カテゴリー「カヴァーアルバム」の190件の記事

★バカラック・カヴァー曲が主体でBacharach をアルバムのタイトルやサブタイトルに入れているアルバム ★収録曲のうち半分以上がバカラック・カヴァーのアルバム ★複数アーティストによって新たにカヴァーしたアルバム ★複数アーティストによるトリビュートコンサートのライブアルバム

2024年10月 6日 (日)

Promises, Prayers, And Raindrops: Allyson Briggs Sings Burt Bacharach/Fleur Seule (2024年)

米国のレトロジャズバンド、Fleur Seule によるバカラック・カヴァー集です。(現時点でCD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. Trop'ns Fin Regen Oif Mein Kop (RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD) (feat. Julie Benko)
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
5. ONE LESS BELL TO ANSWER
6. ANYONE WHO HAD A HEART
7. UNINVITED DREAM
8. MY ROCK AND FOUNDATION
9. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
10. Wenn Ich Mir Was Wünschen Dürfte
11. CASINO ROYALE(インスト)
12. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
13. PROMISES, PROMISES
14. WALK ON BY
15. ALFIE
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
17. I SAY A LITTLE PRAYER
18. THE LOOK OF LOVE
19. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
20. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR

収録時間約67分



米国のレトロジャズバンド、Fleur Seule によるバカラック・カヴァー集です。

Fleur Seule(読み方よくわかりませんが、Google先生に倣って "フルール・スール" と呼びます)はマンハッタンのレトロジャズバンド。リード・ヴォーカルの Allyson Briggs(ア
リソン・ブリッグス)がバンド・リーダー。クラシックなシャンソン、ジャズスタンダード、スイング、ボサノバ、サルサなどをレパートリーとし、複数のパブレストラン等でハウスバンドを務めているそうです。会場や雰囲気に合わせて2〜15人でバンドを編成。2015年以降アルバムを6作リリースしており、本アルバムは7作目になります。(Fleur Seule 公式サイト→こちら

アリソン・ブリッグスは、歌手以外にナレーションやゲームのキャラクターの声の仕事もしていて、英語・仏語・独語・西語に堪能なんだそう。それらも含めて7ヶ国語で歌うことができるんだとか。才女ですねー。

本作は2024年7月にリリースされたんですが、フルール・スールは2023年2月8日バカラックの訃報のすぐ後、2月10日に「 小さな願い 」のライヴ映像をYouTubeにアップしていました。

調べてみると、フルール・スールは以前から "A Burt Bacharach Night" というライヴをやっていて、この動画はそのアーカイヴみたいなんです。その後2月13日にライヴのダイジェスト、3月5日に「 世界は愛を求めている 」、8月26日に「 恋するハート 」をアップ。衣装が同じなので同じライヴの動画と思われます。

そして今年に入り本アルバムをレコーディング。2024年4月6日にはレコーディング4日めの動画をアップしています。


本作には全20曲を収録。ピアノトリオ+トランペットをバックにアリソン・ブリッグスが歌っています。公式サイトのブログで彼女は本作への思いを熱く語っているのですが、セルフライナーノーツ的な内容でとても参考になりました(特に見慣れない曲について😅)。是非ご覧ください。

カヴァー定番曲がほとんどですが、見慣れない曲がいくつか…。
T-3.「 Trop'ns Fin Regen Oif Mein Kop 」は「 雨にぬれても 」のYiddish(イディッシュ語)版。イディッシュ語は、中世ドイツ語方言を基礎とし、もとは中欧・東欧系のユダヤ人が用い、現在はイスラエルをはじめ世界各地のユダヤ人によって使用されている言語だそう。フィーチャリング・シンガーのブロードウェイ女優 Julie Benko がユダヤ人だから…のチョイスでしょうね。最初はソロで、途中から2人になりユニゾン→ハモリ→掛け合いになるオシャレなカヴァーです。
T-7.「 UNINVITED DREAM(アンインヴァイテッド・ドリーム)」はペギー・リーがオリジナル。1957年のシングルA面曲で、作詞は Sammy Gallop(サミー・ギャロップ)。バカラックの"バ"の字もないジャズの標準的なスタイルの曲です。ペギー・リーも彼女が尊敬する歌手で、ペギー・リーとバカラックの繋がりを調べる中でこの曲を発見したそう。王道のジャズ・バラードをきっちりパフォーマンスしています。
T-8.「 MY ROCK AND FOUNDATION 」もペギー・リーがオリジナルで、1971年のアルバム『 Where Did They Go 』収録曲(過去にコンピ集で紹介)。超レア曲で、彼女もブログにこの曲初めてのカヴァーだと書いてました。私もこの曲のカヴァーは初めて聴きました〜。オリジナルよりシンプルですね。
T-10.「 Wenn Ich Mir Was Wünschen Dürfte 」はバカラック作品ではありません。彼女のブログに詳しいですが、バカラックがマレーネ・ディートリッヒの音楽監督をしていた頃にアレンジした Friedrich Holländer の曲とのこと。ディートリッヒとバカラックに敬意を表し、この曲をチョイスしたそう。ドイツ語で歌っています。

─ オリジナルの曲の完全性を維持したかった ─ とアリソン・ブリッグスがブログで書いてるように、ピアノトリオ+トランペットという編成で原曲(オリジナル or 有名なバージョン)のテイストを表現する…そんなコンセプト。派手なアドリヴも少なくしっかりシンガーを立てていますね。彼女の歌唱は原曲を模倣することはせず、かといって尖った自己主張をするわけでもなく、咀嚼した上で心を込めて伸びやかに歌っているように感じます。 ─ アレンジの複雑さ、ハル・デイヴィッドの歌詞の深さを強調し、スタジオオーケストラであろうと小さなコンボであろうと、これらの曲をどのように楽しむことができるかを示したかったのです。  ─ 彼女の思いが十分感じられる、そんな落ち着いた大人のバカラック集かと。

後半熱くなるT-4.「 世界は愛を求めている 」、レアなカヴァーT-8.「 MY ROCK AND FOUNDATION 」、エモーショナルな歌唱のT-14.「 ウォーク・オン・バイ 」、かなりジャズしているT-15.「 アルフィー 」、後半盛り上がるT-17.「 小さな願い 」、アドリヴが素敵なT-18.「 恋の面影 」あたりがレコメンドかな。

アルバム全曲、YouTubeで聴くことができます。→ こちら
また、アルバムリリース直前7月9日のリリース記念ライヴからも現時点で3曲聴くことができます。「 愛の思い出(愛のウェイトリフティング)」「 MY ROCK AND FOUNDATION 」「 恋よ、さようなら 」
※ 2024/10/11追記:For Your Consideration in Best Traditional Pop Vocal Album this Grammy®︎ voting season … と称して約4分半の宣伝動画をUPしています。内容は、レコーディング風景を中心にバンドメンバーのコメントも。→ こちら


ここからはオマケです。
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フルール・スールは2020年にも「 CLOSE TO YOU(遙かなる影)」(4:15) をカヴァーしてシングル・リリースしています。本作とキーは同じでバックの編成(ピアノトリオ+トランペット)やテイストも同じですが、テンポは本作(♩≒96)よりゆったりしています(♩≒84)。彼女の歌唱もより自然に感じられて、私は2020年版の方が好みですねー。


【データ】
『 Promises, Prayers, And Raindrops: Allyson Briggs Sings Burt Bacharach 』
Fleur Seule

MP3:2024年7月12日リリース
レーベル:Algos Music (US)
番号:?

Allyson Briggs, serving as bandleader and star vocalist
music director Andy Warren on trumpet
James Navan and Jason Yeager on piano
Michael O'Brien on bass
Shareef Taher and Peter Traunmueller on drums
Broadway luminary Julie Benko (Funny Girl, Harmony) as guest vocalist (T-3.)

Amazonリンク

2024年9月22日 (日)

Burt Bacharach Re (Imagined)/The Anya Audette (2024年)

The Anya Audette(アニヤ・オーデット)が2024年9月にリリースしたバカラック・カヴァー集です。(デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. CHECK OUT TIME
3. ODDS AND ENDS
4. DON'T MAKE ME OVER
5. THE LOOK OF LOVE
6. ALFIE
7. A LIFETIME OF LONELINESS
8. WALK ON BY
9. ON MY OWN  (feat. Jarreau Williams)
10. ANYONE WHO HAD A HEART
11. ANYONE WHO HAD A HEART  (Dance Version)
12. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF
13. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
14. I SAY A LITTLE PRAYER

収録時間約46分


The Anya Audette(アニヤ・オーデット)が2024年9月にリリースしたバカラック・カヴァー集です。ただし、ネット上では theanyasudette という表記でアップされています。"the"がついているのでプロジェクトの名称みたいですが本記事では"彼女"と呼ぶことにします。

彼女は米国メリーランド州ボルチモア生まれ(生年不詳)。Anya Randall Nebel の名で40年以上にわたり演劇界で活躍(パフォーマー、監督、プロデューサー)してきた方だそう。一方で、2017年にバークレー音楽学校を卒業して Music Production and Engineering の学位を取得。2023年12月に6曲入りのEP『 Random 』をリリースします。ジャンルとしてはテクノ系のダンスミュージックでその内1曲が「 ANYONE WHO HAD A HEART 」でした。

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画像は彼女の公式サイト(1番目、2番目)とインスタ(3番目)から拾いました。インスタはごく最近の投稿から。

先行して数曲をシングル・リリースしたのち、本アルバム『 Burt Bacharach Re (Imagined) 』を2024年9月12日にリリース! リリースの2日前、彼女は自身の Linkedin で本アルバムについて次のように語っています。熱意を感じますね〜。

