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2025年5月の2件の記事

2025年5月18日 (日)

Walk on By/Kristina Koller (2025年)

米女性ジャズシンガー、Kristina Koller が2025年にリリースしたコンテンポラリー・ジャズのバカラック・カヴァー集です!(CD無し/デジタル配信のみ)

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1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
3. A HOUSE IS NOT A HOME
4. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR (feat. Rosemary Minkler)
5. I SAY A LITTLE PRAYER
6. DON'T MAKE ME OVER
7. WALK ON BY
8. REACH OUT FOR ME
9. LOVING IS A WAY OF LIVING (feat. Fima Chupakhin)
10. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約40分


米女性ジャズシンガー、Kristina Koller が2025年にリリースしたコンテンポラリー・ジャズのバカラック・カヴァー集です!

ニューヨーク市の郊外で育った Kristina Koller(クリスティーナ・コラー)は、幼い頃から青少年向けのミュージカルに出演。シンガーソングライターやオルタナティブ・ロックバンドのボーカリストなどソロ・パフォーマンスにも挑戦し、またクラシック音楽とオペラを学んで歌唱力を向上させ、様々な発声法を習得します。ジャズ、ソウル、R&Bに対するオープンマインドなアプローチのエイミー・ワインハウスに感銘を受け、ボーカリストとして自由に自己表現したいという願望が彼女をジャズの世界へ導きました。音楽奨学金を得て、彼女はハート・スクールのジャッキー・マクリーン・ジャズ研究所でジャズを学び、ニューヨーク市立大学でジャズ研究のBFA(美術学士号)を取得。並行してジャズ・カルテットにヴォーカリストとして加わり、ニューヨークを拠点に活動。これまでに3枚のアルバムをリリースしています。

本作は4枚目のアルバム。バカラックの音楽をコンテンポラリー・ジャズにアレンジしたものです。

なお、コラーの公式サイトには、─ 現在、コラーは4枚目のアルバムに取り組んでいます ─ とあるだけでまだ本作の情報がアップされていません。ミュージシャン等の情報は JAZZ CHLL MUSIC というブログを参考にしました。

コラーの母親はバカラックの音楽を深く愛していて、─ 私は幼い頃からバカラックの音楽を人生のBGMとして聴いて育ちました ─ んだとか。本作も母親のリクエストに応えたものだそう。 ─ バカラックの音楽は、とてもノスタルジックな気持ちにさせてくれます。でも、私はこれらの曲を、感情の核となる部分を損なわずに、現代のリスナーにも響くようなアプローチで捉えたいと思いました ─ ふむふむ、コラーの心意気や良し…ですね。

全10曲のうち、1曲だけ見慣れない曲があります。1959年にスティーヴ・ローレンスが歌ったT-9.「 LOVING IS A WAY OF LIVING(ラヴィング・イズ・ア・ウェイ・オブ・リヴィング)」です。この曲のカヴァーは聴いた事がありません。多分コラーが初めてだと思います。

バックのピアノトリオは、長年のバンド仲間である Fima Chupakhin (piano/Rhodes)、James Robbins (bass)、Cory Cox (drums)。James Robbins はコラーと共にアレンジを手がけました。T-4.「 愛のハーモニー 」では、女性ピアニストでありコラーの友人でもある Rosemary Minkler がヴォーカルで加わりサビでデュエットしています。T-9.「 ラヴィング・イズ・ア・ウェイ・オブ・リヴィング 」はピアノ伴奏のみで歌っています。

まず感じるのは、アレンジがチャレンジングでいずれもユニークなこと。1曲ごとに寸評しますと…。
T-1.「 恋よ、さようなら 」:ファンキー
T-2.「 遥かなる影 」:なんと4/5拍子にアレンジ、疾走感がある
T-3.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」:スローな6/8拍子、エモーショナル
T-4.「 愛のハーモニー 」:Aメロはシンプル、サビでファンキーになりデュエットが熱い
T-5.「 小さな願い 」:拍子がコロコロ変わりついていけない(ただしサビは原曲通り)、ファンキー
T-6.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」:ゆったりウォーム
T-7.「 ウォーク・オン・バイ 」:リズムが複雑に変化、アヴァンギャルドでクール
T-8.「 リーチ・アウト 」:コンテンポラリーなスウィングで楽しい
T-9.「 ラヴィング・イズ・ア・ウェイ・オブ・リヴィング 」:軽快な♩≒136のズンチャチャソングがスローバラードに変身、揺れるテンポに漂うコラーの柔らかい歌声が沁みる
T-10.「 世界は愛を求めている 」:クールな16ビートに大胆アレンジ、澄んだ強い歌声にコリーがこの曲に込めた思いを感じる

素晴らしいです。捨て曲はひとつもありません。アルバム全体としてレコメンドです。強いて超レコメンドを挙げるならT-2,4,7,9,10.でしょうか(半分もあるじゃねぇか)。

YouTube の Kristina Koller - トピック には自動生成で本作がアップされていますので、ぜひそちらを視聴ください。また、コラー自身のアカウントに3曲ほどレコーディング時の動画が上がってましたのでリンクを貼っておきます。
 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
 WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
 THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR


【データ】
『 Walk on By 』
Kristina Koller

MP3:2025年5月16日リリース
レーベル:Feel Good Records (US)
番号:?

