バカラックの曲がちょっと入ったアルバム

2021年1月 3日 (日)

A Happy Afternoon/Dieter Reith (1966年)

ドイツのジャズ・ピアニスト、ディーター・ライスがトリオ編成で1966年にリリースしたアルバムです。バカラック作品を1曲収録!

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全8トラック中、バカラック作品は1トラック

5. WIVES AND LOVERS (4:26)


ドイツのジャズ・ピアニスト、ディーター・ライスがトリオ編成で1966年にリリースしたアルバムです。

ディーター・ライスは1938年ドイツのマインツ生まれ(2020年没、享年82歳)。誰それ?って思ったのですが、ライナーノーツの解説によると、 ─ ディーター・ライス、なかなか聞かない名前である。リーダー作もアルバム単位では3枚程である。しかし、ヨーロッパ・ジャズのファン及びピアノ・ファンにとってはある程度のレベルに達すると必ず一度は出てくる名前 ─ なんだそう。そして本作は “時計のライス” と称される名盤らしいです。

取り上げたバカラック作品はT-5.「 素晴らしき恋人たち 」。元来ジャズワルツのこの曲、特にジャズ系のアーティストは速いテンポで演奏する例が多いのですが、ライスのトリオはその中でもかなり高速な部類になります。♩≒226のテンポで、アドリブも含めてノリの良いピアノに加えてハードなドラムス&ベース…ファンキーな演奏です。個人的に印象に残ったのは特にファンキーでもないイントロでのピアノの “ジャラ〜〜ン” なんですけどね。

全体的には賑やかで気軽に聴けるピアノトリオのアルバムではないかと。全8曲中3曲(T-1,3,8)がライスの自作曲なんですが、これがなかなか良曲だったことを付け加えておきます。


ここからはオマケ。所有しているMP3の中からライスの演奏(♩≒226)より更に速い「 素晴らしき恋人たち 」をご紹介。
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まずはヴォーカルもの。米国女性シンガー/フルート奏者の Kaylene Peoples(カイリーン・ピープルズ)が2005年のアルバム『 All Jazzed Up! 』でカヴァーした「 素晴らしい恋人たち 」(4:49) のテンポは♩≒236。ピアノトリオをバックに、前半と後半で歌って中間の約1分40秒間でフルートを吹いてます。パワフルな歌唱ではフェイクやスキャットを入れたり、フルートでもアドリブをビシバシ入れて、まー圧倒されます。レコメンドです。
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続いてインストもの。米国男性ジャズトランペッターのサド・ジョーンズとバリトンサックス奏者のペッパー・アダムスによる Thad Jones / Pepper Adams Quintet が1966年にリリースしたアルバム『 Mean What You Say 』で「 素晴らしい恋人たち 」(4:53) を取り上げてます。そのテンポは♩≒228。最初フリューゲルホーンとバリトンサックスが一緒にメロディを吹き、そのあとフリューゲルホーン→バリトンサックス→ピアノの順にアドリブしています。
以下は参考情報:他にも、バカラック・トリビュート盤『 JAZZ BACHARACH 』に収録されている SOIL & "PIMP" SESSIONS の「 素晴らしい恋人たち 」も♩≒236と高速です。やたら騒々しくて私の好みじゃないのですが…。アルバムは既に紹介済み → こちら


【データ】
『 A Happy Afternoon 』
Dieter Reith

LP:1966年リリース (所有CDは、2006年リイシューの日本盤。解説は瀧口大由記氏)
レーベル:SABA (Germany) (所有CDは、MPS Records / Universal Music K.K.)
番号:SB 15 127 ST (所有CDは、UCCU-5521)

Dieter Reith - Piano
Charly Antolini - Drums
Peter Witte - Bass

2020年12月13日 (日)

HELP EVER HURT NEVER [初回盤]/藤井 風(2020年)

藤井 風のファーストアルバム。初回盤にバカラック・カヴァーを2曲収録!

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紙ケースの表面/裏面/側面/底面

全22トラック中、バカラック作品は2トラック

<DISC2:HELP EVER HURT COVER>
1. CLOSE TO YOU (3:38)
4. ALFIE (2:33)


今年(2020年)5月にリリースされた藤井 風のファーストアルバム [初回盤] です。

彼は1997年岡山県生まれの23歳。 ─ 昨年末、配信限定で「何なんw」「もうええわ」がリリースされると、アーバンなサウンドに乗った岡山弁の歌詞(一人称が「ワシ」)が世間の度肝を抜き、サブスク上位へランクイン、プレイリスターからの賞賛など、たちまちシーンのど真ん中へ浮上した藤井 風。同曲のMusic VideoがYouTubeへ公開されると、耳の早いリスナーだけでなく、様々なジャンルのクリエイター陣も彼の才能に気づき始め、話題となった。作詞作曲は全曲「藤井 風」。サウンドプロデュースには「Tokyo Recordings」の主宰として数々のアーティストをプロデュースする「Yaffle」氏を迎え、ファーストアルバムにして2020年を代表する名盤が誕生した。◆初回盤はDisc2に“HELP EVER HURT COVER”を11曲収録した2ディスク仕様に加え、このアルバムのために撮り下した特製フォトブック(全52P)が付属する。 ─ (Universal Music Japan サイトより)


ファーストアルバムには通常盤と初回盤がありまして。
通常盤と共通するDISC1(11曲)は全て自作曲。また聴きたくなる曲ばかりで素晴らしいんですょ、ホントに。
初回盤のみのDISC2(11曲)は全て自身のピアノと歌による洋楽カヴァー。バカラック・カヴァー2曲が入ってるのはコレ。

DISC2-1.「 遙かなる影 」はカーペンターズ版のカヴァー。イントロが無いのと間奏でちょっとアドリブを加えてる以外はカーペンターズをリスペクトしたピアノ演奏。一方、若干ハスキー&控えめながらソウルフルな歌声は彼独特。男の色気ってゆーんですか?それを感じます。まだ若いのにすげー! 彼はこの曲のピアノ弾き語りバージョンを2018年7月にYouTubeにアップしています。基本コンセプト&キーはその時と変わりませんが、本アルバムではアウトロで多重録音したコーラスを聴けるのが嬉しいです。

DISC2-4.「 アルフィー 」はシンプル且つオーソドックスなピアノ弾き語りのカヴァー。パフォーマンス自体は素晴らしいものです。でもね、人の心に染み入るレベルか…というとソコ迄は行ってない感じ。多分聴く方の期待値というかハードルがめっちゃ高くなるんですよ、彼の場合は…。上から目線で失礼しました。

とはいえ、DISC2に入ってる他の洋楽カヴァーや10年前からYouTubeにアップされている動画(洋楽/邦楽のピアノ弾き語りカヴァー、クラシックのピアノ演奏、「 ムーン・リバー 」のビッグバンド風エレクトーン演奏など)を聴いて感じるのは、彼の音楽的裾野の広大さとセンスの良さ。自作曲・カヴァー共に今後も要注目です!