─ 1年前、私はコンセプトと夢を持ってBlue Room Productionsで旅に乗り出しました-自分のアルバムを制作してレコーディングします。その仕事は愛の労働であり、私は世界に与えたいと願う影響を信じられないほど誇りに思っています。私の目標はスターになることではなく、本当に素晴らしいものを共有することを目指しています。音楽は私の人生のサウンドトラックであり、ストーリーテリングの芸術をその核心にすることで存在をナビゲートすることができます。ステージでの40年以上の経験により、このプロジェクトは、常に私の中に宿っている新しいレベルの創造性と情熱のロックを解除しました。今年9月12日にすべてのプラットフォームでリリースされる予定のアルバムは、特に女性にとって再発明の力の証です。これは、私たち全員が独自の物語を進化させ、作成する権利があることを思い出させるものです。  ─ (彼女の Linkedin 2024/9/10投稿全文、Googleの機械訳で)

本アルバムの14曲全てバカラック作品のカヴァー。取り上げたのは、T-9.「 オン・マイ・オウン 」(作詞:キャロル・ベイヤー・セイガー)を除いてハル・デイヴィッドと共作した1960年代〜1970年の曲。以下、簡単に各曲に触れていきます。尚、リンク先は拙ブログ記事です。

T-1.「 サン・ホセへの道 」はディオンヌ・ワーウィックが歌って全米10位になったお馴染みの曲(1968年のアルバム『 DIONNE WARWICK in Valley of the Dolls 』収録)。ディオンヌ版をベースにポップでふんわりしたアレンジにしたは良いのですが、彼女の歌声はちょいと高い音域で苦しげ。オリジナルと同じキーにはせず、キーを下げても良かったかも。
T-2.「 チェック・アウト・タイム 」のオリジナルもディオンヌ(1970年のアルバム『 VERY DIONNE 』収録曲)。この曲のカヴァーに初めて出会えて、ムチャクチャ嬉しいっす。キーは原曲と同じでテンポもほぼ同じ。アレンジはオリジナルをリスペクトしたもので雰囲気は出ていますし、言葉を噛み締めるように丁寧に歌う彼女の真摯な姿勢もいいですね。トランペットの特徴的なオブリガートを
シンセで演奏しているのですが、このトランペット音色がかなりチープなのが惜しいところ。でも、こんな超レア曲をチョイスした彼女のバカラック愛に敬意を表します。
T-3.「 オッズ・アンド・エンズ 」もディオンヌがオリジナル(1969年のシングル曲で全米43位。拙ブログではこちらで紹介)。キー、テンポ共に原曲と同じ。アレンジはオリジナルをリスペクトしたもので、コピーと言ってもいいくらい。歌声も味わいがあります。
T-4.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」はディオンヌのデビュー曲(1963年のアルバム『 PRESENTING DIONNE WARWICK 』収録)。この曲を彼女はダンス・チューンとしてカヴァー。メロディを適度にフェイクして歌っていてカッコイイです。
T-5.「 恋のおもかげ 」はダスティ・スプリングフィールドがオリジナル(1967年のサントラ『 CASINO ROYALE 』収録)。サントラ版ではなくダスティ自身のアルバム収録版(短縮バージョン)をベースとしたアレンジ。彼女の歌声は若干ハスキーでダスティと似ていることもあって違和感なく馴染んで聴こえます。
T-6.「 アルフィー 」はシラ・ブラックがオリジナル(1966年の英映画『 アルフィー 』宣伝用イメージソングで全英9位。拙ブログではこちらで紹介)。シラ版と同じキー、同じテンポで、アレンジもシラ版をリスペクトしたものです。
T-7.「 ア・ライフタイム・オブ・ロンリネス 」はスティーヴ・アライモがオリジナル(1963年)ですが、有名なのはジャッキー・デシャノンのカヴァー(拙ブログではこちらでちょろっと紹介)。ジャッキー版をリスペクトしたアレンジで、キーもテンポも同じ。歌声もジャッキーに寄せて歌っています。

T-8.「 ウォーク・オン・バイ 」はディオンヌがオリジナル(全米6位。1964年のアルバム『 MAKE WAY FOR DIONNE WARWICK 』収録)。彼女はコンテンポラリーでクールなダンスチューンにアレンジ。そういうアレンジなら声にもう少し勢いがあるといいなぁと思います。
T-9.「 オン・マイ・オウン 」はパティ・ラベル&マイケル・マクドナルドの全米1位曲(1986年のアルバム『 WINNER IN YOU 』収録)。キー&テンポ含めてオリジナルに忠実なアレンジで、R&B系の男性シンガー Jarreau Williams とデュエット。でもなんかコピー感が強いです。
T-10.「 恋するハート 」はディオンヌがオリジナル(全米8位。1964年のアルバム『 ANYONE WHO HAD A HEART 』収録)。ディオンヌ版の世界観をキーやテンポは同じままコンテンポラリーなアレンジで表現。後半ではラップも加わります。彼女の声ではなさそうですが。
T-11.「 恋するハート 」は同じ曲のダンス・ヴァージョンで、前述したEP『 Random 』に収録されていたもの。思いっきりユーロビート系?のダンスチューンに仕上げていてメロディもぶっとんでます。原曲の面影は薄いですがこれはこれでカッコイイですねー。
T-12.「 恋のとまどい 」はトミー・ハントがオリジナル(1962年)ですが、有名なのはダスティ・スプリングフィールドのカヴァー(1964年に全英3位。こちらで少し触れてます)。しかし、彼女のカヴァーはディオンヌ版(1966年のアルバム『 HERE WHERE THERE IS LOVE 』収録)を忠実に再現したもの。当時の若いディオンヌと比べて高音域の歌声のハリがイマイチかなぁ。
T-13.「 愛の思い出 」はトミー・ハントがオリジナル(1964年)ですが、なんと言っても同年全英1位になったサンディ
・ショウのカヴァーが有名で、ディオンヌもカヴァー(1967年のアルバム『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』収録)。彼女はダンスミュージックにアレンジしていますね〜。この曲がこんなにカッコ良くなるとは!
T-14.「 小さな願い 」はディオンヌがオリジナル(全米4位。これも1967年のアルバム『 THE WINDOWS OF THE WORLD 』収録)。世間的にはアレサ・フランクリンのカヴァーの方が人気ありますが(こちら参照)。彼女はアレサ版をベースとしてダンス・チューンにカヴァーしています。

半数の7曲(T-2,3,5,6,7,9,12)がオリジナル或いは有名なカヴァーをリスペクトしたもの、5曲(T-4,8,10,13,14)がダンス・チューン、1曲(T-1)がポップ・チューン、1曲(T-11)がぶっとんだカヴァー。
バックトラックのクオリティは正直イマイチではあるものの、彼女のバカラック愛が十分伝わってくるカヴァー集だと思います。個人的なレコメンドは、T-2,3,4,11,13 あたりです!

参考までに、本アルバムに関するネット記事をいくつか貼っておきます。インタビュー記事1本①とアルバム紹介記事3本②③④です。アルバム紹介記事はけっこう似通ってますけれど…。
Burt Bacharach-Dionne Warwick Tribute Album – The Anya Audette
Legendary Artist TheAnyaAudette Revives Burt Bacharach’s Genius in “Burt Bacharach Re (Imagined)”
Visionary and Bold: TheAnyaAudette’s Tribute in “Burt Bacharach Re (Imagined)” is Mesmerizing
A Masterpiece Reborn: TheAnyaAudette’s “Burt Bacharach Re (Imagined)” Will Leave You Speechless


【データ】
『 Burt Bacharach Re (Imagined) 』
The Anya Audette(ネットでの表記は theanyaaudette)

MP3:2024年9月12日リリース
レーベル:HARDYGIRL1966 (US)
番号:?

詳細なクレジットは不明

Amazonリンク(MP3

2024年8月25日 (日)

The Sound Of Bacharach/Messias (1969年)

ブラジルのギタリスト、メシアスが1969年にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
A2. A HOUSE IS NOT A HOME
A3. I SAY A LITTLE PRAYER
A4. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
A6. THE BEGINNING OF LONELINESS
B1. THE LOOK OF LOVE
B2. ALFIE
B3. THE WINDOWS OF THE WORLD
B4. WHO IS GONNA LOVE ME
B5. PROMISES, PROMISES
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約36分


ブラジルのギタリスト、メシアスが1969年にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

─ ブラジルのギタリスト。1941年にジャカレジーニョで生まれました。6歳の時、メシアスは父親(ギター教師、パーカッショニスト)から音楽理論とドラムを学びました。約3年間、彼はギタリストと歌手として、Cry Babiesというダンスミュージックグループに参加しました。その後、サンパウロに移り、地元のナイトクラブで演奏して徐々に非常に人気になります。
彼は1964年にContinentalと契約し、最初の7"EP『 Sem Bossa 』をリリース。その後、RCAブラジルから最初のLP『 Messias E A Musica De Chico Buarque De Hollanda 』をリリースしました。彼のフルネームはMessias Santos Jr.で、フルネーム名義では主に作曲家/アレンジャーとして活躍しました。彼は1985年に自動車事故で亡くなりました。 ─ (Discogsより)

メシアスに関する情報は殆ど無く、Discogsに載ってるMessias (4)のプロフィールをそのまま引用しました。悪しからず。

ブラジルのギタリストということでジャズボッサあるいはラテンジャズ的なテイストを期待したのですが、ちょっと期待はずれでした。まぁ、ジャケットの表面が当時のバカラックの写真をパクったものという時点で胡散臭いし(ジャケット裏面はギターを爪弾いてるメシアスですが)、ミュージシャンのクレジットも無く、曲目リストにしたってトラック順ではなく曲名の長い順に並べてるだけですから。全くフザケてます😡。

因みに表ジャケのバカラックはこちらの写真の左側をトリミングしたものですねー。無断使用した疑いが濃厚です…。
Embed from Getty Images

んで、聴いてみたらイージーリスニングでした…。編成はギター、ベース、ドラムス、オルガン、ピアノ、フルート/サックス、トランペット。アレンジはディオンヌ・ワーウィックやバカラックのセルフカヴァーなどのバージョンをベースとしたものが多く、あまり気を衒った感じは無く無難な印象。特徴は、ギターが主メロを多く奏でていることと、オルガンと管楽器が活躍していて若干ソウルジャズ的な雰囲気があるところでしょうか(薄いですけどね)。

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とりわけこれはレコメンド!という曲はありませんが、B1.「 アルフィー 」はバカラックバージョンをベースとしたアレンジで、ギターとフルートとトランペットのバランスが良く(特にフルートとトランペットがユニゾンや掛け合いでメロディを吹く場面)準レコメンドといったところ。それから、A6.「 ザ・ビギニング・オブ・ロンリネス(孤独を知って)」はオリジナルのディオンヌ・ワーウィック(1967年3月にシングルA面でリリース、全米79位)以外にカヴァーを聴いた事がない超レア曲で、これは嬉しいですねー。それと、カヴァーが少ない上にあの山下達郎氏が全バカラック作品の中でとりわけ好きな曲だというB4.「 フー・イズ・ゴナ・ラヴ・ミー(誰が私を)」(これもディオンヌがオリジナルで1968年8月にシングルA面リリース、全米33位)を取り上げてる点も評価できるかな。

以上、あまりの暑さに脳みそが溶けてしまい、やっとこさブログを更新したあるでおでした。


【データ】
『 The Sound Of Bacharach 』
Messias

LP:1969年リリース
レーベル:RCA Victor (Brazil)
番号:BBL-1490

Artistic production:ramalho nato & wilson miranda
Arrangements and conductor:francisco morais

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年8月 4日 (日)

Sings & Loves Burt Bacharach/Stephy Haik (2024年)

フランス系アメリカ人のボーカリスト、ステフィー・ハイクが2024年にリリースしたバカラック・カヴァー集です!

