ラヴ・サウンズ・スタイル <バート・バカラック作品集>/V.A. (2014年)
キングレコードが持つジャズ、イージーリスニング系音源からコンパイルされたバカラック物コンピ集です。
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1. DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE 〜 レオン・ポップス 〜
2. I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN 〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
3. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU 〜 伊東ゆかり 〜 F
4. KNOWING WHEN TO LEAVE 〜 猪俣猛とサウンド・リミテッド 〜
5. THE APRIL FOOLS 〜 レオン・ポップス 〜
6. PACIFIC COAST HIGHWAY 〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
7. BOND STREET 〜 猪俣猛とサウンド・リミテッド 〜
8. PROMISES, PROMISES 〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
9. ALFIE 〜 スクリーン・ポップス 〜
10. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD 〜 レオン・ポップス 〜
11. THE LOOK OF LOVE 〜 ザ・ピーナッツ 〜 F
12. WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE 〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
13. MEXICAN DIVORCE 〜 猪俣猛とサウンド・リミテッド 〜
14. (THE MAN WHO SHOT) LIBERTY VALANCE 〜 スクリーン・ポップス 〜
15. I SAY A LITTLE PRAYER 〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
16. THE WINDOWS OF THE WORLD 〜 タイム5 〜 M
17. WHAT'S NEW PUSSYCAT? 〜 スウィフト・ファイヴ・プラス・フォー 〜
18. SOUTH AMERICAN GETAWAY 〜 斎藤英美プラス・リズム・セクション 〜
19. TO WAIT FOR LOVE (今日、今、この時) 〜 布施明、A&Mオールスターズ 〜 M
20. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU 〜 レオン・ポップス 〜
※ メイン・ボーカル入りの曲は、F(Female-女性)、または M(Male-男性)と表記
収録時間約60分
キングレコードが持つジャズ、イージーリスニング系音源からコンパイルされたバカラック物コンピ集です。
─ 「 Love Sounds Style 」シリーズは、レコード会社各社に残された膨大なカタログのなかから、主に1960〜70年代にかけて制作された、国内録音によるイージーリスニング・アルバムより選曲・構成された作品集で、2004年に複数のレコード会社から全6タイトルが発売されました。それから10年を経て、今回はキングレコードに残された膨大なカタログのなかから、カテゴリごとに構成した5タイトル(各盤20曲、合計100曲)を発売します。
1960〜70年代は、こうしたインストゥルメンタルやイージーリスニング・ヴォーカルの企画盤が定期的に制作されており、そこでは映画音楽や海外のポピュラー・ヒットの数々が洒脱なアレンジを用いてカヴァーされていました。時期的にステレオ装置の一般家庭への普及と重なることから、それらはリスナーに好意的に受け入れられ、常に安定したセールスを記録していたといいます。とりわけサックス、ピアノ、ギターなどの楽器をフィーチャーした作品が人気を博し、由紀さおりの「 夜明けのスキャット 」のヒット以降は、スキャットを意欲的に採用したアルバムが多数制作されました。
ところが、そのあまりに膨大なタイトル数から再編に着手するのが困難で、さらに極めて匿名性の高いアーティスト表記などからも、これらが顧みられる機会はなかなか訪れませんでした。現に、本シリーズに収録された楽曲の大半が初CD化となるものです。しかし、お聴きになればおわかりのように、ここに収録された楽曲は、時を経てもなお色褪せぬ魅力を備えた楽曲が揃っており、今こそ聴き返される時期なのではないでしょうか。贅を尽くしたオーケストラ演奏から、気心の知れたミュージシャンによる気ままなセッションまで、我が国のポピュラー史を彩った名曲・名演の数々をお楽しみください。 ─ (ライナーより、本シリーズについて)
本コンピ集はキングレコードからリリースされたシリーズ5タイトルのうちの1タイトル。 ─ 20世紀を代表する作曲家にして、もはや“バカラック”というジャンルを確立したと言っても過言ではない偉大な音楽家バート・バカラック。キングレコードに残された数多くの録音のなかから、さまざまなアーティストがカヴァーしたバカラック作品だけで構成したオリジナル編集盤。ジャズ、イージーリスニングの企画盤を中心にベテラン歌手が歌った楽曲など20曲を収録‼︎ ─ (CDの帯より) でございます。