【データ】
『 HELP EVER HURT NEVER [初回盤] 』
藤井 風

CD:2020年5月20日リリース
レーベル:HEHN RECORDS / UNIVERSAL SIGMA
番号:UMCK-7064/5

<DISC1>
Sound Produced by Yaffle
All songs Written by 藤井 風(Fujii Kaze)
English Translation by 藤井 風(Fujii Kaze)
Musicians は割愛

<DISC2:HELP EVER HURT COVER>
Vocals, Piano:藤井 風(Fujii Kaze)

2020年11月29日 (日)

After All/Paul Anka (1995年)

ポール・アンカが1995年にリリースしたアルバムです。バカラックと共作した新曲を2曲収録!

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全11トラック中、バカラック作品は2トラック

10. RAINBOW (3:08)
11. AFTER ALL (3:12)


ポール・アンカが1995年にリリースしたアルバムです。

ポール・アンカは1941年カナダのオタワ生まれ。1957年に自作曲「 ダイアナ 」が全米チャート1位に。ソングライターとしてもトムジョーンズに「 シーズ・ア・レディ 」、英語詞を書いてフランク・シナトラに「 マイ・ウェイ 」を提供。1939年生まれのニール・セダカや1934年生まれのデル・シャノンと共に、ポップス草創期を代表するシンガーソングライターなんですと。

本作『 After All 』はドイツポリドールからのリリースで、全11曲を収録。クレジットによれば、60年代ヒットソングのカヴァーや自作曲のリメイクの8曲(T-1〜8.)は1994年LAスタジオで録音と記載されています。でも、ポール・アンカ公式サイトやWikipediaのスタジオ録音アルバムのリストに本作は見当たりません。ん? Discogsには載ってましたがコンピ盤に分類されてました。んん? なんかもやもやするけど、まぁいいや(笑)
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↑ ジャケット開けるとクレジットが載ってます

んで、T-10.「 RAINBOW 」とT-11.「 AFTER ALL 」がバカラックと共作した新曲でございます。これら2曲はDiscogsを検索しても編集元のアルバムやシングルの類いは見つからなかったので、本作が初出なのは間違いないところかと。

2人の共作は1979年のサントラ
『 TOGETHER? 』以来約16年ぶりですが、その時はポール・アンカは作詞のみで歌ってません(バックシンガーは務めましたが)。
一方、ポール・アンカは過去にバカラックの曲をオリジナルシンガーとして歌ったことがあります。1964年1月にリリースしたシングル「 FROM ROCKING HORSE TO ROCKING CHAIR 」がソレなのですが、作詞はハル・デイヴィッドでした。
なので、バカラックと共作した曲をポール・アンカ自身が歌うのは本作が初めてのケースなんですね。

T-10.「 RAINBOW 」は4拍子曲。テンポは♩≒86と速いわけではないけれど、16ビートのリズムが効いて軽快な印象。イントロでトランペットが吹くシンコペーションのメロディ、2拍子や3拍子や5拍子といった変拍子の多用、Aメロの最初4小節のコード進行F-Em-Bm-F(Ⅰ-Ⅶm-Ⅳm-Ⅰ)に見られる長調と短調をさらっと行き来する転調?…。バカラック色かなり強めの楽曲です。ポール・アンカとデュエットしてる女性シンガーは、噂によるとDenise Maynelli DeCaroという方だそうです。

T-11.「 AFTER ALL 」はミディアムテンポ(♩≒84)のバラード曲。AメロとBメロとサビの区別がつかないメロディライン、「 RAINBOW 」ほどではないけれどやっぱり挟んでくる変拍子と不規則な小節数。こちらもバカラックの曲だとはっきりわかります。この曲で一番盛り上がるのが2コーラス目と3コーラス目の間の間奏ってゆーアレンジもね〜…、バカラックらしいといえばらしいです^^;。

ポール・アンカは大袈裟な表現をすることなく曲に合わせた余裕の歌唱で流石と思いますが、曲のヘンテコさに耳がいってしまい歌そのものは印象が薄いんですよね。いや、ポール・アンカは悪くないですよ。バカラックがやり過ぎただけです(苦笑)



【データ】
『 After All 』
Paul Anka

CD:1995年4月リリース
レーベル:Polydor (Germany)
番号:827 430-2

All the Songs:
Produced by the Crew
Coproducer:Burt Bacharach
Production Co-ordinator:Gloria Jewett
Produced and mixed at B&J Studion, Los Angels, California
Produced and mixed by John Arrias, Assistent:Javier Bennassar
T-10.「 RAINBOW 」, T-11.「 AFTER ALL 」
  (Paul Anka / Burt Bacharach)
  Arranged and Produced by Paul Anka and Burt Bacharach

All songs were recorded in 1994(c)
Except for "MY WAY", "RAINBOW" and "AFTER ALL"

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年11月22日 (日)

Love at the Movies/Jane McDonald (2001年)

英国の女性歌手/タレントのジェーン・マクドナルドが2001年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は2トラック

8. I SAY A LITTLE PRAYER (From 'MY BEST FRIEND'S WEDDING') (3:43)
10. ALFIE (From 'ALFIE') (3:07)


英国の女性歌手/タレントのジェーン・マクドナルドが2001年にリリースしたアルバムです。

1963年4月、英国はイングランドのヨークシャー生まれ(どーでもいいことですが、1964年早生まれの私とは同学年)。Wikiには5つの肩書き(an English easy listening singer, songwriter, media personality, actress and television presenter)が載ってました。1998年頃からBBCなどのTV番組に出演する傍ら、英国をはじめ豪州やニュージーランドをツアーしたりアルバムも多数リリースするなど歌手としてもキャリアを積んできたようです。