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全14トラック中、バカラック作品は13トラック

1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
2. WALK ON BY
3. TRAINS AND BOATS AND PLANES
4. I SAY A LITTLE PRAYER
5. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
6. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
7. MY LITTLE RED BOOK
8. THE WINDOWS OF THE WORLD
9. GOD GIVE ME STRENGTH
10. WIVES AND LOVERS
11. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
12. DON'T MAKE ME OVER
13. 無音トラック (0:04)
14. A HOUSE IS NOT A HOME

収録時間約58分


フランス系アメリカ人のボーカリスト、ステフィー・ハイクが2024年7月下旬にリリースしたばかりのバカラック・カヴァー集です!

最初に言っておきます。本アルバムはガチでレコメンドです。ジャズに抵抗がない方であれば断然オススメいたします。

ステフィー・ハイクはニューヨークで育ち、幼い頃から音楽とともに育ちました。彼女は有名な舞台芸術高校「フェイム」で学び、その後マンハッタン音楽学校で学びました。彼女の官能的なトーン、大胆なスウィング、そして素晴らしい歌いやすさは、最も権威あるミュージシャンを魅了してきました…。彼女の公式サイトではそう紹介されています。ニューヨークとパリを中心に活動している様です。そして、彼女の最新プロジェクトがBurt Bacharach Project。当初は2020年11月にリリースする予定だったそう。コロナ禍で狂っちゃったのかな? ともあれ、完成したアルバムが本作というワケです。

─ 彼女は、ポップミュージックの中でも最も素晴らしいバカラックのナンバーのメロディーの豊かさを強調することに成功しています。アルバムプロデューサー、ジャン・クロード・グレナシアは、バッキングに本物のオールスター・ジャズミュージシャンを起用しています。アレンジとオーケストレーションはオリヴィエ・ユットマンが担当し、ステフィー・ハイクのヴォーカルの優美さを見事に引き出しています。  ─ (VENTO AZUL RECORDSさんのアルバム紹介より引用)

彼女がライナーノーツに記しているコメントをご紹介します。彼女の並々ならぬ思いが伝わってきます。Googleによる機械訳です、悪しからず。

─ バート・バカラックの曲は、たとえそのいくつかが彼のレパートリーであるとは知らなかったとしても、文字通り私の人生のサウンドトラックを形作りました。どれも私や人々の心に響きます。常にポップな気楽さを感じさせる一方で、リズミカルでハーモニーのあるひねりが美しく、誰もが受け入れることができます。バカラックの歌を歌うのは至福のひとときです。それは私の魂の奥深くに到達し、あらゆる音楽的感覚と感性を探求する素晴らしい機会を与えてくれます。レパートリーの選択は間違いなく最もデリケートで難しいことでした。どの曲もこれほどの魔法を伝えているのに、どうやって数曲だけを選ぶことができるのでしょうか? この偉大な作曲家に対する私の愛と尊敬が、私が彼の音楽に敬意を払うきっかけとなりました。彼の曲の1つ「 ALFIE 」を私のアルバム『 The Longest Mile 』に収録するのはごく自然な流れでした。私は今、オリヴィエ・ユットマンがアレンジしたこれらの曲でバート・バカラックの道を歩んでいます。私たちは二人ともこの素晴らしい作曲家を愛しており、彼の音楽に敬意を表したいと思っていました。皆さんとそれを共有できることを楽しみにしています...。  ─

彼女の歌声は芯があって明るく若干ファニーなキャラクターですが、曲によってさまざまな印象を与えます。バックは、ピアノトリオを軸として、曲によりギターやトランペットが加わります。アレンジも自在で意欲的且つ聴きごたえのある本格的なジャズのサウンドが展開されます。一曲ずつ簡単にご紹介します。

T-1.「 恋よさようなら 」:スウィングのリズムでとても軽快なカヴァーです。
T-2.「 ウォーク・オン・バイ 」:リズムがちょっと変わっていてピアノやベースのアドリヴも熱い。レコメンド。
T-3.「 汽車と船と飛行機と 」:バックはピアノトリオ+ギター。跳ねる様なリズムが心地よいです。レコメンド。
T-4.「 小さな願い 」:8分の6拍子の細かいリズムが印象的。ステフィーの歌唱はエモーショナルですがどこか翳があります。
T-5.「 愛の思い出 」:バックはピアノトリオ+トランペット。なんと7拍子(4拍子+3拍子)にアレンジ。ステフィーの歌声もパンチがありますねー。そのチャレンジングなアレンジにレコメンド。
T-6.「 遥かなる影 」:ゆったり3拍子にアレンジ(4拍子1小節→3拍子2小節に)。揺れる想いを表現してるかのよう。レコメンド。
T-7.「 マイ・リトル・レッド・ブック 」:ウォーキングベースやピアノのアドリヴがカッコイイ。ステフィーのシャウトもカッコイイ。レコメンド。
T-8.「 世界の窓と窓 」:落ち着いた演奏&歌唱が美しい。
T-9.「 ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 」:バックはピアノのみで、ミニマルな音しか弾いてません。ステフィーの魂の歌声に聴き入ってしまいます。レコメンド。
T-10.「 素晴らしき恋人たち 」:バックはピアノトリオ+トランペットで、男性ヴォーカル(ブルース・ジョンストン)とのデュエット。なんとなんと5拍子にアレンジ。アグレッシブでタイトな演奏です。レコメンド。
T-11.「 世界は愛を求めてる 」:本アルバムの中では一服の清涼剤的な割とオーソドックスなアレンジ。
T-12.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」:バックはベースのみ。ステフィーの歌唱に心揺さぶられます。レコメンド。
T-13. 4秒だけの無音トラック。13という数字を嫌ったのかもしれません。だって全く意味ないですもん…。
T-14.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」:ピアノトリオ+ギター+トランペットという編成。しかも3拍子にアレンジしています。

ここからはオマケ。MP3で所有しているステフィー・ハイクによるバカラック・カヴァーをご紹介。
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彼女は2009年にリリースした自身初のアルバム『 The Longest Mile 』で「 ALFIE 」(3:45)をカヴァーしています。ライナーノーツで言及していたヤツですね。バックはアコースティック・ギターのみで、彼女はエモーショナル&繊細に歌っています。素敵なカヴァーだと思います。


【データ】
『 Sings & Loves Burt Bacharach 』
Stephy Haik

CD:2024年7月下旬リリース
レーベル:Frémeaux & Associés (FR)
番号:FA8614

Co-produced by Jean-Claude Ghrenassia and Stephy Haik
Stephy Haik - Vocals
Olivier Hutman - Piano and Arrangements
Sylvain Romano, Jean-Claude Ghrenassia - Bass
Steve Williams - Drums
Hugo Lippi - Guitar
Hermon Mehari - Trumpet
FEATURING ...
Bruce Johnston - Vocals
Andre Ceccarelli - Drums

Recorded by Dominique Blanc-Francard at Labomatic Studio in Paris
except T-4,6. - Recorded by David Drussant at STUDIO DE PETIT PONT in Maurepas
Mixed Dominique Blanc-Francard - May 2023

All songs written by Burt Bacharach and Hal David
except T-9. by Burt Bacharach and Elvis Costello

(P) 2023-2024 Cirta Editions - Frémeaux & Associés
©️2024 Groupe Frémeaux Colombini

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し(私はタワーレコードで購入)

2024年3月10日 (日)

エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力/沖浩一トリオ(1970年)

エレクトーン奏者の沖浩一がギターやドラムスを加えたトリオ編成で録音したバカラック作品集です。1970年10月リリース。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  (2:46)
A2. I SAY A LITTLE PRAYER  (4:48)
A3. LONELINESS REMEMBERS (WHAT HAPPINESS FORGETS)  (2:22)
A4. ODDS AND ENDS  (2:28)
A5. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  (4:12)
A6. THE APRIL FOOLS  (3:51)
B1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE   (4:13)
B2. DON'T MAKE ME OVER  (2:57)
B3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  (3:16)
B4. PROMISES, PROMISES  (2:52)
B5. THE SUNDANCE KID  (1:57)
B6. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD  (3:51)

収録時間約40分


エレクトーン奏者の沖浩一がギターやドラムスを加えたトリオ編成で録音したバカラック作品集です。

─ 1958年に日本で開発された電子オルガン、エレクトーン(注1)は、今や電子オルガンの代名詞となってしまった感がある。このレコードで編曲・演奏をしている沖浩一(注2)も大阪学芸大学の特設音楽科でピアノを専攻するかたわら、エレクトーンに興味を持ち、オルガニスト斉藤超に師事、独特の奏法を作りあげた。このレコードで彼は、主に、エレクトーンD-2B型(注3)を自ら改造した楽器を用い、彼のトリオで独特なサウンドの演奏をくりひろげ、オリジナルなバカラック像を作り出している。  ─ (ライナーノーツ「 このレコードについて 」より)

