カヴァーアルバム

2018年7月29日 (日)

A Tribute to Dionne Warwick & the Music of Burt Bacharach/Paula Johns (2018年)

米女性ジャズ・シンガー、ポーラ・ジョンズによるディオンヌ&バカラックのカヴァー集です。

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1. PROMISES, PROMISES
2. Hits Medley :
    (1) Deja Vu
    (2) WALK ON BY
    (3) DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
    (4) I SAY A LITTLE PRAYER
    (5) ALFIE
3. DON'T MAKE ME OVER
4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU / ANYONE WHO HAD A HEART
5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN / A MESSAGE TO MICHAEL
6. ONE LESS BELL TO ANSWER
7. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
8. YOU'LL NEVER GET TO HEAVEN (IF YOU BREAK MY HEART)
9. A HOUSE IS NOT A HOME
10. Movie Medley :
    (1) WHAT'S NEW PUSSYCAT?
    (2) THE LOOK OF LOVE
    (3) Valley of the Dolls
    (4) ARTHUR'S THEME
11. GOD GIVE ME STRENGTH
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
13. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR / I'll Never Love This Way Again

収録時間約62分


米女性ジャズ・シンガー、ポーラ・ジョンズによるディオンヌ&バカラックのカヴァー集です。

彼女はフィラデルフィア出身。今もフィラデルフィアを拠点としてナイトクラブやジャズバーなどで歌っているそう。公式サイトによればCDも数枚リリースしているのですが、Amazonでは日本はもとより米国でも扱っておらずcdbabyというインディーズ専門?ネットショップでの販売のみらしい…。面倒臭いので、今回CD購入は諦めてダウンロード購入しました。

バックはEギター、Eベース、ピアノ、ドラムス、シンセという編成。サウンドとしてはジャズというよりはポップ寄り。曲によってシンセがブラスやストリングスも担当するのですが、この音色がなんともチープで全体のクオリティを下げてしまってる印象。ライヴならこれでもまぁいいけど、スタジオ録音だったらもっとやれることあるでしょって感じ。

ポーラの声は深く暖かい。相当なキャリアを積んだ方なんでしょう、パワフルさはほどほどですが表現力豊かで安心して聴くことができます。アップテンポの曲よりはゆっくりめの曲の方がより彼女の魅力が出ているような気がします。

13トラックのうち5トラックがメドレーで、全23曲と盛り沢山。うちバカラック作品は20曲。バカラック作品以外も含めてディオンヌの代表曲ばかりですが、中にはT-10-(1). 「 何かいいことないか子猫チャン 」、T-10-(4).「 ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」 やT-11. 「 ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス 」 といったディオンヌが歌ってない曲もあります。やっぱりディオンヌとバカラックへのトリビュートなんだ〜。

全体的にディオンヌのバージョンをベースとしたアレンジ。T-4-(1). 「 遥かなる影 」 もカーペンターズ版のシャッフルではなくディオンヌ版の4ビートのリズムで、ニヤッとします。一方で、R&B色濃いT-3. 「 ドント・メイク・ミー・オーヴァー 」、ロック調のT-7. 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」、ボサノヴァ調ビッグバンド風のT-8. 「 ユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・ヘヴン 」、タイトなフュージョンタッチのリズムがかっこいいT-10-(2). 「 恋のおもかげ 」 など、オッとかハッとかするアレンジもあります。あと、T-9. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 はルーサー・ヴァンドロス版ベースのアレンジで、後半の盛り上がりはなかなかです。

フェードアウトで終わるトラックは皆無。メドレーが多いことも含めて、ライヴでの演奏を前提としたアレンジなのかもしれませんね。実際彼女は本アルバムのリリース記念ライヴを7月から何度か行っていて、8月24日にもフィラデルフィアでリリース記念ライヴを行うそう。金曜の夜だし近くだったら聴きに行きたいところです。

ディオンヌとバカラックへのリスペクトがちゃんと伝わってくるカヴァー集ですが、返す返すもシンセ・ブラスやシンセ・ストリングスの音色が残念です…。

ここからはオマケ。MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
Fullsizeoutput_2f0ポーラ・ジョンズは2008年にリリースしたアルバム 『 Watch What Happens 』 で 「 恋のおもかげ 」(2:44) をカヴァーしていまして。アコギ1本をバックにしっとりとジャジーな雰囲気で歌っています。
家でゆったり聴くならジャジーなこちらがいいかもですが、ライヴだったらグルーヴ感が心地よいカヴァー集の方がいいかなぁ。
まぁ、好みの問題でしょうけど…。


【データ】
『 A Tribute to Dionne Warwick & the Music of Burt Bacharach 』
Paula Johns

CD:2018年6月10日リリース
レーベル:Paula Johns
番号:?

クレジット詳細不明

※ 日本の Amazon での取り扱いなし。iTunes で視聴/ダウンロード可。

2018年6月24日 (日)

PROMESSE... PROMESSE.../SPAAK - DORELLI (1970年)

ミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 のイタリア・キャストによるアルバムです。

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A1. Ouverture  〜 solo orchestra 〜
A2. Sono Una Mezza Tacca  〜 Johnny Dorelli

A3. Lassù  〜 Johnny Dorelli

A4. Qualcuno Per  〜 Catherine Spaak - Johnny Dorelli

A5. Viva Il Basket Ball  〜 Johnny Dorelli

A6. L’Ora Dell'Addio  〜 Catherine Spaak

B1. Tempo Di Tacchino  〜 orchestra e coro 〜
B2. Fare A Meno Di Ciò Che Non Ho  〜 Johnny Dorelli

B3. Natale Dura Un Giorno Solamente  〜 Bice Valori - Johnny Dorelli

B4. Chiunque Tu Sia Ti Ama  〜 Catherine Spaak

B5. Non Mi Innamoro Più  〜 Johnny Dorelli - Catherine Spaak

B6. Promesse... Promesse  〜 Johnny Dorelli

所要時間約36分


バカラック初のミュージカル 『 プロミセス・プロミセス 』 は、1968年12月よりブロードウェイで上演されました。以後数年のうちに、ロンドンのウエスト・エンドをはじめイタリア、ドイツ、オーストラリア、日本などで上演されました。イタリアではカテリーヌ・スパークとジョニー・ドレルリ主演により1970年にローマその他で上演。本作はそのイタリア・キャストによるアルバムです。

裏ジャケットにミュージカルのスタッフとキャストが載っていたのですが、キャストは女優/俳優さんの名前だけ。主演の2人を含めて役名の記載が全くありません。文字の大きさと生年から主要キャストのみ想像力を働かせて以下表を埋めました。

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アルバムの表ジャケットで向かい合ってる主演の2人、てっきり左がスパーク/右がドレルリと思ったのですが逆でしたネ^^:。チャック役のジョニー・ドレルリ(左)はイタリアの歌手、俳優。1950年代後半から数多くのアルバムやシングルをリリースする傍ら映画にも多く出演。私は知らなかったのですが、1967年のサンレモ音楽祭で9位入賞した 「 L'immensità 」 は 「 涙に咲く花 」 というタイトルで日本でもシングル・リリースされています。フラン役のカテリーヌ・スパーク(右)はフランスに生まれイタリアで活躍した女優、歌手。全盛期の1960年代には数多くの映画で主演を務めたそうです。そしてこの2人、なんと1972年に結婚しています(1978年に離婚)。