3作目となる本アルバムは所謂企画モノ。タイトルの通り、映画で使われた歌のカヴァー集です。ゴージャスなアレンジと演奏、ブリリアントで艶のあるジェーンの歌声、深めのリバーブ…。これらが合わさって、ステージで歌ってるかのような印象を受けます。

バカラック・カヴァーは2曲。
T-8.「 小さな願い 」(1997年の米映画『 ベスト・フレンズ・ウェディング 』から)
T-10.「 アルフィー 」(1966年の英映画『 アルフィー 』から)

T-8.「 小さな願い 」はヒップポップ系アレンジ。オリジネーターであるディオンヌ・ワーウィックが1998年のアルバム『 DIONNE SINGS DIONNE 』でこの曲をヒップポップ系アレンジでリメイクしていますが、それにヒントを得たのかもしれません。でも、(ディオンヌのリメイク版と違って)原曲の特徴である変拍子をキチンと残したり、フェードアウトせず終止形にしてるのは好印象。ジェーンの歌唱自体は印象に残らないですが…。

一方、T-10.「 アルフィー 」はゴージャスな生オケをバックに熱唱。ジェーンの艶やかな歌声はこういう歌い上げる系の曲と相性が良いようです。それは、本アルバムの他の曲なんかを聴いてもそう感じるところです(T-3.「 追憶 」やT-12.「 ANYONE AT ALL 」など)。


ここからはオマケ。MP3で所有しているジェーン・マクドナルドのバカラック・カヴァーをご紹介。
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まず1998年のデビュー・アルバム『 Jane McDonald 』で「 サンホセへの道 」(3:35) をカヴァー。オリジネーターであるディオンヌ版ベースのアレンジです。イントロの前にある20秒少々の前振り?は謎ですが。
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2005年のアルバム『 You Belong To Me 』では「 愛の思い出(愛のウェイト・リフティング) 」(3:25) をカヴァー。これはUKチャート1位になったサンディ・ショウ版ベースのアレンジ。って言うか、ほぼコピーですね。
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2010年のアルバム『 Live At The London Palladium 』には「 バート・バカラック・メドレー 」(9:15) を収録。バンド+オケをバックに「 ウォーク・オン・バイ 」「 サンホセへの道 」「 小さな願い 」「
 愛の思い出 」の4曲をメドレーで歌ってます。ステージ上のジェーンは生き生きしてますねー。エキサイトしてシャウトしたり、「 小さな願い 」で何箇所か客席に歌わせたり 、「 愛の思い出 」ではゆったり歌って観客を焦らせた?後にアップテンポで盛り上げたり、エンターテインメントぶりを存分に発揮しています。因みに、「 小さな願い 」はヒップポップ系ではなくオーソドックスなアレンジでした。


【データ】
『 Love at the Movies 』
Jane McDonald

CD:2001年10月15日リリース
レーベル:Universal TV (UK)
番号:014 947-2

Producer:Jane McDonald and Ian Hughes
Music Arranged and Orchestra Conducted by Ian Hughes
Recorded and Mixed at RG Jones Recording Studio, London - May/June 2001


2020年11月15日 (日)

SIMPLY GRAND/Irma Thomas (2008年)

"ニューオーリンズのソウル・クイーン" アーマ・トーマスが2008年にリリースしたアルバムです。バカラックの新曲を1曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

5. WHAT CAN I DO (3:59)


"ニューオーリンズのソウル・クイーン" アーマ・トーマスが2008年にリリースしたアルバムです。

アーマ・トーマスは米国のソウル/R&Bシンガー。1941年ルイジアナ州で生まれ、1959年にロンレーベルより「 DON'T MESS WITH MY MAN 」でレコードデビュー。以後レーベルを転々とするも、1986年にラウンダーレコードと契約してからはコンスタントにアルバムをリリースしていきます。2005年にはハリケーン・カトリーナの状況下でアルバム『 After The Rain 』をリリース。そのアルバムは2006年のグラミー賞でコンテンポラリー・ブルース賞を受賞しました。

本アルバムは『 After The Rain 』の次作にあたります。裏ジャケのアルバム紹介によれば… ─  アーマ・トーマスの音楽の中心には常にピアノがあり、彼女は12人の最高のピアニストと共演しています。グラミー賞を受賞した Soul Queen of New Orleans は、このすべての音響環境よりも優れたサウンドを実現したことはありません。「 COLD RAIN 」の魂を焼く情熱から「 THIS BITTER EARTH 」のほろ苦い親密さまで、アーマの永続的な暖かさと魂のこもったものが優勢であり、ブルースから遠く離れることはありません。多くの新曲(バート・バカラックとスティーブ・クリコリアンの曲を含む)と、これまでに録音されていないドク・ポーマス&ドクター・ジョンの曲が含まれています。  ─ (機械訳です、あしからず)

ピアニストを12人も起用するとはなんて贅沢な! ヘンリー・バトラー (T-1)、ドクター・ジョン (T-2,8)、ジョン・クリアリー (T-3)、トム・マクダーモット (T-4)、デヴィッド・トカノフスキー (T-5,10)、デヴィッド・イーガン (T-6)、ノラ・ジョーンズ (T-7)、エリス・マルサリス (T-9)、ジョン・メデスキ (T-11)、デイブ・クロフォード (T-12)、マーシャ・ボール (T-13)、ランディ・ニューマン (T-14) …。地元を拠点に活動している方が多いようですが、ビッグネームも参加していますねぇ。

バカラックの新曲T-5.「 WHAT CAN I DO 」でピアノを弾いてるのはデヴィッド・トカノフスキー。1956年生まれのピアニスト/バンドリーダーで、アーマのセッションにたくさん参加してきたんだそう。アーマとの2ショット写真もこの曲のクレジットと一緒に載ってました。
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さて、その「 WHAT CAN I DO 」。プロデューサー氏が書いてるライナーノーツには ─ セッションのわずか1週間前にバート・バカラックとスティーヴ・クリコリアンから届きました。それは classic Bacharach melody です。─ と書いてありました。ん? 共作者のスティーヴ・クリコリアンって誰やねん? 聞いた事ないで? …ネットで調べたら Tonio K.(トニオ・K)の別名でした。近年バカラック爺と度々共作してる方ですね、納得!

