4,8,10,13,14)がダンス・チューン、1曲(T-1)がポップ・チューン、1曲(T-11)がぶっとんだカヴァー。
バックトラックのクオリティは正直イマイチではあるものの、彼女のバカラック愛が十分伝わってくるカヴァー集だと思います。個人的なレコメンドは、T-2,3,4,11,13 あたりです!

参考までに、本アルバムに関するネット記事をいくつか貼っておきます。インタビュー記事1本①とアルバム紹介記事3本②③④です。アルバム紹介記事はけっこう似通ってますけれど…。
Burt Bacharach-Dionne Warwick Tribute Album – The Anya Audette
Legendary Artist TheAnyaAudette Revives Burt Bacharach’s Genius in “Burt Bacharach Re (Imagined)”
Visionary and Bold: TheAnyaAudette’s Tribute in “Burt Bacharach Re (Imagined)” is Mesmerizing
A Masterpiece Reborn: TheAnyaAudette’s “Burt Bacharach Re (Imagined)” Will Leave You Speechless


【データ】
『 Burt Bacharach Re (Imagined) 』
The Anya Audette(ネットでの表記は theanyaaudette)

MP3:2024年9月12日リリース
レーベル:HARDYGIRL1966 (US)
番号:?

詳細なクレジットは不明

Amazonリンク(MP3

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カヴァーアルバム」カテゴリの記事

コメント

あるでお様
こんにちは!

初めての曲が2曲(T-2 "CHECK OUT TIME"と、T-7 "A LIFETIME OF LONELINESS")もありました。

ディオンヌは"CHECK OUT TIME"がBacharach&Davidの中で一番嫌いだとかで、「サンホセ」みたいに歌詞が気に食わないというか、自分らしくない歌詞なのだろうと想像しました。
彼氏から逃げてきて「チェックアウトの時間」が3時ということ。彼氏はdomestic violenceだったのかもしれません。ようわかりませんが。
午前3時ならえらい早いと思ったんですが、江戸時代の旅人は午前4時出発だったのは♪お江戸日本橋七つだち♪から覗えますから、チェックアウト・タイムは午前3時なのだと思います。

名前に定冠詞「The」がつく意味が分かりませんが、オブラディオブラダでMolly is the singer in a bandで、モリーは「ある」バンドの「ちゃんとした専属の」歌手だという意味らしいので、The Anya Audetteの自負を感じます。

ずっと聴いているとディオンヌなのかと勘違いするほどでした。
Burt Bacharach Re (Imagined)
https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mq36usuND9AjMjj7aHVW4bc8Jjzn2JAP4

ちたりた様
こんばんは、あるでおです。
コメントありがとうございます。

ディオンヌが「 CHECK OUT TIME 」を一番嫌いだったということ、初めて知りました。この曲はこれまでカヴァー例がなく、ディオンヌのアルバム『 Very Dionne 』の他は、1998年にRhinoがリリースしたCD3枚組75曲入りバカラック物コンピ集『 the look of love the Burt Bacharach collection 』にディオンヌ版がコンパイルされているのみです(私の知る限り)。んで、そのコンピ集のライナーノーツを開いてみたところ、この曲の解説文中に以下のくだりがありました。

─ Yet its singer didn’t really like it. “I never cared for that song,” says Dionne. “I thought it just didn’t fit my personality. It wasn’t someone that I couldn’t identify with. But when songs are written expressly for you, and you know nobody else can sing them, and the affinity that I have for both of those men … well, you go in and you give the best performance that you can.” ─

ディオンヌはこの曲を好きじゃなかったことがわかりますね。

これまで全く読んでませんでした😅。英語は苦手で…。気づかせてくれて本当にありがとうございました!

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