曲名は全てイタリア語(歌詞もイタリア語)。A1. 「 Ouverture 」 を除いて何が何だかさっぱりわからないので、オリジナル・タイトル及び日本語タイトルを並べて表にしました。

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Fullsizeoutput_25eFullsizeoutput_262 収録曲は、ブロードウェイ版(以下、BW版)オリジナル・キャスト・アルバムの17曲よりも5曲少ない12曲。主演の2人が歌う曲中心に絞ったようです。本アルバムのタイトルも、本来なら Italian cast album あたりになるところ Spaak - Dorelli ですからねー。人気の2人を前面に出して売る作戦なのかも。オケのアレンジは基本的にBW版と同じ。違いについては後述します。

主演の2人は声質の相性や歌唱力のバランスも取れていてBW版と比べて遜色ありません。イタリア語による違和感もないですし。むしろ表現力という点では上回る部分もあると感じました。ストーリーの最初、まだそれほど親密になっていない段階でデュエットするA4. 「 誰かいるさ 」 など、BW版だと普通に歌っているだけなのですが、本作では陽気に掛け合いながら歌っていて2人の距離感がとても近い感じがします。親切で情熱的で話好きというイタリア人気質もあるんでしょうかねー。

ちょっと残念なのがマージ役のヴィーチェ・ヴァローリ。ドレルリとのデュエット曲 B3. 「 真実は美しいはずなのに 」 で、高音部分を1オクターブ下げて歌ったためオクターブでデュエットするはずがユニゾン(同じ音程)に…。なぜに高音が出ないヴァローリを人選したのか…、裏事情を勘ぐりたくなります。

オケのアレンジは基本的にBW版と同じですが、いくつか違いがあります。
A1. 「 序曲 」:エンディングの前に 「 IT'S OUR LITTLE SECRET(二人の小さな秘密) 」 が入ってる。A3. 「 二階の僕の部屋 」:1コーラスしかない(BW版は2コーラス)。A6. 「 去りし時を知って 」:一部でベースが4小節ほどノリの良い動きを見せる。B1. 「 ターキー・ラーキー・タイム 」:イントロが12小節長くなり過去のバカラック作品 「 雨にぬれても 」 や 「 ザ・ベル・ザット・クドゥント・ジングル 」 に似たメロディが流れる。B3. 「 事実は美しいはずなのに 」:BW版は3分半でフェードアウトするところ、フェードアウトせずに1分半くらい陽気な演奏だけの部分が続く。キーも一部曲で変えていて、A5, A6, B5.では半音〜1音下げ、B3. では1音高くしている。 …… 目立つ違いはこんなところですかね。

BW版ほど録音技術がよくないせいか音質面のクォリティはイマイチ(いやイマニかな)ですが、演奏自体はノリがよくさすがラテン民族!

Fullsizeoutput_256本作LPは、今月 Dicogs でイタリアのお店から€40(+送料€9)で購入したばかり。Very Good(5段階評価の2)の商品だったのですが、届いて聴いて見ると針飛びが数カ所あって合計€49 ≒ 6,600円は正直高いなぁと思いました。とはいえ Very Good Plus(5段階評価の3)の盤は€80~€100の値札がついていましたし、希少性を考えると決して高くはなかった……と今では思っています。

実測184gもある重量盤だったので、音質はともかく手にしたずっしり感はなかなかのもの。こういう感覚はレコードならではですね。

こちら の情報によれば、イタリア語版 『 プロミセス・プロミセス 』 は2002年に再演されてCDもリリースされたとのこと。しかし Discogs を探してもそのCDは見当たらず。もちろん Amazon でも。実在するならなんとか手に入れたいものです。


【データ】

『 PROMESSE... PROMESSE... 』

SPAAK - DORELLI



LP:1970年リリース

レーベル:CGD (Italy)

番号:FGS-5063

クレジットは前述の表を参照ください。

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し

2018年5月13日 (日)

Burt Bacharach/Hal David på norsk/Ingvil (2018年)

ノルウェーの女性シンガー、Ingvil がバカラック爺2018年誕生日の前日にリリースしたバカラック・カヴァー集です! (CD無し/デジタル配信のみ)

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Album artwork/Last page of Digital Booklet

1. Gå forbi (WALK ON BY)
2. Om du hadde hatt en drøm (ANYONE WHO HAD A HEART)
3. Et hus er ei et hjem (A HOUSE IS NOT A HOME)
4. Jeg ber en liten bønn (I SAY A LITTLE PRAYER)
5. Alfie (ALFIE)
6. Et blikk (THE LOOK OF LOVE)
7. Vet du veien frem til San Jose (DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE)
8. Nær deg ((THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU)
9. Gi meg en sjanse (DON'T MAKE ME OVER)
10. Hva vi trenger nå er kjærlighet (WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE)

収録時間約41分


バカラック爺90歳の誕生日に合わせてバカラック集をリリースした方がいらっしゃいます。

Fullsizeoutput_1d0知ったきっかけはTwitter。昨日(5月12日)バカラック爺の誕生日に皆さんどんなツィートしてるのかなぁ……と軽い気持ちでチェックしていたところ、偶然このツィートを発見したのです。

─  バカラック90歳の誕生日をお祝いして、トリビュートしました。私の心の中にある彼の永遠の曲、10曲よ! 5年間にわたるこのプロジェクトを彼の90歳の誕生日に締めくくることができて嬉しいわ! ─  書いてあるのはどうやらこんな事らしい……

さっそく調べてみました。このお方は、Ingvil というノルウェーの女性シンガーソングライター。イングヴィル と発音するのかな? よくわからないので以後 “ 彼女 ” と表記します。彼女の公式サイトによれば……

・キャリアはスペインでスタート、その後ノルウェーに移り活動(生年は不詳)
・様々なミュージカル、バンド、デュオ、オーケストラに参加
・2003年にはノルウェーでチャート1位を獲得

4歳の時に聴き始めて以来、バカラックの曲は彼女の一部だったとか。病気の時もカセット・プレーヤーでバカラックの曲を聴いて幸せを感じたり、歌手になってからも各種公演でバカラックの曲を歌ってきたそうです。彼女は2016年にデンマークのコペンハーゲンでバカラックの公演を聴き楽屋でバカラックと対面しているのですが、その時のことをまるで魔法のようだったと回想しています。(公式サイトに一緒に写ってる写真あり)

アルバム・タイトル 『 Burt Bacharach/Hal David på norsk 』 は、英語で Burt Bacharach/Hal David in Norway という意味。タイトル通り彼女はノルウェー語で歌っています。訳も全て彼女自身によるものなんですって。

収録曲はバカラック&デイヴィッドの有名曲ばかり10曲。コンテンポラリー&ポップなアレンジがクールです。特に、何の曲か聴いただけじゃわからないようなイントロが多くてそういう凝ったアレンジは好感が持てます。バックの演奏は、ドラムス、ベース、キーボード/ピアノが基本。曲によってギター、ヴァイオリン、フルート、サックス、金管等が加わり、T-5. 「 アルフィー 」 とT-8. 「 遥かなる影 」 ではストリングス+オーボエが参加しています。彼女の歌声は表現力があり落ち着いた大人なもの。ただ、声質が若干ざらついていて高音域が苦しいように感じられるのが惜しいところですねー。