「 WHAT CAN I DO 」は8ビートのスローバラード。テンポは♩≒79くらい。本アルバムにはR&B、ソウル、ゴスペル調の曲が多いのですが、ちょっと違う空気感が漂います。シンプルなピアノのイントロに導かれ、全体的にはしっとりとした雰囲気。サビでのアーマの歌唱や中盤ブリッジから間奏あたりのピアノはブルースのフィーリングで熱いですけどね。ちょっと変態チックなメロディとコード進行は間違いなくバカラック印(classicかどうかは微妙なところですが…)。佳曲だと思います。

アルバム自体は全体的にクォリティが高く、じっくり聴いても良いしBGMにしても心地良いですね。


ここからはオマケ。
実はアーマ・トーマス、若い頃にもバカラックの新曲を歌ってました。「 LIVE AGAIN(リヴ・アゲイン)」という曲で、1965年1月にレコーディングしています。でも、当時はリリースされませんでした。また、新曲じゃなくカヴァーですが同年8月には「 LONG AFTER TONIGHT IS ALL OVER(ロング・アフター・トゥナイト)」もレコーディング。ところがこの曲もお蔵入りに…。それから27年経った1992年、EMI から出たベスト盤『 "Time Is On My Side" The Best Of Irma Thomas, Volume 1 』(画像)にめでたく2曲とも収録されました。良かったね、パチパチ。
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尚、これら2曲は拙ブログで過去に紹介したコンピ集に入ってます。前者が入ってるのは『 Burt Bacharach MASTERPIECE Vol.3 』、私も少しばかりコメントしています。後者は『 Burt Bacharach MASTERPIECE Vol.2 』です。ご参考まで…


【データ】
『 SIMPLY GRAND 』
Irma Thomas

CD:2008年8月12日リリース
レーベル:Rounder Records (US)
番号:11661-2202-2

Produced by Scott Billington
Piano - Henry Butler (T-1), Dr. John (T-2,8), Tom McDermott (T-4), Dave Torkanowsky (T-5,10), Norah Jones (T-7), Ellis Marsalis (T-9), John Medeski (T-11), Marcia Ball (T-13), Randy Newman (T-14)
Piano, Percussion, Backing Vocals - Jon Cleary (T-3)
Piano, Backing Vocals - David Egan (T-6), Davell Crawford (T-12)
…ピアノ以外のミュージシャンは割愛します、あしからず
T-5.「 WHAT CAN I DO 」
  Written by Burt Bacharach, Steve Krikorian (Tonio K.)
  この曲の詳細クレジットは先ほどの2ショット写真を参照ください


2020年10月11日 (日)

Love is Forever/Cliff Richard (1965年)

英国の男性歌手、クリフ・リチャードが1965年にリリースしたアルバムです。バカラックの書き下ろし曲を2曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は2トラック

A1. EVERYONE NEEDS SOMEONE TO LOVE (2:15)
B2. THROUGH THE EYE OF A NEEDLE (2:42)


英国の男性歌手、クリフ・リチャードが1965年にリリースしたアルバムです。

─ 彼はイギリス人ですが、生まれたのはインドです。1940年10月14日、インドのラックノウに生まれました。小さい頃から大の音楽好きで、もう3つの頃から、蓄音機(今でいうステレオ装置)につきっきりで、熱心に音楽にきき入っていたそうです。イギリスに帰ったのは8才の時で、彼の両親と共にです。学校に通い出した彼の音楽好きは、相変わらずでしたが、小学校から中学校、そして高校へと進むにつれ、スポーツと演劇に熱中しはじめました。しかし彼の本命はやはり音楽でありました。ふとしたチャンスに歌ったのが大変に受けたのです。そこで気の合った仲間とバンドを結成して本格的に歌稼業に乗り出したのです。このバンドはドリフターズと命名されましたが、今日皆さんが良くご存じの通り、クリフと絶妙のティームワークぶりを発揮するシャドウズと後に名前が変わっています。このバンドはやがてEMI(オデオン)レコードの優れたA&Rマン、ノリー・パラマー(彼自身オーケストラ・リーダーとして著名)の目にとまるところとなったのです。こうして彼はレコードを通じて、世界のファンを相手にする、まったくめざましい活躍が開始されたのです。彼のデビューから、爆発的な人気を博すまでは、今日のビートルズにも似て、実に見事なものでありました。早速1958年からはTVシリーズ『 オー・ボーイ 』そして有名な『 土曜の夜のパラディアム 』に出演し、間もなくして彼をホストとしたTVシリーズ『 サタディ・スペクタクラー 』が組まれるほどの人気をあげたのです。こうして彼はイギリスのナンバー・ワン・スターから、世界のナンバー・ワン・スターにとバク進しました。ちなみに米ビルボード誌による1965年度のインターナショナル・アーティストのランキングを見てみますと、クリフはエルヴィス・プレスリーをぬいて、ソロ・シンガーとして第1位にあります。 ─ (1965年日本盤のライナーノーツより、原文ママ)

─ この最新アルバムは、彼のその好調ぶりを示したものです。また曲目もラヴ・バラッドを中心としたものだけに、このレコードを通して、彼の人気がまたグーンと高まることでしょう。クリフの歌を1度でも耳にした人は、誰もが口をそろえて、彼の歌のうまさ、きき手のハートをしっかりつかんでしまう、そんな彼の歌の魅力を、たたえています。まったく彼の歌は素晴らしいものです。男性歌手として、世界のトップにある彼ならではの、キュートな魅力があるのです。わが国においても、クリフ・リチャードのファンが日増しに増えているのも、彼の実力、チャームを雄弁に物語っています。そしてそのカーヴが着々と上昇しているということは、何とも力強い限りです。ともかくこのアルバムは、クリフのファンはいわずもがな、まだクリフの歌をおききになっていない方々に、まずきいていただきたいと思います。そんなあなたはキット彼の素晴らしい魅力の虜になってしまうことでしょう。 ─ (1965年日本盤のライナーノーツより、原文ママ)