本アルバムは、バカラック初来日コンサート(翌1971年4月)の約半年前…1970年10月のリリース。日本人演奏者によるバカラック・カヴァー集としては比較的早い時期にリリースされました。参考※までにバカラック来日以前に発売されたアルバムをリリース順に紹介します(リンクは拙ブログ記事に跳びます)。なお、キム・サン・ヒーのアルバムは、ヴォーカル以外は全て日本人による演奏であるため掲載しています。※リスト作成:土龍団

リリース アルバムタイトル アーティスト
1969/  3/10 SADAO PLAYS BACHARACH & BEATLES 渡辺貞夫とオールスターズ
1969/11/25 スターゲイザース・バカラックを歌う 岡崎広志とスターゲイザース
1970/  2 サン・ホセへの道≪バート・バカラックの世界≫ 稲垣次郎とリズム・マシーン
1970/  9 バック・トゥ・バカラック ロック・アカデミー弦楽四重奏団
1970/10 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 沖浩一トリオ
1971/  2 田畑貞一ドラムの世界VOL.3 バート・バカラックに挑戦 田畑貞一
1971/  3/25 Sings Tom Jones & Burt Bacharach キム・サン・ヒー(Kim Sang Hee)


エレクトーンの沖浩一を中心に、ドラムス(長谷川昭弘)、ギター(水谷公生, 川崎燎)を加えたトリオ編成。
今ではエレクトーンに当たり前に備わっているオートリズム機能(リズムボックスのこと)ですが、1972年に初めてオートリズム付きエレクトーンが世に出るまではオートリズム無しで演奏されていました。エレクトーンは右手鍵盤でメロディを、左手鍵盤と足鍵盤でリズム伴奏をするのが一般的ですが、エレクトーンだけだとリズムが甘くなるんですね…。当時プロのプレイヤーはコンサートではドラマーと一緒によく演奏していたそうです。本アルバムではドラムスに加えてギターも参加して(このギターがほぼリズムを刻むことに徹しとるんですわ)リズムをサポートしています。そのおかげか、左手鍵盤は和音の他にメロディ(音色を変えて右手鍵盤とハモったり)やオブリガートを弾くことも多くアレンジの幅を広げています。

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なお、ダブルジャケットの見開きは ↑ こんな感じ。クリックして拡大すればなんとか読めると思います。ライナーノーツの大半はバカラックの説明で、他には前掲した「このレコードについて」のみ。取り上げた楽曲についての解説は一切なく、演奏者の顔写真もなし。ただし、来日したハル・デイヴィッド夫妻の写真(拡大しました)は貴重かも。1970年7月だから万博でも観に来たのでしょうか?

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全12曲はバカラックの有名曲が殆どですが、A3.「 ロンリネス・ハッピネス(本アルバムの邦題:愛は想い出)」、A4.「 オッズ・アンド・エンズ 」のようなレア曲もあります。後者A4.はディオンヌ・ワーウィックの1969年7月シングルA面曲なのでまだわかりますが、前者A3.はディオンヌ・ワーウィック1970年3月リリースのシングル「 LET ME GO TO HIM 」のB面曲。1970年4月リリースのアルバム『 I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 』に収録されているとはいえ決してヒットした曲ではありません。沖浩一さんの琴線に触れたんでしょうねー。B6.「 雨にぬれても 」以外にB5.「 サンダンス・キッド 」も演ってるのは映画『 明日に向って撃て!』の日本公開直後だからかな?

A面の曲は比較的大人しいアレンジが多い印象。そんな中、A2.「 小さな願い 」ではエレクトーンのアドリヴに加えて本アルバム中で唯一となるギターのアドリヴが熱いです。あと、A6.「 エイプリル・フール 」のイントロ/アウトロは独特でちょっとシュールな気もします(笑)。

一方、B面は意欲的なアレンジが目立ちます。B1.「 サン・ホセへの道 」の面白い音色はモーグっぽい。B2.「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」はハモンドオルガン的音色でブルース風。B3.「 ディス・ガイ 」ではブロック奏法でメロディを弾き、スウィングのリズムで中間部〜後半のアドリヴも含めてジャズオルガンの香りがプンプンします。B4.「 プロミセス・プロミセス 
」でのグリッサンド奏法などを駆使したノリに乗った演奏は私的レコメンド。B6.「 雨にぬれても 」ではマンドリン効果(マンドリンとそっくりの音色が出るというのではなく、マンドリン奏法に似た、断続的な音を発するエフェクトの一種)をメロディにかけて雨粒の雰囲気を出しています。エレクトーンならではの面白い音です。

エレクトーンによるバカラック・カヴァー集は、以前拙ブログでも斎藤英美の『 プレイ・バカラック 』(1971年リリース)を紹介しています。ハモンドオルガンによるバカラック・カヴァー集も、Ena Bagaの『 The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach 』(1972年リリース)、Patrick Saussois & Rhoda Scottの『 THE LOOK OF LOVE 』(2010年リリース)を紹介しています。それぞれアレンジの方向性が全く違っていて面白いなぁと思います。

(注1)エレクトーン:ヤマハ株式会社が製造発売する電子オルガンの商品名。エレクトーンの開発が始まったのは1952年(昭和27年)。1958年(昭和33年)日本楽器(現:ヤマハ)、日本電気、NHKのそれぞれの技術陣が協力して、真空管方式による国産初めての電子オルガンを試作、銀座ヤマハホールで公開した。「1958年に日本で開発された…」とあるのはこのことを指すのであろう。1959年(昭和34年)に最初のエレクトーンD-1型が発売された。なお、商品としては日本ビクターから1958年に発表されたEO-4420型が日本初の電子オルガンである。


(注2)沖浩一:1940年生まれ(2022年12月8日没、享年82歳)、大阪府出身のジャズ・オルガン/エレクトーン/シンセサイザー奏者。1966年の第3回エレクトーンコンクール本選会の演奏部門シニアで第1位。なおこの時の審査員は芥川也寸志、朝比奈隆、外山雄三、山本直純、川上源一(当時の日本楽器社長)など錚々たる顔触れであった。1966年に日本テレビ系列で毎週木曜の夕方に全国放送された『 エレクトーン教室 』のエンディングで、当時活躍したプレイヤーの道志郎、斎藤英美などに混じってゲスト出演し演奏を披露。60年代から70年代にかけてレコードも多数リリース。1977年にペレの引退試合が大阪と東京で行われた際には東京会場で演奏した。東京スカパラダイスオーケストラの沖祐市の実父でもある。
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(注3)エレクトーンD-2B型(ヤマハ公式サイト エレクトーンの変遷):発売期間 1967年6月〜1971年4月。価格 ¥395,000。多くの人に愛された機種で、1971年に製造が停止されて以降も数年にわたって中古市場で引っ張りだこ。人気の秘密は音の美しさにあったよう。基本的には音の立ち上がりが速い、と評価されていたが、沖浩一はD-2Bに満足しきっていたわけでもなかった。 ─ D-2Bはよく使いましたが、ベース(足鍵盤)の音はサスティンを切っても甘かった。それで、サスティンは効かなくなるけど、パチッと音が出るベースにするには、ただ一ヶ所ペンチでプツンと切ればいいと。そういうことをやって、楽しかったですね ─ 沖浩一は、コンサート会場のD-2Bを本番前にプツンと改造しては、あとで元に戻して帰ったそう。本アルバムも、恐らくサスティンの回路を切った改造D-2Bのサウンドと思われる。

(注1)〜(注3)の参考文献:エレクトーン雑学班/編著『 知ってるようで知らない エレクトーンおもしろ雑学事典 』(2009年、ヤマハミュージックメディア)

ここからはオマケ。MP3で所有している沖浩一のバカラック・カヴァーをご紹介。

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沖浩一は豪州/ニュージーランドで1970年にリリースしたアルバム『 Incredible Organ... 』で「 雨にぬれても 」(3:29)をカヴァー。アレンジの構成は『 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 』と同じですが、1970年発売のエレクトーンEX-42型(ヤマハ公式サイト エレクトーンの変遷)によるソロ演奏で、音色の設定も異なります。ドラムスやギターがいない分自由に演奏できるからかテンポも若干速く、より表現力が豊かな演奏だと思います。
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沖浩一は1971年にリリースしたアルバム『 エレクトーン・ファンタスティック 沖浩一の“ロンドンの休日” 』で「 THE LOOK OF LOVE(恋の面影)」(3:06)をカヴァー。英国や豪州では『 Yamaha Superstar! 』というタイトルでリリースされました。エレクトーンEX-42型とドラムス、ギターという編成。沖浩一のエレクトーン演奏はとてもハード。ジャズオルガンですわ、これは。レコメンドですねー。


【データ】
『 エレクトーン・ファンタスティック バート・バカラックの魅力 』 (英題:Electone Fantastic - Burt Bacharach Song Book)
沖浩一トリオ

LP:1970年10月リリース
レーベル:CBSソニー (JP)
番号:SOND-66041
価格:¥1,800


Produced by ?
Arranged by 沖浩一
  Drums - 長谷川昭弘
  Guitar - 川崎燎 (A1〜5, B1,5,6)、水谷公生 (A6, B2〜4)
  Organ - 沖浩一

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2024年3月 3日 (日)

The Look of Love/Ali Harper (2020年)

ニュージーランドの女性シンガー、アリ・ハーパーが2020年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. THE LOOK OF LOVE
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. I SAY A LITTLE PRAYER
4. ALFIE
5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
6. WALK ON BY
7. A HOUSE IS NOT A HOME
8. WHO'LL SPEAK FOR LOVE
9. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD / THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
10. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF / ANYONE WHO HAD A HEART
11. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
13. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR

収録時間約43分


ニュージーランドの女性シンガー、アリ・ハーパーが2020年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。私は全く知らなかったのですが最近ちたりた様に教えていただいた次第。ちたりた様、情報提供ありがとうございました!

