米国のサウンドクリエーター、ブルックス・アーサーがブルックス・アーサー・アンサンブル名義でリリースしたアルバムです。バカラック・カヴァーを2曲収録!
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全14トラック中、バカラック作品は2トラック
B2. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME (3:13)
B3. KNOWING WHEN TO LEAVE (2:45)
米国のサウンドクリエーター、ブルックス・アーサーがブルックス・アーサー・アンサンブル名義でリリースしたアルバムです。
ブルックス・アーサーは1936年ブルックリン生まれ(2022年没、享年86歳)。1960年代からエンジニアとして活躍し、60年代後半には自身のスタジオ(センチュリー・サウンド・スタジオ)もオープン。70年代前半はまだエンジニアとしての仕事がメインでピーター・アレン、ヴァン・モリソン他の作品に参加。そしてプロデュースを担当したジャニス・イアンの1975年作『 Between The Lines 』が全米1位となり、以降、ピーター・アレン、フィル・コーディー、キャロル・ベイヤー・セイガー、ベット・ミドラーなどN.Y.をベースとするシンガーのアルバムを中心にプロデューサーとして活躍しました。因みにバカラック関連では、キャロル・ベイヤー・セイガーのアルバム『 SOMETIMES LATE AT NIGHT(真夜中のくちづけ)』がバカラックとブルックス・アーサーによる共同プロデュース作品でございます。
そんなブルックス・アーサーは、ブルックス・アーサー・アンサンブル名義でアルバムを2作リリースしています。1作目『 Sole Forms 』は1966年にクリード・テイラーのプロデュースで発表。2枚目が本作で1969年に自身のプロデュースで発表しました。
─ このアルバムは、かつてブルックス・アーサーの頭の中にあったものが、今はこのアルバムに収められた、新しいサウンドです。めったに聞かれない音楽のカテゴリーに属し、正直なものと呼ばれています。
ブルックス・アーサーは美しい楽器を持つ歌手としてスタートし、歌手、ミュージシャン、アーティスト、プロデューサー、ビジネスマンなど、彼が手がけたすべての事業で成功を収め、現在では国内有数のオーディオエンジニアの一人となり、ニューヨーク市にある自身のセンチュリー・サウンド・レコーディング・スタジオの責任者となっています。彼の功績をすべて挙げることは不可能でしょう…(彼のアルバム『 Sole Forms 』/Brooks Arthur Ensemble, V6-8650 は1967年にグラミー賞にノミネートされました)。彼の名前は、事実上何百ものヒットレコードの裏面で見てきましたが、ここでついに表紙に登場しました。そして、私たちが最も関心を持っているのはこのアルバムです。なぜなら、すべてがここに至ったからです…。
ブルックス・アーサーには、愛、仕事、そして知識があり、それらはすべて結びついて音楽と呼ばれています。
ブルックス・アーサーにとって、自身のアイデアを実現するためのアレンジャーの選択は極めて重要でした。リー・ホールドリッジの選択は実に賢明でした。リーはコスタリカ在住時にドン・ウーゴ・マリアーニに師事し、後にボストンで有名なヘンリー・ラスカーに師事しました。リーとブルックスの音楽哲学は、愛を強調した温かみのあるアレンジメントに刻まれています。
このアルバムを聴いていると、お気に入りの椅子は柔らかくなり、暖炉は暖かくなり、人生と思い出はより甘美なものになるでしょう。 - Ann Ruckert Collins ─ (本作裏ジャケのライナーノーツ、Google先生訳で)
ブルックス・アーサーについて詳しくは公式サイトをどうぞ。


演奏はバンド+オケという編成。オケには金管/木管楽器・ストリングスに加えてシタールやリコーダーも入っています。メンバー全員クレジットされているのですが、確認したところ1枚目のアルバムとは編成やメンバーが違っていました。スタジオミュージシャンの寄せ集めなのかしらん。ブルックス・アーサー自身はプロデュース以外にシンガーズの一人としてクレジットされています。取り上げた楽曲は、映画『 華麗なる賭け 』の挿入歌A1.「 風のささやき 」、Classics IVのヒット曲A2.「 TRACES 」、ビージーズのA6.「 若葉のころ 」、B7.「 マッカーサー・パーク 」など1967年〜1968年のヒット曲が主体。男女コーラスが随所に入ってるほか、A1,A4,B7の3曲では男性ヴォーカルが、A7では女性ヴォーカルがフィーチャーされています。
