Promises, Prayers, And Raindrops: Allyson Briggs Sings Burt Bacharach/Fleur Seule (2024年)
米国のレトロジャズバンド、Fleur Seule によるバカラック・カヴァー集です。(現時点でCD無し/デジタル配信のみ)
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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
3. Trop'ns Fin Regen Oif Mein Kop (RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD) (feat. Julie Benko)
4. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
5. ONE LESS BELL TO ANSWER
6. ANYONE WHO HAD A HEART
7. UNINVITED DREAM
8. MY ROCK AND FOUNDATION
9. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
10. Wenn Ich Mir Was Wünschen Dürfte
11. CASINO ROYALE(インスト)
12. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
13. PROMISES, PROMISES
14. WALK ON BY
15. ALFIE
16. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
17. I SAY A LITTLE PRAYER
18. THE LOOK OF LOVE
19. ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
20. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
収録時間約67分
米国のレトロジャズバンド、Fleur Seule によるバカラック・カヴァー集です。
Fleur Seule(読み方よくわかりませんが、Google先生に倣って "フルール・スール" と呼びます)はマンハッタンのレトロジャズバンド。リード・ヴォーカルの Allyson Briggs(アリソン・ブリッグス)がバンド・リーダー。クラシックなシャンソン、ジャズスタンダード、スイング、ボサノバ、サルサなどをレパートリーとし、複数のパブレストラン等でハウスバンドを務めているそうです。会場や雰囲気に合わせて2〜15人でバンドを編成。2015年以降アルバムを6作リリースしており、本アルバムは7作目になります。(Fleur Seule 公式サイト→こちら)
アリソン・ブリッグスは、歌手以外にナレーションやゲームのキャラクターの声の仕事もしていて、英語・仏語・独語・西語に堪能なんだそう。それらも含めて7ヶ国語で歌うことができるんだとか。才女ですねー。
本作は2024年7月にリリースされたんですが、フルール・スールは2023年2月8日バカラックの訃報のすぐ後、2月10日に「 小さな願い 」のライヴ映像をYouTubeにアップしていました。
調べてみると、フルール・スールは以前から "A Burt Bacharach Night" というライヴをやっていて、この動画はそのアーカイヴみたいなんです。その後2月13日にライヴのダイジェスト、3月5日に「 世界は愛を求めている 」、8月26日に「 恋するハート 」をアップ。衣装が同じなので同じライヴの動画と思われます。
そして今年に入り本アルバムをレコーディング。2024年4月6日にはレコーディング4日めの動画をアップしています。
本作には全20曲を収録。ピアノトリオ+トランペットをバックにアリソン・ブリッグスが歌っています。公式サイトのブログで彼女は本作への思いを熱く語っているのですが、セルフライナーノーツ的な内容でとても参考になりました(特に見慣れない曲について😅)。是非ご覧ください。
カヴァー定番曲がほとんどですが、見慣れない曲がいくつか…。
T-3.「 Trop'ns Fin Regen Oif Mein Kop 」は「 雨にぬれても 」のYiddish(イディッシュ語)版。イディッシュ語は、中世ドイツ語方言を基礎とし、もとは中欧・東欧系のユダヤ人が用い、現在はイスラエルをはじめ世界各地のユダヤ人によって使用されている言語だそう。フィーチャリング・シンガーのブロードウェイ女優 Julie Benko がユダヤ人だから…のチョイスでしょうね。最初はソロで、途中から2人になりユニゾン→ハモリ→掛け合いになるオシャレなカヴァーです。
T-7.「 UNINVITED DREAM(アンインヴァイテッド・ドリーム)」はペギー・リーがオリジナル。1957年のシングルA面曲で、作詞は Sammy Gallop(サミー・ギャロップ)。バカラックの"バ"の字もないジャズの標準的なスタイルの曲です。ペギー・リーも彼女が尊敬する歌手で、ペギー・リーとバカラックの繋がりを調べる中でこの曲を発見したそう。王道のジャズ・バラードをきっちりパフォーマンスしています。
T-8.「 MY ROCK AND FOUNDATION 」もペギー・リーがオリジナルで、1971年のアルバム『 Where Did They Go 』収録曲(過去にコンピ集で紹介)。超レア曲で、彼女もブログにこの曲初めてのカヴァーだと書いてました。私もこの曲のカヴァーは初めて聴きました〜。オリジナルよりシンプルですね。
T-10.「 Wenn Ich Mir Was Wünschen Dürfte 」はバカラック作品ではありません。彼女のブログに詳しいですが、バカラックがマレーネ・ディートリッヒの音楽監督をしていた頃にアレンジした Friedrich Holländer の曲とのこと。ディートリッヒとバカラックに敬意を表し、この曲をチョイスしたそう。ドイツ語で歌っています。
─ オリジナルの曲の完全性を維持したかった ─ とアリソン・ブリッグスがブログで書いてるように、ピアノトリオ+トランペットという編成で原曲(オリジナル or 有名なバージョン)のテイストを表現する…そんなコンセプト。派手なアドリヴも少なくしっかりシンガーを立てていますね。彼女の歌唱は原曲を模倣することはせず、かといって尖った自己主張をするわけでもなく、咀嚼した上で心を込めて伸びやかに歌っているように感じます。 ─ アレンジの複雑さ、ハル・デイヴィッドの歌詞の深さを強調し、スタジオオーケストラであろうと小さなコンボであろうと、これらの曲をどのように楽しむことができるかを示したかったのです。 ─ 彼女の思いが十分感じられる、そんな落ち着いた大人のバカラック集かと。
後半熱くなるT-4.「 世界は愛を求めている 」、レアなカヴァーT-8.「 MY ROCK AND FOUNDATION 」、エモーショナルな歌唱のT-14.「 ウォーク・オン・バイ 」、かなりジャズしているT-15.「 アルフィー 」、後半盛り上がるT-17.「 小さな願い 」、アドリヴが素敵なT-18.「 恋の面影 」あたりがレコメンドかな。
アルバム全曲、YouTubeで聴くことができます。→ こちら
また、アルバムリリース直前7月9日のリリース記念ライヴからも現時点で3曲聴くことができます。「 愛の思い出(愛のウェイトリフティング)」、「 MY ROCK AND FOUNDATION 」、「 恋よ、さようなら 」
※ 2024/10/11追記:For Your Consideration in Best Traditional Pop Vocal Album this Grammy®︎ voting season … と称して約4分半の宣伝動画をUPしています。内容は、レコーディング風景を中心にバンドメンバーのコメントも。→ こちら
ここからはオマケです。
フルール・スールは2020年にも「 CLOSE TO YOU(遙かなる影)」(4:15) をカヴァーしてシングル・リリースしています。本作とキーは同じでバックの編成(ピアノトリオ+トランペット)やテイストも同じですが、テンポは本作(♩≒96)よりゆったりしています(♩≒84)。彼女の歌唱もより自然に感じられて、私は2020年版の方が好みですねー。
【データ】
『 Promises, Prayers, And Raindrops: Allyson Briggs Sings Burt Bacharach 』
Fleur Seule
MP3:2024年7月12日リリース
レーベル:Algos Music (US)
番号:?
Allyson Briggs, serving as bandleader and star vocalist
music director Andy Warren on trumpet
James Navan and Jason Yeager on piano
Michael O'Brien on bass
Shareef Taher and Peter Traunmueller on drums
Broadway luminary Julie Benko (Funny Girl, Harmony) as guest vocalist (T-3.)
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