T-1. 「 ウォーク・オン・バイ 」、T-6. 「 恋のおもかげ 」 あたりはグルーヴ感が心地良いです。スローな曲ではT-3. 「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 やT-5. 「 アルフィー 」、T-8. 「 遥かなる影 」 が味わい深くていい感じ。T-7. 「 サン・ホセへの道 」 のサルサっぽいアレンジはディオンヌ・ワーウィックのリメイク版のパクリでしょう。

尚、「 ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム 」 だけは2016年11月に単品でデジタル配信されています。公式MVもYouTubeにアップされていますのでリンクを貼っておきます。 →  こちら

昨日 『 祝 バカラック爺90歳! 』 と題して自演の 「 アルフィー 」 を紹介しましたが、Ingvil とは月とスッポンでしたねー。全くお恥ずかしい限りですぅ〜coldsweats01


【データ】
Burt Bacharach/Hal David på norsk
Ingvil

MP3:2018年5月11日リリース
レーベル:IBBI-Records
番号:なし

Produced by Ronny Wikmark
Arranged by Ronny Wikmark (except T-5.),  Rod Mounsey (T-5.)
Norwegian translation/adaption by Ingvil
  Vocal - Ingvil Halle Berkve
  Drums/Percussion - Gary Novak (T-1,3,6.), Magnus Forsberg (T-2,7,10.), Steinar Krogstad (T-4,9.), Ernst Wiggo Sandbakk (T-5,8.)
  Bass - Jimmy Haslip (T-1,3,6.), Kjetil Sandnes (T-2,7.), Morten Skaget (T-4,9.), Mark Vanderpoel (T-5,8.), Andreas Dahle Aagard (T-10.)
  Piano/Keyboard - Jeff Lorber (T-1,3,6.), Ronny Wikmark (T-2,4,5,9.), Morten Huuse (T-7.), Rod Mounsey (T-8.), Lars Andreas Aspesæter (T-10.)
  Saxophone - Kåre Kolve (T-1.), Håkon W. Skog Erlandsen (T-6.)
  Guitar - Skjalg Mikalsen Raaen (T-1,3,4.), Stig Nergård (T-4.), Kristian Raanes (T-9.)
  Trumpet, Trombone - Jens Petter Antonsen (T-1,7.)
  Violin and Viola - Øyvind Smith (T-3.), Liv Trondsetås (T-3.)
  Strings - (T-5,8.)
  Oboe/eh - Keisuke Ikuma (T-5,8.)
  Orgel - Vegard Bjerkan Lian (T-10.)

※ 日本の Amazon での取り扱いは無し。iTunes で試聴/ダウンロード可。

2018年5月 6日 (日)

What The World Needs Now/Arthur Fiedler and the Boston Pops (1972年)

アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス・オーケストラによるバカラック集です!

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A1. BOND STREET
A2. THE LOOK OF LOVE
A3. PROMISES, PROMISES
A4. ALFIE
A5. WIVES AND LOVERS
B1. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
B2. THIS GUY'S IN LOVE WITH AGAIN
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B5. MAKE IT EASY ON YOURSELF
B6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

収録時間約41分


アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス・オーケストラ(BPO)によるバカラック集です。

BPOは1885年に設立された米国ボストンを拠点とするポップ・オーケストラ。基本的にはクラシックの名門オケであるボストン交響楽団(BSO)のメンバーで構成され、BSOのオフシーズンに編成を変えて人気曲やスタンダード曲等を演奏して音楽普及を図っているんだそう。特に、アーサー・フィードラー(1894年生〜1979年没)が常任指揮者だった1930〜'79年の精力的な活動は広く知られるところ。'80〜'93年はあのジョン・ウィリアムズが、'95年以降はキース・ロックハートが常任指揮者を務めています。

本作は1972年のリリース。アーサー・フィードラー78歳の時です。収録されている全11曲はごく普通のバカラック・カヴァー定番曲ばかりですが、アレンジと演奏は他にはない本作特有の魅力があります。

Fullsizeoutput_198Fullsizeoutput_1a1その “ アレンジと演奏の魅力 ” について、ジャケ裏のライナーノーツが独特の言い回しで言及しています。少々長いですが、全文を紹介しますね。(かなり意訳しています、悪しからずcoldsweats01

─  バート・バカラックは独特の魅惑的で独創的で意外性のあるメロディーを書くだけでなく、ちょっと風変わりだがカッコいいアレンジまでこなす。だから、他の誰かがバカラックの曲を解釈しようとするとき、既にあるバカラック作品を基準としてそれに恥じないものにしなくてはならない。問われるのは、新しいバージョンはオリジナルを超えてるか? 或いは最低でも同レベルか? ということだ。
この光り輝くアルバムの場合、その答えは明らかに「イエス」である。その理由は3つ。第1は、マエストロ・フィードラーだ。彼は、お金を持った子供がお菓子屋で解き放たれた時のように嬉々として指揮棒を振っている。BPOの各セクションに向かう姿は、まるで、タフィー、チョコレート、ヌガーのカラフルな瓶を指差してるかのようだ。音楽は生き生きとしており、場面に応じて刺激的になったり穏やかになったり表現も豊かである。
このアルバムの成功の第2と第3の理由は、編曲者のリチャード・ヘイマンとエリック・ナイトにある。順番的にどちらがどうとは言えないが…。想像力に富むふたりの男性は、おなじみのバカラックの曲に新しい陰影と新しい視点を見出している。元々ジャジーな 「 WIVES AND LOVERS(素晴らしき恋人たち) 」 にナイトはシュトラウスのワルツのような雰囲気をもたらし、本来は軟弱な 「 MAKE IT EASY ON YOURSELF(涙でさようなら) 」 にヘイマンはまるでリチャード・ロジャースのような豊かな響きを吹き込んでいる。具体的にはそういうことだ。収録された曲のそれぞれには、まるでクラッカー・ジャックの新しい箱を開けた時のような驚きがある。(注)
そして、バート・バカラックと作詞家のハル・デイヴィッドにはあらためてブラボーと言いたい。デイヴィッドの言葉は熱狂するようなものではないが、音楽のそれぞれのフレーズにおいて圧倒的に心に届くのである。あなたがもし
バカラックとデイヴィッドをお好きなら、もしアーサー・フィードラーを好きなら、もし壮麗でお茶目で羽毛のような音楽を好むのなら、本作は大切なアルバムになるだろう。 デヴィッド・フィンクル ─

(注)クラッカー・ジャック:米国のお菓子。蜂蜜でコーティングしたポップコーンにピーナッツを混ぜたもの。オマケの玩具が入っていて、文中にある “ 新しい箱を開けた時のような驚き ” とはオマケのことを指しているのでは? と思われます。 →  参考動画(クラッカー・ジャックの30秒CM)

私もデヴィッド・フィンクルさんに同感です。クラシックと映画音楽が融合した様なシンフォニックでダイナミックで聴く人を楽しませるアレンジ&サウンドだと思います。

特に、エリック・ナイトがアレンジした5曲のオーケストレーションはどれも秀逸。曲想、テンポ、ダイナミクスを自在に操り、それでいて原曲の持ち味を殺していない稀有なオーケストラ・アレンジです。A2. 「 恋のおもかげ 」 での荘厳なイントロと中盤〜エンディングの異国風味の対比はなんとも絶妙です。A3. 「 プロミセス・プロミセス 」 の変奏込みのオーケストレーションは聴いていてウキウキしますし、ラスト10秒での畳み掛ける金管群はラヴェル 『 ダフニスとクロエ 』 第2組曲の第3曲を彷彿とさせます。一転、A4. 「 アルフィー 」 では弦楽器の豊かな響きと木管楽器の繊細な音色のブレンドはどこまでも美しく、
A5. 「 素晴らしき恋人たち 」 でのこんな管弦楽曲があったんじゃと錯覚してしまうほどの本格的なイントロにも感嘆しました。B1. 「 世界は愛を求めている 」 の後半、それまであまり目立ってなかったホルンがぱぉんぱぉん吹きまくる処が8小節あるのですが、ホルン奏者にストレス発散の機会を与えたかのようでニヤッとします。