本作、Hi-Fiレコード・ストアさんのサイトでは ─ 洗練されたムード~ソフト・ロックの快作 ─ と紹介されていました。表ジャケは女性じゃないしクレジットもキッチリしているのでイージーリスニングではないんでしょうが、インスト曲が多いこともあって"アレンジに工夫の見られるイージーリスニングの好盤"…てな印象を持ちました。Discogsでも Easy Listening に分類されていますしねー。
さて、バカラック・カヴァーは2曲。
B2.「 愛の想い出 」は1964年ルー・ジョンソンがオリジナル(US#49)で、同年サンディ・ショウが大ヒット(UK#1, US#52)させた曲ですが、ブルックス・アーサー版はそれら2曲のアレンジをほぼ踏襲。ホルンやストリングスが主メロを演奏しますが、サビの少し前〜サビ部分は男女コーラスが主メロ(歌詞)を歌っています。オブリガートや合いの手で金管(トランペット、トロンボーン、バストロンボーン)が目立つくらいで、他にはそれほど特徴が見られないカヴァーです。
B3.「 去りし時を知って 」は1968年のミュージカル『 プロミセス、プロミセス 』の劇中歌。個人的に好きなバカラック曲のひとつ。この曲には優れたカヴァーが多いのですが、ブルックス・アーサー版もなかなかの好カヴァー。まずイントロ。ピアノのアルペジオとヴァイオリンの不協和音が緊張感を漂わせます、"この曲はなんだろう?"と。主メロはフリューゲルホーンが主役で、時々女性コーラスも歌詞を歌っています。ハープ、トロンボーン、ティンパニ、ストリングス、トランペットなど様々な楽器&バリエーションのオブリガートが新鮮です。このアレンジでフル女性ヴォーカル版を聴きたいところです。
【データ】
『 Traces 』
Brooks Arthur Ensemble
LP:1969年リリース
レーベル:Verve (US)
番号:V6-8779
Produced by Brooks Arthur
Arranged and Conducted by Lee Holdridge
Recorded at Century Sound Recording Studios in New York City
Engineer:Brooks Arthur
PERSONNEL
Drums:Gary Chester, Al Rogers
Keyboards:Stan Free, Frank Owens, Morris Wexler
Percussion:George Devens
Guitar:Sam Brown, Charlie Macey, Willard Suyker
Sitar:Vinnie Bell
Bass:Richard Davis, Julio Ruggiero, Richard Romoff
Woodwinds:Jerry Dodgion, Romeo Penque
Recorder:William Hammond
Trumpet:Bert Collins
Fluegelhorn:Bert Collins
Trombone:Wayne Andre, Eddie Bert, Mickey Gravine, Richard Hixon, Alan Rath (Bass Trombone)
Violin:Gene Orloff, Emanuel Green, Max Cahn, Norman Carr, Selwart Richard Clarke, Henri Aubert, Michael Comins, Theodore Isreal, Peter Dimetrias, George Ockner, Harry Lookofsky, Leo Kahn, Harry Urbont, Julius Brand
Harp:Eugene Bianco
Cello:Kermit Moore, Harry Wimmer
Singers:Marilyn Jackson, Maretha Stewart, Linda November, Jim Campbell, Kenny Karen, Brooks Arthur
Vocal solos:Kenny Karen (A1, A4, B7), Maretha Stewart (A7)
Manufactured by MGM Records Division; Metro-Goldwyn-Mayer Inc.
※ 日本のAmazonでの取り扱いは無し
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