アリ・ハーパー(生年不詳)はニュージーランドの演劇学校を卒業後、クライストチャーチを拠点に歌手/俳優/プロデューサー/ライター/MC/歌のコーチ/ヨガ講師として30年にわたるキャリアを積んできたお方。クライストチャーチといえばニュージーランド南島の中心的な都市。私も30年近く前にプライベートで行ったことがあります。季節は2月下旬〜3月上旬で現地は夏の終わり頃。当時の写真を見て記憶が蘇りました。2泊してチャリンコであちこち走ったんですが、暑くなく穏やかで緑豊かな街でした…。
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彼女はこれまでに7枚のアルバムをリリースしていますが、本作は6作目にあたります。彼女の公式サイトからCDをオーダーできるようですが、AmazonやDiscogsでは中古も含めて取り扱っておらず今回MP3データをダウンロードしました。ブログ冒頭のCDケース裏面の画像は公式サイトからパクったものですが、バーコードも印刷されてないしオンデマンドCD的なものでクレジットも記載ないんでしょう
。なのでCD入手してもあまり意味ないかな…と。そうそう、YouTubeにはフルアルバムが自動生成されておりますです。

─ 収録された15曲(13トラック)はバカラックのヒットソングから選曲したもの。このCDは、アメイジングなCSOのストリングスを含めてニュージーランド腕っこきのミュージシャンをフィーチャーしています。  ─ (公式サイトのアルバム紹介より、私の意訳で)


CSOとはクライストチャーチ交響楽団(Christchurch Symphony Orchestra)の略称。聴いてると確かに控えめなストリングスが聴こえます。演奏の基本となるのはピアノ、ドラムス、ベース。曲によって女性コーラス、ギター、金管楽器が加わります。金管楽器がCSOの団員なのかスタジオミュージシャンなのかはよくわかりませんが…。多くの曲が最もポピュラーなバージョンをベースにしたアレンジ。ですが、T-3.「 小さな願い 」だけはオリジナリティのあるアレンジで、最初はピアノだけそしてシンフォニックなオケをバックにソウルフルに、次いでテンポアップしてライトなボサノヴァ調になります。

アリ・ハーパーはとても張りのあるブライトな歌声で、まさしくミュージカルや舞台で活躍する方の歌唱。T-4.「 アルフィー 」とT-7.「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」はピアノのみをバックにとても感情豊かに歌っておいでですし、最初はしっとりで後半に向けて盛り上がっていくT-8.「 フール・スピーク・フォー・ラヴ 」も同様です。これら3曲が彼女の真骨頂じゃないかと思います。

彼女は2020年3月に本アルバムをリリースしたのち、翌年にかけてニュージーランド国内で『 The Look of Love 』ツアー(3月:Nelson、12月:
Christchurch、2021年1月:Wellington)を敢行。そのうち首都であるウェリントンのCIRCA Theatreでのショウの時の写真を公式サイトからパクっていくつか載せておきます。また、そのショウの裏側を撮影した公式動画がありましたのでついでに貼り付けておきます。
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ここからはオマケです。他にMP3で所有しているアル・ハーパーのバカラック・カヴァーをご紹介!
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彼女は2004年にリリースした1stアルバム『 Something So Right 』で「 CLOSE TO YOU 」(4:12)をカヴァー。カーペンターズ版をベースにしていますが、ジャズ・バラード風のアレンジでしっとりした肌触り。中盤からはブラスとサックスもは加わり華やさも。アル・ハーパーはアレンジに合わせて最初はしっとり、中盤からはブライトな歌声で歌っています。


【データ】
『 The Look of Love  Celebrates the Music of Burt Bacharach
Ali Harper

CD:2020年3月リリース  (所有はMP3のみ)
レーベル:Ali-CatProductions (NZ)  (所有はMP3のみ)
番号:-   (所有はMP3のみ)

Produced by Ali Harper and Iain Cave (Ali-Cat Productions)
Music arranged, produced and mixed by Tom Rainey
Soundtrack played by members of the Christchurch Symphony Orchestra
Backing vocals performed by Jennine Bailey, Naomi Ferguson and Juliet Reynolds-Midgely
Recorded and engineered by Thom O’Connor

Amazonリンク(MP3

2024年2月18日 (日)

Plays The 3B's/The Carmen Cavallaro Camp (1970年)

米国のピアニスト、カーメン・キャバレロが The Carmen Cavallaro Camp 名義で1970年にリリースした3Bカヴァー集。バカラック・カヴァーを4曲収録!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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全10トラック中、バカラック作品は4トラック

A1. ELEANOR RIGBY (3:37)

A2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN (2:58)
A3. LET ME GO TO HIM (2:34)
A4. PAPER MACHE (3:25)
A5. YESTERDAY (4:29)
B1. HERE, THERE AND EVERYWHERE (3:17)
B2. GAVOTTE (2:59)
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (2:08)
B4. AIR ON A G STRING (3:22)
B5. LET IT BE (3:11)

収録時間約33分


米国のピアニスト、カーメン・キャバレロが The Carmen Cavallaro Camp 名義で1970年にリリースした3Bカヴァー集です。

The 3B's とはその下に小さく括弧書きされてる通り The Beatles, Bacharach & Bach のこと。ジャケットにも左からビートルズ4人→バカラック→バッハが描かれてます。バカラックの顔は全然似とらんけど😆。

カーメン・キャバレロは、1913年NYC生まれ(1989年没、享年76歳)の🇮🇹系米国人ピアニスト。 ─ クラシックの演奏家を目指したが、ある時点から非常にポピュラー音楽に興味を持ち、転向した経緯があり、演奏基礎はクラシックにあった。クラシックからポピュラー・ミュージックまで幅広くこなした。ピアノ・タッチは豪快で、処狭しと細かい装飾音もまじえたもので、「キャバレロ・タッチ」と称される。和音と装飾音のリズムは目の前が開けるように華麗な演奏で、「煌びやかなホテルのロビーにいるよう」とも評された。  ─ (Wikipediaより)

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この画像はDiscogsからパクりました。いつの写真かわかりませんが若い頃の写真でしょう。そのDiscogsによればキャバレロのレコードデビューは1939年(勿論SP盤の時代)。キャバレロ名義だけでも1940年代に12枚、50年代に19枚、60年代に25枚、70年代に12枚、80年代に3枚のアルバムが載っています。人気あったみたいですねー。


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さて本アルバム。↑ はダブルジャケットを開いて90°回して縦向きにしたところ
。3Bについて何て書いてんだろ?と期待して英文読んだんですが、その中身はキャバレロの宣伝文句のみ。イラストのモノクロ版なんか載せるヒマがあったら何かしら3Bの解説しろやっ! と、思わずツッコミを入れてしまいました😤。

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全10曲の内訳はビートルズ4曲(A1,A5,B1,B5)、バカラック4曲(A2〜A4,B3)、バッハ2曲(B2,B4)。バッハのB2.「 GAVOTTE 」の元曲は「 French Suite No.5 」で、B4.「 AIR ON A G STRING 」はご存じ「 G線上のアリア 」です。

キャバレロの華麗で豪快で煌びやかなピアノが主役。ピアノのタッチはクラシック系統のソレ。ピアノを生かしつつ更に自らも活躍しているオケのアレンジがこれまた秀逸でして。オリジナリティのあるオカズやオブリガートをふんだんに盛り込み、管楽器・弦楽器・パーカッションがメリハリの効いた演奏でそれに応えています。加えて、曲により加わる男女コーラスも美味(A4.と B1.では一部歌詞も歌ってます)。アレンジャーのJim Tylerはブロードウェイ・ミュージカルの編曲家で、ヴィック・ダモンやトニー・ベネットのショーでも活躍した方だそう。Good jobです。


バカラック4曲について感想を。A2.「 恋よ、さようなら 」は可愛らしい小洒落たアレンジ。A3.「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム(恋に生きて)」はディオンヌがオリジナルでカヴァーが片手くらいしかない超レア曲。オリジナルのゆったりワルツに対しキャバレロ版はテンポの早い跳ねるジャズワルツ調が新鮮。A4.「 ペイパー・マシェ 」はディオンヌのオリジナルから遠く離れないドリーミーなアレンジ。2コーラス目だけ男女コーラスが歌詞をハモって歌います。B3.「 雨にぬれても 」は♩≒180超のむっちゃ速いテンポにのけぞります。ブラスとピアノの派手な掛け合いが聴きどころで、2分少々と尺は短いですが印象に残ります。そーですねぇ、A3.とB3.をレコメンドにしときましょうか。

因みに、A2.〜A4.の3曲はディオンヌが1970年4月にリリースしたアルバム『 I'll Never Fall In Love Again 』の収録曲で、3連続シングルA面曲でもあります(「 恋よ、さようなら 」1969年12月リリース【US#6】、「 レット・ミー・ゴー・トゥー・ヒム 」1970年3月リリース【US#32】、「 ペイパー・マシェ 」1970年7月リリース【US#43】)。B3.「 雨にぬれても 」は言わずと知れた'70年代最初の全米1位曲。「 恋よ、さようなら 」は1968年のミュージカル『 Promises, Promises 』の挿入歌ですが米国でヒットしたのはディオンヌのカヴァーでしたので、旬の曲ばかりをチョイスした感じでしょうか…。

アルバム中の白眉はA5.「 イエスタデイ 」。ピアノ協奏曲のようなイントロで始まります。1コーラス目はわりと普通にイエスタデイしてるんですが、2コーラス目のサビからからいきなり高速ラテンモードに突入! …と思ったら劇的なクライマックスを迎え、その後はしっとり陰影あるエンディング。まるで一遍のロマンス映画(ひょんなことから知り合い障害を乗り越え結ばれたが引き裂かれてしまう悲恋物語)を観たような壮大なアレンジに唸りました。