私が所有してるのはUK盤なのですが、Discogsで日本盤ジャケットを見つけてライナーノーツをパクっちゃいました。いささか冗長のきらいはあるものの当時のクリフ・リチャードの人気ぶりがリアルに伝わるんじゃないかな…と。

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全14曲。バラード、ポップからロックンロール調まで、幅広いジャンルの曲が入ってます。A5.「 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 」、A6.「 夏の日の恋 」、B1.「 愚かなりわが心 」といった有名曲のカヴァー以外は知らない曲ですけどね。

バカラック作品は2曲。作詞は勿論ハル・デイヴィッド。2曲ともクリフへの書き下ろし曲なんですが、いずれも超のつくレア曲! 私もこのアルバムで初めて聴くことができました。

A1.「EVERYONE NEEDS SOMEONE TO LOVE(愛する人を)」は、ミディアムテンポ(♩≒104)で跳ねるようなリズム(シャッフル)の曲。高低行ったり来たりのメロディ、半音ずつ上がったり下がったりする転調、4小節/8小節という単位に収まらない変則的な小節数…。変拍子こそありませんが、バカラックらしさ満載の曲です。クリフも音程バッチリで難なく歌っています。

もう1曲、B2.「 THROUGH THE EYE OF A NEEDLE(針の目を通して見れば)」は♩≒90のバラード。イントロなしでいきなり歌い始めるこの曲、変則的な小節数だったり風変わりなコード進行はあるものの、A1.と較べたらバカラック色は薄めだと思います。若干憂いを帯びたクリフの歌声はバラードに合いますね。米国では「 WIND ME UP (AND LET ME GO) 」のカップリングでシングル・リリースされたようですが鳴かず飛ばずだったみたいです。

尚、邦題は1965年日本盤に書かれていたものです。その日本盤には全曲目解説が載ってました。バカラック作品2曲だけ紹介しますと…。

─ 「 愛する人を 」: まずミディアム・スローのテンポにのって、美しいラヴ・バラードが歌われます。誰だって愛し、愛されたいものです。そんなところうまく歌い恋人にささげています。「 針の目を通して見れば 」: 針の目を通して見れば、大きな家は小さく、高い山も低く見えるもの。だからボクたちの大ゲンカなんてとるにたりないもの。さあボクの恋人、早く帰ってきて……というチャーミングな歌です。しかしこれを歌うとなるとなかなかムツカシイと思われますが、そこはクリフのこと、実にスマートに歌っています。 ─ (1965年日本盤の曲目解説より、原文ママ)

1965年の日本じゃ流石にバカラックのバの字も出てきませんね〜。歌詞中心に説明してるのはまぁ良しとして、「 愛する人を 」が美しいラヴ・バラードってぇのはちょっと違うんでないかい?


【データ】
『 Love is Forever 』
Cliff Richard

LP:1965年11月リリース
レーベル:Columbia (UK)
番号:33SX 1769 (MONO)

Produced by Bob Morgan (A1,B2)
Produced by Billy Sherrill and Bob Morgan (B6)
Artist credit
  Criff Richard (Recorded in Nashville) (B6)
  Criff Richard Arr. & Conducted by Gary Sherman (Recorded in New York) (A1,B2)
  Criff Richard Arr. & Conducted by Ken Woodman (A2,A6,B1,B4)
  Criff Richard with The Norrie Palamor Orchestra (A5)
  Criff Richard with The Norrie Palamor Orchestra and The Mike Sammes Singers (A3,A7,B3,B7)
  Criff Richard with The Shadows (B5)
  Criff Richard with The Shadows, The Norrie Palamor Strings and The Mike Sammes Singers (A4)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年8月23日 (日)

WORDS AND MUSIC/Jackie Trent and Tony Hatch (1971年)

ジャッキー・トレントとトニー・ハッチが1971年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全14トラック中、バカラック作品は1トラック

B3. TRY TO SEE IT MY WAY  〜 Jackie Trent 〜 (3:23)


ジャッキー・トレントとトニー・ハッチが1971年にリリースしたアルバムです。

ジャッキー・トレントは英イングランドのニューカッスル=アンダー=ライムで1940年に生まれました(2015年没、享年74歳)。トニー・ハッチが1939年生まれなので1歳違い。因みに1940年生まれのディオンヌとは同い年になります。歌手として1962年に初めてのシングルをリリースし、1965年にはトニー・ハッチと共作した「 WHERE ARE YOU NOW(愛は何処へ)」で全英1位に。ソングライターとしてもトニー・ハッチとのコンビで曲を提供するようになり、1966年ぺトゥラ・クラークに提供した「 I COULDN'T LIVE WITHOUT YOUR LOVE 」は全英6位/全米9位に。1967年に2人は結婚(当時のニュース映像)。以後、デュオ及びソングライターチームとして2人で長く活動を続けました。(その後1995年に別居、2002年に離婚)

2021/2/3追記:尚、トニー・ハッチについて及びトニーハッチ名義のバカラック・カヴァーについては以前こちらの記事で紹介しておりますので、興味ありましたらご覧ください。


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裏ジャケにはトニー・ハッチ自身による解説が! でも収録曲についての説明は皆無で、ジャッキー・トレントとの馴れ初めから共作してヒットを飛ばすまでの経緯を延々と…。本作について語ってる場面のみ意訳して引用しますが、コレってのろけですよね〜。 ─ このアルバムは本当に私たちすべてのことを語っていると思います…私たちの “ 言葉と音楽 ” そのものです。今、私たち2人はかつてないほど寄り添ってると思います。 ─

全14曲中、10曲が2人の共作曲。その他は、ジミー・ウェッブ作品の疾走感あふれるA1.「 EVERYBODY GETS TO GO TO THE MOON(ムーン)」、トニー・ベネットなどにカヴァーされてスタンダードとなったメキシコの作曲家アルマンド・マンザネロのB2.「 YESTERDAY I HEARD THE RAIN(雨のつぶやき)」、ジャッキー・トレントとHolding(誰?)の共作A5.「 AFTER THE HILL 」、残る1曲がバカラック・カヴァーです。

んで、本題。そのバカラック・カヴァーはB3.「 涙のアドヴァイス 」。1966年のTVミュージカル『 オン・ザ・フリップ・サイド 』用にバカラック&デイヴィッドが提供した曲の一つで、そのサントラにはジョニー・ソマーズのソロ版とソマーズ&リック・ネルソンのデュエット版の2バージョンが収録されていました。本作リリースの1971年時点ではスー・レイニー(1966年)とペギー・マーチ(1966年)のカヴァーがあるだけの超レア曲です。何故この曲を取り上げたのか知りたいところですが、前述の通りライナーノーツにはその辺りの説明が全くなくてなんとも残念!