それに比べるとリチャード・ヘイマンがアレンジした楽曲は幾分凡庸な感は否めませんが、A1. 「 ボンド・ストリート 」 での西部劇っぽいイントロやマーチング・バンドを思わせる間奏は楽しいですし、B3. 「 雨にぬれても 」 の中間部で突如3拍子になるアレンジなどはユニークです。

これまで拙ブログで紹介したイージーリスニング系オーケストラによるバカラック集(R・グッドウィンR・アルドリッチF・チャックスフィールド 等)は、オーケストラといってもドラムセットやE.ベース、曲によってキーボード/ピアノやギターも加わった編成でした。本作は、曲によってドラムセットが加わるものの基本的には純粋なオーケストラ編成でその意味でも貴重なバカラック集だと思います。どうしてCDリイシューしないのでしょうか……。


※ '90年代にリリースされたBPOのコンピCDの中には、数曲入ってたりしたヤツがあったんですけどねー。私も以前レンタルした
CDで聴いた記憶があります。現在、MP3では 『 From Fabulous Broadway to Hollywood's Reel Thing(レガシー・シリーズVol.4) 』 で2曲(A4,B3.)、『 Superstars and Songbooks - Pops By Arrangement(レガシー・シリーズVol.5) 』 で5曲(A1,A5,B1,B5,B6.)が入手可能です。


【データ】
『 What The World Needs Now  The Burt Bacharach - Hal David Songbook
Arthur Fiedler and the Boston Pops

LP:1972年リリース
レーベル:Polydor (US)
番号:PD 5019 

Produced by Thomas Mowrey
Arranged by Richard Hayman (A1,B2〜B6.)
Arranged by Eric Knight (A2〜A5,B1.)
Violin Solo: Max Hobart (A5.)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月29日 (日)

SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES/Ed Ames(1972年)

米国の男性シンガー、エド・エームスが1972年にリリースした映画音楽集です。収録曲の半分は映画 『 LOST HORIZON(失われた地平線) 』 からのチョイス!

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A1. BUTTERFLIES ARE FREE (from "Butterflies Are Free")
A2. MICOL'S THEME (from "The Garden of the Finzi-Continis")
A3. THE SUMMER KNOWS (Theme from "Summer of '42")
A4. SPEAK SOFTLY LOVE (Love Theme from "The Godfather")
A5. WHERE DO I BEGIN (from "Love Story")

B1. THE WORLD IS A CIRCLE (3:25)
B2. LIVING TOGETHER, GROWING TOGETHER (3:00)
B3. QUESTION ME AN ANSWER (2:55)
B4. REFLECTIONS (3:21)
B5. LOST HORIZON (3:30)

収録時間約33分


米国の男性シンガー、エド・エームスが1972年にリリースした映画音楽集です。

本作は前回記事で取り上げた 『 Sings the Songs of Bacharach and David 』をDiscogsで探している時に見つけました。へぇ〜、こんなアルバムあったんだ、ということで併せて購入したものです。なお、エド・エームスについては前回記事を参照ください。

タイトルにもあるように、収録曲の半分 〜 LPのB面全て 〜 はバカラック&デイヴィッドが音楽を担当した1973年の映画 『 LOST HORIZON(失われた地平線) 』 からのチョイス。A面では1曲目から『 バタフライはフリー 』('72)、『 悲しみの青春 』('70)、『 思い出の夏 』('71)、『 ゴッドファーザー 』('72)、『 ある愛の詩 』('70) のテーマ曲や愛のテーマをカヴァーしています。

ここで1つ疑問が。『 失われた地平線 』 の全米公開は1973年2月で、サントラ盤のリリースは一ヶ月前の1973年1月(1972年12月という説もあり)です。対して、本作は1972年にリリースされてるっぽいのです。レーベル面の(P)1972、ジャケット裏の(C)1972という刻印から判断するに、少なくとも1972年制作なのは間違いないところ…。映画公開や本家サントラ盤リリースよりも前に制作してるって、どーゆーことupsign02

R360544013946523923520jpeg ─  アメリカでは、《 BELL RECORDS 》から発売される1年前に、配給会社の《 COLUMBIA PICTURES 》がデモンストレーション用の非売品アナログLPをプレスしているんです。それも、珍しいブルーのクリア・ヴィニール・レコード。 ─  (映画サントラ盤リイシューCDの日本盤ライナーノーツより、坂口修氏の発言)

そのデモ用LP、Discogsで調べたら見つかりました(ジャケット画像はDiscogsより拝借)。デモ用LPの収録曲は正規サントラ盤と全く同じようです。RCA Victor は映画がヒットするだろうと踏んで、このデモ用LPを元にして早々に本作を制作・リリース → 漁夫の利を得ようとしたのではないか? まぁ、あくまで私の想像に過ぎませんが…。

Fullsizeoutput_140_3Fullsizeoutput_144_3 バックの演奏は、ドラムス、ベース、ギター、キーボード(オルガン系と思われる)にフル・オーケストラが加わるという、本家サントラ盤に勝るとも劣らない豪華なもの。低く朗々としていて若干ビブラートがかかるエド・エームスの歌声は、ハツラツとはしていませんがこういったミュージカルっぽい曲との相性は悪くないんじゃないかと思います。

でも、私が本作で一番評価しているのはアレンジです。例えば、イントロ。5曲全て本家とは違うイントロなんですねー。B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(世界はまるい) 」 とB2. 「 リヴィング・トゥゲザー、グロウイング・トゥゲザー 」 はどちらも原曲にイントロは無いのですが、ストリングスと木琴が三連符を右肩上がりで刻む 「 世界はまるい 」のイントロ、クラシカルなストリングスが独自のメロディを奏でる 「 リヴィング… 」 のイントロ、共に独創的且つ曲にマッチしていると思います。アコギの刻みが印象的なB3. 「 クエスチョン・ミー・アン・アンサー 」 のイントロ、何やら昭和歌謡曲の雰囲気があるB4. 「 リフレクションズ 」 のイントロもどちらもオリジナリティがあって私は本家よりエド版の方が好みだったりします。B5. 「 ロスト・ホライズン 」 も原曲はイントロなしですが、サビのメロディをイントロに持ってきています。

原曲と幾分テイストが違う 「 ロスト・ホライズン 」 を除いて全体的なテイストは本家から大きく外れていません。プロデューサーは最初からそういう縛りを課したのかもしれません。その中で、アレンジャーはイントロをはじめとして新鮮なオブリガートやイントロをうまく再利用した間奏など色々工夫を施しています。アレンジャーは2人とも力量ある方なんだと思います。

んで 「 ロスト・ホライズン 」 ですが、原曲(♩≒124)よりもかなり遅いテンポ(♩≒88)で重厚感あるシンフォニックなアレンジが施されています。ショーン・フィリップスが歌った原曲はあまりスケール感を感じないものでしたが、エドの豊かな声量もあって雄大な景色と地平線をイメージする曲になっています。

本作単独でCDリイシューするのは難しそうですが、『 Sings the Songs of Bacharach and David 』 とセットでの 2 on 1 CD化をなんとか実現して欲しいですね〜。『 失われた地平線 』 のサントラを(5曲だけではあっても)カヴァーしようなんて酔狂なアルバム、滅多にありませんから。


【データ】
『 SONGS FROM "LOST HORIZON" AND THEME FROM OTHER MOVIES 』
Ed Ames

LP:1972年リリース(?)
レーベル:RCA Victor (US)
番号:LSP-4808

Produced by Joe Reisman
Arranged and Conducted by Perry Botkin, Jr.  (A1,A3,B2,B4.)
Arranged and Conducted by Bill Reddie  (A2,A4,A5,B1,B3,B5.)
With the Jimmy Joyce Children's Chorus  (B1,B3.)