このアルバムは掘り出し物ですねー。YouTubeにフルアルバムがUPされてますが、是非CDリイシューして欲しいものです。

ここからはオマケ。キャバレロのバカラック・カヴァーを更にご紹介(MP3すら所有しておらずあくまでYouTubeを聴いての感想です
😅)。
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キャバレロは1965年リリースのアルバム『 The Magic Music Of Hollywood 』で「 WIVES AND LOVERS 」(2:06)をカヴァー。キャバレロのピアノ+ドラムス+ギターという変則ピアノトリオ編成。ドラムスは単調に刻むだけだしギターもバッキングだけなので注目はピアノなんですが、多少アドリヴはあるものの単調な演奏でう〜んという感じ、残念!
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また、1968年リリースのアルバム『 Carmen Cavallaro Plays The Hits 』では「 ALFIE 」(2:53)をピアノトリオ編成でカヴァー。ドラムスとベースはサポートに徹しています。キャバレロは華麗なアドリヴを交えて情感込めてピアノを弾いてますが、まぁ無難な演奏といったところかと。


【データ】

『 Plays The 3B's (The Beatles, Bacharach & Bach)
The Carmen Cavallaro Camp

LP:1970年リリース
レーベル:GWP Records (US)
番号:ST 2011

Produced by Andy Wiswell
Arranged by Jim Tyler
Recorded at Pye Studios, London, England

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

 

2024年2月 4日 (日)

Rarin'/Something Big (2013年)

米国のバンド、Something Big が2013年にリリースした5曲入りEP。バカラックのレアな曲ばかりをカヴァー! (デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. AFTER THE FOX (2:23)  FM
2. IT DOESN'T MATTER ANYMORE (2:50)  F
3. COME AND GET ME (3:25)  F
4. SOMETHING BIG (3:29)  FM
5. LIVE AGAIN (3:01)  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記


収録時間約15分


米国のバンド、Something Big が2013年にリリースした5曲入りEP。バカラックのレアな曲ばかりをカヴァー!

─ Something Big, interpreters of great pop jazz. Constantly curating our collection to reflect our style. Listen, enjoy tunes Chamber Pop style Bacharach, Beatles, Cole Porter, Tears for Fears, Dusty Springfield, Rolling Stones, Carole King.
サムシング・ビッグ、偉大なポップ ジャズの解釈者。 私たちのスタイルを反映するためにコレクションを常に厳選しています。 チェンバー・ポップ・スタイルのバカラック、ビートルズ、コール・ポーター、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ダスティ・スプリングフィールド、ローリング・ストーンズ、キャロル・キングなどの曲を聴いて楽しみましょう。  ─ (Facebook の Something Big ページの自己紹介より 原文ママ+Google翻訳)

更に詳しい自己紹介がバンド公式サイトにありました。

─ From San Francisco's avenues by ocean beach Eva Jay Fortune first hatched Something Big. Kevin Bertness often jammed with Eva Jay and in 1997 began meeting regularly to play the music of Burt Bacharach & Hal David. Kevin played piano and soon they brought in bass player Steve Fowler. Until 1999 Nicky Garratt, dispite living only a couple of blocks away, had not met Eva Jay. Nicky, a long time champion of the Music of Bacharach and David, then joined the sessions. Now dubbed "Something Big" after a late uplifting yet rather rare Bacharach/David song, the group played their first show at a party on 23rd of September 1999.The set expanded over the years to include songs they simply liked. Now jazz standards, pop, Beatles and even Kraut rock have been brought into the Something Big sound.
サンフランシスコのオーシャンビーチ沿いの大通りから、エヴァ・ジェイ・フォーチュンは初めてサムシング・ビッグを孵化させました。 ケビン・バートネスはエヴァ・ジェイと頻繁にジャムセッションをしており、1997年にはバート・バカラックとハル・デイヴィッドの音楽を演奏するために定期的に集まり始めました。 ケビンはピアノを演奏し、すぐにベーシストのスティーブ・ファウラーを迎え入れました。 ニッキー・ガラットは、ほんの数ブロック離れたところに住んでいたにもかかわらず、1999年までエヴァ・ジェイに会ったことはありませんでした。 その後、ミュージック・オブ・バカラックとデヴィッドの長年のチャンピオンであるニッキーがセッションに参加しました。 後期の高揚感のある、しかしかなり珍しいバカラック/デヴィッドの曲にちなんで「サムシング・ビッグ」と呼ばれるようになったこのグループは、1999年9月23日にパーティーで初めてショーを行いました。セットは長年にわたって拡張され、単に彼らが気に入った曲も含まれるようになりました。 現在では、ジャズ・スタンダード、ポップス、ビートルズ、さらにはクラウト・ロックさえもサムシング・ビッグ・サウンドに取り入れられています。  ─ (Something Big 公式サイトより 原文ママ+Google翻訳)

バンド名の由来はやっぱりバカラック曲だったんだっ❗️

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左の写真は Something Big の公式サイトからパクったもので2011年8月撮影。左から Steve Fowler (Bass), Eva Jay Fortune (Vo.), Bruce Greenstein (Perc.), Kevin Bertness (Piano), Nicky Garratt (Guitar) の面々で、本作アートワークに書かれている5名の皆さんです。
一方、右の写真は Facebook Something Big ページの2023年2月10日投稿より(ただし写真自体は2021年頃撮影されたもの)。ケビンはギターも弾くんですね。今はこの3名で活動しているようです。

んで、その2023年2月10日投稿をスクショしたのがこちら ↓ 。亡くなったバカラックさんへの思い&感謝がひしひしと伝わってきます。
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前置きが長くなりました💦。本題に入ります。収録曲の5曲はいずれもレア曲ですので、1曲ずつオリジナルにも触れながら紹介していきます。

T-1.「 アフター・ザ・フォックス 」は1966年の🇬🇧🇮🇹映画『 After The Fox(紳士泥棒/大ゴールデン作戦)』の主題歌。英国のロック・バンド、ザ・ホリーズが歌い、ゲスト・ヴォーカルとして映画主演のフォックス自身(ビーター・セラーズ)をフィーチャーしていました。それをほぼ完コピ❗️ テンポ(♩≒120)、キーも同じです。メインヴォーカルはエヴァ・ジェイ・フォーチュンが男性っぽい声色で歌い、ゲスト・ヴォーカル役はスティーヴ・ファウラーが務めています。公式サイトによればスティーヴはこれがヴォーカル・デビューだったとか👏。

T-2.「 気にしないさ 」は1966年の🇺🇸
TVミュージカル『 ON THE FLIP SIDE(オン・ザ・フリップ・サイド)』でリック・ネルソンが歌ったのがオリジナル。本作は、そのオリジナルよりも1967年に The Cyrkle がカヴァーしたロック寄りのテイストに近いです。が、アンプラグドなウッドベースやコンガの響きだったり最初の1コーラス6小節までのスローテンポ(♩≒65)から倍速(♩≒130)になる展開にはハッとさせられます。

T-3.「 カム・アンド・ゲット・ミー 」は1966年4月にジャッキー・デシャノンがリリースしたシングルがオリジナル(こちらでちょろっとご紹介)。この曲をチョイスするなんてシブいなぁ。ジャッキー版とキーは同じですがテンポはジャッキー(♩≒98)より速い♩≒110。高低差が大きく難しいメロディをアンプラグドな演奏をバックにエヴァ・ジェイはエネルギッシュに歌っています。

T-4.「 サムシング・ビッグ 」は1971年の🇺🇸映画『 Something Big(テキサス大強盗団)』の主題歌で、歌ってたのはマーク・リンゼイ(こちらでちょろっとご紹介)。本作のバンド名の由来でもあります。この曲のカヴァーはマーク・リンゼイ版かバカラックのセルフ・カヴァー版、どちらかのイントロをコピーするケースが大半ですが、このカヴァーのイントロ30秒間はフリージャズのようにいろんな楽器が好き勝手に音を鳴らすというもの。いやー、流石はバンド名にしただけのことはあって独自のアイディアをぶつけてきます。本編はマーク・リンゼイ版(♩≒166)やバカラック版(♩≒164)よりやや遅い♩≒154で、アコースティックな響きもあって落ち着いた印象を受けます。私的にはレコメンド。

T-5.「 リヴ・アゲイン 」は🇺🇸ソウル・シンガーのアーマ・トーマスがオリジナル。1965年にレコーディングしたものの当時はリリースされず1992年に初めて世に出ました(こちらでちょろっとご紹介)。オリジナルとほぼ同じテンポ&キーでアーマ・トーマスに負けず劣らずエヴァ・ジェイがパワフルに歌っています。

なお、YouTube に本作が自動生成されていましたのでリンクを貼ってきます(こちら)。また、2006年頃の「 カム・アンド・ゲット・ミー 」ライヴ動画がYoutubeに上がってましたので併せてリンクを貼っておきます(こちら)。本作はEPですが、ミニアルバム相当として “カヴァーアルバム” カテゴリに分類しました。

ここからはオマケ。MP3で所有している「 SOMETHING BIG 」(バンドじゃなくて曲の方)のカヴァーをご紹介!
バカラックのセルフカヴァー(『 LIVING TOGETHER 』収録)、ジム・オルーク(『 Eureka 』収録)、ローナン・キーティング(『 WHEN RONAN MET BURT 』収録)は拙ブログで収録アルバムを紹介してますので省略します。
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🇨🇦の The Johnny Burt Society が1972年にリリースしたアルバム『 Come Summer 』で「 SOMETHING BIG 」(2:03)をカヴァー。このアルバムはカナダ産ソフトロックの最高峰なんだそう。男女コーラスがなんとも爽やかだこと。対照的にブラスのオカズは派手ですけど。
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🇫🇮フィンランドの女性シンガー、Katri Helena が1972年にリリースしたアルバム『 Lauluja Meille Kaikille 』で「 SOMETHING BIG 」(2:30)をカヴァー。フィンランド語詞で歌っていて曲名は「 Jotain Suurta Tapahtuu 」。彼女は1945年生まれでこの時27歳。ヴィブラートが効いて大人っぽいのに可愛らしい、そんな歌唱です。
ここまでの2曲、イントロはいずれもマーク・リンゼイ版。ってゆーか、バカラックがセルフ・カヴァーするのは1973年なのでまだマーク・リンゼイ版しか存在しなかったワケです。
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🇮🇸アイスランドの男性歌手/ソングライター/DJ、Páll Óskar が Páll Óskar & Casino 名義で1998年にリリースしたアルバム『 Stereo 』で「 SOMETHING BIG 」(3:23)をカヴァー。イントロはバカラック版。全体的にもバカラック版のほぼコピーでしょうか。
このアルバムでは他にもバカラック・カヴァーを収録。「 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE(サン・ホセへの道)」(2:20)、「 KNOWING WHEN TO LEAVE(去りし時を知って)」(2:39)、「 I SAY A LITTLE PRAYER(小さな願い)」(3:16) の3曲なんですが、バックの演奏がチープでイマイチかなー。