さて、2人は「 涙のアドヴァイス 」をどんな風に料理したのか? アレンジ、歌唱共にポップ且つお洒落な味付けで美味しゅうございました。テンポはオリジナルの♩≒116に対して♩≒120と若干速め、Aメロ出だしの音はオリジナルのC#に対して二度低いB。これだけだとあまり変わらないように思えますが違うんです。イントロのトランペットは、オリジナルのメロディを生かしつつオシャレにアレンジした上、薄めの音色でバカラックっぽさを演出。本編では、いいところで加わる女性バックコーラスや流麗なストリングスのオブリガート、サビでのゴージャスなオケアレンジなど。聴く人の心を躍らせるトニー・ハッチの演出、流石ですネ。ジャッキー・トレントの歌唱もメリハリがありアレンジに合ってました。

10曲ある2人の共作曲、過去提供した曲のセルフカヴァーが多いのかな?と想像してたのですが、どうやら全て新曲みたいですね。ドラマチックな曲、しっとりした曲、ほのぼのした曲、カントリー調、ノリノリのPop曲など、バラエティに富んでいて佳曲揃い。やっぱトニー・ハッチはできる男なんだぁ〜。


【データ】
『 WORDS AND MUSIC 』
Jackie Trent and Tony Hatch

LP:1971年リリース
レーベル:Columbia (UK)
番号:SCX 6473

Arranged and Produced by Tony Hatch
Artists:Jackie Trent (A1,A3〜5,A7,B2〜3,B5〜6), Jackie Trent & Tony Hatch (A2,A6,B1,B4,B7)

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年6月14日 (日)

Raindrops Keep Fallin' On My Head/Mel Tormé (1970年)

米男性ジャズシンガーのメル・トーメが1970年にリリースしたアルバムです。アルバムタイトルのバカラック・カヴァーを1曲収録!

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全10トラック中、バカラック作品は1トラック

B4. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (2:19)

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6月12日、バカラックがダニエル・タシアンとコラボしてシングルをリリースしました。
「 BELLS OF ST. AUGUSTINE 」/Burt Bacharach & Daniel Tashian


2人は7月31日に5曲入りEP(ミニアルバム)『 Blue Umbrella 』をリリースする予定で、その先行シングルとのこと。
LAタイムズの記事(2020/6/11)
MusicRow Magazineの記事(2020/6/13)

EPリリース時に改めて取り上げます〜。
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さて、今回ご紹介するのは…
米男性ジャズシンガーのメル・トーメが1970年にリリースしたアルバムです。

メル・トーメは1925年シカゴ生まれのロシア系ユダヤ人(1999年没/享年73歳)。バカラックの3歳上ですね。今回記事を書くにあたりネットで調べて初めてジャズシンガーだと知りました。大御所歌手だとは知ってましたが
アンディ・ウィリアムス、トニー・ベネット、ペリー・コモ等とはちょっとジャンルが違うんですねー、思いっきり認識違ってました…--;。

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1969年にヒットした曲を中心にポップ/R&B/ロックの曲をチョイス。所謂ジャズ・スタンダードの曲はありません。バックの演奏は基本ビッグバンドですが、エレキギター、エレピ、オルガン、フルートなども駆使して曲に合わせてうまくアレンジ。メル・トーメは甘いソフトな歌声で余裕の歌唱を聴かせます。

バカラック・カヴァーはアルバムタイトルにもなっているB4.「 雨にぬれても 」。まだB.J.トーマス版がヒットチャートを駆け上がってる1969年12月にレコーディング。キャピトル仕事早っ!

─ メル・トーメは、20世紀半ばの最高の作家が生み出した曲に身を包み、ポップでフレッシュなサウンドを取り入れている。例えばバート・バカラックとハル・デイヴィッドが作った「 雨にぬれても 」に、メル・トーメは甘い歌唱スタイルと、クールでいて「 雨なんかへっちゃらさ。心配ないよ 」とゆー呑気なイメージをもたらせた。 ─
 (ライナーノーツより抜粋。あるでおによる超意訳で)

B.J.トーマスのオリジナルとは明らかにテイストが異なります。まずリズム。オリジナルの跳ねるようなシャッフルのリズムじゃなくて8ビートなんですね、これが。ライナーノーツにあった“クールで呑気なイメージ”はこのリズムのおかげかと。テンポがオリジナル(♩≒108)より遅く(♩≒96)、キーが二度低いことも要因でしょうが。独自フレーズのイントロ、洒脱なオブリガート、控えめだけど分厚いブラス、独自のアウトロ、そしてフェードアウトせず終止形で気持ちよく終わります。やっぱり大御所には有能なアレンジャーがつくんだなぁと改めて思いました。

このメル・トーメ版「 雨にぬれても 」の個人的なツボはイントロ。いろんなバージョンの「 雨にぬれても 」約200曲をチェックしたところ、イントロは約3割がオリジナルのイントロを引用(A)、約1割がサビ後のフレーズを引用(B)、約1割が曲中のその他のフレーズを引用し、残り約5割が独自のフレーズでした。メル・トーメ版イントロは独自フレーズ物で、スネアが2拍叩いたあとエレピによる2小節の独自フレーズ2回繰り返し。コードは全てオリジナル・キー(in F)に揃えました。
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このイントロの何が
ツボなのかというと、私がバカラックを知ったきっかけのアルバム:航空自衛隊航空音楽隊の『 ダイナミック・マーチ・イン・バカラック 』(1972年リリース)に収録されてる「 雨にぬれても 」のイントロにそっくりなんです。偶然とは思えません。『 ダイナミック〜 』の編曲者:故岩井直溥さんは当時本アルバムを聴いたに違いない! あの世で岩井さんに会ったら訊いてみようっと。

他の曲では、リリカルで心地よいClassics IVのカヴァーA2.「 TRACES 」、Blood, Sweat & TearsのオリジナルよりスローでブルージーなA5.「 スピニング・ホイール 」あたりがレコメンドです。


【データ】
『 Raindrops Keep Fallin' On My Head 』
Mel Tormé

LP:1970年リリース
レーベル:Capitol
番号:ST-80430 (所有LPは、同年リイシュー盤のST-430)

Produced by David Cavanaugh
Arranged and Conducted by Jimmy Jones
Recorded:December 1-23, 1969

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年6月 7日 (日)

Warm & Wild/Sandra Alexandra (1968年)

米女性R&Bシンガー、サンドラ・アレキサンドラの1stアルバムです。バカラック・カヴァーを1曲収録!