Kristina Koller - vocal
Fima Chupakhin - piano/Rhodes
James Robbins - bass (except T-9)
Cory Cox - drums (except T-9)
Rosemary Minkler - vocal (T-4)

Amazonリンク

2025年5月 4日 (日)

Raindrops - Songs by Burt Bacharach/Carmela Corren (1974年)

イスラエルの女性歌手・俳優、Carmela Correnが1974年にリリースしたヘブライ語によるバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD = טיפות הגשם
A2. WIVES AND LOVERS = גברים, בגידות ושאר חטאים קטנים
A3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU = איש הסתו
A4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE = מוכר החלומות מסן חוזה
A5. ARE YOU THERE (WITH ANOTHER GIRL) = עצרו את כל השעונים
A6. WALK ON BY = לך לאט
A7. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU = איש אוהב
B1. I SAY A LITTLE PRAYER = תפילה קטנה
B2. ALFIE = אלפי
B3. THE WINDOWS OF THE WORLD = עולמות רחוקים
B4. LONELINESS REMEMBERS (WHAT HAPPINESS FORGETS) = הבדידות זוכרת
B5. A HOUSE IS NOT A HOME = כשאין אתה אתי
B6. THE LOOK OF LOVE = מבט אוהב
B7. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE = מה צריך עכשו

収録時間約44分


イスラエルの女性歌手・俳優、Carmela Correnが1974年にリリースしたヘブライ語によるバカラック・カヴァー集です。

Carmela Corren カルメラ・コリーン(カルメラ・コーレン)は1938年2月、当時英国委任統治領下にあったテルアビブ生まれ。イスラエル国防軍の兵役で歌手として空軍管弦楽団にいた際、仕事でイスラエルに来ていた米国のテレビチームの目に留まり渡米、1956年に米国のTV番組『 Toast of the Town 』でデビューします。1961年には、クリフ・リチャードの南アフリカ・ツアーに同行。1962年、「 Eine Rose aus Santa Monica 」が独チャートで3位になるヒットとなり、以降ドイツ語圏のPopsフィールドで活躍します。1963年にはユーロビジョン・コンテストにオーストリア代表として出場し「 Vielleicht geschieht ein Wunder 」を歌って7位に。'60年代、Ariola(独)、Vogue Schallplatten(独)、Decca(独)といったレーベルから、ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、ギリシャ語のバラードやシャンソンのレコードを沢山リリースしているようです。

また、'60年代にカルメラは数々の映画に出演。スパイ・スリラー『 Zwischen Schanghai und St. Pauli 』(1962年)や、伝説のアルペンスキー・レース・チャンピオン、トニ・ザイラーと共演した登山ドラマ『 Sein bester Freund 』(1962年)などなど。その他いくつかのミュージカルにも出演。イギリスのクラブでポピュラーソングを歌う一方、オーストリアとドイツのTVバラエティ番組にも出演して大きな成功を収めたんだそう。


1964年から1970年にかけて、ドイツ人音楽プロデューサーのホルスト・ガイガーと結婚し、2人の子供をもうけています。1984年以降、再婚したカルメラは米国フロリダに移住しショービジネスの第一線から退きました。没年:2022年1月(享年83歳)。

以上、Wikipedia / IMDb / Carmela Corren(公認サイト)を参考にしてカルメラの略歴を記しました。'70年代は苦難の時代だったようで、(子育てしていたことは分かりますが)本作をリリースした1974年前後のことはよく分かりません。1973年10月に勃発した第4次中東戦争の停戦後(=第1次オイルショックの最中)
という時期に、何故彼女は本作をヘブライ語でレコーディングしてリリースしたのか…。まさか、映画『 LOST HORIZON(失われた地平線)』が大コケして当時どん底にいたユダヤ人のバカラックを元気付けようとヘブライ語で彼の曲を歌った…な〜んてことはまず無いな😅。

収録された14曲は全てデイヴィッド&バカラック作品で、B4.「 ロンリネス・ハッピネス(愛は想い出)」を除けばカヴァー定番曲ばかり。カルメラは重心が低いながらもハリのある声質で、1974年当時36歳だった年齢に相応しい大人の歌唱を聴かせます。ヘブライ語の歌詞もさほど違和感はありません。バックはバンド+ポップスオーケストラなのですが、本作の一番の魅力は楽しげでユニークなアレンジにあります。