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🇺🇸ニューヨークのテナー・サックス奏者、Charles Owens が Charles Owens Quartet 名義で2022年にリリースしたアルバム『 Golden Moments 』で「 SOMETHING BIG 」(6:14)をカヴァー。イントロはバカラック版ですが、冒頭のサックスからピアノやベースに拡大して約50秒間にも及ぶ壮大なイントロを展開。コンテンポラリージャズのフィーリング溢れる独創的なイントロです。バカラック版の♩≒160より若干ゆったりした♩≒150のテンポ感がまた絶妙で、サックスやピアノのグルーヴィーなアドリヴも聴いてて気持ちいいっす。レコメンドですね👍。ちなみに、途中でベースとピアノのアドリヴが入る「 SOMETHING BIG (Extended Version) 」(9:19)もイイですよー。
なお、彼は1972年生まれ。米国には1939年生まれの同姓同名ジャズ・サックス奏者がいます。混同しませんように。

ご紹介したオマケは全てYouTubeで聴くことができます
✌️


【データ】
『 Rarin' 』
Something Big


MP3:2013年2月12日リリース
レーベル:CHAMBER POP RECORDS (US)
番号:-

Producer - unknown

Arrangement - unknown
Musicians
  Eva Jay Fortune - Vocals
  Kevin Bertness - Piano
  Bruce Greenstein - Percussion
  Nicky Garratt - Guitar
  Steve Fowler - Bass

Amazonリンク


2024年1月 7日 (日)

Repainted From Memory/Jason Mendelson (2021年)

米バージニア州在住のミュージシャン、Jason Mendrlson が2021年にリリースした『 Painted From Memory 』のフルカヴァー・アルバムです。(デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. IN THE DARKEST PLACE
2. TOLEDO
3. I STILL HAVE THAT OTHER GIRL
4. THIS HOUSE IS EMPTY NOW
5. TEARS AT THE BIRTHDAY PARTY
6. SUCH UNLIKELY LOVERS
7. MY THIEF (feat. Ari Voxx)
8. THE LONG DIVISION
9. PAINTED FROM MEMORY (feat. Ari Voxx)
10. THE SWEETEST PUNCH
11. WHAT'S HER NAME TODAY ?
12. GOD GIVE ME STRENGTH

収録時間約58分


米バージニア州在住のミュージシャン、Jason Mendelson(ジェイソン・メンデルソン)が2021年にリリースしたアルバムです。

公式サイトによれば、 ─ メンデルソンはバージニア州Strasburg(ストラスバーグ)の作曲家であり、2010年代のD.C.地域のMetroSongsプロジェクトで最もよく知られているマルチインストゥルメンタリストであり、各ステーションの場所の歴史に独自の音楽的な風味を注入しています。─ …だそうです。要は、マルチに楽器を操るローカルなミュージシャンといったところでしょうか。Apple Musicには本作含みアルバム10作、EP1作、シングル4曲がリリースされています。ストラスバーグの場所 ↓ … ワシントンD.C.から西に約80マイル(約130km)。公式サイトよりメンデルソンのお姿 ↓ … なんでもHe prefers to play electric 12-string guitar and sing. なんだとか。
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んで本作。アルバムタイトルやアートワークを見た第一印象は、“バカラックとコステロが共作したアルバム『 Painted From Memory 』のパロディじゃないの?”。タイトルの頭に“Re”が付いた意味は単なるコピーか再構築か、それともやっぱりパロディなのか?…などなど、聴く前から想像が膨らみます。収録曲全12曲のタイトル及び曲順は『 Painted From Memory 』と全く同じ。そして聴いてみたところ、『 Painted From Memory 』の大まじめなオマージュ作品で、全体的にはオリジナルのアレンジを尊重しつつもそのうち数曲には独自の解釈を注入したとても意欲的なフルカヴァー・アルバムでございました。2021年1月にリリースされていたのに約3年全く気づかず…不覚でしたぁ😓

T-9.「 PAINTED FROM MEMORY(ペインテッド・フロム・メモリー)」のみ、YouTubeに公式MVがアップされています。※ なお、自動生成により本作全12曲の音源がYouTubeにアップされてました。(2024/1/7 9:49 追記)


動画はレコーディング映像なんですが、歌うだけじゃなくすべての楽器(ローズピアノ、オルガン、フルート、クラリネット、トロンボーン、E.ギター、E.ベース)をメンデルソンが演奏して一人多重録音をしていることが分かります。鍵盤・木管・金管楽器にギターまで、マルチインストゥルメンタリストの肩書きは伊達じゃなかった! 他の曲で
聴こえるシンセ系やパーカッション系、それにバックコーラスも(あくまでも推測ですが)メンデルソンだと思われます。ただ、曲名に併記してあるようにこのT-9.「 ペインテッド・フロム・メモリー 」とT-7.「 MY THIEF(マイ・シーフ)」だけはフィーチャリング・ヴォーカルとしてワシントンD.C.を拠点に活動するジャズ・シンガー、Ari Voxx(アリ・ヴォックス)が参加しています。

キーは3曲を除いてオリジナルと同じ。キーが異なる3曲についてメロディ最初の音を比較してみると、T-2.「 TOLEDO(トレド)」がオリジナルEに対しGと短三度 ↑ 、T-9.「 ペインテッド・フロム・メモリー 」がA♭に対しB♭と長二度 ↑ 、T-11.「 WHAT'S HER NAME TODAY(ホワット・ハー・ネーム・トゥデイ?)」がDに対しEと長二度 ↑ という風にいずれもメンデルソン版のキーが高くなってます。メンデルソンは高い音でも地声で歌っている部分が多く、コステロに対抗?してよく頑張ってると思います。

アレンジ面では、T-2.「 トレド 」のリズムやシンセの音がチープ過ぎるのをはじめシンセ系にチープな音色が散見される点はマイナスポイントですが、それ以外はなかなかのクオリティ。オリジナルとテイストが違って新鮮に聴こえる以下数曲はレコメンドです。T-4.「 THIS HOUSE IS EMPTY NOW(ディス・ハウス・イズ・エンプティ・ナウ)」ではオリジナルには無い独自のリフが印象的ですし、リズムもタイトでオルタナティブな雰囲気の攻めたアレンジ。T-8.「 THE LONG DIVISION(ザ・ロング・ディヴィジョン)」ではオリジナルよりも細かい刻みを入れたブラコンテイストのサウンドがカッコイイ。T-11.「 ホワット・ハー・ネーム・トゥデイ? 」もディストーションを効かせたギターとロックなリズムでオリジナルよりアグレッシヴ。また、オリジナルではストリングスの部分 〜 シンセストリングスをチョイスすれば良さそうなところ 〜 を、例えばT-9.「 ペインテッド・フロム・メモリー 」ではフルート&クラリネットで意表をついてきます。メンデルソンなりの拘りがあるんでしょう。

ネットで本作を検索してみましたが全く話題になっていません。もっと評価されてもいいと思うんですけど…。まぁ、そもそもメンデルソンの公式サイトからして2020年以降更新されておらず本作も未紹介ですからねー、然もありなんか😓。


【データ】
『 Repainted From Memory a new cover of the classic album by Bacharach & Costello
Jason Mendelson




MP3:2021年1月10日リリース
レーベル:MetroSongs Records (US)
番号:-

クレジット詳細は不明ですが、以下推測で(may be) …
Produced by Jason Mendelson
Arranged by Jason Mendelson
All Instruments are performed by Jason Mendelson
Vocal:Jason Mendelson
Backing chorus:Jason Mendelson
Featuring Vocal:Ari Voxx (T-7,9)

Amazonリンク(MP3

2023年10月22日 (日)

Blame It On Bacharach!/V.A. (2012年)

2008年にロサンゼルスで行われたバカラック・トリビュート・コンサートのライヴ録音盤です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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1. OVERTURE  〜 Orchestra 〜
2. HALF AS BIG AS LIFE  〜 Danny Gurwin 〜  M
3. TURKEY LURKEY TIME  〜 
Donna McKechnie, Valarie Pettiford, Jane Lanier, Sandahl Bergman 〜  F
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN  〜 Danny Gurwin & Vicki Lewis 〜  FM
5. BABY IT'S YOU  〜 Catte Adams 〜  F
6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE  〜 Marilyn Maye 〜  F
7. BLUE ON BLUE  〜 Stephen Bishop 〜  M
8. A HOUSE IS NOT A HOME  〜 Donna McKechnie 〜  F
9. THE LOOK OF LOVE  〜 Justin Guarini 〜  M
10. THE APRIL FOOLS  〜 Nancy Dussault 〜  F
11. WALK ON BY  〜 Stefanie Powers 〜  F
12. GO ASK SHAKESPEARE  〜 Jai Rodriguez 〜  M
13. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU  〜 Dave Koz 〜
14. ALFIE  〜 Valarie Pettiford 〜  F
15. I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF / ANYONE WHO HAD A HEART  〜 Melissa Manchester 〜  F
16. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  〜 Carole Cook 〜  F

※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記


収録時間約63分


The 24th Annual Southland Theatre Artists Goodwill Event(略してS.T.A.G.E.)として、2008年にロサンゼルスでバカラック・トリビュート・コンサートが行われました。そのライヴ録音盤です。

ググったところコンサートの模様を伝える broadwayworld.com の記事が見つかりましたので、引用して紹介します(ほぼ機械訳です、悪しからず)。元記事には出演アーティストの画像も載っていますので興味がありましたらリンクをクリックくださいませ。