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全11トラック中、バカラック作品は1トラック

A3. I SAY A LITTLE PRAYER (3:09)

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先週の日曜5/31深夜(6/1早朝)のTBSラジオ『 オーディナリーミュージック 』がオール・バカラック・プログラムでして。しかも…

─ '80年代以降の曲を中心に、バカラックAOR時代と言いますか、なんとなくクリスタルな世界観と言いますか、いわゆるベスト盤にはなかなか入ってこない曲も多いかと思いますがそれでもすごくいい曲ばかりだぞ、というのをお送りしたいと思います。(略)最後の「 アルフィー 」は、なんだかんだで僕すごく一番好きな曲なので入れさせていただきました。 ─ (ナビゲーター&選曲:ヨシザワ"MAURICE"マサトモ 〜 YOUR SONG IS GOOD)

というセレクション。こんな切り口のプログラムはそうそう聴けるもんじゃありません。折角なのでオンエア曲一覧を記しておきます。大ヒットしたM5〜7.以外はなんともマニアック。リンクは収録アルバムの過去紹介記事に繋がってますんでよろしかったら是非! あっ、今日いっぱいはradikoで聴けまっせ!

M1. STRONGER THAN BEFORE  〜 Carole Bayer Sager 〜 (1981)
M2. LOVE ALWAYS  〜 El DeBarge 〜 (1986)
M3. ME BESIDE YOU  〜 Neil Diamond  〜 (1986)
M4. IN MY REALITY  〜 Natalie Cole 〜 (1987)
M5. THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR  〜 Dionne Warwick & Friends 〜 (1985)
M6. ON MY OWN  〜 Patti LaBelle & Michael McDonald 〜 (1986)
M7. ARTHUR'S THEME  〜 Christopher Cross 〜 (1981)
M8. THE LOVE TOO GOOD TO LAST  〜 Pointer Sisters 〜 (1980)
M9. DON'T SAY GOODBYE GIRL  〜 Tevin Campbell 〜 (1993)
M10. TWO HEART  〜 Earth Wind & Fire 〜 (1993)
M11. ALFIE  〜 Rumer 〜 (2010)
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さて、今回ご紹介するのは…
米女性R&Bシンガー、サンドラ・アレキサンドラが1968年にリリースした1stアルバムです。

サンドラはカリフォルニア州オークランド生まれ(生年不詳)。翌1969年に2ndアルバムを出した後、1970年にはなんと日本で『 サンドラと12人の侍たち 』をリリース。これは川口真、浜口庫之助、筒美京平、中村八大といった当時の歌謡界を代表するヒットメイカー12人の楽曲を歌った日本独自企画盤だそう。1974年には映画『 Street Sister 』にも女優として出演しているみたい。21世紀になり本名のCissandra Durkin名義で2002年、2014年にアルバムをリリース。ジャズシンガー/ピアニストとして現在でも活動中のようです。

─ サンドラ・アレキサンドラの感動的なスタイルは、ブルース、ポップ、クラシックのブレンドにあります。彼女の驚くべき声質は、彼女が豊富に持っている音楽的特質の1つにすぎません。彼女は素晴らしいミュージシャンであり、ソングライターでもあります。彼女の音楽性は17年間弾いたクラシックピアノに基づいています。しかし彼女はクラシック縛りから脱却し、R&B、ポップ、ジャズまで音楽の範囲を広げました。本作ではローラ・ニーロの「 ウェディング・ベル・ブルース 」、アレサ・フランクリンの「 小さな願い 」、グレン・キャンベルの「 恋はフェニックス 」等をドラマティックでパーソナライズしたスタイルでカヴァー。すべて自分のものにしています。 ─ (ライナーノーツを要約、あるでおの超意訳で)

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前述の他にもサム&デイヴのA4.「 ホールド・オン 」、ダスティ・スプリングフィールドのB4.「 ジャスト・ア・リトル・ラヴィン 」などソウル〜ポップの有名曲をチョイス。アレンジとバックの演奏もチャレンジングで、サンドラの鼻にかかった歌声と相まって独特の雰囲気が漂います。

んで、バカラック・カヴァーのA3.「 小さな願い 」なんですが、これが超ユニーク。ピアノソロによるゆったりめのイントロ(元ネタはディオンヌ版)の後、Aメロは♩≒62という超スローテンポになりドラムスのブラシワーク、ギター、フルートと吐息まじりの歌声に悩殺されます。サビは一転、♩≒134でバックの演奏も含めてアレサ版の雰囲気に。ただし、このサビ部分は女性バックコーラスに任せきりでアレサのようにサンドラがシャウトすることはありません。2コーラスめも1コーラス目と同様の展開。エンディングのAメロはまたスローテンポになり、フェードアウトせずスッと終止形で終わります。私もこれまで「 小さな願い 」の様々なカヴァーを聴いてきましたが、こんなアレンジは他にないんじゃないですかねぇ。

YouTubeに本アルバムがFullでアップされています。A3.「 小さな願い 」は4:34〜です。
興味がありましたら是非!


