Bacharach/Amormio (1971年)
フィリピン出身のオルガン奏者、アモルミオが1971年にリリースしたイージーリスニングのバカラック・カヴァー集です。
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A1. A HOUSE IS NOT A HOME
A2. REACH OUT FOR ME
A3. WALK ON BY
A4. DON'T MAKE ME OVER
A5. MAKE IT EASY ON YOURSELF
A6. ANYONE WHO HAD A HEART
B1. ALFIE
B2. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B3. PROMISES, PROMISES
B4. I SAY A LITTLE PRAYER
B5. ANY DAY NOW
B6. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
収録時間約35分
フィリピン出身のオルガン奏者、アモルミオが1971年にリリースしたイージーリスニングのバカラック・カヴァー集です。
実名 Amormio Cillan Jr(アモルミオ・シラン・ジュニア、生年不詳〜2013年9月没)はフィリピンのトップ・オルガン奏者(ジャケット裏のライナーより)。数少ないネット情報によれば、1970年代初頭、東南アジアで最も人気のあるエンタテナーのひとりだったとか。その頃香港で彼からレッスンを受けたというコメントもありました。Discogsに登録されているアルバムは20枚以上、しかもリリースが1970年〜1971年に集中しています。その頃が人気のピークだったのか?
演奏はエレクトーン(ヤマハ製電子オルガン)+ドラムス+ギターが基本編成。アモルミオはエレクトーンの鍵盤をフルに使い、上鍵盤を右手で主にメロディを、下鍵盤は左手で主にハーモニーを、足鍵盤はベースラインを弾いています。ドラムスとギターはリズム隊としてサポートに徹している感じ。曲によりトランペット、バリトンサックスや女声コーラスも加わりますが、トランペットは主にオブリガートやメロディの補強、バリトンサックスはベースラインの補強という役割。あくまで主役はエレクトーンです。
演奏しているエレクトーンの機種E-3は当時としては音楽表現を拡大する最新機能(後述するオマケを参照方)を搭載した野心的な機種でした。しかし、アモルミオはそれら最新機能を使っていないようで、そこはちょっと残念かなぁ。

収録されている12曲は全てバカラックのカヴァー定番曲。ビブラート、マンドリン、トレモロ、サスティン等のエフェクト効果を駆使したエレクトーンの音色はいかにも1970年頃の雰囲気がします。1970年代前半エレクトーンを習っていた還暦超えジジィには堪りません。アレンジはヒットしたバージョン又はバカラック自身のA&Mアルバム版をベースとしていて、アドリヴなんてものはなく聴きやすいイージーリスニングといった感じ(後述する1曲を除く)。拙ブログで紹介した他の電子オルガン系のバカラック・カヴァー集(『 プレイ・バカラック 』/斎藤英美(1971)、『 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 』/沖浩一トリオ(1970)、『 The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach 』/Ena Baga(1972))はいずれも個性的なアレンジですから…。それらとは一線を画しています。
ただし、B1.「 アルフィー 」のアレンジだけはオリジナルのシラ・ブラックやバカラックのセルフカヴァー版とはテイストの異なる軽いボサノヴァ調の演奏なんです。個人的にはちょっとレコメンドを感じるトラックだったりします😊。また、B3.「 プロミセス・プロミセス 」は私自身もエレクトーンで弾いたことがあり何やら親近感を感じます。もちろん私の方が下手くそですが😅。

内袋の片面は欧米アーティストのレコードが載っているのに対し、逆の面は香港(?)の女性歌手のレコードが沢山。存じ上げない歌手ばかりですがとても新鮮です。