─ エイズ・プロジェクト・ロサンゼルスは、3月8日と9日にビバリーヒルズのウィルシャー劇場で作曲家バート・バカラックの音楽を祝う第24回サウスランド・シアター・アーティスト・グッドウィル・イベント(S.T.A.G.E.)から約35万ドルを受け取りました。

デビッド・ガリガン演出、メアリー・エクラー音楽監督による『 Blame It On Bacharach! 』は、ヴィッキー・ルイス(『 ニュースラジオ 』)とダニー・ガーウィン(『 フル・モンティ 』)が主演するバカラックのブロードウェイヒット作『 プロミセス・プロミセス 』の特別版をフィーチャーしました。コーラスラインのドナ・マッケニー(『 プロミセス・プロミセス 』のオリジナルキャスト)は、サンダール・バーグマン、ジェーン・ラニアー、ヴァラリー・ペッティフォードが加わった「ターキー・ラーキー・タイム」ダンスナンバーを再演しました。プロダクションには、イアン・アバークロンビー、ポール・エインズリー、クリス・コードーン、マリル・ヘナー、アルバン・イン、リン・マータ、ジェイミー・マクマレー、リンダ・ミシェル、グレゴリー・ノースも出演しました。

後半は、バカラックの名曲セレクション。ロングランした『 Forever Plaid 』から、オリジナルの Plaids 〜 スタン・チャンドラー、デビッド・エンゲル、ロジャー・ベフェラー&ラリー・ラーベン の4人組 〜 がバカラックの映画音楽のメドレーのために再会しました。

『 アメリカン・アイドル 』のジャスティン・グアリーニは「 恋の面影 」を歌い、シンガーソングライターのメリサ・マンチェスターは「 恋するハート 」と「 恋のとまどい 」のメドレーを選び、デニース・ウィリアムズは「 マジック・モーメンツ 」を演奏しました。その後、『 Queer Eye for the Straight Guy 』のジャイ・ロドリゲスは「 ゴー・アスク・シェイクスピア 」を、ステファニー・パワーズは「 ウォーク・オン・バイ 」を、マッケニーとペティフォードはそれぞれ「 ハウス・イズ・ノト・ア・ホーム 」と「 アルフィー 」を歌いました。

S.T.A.G.E.は、24年前の設立以来、南カリフォルニア全土のHIV/エイズ組織のために数百万ドルを調達してきました。純収益はすべてエイズプロジェクトロサンゼルスに寄付され、ロサンゼルス郡全体で直接サービスとHIV / AIDS予防教育を提供する25年目を迎えます。  ─  (by James Sims Mar. 15, 2008)

以前、似た構成のコンサートを聴いたことがあります。『 PROMISES,PROMISES in Concert  May 9, 2012 』です。第一幕は Promises, Promises ブロードウェイ2010年版に沿った曲目を全てフルサイズで踊り付きで歌い、第二幕はバカラックの代表曲を一部の曲は踊り付きで歌う…そんなコンサートでした。もう11年以上も前かぁ…歳とるワケです😓。

本CDはT-1〜4.が『 プロミセス・プロミセス 』特別版で、T-5〜16.がバカラックの名曲セレクション。先ほどの記事に載っていたPlaidsの4人組による映画音楽メドレーやデニース・ウィリアムスの「 マジック・モーメンツ 」は入ってないので、コンサートの全てを収めたものではなさそうです。出演者には拙ブログで過去紹介した名前もちらほら。T-3とT-8のドナ・マッケニーは記事にもあるように1969年オリジナル・ブロードウェイ版でも「 ターキー・ラーキー・タイム 」を歌っていた方ですし、T-6のマリリン・メイは1969年に「 恋よさようなら 」をカヴァー(こちら)。T-7のスティーブン・ビショップは映画『 ミスター・アーサー 』のサントラで「 IT'S ONLY LOVE 」を歌ってました。そしてT-15のメリサ・マンチェスターは1983年に書き下ろし曲「 TIME 」を歌い、1989年に「 ウォーク・オン・バイ 」をカヴァーしとられます。意外に知ってるアーティストが多くてびっくりしました。

何かないかなぁとYouTubeを漁っていたらこのコンサートの動画が1本見つかりました。タイトルは Blame it on Bacharach Finale で、「 愛のハーモニー 」を大勢で歌っています。CDのラスト、T-16.「 愛のハーモニー 」(2:00) はキャロル・クックさんがソロで歌いフェードアウトで終わっているので、キャロル・クックさんの後にキャスト全員で歌った場面なんでしょう。

『 プロミセス・プロミセス 』特別版のT-1〜4はオリジナルに忠実なアレンジ&演出でしっかり再現しています。ストリングスがシンセでちょいと残念ではありますが…。踊りながら4人で歌うT-3.「 ターキー・ラーキー・タイム 」で声が苦しいところがあったりしますがそれはご愛嬌。ドナ・マッケニーさんなんてこの時65歳なんですから。

T-5〜16の後半は一転、元曲のコピーではない心持ちジャジーなアレンジでライヴを盛り上げます。私のレコメンドをいくつか。カッテ・アダムズがゆったり且つエモーショナルに歌うT-5.「 ベイビー・イッツ・ユー 」、ブルース調のアレンジも素敵です。ジャスティン・グアリーニのT-9.「 恋の面影 」は若干ジャズ・ファンクっぽいノリの良いカヴァー。カッコイイっす。ナンシー・ダソルがしっとり歌うT-10.「 エイプリル・フール 」も歌唱が不安定なところはあれどアレンジも含め聴いてて胸を打ちます。ヴァラリー・ペッティフォードがテンポを揺らして(ちょっと大袈裟なきらいもありますが)感情込めて歌うT-14.「 アルフィー 」もグッときます。メリサ・マンチェスターのT-15.メドレー前半の「 恋のとまどい 」はちょっとハネたR&B調リズムのパワフルな歌唱が素晴らしいですねー、流石です。

本CD、Amazonでは扱っていませんが手にする機会がありましたら是非!


ここからはオマケ。MP3で所有する本CD出演アーティストによるバカラック作品をご紹介。
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本CDでT-6.「 世界は愛を求めてる 」を歌っているマリリン・メイは、1967年のアルバム『 Step To The Rear 』でも「 世界は愛を求めてる 」(3:10)をカヴァー。さすがに声が若々しくパワフル!
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ドナ・マッケニーは2002年リリースのコンピアルバム『 Inside the Music 』で「 ターキー・ラーキー・タイム 」(2:10) を歌っています。"ミュージカル『 プロミセス・プロミセス 』でこの歌を歌ったのよ!"というMC付きのライヴ録音。途中を省略したバージョンですけれど。
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本CDでT-13.「 ディス・ガイ 」を演奏しているスムース・ジャズのサックス奏者、デイヴ・コーズは1999年のアルバム『 The Dance 』にバカラックと共作した「 DON'T GIVE UP 」(4:02) を収録。  ─ ハバナで行われたソングライター・コンベンションでバカラックと会い、その後L.A.で改めて共作。ヴォーカル曲のようなフックを持つインストを書こうと試み、この曲を完成させた。スムースなカルフォルニア・サウンドで、ピアノはバカラック自身が弾いている。 ─ (ムック本『 AOR AGE Vol.28 』より)
また、2010年のアルバム『 Hello Tomorrow 』では「 ディス・ガイ 」(4:56) をヴォーカルでカヴァーしてるんですが、なんとハーブ・アルパートがトランペットで参加。本家ハーブ・アルパートを差し置いて歌うとは!


【データ】
『 Blame It On Bacharach! 』
V.A.

CD:2012年リリース
レーベル:KRITZERLAND (US)
番号:KR 20021-7

Produced for CD release by Bruce Kimmel
CD Executive Producer:David Galligan
Musical Direction and Arrangements by Mary Ekler
Staged and Directed by David Galligan
Recorded at The Wilshire Beverly Hills March 8,9 2008

©️(P)2008,2012 S.T.A.G.E.

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し
KRITZERLAND の通販サイトを紹介しておきます。

より以前の記事一覧

カテゴリー

  • カヴァーアルバム
    ★バカラック・カヴァー曲が主体でBacharach をアルバムのタイトルやサブタイトルに入れているアルバム ★収録曲のうち半分以上がバカラック・カヴァーのアルバム ★複数アーティストによって新たにカヴァーしたアルバム ★複数アーティストによるトリビュートコンサートのライブアルバム
  • コンピレーションアルバム
    ★複数アーティストのバカラック作品を集めたいわゆる編集盤
  • シングル
    ★シングル
  • ディオンヌ・ワーウィックのアルバム
    ★新作主体/カヴァーアルバム/コンピ集を問わず、ディオンヌ名義のアルバム
  • バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
    ★バカラックの曲がちょっと入ったアルバム
  • バカラック関連ネタ
    ★バカラック作品は入っていないがバカラックと何らかの関連があるアルバム ★アルバムやシングル以外のこと。本、コンサート、ライヴ、TV、Radio、告知、独り言、イベントなどなど
  • バート・バカラックのアルバム
    ★メインのアーティストがバカラックとなっているもの ★バカラックが音楽を担当した映画等のオリジナル・サウンドトラック ★ ○○ with Bacharach のようなアルバムは含めない
  • 新作主体のアルバム
    ★『 バート・バカラックのアルバム 』と『 ディオンヌ・ワーウィックのアルバム 』以外で、バカラックが新作を多数(およそ半数以上)提供したアルバム

★ リンク ★

  • Yammy* Official Web Site
    京都在住のオーガニックシンガーソングライター、Yammy*(ヤミー)さんの公式サイトです。
  • くう・ねる・時々・じゃず
    とても凛としていて、でも柔らかい歌声が魅力のジャズ・シンガー、三善香里さんの公式ブログです。
  • My Willful Diary
    shoppgirlさんが、「心に留めておきたい音楽とあれこれ」をたおやかな言葉で綴っていらっしゃる、素敵なブログです
  • バカラックマジックでまったりと
    バカラックさんをこよなく愛するまったりさんのブログです。バカラックファンとして大先輩でブログの師匠さんでもあります。
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