さて、ここからはオマケ。スローテンポな「 小さな願い 」ってどんなのがあったっけ?
①歌モノ、②テンポ♩<90、を条件に所有音源をチェックしたところ、
全編スローなもの、1コーラス目だけスローで2コーラス目からテンポアップするもの、2種類見つかりました。
前者で見つかったのがValerie Joyce。2007年にカヴァー。テンポは♩≒82ですから超スローってところまではいかないですが、全編ずっとこのテンポは聴いてて結構ダレる(笑)。
後者は2曲見つけました。まずSilvana Stievano。2008年のカヴァーで、1コーラス目がスロー(♩≒74)で2コーラス目以降少しテンポアップ(♩≒92)。軽いボサノヴァで涼しげなカヴァーです。
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Kirk Detweilerという男性シンガーが2000年(MP3のみリリース)のアルバム『 Random White Boy 』で「 小さな願い 」(3:59)をカヴァーしていますが、これも
後者の仲間。1コーラス目とエンディングが超スロー(♩≒68)で2コーラス目が倍テンポ(♩≒138)というもの。
…というわけで、“Aメロがスローでサビがテンポアップする”サンドラのアレンジは唯一無二のようですねぇ〜。


【データ】
『 Warm & Wild 』
Sandra Alexandra

LP:1968年リリース
レーベル:UNI Records (US)
番号:73039

Produced by Calvin Carter
Arranged by Arthur Wright

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

2020年5月31日 (日)

The Vi Velasco Album/Vi Velasco (1965年)

米女性シンガー、ヴァイ・ヴェラスコが1965年にリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!

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全12トラック中、バカラック作品は2トラック

B5. THAT'S NOT THE ANSWER (2:15)
B6. REACH OUT FOR ME (2:59)


米女性シンガー、ヴァイ・ヴェラスコが1965年にリリースしたアルバムです。

─ フィリピン人の親を持つ彼女は、カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。ロサンゼルスのシティカレッジ在学中に地元テレビ番組のタレントコンテストで優勝して歌手/女優の道に進むことを決意しました。ミュージカル『 Flower Drum Song 』(1958年)、『 Kicks And Co. 』(1961年) で経験を積み、ブロードウェイの『 No Strings 』(1962年) でトップの役を掴みます(あるでお注:主役の代替要員だったみたいですが)。その後、ラスベガスのフラミンゴに出演するとともにVee-Jayと専属契約しました。 ─ (ライナーノーツ後半部分を要約&補足、私の超意訳で)

ヴァイをフィリピン生まれと表記するサイト等もありますが、ライナーノーツの ─ Vi was born in San Diego of Philippine parentage. ─ に基づいて上記の訳としました。

彼女は1962年にColpixから1stアルバム『 Cantando Bossa Nova 』をリリースしています。ズート・シムズのバンドと共にボサノヴァを歌った名盤だそうで、CD化/MP3化されています。で、1965年にVee-Jayからリリースした2ndアルバムが本作でございます。(こちらは未だCD化されてません)
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米ビルボード誌1965年4月10日号の30ページ ALBUM REVIEWS に取り上げられていました。折角なので紹介します。 ─ ヴァイの才能はまだ全国的に伝わっていません。アルバムから抜粋された彼女のニューシングル「 ユー・アー・マイ・サンシャイン 」は、ラジオ局のプログラマーや業界から熱狂的な反響を受けています。彼女の絹のようでよくコントロールされた声は、大きくてブルースがかったアレンジメントと、柔らかくてロマンチックなバラードとともに浮かんでいます。 ─ (機械翻訳のまま)

ライナーノーツによれば、Vee-Jayからの初シングル「 I DON'T WANT TO GO ON 」c/w「 YOU ARE MY SUNSHINE 」(VJ-655) の評判の高さを受け、その2曲のアレンジャーであるチャーリー・カレロを迎えて本アルバム用にセッションした…とのこと。

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ガールポップ風から今でいうソフトロック風までポップにバランス良くまとめたアルバムです。中でも収録曲のうち他と一線を画す出来なのがジャズバラードアレンジのA6.「 ユー・アー・マイ・サンシャイン 」。♩≒72のゆったりしたテンポで、ピアノだけから徐々に伴奏の楽器が増えていきます。ヴァイは過度な演出は避けつつも感情表現豊かに歌い上げていて素晴らしいです。

さて、2曲あるバカラック・カヴァーのうち注目はなんと言ってもB5.「 ザット・ノット・ジ・アンサー 」。ディオンヌの4thアルバム『 THE SENSITIVE SOUND OF DIONNE WARWICK 』(1965年2月リリース) に収録されてるのがオリジナルで、カヴァーは本作のヴァイ・ヴェラスコ版だけという超レア曲なんですねー。ズンチャチャ・リズムの曲で、♩≒127のディオンヌ版に対しキーは半音低いものの心持ち速い♩≒134のテンポで軽快な印象。ディオンヌ版にはないストリングスが加わりゴージャスさもあります。張りのある歌声のディオンヌに対しヴァイは若干鼻にかかってハスキーですが歌いっぷりは互角でしょうか。ヴァイ版で最も特徴的なのはイントロや間奏部分で独自のフレーズを可愛らしく元気に歌う女性コーラス。これがウキウキしていいんです。私はヴァイ版に軍配をあげますね。

ちなみにこの「 ザット・ノット・ジ・アンサー 」、同年リリースした2枚目シングル(VJ-690)のA面曲。ディオンヌ版はB面も含めてシングル・リリースされてないのに…。タイミング的にディオンヌのアルバムリリース後直ぐにレコーディングしたはずですし、プロデューサーか本人がこの曲をとても気に入ったとしか思えませんね。


もう一つのバカラック・カヴァーはB6.「 リーチ・アウト・フォー・ミー 」。ディオンヌ版と同じキーでアレンジも基本一緒。ディオンヌ版の♩≒113に対し♩≒117とわずかに速いものの感覚的にはテンポもほぼ一緒ですね。最後のサビ以降転調して半音キーを上げてる点が唯一の独自アレンジなんですが、高音域あまり得意じゃないらしく却って逆効果
。こちらはディオンヌ版に軍配を上げましょう。

ピックアップしたナンバーは YouTube にアップされています。気になったら Vi Velasco で検索!


【データ】
『 The Vi Velasco Album 』
Vi Velasco

LP:1965年リリース
レーベル:Vee-Jay Records
番号:VJS-1135(ジャケット表面)/VJLP-1135(ジャケット裏面)/VJLPS 1135(レーベル面)
なんで各々の番号表記が違うの? 当時はこんなもんなの? いい加減だなぁ(笑)
ちなみに記号の意味は、VJ:Vee-Jay、LP:まんま、S:Stereo だそう

Produced by Al Kasha
Arranged & Conducted by Charles Calello

※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し

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