(C) 1972 RCA Records
(P) 1972 RCA Records

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月22日 (日)

Sings the Songs of Bacharach and David/Ed Ames (1971年)

米国の男性シンガー、エド・エームスが1971年にリリースしたバカラック集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. MAKE IT EASY ON YOURSELF
A2. NIKKI

A3. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU

A4. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

A5. THE LOOK OF LOVE

A6. WIVES AND LOVERS

B1. ALFIE

B2. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

B3. HOW DOES A MAN BECOME A PUPPET

B4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD

B5. I SAY A LITTLE PRAYER

収録時間約32分


米国の男性ポピュラー・シンガー、エド・エームスが1971年にリリースしたバカラック集です!

1927年マサチューセッツ州の生まれ。1928年生まれのバカラックより1年先輩です。50年代は4人組男性ボーカル・グループ、エームス・ブラザースの末弟として活動。エームス・ブラザーズが1963年に活動停止してからはソロ・シンガー&俳優として活躍したお方だそうです。

本作はエドの20作目のアルバムにあたるそうなのですが、Discogsで各アルバムをチェックしたところエドはこれ以前にも時折バカラック&デイヴィッド作品をカヴァーしていました。時間やアレンジャーを照らし合わせると、本作全11曲のうち3曲は過去のカヴァー曲と思われ、残り8曲は新たにレコーディングしたもののようです。
Ed_ames_2

カタログを持っているソニーさん(RCA→BMG→SONY)がいつかCD化してくれるだろうと待っていたのですが、もう無理かな…と断念してつい最近中古LPをDiscogsで購入しちゃいました。演奏はバンド+フルオケ。収録元アルバムが違っていても、プロデューサーが同じだからか1つのアルバムとして聴いても統一感があります。

Img_0282Img_0283 全11曲のうち4曲は所有するコンピCD 『 MAGIC MOMENTS the classic songs of Burt Bacharach 』 に入っていたもの。俗っぽいアレンジには少し工夫が見られるものの心持ち鼻にかかった甘い歌声は大根歌手の趣きでそれほど印象に残らない…。コンピCDの紹介記事に書いたその4曲の評価は今回聴いてもそのままですが(大根歌手はちょっと言い過ぎかなcoldsweats01) 、他の7曲の中にはレコメンドな曲がありました。

まずは、アルバムの中で(エドにとっても)唯一のバカラック書き下ろしのB3. 「 HOW DOES A MAN BECOME A PUPPET 」 。コレが聴きたくてこのLPを購入したようなものです。でも、聴いてみてあれっ? となりました。カヴァー・バージョンも含めて初めて聴く曲のはずなのに、この3拍子の曲はどこか聴き覚えがあるぞ…と。バカラックA&M2枚目のアルバム 『 MAKE IT EASY ON YOURSELF 』 に収録されていたインスト・ナンバー 「 SHE'S GONE AWAY(シーズ・ゴーン・アウェイ) 」 のAメロと一緒なんですょ。調べたところ、この曲は 「 シーズ・ゴーン・アウェイ 」 をベースとしてBメロ(サビ?)のメロディとコード進行を変えたものにハル・デイヴィッドが詞を付けた曲だと判明。納得しました。曲のタイトルは、直訳すると 「 どうしたら男は人形になるのか… 」 てな意味でしょうか。意味深ですねー。ダイナミックなエドの歌唱は却って男の悲哀(たぶん…)を感じさせます。

そしてレア曲のA2. 「 ニッキ 」 。バカラックが1966年にシングル・リリースしたのがオリジナル。1971年のバカラックA&M3枚目のアルバム 『 BURT BACHARACH 』 にはリメイク版が収録されています。エドは1967年のアルバムで取り上げていますから、すぐにカヴァーしたワケですね。アレンジはバカラック版とほぼ同じですが、エド版の最大の特徴は、バカラック版や他のカヴァーがインスト曲なのに対してハル・デイヴィッドの歌詞が付いたヴォーカル・バージョンであること。貴重なバージョンです。
曲名の " Nikki " とはバカラックの娘さんの名前。エドのウォームな歌声はこの曲と相性が良く、バカラックの我が娘に対する思いを代弁しているかのようです。

A5. 「 恋のおもかげ 」 も好カヴァーです。気怠いムードを醸し出すブラスの音色とベースの派手な動きがこのアルバムの中ではちょっと異色で、ジャズ寄りのテイスト。エドのヴォーカルは相変わらず大根チックなのですが。

低音楽器がクラシカルなメロディをユニゾンで奏でるB5. 「 小さな願い 」 のイントロ部や、目立たないものの各曲のあちこちで見られる独自のオブリガートなど、アレンジャーがしっかり仕事しているのがわかります。さすがはRCA。「 HOW DOES A MAN BECOME A PUPPET 」 に「 ニッキ 」 と2曲も目玉があるこのアルバム、裏ジャケではエドの両側にバカラックとデイヴィッドが仲良く並んで写ってますし、CDリイシューしたらバカラック・ファンは喜ぶと思うんですけどねー。


【データ】
『 Sings the Songs of Bacharach and David 』
Ed Ames

LP:1971年2月リリース
レーベル:RCA Victor (US)
番号:LSP-4453

Produced by Jim Foglesong
Arranged and Conducted by Jimmie Haskeil (A1,A4,A6,B1,B3,B5.)
Arranged and Conducted by Perry Botkin, Jr. (A2,A5,B4.)
Arranged and Conducted by Larry Muhoberac (A3,B2.)
Recorded in RCA's Music Center of the World, Hollywood, California

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年4月 8日 (日)

The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach/Ena Baga (1972年)

英国の女性オルガニスト、エナ・バーガのハモンドオルガンによるバカラック・カヴァー集です!

(画像は全てクリックすると大きくなります)
Img_0235aaa Img_0237bbb

A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
A2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A3. ANYONE WHO HAD A HEART
A4. WIVES AND LOVERS
A5. THE LOOK OF LOVE
A6. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B3. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B4. TRAINS AND BOATS AND PLANES
B5. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
B6. I'M A BETTER MAN (FOR HAVING LOVED YOU)

収録時間約33分


英国の女性オルガニスト、エナ・バーガが1972年にリリースしたハモンドオルガンによるバカラック・カヴァー集です!