個人的に印象に残ったアレンジは…
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A1.「 雨にぬれても 」:イントロで、装飾音の付いた “E-F” の音を最初は2拍おき、3小節目から1拍ごと交互にオクターヴでピアノが弾いてます。雨粒を表現するベタな手法ですが、「 雨にぬれても 」のインスト・カヴァーでは時折見られるもののヴォーカル・カヴァーでは余り例(注)がないんですよね…。(注)他の例:Bobbie Gentry版はギター、The Dells版はハープ?とグロッケン、Lisbet Guldbaek版はギターとウッドベース、石毛恭子さんの日本語版「 レイン・ドロップス 」ではグロッケンが奏でています。
A4.「 サン・ホセへの道 」:特徴的な女性バックコーラスによる “ウォウォ ウォウォッ
…” の9度下降を、“イェイェ イェイェッ…” と歌っています。ヘブライ語に訳したらそうなるのか? レナウンの「 ワンサカ娘 」を連想しちゃいました。でもこれはアレンジの話じゃないよねぇ😓。
A6.「 ウォーク・オン・バイ 」:2コーラス目以降の金管楽器&フルートによるオブリガートがカッコいいです。そして、後半の間奏部分24小節が(アウトロも)脈絡なく突然サンバ・アレンジになってノリノリになるのがサイコー。

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B2.「 アルフィー 」:イントロは32分音符刻みのハイハットとカッティングギターで始まります。そう、バカラックのインストセルフカヴァー版(アルバム『 Reach Out 』収録)ベースのアレンジなんです。コレにヴォーカルを乗せてくるとはっ❗️ しかもテンポ速いっ(バカラック版の♩≒75に対し♩≒85)。インストでならバカラック版ベースのカヴァー(Messias版田畑貞一版スクリーン・ポップス版、オルケスタ・リブレ&柳原陽一郎版)も存在しますが、このアレンジにヴォーカルを乗せたのは唯一無二で他には知りません。実は1971年リリースのライヴアルバム『 LIVE IN JAPAN 』でバカラックはちょびっと「 アルフィー 」を歌っています。しかし、この時はピアノ弾き語りでAメロを歌い終わった後に『 Reach Out 』と同じアレンジで「 アルフィー 」をインスト演奏する…という展開。なので、やはりカルメラの「 アルフィー 」は唯一無二です❗️
B3.「 世界の窓と窓 」:ホルンを含む木管アンサンブルと流麗なストリングスをバックに歌い上げるカルメラが神々しい。素晴らしい❗️
B4.「 ロンリネス・ハッピネス(愛は想い出)」:この曲も木管楽器が活躍して可愛らしい雰囲気を醸し出しています。
B6.「 恋の面影 」:「 THEME FROM SHAFT(黒いジャガーのテーマ)」を彷彿させるエレキギターのカッティングが全編にわたり流れ、2コーラス目からトランペット&トロンボーンのオブリガートが炸裂するブラスロック調のアレンジが超カッコイイ❗️ カルメラも粘っこくソウルフルに歌っています。
B7.「 世界は愛を求めている 」:イントロの金管アンサンブルに意表を突かれますが、本編に入ったらジャズワルツのリズムに変わりストリングスとブラスによるオブリガート合戦が始まりカルメラの歌唱を盛り上げます。ラストはバリバリに吹いてアルバムを締めくくります。

'60年代後半〜'70年代の女性ソロシンガーによるバカラック・カヴァー集というと、個性的な解釈と陰影のある歌唱のコニー・フランシス『 Connie Francis sings Bacharach and David 』(1968年)、ドリーミーなストリングスとオリジナリティあるオブリガートのシェイラ・サザーン『 THE BACHARACH & DAVID SONGBOOK 』(1969年)、ジャズらしくイントロや間奏を原曲と大きく変えてるリタ・ライス『 Rita Reys sings Burt Bacharach 』(1971年) など素晴らしいレコードがあります。方向性全然違いますが本作はそれらに比肩しうるアルバムだと私は思いますし、レコメンドです。

ちなみに、盤起こしではありますがYouTubeに本作全曲がUPされています。前述した公認サイトの DISKOGRAFI の LPs からもリンクが貼られているので、公認サイト主がUPしたものでしょう(知らんけど)。
 


【データ】
『 Raindrops - Songs by Burt Bacharach 』
Sung in Hebrew by Carmela Corren

LP:1970年リリース
レーベル:CBS (Israel)
番号:80354

Lyrics:Hal David
Music:Burt Bacharach
Hebrew Lyrics:Yossi Behar
Stage Director:Itzhak Chalutsi
Musical Director:Moshe Zorman
Arrange:Y. Barak (A1-2,A4,A7,B1,B6), M. Zorman (A3,A6, B2-5,B7), M. Kupperboim (A5)

(p) 1974 CBS Inc.
MADE IN ISRAEL

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し


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