丁寧なコンパイルは濱田高志さんのお仕事。ライナーには収録元アルバムの情報がほぼ網羅されてました。それらの情報を整理して、全20曲を収録元アルバムのリリース順に並べたものがこちら👇。(レオン・ポップスのT-10.「 雨にぬれても 」だけは収録元アルバム不明、残念!😅) 
約半数の9曲は拙ブログで既に紹介済みでして、ここでは簡単に紹介します。リンクから過去紹介記事に跳びます。なお、ジャケ写は収録元アルバムのものです。
伊東ゆかりのT-3.「 ディス・ガール 」はサラッとした歌唱でセンスを感じます。アレンジもストリングスやフルートのオブリガートがとっても素敵。→ 2014年の編集盤『 ルック・オブ・ラヴ 』の記事で紹介
ザ・ピーナッツのT-11.「 恋のおもかげ 」はハープのアルペジオやオルガンのオカズなど独自のアレンジが光ります。ザ・ピーナッツの息の合ったハモリも流石。→『 フィーリング・グッド!~ピーナッツの新しい世界~ 』
男性5人組コーラス・グループ、タイム5(タイムファイヴ)のT-16.「 世界の窓と窓 」はリードヴォーカル&コーラスのハーモニーが美しい。途中の転調(B♭→C)も印象的です。→『 THIS IS TIME 5 』
斎藤英美プラス・リズム・セクションの6曲(T-2,6,8,12,15,18.)はちょっとマニアックなエレクトーンもの。ただし、アルバム名義どおり斎藤英美(エレクトーン)+ リズム・セクション(E.G, E.B, Dr)なのはT-2,6,15.の3曲だけ。そのうちT-6.「 パシフィック・コースト・ハイウェイ 」は原曲を再現しつつもアドリブの独自性が光っていてレコメンド。一方、エレクトーン経験者の私としては、エレクトーンだけで演奏しているT-8,12,18.の3曲を興味深く聴きました。テンポが速く和音でリズムを刻み続けるT-8.「 プロミセス・プロミセス 」は弾くの大変だったと思いますし、エレクトーンによる忠実な原曲の再現に挑戦したT-18.「 自由への道 」は力作で且つ熱の入った演奏です。どちらもミスタッチが多くて一般リスナーにはレコメンドではないかも知れませんが、私としては超レコメンドです。→『 プレイ・バカラック 』
残り11曲は私もこのコンピ集で初めて聴きました。
T-17.「 何かいいことないか仔猫チャン 」を演奏しているスウィフト・ファイヴ・プラス・フォーは、ジャズギタリストで企画物のイージーリスニング・レコードを多く残している沢田駿吾をリーダーとするユニット。1966年(原曲の翌年)にシングル盤をリリースするとは! 原曲ベースのアレンジです。
T-1,5,10,20,の4曲を演奏しているレオン・ポップスは、石川皓也(名前はあきらと読むそう)がアレンジ&指揮をしたキングレコードのセッション・オーケストラ。T-1.「 サン・ホセへの道 」はボサ・リオ版ベース、T-5.「 エイプリル・フール 」はパーシー・フェイス版(日本のチャートで最高66位)を軸にディオンヌ版(同99位)も少し取り入れて、T-10.「 雨にぬれても 」はバカラックのインスト版ベース、T-20.「 遥かなる影 」はカーペンターズ版ベースのアレンジ。4曲ともステレオタイプなイージーリスニングの雰囲気です。

T-9,14.の2曲を演奏しているスクリーン・ポップスは、匿名のレコーディング用オケ。収録元アルバムのジャケットにも表記ないですし(見開きジャケットの内面とレーベル面には表記あるようですが)。T-9.「 アルフィー 」はバカラック版のほぼコピー、T-14.「 リバティ・バランスを射った男 」はオリジナルのジーン・ピットニー版ベースのアレンジ。レオン・ポップスよりも更にステレオタイプなイージーリスニングです。

布施明のT-19.「 今日、今、この時 」は、同日(1970/10/1)リリースのバカラック・カヴァーアルバム『 布施明がバカラックに会った時 』でもカヴァーした「 TO WAIT FOR LOVE(トゥ・ウェイト・フォー・ラヴ)」の日本語詞版(訳詞:安井かずみ)。バックトラックはアルバムの英語詞版と同じ(ギターとドラムスがよく聴こえるなど楽器のバランスは若干異なる)。英語詞だろうと日本語詞だろうと、持ち前のハリのある美声は変わらず流石の歌唱です。
T-4,7,13.は、つい先日(2024/10/4)お亡くなりになった名ジャズ・ドラマーの猪俣猛が1969年暮れに結成した猪俣猛とサウンド・リミテッドによるジャズ・ロックの演奏。T-4.「 去りし時を知って 」は比較的ノーマル。T-7.「 ボンド・ストリート 」はズンチャチャの原曲に対しズンチャッチャとリズムが跳ねているのが特徴で、ギターのアドリヴも渋い。T-13.「 恋するメキシカン 」ではジャガジャ〜ンやギュイ〜ンといったギターがロックしてます。
日本人による'60年代後半〜'70年代前半のバカラック・カヴァーを集めたバカラック物コンピ集は他にもあります。
『 バカラック スタイル 』by 東芝EMI (1995年)
『 バート・バカラック・オン・ジャパニーズ・レア・グルーヴ 』by テイチク (1998年)
今回の記事を書きながら、ビクターやコロムビアあたりからも出ないかなぁ…と思った次第。是非お願いしたいところです。
【データ】
『 ラヴ・サウンズ・スタイル <バート・バカラック作品集> 』 英語タイトル『 Love Sounds Style BURT BACHARACH SONG BOOK 』
V.A.
CD:2014年6月18日リリース
レーベル:King Record (JP)
番号:KICS-3055
Produced, Compiled & Linernots:Takayuki Hamada 濱田 高志
This Compilation (P)2014 King Record Co., Ltd. Japan
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