Enabagahammond_3 エナ・バーガは1906年ロンドン生まれ。12歳のとき教会のオルガン奏者としてのキャリアをスタートさせ、14歳でプロに。1920年代~1930年代は映画館で無声映画のオルガン奏者をしていたそう。第二次世界大戦後はハモンドオルガンを弾くようになり、1960年代後半~1970年代に本作やレノン=マッカートニー集など10枚以上のアルバムをリリース。本作リリース時は66歳でした。晩年は後進の指導にあたり、2004年に98年の生涯を閉じました。

本作のジャケ写はお肌を露出した若い女性で如何にもイージーリスニングといった趣き。モノクロの裏ジャケにエナ・バーガのお写真載ってはいますが小さ過ぎてイマイチ。つーことで彼女の写真を載せておきます。1968年のアルバムのジャケ写真をトリミングしたもので、62歳のエナ・バーガ。貫録のあるおばさま…という雰囲気ですね。

Ttr4_600pxHammond_t100_series_organ_st_mart_2裏ジャケのライナーによれば、彼女が本作で弾いてるハモンドオルガンはTTRというモデル。でも、Wikiでハモンドオルガンのリストを見ても載っていません。

色々調べたところ、1968年~1975年に生産されたT-100シリーズの英国生産版と判明。画像を比較しても見た目はほぼ同じ。ハモンドオルガンを代表する機種のコンソール型B-3と較べるとドローバーの数や上鍵盤/下鍵盤/足鍵盤の鍵盤数は少なく、一般的にスピネット型と呼ばれる家庭向けの機種のようです。

Img_0238fff Img_0241ggg 収録全12曲がバカラック作品。カヴァー定番曲が並んでいますが、1曲だけB6. 「 ベター・マン 」 はレア度けっこう高いです。

演奏スタイルは、主役のハモンドオルガンTTRにドラムスとパーカッションを加えたもの。全体的な印象はハモンドオルガンによるイージーリスニングです。

オルガンは、上鍵盤(右手)でメロディを、下鍵盤(左手)でコードを、足鍵盤(左足)でベースを弾くというのが基本的な演奏方法。メロディは時折フェイクしたりブロック奏をして、ベースもけっこう足が動いてそれなりに工夫が見られます。が、コードは殆どが和音をベタ弾きか刻んでるだけの実に単純なアレンジで、もう少しオブリガートを入れる等して欲しかったなぁ。

無機質でリズム感があまり感じられないドラムスも残念ポイントの一つ。イージーリスニングのキモはアレンジなのですが、このアレンジは物足りないですねー。A4. 「 素晴らしき恋人たち 」 でのメロディの変奏やA6. 「 サン・ホセへの道 」 での軽快なウォーキングベースなど、聴き所と言えるポイントもあるんですけどね。やっつけ仕事なんだろうなぁ。


【データ】
The Happy Hammond Plays The Hits Of Burt Bacharach
Ena Baga

LP1972年リリース
レーベル:HALLMARK RECORDS (UK)
番号:SHM 767

クレジットなし

日本のAmazonでの取り扱いは無し

2018年3月23日 (金)

Plays Bacharach Vol.1 (Paper Maché)/Noël Akchoté (2016年)

フランスのギタリストによる、何を弾いてんだかよくわからないバカラック・カヴァー集です。 (CD無し/デジタル配信のみ)

(画像は全てクリックすると大きくなります)
Nol_akchot

1. THE LOOK OF LOVE
2. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR
3. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE
4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
5. WALK ON BY
6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
7. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
8. PROMISES, PROMISES
9. PAPER MACHE
10. ODDS AND ENDS
11. LONELINESS REMEMBERS WHAT HAPPINESS FORGETS
12. I SAY A LITTLE PRAYER
13. EVERYBODY'S OUT OF TOWN
14. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
15. MESSAGE TO MICHAEL
16. ALFIE
17. WHAT'S NEW PUSSYCAT?

収録時間約31分


フランスのギタリスト、ノエル・アクショテによるバカラック・カヴァー集です。Amazon/iTunes 等のデジタル配信のみです。

1_3A21201213401105751370jpeg_3 ノエル・アクショテは1968年パリ生まれ。8歳からギターを手に取り、最初はジャズを弾いていたそう。90年代初頭から前衛的/実験的なスタイルになっていき、現在はロック、ジャズ、現代音楽などの分野で活躍中とのこと。自身のレーベル Noël Akchoté Downloads から多数のアルバムをリリースしています。実際、Discogs には Album だけで494タイトル※も出てきてビックリしました。(※ 2018年3月時点)

画像は彼の公式サイトと Discogs から拾ったものですが、なんとなく小難しそうな人ですねー(^^;。
演奏はアコースティック・ギター1本のみ。カヴァー定番曲が殆どですが、T-9. からの3曲とT-13. はあまりカヴァーされないマイナーな曲。なかでもT-11. 「 ロンリネス・ハッピネス 」 とT-13. 「 アウト・オブ・タウン 」 は超レア曲です。

全17曲と曲数は多いですが、収録時間トータル約31分なので1曲あたりの演奏時間は2分以下。じっくり聴くというよりはBGM的にリラックスして聴いてもらうコンセプトなのかと思ったら、これが何弾いてんだかよくわからない演奏でして…。リラックスするどころか 「 この曲、何だっけ? わからん~~~ 」 となる代物なのです。

①. メロディを崩している
②. 伴奏パートの音量がメロディパートと同じくらい大きい
③. 左手がスライドする際の “ キュッキュッ音 ” が大きくて耳障り

何弾いてんだかよくわからない理由はこの3つ。アコギのソロといえば拙ブログでも紹介したことがあるアール・クルー( こちら でオマケとして紹介)。アール・クルーの演奏は、①. 2コーラス目でメロディを崩すことはあっても1コーラス目はメロディを崩すことはなく、②. メロディがしっかり浮き出るよう伴奏パートの音量は控えめで、③. 左手のキュッキュッ音は殆ど聴こえないレベル。何を弾いてるかちゃんとわかりますし、なにより聴いていてまったりした気分になります。

それに比べてノエル・アクショテは…。すぐに曲名がわかるものも一部ありますが、フレーズの断片からおぼろげながら曲名が浮かぶものが殆どです。中には、最後まで曲名がわからなかったものも…。なかなかオススメしづらいバカラック・カヴァー集でございます。Vol.2 がリリースされるとしたら何とかして欲しいところです。

まぁ、『 バカラック愛好家による曲名当てクイズ 』 みたいな企画があったらこの音源を出題すると面白いかもしれませんねー。それ以外の使い道はちょっと思い付きません…。


【データ】
『 Plays Bacharach Vol.1 (Paper Maché) 』
Noël Akchoté

MP3:2016年4月29日リリース
レーベル:Noël Akchoté Downloads (FR)
番号:BUB-1

Acoustic Guitar, Producer, Arranged by Noël Akchoté
Recorded in Paris (France), 14 April 2016

2018年3月11日 (日)

THE ROYAL MARINES Play BURT BACHARACH/Band of H.M. Royal Marines (Royal Marines School of Music) (1974年)

英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊が1974年にリリースしたバカラック作品集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD / MAGIC MOMENTS
A2. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A3. WHAT'S NEW PUSSYCAT?
A4. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN
A5. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A6. TO WAIT FOR LOVE / (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B1. THE WORLD IS A CIRCLE
B2. ALFIE
B3. WIVES AND LOVERS
B4. TRAINS AND BOATS AND PLANES / I SAY A LITTLE PRAYER
B5. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約41分