実は…本アルバムの音源、配信されています。私はそのことを知らずにごく最近高額な中古LPを買っちゃいました…ショック。リサーチ不足でしたぁぁぁ。配信音源のアートワーク(下の画像)はDyna RecordsというフィリピンのレーベルからリリースされたLPのジャケットが使われているのですが、エレクトーンE-3の上鍵盤と下鍵盤の間に①〜④の白くて丸いプリセットボタンがあるのが分かります。こっちのジャケットの方が好みだなぁ。(YouTubeはこちら)
⭐️オマケ:YAMAHA Electone E-3 について
レジストーションメモリーボタン、キーボードパーカッション、ホリゾンタルタッチ…。どれも、カタログで機能名をピックアップしてみると80年代にオールデジタル化されたFSやFX※1以降のエレクトーンに導入された機能にも見えます。ところがこれらはいずれも、1968(昭和43)年生まれの初のコンソールタイプのエレクトーンE-3に、骨太な形で既に搭載されていたのです。
まずは元祖レジストーションメモリー。E-3にはプリセット、という名前の機能がありました。ちょうど今のメモリーボタンと同じように、上鍵盤と下鍵盤の間についている①〜③の丸いプリセットボタンにレジストーションをあらかじめセットし、演奏中に瞬時に切り替えることができるという機能です。
E-3には、下鍵盤の左端の下に引き出しのようなものが付いていて、それを引っ張り出すとプリセットボードが現れました。そこに備わったレジスト用の小さなたくさんのツマミでレジストをセットし、①のプリセットボタンを押せば①系列のツマミでセットしたレジストに切り替わる、という仕組みでした。ちなみにプリセットボタン④もありましたが、これは最初からフル・オルガンの音色が用意されていて、ユーザーによる変更はできませんでした。
元祖キーボードパーカッションは、E-3では連動パーカッションと呼ばれています。下鍵盤や足鍵盤を演奏すると、短い減衰音か長い減衰音を鳴らすことができました。今のように好きな打楽器音を好きな鍵盤にアサインできたわけではないのですが、当時のエレクトーンコンクールのライブ録音を聴くと、生演奏される正確なビートと左手の刻みにシンクロしてチキチキチキ…とパーカッシブな音が入っているのが、なんとも言えない臨場感と緊張感を醸し出しています。エレクトーンの音楽表現には、オートリズムよりもキーボードパーカッション系のリズムのほうが先だったんですよね。
そして元祖ホリゾンタルタッチは、その名もタッチビブラート。機械的なビブラートではない、演奏者の生の表現によるビブラートをエレクトーンでも実現したい!という熱い思いが結実した機能でした。なんとなんと、現在のホリゾンタルタッチ同様に鍵盤を左右に振動させて音をビブラートさせた、というのだから驚きです。EL-900※2以前にそんな鍵盤があったとは!
さらに、ビブラートの速さと深さを両方変化させるためにニーレバーを使うシンギングビブラートという機能もあり、バイオリンの表現に迫ろうとしました。エレクトーンの音楽表現を貪欲に拡大しようとした野心の結集が、E-3だったのですね。(『 知ってるようで知らない エレクトーンおもしろ雑学事典 』/エレクトーン雑学班編著@2009年より)
あるでお注
※1 FSやFX:1983年に発売されたエレクトーン機種シリーズ名(初のオールデジタル化、シンセDX7で有名なFM音源を初搭載)
※2 EL-900:1998年に発売されたエレクトーン機種名(ホリゾンタル・タッチ機能を初搭載)
・発売期間:1968年12月〜1972年6月
・鍵盤数:上/下鍵盤61鍵(5オクターブ)、足鍵盤25鍵(2オクターブ)
・サイズ:129.9cm(W) x 74.5cm(D) x 104cm(H)、137kg
・税抜価格:¥800,000(1970年頃当時の自動車だと、トヨペットコロナ・マークII初代4ドア1900GSL:78.6万円、ダットサンブルーバード510型4ドア1800SSS:78.3万円あたりに相当します。現代の感覚では300万円超えでしょうか。)
【データ】
『 Bacharach 』
Amormio
LP:1971年12月7日リリース
レーベル:REGAL (UK) / EMI (S.E.A.), EMI (Malaysia), EMI (Hong Kong)
番号:SREG-9571
Arranged and Directed by Pablo Vergara
Featuring Amormio Cillan Jr. on E-3 YAMAHA Organ
Amazonリンク(MP3)
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