英国王立海兵隊音楽学校軍楽隊によるバカラック作品集です。1974年にEMIからリリースされました。

軍楽隊の前身となるドラム隊が創設されたのは1664年のこと。350年以上も前ですょ、スゲェ! 現在、英国海兵隊軍楽隊部門には基地/部隊付きの5バンドと音楽学校1バンドの計6バンドが所属。各軍楽隊はそれぞれ多数のLP/CDをリリースしているみたいです。なお、H.M.は Her (His) Majesty の略で 陛下 という意味。 the Royal Marines は 英国海兵隊 のこと。 ⇒ H.M. Royal Marins を 英国王立海兵隊 と訳すんだそうです。

Photo

本アルバムはこのうち 音楽学校軍楽隊 によるもの。1966年公開の劇場版 『 THUNDERBIRDS ARE GO (邦題:サンダーバード) 』 に出演したのはあまりにも有名ですネ。映画のエンド・クレジットに同期して、当時のヴィヴィアン・ダン中佐指揮のもと当時ケント州ディ-ルにあった海兵隊音楽学校構内広場で 「 サンダーバードのテーマ 」 を演奏・行進した模様がフィルムに収められています。演奏自体はスタジオ録音したものみたいですが、素晴らしいです。 → 演奏はこちら

この音楽学校には悲しい歴史が…。1989年9月22日、IRAがディールの音楽学校を爆破して11人が死亡し22人が負傷するという痛ましい事件が起きました。その後1996年に音楽学校は現在のハンプシャー州ポーツマスに移り、ディールは閉校に…。跡地には記念の庭が作られ、毎年7月には軍楽隊が野外コンサートを開いてるそうです。

ちょっと横道にそれました。本題に移ります。本アルバムは吹奏楽編成38名による演奏で、指揮者はポール・ネヴィル中佐 (1970年にヴィヴィアン・ダン中佐から交代)。編成上の特徴はトランペットではなくコルネットを吹いている点。英国の吹奏楽ではトランペットよりも音がまろやかなコルネットを用いるのが伝統なんです。 (トランペット/コルネット/フリューゲルホルン聴き較べ → ヤマハサイト)。

バカラック作品15曲、計12トラックをレコーディング。カヴァー定番曲ばかりかと思ったら、B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい) 」 が入っててビックリ! 映画 『 失われた地平線 』 の挿入歌ですが、滅多にカヴァーされないレア曲ですからねー。

とてもやわらかい響きのサウンドは素晴らしいのひとこと。演奏レベルは高いです。音質もクリアで録音技術も優秀なんじゃないでしょうか。基本的にはコンサートマーチ(行進用ではなくステージ演奏用のマーチ)のスタイルにアレンジされていますが、聴く人を楽しませる工夫もあって決して退屈ではありません。編曲したレイ・ウッドフィールドは海兵隊軍楽隊の作曲家/編曲家で、音楽学校で教鞭も取っていたそうです。

では、簡単に1トラックずつコメントしていきます。

Img_0275eee_3 A1. 前半の 「 雨にぬれても 」 、格調高くなったり剽軽になったり目まぐるしく変わるイントロを聴いてるだけでもアレンジャーのサービス精神がわかろうというもの。♩≒120のマーチ・テンポのまま迎えた後半の 「 マジック・モーメンツ 」 は、木管の可愛らしいフレーズや吠えるホルンなど、アレンジも演奏も楽しいです。

A2. 「 ディス・ガイ 」 : トランペット・ソロがフィーチャーされた曲で、アレンジは大人しめ。ソロ吹いてる方、ホント上手です。

A3. 「 何かいいことないか子猫チャン 」 : 最初は子猫チャンと遊んでたけど、途中でボス猫が出てきて怒鳴られシュンとなり…。そんな情景が浮かんでくるとってもユニークなアレンジ。本アルバムで1,2を争う楽しさです。

A4. 「 恋よさようなら 」 : イントロ冒頭とエンディングはスローですが、真ん中は♩≒120のマーチ・アレンジ。イントロと間奏で聴こえるピッコロ・フルートによる可愛らしいオブリガートは私のお気に入りとなりました。

A5. 「 サン・ホセへの道 」 : イントロは金管によるファンファーレ風。本編は軽快なマーチです。

A6. 前半の 「 トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ(愛のおとずれ) 」 、後半の 「 愛の思い出(恋のウェイト・リフティング) 」 ともにわりと素直なアレンジです。

Img_0274fff_2 B1. 「 ザ・ワールド・イズ・ア・サークル(地球はまるい) 」 : ティンパニ、スネア・ドラム、テューバ、サックス/トロンボーン、コルネットと少しずつ楽器が音を積み重ねていくイントロはまるで映画のオープニングのよう。本編からのシンフォニックでいて軽快なサウンドはミュージカルの雰囲気。素敵なアレンジと演奏で、この曲を聴けただけでも本アルバムを入手した甲斐がありました。

B2. 「 アルフィー 」 : トロンボーン・ソロをフィーチャーした、リズム無しのスローな演奏。トロンボーンの裏でフルートやクラリネットが吹くオブリガートの細やかさにうっとりします。

B3. 「 素晴らしき恋人たち 」 : ちゃんとジャズ・ワルツの雰囲気になってます。Aメロでメロディを吹くコルネットに相槌を入れるフルートとシロフォンのオカズが個人的にはレコメンド。残り40秒となったところでスローダウンするのですが、そこでのクラリネット・ソロも素敵です。

B4. 「 汽車と船と飛行機と 」 と 「 小さな願い 」 を♩≒116の8ビート風マーチのリズムでメドレー。「 汽車と船と飛行機と 」 のAメロと 「 小さな願い 」 のAメロがマッシュ・アップできることに初めて気づきました。

B5. 「 遥かなる影 」 : シャッフルのリズムですから一応カーペンターズ版を下敷きにしてるのですが、サビの後も例の5連符は使ってないし多種多様なオブリガートも独自のものばかり。テンポも速くなったり遅くなったりします。ここまでシンフォニックな 「 遥かなる影 」 はなかなかありません。

B6. 「 世界は愛を求めてる 」 : スローで徐々にクレシェンドしていく45秒間のイントロ。4分の3拍子と8分の6拍子を重ねて演奏するユニークなAメロ。普通のジャズ・ワルツのBメロ。なんともユニークなアレンジです。

吹奏楽によるバカラック集といえば、1972年の航空自衛隊航空音楽隊 『 ダイナミック・マーチ・イン・バカラック 』 があります。本アルバムとはかなり趣が異なりますが、どちらも内容の濃いバカラック集だと思います。


【データ】
『 THE ROYAL MARINES Play BURT BACHARACH 』
Band of H.M.Royal Marines (Royal Marines School of Music)

LP:1974年リリース
レーベル:EMI (UK)
番号:TWOX 1013

Produced by Bob Barratt
Arranged by Ray Woodfield
Conductor:Lieutenant-Colonel Paul Neville, MVO, FRAM, RM.
(Principal Director of Music, Royal Marines)

The instrumentation of the Band for this album comprised
  3 flutes
  1 oboe
  8 clarinets
  1 bass clarinet
  1 bassoon
  2 alto saxophones
  1 tenor saxophone
  4 French horns
  6 cornets
  3 trombones
  1 euphonium
  3 tubas
  1 double bass
  3 percussion
a total of 38 first-class musicians.

Trumpet solo : Band Corporal Jonathan Yates (A2.)
Trombone solo : Musician Michael Eastbrook (B2.)

Recorded at EMI's Abbey Road, London, Studios
Ⓟ 1974 EMI Records Ltd

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

2018年2月25日 (日)

What The World Needs Now!/Tony Hatch & His Orchestra (1971年)

英国のソングライター、トニー・ハッチが1971年にリリースしたバカラック・カヴァー集です。

(画像は全てクリックすると大きくなります)
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A1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
A2. TRAINS AND BOATS AND PLANES
A3. THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU
A4. WALK ON BY
A5. A HOUSE IS NOT A HOME
A6. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
B1. I SAY A LITTLE PRAYER
B2. THE LOOK OF LOVE
B3. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
B4. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU
B5. ALFIE
B6. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE

収録時間約37分


Tony_hatch_photo_3 トニー・ハッチ(1939-)は1960年代から英国ポップスをリードしてきたソングライターであり、数多くのアーチストを世に送り出してきた名プロデューサー。

1961年にパイ・レコードと契約。サーチャーズやデヴィッド・ボウイなどに作品を提供し、数々のヒット曲を生み出しました。ペトゥラ・クラークの 「 Downtown (恋のダウンタウン) 」 は英国人女性初の全米NO.1に輝き、 「 Call Me (コール・ミー) 」 は世界中の歌手にカヴァーされています。その活躍ぶりは “ イギリスのバカラック ” と称されるほど。

1960年代半ばからはオーケストラを率いてイージーリスニング・アルバムを数多くリリース。本アルバムはそんなイージー・リスニング・アルバムのひとつで、1971年にリリースされたバカラック作品集です。ジャケ写は女性の写真。もろイージーリスニングだぁ。

R1047189514981339584924jpeg_3同じ年に日本盤もリリースされました。邦題は 『 トニー・ハッチ<プラス>バート・バカラック 』。トニー・ハッチにバカラックを足すとは、どーゆーこと? もしかしてトニー・ハッチとバカラック、世紀の共演なのかっ!?

─  イギリス最高のサウンド・クリエーターが見事な4チャンネル・アレンジで贈るバカラック・ソング ─ (日本盤の帯コピー)

帯を読まないと誤解しますよねー。素直に 『 トニー・ハッチ<プレイズ>バート・バカラック 』 としとけばよいものを…。

プロデュース&アレンジはトニー・ハッチ自身。クレジットに記載はありませんが、オーケストラは小規模ビッグバンド+ストリングス+ハープってな感じでコーラスは一切なし。トニー・ハッチ自身は指揮してるのかな?

Img_0268eeeImg_0269fff 取り上げた12曲はバカラックの定番曲ばかり。1971年ですからB3. 「 雨にぬれても 」 やB4. 「 遥かなる影 」 も入ってます。アレンジの仕立ては “ 軽快で明るいイージーリスニング ”。どちらかというとストリングスより管楽器が目立ちますが、各楽器にまんべんなくメロディを担当させてます。特にバス・トランペットは珍しいと思います。普通ポップスには使わんでしょう。一般的なトランペットより1オクターブ低く音色はトロンボーンにそっくり。知らなかったので勉強になりました。(参考:トランペット6種類のデモ動画 ~ 最初がバス・トランペット)

─  バート・バカラックは、コードとリズム構造の複雑さとメロディのシンプルさを融合させるわざの持ち主です。ハル・デイヴィッドは、おきまりのありきたりな表現をスタイリッシュなオリジナリティーに変える技巧をモノにしました。私は何年もの間、彼らの複合的な才能に敬意を表してきました。このアルバムで彼らのグレイテスト・ヒッツ12曲を演奏することは私にとって途轍もなく大きな喜びです。 ─ (トニー・ハッチ、 裏ジャケのライナーより)

バカラックとハル・デイヴィッドの2人を同じようにリスペクトしているのは作詞と作曲の両方をこなすトニー・ハッチならでは。取ってつけたようなアレンジの曲はなく、彼の言葉が儀礼的なものではないことがわかります。ハープで始まるイントロやAメロ初め2小節の弾むハーモニーが特徴的なA1. 「 サン・ホセへの道 」 、いろんな楽器を贅沢に使ったアレンジでバス・トランペットがいいアクセントになっているB1. 「 小さな願い 」 、速いテンポ(♩≒140)のジャズワルツでブラスとストリングスがゴージャスに奏でるB6. 「 世界は愛を求めている 」 あたりがレコメンド。

他にも、フリューゲルホルン2本とフルートがうまくハモるA2. 「 汽車と船と飛行機と 」 、フリューゲルホルンとトロンボーンによるメロディの掛け合いがたまらないB5. 「 アルフィー 」 あたりも捨てがたいです。トニー・ハッチは日本ではともかく英国では超有名ですからCD化されていてもよさそうなもんなんですが…。

R357085415013377633140png なお、B2. 「 恋のおもかげ 」 だけは1968年のアルバム 『 Latin Velvet And Other Warm Sensations 』 からのキャリーオーバー。
流麗なストリングスにフリューゲルホルン、サックス、ピアノがシンプルにメロディを乗せたサウンドは、確かに本アルバムの他の曲とはちょっと雰囲気が異なります。私のレコメンドではありませんねー。

このように、本アルバム以外にもトニー・ハッチは自身名義でバカラック作品をレコーディングしています。
以下まとめてみました。対象はあくまで彼自身名義のアルバムで、例えば “ ジャッキー・トレント(当時の奥様) with トニー・ハッチ ” のようなアルバムは含みません。
Tony_hatch_list

R211496314665272806804jpegオマケとして、MP3でしか所有していないバカラック・カヴァーをご紹介。
上表のとおり、トニー・ハッチは1970年にリリースした Tony Hatch & The Satin Brass 名義のアルバム 『 Sounds Of The 70's 』 で 「 恋よさようなら 」(2:17) と 「 ディス・ガイ 」(3:20) を取り上げています。「 恋よさようなら 」 はマリアッチ調で、複数のトランペットによるメロディはどーみてもティファナブラスのパクリ(笑)。他にもホルンやトロンボーンがバリバリメロディを吹いてます。
「 ディス・ガイ 」 は本アルバムにも収録されていますが、イントロこそ似てるものの全くの別物。ボサノヴァ調で、後半は 「 恋よ~ 」 と同様に金管がバリバリ吹きます。本アルバム収録曲の方が私は好きですねー。


【データ】
『 What The World Needs Now! 』 (邦題:トニー・ハッチ<プラス>バート・バカラック)
Tony Hatch & His Orchestra With The Songs Of Burt Bacharach & Hal David

LP:1971年リリース
レーベル:Pye Records (UK)
番号:NSPL 41014

Produced by Tony Hatch
Arranged by Tony Hatch
Special Mentions
  Bass Trumpet - Ray Premru (A1,A6,B1)
  Flugel Horn - Tony Fisher (A2,B6), Greg Bowen (A2,A3)
  Trombone - Johnny Edwards (A2)
  Alto Sax - Ronnie Chamberlain (A5)
  Tenor Sax - Rex Morris (B5)

Recording Supervised by Ray Prickett at Pye Records Studios, London
Ⓟ1971 except B2. (Ⓟ1968)

※ 日本の Amazon での取り扱いはなし

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